韓国・社会教育・平生学習の動き 


 <関連ぺージ>
■韓国生涯学習研究フオーラム(1)(2007〜)→■ 同(2)(2016〜)→■    

■故黄宗建先生追悼−黄先生・自分史(1)(2)→■ 
追悼アルバム

<出版>
『韓国の社会教育・生涯学習』(日本・エイデル研究所、2006) 
■『日本の社会教育・生涯学習』(韓国・学志社刊・ハングル版、2010年)
■『日本の社会教育・生涯学習』(日本・大学教育出版、2013年9月)→■
『躍動する韓国の社会教育・生涯学習』出版 2017 →■

■東アジア研究交流委員会→■ 
 三国(日中韓)国際学術フォーラム→■

 
中国生涯学習研究フォーラムの動き(2008冬〜)→■
■東アジア研究ページ→■




<韓国・法制・研究交流・動き−目次>

A 韓国・社会教育・平生学習・関連法制 
1,教育基本法(1997)
2,社会教育法(1982)→
3,平生教育法(1999〜)→
  新・平生教育法(2007全面改正)→
     *新・平生教育法の注目点(10) →
  平生教育法・2007年以降の改正(2016)→
4,韓国・平生教育法・改正についての論議(〜2007):解説・訳 李正連→■
韓国・文解教育 →■
韓国・講演(小林) 1999〜2005〜2009〜2014〜→■
韓国研究・交流 1980〜1995〜2017→■



 
第4回全国生涯学習フエステイバル、左より4人目・金信一氏 (光明市、20050923)


 韓国・平生学習の動き・研究交流 2003〜2010〜(本ページ)
 <目次>
1,川崎市と富川市・光明市との研究交流(2003〜2005)→■
2,2005年・光明市(第4回)平生学習フェスティバル・国際シンポ→■
3,韓国「平生教育」の概念について(TOAFAEC研究会南の風2005年10月9日)
小林文人下掲
4,韓国平生学習についての研究調査(2005):
手打明敏下掲
5,2006年・富川市の地域社会教育事業について:
小田切督剛
6,金信一氏、教育人的資源部長官に就任(ニュース、20060901)
李正連下掲
7,2007年・韓国へ向けて「日本の社会教育・生涯学習」出版構想:
小林・李下掲
8,2008年−福岡・釜山交流、公州・ソウル訪問(黄宗建先生追悼など)→■
9,2008年〜韓国・地域平生学習の動き→■
10, 書評 正連著『韓国社会教育の起源と展開
   −大韓帝国末期から植民地時代を中心に』
小林文人(2008)下掲
11, 2009年・韓国交流・訪問記録→■
12, 2009年・韓国・地域平生学習の動き→■
13, 東アジア研究交流委員会の発足、上海訪韓団など→■
14, 日本社会教育学会、韓国平生教育学会・国際セミナー(
2010年4月2〜3日、小田切 督剛下掲
15, 2010年『日本の社会教育・生涯学習』出版記念会(2010年10月7日)
下掲
16, 文解基礎教育法案
(2005、解題・訳:李正連、「東アジア社会教育研究」第15号・2010年)→■
17, 第2回・日韓両学会・学術研究大会
(2011年2月18〜20日、会場=首都大学東京ほか)下掲
18, 2012年・韓国生涯学習研究フォーラムの動き→■
19, 2012年11月・東アジア研究交流委員会有志による済州島ツアーの記録→■
20, 肥後耕生『黄宗建と韓国社会教育の歴史』(韓国:学而時習、2013)*南の風3082〜83号 下掲
21, 社会教育と平生学習との交流、その課題−日韓交流の水路が拓かれてきた20年を振りかえる
    (第53回社会教育研究全国集会(課題別部会・日韓交流20周年記念・日韓セミナー)2013年8月  →■
22, 2013『日本の社会教育・生涯学習〜新しい時代に向けて〜』
(小林文人、伊藤長和、李正連 共編、
     大学教育出版)刊行! 南の風3169号(2013年10月3日)
下掲
23,

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(1)川崎市と富川市・光明市との研究交流 (2003〜2005)→■ 


(2)韓国・第4回平生学習フェスティバル・国際シンポジウム・参加記録 →■
    *2005年9月22日〜26日 訪問先:光明市・富川市など
    
*「南の風」記事ほか カッコ内は執筆者、無署名は小林文人 


(3)韓国・平生教育法・改正についての論議(2005) 
                   解説・訳 李正連
 <参考>
 韓国「平生教育」の概念について(TOAFAEC研究会の論議 小林文人
 10月7日夜は第111回定例研究会。ご案内の通り、先日の韓国・第4回平生学習フェスティバル訪問の報告会でした。主報告の金侖貞さん、副報告の小田切督剛さん、伊藤長和さんともに、詳細なレジメを用意され、現代韓国・平生(=生涯)学習の動向を本格的に論議する久々の研究会となりました。
 福島から浅野かおるさんが初めて出席されました。また久しぶりに谷和明さんや岩本陽児さんの顔もあり。このようなメンバーで、韓国・平生教育・平生学習にテーマをしぼった研究会を継続的に開けないものかと思いました。出された論点や課題は、興味深いものがあり、当然のことながら、一夜ではとても論じつくせない。
 論点の一つは、平生教育の概念、あるいは旧来の社会教育との関係について。この問題は、韓国・平生教育学会がいま論議している「平生教育法」改正問題(李正連さん解説)にも関連しています。 
 
*関連
−2007年について→
 研究会ではそこまで議論が及びませんでしたから、ひとこと追記しておきたくなって・・・。
 現行の韓国・平生教育法は「“平生教育”とは学校教育を除くすべての形態の組織的な教育活動」(第2条・定義)と規定しています。これは旧来の社会教育法の控除的な定義の仕方と同じ。
 控除的な定義は必然的に消極的になってしまう。いま提案されている平生教育法改正案の領域定義では、次のように積極的な内容となっていることが注目されます。
 新設条項案・第4条の1(平生教育の領域)「平生教育は、成人基礎教育及び文解教育、市民教育、職業能力開発教育、文化芸術教育、地域社会教育等を含む。」
 ちなみに「文解教育」とは識字教育、「地域社会教育」は地域の社会教育ではなく、コミュニテイ(地域社会)教育のこと。 【南の風】第1542号(2005年10月9日)


