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小林文人・伊藤長和・李正連 共編                      
日本の社会教育・生涯学習新しい時代に向けて
    (大学教育出版、2013年9月24日刊)

目 次

まえがき …………………………………………… 編者
序 章 日本の社会教育・生涯学習 ─その特質と課題 ─……
小林文人・伊藤長和
1.はじめに─ いま、どのような地点に立っているか─1
2.日本社会教育の歴史的特質─ 統制的教化の歴史と脱皮の歩み─  4
3.戦後社会教育の展開過程  5
4.社会教育施設の地域定着と時期区分  7
5.生涯教育・生涯学習をめぐる動向  10
6.60 年の蓄積と新しい胎動  13
7.市民主導の社会教育実践と市民運動  14
8.脱皮・再生への課題  16
第T部 社会教育・生涯学習の歴史と現在
第1章 戦前日本の社会教育
……………………………………………松田武雄
1.初期社会教育の思想と地域における社会教育・通俗教育の活動  22
2.初期社会教育論と通俗教育活動の組織化  24
3.日露戦後の地方改良運動と通俗教育・社会教育の展開  27
4.社会教育行政の確立と現代社会教育論の形成  29
5.戦時下の社会教育  33
第2章 戦後社会教育の生成と展開 ── 改革から反改革へ ──
新海英行
1.戦後改革期における啓蒙的社会教育と「社会教育の自由」  37
2.戦後復興・高度成長期における
「生活台」に立つ学習活動と「権利としての社会教育」42

3.高度経済成長の終焉と生涯教育の政策化  48
4.教育基本法の改正と社会教育・生涯学習の公共性の再構築  52
5.課題と展望  56
第3章 社会教育・生涯学習の現在 ……………………………………石井山竜平
はじめに─ リスクを察知し行動する力を地域に育むために─   58
1.公的社会教育の今日的位置  59
2.生涯学習とNPO・ボランティア  63
3.地方分権改革・自治体経営改革と社会教育行政  66
4.自治体改革下の地域生涯学習計画の展望  69
おわりに
  72
【コラム:世界の生涯学習@】75 …………木見尻哲生
第U部 社会教育・生涯学習の法制と施設・職員
第4章 社会教育法制と生涯学習振興整備法
………………………姉崎洋一
はじめに  78
1.1949 年社会教育法制定とその後の変遷の歴史的意味  80
2.生涯学習振興整備法による社会教育法「改正」への影響  83
3.改正教育基本法(2006 年)に伴う社会教育法の改正  88
4.2008 年社会教育法改正とその後の実践課題  90
第5章 社会教育・生涯学習施設と地域社会
…………………手打明敏・生島美和
1.地域社会の変貌と社会教育・生涯学習施設  95
2.公民館  100
3.図書館  104
4.博物館  107
5.生涯学習推進センター  110
【コラム:世界の生涯学習A】
113 …………大安喜一
第6章 社会教育職員と専門職問題 ………………………………長澤成次
はじめに  114
1.日本における社会教育職員数の概観  115
2.1951 年社会教育法改正と社会教育主事規定の変遷  116
3.派遣社会教育主事制度の発足  118
4.社会教育主事講習の受講資格の緩和  119
5.社会教育主事の職務内容に学校支援を加えた2008 年社会教育法改正  120
6.社会教育法制における公民館主事規定  121
7.公民館主事の専門職化をめざす自治的努力  123
8.公民館主事の専門的力量形成をめぐる課題  124
おわりに  125
第7章 大学と生涯学習にかかわる事業の展開─和歌山大学の事例から
山本健慈
はじめに  127
1.日本の大学と地域・生涯学習─ その素描─   127
2.和歌山大学における生涯学習教育研究センターの設立と運営理念  128
3.生涯学習教育研究センターの組織と人的体制の整備  129
4.「大学と生涯学習」にかかわる事業の編成の基本方針  132
5.「大学と生涯学習」にかかわる事業の実際  134
6.地域社会教育・生涯学習の展開における大学の役割  138
【コラム:世界の生涯学習B】
140 …………藤村好美
第V部 生涯学習の展開
第8章 子ども・学校・地域
…………………………………………美代子
はじめに─ 子どもの育ちと学校外・地域活動の意義─   142
1.近年のわが国の子どもの育ちの現況  143
2.今の子どもたちの状況を創り出している要因  144
3.子どもの豊かな育ちと地域活動  147
4.子どもの地域施設と団体の量的質的充足と専門的教員の配置を! 153
第9章 青年の学びと運動
…………………………………………大坂祐二
1.「青年」教育を見直す  155
2.青年の自己教育活動と青年教育実践のあゆみ  157
3.青年の自己教育活動とその支援の現状と課題  162
【コラム:世界の生涯学習C】
167 …………上田孝典
第10章 女性の学習と社会参加 …………………………………千葉悦子
はじめに  169
1.地域女性政策推進の拠点センター  170
2.「女性問題学習」の発見  171
3.実際生活を出発点とした学び  172
4.地域をつくる学びとネットワーク  174
5.ジェンダー平等学習を発展させるために  175
おわりに  177
第11章 高齢者の自己実現と学習
…………………………………辻 浩
1.高齢化の進行と高齢者の学習  180
2.高齢者のレクリエーションと地域福祉の推進  181
3.補助事業としての高齢者教室と有志による楽生学園  182
4.高齢大学・市民大学の学習スタイル  183
5.人生を意義づける自分史学習と心を活性化させる回想法  184
6.世代間交流による自己実現  185
7.社会参加の方法としてのボランティア、シルバー人材センター、NPO  186
8.社会的排除に挑戦する地域リハビリテーションと社会参加  187
9.高齢者による実態調査と高齢者運動  189
【コラム:世界の生涯学習D】
191 …………鈴木尚子
第W部 実践と運動の潮流
第12章 識字・日本語学習運動の展開と課題
………………… 森 実
はじめに  194
1.日本における識字運動の展開  195
2.被差別部落の識字運動や夜間中学校の核心  198
3.1990 年以後の動きに注目して  200
4.日本における識字・日本語学習運動の未来に向けて  206
第13章 障害をもつ人の生涯にわたる学習文化保障の課題
…… 小林 繁
はじめに  209
1.障害をもつ人への学習支援の取り組みと課題  210
2.社会教育施設・機関での対応の課題  213
3.障害をもつ子どもを支援する地域での取り組み  214
4.喫茶コーナーという挑戦  216
おわりに  219
【コラム:世界の生涯学習E】
222 …………二井紀美子
第14章 市民の学びとNPO ……………………………………… 佐藤一子
はじめに─ 市民の学習を組織する主体としてのNPO ─   223
1.NPO の法制化と活動の広がり  224
2.NPO の設立状況と活動分野  225
3.NPO の教育力とコーディネーターの役割  228
4.NPO が創造する市民的な学習活動  230
むすび─ 生涯学習社会の構築とNPO の課題─   233
第15 章 地域づくりと生涯学習
……………………………………上野景三
1.「地域づくりと生涯学習」というイシュー  236
2.「地域づくりと生涯学習」の課題と実践  238
3.地域の「目と脳と手」をつくる  247
【コラム:世界の生涯学習F】
 249  …………梁 炳賛(訳:李 正連
終章 日本の社会教育・生涯学習の展望
            
