TOAFAEC 定例研究会・案内・報告(記録12)
        
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95. 9月定例(第284回)研究会
              江頭晃子(2021/09/12/22:39)
 <9月(24日)定例(第284回)研究会・じんぶんヒストリー第6回・ご案内>
 今回は「じんぶんヒストリー」第6回目になります! お待たせしました。
 東京での「若き研究者」としての文人先生の話が続いています。第4回は社会教育の学会活動や運動体、地域との関わりなど、第5回は沖縄研究について、そして今回の舞台は「東京学芸大学」です。これまでの記録はホームページに記録されています。→■http://www.bunjin-k.net/jinbun2018.htm
 1967年に東京学芸大学へ(36歳)、当初は教育社会学の担当。社会教育は選択科目としてわずか2単位のみ。教員養成大学の狭さや硬さとの格闘(カリキュラム改造やゼミ単位・卒論導入など)、学閥との闘い、社会教育の単位開設と主事資格取得への取り組み、とくに博物館学開設の歩みが画期的。
 1974年に社会教育担当教員1名増、1979年に社会教育主事そして1982年には博物館学芸員資格取得が実現しました。この間、1980年に教官研究室が相部屋から一人部屋となり、加えて「社会教育研究室」(実験室)スタートが大きな前進、ゼミ・諸活動の拠点となりました。1987年に社会教育講座(大学院)開設、さらに1988年、学部の新しい教養課程に「生涯教育」3コースが開設、へと拡がっていきます。教員体制1名から、なんと5名へ(図書館学を含む)。
 一方、1980年代には学生部長、1987年に図書館長(各4年間)の管理職も歴任、学生運動との対峙もありました。大学管理棟封鎖の学生ときわどい深夜の交渉も。
 学生とのかかわりでは、新「研究室」を舞台に自主ゼミ・読書会・中国語学習会等が始まり、また「麦笛」「麦の子」など児童文化運動系のサークル顧問、沖縄研究会、留学生向けの「アジアフォーラム」。1990年代になると、東京各地に胎動してきた日本語学級・識字実践の調査に取り組み、東京では初めてとなる報告書刊行。
 研究室の冷蔵庫には、泡盛やビールがあり、学生だけでなく三多摩の職員や市民との交流も。大学を市民に開く動きが、小さな社会教育研究室を拠点に取り組まれた15年の実験とも言えましょう。(1995年退職、和光大学へ)。
 大学は市民・運動にとってどのような存在なのか。地域・自治体にとって大学はいかなる役割を果たしうるか。その拡がりのなかに学生たちはどう参加するか。当時の「社会教育研究室」物語を伺いながら、「地域・市民と大学」の関りについてご一緒に考えていきたいと思います。どなたもどうぞ、お気軽にご参加ください。
◆じんぶんヒストリー第6回、 TOAFAEC9月定例(第284回)研究会(Zoom開催)
・日時:2021年9月24日(金)20:00〜21:30(Zoom開場19:45)
・テーマ:学芸大学・社会教育研究室物語
・話し手:小林文人先生
・申込み:ringox@nifty.com (江頭)までメールでお申し込みください。前日に
 Zoomアドレスをお知らせします。※参加者のお名前は共有します。
〇終了後(21:40〜22:30)質疑応答・懇親会、それぞれお好きな飲み物等をご用意ください。


94. 7月定例(第283回)研究会
       江頭晃子(2021/07/011 22:27)
ご案内 TOAFAEC の各研究フォーラムの中で、もっとも活発に動いている韓国フォーラム。年報26号掲載の「韓国この1年」玉稿も届き、躍動する韓国の平生教育から得る知見は大きいです。今回7月の定例研究会では、その中でも「マウル教育共同体ー世宗市の動き」について継続して書いて下さっている金亨善さん(東京大学大学院)にお話しを伺います。
 韓国研究フォーラムが編集・刊行した2017年『躍動する韓国の社会教育・平生学習』の中では、マウルづくり事業と草の根民主主義について梁炳贊(ヤンビョンチャン)先生が書いておられますし、また5月の定例会で話題となった中国「社区」教育や、日本の地域づくりと教育実践の動きとの関連・異同についても興味深いところがありましょう。
(以下、金さんからのご案内です)。どなたもどうぞお気軽にご参加ください。
 近年、日本の教育政策の動向からみられる「地域学校協働」の流れとともに、韓国でも学校と家庭、地域が協力し子どもの教育を支え、地域の教育力向上を図るという政策的な動きが出ています。その中で、今回は2012年に新しく発足した世宗市(特別自治体)の事例に焦点を当て、「マウル(地域)教育共同体」事業における各アクターの参加の様子、実践の展開、行政側の努力、コロナ拡大における課題等をみなさまと共有したく存じます。
 具体的には、韓国のマウル教育共同体政策、世宗市の実践における事例の現状・特徴、行政との関わり、コロナ禍における新たな課題・対策、マウル教育共同体の成果・意義、実践に関わった人たちの声、などについてお話する予定です。
・日時:2021年7月30日(金)20:00〜21:30
     終了後(21:40〜22:30)質疑応答・懇親・交流
・テーマ:韓国の地域平生教育−世宗市のマウル教育共同体事業を中心に
・お話:金亨善さん(東京大学大学院)
・形式:Zoomによるオンライン研究会
・参加希望の方は前日まで下記にお申し込みください。
・申込先:ringox@nifty.com (TOAFAEC事務局・江頭晃子)
報告 (呉世蓮、2021/07/31 11:47)
参加者(9名):金亨善、小林文人、江頭晃子、内田純一、山口真理子、李正連、林忠賢、松尾有美、
         呉世蓮(敬称略、以下同)
 本日の研究会では、「韓国の地域平生教育―世宗市のマウル教育共同体事業を中心に」のテーマに基づき、東京大学大学院の金亨善さんから発表がありました。主に、マウル教育共同体の取り組みと世宗市の事例のことでした。まず、マウル教育共同体は、韓国の少子高齢化や学校教育の競争システムへの再考により学校開放の重要性が叫ばれるようになりました。2000年以降は、平生(生涯)学習関連政策・事業の拡大が展開され、「革新教育地区」事業が注目されるようになりました。この事業は、住民自治と教育庁の協力により、地域全体の教育支援システムの構築を目指しています。
