TOAFAEC定例研究会・案内と記録(14)  TOPページ
 ー2024年1月・310回〜2025年  
 
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 2024

11月 (TOAFAEC319回)定例研究会ご案内 
  ーじんぶんヒストリー第9回 上海との交流「小林館」物語
      ……江頭晃子(アンティ多摩) November 14, 2024 6:03 AM

 今年1月に第8回を開催して以来、約1年ぶりの「じんぶんヒストリー」です。7回では、「三多摩テーゼと沖縄の集落公民館」、第8回は202311月に開催された「東アジア生涯学習研究フォーラムin名護」を受けて、沖縄の字公民館が担った集落再建や地域文化(祭り)や字史編さんから見えてくる東アジアの社会教育全体で考えたい視点を話していただきました。
 第9回は、東アジアフォーラムの前史の一つである1980年代からの中国留学生との出会い、1990年代になっての上海市閘北区業余大学との合作学院構想から「小林館」創設の試みの発展と困難、その後の展開など。文人先生から見えてくる、中国の終身教育(社区教育)の変遷も含めて語っていただきます。
 どなたもどうぞお気軽にお参加ください。
               記
テーマ:じんぶんヒストリー第9回 上海との交流「小林館」物語
お話:小林文人(TOAFAEC顧問)
日 時:1129日(金)18302030
会 場:杉並区高井戸地域区民センター第3集会室(対面)とオンライン
     (最寄り駅 井の頭線高井戸駅)
*オンライン参加希望者は、前日・28日(木)までに山口へご連絡ください。
*資料:ホームページ https://secure02.red.shared-server.net/www.bunjin-k.net/shanhai2001.htm 
*終了後、イーストビレッジで交流会 https://www.hotpepper.jp/strJ000962873/
*連絡先:山口 IZK07252@nifty.com 090-1548-9595
上海市閘北区「行健職業学院」(旧・業余大学→社区大学)図書館1階「小林館」(2013) 撮影・上田孝典

記録
・・



10月定例 (TOAFAEC318回)研究会案内・記録 
      *中国研究フオーラム(28回)と合同    小林文人(2024/10/09 21:26)
 318回)TOAFAEC定例研究会(1025日・金)案内
  ―上海とTOAFAEC交流の歩み・現在の動き:呉遵民・小林文人対談ー

 上海の呉遵民さん(華東師範大学教授)が来日される好機に、久しぶりの中国生涯学習研究
フォーラム(第28回)として、上海と私たちTOAFAEC研究会との交流史、 そして現在の中国「生
涯学習」「社区教育」の動き、等について、対談形式による企画が実現することになりました。
 TOAFAECと上海との国際交流は、1990年頃から活発に始まり、当初は閘北区「業余大学」と
の「合作学院」構想が注目されました(最終的には実現せず、「小 林国際交流閲覧室」となる)。
中国からの留学生がブリッジとなって相互の訪問交流も次第に広がっていきますが、とくに上海
との関係は年々賑やかに取り組まれてきました。
 今世紀に入ると、呉・末本・小林を編者とする「社区教育」「生涯学習」についての出版活動が
注目を集めました。TOAFAC「東アジア」年報にも上海からの寄稿が相次いで 掲載論文が増え
ます。
 中国は国家としての終身学習「法制」は未発ですが、上海独自の「生涯教育促進条例」が整備
されています(2011年〜)。合作学院構想を含め詳細はTOAFAECホームページに詳しい。
 → https://secure02.red.shared-server.net/www.bunjin-k.net/tyuugokuhyousi.htm
 呉さんからのメールによれば「…近年、中国では生涯教育に対してたくさんの政策 がつくられま
したので、話題もいっばいあります」とのこと。楽しみです。
 日本とくにTOAFAECとの関連で、できるだけ具体的な動きを「対談」形式で、分かりやすく語
っていただこうという企画です。終了後は、「イーストビレッジ」にて、呉・黄夫妻の来日歓迎
夕食会の予定。初めての方もお誘い合わせの上、奮ってご参加ください。(事務局)
  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〇上海とTOAFAEC交流の歩み・現在の動き
  対談者:呉遵民(華東師範大学教授)、小林文人(TOAFAEC顧問)
日 時:1025日(金)18302030
会 場:杉並区高井戸地域区民センター第3集会室(対面)及びオンラインの併用
     (最寄り駅 井の頭線高井戸駅)
*オンライン参加希望者は、前日・24日(木)までに山口へご連絡ください。
*終了後、イーストビレッジで歓迎夕食会 https://www.hotpepper.jp/strJ000962873/
*連絡先:山口 IZK07252@nifty.com 090-1548-9595

熱弁の呉遵民さん (高井戸地域区民センター、10/27)

記録・・・(1)王操(北京師範大学・院))October 27, 2024 9:32 AM
・参加者:呉尊民、黄欣、小林文人、江頭晃子、小田切督剛、山口真理子
          <オンライン参加>王操、齋藤真哉、李天睿(筑波大)
内容:今回ゲストは中国上海・華東師範大学の呉尊民さん(教育学部教授)と奥様の黄欣さん(同大学法学院教授)。小林先生による司会進行のもと、呉さんご自身のことから、近年の中国生涯学習等について対談形式でお話しいただきました。
 呉さんは神戸大学大学院へ留学し博士号を取得されました。一方、小林先生の研究室に中国人留学生がやってきたのは日中国交正常化後、1982年の韓民さん(北京)が最初でした。次には羅李争さん(上海)がやってきます。90年代に入ると、中国人留学生の数が増えていきます。小林先生の研究室では中国語学習会が開催されるようにもなりました。末本誠(神戸大学)、松田武雄(名古屋大学)先生たちと中国江南へ調査研究に出向かれることもありました。
 中国に関わるTOAFAEC年報や著書出版の執筆などの裏話がお二人の間で想起された後、話題は中国の「社区(コミュニティ)」概念に関する討論に移ります。この内容については、(その2)として小林先生が書かれた記録をご覧ください。小林先生は、「社区」に関する歴史的変換についての詳しい考察を、来年のTOAFAEC年報に書いてみてはどうかと呉さんへ提案されました。さらに現在の中国「終身(生涯)学習」「社区教育」「社区服務」などの動きが興味深く、さらに今後どのように展開していくのか注目していきたいと思いました。
 私(王操)は現在北京にいる身として、今回の日中間の対話が心に沁みました。歴史や国情によってそれぞれ歩み方は異なるとしても、人間としてよりよく生きたいという思いは誰でも同じです。こんな時代だからこそ、社会教育や生涯学習を通じて、良い生き方とは何かをみんなで考え続けて行く事は非常に重要なことだと感じました。
左より黄、小林、呉の対談 (高井戸地域区民センター、10/27)

