TOAFAEC 定例研究会・案内・報告(記録12)
        
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102 2022・4月定例(第291回)研究会・記録
じんぶんヒストリー(第7回)
       *江頭晃子(2022/04/08(金) 21:32)
 <じんぶんヒストリー第7回、 TOAFAEC4月定例(第291回)研究会ご案内>
 7回目となる「じんぶんヒストリー」は、2年2か月ぶりに対面(オンライン併用・予定)で開催します。皆さんと直接お会いできる機会となり楽しみです。
 さてじんぶんシリーズでは、第4回(2020/5月)で東京・三多摩テーゼ、第5回(2021/3月)で沖縄研究へ、と話は進んで来ましたが、今回はとくに先生の研究テーマの中心である公民館論に焦点をあてて、三多摩から沖縄へとフィールドワークが展開することによって、どのような公民館像が転換・発展してきたか、ご一緒に考えてみようということになりました。日本各地に広範に機能している「自治公民館」の評価にもかかわり、あらためて公立公民館の役割・あり方を問う論議にもつながりましょう。
 「三多摩の社会教育・公民館」については、二三区(杉並区・安井構想を除いて)に公民館の歴史がほとんど未発であったのに対して、三多摩では1970年代の美濃部都政下に大きな進展がみられました。住民の公民館づくり運動、専門職としての職員配置、多様な学級・講座編成、若者のたまり場、公民館保育室づくりなど、全国的にも注目をあつめます。文人先生が重要な枠割を果たされた「東京の新しい公民館像をめざして」(1973年、いわゆる三多摩テーゼ、来年で半世紀)の構想が、大きな役割を果たしました。
 70年代の後半から東京学芸大学グループを中心として、沖縄研究が開始されますが、戦後アメリカ占領下の社会教育資料収集を第一の課題としつつ、フイールドワークは沖縄独自の「集落・シマ公民館」、そしてそれを土壌として個性的な地域文化が蓄積されてきたことに注目が移っていきます。三多摩の都市型公民館、そして沖縄の集落公民館、それぞれの地域性・独自性を生かした公民館の在り方について、論議も重ねられてきました。これからの自治体の公民館論をどのように構築していくか、ご一緒に考え合いたいと思います。
〇関連資料は、ホームページに多彩に収蔵されていますが、とくに三多摩テーゼについては、
 
拾遺「三多摩テーゼ」ー40年回想→http://www.bunjin-k.net/tokyo3tamateze.htm
 集落公民館については、 「沖縄の集落公民館」→http://www.bunjin-k.net/okinawaazakouminkan.htm

などをご参照ください。どなたも、どうぞご自由にご参加ください。参加予定の方(対面、オンラインとも)は、前日までに一報ください。

東京「新しい公民館像をめざして」(初版、1973)

◆日時:2022年4月29日(金)18:30~20:30(開場18:15)
・会場:杉並区高井戸文化センター第4集会室(高井戸駅歩すぐ)
・テーマ:公民館研究・三多摩テーゼと沖縄の集落公民館、発見のフィールドワーク
・話し手:小林文人先生 (当日レジメ→別記、じんぶんヒストリー7■にも
・申込み:前日までにringox@nifty.com(江頭)までメールお申し込みください。
 ※ハイブリッド開催を試みますが、うまくつながらない場合はご容赦ください。
〇終了後(20:40~22:30)交流会(イーストビレッジ)

*当日レジメ(小林)