 「革新教育地区」の目的としては、@協力的教育ガバナンスの活性化による地方自治体との協力教育システムの構築、A地域社会と協力・疎通するマウル教育共同体の基盤づくり、B地域社会と連携した教育課程の多様化による人材育成、C公教育の革新を通して地域住民の公教育に対する信頼感の向上の4つであります。
 世宗市のマウル教育共同体の事例をみると、現在コロナの影響によりオンライン活動が主になっており、例えば、ヘアメイクに興味を持っている生徒に対して大学生が教師として関わり、オンラインから発信しているそうです。コロナの対応の特徴は、行政実行計画に従い、柔軟に対応しつつ、公務員向けの専門的相談支援などが行われています。また、基礎学力支援センターとして識字学力の支援とともに、教育共同体政策協議会も行われています。取り組みの成果として保護者と家庭教育との連携、子どもと生徒たちの主体的学習への刺激にもなったとみられます。課題としては、実施回数・人数の制限、保護者の参加に関すること、学習拠点となる地域施設の閉館、参加者同士の交流機会が減ってきたこと、マウル学校のスタッフなど人材の確保が挙げられます。
 金さんの発表は以上であり、発表に関して様々な意見と質問が出されました。大まかにまとめますと、次のようです。@韓国における「マウル」の意味合いについて、政治的な意味も持っているのか?「マウル」の意味として「町、村」などの広い意味をさすのか? 曖昧なところもあるのでは? という質問がありました。韓国の政治的な取り組みの流れとともに、生まれた「セマウル運動」とは違う意味であり、平生(生涯)学習として地域単位の取り組みの中に「マウル」の言葉が使われるということです。「マウル」は小さな単位でもありますが、住民たちの集会のあり方をみると、共同課題と学校教育と絡んでいきながら「マウル」の概念を使っているそうです。また、政策として「共同体」が使われることがありますが、むしろ自主的なボランティ活動の中心として行われ、住民が主体になり、積極的に関わっているということです。
 Aマウル教師の役割については、学校の教師と同じように学校の正規カリキュラムや放課後活動などに関わること、ボランティアとして意欲的にかかわる人もたくさんいるということです。マウル教師、マウル学校の概念については、マウル教師は、学校の教育活動を手伝うことができ、ボランティア活動です。マウル学校は一年間の学校を開きたいという申請を、行政に計画書を出し、コミュニティセンターや図書館などが施設として使われるということです。
 B平生教育士との関わりについて、マウル教育共同体の枠組みの中には平生教育のあり方を前提としていますが、平生教育士の関わりはあまりみられないことが現状です。学校は教師、地域は住民が中心であり、専門家のアドバイスを受ける際は、学校の教師に助けられる様子がみられるということです。
 C民主市民教育条例であるシティズンシップの教育が学校教育も変えていくのかについては、市民の民主的な意識と力量とともに公益のためにつくられ、実際の解釈については議論が行われていますが、政治的に偏っているのではないかという厳しい意見もあり、保護者の様々な声が挙がっているということです。
 D日本の場合は、地域と学校の連携として建築との関わりがみられる、たとえば新潟の聖籠町(せいろうまち)が新しい学校施設のなかにコミュニティセンター的空間が用意されている事例がみられますが、世宗市の場合は、学校や町が新しい施設面での面白い動きは特にみられず、今後注目していくべき視点ということです。 Eマウル教師は現役であるのか、またはリタイヤし、ボランティアなのかについては、マウル教師のほとんどは子どもの保護者であり、40、50代の女性が中心で、リタイヤした男性もいるということです。 Fなぜ世宗市に注目したかについては、新しい地域つくり、住民たちが新しく流入し、自主的な活動や、お互いの信頼と地域における若い人たちならではの特徴をもち、自治的な役割を発揮ができるのかについて興味を持って調べたそうです。
 以上、「マウル」の意味やマウル共同体に関わる教師、生涯学習関係者、地域住民による自主的な活動などについて深い議論が行われました。
研究会報告:金亨善さん(東大院、20190525・風の部屋)


936月定例(第282回)研究会ご案内、沖縄戦後史のなかで
      小林ぶんじん(2021/06/14 12:25)
 6月恒例の総会が終わり(6/11、皆さんご苦労さまでした)次のスケジュールとして、最終の金曜日・定例研究会の企画についてご案内する運びとなりました。ご承知の通り、6月は沖縄「慰霊」の月、戦後沖縄史に関わって研究会をもとうではないかということになり、南の風4250号で予告の通り、名桜大学・嘉納英明さんにお話をお願いできることになりました。
 実はこの間、コロナ禍のため恒例の「やんばる対談」が実施できず、沖縄関係者にそれにかわる年報への執筆依頼をしてきた経過がありますが、嘉納さんから、年報執筆予定のタイトル:戦争体験の次世代(非体験者)への継承を考える、同じタイトルでお話しいただけるとのことです。楽しみです。嘉納さんは基地の町コザのご出身とか。自分史・地域史にもかかわって、興味ふかいご報告となりましょう。あらかじめいただいた話の筋は(あちこち飛ぶかもしれなりが、とのこと)、次のような流れを用意されているようです。
〇戦争体験を次世代にどのように伝えるか
・沖縄戦の実体験の継承―学校(教師)の取組を中心に―
・コザ生まれの私と母親の沖縄戦
・米軍統治下の幼少時の記憶と沖縄戦経験の教師
・平良家の戦争体験と母の体験
・沖縄戦の学習と実践−小学校における平和教育への取組−
・沖縄全戦没者追悼式〜平和の詩「世界を見つめる目」〜
・大学でのささやかな取組〜まとめにかえて〜
【再案内】江頭晃子
 今回の定例会の話し手・嘉納英明さん(名桜大学)は、沖縄の戦後教育史や地域社会教育論、子どもの貧困研究などを専門とされています。実践においても学校や社会教育の場で中学生や大学生を巻き込みながら、どうしたら「沖縄」に出会えるのかを試行錯誤しながら続けられてきました。・