(4)韓国・平生学習についての研究調査  −2005年11月 手打明敏
 <韓国(富川・光明)調査>
 筑波大学の手打です。11月5日(土)から9日(水)まで、科研費研究のメンバー7人で韓国富川市、光明市の調査をおこない、無事帰国しました。
 今回は、韓国の平生学習センター等の生涯学習機関や住民自治センター等の地域機関の運営に携わっているNPO等の市民団体が行政機関とどのように連携協力しているかを現地を訪問し、関係者にインタヴューしてきました。訪問したのは、聖公会大学と富川市の平生学習センター、コリウル青少年文化の家、中洞住民自治センター、文化の家、光明市の平生学習院、ハンアン3洞住民自治センター、ハンアン文化の家でした。
 聖公会大学については、小林先生から、この大学の多面的な社会との結びつきと革新性ついて、おうかがいしていましたが、今回を訪問して、ヤン・グォンソク副総長、コ・ビョンホン教授から大学の説明を受け、「人権と平和そして社会奉仕」と批判的民主市民の養成という大学の理念を知りました。
 光明市平生学習院のイ・ビョンゴン院長、イム・ジョンア副院長は、聖公会大学と光明市との取り決めにもとづいて3ヵ年の契約で大学から派遣されています。平生学習院が市に提出した事業計画はほぼ満額認められており、現市長の支持もあり大学と市の関係は良好のようでした。平生学習院では多くの市民を学習サークルに組織化することを目標にしていますが、当初活動していた学習サークルが25、3年目にして88にまで増加しているとのことでした。イ・ビョンゴン院長は、光明市が性急な成果を求めず事業を支援しているので、仕事がしやすいと述べられていました。
 富川市では、市がカトリック大学に運営委託しているコリウル青少年文化の家は、チョ・ユンリョン館長を含め22人の若手の職員で運営されていますが、施設運営に関しては、かなりレベルの高い青少年の参画が実現しているように感じました。また、IT事業や、映像機器を活用した青少年の創作活動が活発に行われていることは驚きでした。
 富川市平生学習センターでは、ホン・スッキ所長の迫力ある説明に参加者は圧倒されていました。
 今回訪問したかなりの施設・機関で話題として登場したのは、「疎外された階層」の問題でした。家庭崩壊により放置された青少年、独居老人、障害者などに対する施設の取り組みとそれを支える地域住民のボランタリーな多様な支援活動が展開されていました。
 わずかな日数で見聞した限りでの私的印象としては、韓国の地域社会には、地域住民の相互扶助的活動をささえる社会的文化的基盤が存在しているように感じました。
 今回の韓国調査では、事前準備の過程では小林文人先生はじめ川崎市の伊藤長和さん、小田切督剛さん、東大大学院の金侖貞さんにはたいへんお世話になりました。
 また、現地では通訳を務めていただいた李正連さん、肥後耕生さん、それに東北大学大学院の朴さん、鄭さんにたいへんお世話になりました。記して感謝申し上げます。
 【南の風】第1560号(2005年11月13日)


(5)韓国・富川市の地域社会教育事業について →■
    −2006年2月16日 川崎市教育委員会 小田切督剛−
     *脚注省略   *関連・川崎と富川・光明との交流


(6)金信一氏、韓国・教育人的資源部長官に就任
        李正連、Sat, 02 Sep 2006 13:02 【南の風】第1709号(2006年9月3日)

 <金信一先生、韓国・教育人的資源部長官へ>
 ご無沙汰しております。李正連です。韓国は少し涼しくなってきましたが、日本はいかがでしょうか。生涯教育に関心のある方々には、嬉しいことではないかと思いまして、ご連絡させていただきます。
 昨日(9月1日)、韓国の教育人的資源部長官に前平生教育学会会長であった金信一先生(現ソウル大学名誉教授、韓国教育学会会長)が任命されました。まだ、人事聴聞会という大きな関門が残ってはいますが、韓国の平生教育学界では大変喜んでいます。
 韓国の国民はどの国よりも教育に関心が高い国民であり、それ故、教育部長官の任命にもとても敏感です。直前の長官が資質問題で辞任させられましたが、金信一先生には不祥事が起こらず、一日も早く韓国の教育政策に貢献してほしいです。そして、韓国の平生教育にも大きな力になっていただければと思います。ご報告までで失礼いたします。
 <ビッグニュース!金信一氏の長官就任(ぶ)>
 内モンゴルの旅より帰って、興奮さめやらぬ間に、また記憶も鮮明なうちにと思って本欄を書き始めたところに、驚きのニュースが韓国(李正連さん)より舞い込みました。金信一氏が「教育人的資源部」(日本の文部科学省)長官に就任とのこと。そう言えば、10年ほど前に「有力候補らしい」という話を聞いたこともあったような。
 金信一(キムシンイル、昨年までソウル大学教授)氏は韓国の社会教育・平生(生涯)学習研究の中心的な指導者。昨年の9月下旬、韓国(第4回)生涯学習フエステイバル(光明市)で会いました。そのとき一緒に撮った写真を探し出して、記念にHP「9月スケジュール」欄にアップ。ご覧下さい。その2ヶ月後には法政大学・EAFAE(東アジア成人教育フォーラム)の会議でも顔を合わせました。
 金信一さんと初めて会ったのは1980年2月、韓国・扶餘(プヨ、百済の都)で開かれた社会教育法制定に向けての専門家会議でした。4半世紀前のこと。その後、1990年代の「日韓社会教育セミナー」の運営や、1993年の社会教育研究全国集会(木更津)、2003年の日本社会教育学会50周年記念シンポへの来日など、日韓研究交流には韓国社会教育研究者を代表するかたちで大きな役割を担ってきた人です。
 日本に多くの友人をもち、おそらく日本の社会教育をもっともよく知る韓国研究者。もちろん世界の潮流にも詳しく、そういう人が教育大臣に就任するという韓国政治の躍動を実感します。日本では考えられない専門研究者を登用する国家人事。海を越えて、まさに拍手喝采の出来事、日本からも心からの声援をおくたいと思います。