1,東京・三多摩の社会教育・公民館の胎動(196070年代)―制度定着過程
  ・くにたち公民館の誕生(市民による公民館づくり運動、1956)と徳永功の役割
 ・自治体としての(格差を含みつつ)公民館制度の創設・職員の配置、市民の参加と運動
 ・「三多摩社懇」による「公民館三階建論」(小川利夫と徳永、1964)、そして「三多摩テーゼ」
  (公民館・四つの役割、七つの原則、197374)への展開
 ・公民館づくり市民運動、改築・増設運動  *図書館・文庫運動からの刺激
 ・三多摩テーゼ・全国各地への拡がり(東村山公民館、山口県豊浦町中央公民館の事例)
 ・「教育機関」としての公民館の理論化、*小林編『公民館館・図書館・博物館』1977
 ・新しい学級・講座」づくり(東京都1976)、講師派遣制度、グループ援助
 ・職員論、「励まし学ぶ」主事たち(福岡1978)、立川社会教育会館・セミナー方式研修
 ・史資料の共有化・資料シリーズ刊行、「社会教育ハンドブック」出版(1799~)
2、戦後沖縄・社会教育史の“発見”と集落(字)公民館との出会い(1980年代~)
 ・アメリカ占領下沖縄の社会教育史、軍事支配下の文化政策(琉米文化会館)
    *小林・平良編『民衆と社会教育―戦後沖縄社会教育史研究』1988
 ・集落再建(地域おこし)と字公民館の“発見”(読谷村宇座区「残波の里」1974
 ・公民館「設置奨励」策(1953)と琉球社会教育法(1959)、読谷村公立公民館(1970
 ・復帰(1972)後の「中央公民館」設置動向、字公民館の広範な展開
 ・自治体(今帰仁村等)「総合計画」における「集落公民館」の位置づけ(別資料)
 ・字(集落)史の運動―名護市教育委員会『字誌づくり入門』(市史編纂室)1989
3,沖縄型公民館の評価と「自治公民館」論争について
   *宇佐川満編『現在の公民館』(1964)―倉吉、久美浜「自治公民館」批判(小川利夫)
 ・「三多摩テーゼ」をめぐっての沖縄(例・外間政氏)からの批判
 ・字公民館による地域基層文化、祭祀芸能・伝統行事、地域連帯活動等の保持機能
          *現代都市の災害救難・生活相扶にとっても地域共同は重要!
 ・「個の自立と民主主義」の追求(徳永)における「地域共同・連帯」の課題
 ・「三多摩テーゼ」の近代主義と地域視点欠落の問題を沖縄「集落」公民館から考える
参考・4,第五世代の公民館論ー地域創造型の公民館 月刊社会教育ほか、1996他→■

当日のぶんじん
(森田)さん写す、20220429) *イーストビレッジ写真は下   


◆報告
  ……内田純一(高知大学) 2022/5/1(日) 14:18
・参加者(敬称略):対面)小林文人、江頭晃子、森田はるみ、安井節子、山口真理子
 オンライン)石川敬史、大前哲彦、祁暁航、栗山究、武田拡明、手打明敏、中村文昭、
        包聯群、持田(中村)津希子、内田純一