 1963年生まれ(旧コザ市出身)の嘉納さんご自身のアメリカ占領下での体験、そしてお母さんの初子さんの沖縄戦体験と戦後夜間中学生としての学びなおし(『沖縄発 → 平和を願う絵本 82さいの中学生 はっちゃん』(第39回沖縄タイムス出版文化賞受賞)の中での言葉…。75年余が過ぎ今も戦後は終わっていない、にもかかわらず、戦の備えを暴力的に押し付けている政策の現状。沖縄のこと、私たちが自分の言葉で「平和」をどう伝え続けられるのかを、嘉納さんのお話を伺いながら、ともに考え合いたいと思います。皆様お誘い合わせの上ご参加を。ズーム申し込みお待ちしています。
〇研究会・テーマ・日程・ズームなど
・日時:2021年6月25日(金)20:00〜21:30〜
・テーマ:戦争体験の次世代(非体験者)への継承を考える
・お話:嘉納英明さん(名桜大学)
・Zoomによるオンライン研究会
・Zoomミーティング参加希望の方は前日までに申し込みください。
・申し込み先:ringox@nifty.com(TOAFAEC事務局・江頭晃子)
〇終了後(21:40〜22:30)質疑応答・懇親・交流(お飲み物等ご用意ください)
〇問合せ先:ringox@nifty.com(江頭晃子)

記録 (山口真理子、2021/06/02 21:58)
参加者:(五十音順、敬称略)李正連,石川敬史,入江優子,内田純一,江頭晃子,呉世蓮,大前哲彦,小田切督剛,栗山究,小林文人,武田拡明,谷岡重則,土屋里穂,包聯群,松尾有美,山口真理子 以上16人 
内容 
 6月23日沖縄慰霊の日には、毎年「沖縄全戦没者追悼式」が開かれ、「平和の詩」が朗読されます。この模様は NHKにより全国放送されます。初めて全国放送されたのは2008年だそうですが、その時に朗読したのは読谷小学校4年の嘉納英佑(えいすけ)君、嘉納英明さんの息子さんでした。題は「世界を見つめる目」。ドキュメンタリー番組で、紛争地域で飢えに苦しむ少年らの姿を見た時の思いなどを綴ったそうです。英佑君は体験者であるおじいさんやおばあさんから、沖縄戦の話を聞いて育ちました。その後大学生になった英佑君は、2019年にも朝日新聞、山梨日日新聞から取材を受けています。「祖父母から戦争体験を聞いて育った。大学のゼミでは現代史を学ぶなど、世界の戦争や紛争について関心を持ち続けている。自分らはしっかり考えなければ『戦争』を理解できない世代だと思う。」「戦争経験者は年々少なくなっていく。僕らの世代には歴史に埋もれてしまう戦争の記憶を伝え、次世代に平和の大切さを伝える使命がある。」と述べています。「10歳の詩の時からずいぶんと月日が経ったが、沖縄戦の記憶が、祖父母の世代から若い世代に確実に継承されていると実感。」とは、お父様・嘉納英明さんの言葉です。
 このような若者が育った嘉納家の戦後の歴史を含め、「沖縄戦について見聞きし、考え、実践してきたこと」―テーマの副題―が時系列に書かれたレジュメに添って、「戦争体験の次(非体験者)への継承を考える」が語られました。
 1963年生まれの嘉納さんが最初に住んでいたのは基地・コザ市(現在の沖縄市)。1970年のコザ暴動も経験、1972年5月15日の復帰もここで迎えました。復帰しても教科書は同じ、特に変化はなかったとのこと。小学校時代の思い出は方言禁止標準語励行、嘉納さんより年下で当時名護に住んでいた入江さんも同じようなことを体験。中・高校時代は米軍の演習反対運動や主任制闘争、国の管理体制強化等批判等で組合活動に熱心な教師たちの存在を知ります。
 嘉納さんは1989年から小学校の教師をなさっておられますが、もちろんそこでは平和教育に取り組んでこられました。沖縄戦をテーマにした劇や戦跡巡り、体験者からの聞き取り等々。琉球大学附属小学校では「激論を闘わせた」と表現されました。この附属小学校時代は「共感してもらえたと手ごたえを感じた時期だった」と述べておられます。名桜大学に移られてからも沖縄戦等を取り上げておられますが、今の学生は学校の授業で沖縄戦や基地問題について学ぶ機会が乏しい、特に県外出身学生では観光地・沖縄以外の情報を持っていないとのこと。そんな学生たちも、現地に連れて行くと顔つきも教室で見せる表情とは一変するそうです。嘉納先生の取り組みは続きます。
 当日の進行とは異なりますが、この私の報告での最後はご家族のことです。嘉納さんは沖縄戦のために学業を断念したお母様が82歳で学び直された実話を「82さいの中学生 はっちゃん」という絵本にされましたが、動画「私は、ずっと無学だった」というYAHOO!JAPANニュースで、80歳の叔母様(お母様の妹)が学んでおられる姿も紹介されました。そして高校教師で平和教育実践活動家として沖縄ではリーダー的存在である平良宗潤さんはお母様の弟さんです。嘉納さんにとって平良さんは平和教育の第一人者としての大きな存在と思われました。平和教育、基礎教育の実践そのもののようなご家族です。
 英佑君が「平和の詩」の朗読をしたその約3か月後、NHK教育番組「みんな生きている」でも「聞かせて戦争のこと」というテーマで、ご家族全員が取材を受けておられます。その15分の動画も見せていただきました。そこにはご家族全員(祖父母の方を中心としたいわば大家族)で、旧盆でしょうか仏壇の前で合掌している様子、お祖父様が先頭になってみんなを連れて曾祖父様が戦死されたとされる場所に行きお参りする様子が、写されていました。それらを見聞きし、それを詩に書く英佑君。英佑君の目の輝きが印象的との感想が出ました。沖縄戦を身近に感じさせるご家庭の雰囲気が伝わってきました。
〇お話が終わって・・・
・嘉納さんからの補足のようなこととしては、家庭での継承は難しくなっていて、そうするとやはり学校に期待される。沖縄戦の歴史は語ってほしい。しかし,基地問題には触れないでほしいという学校側の暗黙の要請がある。沖縄は戦跡が残っていることが多いが活用できているか、同じく(文人先生の指摘された)字誌も活用できているか、今後の課題。資料館は整理されているので、沖縄戦と戦後史のまとめとしての活用方法も考えてもよいのではないか。
・参加者からの感想
−戦争というのは案外小さな所に残っている。いわゆる字誌を、沖縄全体と家族をつなぐものとしてネットワーク化するなどしたらどうだろうか。