(7) 韓国へ向けて「日本の社会教育・生涯学習」出版構想(2007)
 <韓国へ向けての出版構想(小林)【南の風】第1734号(2006年10月25日)
 昨年の夏、『韓国の社会教育・生涯学習ー市民社会の創造に向けて』(エイデル研究所)が刊行されたことはご承知の通り。このテーマでは日本ではじめて。さらにこれをステップに、今年度のTOAFAEC 研究年報「東アジア社会教育研究」第12号で画期的な韓国「平生学習」特集を組むことができました。そして、この二つの作業を足場に、毎月1回の「韓国生涯学習研究フォーラム」が川崎を会場に発足。名古屋や福島から参加の常連メンバーを加えて、にぎやかな研究活動が定例的に継続されるようになりました。回を重ねて、先日(20日)の研究会で第6回。
 日韓の社会教育・生涯学習の研究交流にとって、この1年の歩みはとくに若い世代のエネルギーが燃えて、大きく跳躍した年と言えるのではないでしょうか。
 このような展開は「風」で紹介してきましたが、いま新しく韓国へ向けての出版構想が具体化しています。日韓双方の努力を重ね合って「日本の社会教育・生涯学習」(ハングル版)を刊行しようという試みです。ソウルでの出版社も決まり、この半年、本の構成や執筆・翻訳体制を含めて、準備を重ねてきました。毎月の定例研究会はいま編集会議として動いています。
 日本の社会教育・生涯学習の動きが、韓国にきちんと紹介されていないという問題意識からの構想づくり。来年夏の完成をめざして執筆依頼が始まりました。「南の風」としても、その快挙を報じるまでは頑張りたいもの。皆さんのご声援をお願いします。
 <韓国向け出版への思い(李正連) 【南の風】第1735号(2006年10月27日)
 南の風の皆様、李正連(名古屋大学)です。
 「風」第1934号(2007年10月25日)に、韓国への『日本の社会教育・生涯学習』出版構想に関する内容が紹介されましたが、その構想を最初に提案していた者として、韓国に向けての出版がもつ意味について簡単に申し上げたいと思います。
 近年、韓国では平生教育(=生涯教育)ブームともいえるほど、その政策や実践において活発な動きがみられます。これまで、韓国は、一つのモデルとして日本の社会教育・生涯学習をみてきていますが、その理解は必ずしも幅広いとはいえないものです。これまで主に紹介されてきたのは、どちらかというと、戦後社会教育職員や住民が築いてきた社会教育の実践や運動ではなく、近年の生涯学習政策でした。実際に最近の韓国の平生教育政策には、日本の生涯学習政策に学んだことが、多く反映されています。
 ところが、韓国の社会教育・平生教育が長い間、日本の社会教育を参考にしてきたにもかかわらず、これまで日本の社会教育・生涯学習について総合的に紹介した本は皆無に近い状況です。それ故、韓国では、日本の社会教育・生涯学習について、誤解をしている部分があるのも事実です。
 そこで日本の社会教育・生涯学習についての正確な理解のために、その歴史や制度、実践を紹介する本を刊行し、日本と韓国の社会教育のさらなる交流及び発展に寄与しようという取り組みを始めることになりました。これから韓国に向けての「日本の社会教育」を紹介する本づくりでは、多くの方々に大変お世話になると思います。この場を借りて、改めてご協力をお願い申し上げます。


(8)福岡−釜山交流、公州・ソウル訪問(黄宗建先生追悼、編集委員会)(2008)→■


(9)2008年〜韓国・地域平生(生涯)学習の動き→■


(10)書評正連著『韓国社会教育の起源と展開
                   −大韓帝国末期から植民地時代を中心に』

       評者 小林 文人(日本教育学会「教育学研究」第75巻第4号、2008年12月)
(1)
 社会教育の概念は、学校教育と対比して、多義的であり、非定型的な部分を含み、ときに曖昧でもあり、とりわけその歴史は複雑な様相を呈して展開してきた。社会教育の歴史研究を読むと、多くは疲れるものである。しかし本書は、多様・複雑な社会教育の歴史について、韓国と日本を串刺しにしながら、「韓国社会教育の起源と展開」をテーマに大胆かつ明快な解明を行っている。読み終わって、久しぶりにある種の爽快感を味わった。

 研究課題を意欲的に設定し、先行研究に依拠しつつ、しかし果敢にそれらを批判的に検討し、自らの視点から独自の分析・解釈・課題提起を試みている。注目すべき一書が登場したと言うべきであろう。
 日本による植民地支配下の韓国社会教育については、同じく台湾等の問題を含めて、研究的に解明すべき課題を多く残している分野である。同時にこれまでの歴史理解として、「日韓併合」(1910年)後の植民地統治の一環として「社会教育」が導入され、それに対する朝鮮民衆の抵抗と運動、いわば「抑圧−抵抗」の二項対立的な枠組みによる理解が支配的であった。本書はこのような一般的通説から脱皮して、新たな史実を発掘・提示し、韓国の社会教育史を多角的かつ総体的に把握しようとした初めての著作である。
 多くの文献・資料の渉猟があり、また詳細な論述と解説により、これまでの韓国社会教育史についての(評者の)断片的知識は、本書によって一つの骨格を与えられ、体系的理解へつながっていく喜びを味わった。
(2)
 研究課題として5点が提起されている(序章)。(1)大韓帝国(1897年)末期における「通俗教育」および「社会教育」概念の導入の特徴・性格を明らかにする、(2)「日韓併合」後、植民地朝鮮における社会教育施策の展開過程を解明する、(3)とくに社会教育と(これまであまり注目されてこなかった)実業教育との関係に注目する、(4)朝鮮民衆による社会教育実践として「夜学」を中心にその特質を分析する、(5)以上の検討に基づき、韓国における社会教育の歴史的性格を総括し、現代の韓国「平生(生涯)教育」にも関わって、今後の課題を提起する、というものである。
 それぞれについての先行研究の吟味を含む課題設定が興味深い。この5課題に即して、第1章より終章(第5章)が構成され、補論(近代国民国家の形成と社会教育の展開)が加えられている。

 本書は、歴史的視点による「社会教育の再発見」から出発していると言えよう。植民地支配下の統治施策として社会教育が組みこまれた側面だけをみるのみでなく、それ以前において開化派知識人・指導者らによる日本からの自覚的な導入過程があったこと、また植民地支配の抑圧手段としての側面のみでなく、朝鮮民衆の主体的活動、その経済的生活的必要への対応という側面があったこと、の発見である。

 たとえば「日韓併合」前において、1900年初頭、「韓国における日本の国権侵害の度合いが強まるにつれて、国権喪失を憂えた愛国啓蒙運動家、すなわち大韓帝国末期の開化派知識人たちは学校教育の普及とともに、一般民衆、特に成人に対する啓蒙教育を行う必要性を感じるようになり、社会教育概念に注目するようになった」(序論4頁)という。
 そのような国権擁護・近代化への志向をもった社会教育論の系譜は、「植民地時代に入ってからも朝鮮の知識人・指導者たちに受け継がれ」、三・一運動(1919年)後はとくに民衆自らの生計維持や上昇志向を求める動きを背景に、「夜学や講習会などを通した識字実践や実業(農業)教育」「…実用的な科目」等の社会教育実践が展開していった(第4章、191頁等)。
 …民衆は社会教育を利用して自らの生活向上の欲望を遂げようとし、また自らの生活を抑圧するものに対しては抵抗しようとし」(終章、210頁)、その意味で(統治の客体としてでなく)「社会教育の主体」としてとらえることができると考えられている。
 「抑圧−抵抗」の二項対立的な枠組み論を脱皮して、朝鮮民衆の経済的・生活的な動向をふまえつつ多角的な分析を試みようとした本書の研究視角は、近年の韓国「近代化」「植民地」「民族主義」論の新たな展開、植民地期の朝鮮教育研究の蓄積等に多くの示唆を得ている(序章)。著者は、それらのみずみずしい論点に学びつつ、新たに発掘した事実をもとに、「社会教育」をテーマとする独自の韓国近代史を画いたように思われる。
(3)