記録(2)・・・小林文人
 久しぶりに呉遵民さん(上海・華東師範大学)が黄欣さん同伴で来日されるという連絡を受けて、研究会として、小林との「対談」が企画された。二人は1990年代からの永い付き合い、講演(通訳)や出版(上海教育出版社)などでいろいろと協働しあってきた仲だ。中国・上海からは多彩な留学生がやってきたことが大きい。呉さんは神戸大学だが、東京学芸大学では小林研究室で韓民・羅李争などを講師として「中国語学習会」を始めた懐旧談から話は始まった。TOADAECにとって、中国との交流は留学生がブリッジとなって多彩に紡ぎ出された歴史でもあった。とくに上海からの留学生が果たした役割は大きく、ホームページの記録のなかに、その歩みの多くが記録されている。詳しい歩みをぜひ!ご覧いただきたい。→■ https://secure02.red.shared-server.net/www.bunjin-k.net/tyuugokuhyousi.htm
 このページのなかでは、とくに次のテーマで話は進んだ。
1.華東師範大学・継続教育学院との共同研究協議……不調に終わる(1999)
2, 共同調査企画。TOAFAEC「社区教育調査」(2001年、*佐賀大学発行)2002
3, 上海・閘北区業余大学との合作学院構想(19972001年)全体の計画、実現しなかったが小林国際閲覧室(  小林館)が残った。(下掲写真)   
4.出版活動; 上海教育出版社より刊行(2冊)
 @「当代社区教育新視野」(2003)、A「現代生涯学習論」(2008
 【編集】呉遵民、末本誠、小林文人 【日本側執筆者】 黄丹青、伊藤長和、内田純一、矢久保学、上野景三、内田純一、黄丹青、江頭晃子、渡部幹雄、島袋正敏、李正連ほか
 話は(いつもの通り)呉さんの熱弁で進んだ。小林は(進行役として)調整しながら、とくに最近の中国「社区」活動の動向、その歴史的意義を問いかけた。周知のように、中国では建国以来すべての機関・組織(企業・工場・軍隊・学校・団体・街道等)に、党組織と連動するかたちの「単位」(danweiタンウェイ)がおかれてきた。文化大革命以降その「改革」が求められる過程で「社区」活動、「社区服務」が取り組まれてきた。「社区」は単なる地域活動の意味にとどまらず、文革以降の近代化、社会機構改革という歴史的な意義を担って展開されてきたことに注目する必要がある。これに応えて、呉さんの論議も熱のこもったものとなった。
 なお関連して、小林には、日中教育研究交流会議『研究年報』第14号「留学生との出会いと交流−この20年、上海への道」(2004年)という小論もある。ご批正いただければ幸い。→■
 https://secure02.red.shared-server.net/www.bunjin-k.net/tyugokureport97.htm
 
終了後「イーストビレッジ」にて、呉・黄ご夫妻ー歓迎の乾杯!10/27



月定例 (TOAFAEC317回)研究会ご案内 
  *年報第29号まもなく発行そして合評会のお知らせ(編集委員会と合同)    
   ……李正連(年報第29号編集長、東京大学)August 20, 2024 10:36 AM

 『東アジア社会教育研究』第29号も皆様にご協力いただき、9月上旬には無事発行の運びとなりました。心から御礼申し上げます。昨年1118?21日に東アジア生涯学習研究フォーラムが沖縄の名護市と宜野湾市で成功裡に行われました。29号の特集は、同フォーラムで報告された各国・地域の東アジアにおける生涯学習の新展開に加筆・修正していただいて構成しました。そして「東アジア生涯学習フォーラム in 名護」の報告や感想とともに、名護の社会教育についての論文も4本掲載しました。
 また、TOAFAEC初期に発行されていました『TOAFAECニュース』No.1〜131995.6.2〜1998.1.30)の中で、呼びかけや報告などを抜粋し、収録しました。約30年前の状況が伝わり、興味深いです。
添付した目次→■も、どうぞご覧ください。
 なお、下記のように29号の合評会(対面とオンライン)を開催いたしますので、是非ご一読いただき、忌憚のないご意見・ご感想をいただければ幸いです。
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 『東アジア社会教育研究』第29号合評会
         *年報編集委員会・定例研究会(第317回と合同)
 日 時:927日(金)18302030
     開催方法:杉並区高井戸地域区民センター第3集会室(対面)及びオンラインの併用
話題提供:内田純一(高知大学)、小田切督剛(TOAFAEC副代表)
 926日(木)までに下記URLからお申し込みください。
〈申し込みURLhttps://forms.gle/wpkF4wMxiYUyU2Mz6
・終了後イーストビレッジで交流会 https://www.hotpepper.jp/strJ000962873/
・連絡先:山口 IZK07252@nifty.com 090-1548-9595
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李編集長・zoom運営(年報合評会、240927)、,ぶ撮影


記 録
……上岡稀生子(東京大学大学院) October4,2024 5:24PM
 参加者:(五十音順、敬称略) 李正連、遠藤輝喜、小田切督剛、上岡稀生子、小林文人、
    山口京子、山口真理子 <オンライン>内田純一、呉世蓮、祁暁航、鷲尾真由美
内容
 今月の定例会では、『東アジア社会教育研究』第29号合評会を行いました。
内田さん、小田切さんが話題提供として資料をまとめてくださり、お二方の発表を受けて、参加者で議論を行いました。やはり話題の中心となったのは、“第29号全266ページのうち、106ページ(約40%)を占める名護フォーラムの報告についてでした。
 小田切さんも、これまでの東アジアフォーラムでは年報編集の振り返りと話し合いが足りないと感じていたと述べつつ、フォーラムの振り返りをこのように丁寧に行ったことを画期的と評し、参加者からも、こうして振り返りができることへの喜びが聞かれました。
 お二方からは、名護に関連する多様なテーマの論稿が集まって、深く名護の姿を描き出していることが指摘され、そこから内田さんは、フォーラム全体の意義として、“自然や生きもの、祭り・芸能と共にある暮らしの時空間”を「社会教育」の核とし、人々の生活そのものが社会教育である名護のあり方を通した「社会教育・生涯学習」の概念の拡充や、東アジアの中における多様性、差異の中での共感や共鳴の発見などを提起されました。
 小田切さんは、年報内の記述を多く引用しながら、特に参加者からの感想に着目し、その中に見える各地の参加者間での共通の認識の形成や通訳チームが育ちあう姿などにふれ、フォーラムを通した交流から生まれたものを改めて言葉にしてくださいました。
 また、TOAFAECが「社会教育」「生涯学習」の二つの概念を共に明記していること の意味についての議論が非常に印象に残りました。内田さんが提起された内容を受け、文人先生は、日本だけが社会教育法を持ち、公的に社会教育という言葉を使い続けていることに触れながら、もっと社会教育と生涯学習との関係を悩まなければならないと語られました。社会教育という言葉の訳が「adult and community educationであるように、また、生活そのものが社会教育である名護型社会教育に学んだように、「地域」と不可分の関係にある社会教育ということも含めて、その二つの概念のあり方を悩みながら取り組んでいく必要があるということです。
 終了後は、いつも通りイーストビレッジにて交流会を行いました。引き続き名護の様々なお話に加え、文人先生の学芸大学時代の教え子であり、久々の再会となった山口京子さんの参加もうけ、思い出話に花の咲く楽しい時間となりました。
 僭越ながら私・上岡も拙いながら今回初めて論文を掲載していただき(山口真理子さんも初論文投稿仲間だそうです!)、コメントもいただいて感謝の限りです。まだまだTOAFAEC歴は浅いですが、東アジア(他の地域も)の様々な様相を、参加される方それぞれの立場から共に学び、意見を交わしあえることの面白さと貴重さを、年報や研究会を通して感じ、これからもたくさん学んでいきたいと思いました。
左・山口京子さん(学大「麦笛」OG、杉並区社会教育指導員)と小林(イーストビレッジ) 
 *李さんriスマホ、ぶカメラの調子悪く集合写真撮れず(ぶ)
悪く