−「つまづき石」という、日常的に痕跡に触れて戦争を想起させる意味で使われる概念がある。
−英佑君と同世代の参加者はおばあさまから戦争体験を聞いているとのこと。
−直接でなくとも、自分の大事な人から、その大事な人の悲しみを聞くと、悲しみは伝わるのではないか。
−父親とは戦争観の違いで闘い、子には冷ややかに見られ、しかし語り合う関係は大事。
 個人・家族の歴史が沖縄の歴史の中で語られる、興味深いお話でした。嘉納さんは今年の年報第26号に「わが家の沖縄戦と子供への継承」という題で執筆されます。9月に刊行予定ですので、ご期待の上,そちらもどうぞご覧ください。それを含むものとして、この日は9ページにも及ぶレジュメを用意していただきました。希望される方は山口までご連絡ください。→Tel.&fax.042-482-9143 Mail.:IZK07252@nifty.com

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2021年5月定例研究会(第27回・中国生涯学習研究フォーラムと合同)
             上田孝典(2021/05/20 21:26)
 <5月定例研究会、中国研究フォーラム(通算・第27回)合同会>
 ご案内が遅くなりました。5月の定例(TOAFAEC 第281回)研究会は、久しぶりに中国研究フォーラムと合同により、「中国・台湾における近年の終身教育・社区教育政策と研究動向」をテーマに報告します。
 話題提供として、近年の政策動向と現地の研究紹介を中心に、下記3名から中国、台湾について、それぞれ報告を予定しています。ご期待ください。
 近刊の年報「東アジア社会教育研究」(第24号、第25号等)掲載の論文や「この1年」報告などを事前にご参照いただければ幸いです。皆様多数のご参加をお待ちしています。参加希望の方は、下記 URLよりズームお申込みください。
◆研究会スケジュール
〇日時:2021年5月28日(金)20:00〜21:30
〇テーマ:中国・台湾における近年の終身教育・社区教育政策と研究動向
〇話題提供:黄丹青(目白大学)、山口香苗(早稲田大学)、上田孝典(筑波大学)
〇Zoomによるオンライン研究会(どなたも参加できます)
〇Zoomミーティングに参加する↓
 https://us02web.zoom.us/j/86759572521?pwd=eUZXb2FGbk5ab29QdGxsanlEdU5Idz09
 ミーティングID: 867 5957 2521
 パスコード: 204738
〇終了後(21:40〜22:30)質疑応答・懇親・交流(それぞれお好きな飲み物等ご用意を)
〇問合せ先:ueda@human.tsukuba.ac.jp(上田孝典)
報告:豊田明子(2021/5/31 23:20)
*はじめに(自己紹介) 今回、研究会の議事録作成を担当した豊田明子です。金曜日のTOAFAEC 研究会では、久しぶりに文人先生にお会いできてとても嬉しかったです。わたしのことを覚えていてくださったことは望外の喜びでした。・・・ 当夜の自己紹介のときに少しお話ししましたが、(名大院のあと)鈴鹿市の保育者養成系短大に着任したのが2013年、当時は科研のスタート支援でもらった少額の研究費すら使い切れないほどに校務に追われ、以来ずっと社会教育からは離れていましたが、今年度、新設の四大に異動になったこと(名古屋柳城短期大学→名古屋柳城女子大学)などを機に、牧野先生の下で博論を書き上げたいと思い、4月から「兼業大学生」になりました。博論では歴史研究に取り組みますが(植民地台湾の実業補習教育と民衆の生活をテーマに、現場の教職員の実践に着目して見えてくることを探りたいと思っています)、ここに集うみなさんとともに、東アジアの社会教育の今について学び合いたい、語り合いたい、と強く願っています。長い間、不義理をしてきたわたしですが、どうぞ宜しくお願い致します。
 以下の記録、「簡単にまとめる」ことができず、かなり長くなってしまいました。過不足や事実誤認等、ご確認いただきますようお願い致します。
◆第281回TOAFAEC定例研究会ご報告
・テーマ:中国・台湾における近年の終身教育・社区教育政策と研究動向
・話題提供:上田孝典(筑波大学)、黄丹青(目白大学)、山口香苗(早稲田大学) *敬称略・以下同じ
・参加者:小林文人、上田孝典、黄丹青、山口香苗、李正連、江頭晃子、山口真理子、内田純一、小田切督剛、呉世蓮、大前哲彦、包聯群、ハスゲレル、孫冬明、田井康仁、張鼎甲、沈明明、松尾有美、金亨善、楊映雪、楊博蓉、馬海燕、豊田明子(参加者合計23名)
内容:第281回定例会は,「中国・台湾における近年の終身教育・社区教育政策と研究動向」をテーマに、上田孝典・黄丹青の両先生から中国、山口香苗先生から台湾の状況についての報告が行われ、その後、活発な質疑応答の時間をもつことができました。3名の報告はそれぞれに深めたい論点をたくさんに孕んでおり、継続的に議論をしていくことを約束して閉会となりました。それぞれの報告概要は以下の通りです。
 上田報告では「現代中国の生涯学習政策を見る視点」と題して、共産党の中長期計画と現代中国の内憂外患(腐敗、格差、民族、環境、資源、少子高齢化・人口減少)、社区教育の状況について説明されました。この社区教育に関して、「社区治理(コミュニティガバナンス)」といって、党の基本方針に基づいて住民自らが公益事業に参与していく仕組みがとられていることが語られました。
 上田報告が全体的な中国の現状と今後に関する「計画」の部分に言及したのに対して、黄報告はもう少し各論的な部分に焦点化されました。具体的には,1)2021年全国教育工作会議で生涯学習を全国民に提供するシステムが提案され、そこで初めて障害者の生涯教育について言及されたこと、2)高齢者教育に関して,哲学者とともに孔子や老子、カント等の哲学思想との対話の中で、より大きな視点から議論が深められようとしていること、3)東アジアにおける市民の学びとして、,草の根タイプの社区学習共同体がつくられ、市民が自発的かつ自由に活動を広げていく実践がうまれていること、の3つです。とくに中国の場合、地域差がかなり大きく、実践とその展開は多様化を極めており、これからさらにそれぞれの実践についての調査を進めていきたい、とのことでした。