 植民地・占領・軍隊等に関する諸資料は、それらの政治的変転局面において散逸・風化するだけでなく、廃棄・抹消される場合が多く、残存する資料はすべて稀少・貴重である。本研究の基礎となった史実の発掘には、おそらく大きなエネルギーが費やされたに違いない。 本書に収録されている文書資料は、大韓帝国期の通俗教育に関する法令・行政記録、同時期(植民地期以前)の開化派知識人による「学会」等の社会教育に関する論述、朝鮮総督府関連の諸資料、「朝鮮教育会」「朝鮮農民社」等の発行雑誌、新聞「東亜日報」「朝鮮日報」記事など、多彩をきわめる(序章第4節、研究の方法)。先行研究からの引用を含めて、50点余の図表もまた貴重である。
 本書の構成のなかで、第2章「植民地朝鮮における社会教育施策の展開過程」は通史的な時期区分が試みられている。すなわち、初期(19101919年)「学校を中心とする社会教育」等、中期(19191932年)「文化政治への転換」「社会教育の行政制度化」等、後期(19321945年)「皇国臣民化」「戦時体制下の行政・政策」等、の三期である。
 とくに中期・後期に重なって、第3章「実業教育関連の社会教育施策の展開およびその目的」(実業補習学校、「卒業生指導」、農民訓練所等)と、第4章「朝鮮民衆による社会教育実践」としての「夜学」の動向についての詳細な資料と歴史分析は、特論的に興味深いものがあった。
 この両章に並んで、あえて評者の特論的な関心を二つ三つ加えれば、植民地朝鮮における社会教育に関わる「団体」(青年団体、教育会、キリスト教団体、教化団体等)の展開過程についてである。日本の社会教育の歴史的特質としては、その「団体中心性」の性格(碓井正久)が指摘されてきたからである。さらにまた、後期とくに戦時体制(「内鮮一体」、国民精神総動員、創氏改名、「錬成」等)へ突入していく段階での社会教育の解体過程について、植民地朝鮮ではどのような展開であったのか。著者独自の多角的な分析を期待したいところである。
(4)
 本書の終章には、最近の韓国における社会教育・平生教育についての傾聴すべき課題が付言されている。解放(1945年)後の韓国における社会教育の展開に政府主導的な体質が強いこと、一方で韓国では「社会教育」という用語が徐々に姿を消しつつあること。その背景には、社会教育についての歴史理解が必ずしも充分でなく、植民地統治として与えられた社会教育に対する否定的な評価があること。韓国「社会教育法」の名称が「平生教育法」へと全面改正(1999年)されたことにも結果的につながり、「社会教育は精算すべきものであるというロジック」(あとがき)が存在しているのではないかと疑問を投げかけている。
 終章の結句に、著者は「大韓帝国末期や植民地時代に、民衆が自主的に社会教育をもって自らの教育的要求や生活向上、民衆運動などを進めてきた史実」に注目する必要を指摘していて共感するところ大であった。
 近年は新しく“ソーシャル”なもの(ソーシャルガバナンス、社会的企業、社会文化等)への関心が増大している。市民主体論の動向を含めて、あらためて「社会教育の再発見」の視点が再評価されてよいように思われる。仄聞するところでは、本書は近くハングルに翻訳され、韓国において出版されるそうであるが、韓国「平生教育」界への問題提起の書として、今後どのように読まれていくか、楽しみである。


(11) 2009年・韓国交流・訪問記録→■


■(12) 2009年・韓国・地域平生学習の動き→■


(13) 東アジア研究交流委員会の発足、上海訪韓団など→■


(14) 日本社会教育学会、韓国平生教育学会・国際セミナー(2010年4月2〜3日)
   「違いを知り共感を生み出す― 第1回韓日平生・社会教育セミナー」報告― 小田切 督剛
                       *「東アジア社会教育研究」第15号(2010年)所収
 2010年4月2日(金)午後から4月3日(土)午後にかけて、江原道の江陵市で「第1回平生・社会教育セミナー−平生学習の動向と発展方向」が開催された。1日目の会場は現代ホテル景浦台8階Diamond Hall、2日目は江陵市平生学習センター「モリ」3階「学びの場」だった。参加者は、学会会員を中心として地域の実践者を含め1日目は約90人、2日目は約60人だった。日本社会教育学会からは鈴木敏正会長をはじめ大学教員を中心に、自治体職員や大学院生を含め13人が参加した。私たち東アジア研究交流委員会、韓国生涯学習研究フォーラムからも多数参加した。
 公式的な報告は長澤成次さんが発表されているので(1)、ここでは個人的な感想を日程に沿って整理したい。