7月定例 (TOAFAEC316回)研究会ご案内 
   ー7月26日(金)18:30〜(予定):筑波大学マレーシア校へ 〜上田孝典さん壮行会〜
              ……江頭晃子(アンティ多摩) July 16, 2024 6:13 AM
 今月の定例会は、8月からマレーシアの首都クアラルンプールへ赴任される上田孝典さんんの壮行会として開催します。
 筑波大学は20249月に筑波大学マレーシア校(学際サイエンス・デザイン専門学群・1学年40人)を、マレーシアの名門マラヤ大学内で開講します。海外で初めて日本の学位を授与する大学で、専任教員として筑波大学から14人が赴任されるとのことです。
 これからの大学教育はどのようになっていくのか。筑波大学内の経過や、マレーシアで、どんな教育を展開される予定なのかを伺いながら、上田さんの壮行会を開催します。
 どなたもどうぞ自由にご参加ください。なお、今回はオンライン設定はありません。ご了承ください。
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日時:2024726日(金)18:3020:002000〜壮行会)
・会場:高井戸地域区民センター 3階 第3集会室 Tel:03-3331-7841
 (京王井の頭線・高井戸駅から徒歩3分(改札出て右、環八を渡ってすぐ)
・内容:筑波大学マレーシア校へ 〜上田孝典さん壮行会〜
・お話:上田孝典さん(筑波大学教員)  ・終了後イーストビレッジで交流会(予定)
・連絡先:山口 IZK07252@nifty.com 090-1548-9595
上田孝典さん(2309)

記録 ……山口真理子(TOAFAEC事務局)2024.7.31
・参加者:小林文人、江頭晃子、瀬川理恵、山口真理子
・筑波大学マレーシア校について
 筑波大学は20249月にマレーシアの名門マラヤ大学内にマレーシア校を開講します。開校に当たって学際サイエンス・デザイン専門学群を新しく設置、専任教員14人で1学年の定員は40人、日本とマレーシアの両国の学位が取れるとのこと、日本の大学では海外で日本の学位を授与する初めての大学となるそうです。
 学際サイエンス・デザイン専門学群とは、「データサイエンスを基軸とし、自然科学、人文社会科学の考え方、技術を広く環境・社会問題等に適用し、デザイン思考を踏まえつつ創造的に地球規模問題解決に貢献する人材を育成する」を目的とするとのこと。上田さんは人文社会科学の教育学を担当するそうです。応募してきた学生はまだ15人で、マレー系の人と日本人が半数ずつ。9〜1が前期、2〜7月が後期、授業は英語で行われます。
 マレーシアは、高度人材養成のハブ化を目指していて、2018年にマハティール首相(当時)から安倍首相(当時)に対して、日本の大学の分校をマレーシアに設置することについて要請があり、それを受けたのが筑波大学だということです。日本の大学を誘致し、これをきっかけに有力私立大学が続くことを期待しているのではと。
 この日は、マレーシアについての基本的なこともいろいろお聞きしました。人口は3350万人でマレー系が約70%、中華系約23%、インド系約7%。公用語はマレー語、中国語、タミール語、それと英語で、「国語」といわれるのはマレー語です。立憲君主制ですが国王は9州のスルタンの互選とのこと。在留邦人も約2万人いて、日本人学校、日本人街があり、日本人コミュニティもできているそうです。
 ここからは、上田さん個人のこともからんだお話になります。任期は4年ですが、上田さんは筑波大学での社会教育主事講習等もあり、2年目からは筑波とマレーシアの半年ごとの滞在にするとのこと。4年間はご家族で移住されるそうですが、お嬢さんの学校をどうするか。外国人は現地の学校には入れず、日本人学校かインターナショナルスクールに入るしかない。インターナショナルスクールには英国式とか米国式等様々にありレベルや就学年、費用も様々ですが、お互い尊重しているそうです。マレーシアの学校では教科書なども学校によって自由らしく、日本との大きな違いに驚かされます。イスラム教徒が多いことから、イスラム教に則った時間割になっているとか。コミュニティセンターのような施設の存在について質問がありましたが、今のところは不明、いずれ調べていただきましょう、となりました。お話を伺うと日本とマレーシアとを行き来されることも多そうですが、とにかくお身体に気をつけて無事に役目を果たされ、ご自分の研究にもプラスとなる4年間となりますよう、お祈りいたします。
 今回は残念ながらオンライン設定はできず、会場での参加者も少なかったのですが、その分いろいろ感想や質問などを述べながらの活発な会となりました。ただ山口の手配の失敗から、交流会がいつものイーストビレッジではできず、時間の制約のある上田さんや瀬川さん、遅れて来られた遠藤輝喜さんには申し訳ないことをいたしました。
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 以下に、参加できなかった方のメッセージをご紹介いたします。
@祁 暁航さん(北海道大学博士課程)   July 18, 2024 2:45 PM
 今月の定例会は、対面で参加することができなくて大変残念に思います。上田先生にはずいぶんお世話になっており、いつも、心から感謝しています。この度は、壮行会に直接に参加できませんが、ぜひとも上田先生にはマレーシアにもご活躍をお祈りしますと、気持ちを伝えていただきたいです。真理子さんも、他の先生も、いつも温かくしてくださることに感謝の至りです。よろしくお伝えくださいますよう、お願いいたします。
A 石川敬史さん(十文字学園女子大学) July 25, 2024 9:12 PM
 大学の会議・打ち合わせが入りまして,どうしても行くことができなくなりました・・・。ちょうど学期末で,いろいろと学務が入ってしまいました。とにかくとにかく残念なのですが・・・,上田先生にはくれぐれもよろしくお伝えいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

6月定例(TOAFAEC315回)研究会・再案内  

    ー英・ケンブリッジの社会教育 〜言語学研究者から見えたこと 
             ・・・・江頭晃子(アンティ多摩) June 27, 2024
 「東アジア」を会名に持つ私たちの研究会では初めてかもしれません、東アジアから離れて、ヨーロッパはイギリスの、ロンドンのお話です。ロンドンから大分へ、そして大分から東京に来ていただきます。
 明日の定例会は、ロンドン大学(UCL)客員研究員として2023年度の1年間ケンブリッジに住まわれた包聯群さんにお話を伺います。ロンドンから電車で50分ほど、ケンブリッジ大学のある学園都市で人口は14万人、図書館は10館あります。図書館でも読書会やクラフトやボードゲームを自由にできたり、地域の中で「リラックスする場」としても意図的に、さまざまな人が集いやすいような働きかけをしています(包「地域社会における図書館の役割 ―ケンブリッジ中央図書館」『東アジア社会教育研究』28号)。
 今回は図書館以外の地域での講座や交流、学園都市における社会教育についてお話を伺います。また、包さんにとっては、ケンブリッジの居住は3度目(2010年、2014年)となりますが、今回の滞在で英語と中国語のバイリンガル看板が増え、香港等中国からの長期居住者が増えたことを実感しているそうです。街並みの変化を含めてイギリスの今の雰囲気も伺えたらと思います。 どなたもどうぞお気軽にご参加ください。---------------------------------------------------
・日時:2024628日(金)19:0021:00Zoom併用)
 ※Zoom参加ご希望の方は、前日(27日)夜までに、山口にご連絡ください。
・会場:高井戸地域区民センター 3階 第3集会室 Tel:03-3331-7841
   (京王井の頭線・高井戸駅から徒歩3分(改札出て右、環八を渡ってすぐ) 
・テーマ:ケンブリッジの社会教育 〜言語学研究者から見えたこと
・お話:包聯群さん(大分大学教員)
・終了後イーストビレッジで交流会
・連絡先:山口 IZK07252@nifty.com 090-1548-9595
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6月定例 (TOAFAEC315回)研究会案内 
    ー英・ケンブリッジの社会教育 〜言語学研究者から見えたこと 
  ・・・・江頭晃子(アンティ多摩) June 12, 2024 8:29 PM (以下略)
右より報告者:包聯群さん(大分大学)、山口真理子さん(事務局長)、左に小林