 続く山口報告は、台湾の生涯学習政策についての発表であり、1998年の白書「学習社会に向けて」から20余年を経て、2121年に学習社会白書(Learning Taiwan 全民愛学習的台湾:学習型台湾)が出され、学習によって格差や分断を乗り越えることが提起されたこと、ただし、台湾の生涯学習は「学習型」をキーワードとしながらも、これまでと同様に「他国と肩を並べられる社会」という文言が見られる等、国際競争を意識する視点は変わらないことが指摘されました。また、社区教育を考える際の論点として、社区教育を牽引するリーダーの専門職化の行方、民主化・自由化といっても政府主導で活動が展開していることなどが挙げられました。さらに、脱中国依存、多文化台湾化についても言及され、言語政策や新住民(東南アジアからの移民)の現状も話題に上りました。
討議 三報告の後、小林先生から90年代末に上海に通っていた頃の事が語られ、「25冊の年報を作成したものの、どうも中国はわからない」「もう一つのリアリティ、民衆のリアリティがあるのではないか」という思いが吐露された後に、上田報告に対して「中国的な自治」「『単位』社会から『社区』社会へという政策転換」をめぐって質疑応答がなされました。
 また包さんから行政的な民衆「管理(治理)」の方法と言語政策の発想の類似性について言及され、山口(香苗)さんから、その応答として、例えばこれまでの「外国籍配偶者」という呼称が「新移民」、そして「新住民」へと変更されたように、用語の変遷にも政策意図を看守できることが語られました。
 内田さんからは、管理面に関して日本にも同じ課題があることが指摘され、中国において「人権」や「権利意識の芽生えがあるのか、という疑問が呈されました。上田さんから「消費者としての権利」という「権利意識」はとても強いという応答がなされた上で、「人権」や「権利意識」については、ここに集う若い留学生のリアルな声を聞いてみようということになりました。
 これを受けて、楊映雪さんから「上海の、社区教育が最も発展した地域で育った20代」の感覚として、学校教育では個人の権利より国家に対する義務が教えられるものの、個人の権利は語られる(ものとしてはある)ということ、自身を含めJ-POPや,K-POPが好きだという若者は多く、文化や芸術を通して一緒にいい社会を創っていこうという動きや小グループが生まれている現状、民衆の生活や楽しさの感覚は生まれ国の如何を問わず、同じなのではないかという率直な意見が出されました。
 さらに江頭さんから「中国の話を聞くことで、日本が照射される」ことが、とくに、日本の新自由主義と家庭(教育)への干渉や、政府が担うべき福祉事業を NPOに肩代わりさせる状況について語られたあと、共産主義社会の自由と新自由主義社会の自由とは何か、という大きな問いが提起され、また、他にもそれぞれの参加者から多様な視点からの感想や質問が出されるなど、対話を深めたい論点が数多く出されました。しかし夜も深まってきたため、次回の報告者・報告内容を少し話し合った後に(今、何をどの程度なら無事に語り得るのか、は難しい問題です)、閉会となりました。
 今回、議事録を担当するわたし(豊田明子)は、久しぶり(15年ぶり…でしょうか)に爽やかで熱くカラフルな「南の風」の心地よさを堪能し、みなさんとともに東アジアの現代を捉える視点と知性を養いながら、自身の課題に取り組んでいきたい、という思いを再確認しました。次回も楽しみです。


912021年4月定例(第280回)研究会
   ■第3回編集会議 (李 正連、2021年4月18日18:14)
 <4月30日・年報編集委員会お知らせ>
 編集委員の皆様 お世話になっております。李です。4月30日(金)19時30分編集委員会
 を開催します。定例研究会の30分前に始めます。主な検討内容は、自由投稿申し込み
 の
結果及び原稿依頼の進捗状況の検討です。各国・地域の依頼担当の方は、進捗状況
 に
ついてご報告をお願いいたします。
 ZoomURLは当日の午前中にお送りいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
 <4月定例・第280回研究会のご案内> *江頭晃子(2021年4月5日22:33)
 
  ―シンポジウム「"東アジアにおける市民の学び”とは何か」―
 大学も新学期となり、学校ごとの方針の違いが今年度はより明らかになっています。学び会いをより大切にする社会教育では、自治体ごとの違いが更に鮮明にでており、学習権の保障を求めて市民や学会や団体が、いかに声を出していけるかにより、混迷する社会教育行政の動きも変わってくるように思えます。学び合いを止めない、声を出せない人に代わって声をあげられる人が声を出す必要を感じています。
 TOAFAECが毎年刊行している年報『東アジア社会教育研究』。今年は予定通り9月18日に発行予定で、現在投稿論文を募集しています。どなたさまも「東アジア」沖縄などの「社会教育・生涯学習」「地域・市民活動」に関連するテーマでしたら、投稿歓迎です。タイトル・概要(400字)を4/23までに編集長(李正連)までお寄せください(原稿締め切りは6/30)。
 →■http://www.bunjin-k.net/25gou.htm
 4月の定例会のテーマは、今号特集テーマである「東アジアにおける市民の学び」。フォーマル・インフォーマル・ノンフォーマル多様に広がる「市民の学び」のどこにターゲットを置くか、編集委員それぞれが考える視点を提起しながら、深め合います。あなたの視点からの提起、聞くだけのご参加だけも歓迎です。多くのご参加をお待ちしています。
〇にちじ:2021年4月30日(金)20:00〜21:30
〇テーマ:オムニバス・シンポジウム「"東アジアにおける市民の学び”とは何か」
〇報告者(各5〜10分):小林文人(沖縄)、内田純一(高知)、上田孝典(中国)、
黄丹青(中国)、呉世蓮(韓国)、山口香苗(台湾)、包群聯(モンゴル)、
小田切督剛(川崎&韓国)、江頭晃子(NPO)/李正連(総括)
〇Zoom申込み先:前日までにお名前とメールアドレスを下記フォームから送信