                                      
*参加者写真(2010年4月2日)
表1 第1回韓日平生・社会教育セミナー−平生学習の動向と発展方向

日程・内容(概要)                  
1日目(4/2) 基調発表 キム・シニル
  第1部 韓日平生学習の動向  発表 キム・ギョンヒ・鈴木敏正
       指定討論  ハン・スンヒ・姉崎洋一
  第2部 韓日平生教育政策の動向  発表 チェ・ドンミン・長澤成次
       指定討論  ホ・ジュン・石井山竜平
2日目(4/3) 第3部 韓日平生教育の交流 実態と課題  発表 キム・ナムソン・笹川孝一
        コメント  キム・シニル
  第4部 第6回国際成人教育会議 結果検討  発表  ロレンス・チョイ(EAFAE)
       発表 ペク・ウンスン・野元弘幸
1 再会−開会
 私が現代ホテル景浦台の8階に着いたとき、キム・ジヌァさん(2)は広い会場で独りで海を眺めておられた。2006年8月4日に川崎市高津市民館を訪問された時以来の再会である。キム・ジヌァさんのもとで学ぶ学部生たちが受付を準備しているところだった。「オダギリさん、見てください!素晴らしい海でしょう?」と満面の笑顔で握手してくださったのは嬉しかった。
 平生教育士協会の元会長であるイ・ギュソンさん(3)とも再会した。2006年8月の第46回社会教育研究全国集会(箱根集会)以来の再会である。「最近は、始興市で高層アパートを対象に『訪ねていく平生学習』を実践しています」と相変わらず元気な笑顔だった。川崎でも団地の集会室で家庭教育学級を開催するなどの実践を試みているが、こうした実践交流・事例紹介も活発にしたい。
 また、2007年3月に公州大学校に留学した山下直子さんとも再会した。2007年8月の第47回社会教育研究全国集会(貝塚集会)以来の再会である。現在は大学で日本語を教えながら韓国に滞在しているという。
 さらに、「再会」ではないものの、これまで社会教育・生涯学習関係の交流で通訳やコーディネーターとして活躍してきた60〜70年代生まれのメンバーが、一堂に会する貴重な機会となった(浅野かおるさんが欠席されたことは返す返すも残念だった)。イ・ジョンヨン(李正連)さんとソン・ミラン(宋未蘭)さんをはじめ、キム・ユンジョン(金侖貞)さんや肥後耕生さんも通訳を務めた。チョン・ヒョンギョン(鄭賢卿)さんやカン・ネヨン(姜乃榮)さんはレセプションなどで通訳を務めた。これらのメンバーが密なネットワークを作っていくことが、今後の交流事業の基盤になるだろう。
 参加者で会場がいっぱいになり、そろそろセミナー開会という頃に、チェ・ドンミンさん(4)が微笑みながら「オダギリさん、ちょっと頼みがあるんだけれど」と手招きした。開会挨拶と基調発表を通訳してほしいという。「ええっ!急にムチャ言うな〜」と思いつつも引き受けた。なぜかこの人に頼まれると断れないし、それどころかちょっと無理しても協力したくなってしまう、不思議なオーラをチェ・ドンミンさんは持っている。ちなみにこういうオーラを持っている人を私はもう一人知っているが、カン・ネヨンさんである。
2 新たな出発点−基調発表
 韓国側は、司会や発表、コメントなどを若手研究者に積極的に任せようという姿勢が伺えた。チェ・イルソンさん(5)やチェ・ドンミンさんなど何人かが「『第1回』と銘打ってよいか悩んだ。内部的な議論があった」と気にしていたが、キム・シニル先生(6)が基調発表の冒頭で「新たな段階の出発点という意味で、良いのではないか」とおっしゃったため、皆さん安心した様子だった。さらに第3部のコメントでも、個人レベルの信頼関係を作ることに努力してきたことと、これを一般市民まで広げていくようにと強調されていた。
3 違い−第1部
 韓国平生教育学会会長のクォン・ドゥスンさん(7)は閉会挨拶で「(韓日の)違いを学ぶことが難しい、と感じた」とおっしゃった。特に違いを感じさせたのが第1部だった。
 第1部のキム・ギョンヒさん(8)の発表は、学会交流の冒頭であり、韓国平生教育学会でどのような議論が行われているのかを整理・紹介するものと予想していたが、そうではなかった。しかし指定討論で姉崎洋一さんが5点にわたり課題を投げかけ、鈴木敏正さんの発表と論点がかみ合うようにすっきりと整理してくださった。本当に素晴らしいコメントだった。第一に、生涯教育の概念。鈴木報告は歴史的・国際的な理解、金報告は原理的・本質的な根拠への問題提起と、視点が異なる報告だったが、社会教育そして平生教育をどう捉えているのか。第二に、国際的な流れ。鈴木報告は国際的な流れに対して日本の社会教育に積極的な意味を付与し、金報告はOECDの知識基盤社会(knowledge-based society)に関する論議を挙げていたが、国際的な流れをどう理解しているのか。第三に、アジアへの姿勢。鈴木報告は欧米研究中心だったものが2003年の学会50周年記念シンポジウムを契機に反省し転換したことを強調したが、金報告はアジアについての言及がなかった。韓国の学会の中でアジアへの姿勢にGeneration Gapがあるのか否か。第四に、鈴木報告は教育政策的文脈、金報告は学習能力の意味と、議論の出発点が違う。鈴木報告は教育基本法改正など社会教育の社会的規定性を、金報告は研究方法の再構成を強調した。韓国では領域論と方法論の相互豊饒化が起きているのか。第五に、高等教育と生涯学習のリンクが日本では弱いが、韓国はどうか。
 姉崎洋一さんのコメントに対して、キム・ギョンヒさんも応える気満々の雰囲気だったが、時間の関係上討論時間をカットすることとなった。きちんと討論したかったという思いからか、キム・ギョンヒさんは第4部終了後の意見交換で「発表原稿に書いてあることは読んできているはずなのだから、討論時間をもっととるべき。日本で第2回セミナーを開催するとしても、今回と同じ形なら行こうと思わない」と率直に発言されていた。
 他の方からも「韓日それぞれの学会に準備委員会を構成し、発表内容などを事前に調整する必要がある」といった発言があり、今後の課題として残された。
4 共感−第2部
 違いが際立った第1部に比べ、「違いがあるからこそ、話がかみ合った時の喜びもひとしおである」と感じたのが第2部だった。
 第2部の長澤成次さんの発表に対して、指定討論でホ・ジュンさん(9)は「『人間の学習できる権利を保障』するという平生教育の理念が、国家の制度と政策により実現される過程で生み出しうる一種の『歪曲』に対して憂慮を表明しているという点で、長澤成次さんの批判に対して本討論者は全的に共感する」とした上で、「@国家から自由な、または独立的な平生教育の制度化と政策実行は可能か?」「A平生教育領域での国家及び地方自治団体の役割は何でなければならないか?」「B市民社会の平生教育の力量を育てうる方法は何か?」「このような3つの質問は、事実としては別個のものでなく、互いに絡み合っている。平生教育の制度と政策が抱える宿命的な問題でありうる。それにも関わらず、国家と地方政府は、明らかに市民の生を豊かにできる学習を支援しなければならない責務を負っている。こうした責務をどのように遂行できるかに対する方向性を提示しうるのは、結局、学界を含む平生教育の現場(field)であるという気がする。長澤成次さんの文を読みながら、共にすべき『現場』が、単に本討論者が住んでいる韓国社会にばかり限られているのではなかったという点に大きな勇気を得て、本報告を終える」と語った(10)。
 引用が長くなったが、このようにキチンと応えてくれたことを長澤成次さんは喜び、「ホさんが(勤務先の大学のある)木浦の地域に入っていってくれると嬉しい」とおっしゃっておられた。ホ・ジュンさんのソウル大学校時代の指導教授だったキム・シニル先生も「ホ・ジュンのコメントは良かった」と褒めておられた。
 また、第2部のチェ・ドンミンさんの発表は、韓国政府の政策を紹介しながら、時に率直な批判を交えていた。もちろん、長澤成次さんの発表も日本政府の政策への批判を交えていたが、チェ・ドンミンさんは教育人的資源部の元長官や、平生教育振興院の現院長を前にしての批判である。通訳する私までなぜかヒヤヒヤしてしまったが、公開の場で堂々と批判し討論しようという成熟した姿勢をむしろ学ばねばと思った。
5 対話−レセプション
 「韓日の違いは学問的な内容だけではない」と感じさせられたのは、レセプションでの対話だった。キム・シニル先生とパク・インジュさん(11)を中心としたテーブルでは、中央政府の政策への研究者の参加が話題となった。キム・シニル先生は「韓国は長く民主化闘争を闘ってきた。今も民主化を進めようとしている。だから日本ほど官僚が強くない」と笑っておられた。「官僚が強くない」というより「官僚任せでは、せっかく勝ち取ってきた民主化が危うくなる」という危機意識の違いが大きいのではないか、と私は感じた。
6 花火と歌と道民会−2次会
 レセプションのあと、キム・シニル先生が「さあ、海辺で風に吹かれよう」とおっしゃり、皆でホテル前の海岸に出た。打ち上げ花火を販売するオートバイがちょうど待ち構えており、大量に買い込んでわいわい言いながら次々飛ばした。ふと冷静になった石井山さんが「いや〜これは客観的に見たらかなり怪しい風景ですよね」と呟いて、一同大笑いとなった。
 花火を終えて海岸沿いに歩き、2次会会場である「水晶宮さしみ家」に到着した。あちこちで話が盛り上がったが、ふと気がつくとチェ・ドンミンさんやカン・デジュンさん(12)たちが奥に集まって何やら話している。近づいてみると江原道訛りで「江原道を平生学習の模範地域にしよう!」と盛り上がっているではないか。第1回セミナーが江原道で開かれた背景に、この「道民ネットワーク」があったのだった。
 後半はチェ・ドンミンさんの司会で歌合戦となった。笹川孝一さんとロレンス・チョイさん(13)の合唱に始まり、鈴木敏正さんとパク・インジュさんのバリトン対決、キム・シニル先生から「Rising Sun」と呼ばれたカン・デジュンさんと石井山竜平さんの独唱などが披露された。かつて日韓社会教育セミナーで歌われた「朝露」や「友よ」も肩を組んでの大合唱となり、セミナーの記憶を継承しようという意思を感じた。
7 韓国平生教育学会幹事−朝食
 2日目の朝食は車に分乗し、純豆腐(スンドゥブ)の専門店に向かった。韓国平生教育学会幹事のホン・ヘリムさん(慶熙大学校教育大学院生)は中国に1年半留学し、中国語教育を専攻している。向かいにおかけになったキム・シニル先生が「そうか。私は平生教育学会が社会教育学会だった頃の初代幹事だったよ。ファン・ジョンゴン(黄宗建)先生が会長だった。キミは何代目の幹事かね?」と笑っておられた。
 今回日本から参加した大学院生は、千葉大学長澤成次研究室のクァク・チニョン(郭珍榮)さんお一人だったが、今後院生も参加しやすいようにぜひしていきたい。
8 継承−第3部
 第3部は、1992〜1994年の日韓社会教育セミナーを引き継ぐ正統性を確認して次世代に継承しつつ、新たな発展方策を検討する場となった。笹川孝一さんの発表は、以前整理された内容(14)を韓国側の当事者と共有する、またとない機会となった。笹川孝一さんからは当事者しか知りえないエピソードも多数紹介されて会場一同大笑いとなり、和やかな雰囲気のセミナーとなった。
 私個人としては、1993年に川崎で開催されたセミナーの話を直接お聞きできたことが印象深かった。私は1993年に川崎市役所に入ったが、そのようなセミナーが開かれていたことは当時知らなかった。川崎のセミナーの実務を担った伊藤長和さんが川崎市役所国際交流課長だった1996年に、川崎市と韓国・富川市が友好都市協定を結んで公務員交換派遣制度の協議が始まった。そしてその制度によって私は1999年に富川市庁に派遣された。こうした交流の積み重ねの上に現在があるのだから、自分もここで得た力を今後の交流でお返ししていかなければとの思いを新たにした。
 また、キム・ナムソンさん(15)は第3部の発表で「今回の発表のためこれまでの韓日交流の資料を探したが、見つからなかった」とおっしゃっていた。日本でTOAFAECが『東アジア社会教育研究』を継続的に発行し『韓国の社会教育・生涯学習』刊行の土台となってきたことが資料の散逸を防ぐことにどれほど大きな役割を果たしてきたか、あらためて認識する機会となった。今回のセミナーは、これまで交流に参加してきた方々のお話を直接伺える、本当に貴重な機会だったとあらためて感じる。
 さらに、キム・ナムソンさんは第3部で今後の課題として「韓日の平生教育に関する基礎的な概念を整理する必要がある」と指摘された。表2は一例だが、日本と韓国は同じ漢字文化圏でありながら、ごく基礎的な概念の翻訳語すら違いがある。こうした違いを正確に知り専門的な力量を持ったメンバーを増やしていかなければ、交流自体が成り立たないだろう。
表2 翻訳の違い
英語              日本語      韓国語(ハングル略)
Formal Education      定型教育     正規教育・形式教育
Non-Formal Education  不定形教育    非正規教育
Informal Education     非定型教育    無形式教育
出所:金南宣『平生教育論)蛍雪出版社), 2009, p.17から作成
9 東アジアからの発信−第4部
 第4部は、2009年12月1〜4日にブラジル・べレンで開催された第6回国際成人教育会議について、会議全体の様子を伝えるロレンス・チョイさん、韓国ワークショップでの発表内容を紹介するペク・ウンスンさん(16)、「草の根会議」など日本での準備過程を紹介する野元弘幸さんと、それぞれ特徴のある発表でわかりやすかった。
 キム・シニル先生はこれまでの交流の成果を発展させる意味から基調発表で「East Asian Association of Lifelong Learning」の設立を提案されたが、これと響きあうような意見交換はできなかった。「東アジア」を強調する方々に、東アジアから世界に何を発信してきたのか、東アジアのネットワークを必要とする課題は何かという点について御意見を伺いたかった。
 今後この提案がどのように議論されるか、またその土台の重要な部分となるであろう日韓の学会交流がどう進展していくかはまだわからない。私は交流を自己目的化するつもりはないが、交流の枠組みを制度化することで、その枠組みを通じてその時々のテーマを発掘しやすくなり、さらにそれが交流の枠組みを強化するという相互作用があると考える。川崎市と韓国・富川市の交流の経験は、これを証明している。制度化された枠組みを利用して、新たなテーマで交流を始める人々が常に生み出されている。
 学会交流が、違いを知り共感を生み出す場へ発展していくことを期待したい。
【注記】
(1)長澤成次「第1回韓日平生・社会教育セミナー報告」
  日本社会教育学会『日本社会教育学会紀要46』2010、p.156.
(2) 東義大学校人文大学平生教育学科、http://www.deu.ac.kr/、2010.6.27.
(3) 平生教育実践協議会会長
(4) 尚志大学校教育大学院、
 http://graduate.sangji.ac.kr/gradhtml/contents/grad/education.html、2010.6.27.
(5) 慶熙大学校教育大学院、http://edu.khu.ac.kr/01/04_03_14.php、2010.6.27.
(6) ソウル大学校師範大学教育学科、http://learning.snu.ac.kr/、2010.6.27.
(7) 明知専門大学教育福祉行政学部、http://www.mjc.ac.kr/subjectAction.do、2010.6.27.
(8) 慶南大学校師範大学教育学科、http://www.kyungnam.ac.kr/~efbm/professor.htm、2010.6.27.
(9) 木浦大学校教育学科、http://dorim.mokpo.ac.kr/~educa/、2010.6.27.
(10) 許準「平生教育に対する国家の役割と責務は何か?」
 韓国平生教育学会、日本社会教育学会『平生学習の動向と発展方向』)2010.4.2-3, pp.112-113.
(11) 平生教育振興院、http://www.nile.or.kr/、2010.6.27.
(12)ソウル大学校師範大学教育学科、http://learning.snu.ac.kr/、2010.6.27.
(13)EAFAE、http://pie-net.jp/eafae/index.html、2010.6.27.
(14)笹川孝一「試行錯誤で拓いた日韓教育交流―『日韓社会教育セミナー』の回想」
 黄・小林・伊藤共編『韓国の社会教育・生涯学習』エイデル研究所、2007、pp.312-333.
(15)大邸大学校師範大学、http://www.daegu.ac.kr/、2010.6.27.
(16)平生教育振興院学点銀行、https://www.cb.or.kr/indexs.html、2010.6.27.