 ─ 制度的現実と理論的未来の間で ─……… 末本 誠
1.社会教育をめぐる国際的な潮流  251
2.成人教育研究の新しい展開  253
3.未来─ 世界の新しい動きと、いかに向き合うか? ─   257
社会教育・生涯学習年表
…………………………………………李 正連
あとがき ……………………………………………………………李 正連
索  引 …………………………………………………267
執筆者一覧・編著者紹介 ………………………………273


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執筆者一覧(執筆順)
小林文人(東京学芸大学・名誉教授)  まえがき・序章1. 〜 6.
伊藤長和(中国・山東工商学院・講師)  まえがき・序章7. 〜 8.
松田武雄(名古屋大学・教授)  第1章
新海英行(名古屋柳城短期大学・学長)  第2章
石井山竜平(東北大学・准教授)  第3章
木見尻哲生(愛知大学・非常勤講師)  コラム:世界の生涯学習@
姉崎洋一(北海道大学・教授)  第4章
手打明敏(筑波大学・教授)   第5章
生島美和(弘前学院大学・講師) 第5章
大安喜一(ユネスコ・ダッカ事務所)  コラム:世界の生涯学習A
長澤成次(千葉大学・教授)  第6章
山本健慈(和歌山大学・学長) 第7章
藤村好美(群馬県立女子大学・教授) コラム:世界の生涯学習B
小木美代子(日本福祉大学・名誉教授)  第8章
大坂祐二(名寄市立大学・准教授)  第9章
上田孝典(筑波大学・准教授)  コラム:世界の生涯学習C
千葉悦子(福島大学・教授)  第10章
辻 浩(日本社会事業大学・教授)  第11章
鈴木尚子(徳島大学・准教授)  コラム:世界の生涯学習D
森 実(大阪教育大学・教授)  第12章
小林 繁(明治大学・教授)  第13章
二井紀美子(愛知教育大学・准教授)  コラム:世界の生涯学習E
佐藤一子(法政大学・教授)  第14章
上野景三(佐賀大学・教授)  第15章
梁 炳賛(韓国・公州大学校・教授)  コラム:世界の生涯学習F
末本 誠(神戸大学・教授)  終章
李 正連(東京大学・准教授) まえがき、社会教育・生涯学習年表、あとがき
       翻訳−コラム:世界の生涯学習F