してください。zoomアドレスをお送りします。
https://forms.gle/wzo9JncugdEsJfuB8
〇終了後(21:40〜22:30)質疑応答・懇親会
それぞれお好きな飲み物等をご用意ください。
〇問合せ先:aozora999@hotmail.com(李正連)/ringox@nifty.com(江頭晃子)
報告 内田純一(2021年5月8日13:36)
 <東アジアにおける市民の学びとは何か・・・研究会・報告>
*2021年4月30日(金)20:30〜『東アジア社会教育研究』第26号編集会議に引き続き(報告・4242号)、当号特集テーマに関連して「東アジアにおける市民の学びとは何か」と題する参加者全員による意見交換会(第280回研究会)が行われました。
参加者:石井山竜平、内田純一、江頭晃子、呉世蓮、小田切督剛、小林文人、武田拡明、黄丹青、ハスゲレル、包群聯、松尾有美、山口香苗、山口真理子、李正連(年報26号編集長)
◆内容:
 1980年代の後半から1990年代にかけての東アジア各国・地域における民主化の潮流は、市民社会や社会運動の興隆と不可分の関係にあり、その共通性や相違性の相互理解を草の根レベルで深めていくことが重要であること。「東アジアにおける市民の学び」は、この関係性の原動力であること。さらに近年の権威主義的ポピュリズムの拡大等による民主主義の危機や、暴力化する資本主義に対して歯止めをかけ、それに代わる新たな社会を生み出す可能性(すでに生み出している)を持っていること。総じて「国家と市民と資本のせめぎ合い状態」(江頭さんの発言)の中で、上記のような問題意識が参加者に共通して見られたように思います。以下、私見ですが、皆さんの発言を4点にまとめて記したいと思います。
 第一は、戦争や歴史の問題を背景として、一人一人の人間としての生き方・在り方・幸せを出発点にすること。その意味で、識字の取り組みや集落自治、文化や言語といったアイデンティティを取り戻す運動などに注目してみたい。また、川崎市と富川(プチョン)市との高校生交流は22年を積み重ね「東アジア市民になろう」という関係を構築してきている。
 第二は、個から始まりながらも、それをパブリックへと広げる意味での市民と行政の関係を考えること。市民の学びは「主語」を取り戻す運動であり、政策や制度に収斂されない価値意識(多様な選択肢)を保障する行政を生み出していくこと。80年代の川崎市は「市民が学びを通して自治を培う風土」があり、それが川崎市生涯学習計画づくりにつながっている。また調布市でも90年代に起こった公立図書館委託阻止運動において市民の果たした役割がたいへん大きかった(「助けられた」)。
 第三は、とはいえ、東アジア各国・地域の状況や体制はそれぞれ異なり、当然、「市民」「市民感覚」のズレが生じてくるし、日本に留学していてもなかなか実感が持ちにくい用語ではある。また「学び」についても、競争手段としての理解や格差が大きい現実がある。
 そして第四は、日本の現状(『鎌倉市における講師拒否問題』など)に対する声を上げない・連帯できない・闘わない状況に対する危機感に関するものでした。このことは「社会を変える潮目に来ている」なかで、いま、日本からどのような実践を第26号に掲載できるかを問うものでもありました。
 気が付けばあっという間に23時。いつもの乾杯も忘れるほど白熱した研究会でした。次回(5月28日・金)は、「中国」を取り上げるとのこと。難しさのなか、楽しみでもあります。



912021年3月定例(第279回)研究会・じんぶんヒストリー(5) 
                   江頭晃子(2021年3月7日10:51)
ご案内 <3月定例(第279回)研究会・じんぶんヒストリー(第5回)>
 3・11から10年を迎えようとしています。昨秋、常磐線に乗り、いわきから双葉駅へと北上しました。きれいに生まれ変わった双葉駅前には10年前のまま、瓦が落ちた商店や家があり、開通した道路脇でスクリーニングが行われ、空き地には除染のため取り除かれた土砂が山ずみにあり、福島第一原発周辺の緑地は汚染水置き場に広がっていました。復興とはだれが言っているのか。コロナ政策もそうですが、「被害にあったもの」「弱い立場のもの」は棄てられる。何のために政治があるのかと思ってしまいます。
 そんなコロナ政策の中でも腐ることなく、福岡や沖縄に行くことを楽しみに暮らしている「ぶんじん」先生に、「じんぶんヒストリー」を3月定例会として伺います。第5回目となる今回は、1970年代半ばから1980年代へ。社会教育の戦後史、法制定着、多摩地域の実践と並走しながらの職員論や学級講座論の構築、そして「月刊社会教育」編集長や社全協運動にもドップリと関わるなかで、沖縄研究との出会いが始まります。ぶんじん先生にとって新しいフイールドワークと沖縄研究の視点。
 今回は、インタビュアーは設けず、先生に思う存分語っていただいた後、参加者の皆さんから質問をお寄せいただきながら進める形にしたいと思います。どうぞどなたでも、お気軽にご参加ください。
◆じんぶんヒストリー(第5回), TOAFAEC35月定例(第279回)研究会(Zoom開催)
・日時:2021年3月26日(金)20:00〜21:30(zoom開場19:45)
・テーマ:沖縄研究への道、沖縄からの提起
・話し手:小林文人先生
・申込み:@お名前、Aご所属(または先生とのかかわり)、Bご質問などを明記の上、
  江頭:ringox@nifty.com までお知らせください。前日にZoomアドレスをお知らせします。
・締め切り:3月25日(参加者のお名前は共有します。)
〇終了後(21:40〜22:30)質疑応答・懇親会、それぞれお好きな飲み物等をご用意ください。
報告  ■当日の報告レジメ
参加者:石川敬史、うそまこ、上平泰博、内田純一、江頭晃子、嘉納英明、金侖貞、熊本博之、栗山究、小林文人、武田拡明、ハスゲレル、樋口寿美、堀尾正靱、包聯群、山口真理子、米山義盛(17名)
内容:嘉納英明(名桜大学)