(15) 日本の社会教育・生涯学習』出版記念会(2010年10月7日) →■
                         *南の風2519号 (2010年10月11日)
日時:2010年10月7日 18:30〜20:30  会場:韓国・大邱市GSプラザホテル
 <プログラム>
 <T部> 出版記念式   司会:梁炳賛・李正連
1.開会:梁炳賛(編者、公州大学・教授)
2.挨拶:小林文人(編者、TOAFAEC 顧問)
3.祝辞:金南善(大邱大学・教授、韓国平生教育学会・前会長)
4.祝辞:崔雲實(亜州大学・教授、韓国平生教育総連合会・会長)
5.出版報告:李正連(編集委員会事務局長、名古屋大学准教授)
 <U部> 晩餐及び交流会  司会:小田切督剛・金侖貞
1.乾杯:金済泰(牧師、元・韓国文解教育協会・会長)
2.晩餐・交流会:参加者全員  
3.会場からのメッセージ:日韓両国から3〜4人ずつ   
4,お礼の言葉:伊藤長和(編者、中国・山東工商学院)
5.閉会:梁炳賛
*日本からの参加者(上記以外)手打明敏、上野景三、小田切督剛、石井山竜平、上田孝典
 <ずしりと重い一冊>(小林ぶんじん) *南の風2519号 (2010年10月11日)
 韓国より昨日(10日)帰りました。今回の旅は、4年越しの私たちの奮闘?の甲斐あって、ようやく刊行にこぎつけた『日本の社会教育・生涯学習』の出版お祝い会、初日(上掲・記念会)の余韻が残って、終わりの日まで酔っていたような4日間でした。
 スケジュールを終えて帰途の朝も、釜山空港でまず乾杯、機内で二度目の“ご苦労さん!”ビール。家に帰り着き、あらためて新しい本を前に置いて一献傾けた夜。ずしりと重い一冊は胸に抱きごたえがあります。
 大邱のホテルで開かれた出版記念会には花束が並びました。準備万端を整えられたヤンビョンチャン先生(編者)はじめ公州大学校・研究室の皆様、橋渡し・連絡役にあたった李正連さん(事務局長)、諸事お任せするかたちとなり、申し訳なく思っています。おかげさまで素晴らしい記念会、印象深い一夜となりました。有り難うございました。
 今年は墓詣りに行けなかった故黄宗建先生の遺影、その前に新本(写真)。大邱市は初期の韓国社会教育協会等が胎動したところ、黄先生(啓明大学教授・当時)ゆかりの地です。出会いからの30年、本づくりの8年、没後から4年、を思い起してご挨拶しました。
 会場には祝辞・乾杯など予定された方々(上掲)のほか、金信一(元副総理)、鄭址雄(元社会教育協会会長)はじめ、平生教育振興院理事長、韓国文解教育協会長等の諸先生が駆けつけてくださいました。
<関連報告−伊藤長和「烟台の風」108号〜111号>→■