記録 (山口真理子・事務局長、2024/07/03)
テーマ:ケンブリッジの成人(社会)教育〜言語学研究者から見えたこと 
お話:包聯群さん(大分大学教員)
日時:2024628日(金)19:0021:00Zoom併用)
参加者:(五十音順、敬称略)李正連、江頭晃子、上岡稀生子、金亨善、小林文人、
   堀尾正靭、堀尾郁子、山口真理子(以上9人) オンライン)石川敬史、齋藤真哉、田井康仁
内容: 包さんは、「Adult learn and train 成人学習とトレーニング」という事業について、その内容を、たくさんの写真とともに、詳しく紹介されました。
 話の順序では中頃になるのですが、日本でいう「社会教育」は、イギリスではどのような教育が該当するのか、
「社会教育」という名称にあたるものがあるかどうかについて、小林先生により歴史的な観点から、説明がありました。英語で言うならばAdulteducation(成人教育)」になるとのことでした。
 大学もまた市民・労働者に解放されてきた歴史があり、、その役割は教育、研究そして市民への拡張がはかられてきた。近代資本主義の形成と共に結成されるようになった労働者の団体(労働組合)に対して教育を促進するWEA(労働者教育協会)が創設され、WEA大学による成人教育が実践されるようになっていった。そこに地方教育当局による公的補助が整備されるようになって、労働団体と大学と地方教育当局と三者によって、イギリスの成人教育は行われてきた歴史があったということです。
 さて、本題の包さんのお話に戻りますと、包さんは2023年4月から2024年3月までケンブリッジに滞在されました。ケンブリッジは、学生が約2万人住んでいる大学都市です。見せていただいた写真には、由緒ある建物が町の風景とともに写されていました。ニュートンのリンゴの木で有名なTrinity Collegeの写真もありました。
 成人教育については、「成人学習(Adult learning)とトレーニング」という事業があって、ケンブリッジ全域で幅広い成人向けの学習機会をサポートしています。
●講義主催:United Learning Cambridge Cluster(ユナイテッドラーニングケンブリッジクラスター)という、イングランドで登録している慈善団体(非課税慈善団体)で構成されています。.(HPhttps://adultlearning.education/
●活動資金:一部のコースは、ケンブリッジシャー・ピーターバラ連合当局 (CPCA)または教育技能資金機関 (ESFA) によって割り当てられた成人教育予算から資金提供を受けており、一部は 2014-20 年度欧州社会基金 (ESF) プログラムによって資金提供されています。この資金は、ケンブリッジシャー市議会のケンブリッジシャー技能によって管理されています。
●受講対象:19歳以上のすべての成人です。「Cambridgeshire Skills」は幅広い成人向けの学習機会をサポートし、資格レベルが最も低い、またはまったく資格を持たない成人を支援します。
●受講料金:通常料金と割引料金の二種類の制度があります。通常、低賃金、仕事が不安定か、または失業状態である人々、外国人の場合、3年以上ケンブリッジに住んでいることが条件で、割引料金が適応されます。
●学習や活動の会場:ケンブリッジ市にある、コミュニティカレッジなど何か所かの施設が使用されています。日本
でいう公民館とか地域センターとかにも類似しています。また、Adult Learn and Train (成人学習とトレイニング)は、2つの中等学校 (Coleridge Community College Parkside Community College)The Galfrid Primary School

および地域社会で、成人向けのコース、トレーニング プログラム、レジャー アクティビティなどのプログラムを運営しています。
●実施されている内容:プログラムはとても多彩で、自由に選べるそうで、当日の包さんが写真を付けて例に挙げていたのは、語学、料理、洋裁、装飾画、東アジアの絵画、ギター、ダンス、ステンドグラス、ジュエリー(指輪の作り方)、メイクアップ、人生の物語を書く(自分史のことか)等々。犯罪学入門というのもありましたが、これは「はてな?」ですね。
●まとめ:1か所で集中的に管理/料金は全額と割引/時間は自由に選べる(昼、夜間、土日)/種類の多さ/生活の多くの分野が含まれる/女性重視のものも多い/語学の種類も多い/英語は初・中・高級・ビジネス/多くの国の料理等がある。
 地域社会の多言語景観(看板文字風景)やロンドンの中華街の看板などの、10年前からの変化について調べてきたそうです。ここでもたくさんの写真を見せていただきました。漢字とローマ字表記のヨミにずれがあり、標準語のヨミと違っていたり、方言のヨミと思われるものがあったりします。アジアのいろんな国から来ている人が増えているようですが、特に香港からの移住者が増えていることを感じたそうです。成人学習のクラスにも多数いたそうです。 定例研究会後の、いつものイーストビレッジでの懇親会には、王操さんが参加されました。わざわざ大分から定例研究会のために上京してくださった包さんに感謝して、みんなでビールの乾杯を重ねました。
右に堀尾夫妻、上岡稀生子、李正連、金亭善の皆さん、撮影:江頭晃子さん


5月定例 (TOAFAEC314回)研究会ご案内 
     ーTOAFAEC草創の頃〜30年目を前に
    ー 5月定例(第314回)研究会案内  江頭晃子(アンティ多摩、5/12, 7:55 AM
 小林文人「東京・沖縄・東アジア・社会教育研究会」(TOAFAEC)の提唱が公開されたのは、通信『東京・沖縄・東アジア「社会教育のひろば」(TOAFAEC『ニュース第1号)』(199562日)です。ここから現在に続くTOAFAECの歴史が始まります。この6月で30年目の年に入ります。
 当時の文人先生は学芸大学を退職して和光大学に移ったばかりの60代、そして初代事務局長で文人先生と二人三脚で歩み始めた内田純一さんは東京都立教育研究所に勤める20代最後の年でした。 メール通信「南の風」が創刊される(1998年2月)前までの通信方法は、紙版の通信『TOAFAECニュース』と定例会の案内ハガキ・ファックス、そして固定電話でした。 当時の会創設への思い、その前史となった学芸大学の沖縄社会教育研究会やアジア・フォーラムで得た知見、年報創刊の際の苦労などと、その後高知に赴任して地方だからこそ見えてくることなども含めてお話いただきます。どうぞどなたもお気軽にご参加ください。 -------------------------------------------------------------------
・日時:2024531日(金)18:3020:00Zoom併用)
 ※Zoom参加ご希望の方は、前日(30日)夜までに、山口にご連絡ください。
・会場:杉並区高井戸地域区民センター 3階  第3集会室
  (京王井の頭線・高井戸駅から徒歩3分(改札出て右、環八を渡ってすぐ)    
・テーマ:TOAFAEC草創の頃
・お話:内田純一さん(高知大学教員)
・終了後(20:00〜)総会、その後イーストビレッジで交流会
    ・連絡先:山口 IZK07252@nifty.com 090-1548-9595
左端:報告者・内田純一、(画面手前に山口、遠藤、上岡、小林など) 撮影;小林 ・・・このあと総会→■