まえがき

 いま「日本の社会教育・生涯学習」は大きな転換点に立たされている。戦後教育改革期の新しいスタートからすでに60 年余り、社会教育の制度・施設・職員など相当の蓄積をとげてきたことは周知の通りである。しかし歳月の経過とともに、ある種の制度疲労に似た停滞があり、また最近の新自由主義路線に見られる公的セクター見直しによる諸条件整備の後退が憂慮されている。他方で国際的な生涯教育・生涯学習の潮流を背景としつつ、日本的施策として再編された「生涯学習」(1980 年代〜)と地域に立脚してきた「社会教育」との不調和による混迷もみられる。
 いま私たちはどのような地点に立っているのか。2011 年3・11 東日本大震災は、東北の地で故郷と暮らしの基盤を流出させた一方で、社会教育・公民館等が果たすべき独自の課題や役割を浮き彫りにした。3・11 後の社会に向けて、一人ひとりの生き方や地域の再生が問われ、社会教育・生涯学習が果たすべき新しい方向と実践がいま求められている。
 このような画期的な転換・再生の時にあたって、私たちは社会教育・生涯学習の全体にわたる基本理解を深め、その歴史・構造・役割を確かめつつ、実践・運動にも関わって、現代的な課題や可能性を明らかにするため、『日本の社会教育・生涯学習』を世に送り出すことになった。
 本書の刊行には、いくつかの前史がある。今日にいたる経過を簡単に振り返ってみると、次のような流れであった。
 本書が誕生するまでに、2 冊の出版活動が取り組まれてきた。1 冊は『韓国の社会教育・生涯学習─ 市民社会の創造に向けて』(黄宗建・小林文人・伊藤長和共編、エイデル研究所刊、2006 年)、2 冊目は『日本の社会教育・生涯学習─草の根の住民自治と文化創造に向けて』(小林・伊藤・梁炳賛共編、韓国・学志社刊、2010 年)である。前者は、今世紀に入って新しい展開を見せてきた韓国「平生教育」(生涯教育)の躍動を日本関係者に先駆的に紹介しようという意図から出版された。後者は、部分的にしか伝わっていない日本の社会教育を韓国関係者にその全体像を提示しようとの思いから企画が進み出版に結実したものであった。それぞれに日韓両国をつなぐ初めての「本格的な研究書・解説書」と評価されてきた。
 この過程において、頻繁に編集会議が重ねられ、そこから「韓国生涯学習研究フォーラム」(2007 年以降)が結成された。本書編者3 人だけでなく、浅野かおる(福島大学)、金侖貞(首都大学東京)、小田切督剛(川崎市教育委員会)等の皆さんが積極的に参加してきた。思いおこせば前著の編集企画が始まったのは2003 年のこと、今年でちょうど10 年の歳月を迎えたことになる。
 2冊目の『日本の社会教育・生涯学習』はハングル版として、ソウル・学志社から出版されたが、もともとはすべて日本語で執筆されたものであった。日本社会教育・生涯学習の歴史、制度、政策、実践、運動のほぼ全領域を網羅し(全22 章)、各領域を代表する専門研究者によって執筆された。韓国へ向けて日本社会教育・生涯学習の全体像を高い水準で紹介するために、日本社会教育学会の中心的メンバー(元学会長、現学会長を含む)による、またとない執筆陣が編成された。本書はこの本を底本とし、同じ書名によって新しく編まれたものである。
 本書の主な内容は、目次に明らかなように、序章(特質と課題)・終章(展望)のほか、4 部から構成されている。すなわち、戦前・戦後・現在に至る歴史的概観(第1 部)、法制・施設・職員・大学等の制度的展開(第2 部)、子ども・青年・女性・高齢者の生涯学習(第3 部)、識字・福祉・市民活動・NPO・地域づくりに関わる運動と実践(第4 部)である。
 これらは、韓国向け出版『日本の社会教育・生涯学習』(2010 年)と同じ章構成・同じ執筆者によるが、「職業・労働と社会教育」章のみは、執筆者の意向により(残念ながら)本書には掲載されなかった。また本書全体の紙数制限のため、各章はある程度縮小し、新しくリライトされたものである。
 2010 年版の出版から本書への執筆・リライトに至るまで、快くご協力いただいた25 人(本書コラムを含む)の執筆者各位に編者として心からの御礼を申しあげる。また、本書刊行にいたるまで予想以上の歳月が経過したことに対し、編者の非力をお詫びしなければならない。社会教育・生涯学習にかける私たちの思いを受けとめ、本書刊行を引き受けてくださった大学教育出版・佐藤守氏に深く感謝を申し上げたい。
  2013 年2 月10 日(春節)  編者 小林文人・伊藤長和・李 正連