(16)文解基礎教育法案(2005、解題・訳:李正連)→■
     TOAFAEC 「東アジア社会教育研究」第15号、2010年、所収


(17)第2回・日韓両学会・学術研究大会(2011年2月18〜20日、会場=首都大学東京ほか)
          *日本社会教育学会・公式ホームページより
 開催趣旨:日本社会教育学会と韓国平生教育学会が2010年秋に締結した「学術交流協定」にもとづき、両学会の学術交流をさらに発展させる取り組みとして、「学術交流研究大会」を毎年、日韓交互に開催することとなりました。
 今年度は日本で研究大会を開催し、韓国平生教育学会の会員が来日することとなっています。協定締結に先立つ2010年4月に、韓国の江陵市で開催された日韓学術交流研究会に、日本から15名近く参加し、大変意義深い交流が実現できたことから、江陵で開かれた研究大会を第1回目と位置づけ、今回の研究大会を第2回ととして開催することとしました。多数のご参加をお待ちしています。
日時:2011年2月18日(金)午前9時〜2月20日(日)午前
    *18日は主に韓国からの参加者を対象にした特別プログラム。
会場:19日(土):首都大学東京・南大沢キャンパス 国際交流会館
    20日(日):桜美林大学・多摩アカデミーヒルズ3階「高尾」
プログラム(詳細:日本社会教育学会ホームページ) 通訳:韓国語・日本語の通訳があります。
参加申し込み:2月15日(火)までに、学会HP「参加申込書」をダウンロードし、必要事項を記入のうえ、申し込み下さい。参加費:2,000円
★日本社会教育学会・韓国平生教育学会の交流について(小林ぶんじん、南の風2593号・2月21日)
 一昨年10月、韓国・平生学習フェスティバル(第8回)に参加した折、合わせて開かれていた平生教育学会の夜の懇親会に(厚かましく)同席させていただいたことがあります。その席上、韓国側の学会長(当時・金南宣氏 大邱大学教授)より日本側学会長に向けて、日韓両学会交流具体化への積極的な提案がありました。毎年の社会教育研究全国集会への多数の参加をはじめ、ここ数年の韓国研究者・実践家(若い世代を含めて)の活発な交流活動にはこれまでにない熱気が感じられます。その背景には、韓国平生学習そのものの躍動があるのでしょう。
 昨年4月には、第一回の両学会交流セミナーが韓国江原道・江陵市で開催されました(風2414号等に記録)。その第二回「学術交流研究大会」が、東京で2月18〜20日(風2587号に案内)、首都大学東京などを会場に開かれました。韓国から学会主要メンバーを含めて30名近くのご参加。これだけの規模の学会間交流は歴史的なことと言うべきでしょう。
 19日夜に懇親会。ながい挨拶が続いたあと、乾杯の音頭をとるように求められました。すこしスピーチもと思いましたが、コップにビールが注がれ、会場はすでに飲む雰囲気。ひとことだけ、次のような趣旨の挨拶を致しました。「韓国から参加の方々と再会したが、この半年の間に公式に4回も出会った方が少なくとも5人。8月の全国集会(東京)、10月の出版記念会(大邱)、11月の三国シンポ(上海)、そして今夜の東京で。いまや海を越えて一つの学会の雰囲気です。お互いの友情に乾杯!」と。
 5人の方とは、金南宣(キムナムソン、大邱大学校)、朴仁鐘(パクインゾン、平生教育振興院)、梁炳賛(ヤンビョンチャン、公州大学校)、金宝藍(キムボラン、同・大学院)、李揆仙(イギュソン、平生教育実践協議会)の皆さん。漏れがあるかも?
 懇親会の後、相模原市橋本に出て、駅前の寿司屋でヤン先生や李正連さんたちとの交歓が続きました。終電車でようやく東京へ。


(18)韓国生涯学習研究フォーラム(2007〜2012〜)の動き→■
*20130802


(19)2012年11月・東アジア研究交流委員会有志による済州島ツアー記録→■
  *南の風2986号(2012年11月20日)友情が結ぶ済州島ツアー
   2990号(11月24日)
済州四・三事件  2991号(11月25日)済州の旅の余韻
   2992号(11月27日)
済州八策      2993号(11月29日)朝酒の楽しみ、ほか