2024総会:研究会に引き続きーzoom参加者も

記録
(上岡稀生子・東大院)
テーマ:TOAFAEC草創の頃  お話: 内田純一さん(高知大学教員)
参加者(五十音順、敬称略) 李正連、上野景三、江頭晃子、遠藤輝喜、王操、小田切督剛、
 上岡稀生子、小林文人、齋藤真哉、山口真理子 
 <オンライン>石川敬史、祁暁航、ホサイン・タンジーナ、森田はるみ
内容
 5月定例会では、高知大学の内田純一さんから、TOAFAEC草創の頃と題して、TOAFAECの提唱に至るまでの過程から、初期の活動、年報創刊に至る経緯を中心に、研究会お知らせハガキや年報第1号、TOAFAECニュース、小林先生の書き込み付きの研究会に関わる資料など、当時の貴重な資料を交えつつお話しいただきました。
 創設の前段として、1994年後半から1995年初頭にかけて、大都市社会教育研究集会や、日韓文化交流基金による韓国社会教育訪問団、アジア生涯学習国際セミナーなど、国を超えた東アジアのつながりがあったことに触れられながら、1995428日に研究会の発足の打ち合せを経て、199562日に第1回研究会および「社会教育のひろば」(TOAFAECニュース第1号)の発行を迎えていきました。資料には、当時内田さんが作成された発足打ち合せのレジュメもあり、繋がりのあった研究者の方々を起点とした東アジアの各国・各都市や、戦後沖縄社会教育研究会や学芸大・和光大グループ、大都市社会教育研究会等、それまでの研究蓄積を結びつけ、TOAFAEC研究会を通して、研究と交流を深めようとする展望が示されていました。小林先生は、時を同じくしての学芸大学での最終講義の中で、それまで積み上げてきた自身の研究が全く断ち切られてしまうと感じたことを語られながら、何くそ、という思いと、講義に参加していたこれから共に研究会を積み上げていこうとするメンバーたちへの希望があったと、当時の思いを振り返りました。内田さんは、第1回研究会からの経緯について、研究会の案内ハガキを出し、研究会と同時にニュース発行を行うという流れを初期に凝縮してしっかりと続けたことが、年報創刊にもつながっており、その背景には学芸大学の社会教育研究室の院生時代、『けやきつうしん』を発行し続けていたことで鍛えられたものがあったと語られました。年報創刊作業は、毎月の研究会と並行して、これまでのネットワークを募りつつ進められ、4月発行が9月発行に伸びるなどの過程を経つつ創刊、当時の方針は今もほぼ変わらない形で残っています。その詳しい経緯や、当時の研究会の日付を沖縄や東アジアにまつわる重要な日にすることへのこだわり、お知らせハガキの文章への工夫など、ここに書ききれない程の色々なお話を伺うことができました。
 参加者の方の中には、草創の頃から関わっていた方も多く、内田さんの発表後には、それぞれの95-96年の頃の状況や、TOAFAECへの関わりの経緯を振り返ってお話があり、思い出話が溢れるあたたかい時間となりました。私自身は研究会にまだ参加し始めたばかりですが、30年目に至るまで、弛まず紡がれてきた歴史とそこに込められた思いに強く感動し、またこれから新たな思いで加わっていけたらと感じました。
 終了後は総会の後、いつも通りイーストビレッジにて交流会を行い、TOAFAECのこれからについての話も盛り上がりました。貴重な資料とお話を、本当にありがとうございました。

4月定例(TOAFAEC313回)研究会ご案内 
  ー移動図書館史研究を通して現代における図書館の課題を視る 
       ……江頭晃子(アンティ多摩) April 10, 2024 12:16 AM
 2024年度最初の定例研究会では、筑波大学で博士号をとられた石川敬史さんから、ご報告いただきます。和光大学の学部生時代から一貫して移動図書館研究に取り組んでこられた石川さんの博士論文は「戦後初期における移動図書館の成立と展開に関する研究 : 図書を媒介に地域とつながる図書館の理念に着目して」。今回、博士論文を中心に戦後移動図書館史研究の意義を報告していただきますが、ご本人からは過去の歴史としてだけではなく、「研究を通して現代における図書館の課題を考えたい。とりわけ近年の図書館活動を概観すると,市民と図書館の距離が遠くなり,かつ図書館現場と図書館行政の距離も遠くなっていると感じている。本を媒介に文化の種を地域にまいた戦後初期の移動図書館から,図書館が『移動』することを考えたい」と熱い言葉をいただきました。
 地域のつながりや知の拠点となり、それぞれの自治体のありようも反映されていた図書館行政で、資本を優先しての民営化が加速度的に進んでいます。今後どう地域自治の核として在り続けられるのか、移動図書館の実践に学びながら一緒に考えます。どうぞどなたもお気軽にご参加ください。
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・日時:2024426日(金)19:0021:00Zoom併用)
  ※Zoom参加ご希望の方は、前日(25日)夜までに、山口にご連絡ください。
・会場:高井戸地域区民センター 3階 第4集会室
  (京王井の頭線・高井戸駅から徒歩3分(改札出て右、環八を渡ってすぐ)
・テーマ:移動図書館史研究を通して現代における図書館の課題を視る
・お話:石川敬史さん(十文字学園大学教員)
・終了後(21:00〜)イーストビレッジでお祝い会
・連絡先:山口 IZK07252@nifty.com 090-1548-9595
研究会・江頭晃子さん写す  *終了後・イーストビレッジへ→■

報告者・石川敬史さん


記録
……上岡稀生子(東京大学大学院修士課程) April 29, 2024 9:17 AM
4月定例(TOAFAEC313回)研究会ご報告
・テーマ;移動図書館史研究を通して現代における図書館の課題を見る
・お話:石川敬史さん(十文字学園大学教員)
・参加者:(五十音順、敬称略)石川敬史、李正連、江頭晃子、遠藤輝喜、上岡稀生子、栗山究、
 小林文人、津久井純、白茹映雪(はく じょえいせつ)、山口真理子、オンライン)金亨善、齋藤真哉
・内容今月の定例会では、筑波大学で博士号をとられた十文字学園大学の石川敬史さんから、博士論文を中心に、戦後移動図書館史研究の意義と現代公共図書館における課題について発表がありました。発表では、戦後日本移動図書館史研究の視座として、「図書館」の「移動」を、単なる場所の拡張ではなく、図書館の理念の拡張として捉える視点、移動図書館を、地域と関わり合い、図書を媒介として地域文化の創造の種を蒔くという図書館の理念を体現するもの、また、CIEや諸外国・中央からの受容ではない地域独自の図書館の内発的な発展の現れとする視点が全体を通して示されました。
 発表の最初には、学部生時代から蓄積されてきた研究を博士論文としてまとめるまでの経緯も率直に語られました。博士論文では、各地域の移動図書館の事例を広く扱いながら、戦後初期において、移動図書館が、県立図書館の主導性の強化として、戦前の貸出文庫や中央図書館制度、「施設」概念との連続性をもちつつ、各地域では、文学的・教育的背景等を持った図書館長の思想のもと、個々の図書館によって内発的に創出された取り組みとして、地域に文化活動を運び、自治振興の担い手を育成する役割、住民が集う場を生み出し、地域社会への参加を誘引する役割を担ってきたことが明らかにされました。今後の研究では、博士論文で扱った戦後初期を経て、1970代の都市部の市立図書館による移動図書館を対象とし、その形成過程や目的、また、図書館づくり住民運動との関連を含め、移動図書館を住民がいかに受容したのかを探り、移動図書館の戦後初期から現在にかけての連続と断絶を見ていきたいと語られました。そして、単なる館の外でサービスを行うということではなく、地域文化の創造の種を蒔くという意味での「図書館」拡張の視点から、現代の公共図書館における課題として市民と図書館との距離の拡大が指摘され、高齢者や障がい者、多文化の背景を持つ人々、中高生など地域の多様な人々にとって、図書館がどのようにあり、働きかけることができるのかについて提起がありました。
 石川さんを学部生時代から知る文人先生は、石川さんを「努力の人」と紹介され、石川さんの研究について、図書館に足場を置いて、文化と教育を結びつけていく研究だと語られました。そのほか、参加者からは地域特性の影響や利用者側の姿勢などの視点に関する質問や、行政や制度と、実際の活動のあり方についてなどの議論がなされました。
 研究会後は、イーストビレッジにて博士号取得のお祝い会も行いました。これまでの研究から今後の展望にわたって、聞き応えのある発表をありがとうございました。またお話を伺う機会を楽しみにしております!
終了後「イーストビレッジ」:(右上奥・鏡にカメラ・江頭晃子さん 20240426)