 じんぶんヒストリー第5回(3月26日)は、文人先生の沖縄研究のきっかけになったことを聞けるとあって、申込〆切は過ぎていたが、江頭さんにお願いしてパスワードを頂いた。当日、文人先生の少しばかり興奮した面持ちで、2時間以上も、沖縄とのかかわりや社会教育研究を始めたきっかけなどをお聞きすることができた。沖縄の社会教育研究の欠落を大いに意識して、文人先生は共同研究を始めた、という。単なる研究対象としての沖縄ではなく、沖縄に対する深い愛情を感じさせるお話であった。また、文人先生の真摯な研究態度は、きっと沖縄の社会教育関係者を魅了させたことであろう。沖縄大学の平良研一先生、名護在住の島袋正敏さん、前名護市長の稲嶺進さん、うるま市在住の宮城英次さん、又吉英仁さんらのお名前が次々と出てくる。沖縄研究を通しての交友関係の広さに驚くと同時に、羨ましさを感じた。そして、沖縄の現地を歩き、史料を集め、分析していくという研究者としての基本的な姿勢をあらためて学んだ思いである。
 文人先生の沖縄研究は、集落と字公民館に注目していることに特徴がある。とりわけ、字公民館は、教育文化、生産活動等の地域の拠点として機能し、戦後の沖縄復興のシンボルでもあった。その例として、文人先生は、読谷村の波平公民館の経済門と文化門についてふれた。さて、その沖縄の字公民館は、公民館の生みの親である寺中作雄の構想と関係したのか、というのが、私の関心事であり、質問したかったことである。文人先生は、「寺中は、初期公民館構想の中に集落公民館をつくっていこうとする考えをもっていたが、この考えが占領下の沖縄の教育関係者に共有されてはいなかった。だが、沖縄の集落(字)公民館の考えは、寺中構想と共通するものであった」と明快に答えて頂いた。
 沖縄の復帰後、末本誠さんらとの本格的な共同研究の推進を始め、東京から沖縄をみるのではなく、沖縄のウチからみていくことの大切さを語って頂いた。文人先生の沖縄研究から大いに刺激を受け、今後とも遅々としながらも、研究を継続していきたい。


902021年2月定例(第278回)研究会・年報26号編集会議(1)記録 
ご案内
 2月定例会は、新年報26号編集会議として開催します。(編集長 李 正連)
 <年報26号第1回編集委員会、定例研究会(第278回)ご案内>  
 25号の合評会(1/29)に多くご参加いただき、どうもありがとうございました。先週合評会を行ったばかりではありますが、今年の年報、通常の9月発行に合わせるためには、さっそく26号の準備に取り組む必要があります。本来ならば最終週の金曜日(2月26日)に行うべきですが、翌日27日に「東アジア生涯学習研究フォーラム」(別項・石井山メール)の開催があり、一週間早めて2月19日(金)に新26号の第1回編集委員会(第278回定例研究会)を開きたいと思います。
 先週研究会の終盤に特集テーマ案として「東アジアにおける市民の学び」「小地域(小規模自治体)の学習」「障害者」、「高齢者」などが提案されました。これらの案と、また新しい案があれば、ご提案いただき、26号の特集テーマを決めさせていただきたく思います。
 今回は定例(第278回)研究会も兼ねますので、編集委員でない方でも関心ある方お気軽にお越しください。編集委員でない方で参加を希望される場合は、2月18日(木)までに下記のURLにアクセスし、申し込んでください。
https://forms.gle/18A3gfdaRU9CYytf6 
 開催日時及び実施方法は、下記の通りです。皆さまのご参加をお待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。
◆第278回(2月)定例研究会・年報26号編集委員会(第1回)>
 日時:2021年2月19日(金)20:00〜22:00
 内容:年報26号・特集構想についての意見交換(「特集案」を募集します!)
 実施方法:Zoomによるオンライン会議(ZoomURLは当日午前中にお送りします。)
報告  李 正連(2021/02/22 14:29)
○参加者:小林文人、山口真理子、黄丹青、小田切督剛、江頭晃子、姜乃栄、包群聯
       山口香苗、呉世蓮、松尾有美、李正連(敬称略)
〇内容:年報26号の第1回編集委員会が開かれました。コロナの影響で25号が年末に刊行されたばかりですが、26号は通常の9月発行を目指して早速に編集委員会を始めさせていただきました。今回の会議には韓国の姜乃栄さんが参加され、久しぶりに挨拶を交わし、会議終了後は歓談の時間も持ちました。
 今回の編集委員会では、主に特集のテーマについて話し合いました。今回の特集テーマについては、(1)東アジアにおける市民の学び、(2)小地域(小規模自治体、集落)の学習、(3)障害者や元気な高齢者、(4)小林文人先生特集などの案が出されました。
 議論の結果、「東アジアにおける市民の学び」をテーマ(案)としますが、「市民の学び」の舞台として小規模自治体や集落などの小地域を念頭に置きながら、生活や地域課題の解決、地域づくり等における自主的な市民の活動や学習について検討することにしました。
 日本とは違って、中国や韓国、台湾の東アジア諸国・地域は従来行政主導の地域づくりや社会教育が進められてきましたが、近年地域づくりにおける住民参加や住民自治への意識も高まり、そのための住民の学びにも注目するようになってきています。各国の異なる諸条件を踏まえつつ、官主導ではなく、市民(住民)自らが自身の生活や地域、さらには社会づくりのためにどのような活動や学びをしてきたのかについて振り返るとともに、現状、そして今後の課題について検討することにしました。 そして、来週27日(土)オンライン(Zoom)で行われる「東アジア生涯学習研究フォーラム」の報告、各国の「この1年の動向」、自由投稿、依頼論文、沖縄やんばる対談、「ひろば」等についても話し合い、大枠を決めました。
 例年通りの9月発行を目指して、すべての原稿の締め切りは6月30日(日)厳守とさせていただくことにしました。自由投稿応募・概要締切は4月23日(金)です。
 なお、25号から特集論文や依頼論文、投稿論文には、10行程度のアブストラクト(各各執筆言語及び英語版)を提出していただき、日中韓の言語にそれぞれ訳して掲載することを始めました。翻訳に時間もかかり大変な作業ではありますが、26号も引き続き掲載することにしました。 引き続き、26号編集へのご協力もどうぞよろしくお願い申し上げます。