 前日(428)高知で降った大雨が、杉並の会場に向かう皆さまにご迷惑をおかけしたとのこと。加えて今回初となるハイブリッド開催の環境設定にご尽力いただきましたことにあらためて感謝申し上げます。遠くに暮らしていても参加できる喜びとともに、途中、最も大事なところで音声が途絶えたことなど、対面会場にいらっしゃる方々への羨ましさを感じる場面もあって(笑)、「まずは大成功」というところでしょうか。
 前置きはこれぐらいにして、簡単で恐縮ですが、研究会の報告と、小林先生のお話(又はお話なさらなかったこと)から自分なりにもう少し考えてみたい点について記したいと思います。
 小林先生による今回の「じんぶんヒストリー(7)」のメインは、沖縄の集落(字)公民館との出会いが、本土(ヤマト)の社会教育、具体的には「三多摩テーゼ」に代表される都市型公民館の狭さや弱さについてあらためて考えるきっかけをもたらしたこと。さらにこのことが所謂『自治公民館論争(宇佐川-小川論争)』に新たな視点を加えることになるというものでした。レジュメの小見出しは「1.東京・三多摩の社会教育・公民館の胎動(196070年代)」「2. 戦後沖縄・社会教育史の“発見”と集落(字)公民館との出会い(1980年代~)」「3. 沖縄型公民館の評価と『自治公民館』論争について」となっています。とはいえ当日は、「個の自立と民主主義」を求めて国立公民館で都市型公民館の中核を担われてきた徳永功さん(元国立市教育長)が過日他界されたこともあって、思いのほか「1」についての話が詳細となり、「2」についても本土復帰50年まで視野に入れれば短時間にお話できるべくもなく、「3」についても後日またじっくりお話を伺いたいと思いました。それでも「1」に関連しては、私なりに「三多摩テーゼ」は社会教育界の隠れたベストセラーだと以前から思っていて、小林先生の70年代の研究(教育機関論、学級講座論、職員論“励まし学ぶ”、史資料の共有化)全体がそうであったように、全国の社会教育・公民館づくり(運動)に大きな影響を与えたものと思います。そうした中で「2」にあっては、沖縄における公民館の生成過程が本土とは大きく異なる(「集落(機能)の再建」から共同的に生成されてくる。それゆえに基層の文化を含め集落を維持していく機能を全て備えている。「ムラヤー」と呼ばれ「公民館」という名称はむしろ後から付される)こととの出会い。アメリカ占領下に抗する人々の共同と連帯、地域おこしのその只中に文字通り集落ごとの公民館が存しているという衝撃から、あらためて1980年代以降の研究がはじまる。そして「3」では冒頭、沖縄で「三多摩テーゼ」の話をされた際の痛烈な批判(「むやみに公立公民館で系統的な学習をするものではない」といった外間政彰氏による批判)が紹介され、「三多摩テーゼ」(広く「社会教育」と言ってもよいかもしれない)の近代主義と地域視点の欠落を含め、いよいよといったところで突然音声が途切れ、時間の関係もあって、残念なことにその先ヘは進めませんでした。
 とはいえ、私なりには、それこそ意見交換の場で出された「都市型」か「農村型」かといった二項対立を乗り越え、秩序を強化する動きへの警戒心を持ちつつ「差異」に注目していく。それが近代主義を超えていくことでもあるわけですが、小林先生はこうした視点を一貫して提起されてこられたのだと思います。「いかに違うか」「地域・集落から考える」「〇〇型」というのは、東アジアを視野にいれたTOAFAECにおいても常に大事にしている視点です。ですが、単に「差異」に注目する、「多様性」を主張するといったことだけでは、それこそ現代の情報操作社会のなかで巨大なものに取り込まれ(包摂され)てしまう。上記、外間氏の批判は、沖縄戦の経験から国家や権力というものに対する強い不信感と警戒心の現れそのものであるわけですが、この批判は現代においても同様というか、巨大なものが一層見えづらく、さらに自主独立した公的教育機関の機能が低下(狭い系統的学習の盲目的手段化)しつつあるなかで、事態はより深刻だと言えます。その意味からも、小林先生たちが沖縄研究で著された『民衆と社会教育』というこのタイトルは、現代においてとても魅力的であり、実に多くのことを考えさせられます。
 最後に、話が拡散するかもしれませんが、小林先生は「三多摩テーゼ」の近代主義とおっしゃっていますが、1960年代後半から1970年代の時代を考えても、私はむしろ「三多摩テーゼ」の脱近代的側面(「たまり場」「私の大学」「自由な文化活動」)にもっと光が当たってよかったのではないかと思っています。そのような「三多摩テーゼ」をつくられた小林先生だからこそ沖縄との出会いを成立させ得たのではないか。
 こんなふうに思うところもあります。むしろ社会教育(関係者)の方が(「市民」と「行政」の二項対立的発想から抜けられず)それについて行かれなかった。そして結果的には「新しい社会教育」を見出しきれないまま、「生涯学習(政策)」に取り込まれていく。2000年代に入っていまや脱ポストモダンとも言われるなかで、沖縄・東アジアの視点からどのように「新しい社会教育」を再構築していくことができるか。それ自体は「社会教育とは何か」という永遠の問いを問い続けることでもあり、一方で、そのための環境や条件自体が破壊された厳しい状況ではありますが、だからこといまとても重要な局面にあると思います。私自身、高知(いわゆる公的社会教育条件がほんとに貧しい)において、いつも「『社会教育』は新しいのだ!」ということをあちこちで言い続けていて、今回の研究会もまた自分たちの立ち位置をあらためて考えさせてくれるひとときとなった次第です。
感想
Ⅱ ・・・中村文昭 (長野県上田市公民館) 2022/4/29 21:45
 本日は研究会に参加させていただき大変ありがとうございました。また、最後には発言の機会をいただき、恐縮です。
 