月定例(TOAFAEC312回)研究会ご案内 
      …江頭晃子(NPO・アンティ多摩、2024年2月22日21:42)
 今回は名護フォーラム(昨年11月)で、素晴らしい通訳としても活躍された沈明明さんに報告をお願いしました。筑波大学で修士課程を終えられ、定例会の後に、ご出身の中国安徽省亳州市(ハクシュウシ)に帰国されます。
 修士論文は、「公民館を拠点とした ESD の取り組みと学びに関する研究岡山市公民館を事例に」です。中国との比較研究をしつつ修士論文に取り組まれたかったとのことですが、コロナ禍もあり岡山の公民館をじっくりと研究されました。丁寧にヒアリングを行い、住民の皆さんが公民館で多様な人々と出会う中、地域への帰属感や愛着、個々の主体性が育まれ、自発的に参画し、他者を巻き込み新しい取り組みを創出する動きが拡がっていることを確認され、今後のESDの推進における公民館や職員の役割について報告されました。
 中国でも住民参画が終身学習に大きなカギと言われる中、日本での経験をどのように活かされていけるのか、4年間(神戸大学+筑波大学)の留学生活や東アジアフォーラム等で感じたことなどもお話しを伺います。どうぞどなたもご自由にご参加ください。
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・日時:2024329日(金)18:3020:30Zoom併用)
 ※Zoom参加ご希望の方は、前日(28日)夜までに、山口にご連絡ください。
・会場:高井戸地域区民センター 3階 第4集会室 Tel:03-3331-7841
     (京王井の頭線・高井戸駅から徒歩3分(改札出て右、環八を渡ってすぐ)
    ・テーマ:公民館を拠点とした学びと中国の終身学習 ―日本で見えてきたこと―
・お話:沈明明(シェン・ミンミン)さん(筑波大学大学院修士)
・終了後(20:30〜)イーストビレッジで歓送会(〜2115
・連絡先:山口 IZK07252@nifty.com 090-1548-9595
中央に報告者・沈明明さん(他にズーム参加者5人)


記録
 ……祁 暁航(北海道大学大学院)March 29, 2024 954 PM
       3月定例(TOAFAEC312回)研究会ご報告
テーマ:公民館を拠点とした学びと中国の終身学習―日本で見えてきたこと
    ・お 話:沈明明(シェン・ミンミン)さん(筑波大学大学院修士)
参加者:(五十音順、敬称略)上田孝典、江頭晃子、上岡稀生子、金 亭善、小林文人、沈 明明、山口真理子
     オンライン)石川敬史、祁 暁航、齋藤真哉、武田拡明、渡辺達雄(新)
・内 容
 今月の定例会では、筑波大学の沈明明さんが自身の修士論文の研究成果について発表しました。「公民館を拠点としたESD(持続可能な開発のための教育)の取り組みと学び」をテーマに、岡山市の公民館におけるESDの取り組み及び、それが地域教育に与える影響に焦点を当てた研究です。この研究は、公民館が学習と地域教育の重要なプラットフォームであり、特に持続可能な開発を促進する上で重要な役割を果たしていることを明らかにしました。
 同時に、明明さんは今後の課題として、公民館のESD実践が個別の課題への対応に偏り、全面的な検討が不足している点も指摘しました。文人先生は、岡山の公民館の取り組みが日本国内でユニークであることを強調し、明明さんが岡山で研究を行ったことを高く評価しました。
 第二部では、明明さんが日本の公民館実践から中国の終身学習への示唆を自分の考えで整理しました。ここで、中国の社区教育が直面する課題として、地域格差の存在、住民の参加機会の限定、住民の主体性が重視されていなくてフォーマル教育が依然として主流であることや、現在の社区教育のカリキュラムが地域の課題発見や問題解決に繋がっていない点を挙げました。これに対し、上田先生は中国の社区教育の基本構造について簡単に解釈しました。さらに、文人先生は、20世紀8090年代に中国で広く存在していた文化宮、文化館の実践に深い印象を持ち、新世紀に入って社区概念が政策として強く推進される中で、社区教育の施設と利用者数は増加したものの、活動内容や学習内容の自由度、多様性と民主性が以前の文化宮の時代と比べて劣っているではないかとの感想を残しました。
 定例会に参加した先生たちは、明明さんが中国に戻った後も研究を続け、中国の社区教育における「学習」の内実についてより深く考察し、見聞きしたことを継続して共有してほしいと期待しています。定例会の最後には、明明さんの去就に対する惜別の言葉があり、今年度のTOAFAEC大会での再会を願う希望も示されました。
 明明さん、日本留学の4年間、本当にお疲れ様でした。次回お会いできることを、みんな一同に楽しみにしています!百事?遂!事皆宜!」  →*対面参加者はこのあとイーストビレッジへ、沈さんを囲んで歓送の宴。  ▼沈さんは当夜、深夜便で中国へ帰った


帰国する沈さん(上段・左)を囲んで(イーストビレッジにて)
 上列に上田・山口、上岡
 下団に、小林、金、江頭 (マスター夫妻・見えない) イーストビレッジにて



月定例(TOAFAEC311回)研究会ご案内
    …小田切督剛(韓国生涯学習研究フォーラム、フェリス女学院大学) January 28, 2024 3:03 PM
 私の川崎市役所の先輩、伊藤長和(いとう・おさかず)さんは、TOAFAEC副代表や、韓国生涯学習研究フォーラム初代事務局長を務めました。2014216日にお亡くなりになって、ちょうど10年になります。
 →「伊藤長和さん追悼のページ」http://bunjin-k.net/itoutuitou20140216.htm
 →TOAFAEC年報「東アジア社会教育研究」第19号(2014年)「第Z部 
   追悼・伊藤長和さん」目次。http://bunjin-k.net/1-10kenkyu.htm
 この節目に、伊藤さんの人生に大きな影響を与えた3人の方々が集まり、語り合います。社会教育畑の自治体職員として、川崎市職員労働組合(市職労)や社会教育推進全国協議会(社全協)でどう活動したのか。どのように東アジアに関心を持ち、韓国・富川(プチョン)市との交流や、TOAFAECの初期活動から参加し、晩年は中国・煙台(イェンタイ)市での教育活動に注力したのか。今あらためて伊藤長和さんの「原点」と魅力、何を引き継ぐべきか、語っていただきます。
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・日時:2024223日(金・休)16:0018:00Zoom併用)
  Zoom参加ご希望の方は、前日(22日)夜までに、山口にご連絡ください。
・会場:高井戸地域区民センター 3階 第4集会室 Tel:03-3331-7841
    京王井の頭線・高井戸駅から徒歩3分(改札出て右、環八を渡ってすぐ)
テーマ:川崎から東アジアに羽ばたいた伊藤長和さんの「原点」とは
 鼎談:中野敏雄さん(川崎市職員退職者会 副会長)
     北條秀衛さん(川崎・しんゆり芸術祭 特別参与)
     小林文人さん(TOAFAEC 顧問)
・進行:小田切督剛(韓国生涯学習研究フォーラム)
・終了後(18:1021:00頃)、いつものイーストビレッジで懇親会
在りし日の伊藤長和さん中国へ赴任壮行会(古いアルバム、2009年3月25日)


報告
…小田切督剛(韓国生涯学習研究フォーラム、フェリス女学院大学)

20242月定例(TOAFAEC311回)研究会ご報告>
〇日時:2024223日(金・休)16:0018:00Zoom併用)
〇参加者:李正連、江田雅子、遠藤輝喜、岡本正子、呉世蓮、小田切督剛、祁暁航、金亨善、
   小林文人、佐治真由子、瀬川理恵、武田拡明、塚田豊、角田季美枝、中野敏雄、中村高明、
  平川景子、北條秀衛、山口真理子(敬称略・五十音順)