あとがき
 2010 年10 月7 日、韓国大邱市において日韓の社会教育研究者及び実践家たちが大勢集まる中で盛大な出版記念会が開かれた。本書の底本となった『(日本の社会教育・生涯学習〜草の根の住民自治と文化創造に向けて〜)』(小林文人・伊藤長和・梁炳賛共編、韓国・学志社)の出版記念会である。同書の編集は、韓国に向けて日本の社会教育・生涯学習の全体像を紹介するために企画された初めての試みとして2006 年に本格的に始まった。韓国向けの本であるため、日本語で執筆されたすべての論文を韓国語に翻訳し、また韓国読者の理解を手助けするために日本の社会教育・生涯学習に関する多くの資料編を用意する必要があった。そこで、約4 年という長い歳月がかかり、2010 年10 月に完成・出版された。2010 年は「日韓併合」100 年を迎える年でもあるが、同年に社会教育・生涯学習における日韓友好の新たな歴史をつくることができ、とても感慨深い。この出版から2 年余が経つが、日本の社会教育・生涯学習に関心をもつ韓国の研究者をはじめ、学生、専門職員、実践家等から幅広く好評を得ている。
 本書は、上記の韓国語版『日本の社会教育・生涯学習』(2010 年版)を日本国内向けに新しくリライトしたものである。「まえがき」にも記したように、同書は日本社会教育・生涯学習の歴史、制度、政策、実践、運動などを幅広く取り上げており、社会教育・生涯学習を初めて学ぶ学生や現場の実践・運動家、一般市民などのための入門書として、日本国内に出版することに決めたのである。韓国出版の執筆時点からすでに約4 年が経っており、その後の新しい政策や統計データ等を更新し、必要な加筆修正を行った。韓国出版では、地域報告として川崎市、松本市、貝塚市、名護市の4 事例と、特別報告として日韓研究交流史が収録されており、また資料編として日本法制(抄)をはじめ、「枚方テーゼ」「下伊那テーゼ」「三多摩テーゼ」などを含む日本社会教育・生涯学習における主要な10 本の宣言・テーゼ及びその解題、社会教育・生涯学習年表等が掲載されていたが、本書では紙数の制限により年表以外は割愛した。
 なお、韓国語版には、長らく日本との交流を重ねて来られた韓国側関係者のコメントをコラム(7本)として設けていたが、本書ではこれらに替わって、「世界の生涯学習」に関するコラム7 本(北欧、欧州、韓国、中国、東南アジア、アメリカ、ブラジル)を収録している。ただ残念ながら、2011 年3・11 東日本大地震以後の被災住民による生活再建と地域再生への取り組み、それを支える社会教育・生涯学習の役割及びあり方などまでは盛り込むことができなかった。
 この間の海を越える本づくりは日韓交流を深めただけではなく、それぞれ自国の現状や課題を再認識する有意義な機会にもなった。これからさらに相互の輪をより広げ、社会教育・生涯学習における研究・交流の新しい地平を切り拓いていくことを期待する。
 最後に、ご多忙の中、本書に玉稿をお寄せいただいた執筆者の方々に心よりお礼申し上げるとともに、厳しい出版事情の中、快く本書の出版をお引き受けくださった大学教育出版の佐藤守氏に深く感謝申し上げる。そして、執筆者が多いため、大変な校正作業だったのにもかかわらず、いつも親切かつ丁寧に対応してくださった安田愛氏にもお礼を申し上げたい。  2013 年8月     李 正連


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小林文人・伊藤長和・梁炳賛 共編
『日本の社会教育・生涯学習−草の根の住民自治と文化創造に向けて−
 
(韓国・学志社、2010年10月刊) ハングル版
  定価:20,000万ウオン、ページ数:全544頁       
 →こちら■





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