892021年1月定例・TOAFAEC(第277回)研究会・記録 
 ご案内  李 正連(2021/01/12(火)12:55)
 <1月定例(TOAFAEC・第277回)研究会・『東アジア社会教育研究』第25号合評会ご案内>
 明けましておめでとうございます。
 旧年は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。コロナ禍の影響によって例年より大変遅れましたが、『東アジア社会教育研究』第25号が皆様のご協力をいただき、無事発刊することができました。心から深く御礼
申し上げます。
 今号の特集は、「自治体の生涯学習計画」としました。「生涯学習振興整備法」の制定から30年、その間日本の国家政策は停滞したといわれていますが、自治体では新たな生涯学習計画に取り組む動きが生まれてきました。そして、同時期の中国や韓国、台湾等の東アジア諸国では国家及び自治体の生涯学習計画及び支援体制の構築など、大きな発展を見せています。そこで、日本をはじめ、中国・韓国・台湾における自治体の生涯学習計画についての原稿で構成しました。
 そしてもう一つの特集には、2019年11月、中国の北京で開かれた「東アジア生涯学習研究フォーラム」について中国からの盛り沢山の報告と、日本・韓国・台湾からの意見・感想が掲載されています。なお、昨年初めころから世界中で猛威をふるっている新型コロナウイルスに対して東アジア各国がどのように対応しているのかについても、特集を組みましたので、是非ご一読いただければ幸いです。
 下記のように25号の合評会を開催しますので、奮ってご参加ください。皆様からの忌憚のないご意見・ご感想をいただけますことをお願い申し上げます。
・日時:1月29日(金)20:00〜22:00
・内容:25号合評会 〈話題提供〉上野景三先生(TOAFAEC代表、西九州大学)
    小田切督剛さん(韓国研究フォーラム)「特集:自治体の生涯学習計画を読んで」
    各執筆者・投稿者・参加者からの感想・
・開催方法:Zoomによる開催
・ご参加を希望される方は、1月28日(木)までに下記のURLにアクセスし、申しんでください。
 申し込んだ方には、研究会当日の29日にZoom URLをお送りいたします。
 〈申し込みURL〉 https://forms.gle/cdtKjw3fvm5nnyRH6 
・お問い合わせ先:李正連(aozora999@hotmail.com)
報告 呉世蓮
参加者・敬称略:小林文人、上野景三、内田純一、小田切督剛、矢久保学(松本)、李正連、江頭晃子、
 包聯群、山口真理子、山口香苗、石川敬史、黄丹青、ハスゲレル、土屋里穂、上田孝典、シーラン、
 呉世蓮(17名参加)
内容: 新年第1回の定例会として年末に刊行された年報『東アジア社会教育研究』第25号の合評会が行われました。
 特集テーマとして「自治体の生涯学習計画」について、上野景三先生と小田切督剛さんから話題が提供されました。論議のなかで最も興味深かった内容は、25号の総論とともに、松本市「学びの森づくり」計画の事例(矢久保報告)でした。参加された方々からも松本市の事例について、たくさんの質問が出され、矢久保さんから丁寧な説明とともに、今後の課題について話し合いがありました。
 まず、上野先生からは、内田先生・総論について、「地方自治は『地方自治の本旨』に基づいて団体自治と住民自治の両方から成り立っており、それをつなぐ環として社会教育がある」と語られました。今の行政学や地方自治論は、「地方自治の本旨」を言わないということ。団体自治といったときに、市民の声を聞くことは市民のクレームを聞くということとイコールになっているという内容が印象深かったです。自治体職員は、住民自治に関心を払わず、選挙で選ばれた議員をどう説得できるかという資質をもった職員像に傾斜しているのではないか、という話をされました。
 小田切さんからは、「矢久保さん(松本市)にいろいろ聞きたい。川崎ではなかなか松本のようにはならない」という切り口から以下について、語られました。@「下からの社会計画との関係」で、松本をどれだけ語れるか(下降型、上昇型の2つのモデル)。A「職員論」について。職員の中の主流派と市民派という呼ばれ方について、小田切さんは市民派のさらに左派の人権派と呼ばれたそうです。このように保守派・市民派のせめぎあいが、松本にもあったお聞きしたいと思いました。B「自治体の計画」は、具体的な施策の現状と課題、方向性について、主に庁内・議会と合意形成を図る「実行計画」的なものや、今後のビジョンへの認識を共有する「基本計画」的なものに大別されると報告されました。
 全体議論では、質問も多く、参加者みなさんから一番注目されました松本市について、矢久保さんからの発言が詳しくありました。「松本は乗り越えているという感覚ではなく、常にまだせめぎあっている」ということ、職員より住民側から公民館は大事だと言い続けているそうです。だからこそ、行政はサービスではなく、住民とどう一緒に行っていくかという課題、同時に色々な課題を考えて動くために学習につながると語られました。また、NPO や町会、他の部署と協働しながら行政自体が動いていく必要があり、市の職員も保守とか革新ではなく、現場を知っているかどうかによって大きく異なるという視点も語られました。
 小林先生や内田先生、上田先生、黄先生、山口香苗さん、李先生から日本、中国、韓国、台湾における東アジアの動きとも関連したご意見やご感想が寄せられました。今回の研究会は初めての参加者もおり、参加者の皆様の様々な側面からの議論やご感想などが交わされ、大変盛り上がり、充実した議論となりました。
 最後は、上野先生から乾杯の音頭をとっていただき、新年と第25号『東アジア社会教育研究』刊行の祝杯を挙げました。3時間に及ぶ研究会は新年第1回にふさわしい盛り上がり、また次号26号をどんなテーマで進めるかも決まりそうになりました^^;(笑)。非常に有意義な時間でした! 一刻も早く対面式の研究会が出来ればと心から願っております。


*2020年までの研究会記録




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