〇テーマ:川崎から東アジアに羽ばたいた伊藤長和さんの「原点」とは
〇内容:
 まず伊藤長和さんの映像を上映。2013年に川崎で開いた「川崎・富川(プチョン)図書館交流シンポジウム」の懇親会で、「日韓の自治体交流はたくさんありますが、市民同士がこんなに交流しているのは、川崎と富川だけです!」と、力強く乾杯の音頭をとる姿です。そして文人先生と、2人の元川崎市職員の鼎談へ。1943年生まれ・1966年川崎市入所の中野敏雄さんと、1946年生まれ・1969年入所の北條秀衛さんは、1945年生まれ・1968年入所の伊藤さんを挟み、担当業務から労働組合、趣味の麻雀まで共に活動した仲です。
 ポイントは2つ。第一に、大都市社会教育から東アジアへの流れです。まず文人先生から「伊藤さんの前から、岩淵英之(もと教育長)さん、星野修美さん、黒子さん、高須甫さんなど、川崎と社会教育学会、社会教育推進全国協議会はつながりがあった」。中野さんも「川崎市職員労働組合教育支部の書記長をしながら、職員研修のプログラム作りを担当し、外部講師として文人先生とのつながりができた」と出会いを語りました。さらに文人先生から「旧六大都市(1956年当初の政令指定都市)では、社会教育の公的な形は定着しなかった。後発の指定都市に移行した北九州、福岡、川崎などは公民館を持っていた。川崎型の社会教育を作っていく動きの中で、1973年に伊藤さんと出会った。19782016年『大都市の社会教育研究と交流の集い』(旧自治労)、とくに1987年エットーレ・ジェルピ(ユネスコ)講演は「川崎でなければできなかった」こと、ジェルピ氏『生涯学習のアイデンティティ−市民のための生涯学習』(エイデル研究所、1988年)の「あとがき」を書いている北条さんの役割を紹介しました。https://www.eidell.co.jp/books/?p=348
 仕事上の経験を共有する職員集団を大切に作り、川崎の社会教育へ大きな力になった(佐治さん)、ソウル大学の川崎地域研究に国際室主幹として協力し、同大が日本研究所を設立することにつながった(金亨善さん)、「研究者だけでなく、実務者としてTOAFAECで発言を」と励ましてくれた(瀬川さん)、広い目で東アジアの問題を学習する場を、研究者と実践者が共に作ってきたことに感謝したい(祁暁航さん)など、伊藤さんの実践をさまざまな角度から語りました。
 第二のポイントは、川崎市政の変化です。保守市政(19461971金刺市長)→革新市政(19711989伊藤三郎市長、19892001高橋市長)→保守市政(20012013阿部市長、2013〜福田市長)に分けられます。北條さんは、保守市政から革新市政への変化を「ガラリと変わった。行政職員は変わり身が早い」と苦笑い。「若い時に労働組合で培われた姿勢が、管理職になっても変わらない。特に社会教育職場でそういう姿勢が必要だった」そうです。中村さんも「1998年に生涯学習推進課へ(人事)異動して、課長の伊藤さんへ挨拶に行ったら、握手で迎えてくれた」と笑顔。私(小田切)も「2006年に高津市民館の歓送迎会に行ったら、ごみ収集の清掃員など委託先の業者さんまで一緒だった。伊藤さんは館長として『市民館で働く人は、みんな平等なんだ』という姿勢だった」と語りました。
 しかし川崎は、市民館・図書館に指定管理者制度を導入し、2024年4〜5月に募集を始める計画です。https://www.city.kawasaki.jp/880/page/0000115175.html  江田さんが「どうしてこんな風になってしまったのだろう?」と問いかけました。北條さんは「長(ちょう)さんが生きていたら、この状況をどう捉えて、どう動いていただろうか」。中野さんは「決して良い制度ではない。ほとんどは専門職員がいないし、いてもほとんど非常勤で長続きしない」。文人先生も「(指定管理者として)良い仕事をしている人もいるが、(地域でじっくりとでなく)クルクル回っている印象」と明快でした。
 終了後は、いつものイーストビレッジで乾杯。なんと休業日にも関わらず開けてくださったマスター御夫妻に、「文人先生の一番弟子です!」と笑顔があふれました。川崎の市民と元職員たちが、あちらこちらで議論の輪を作り、まさに「川崎らしい」統制不能のカオスな2次会になりました。イーストビレッジさん、本当にありがとうございました!
正面・左より小田切(司会)、伊藤さん遺影、小林、中野、北条ほか各氏(杉並・高井戸区民センター)

議論つきない懇親会(2024/2/23,イーストビレッジ)

1月定例(TOAFAEC310回)研究会 
  じんぶんヒストリー(第8回)ご案内 …江頭晃子(アンティ多摩)January 5, 2024 10:07PM
 1年半ぶりの「じんぶんヒストリー」第8回となります。この間、何度も開催をお願いしてきていて、その都度「しゃべりすぎる」と固辞されてきた小林先生ですが、11月に開催した「東アジア生涯学習研究フォーラムin名護」の振り返りも含めてお願いすることができました。
 第7回までのじんぶんヒストリーから一転して、1980年代に東アジアからの留学生との出会いを端緒に韓国・中国・台湾への訪問・研究が始まります。1995年には「東京・沖縄・東アジア社会教育研究会(TOAFAEC)」を創設、HPや『南の風』配信による情報収集・発信・記録化、月例定例会の開催、年報は28号を数えます。2010年から東アジアのフォーラムが始まり、対面での開催は名護で第6回となりました。
 文人先生は、東アジア研究を「第二の人生」とも言われます。今回のじんぶんヒストリーは、現時点の名護でのフォーラムの振り返りを含めた東アジア研究の共通の課題から、これまでの出会いと歩みについて語っていただく予定です。
・日時:126日(金)18:0020:00  
・会場:杉並区高井戸地域区民センター第4集会室(オンライン同時開催) 
・テーマ:じんぶんヒストリー第8
  「東アジア生涯学習研究フォーラムin名護の課題と意味」
・報告:小林文人先生(TOAFAEC顧問)
・申込:当日直接会場へどうぞ。(井の頭線高井戸駅すぐ)
 *事前にご連絡いただけると資料準備の関係で助かります。
 *オンラインに参加ご希望の方は、25日(木)夜までにご連絡ください。
   山口  IZK07252@nifty.com  090-1548-9595
・終了後は懇親会(自由参加・実費負担)