(20) 肥後耕生『黄宗建と韓国社会教育の歴史』(韓国:学而時習、2013)出版
     −快挙とはこのこと! 南の風3082号(小林ぶ、2013年5月8日)
 思いがけない朗報が李正連さん(東京大学)から舞い込みました(上掲)。「肥後耕生さんのご著書…皆さんに早くご紹介したい」と李さん。当方も同じ気持になって、本欄を急ぎ書き始めました。
 故黄宗建先生の研究を通して韓国の社会教育・平生教育の展開過程を明らかにしている本とのこと。おそらくドクター論文が基礎になっていることでしょう。肥後さん、待望の出版、まことにおめでとうございます。快挙とはまさにこのこと!
 黄先生が晩年、「私のことを日本の若者が研究テーマに取り上げてくれる、こんなに嬉しいことはない」と話されたときの、あの笑顔をいま思い出しています。追悼サイトの冒頭に掲げている写真(烟台、2003)のような笑顔。→■
 私と黄先生との出会いは1980年(東京、扶余、大邱)。そして1990年代以降は、大阪、ソウル、水原、鹿児島、沖縄、光州、烟台など、いろんなところでお会いしてきました。最後となった共編の本づくり(『韓国の社会教育・生涯学習』エイデル研究所、2006年)。刊行の直前に急逝されたのでした。公州大学・ヤンビョンチャンさんの車でお墓参りに行った思い出(2008〜09年)も切ない。今回の出版は、黄先生も(あの松風のなかで)きっとお喜びと思います。瀬川理恵さんから送ってきた肥後さんの喜びの写真を掲げます。
左・肥後耕生さん、右・瀬川理恵さん(公州、20130523)


■肥後耕生
(韓国 公州大学校 韓国農村教育研究センター(KoREC) −Wed, 8 May 2013 16:43−
 だいぶ過ごしやすくなってきました。 さて、本日配信の「南の風」(3082号)にて、李正連さんよりご紹介していただいたとおり、著書『黄宗建と韓国社会教育の歴史』をこの度出版いたしました。早い段階でお知らせできず、申しわけございませんでした。
 2009年6月に出版社・学而時習より出版のお話をいただき、その年の冬に出版を予定しておりましたが時間ばかり過ぎ、約4年の月日を経てようやく出版となりました。出版社・学而時習の企画であります平生教育歴史研究シリーズの一作として出版を計画したもので、そのシリーズには、李正連さんも『韓国社会教育の起源と展開』(2010年9月)を出版されております。
 『黄宗建と韓国社会教育の歴史』は、博士論文『黄宗建の社会教育理論と実践研究』(韓国・中央大学校)を再構成したものです。本文は7部18章で構成しており、付録として「黄宗建の生涯」、「黄宗建の業績」、解放後の韓国社会、社会教育・平生教育の出来事と黄宗建の生涯及び業績を年ごとに整理した「解放後黄宗建年譜」などを加えております。解放後の韓国社会教育・平生教育の展開過程を黄宗建という一人の人物の生涯を通じて浮き彫りにさせようと試みたものであり、黄宗建の学問意識の変化や生活の変化などの転換点に着目しながら彼の生涯を修学期、研究期、海外実践期、そして展望期という4つの時期に区分し、彼の学問形成過程と実践を、社会的背景や社会教育・平生教育の実態とともに探っております。
 私の黄宗建先生との出会いは、1997年12月(当時、学部1年)に鹿児島大学と韓国・全北大学校(全州市)との交流が行われた際、ソウルにてお会いしたのが初めてでありました。そのときの黄先生の笑顔、一緒に「ふるさと」などを歌ったことなど思い出します。翌年には、鹿児島大学で開催された「東アジア社会教育シンポジウム」にて黄宗建先生と再会し、この時に私は文人先生との出会いもありました。与論、沖縄への旅も同行させていただきました。その後、小林平造先生のご指導の下、全北大学校への交換留学、「平生教育法」の翻訳や各年の『平生教育白書』の一部を翻訳し『東アジア社会教育研究』に掲載する取り組みを通じ、また『東アジア社会教育研究』を読み韓国社会教育に関心を持ち、こうしたことが契機となり黄宗建研究を始め、今回出版にまで至りました。まだ本が手元に届いておらず、どのように出来上がってくるのか楽しみです。これを機に、さらなる研究を続けたいと思います。(南の風3083号・所収)


(21) 社会教育と平生学習との交流、その課題
   −日韓交流の水路が拓かれてきた20年を振り返りつつ− 2013年8月3日
  (第53回社会教育研究全国集会(課題別部会・日韓交流20周年記念・日韓セミナー)
→■



(22)『日本の社会教育・生涯学習〜新しい時代に向けて〜』
   (小林文人、伊藤長和、李正連 共編、大学教育出版)刊行!
                   
南の風3169号(2013年10月3日)
 先週の日本社会教育学会・国際シンポ・歓迎レセプション(28日)の席上、1冊の本を中心に、まわりの7〜8人で撮った楽しい写真(下掲)があります。上野景三が本を持ち、山本健慈さんや藤田美佳さんや上田孝典さんなど。中央に韓国イ・ギュソンさんも。
 この日、出版社(大学教育出版)からようやく届いた出来たてホヤホヤの1冊『日本の社会教育・生涯学習〜新しい時代に向けて〜』(小林文人、伊藤長和、李正連 共編、9月24日刊)。予想以上の発行遅れ、まさに難産の子、必ずやたくましく育つことでしょう。
 思い起こせば、10年前に始まった「韓国」本の編集(2006年にエイデル研究所より刊行)、その後4年かけて実現した「日本」本の韓国への出版(2010年、ソウル学志社より刊行、ハングル版)。はじめて日本社会教育の全体像を紹介した「本格的な研究書・解説書」として好評、韓国関係者に良く読まれている本です。
 「日本社会教育・生涯学習の歴史、制度、政策、実践、運動のほぼ全領域を網羅(全22章)、各領域を代表する専門研究者によって執筆」(まえがき)されたもの。元・前学会長を含む(またとない)執筆陣、これらはもともと日本語で執筆されたものでした。頁数の関係で字数を縮小、新たにリライトして上記・新本が出来上がりました。韓国出版の同名書が底本となって、日韓研究交流10年の流れから新しい本が誕生したのです。
 しかし,間に2011・3・11をはさんだこともあり、縮小・リライトに難渋、完成まで予想以上の歳月を要したという経過です。まさに難産の子、皆さんのお力で育ててやって下さい。構想通り中国出版が実現するかどうか。本の構成・執筆者一覧・まえがき・あとがき、などHPにアップしています。→■ 定価と割引(著者引き、送料)など、分かり次第、お知らせします。
新刊 『日本の社会教育・生涯学習』 (大学教育出版)を祝って (東京学芸大学・懇親会場、20130928



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