当日配布ぶんじんメモ
 
公民館研究の歩みと「東アジア生涯学習研究フォーラムin名護」の課題
1, じんぶんヒストリー (経過)→■
2, 三多摩テーゼ(19734)、沖縄(字公民館)研究、TOAFAEC創設(1995)以降
 ・公民館の展開過程―「地域創造型公民館」(月刊社会教育、1996/12→■
 ・集落(町内、字、自治)公民館の再評価 →■ 
  *公民館学会「公民館コミュニテイ施設ハンドブック」(2006
 ・「小地域 ・自治公民館」について研究交流(社全協・分科会8記録→■20022008
3,大都市・東京研究(1978〜)、杉並研究(1980〜)、東京・出版(2016→■
4, 「東アジア生涯学習フオーラム   in名護」で考えたこと
 (1) あらためて「集落公民館」、「地域創造型」公民館の実像を知る 
  *「三多摩テーゼ」は地域論を欠く  
  * 名護・基本構想「逆格差」論に通じる視点 *竹富公民館「竹富島憲章」
 (2) 図書館・市史編纂室・博物館の地域的役割(例:字誌編纂、民話研究など)
  *社会教育主事・職員の独自な役割(例:島袋正敏氏の指導的役割など)
 (3) 集落の祭祀・行事・芸能・伝承など地域「文化」の意義、発達論的な意義
  *名護フオーラムも沖縄独自の文化に包まれた。→エイサー、太鼓、「月桃」など
 (4) 東アジア各国・地域間の論議は未発。問題を共有する工夫が必要。
  *韓国「平生教育法」改正(202324実施)「邑・面・洞」平生学習センター」設置
    同「自発的学習会の支援」等(第21条の3,4)法改正の動き(李正連訳)など。→■
 (5) あらためて大都市・地域(町内)研究の要。格差・空白状況の問題をどう埋めていくか。
  *東京研究の課題 *松本市など信州「町内公民館」研究の意義。
  *『大都市・東京の社会教育』研究への課題。
   横浜・小地域の活動(かって磯子区・伊藤秀明氏の仕事)が記録されている。→■
 (6) 名護市社会教育行政の再生の課題。
 (7)「名護テーゼ」(素案でも)無理だろうか。

記録 ……金亨善(韓生涯究フォラム)
 20241定例TOAFAEC310回)報告
日時:2024126日(金)18:1520:50 オンライン同時配信
〇参加者:李正連、江頭晃子、遠藤輝喜、王操、金亨善、小林文人、山口理子
 オンライン参加:内田純一、祁航、沈明明、包聯群, 森田はるみ(敬五十音順
〇テーマ:じんぶんヒストリー第8回「東アジア生涯学習研究フォーラムin名護の課題と意味」
〇内容:
 今月の研究会は、約1年半ぶりの「じんぶんヒストリー」第8回となりました。ちなみに、じんぶんヒストリーで言う「じんぶん」とは、文人先生の名前を逆にしたものだと思っていましたが、沖縄では「知恵」を意味するそうです。単なる知識ではなく、リーダーシップを含め判断力を持つ知恵を意味します。今回は、これまでの第1回〜第7回の内容を踏まえ、1973年三多摩テーゼと去年の名護フォーラムを交差しながら、文人先生の第二の人生について聞きしました。
 1872年の学制により日本の学校教育が始まり、その100年後に、『日本近代教育100年史』の10冊が出版されます。その中で7,8巻が社会教育に関する内容で、当時のことを横山宏先生や文人先生ほかの皆さんが執筆されました。戦前の天皇制のもとでの「公民教育」から、戦後の寺中構想による「公民館」の創設、まだ学会も研究の蓄積もなかったけれど、公民館を社会教育の「施設」として社会教育法に位置づけた歴史は、日本の戦後社会教育のスタートでもありました。そして当時、東京にも公民館の動きがあり、とくに1970年代には北多摩、西多摩、南多摩など東京の近郊住宅地「三多摩」に公民館ができてきて、文人先生も国立に住み、「三多摩」公民館研究をしてきました。文人先生にとってはここから社会教育研究の歩みが本格的に。
 社会教育法ができてからも、実際には都市と農村の間で、また地域的に公民館の定着に大きな格差がありました。大都市の中心部では公民館の定着はほとんどなく、三多摩でも遅れて活動が始まり、その発展を求めた「三多摩テーゼ」が出るのは1973年。各地に公立公民館の歴史が始まります。他方、全国各地(農村部、自治体としては長野県など、そして沖縄)では小さな集落を基盤として、町内・字・自治公民館の活動が拡がりました。例えば、長野県松本市では、地域レベルの公立公民館があり、それに加えて400をこえる集落公民館(町内公民館)が暮らしの基本単位・集落に基づいて共同体的な活動を展開してきました。
 去年11月の東アジア・フォーラムが開かれたで伺った沖縄・名護もそうです。名護は55集落があり、それぞれが自分たちの自治と共同の生活を作っています。芸能を通して独自の文化、自治組織を持ち、「われわれのしま」だというアイデンティティーが沖縄でははっきり見えています。文人先生の「小地域・自治公民館」における長年の研究交流からは、このような集落の共同体を形成している社会教育の姿を見つけてきたのだと思います。

 2010年から、東アジア各国・地域間で「東アジア生涯学習フオーラム」が開かれ、202311月には沖縄・名護で第6回フォ−ラムが開かれました。親しい研究仲間として会えるようになり、みんなで心を開いて語り合える集会を目指してきました。東アジアフォーラムでは、各国がそれぞれ独自の歴史を歩みながら相互に共通する課題を持っていて、生涯学習の法律も似ているけれど、いかに違うかを発見する機会になりました。各国・地域から興味深い報告があり、今後さらに現状を踏まえてお互い自由に語り合い、深め合って、共通する課題をまとめる作業をしたいという先生の思いも語られました。これまでの活動を記録化することも大事であることを改めて確認しました。
 教科書の中で見た人物の名前がどんどん出てきて、聞いているだけでも興味津々となる研究会でした。特に、寺中作雄さんとの出会いに関してまた色々お聞きしたいです。
 オンライン参加者の方々も多かったですが、終了後は、いつものイーストビレッジで乾杯。いつも笑顔あふれる会でホッとします。
第310回研究会・じんぶんヒストリー8 対面参加者(江頭晃子さん写す)下段右・金亨善さん


■第310回研究会感想  ……内田 純一(高知大学) January 29, 2024 8:29 AM
 過日(1/26)の定例研究会、お世話になりました。翌日に学生たちによる実習報告会があり、残念ながら対面での参加が叶いませんでした。TOAFAECが大事にしている参加者全員からのコメント・感想の時間がなくなるほどの小林先生の迫力に敬嘆しつつ拝聴しておりました。ということで、まとまりませんが参加しての感想です。
 一つは、私自身も高知大学で「地域」と名の付く学部の創設と教育・研究に身を置く者として、小林先生からの教えをそこに重ね、あらためて学部の在りようを考えておりました。現在、国立大学で「地域」という名称を持つ学部は、知る限り「岐阜大学地域科学部」「高知大学地域協働学部」「佐賀大学芸術地域デザイン学部」「鳥取大学地域学部」「福井大学国際地域学部」「宮崎大学地域資源創成学部」ですが、その立ち位置、あらゆる概念を「地域から考え直す」自覚を促すものでした。
 二つは、地域や集落の基礎的な機能や構造が最もよく見える「名護」という地で、東アジア生涯学習フォーラムを開催したことに関してです。今回の小林先生のお話は、公民館近代化論や世代論、大都市と農村の格差を含む社会教育諸条件の定着・非定着過程など、時間の限りもあって、比較的ヤマトにおける研究との関連で地域・沖縄研究の意義が語られたように思います。小林先生は、TOAFAEC創設にあたって、ヨーロッパ・モデル(近代・合理主義)に対し、社会教育のアジア・モデル(地域・共同)の創造を掲げてこられ、その中核に沖縄研究があります。当日のご発言でも、各国・地域が、個別の問題性を持ちながらも、儒教的倫理と共同の歴史と文化性にあって、どこが異なるかを大事にしていくとおっしゃっていましたが、躍動する東アジアの生涯学習の実相がこれまでも大都市、政策、市民に偏りがちななかで、だからこそ、まず地域や集落があって暮らしが成立している沖縄、さらにその中でも、歴史的にも現代的にも実践的にも公的にも様々な問題提起をしてきている名護という地(知)をフォーラムの会場に選んだ思いや当日の論点、今後の方向性などについてもう少し伺いたかったというのが正直なところです。とはいえ、それらを考えていくのは、もちろんフォーラムに参加した私自身です。

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