今日お話をお聞きして、一番なるほどと思って、感銘を受けたのは、三多摩テーゼの4つの役割が、集会の権利、表現の自由、学問の自由、そして生存権のことと結びついていて、その具現化である、という部分でした。三多摩テーゼを、都市型公民館の枠内だけで見ていては、狭いのだと、気づかされました。実際、戦後の歩みの中で、集落の活動の中においても、三多摩テーゼの四つの役割は、憲法価値の具現化という観点から、大切になってきたのだと思います。例えば、長野県では、多くの集落公民館は、分館と称されており、それが自治会とも併設されています。公民館活動としての分館活動においては、本館において三多摩テーゼの4つの役割が掲げられていることを、その分館活動の運営の中で「参照」することで、集落においても憲法価値が「取り入れられる」という様子が見られます。戦後の歩みでは、封建的な地縁組織にどう戦後民主主義の価値を反映させていくか、そのことの一つの場面として、公民館分館、集落公民館があり、松本や飯田の公民館研究の中で、あきらかにされてきたことなのだと思います。また、多くの長野県の公民館では、そのような歩みをたどっていると、私は思っています。一方、都市の公民館で行われていた系統的な学習、三階建て論の「私の大学」的な学習の部分は、長野県の中でも都市化が進んだ地域に立地する公民館ではがんばって取り組んでいますが、一方、そういう公民館では、地縁組織が薄く、分館活動が弱いのが実態です。
 『公民館60年ー人と地域を結ぶ「社会教育」』(月刊社会教育1996年12月号→■)の冒頭で、文人先生が、第五世代公民館論として、地域創造型の公民館、を提起されておられました。その観点は有効性を保ち続けていると思います。農村・集落型と都市型を対立的にとらえるのではなく、地域崩壊と憲法的価値の凋落に対応すべく、両方を総合して追及して公民館を創造し続けていくべきなのだろうと、私は思います。ただ、言葉に含まれている歴史的イメージの強さは大きく、社会教育、生涯学習、公民館という「言葉」を使うなかでは、新しさを打ち出しにくいと多くの人が思っているのではないか、と思っています。これも、7~8年前、松本の市民芸術館で小林文人先生が講演されていたとき、社会教育法を素直に読めば地域づくりのこともすべて入っているのだから、どうどうと「社会教育=地域づくり」なんだと言っていけばいい、とおっしゃっていたことを、思い出しました。
 とりいそぎ、本日の研究会、Zoomでの運営という、大変なご苦労の中、こうして参加させていただけたことに、大変感謝申し上げます。
久しぶりイーストビレッジ。左より江頭、森田(北海道)、安井(杉並)、店ご夫妻と山口写す、20220429)




101.2022年3月定例(第290回)研究会ご案内
        *上田孝典・筑波大学(2022/03/16  21:34)
 3月25日の定例研究会は、年表(暫定版)を資料に、日中国交正常化50年の歩みを確認しながら、日中の教育交流について議論したいと思います。(報告:上田孝典)
 黄丹青先生(目白大学)には、日中国交正常化により、いち早く国費留学生として来日されてからのご経験を踏まえた話題を提供していただくようお願いします。下記の通り、よろしくお願いします。
TOAFAEC3月定例(第290回)研究会、第28回中国研究フォーラムと合同 (Zoom開催)

  ・日時:2022325()20:002130Zoom開場1950
  ・テーマ:日中国交正常化50年の歩みと教育交流
  ・話題提供:上田孝典(筑波大学)、黄丹青(目白大学)
 1972年の国交正常化以降の日中関係史と両国の教育を振り返りながら、とくに社会教育・生涯学習をめぐる教育交流の足跡について、自由に語る場にしたいと思います。
・申込み:ueda@human.tsukuba.ac.jp (上田)に、324日までに、メールでお申し込みください。
 Zoomアドレスをお知らせします。
※参加者のお名前は共有します。
 ※終了後(21402230)自由討議・交流会
記録 祁暁航:キギョウコウ、2022/03/26 (土) 00:28)*北海道大学・院
○参加者(敬称略・順不同):小林文人、新保敦子、山口真理子、上田孝典(報告1)、黄丹青(報告2)、
 内田純一、包聯群、李正連、呉世蓮、張鼎甲(筑波大学・院)、沈明明、李天睿、祁暁航(記録)
〇内容:
 日中国交正常化からこの50年間、「ハネムーン期」のような親密関係がありながら、外交的緊張の時期もありました。それでも、この50年間、両国の教育分野での交流は絶えずに進んできました。「日中国交正常化50年の歩みと教育交流」をテーマとして、上田先生によって両国の政治環境の変化と教育政策の展開について、作成された年表に基づき、詳細な説明をいただきました。時代とともに両国においてそれぞれの方向性を持っていたことなどが分かってきました。
 特に上田先生は、50年の各段階において中国の政策の動向・新しい展開を明確に描き出されました。1970年代における日中国交正常化、そして「文化大革命」による教育の混乱・影響後の時代的な展開があり、1980年代の「日中蜜月期」には相互の交流が緊密になっていったこと、中国においては高等教育の回復や「義務教育法」の発布等により、教育の改革が軌道にのり、また普通教育と職業教育が「ニ本足」で両立していくこと、この時期の「成人教育」が新しく動いていくなど、教育機会の拡充がすすむ動きが説明されました。
 1990年代の鄧小平時代の改革開放政策のもと、中国国内において民主化運動への対応や市場経済改革の施策の影響を受けて、経済発展に資する人材を育成するために、成人教育の促進も目指されて多くの施策が動いていきました。
 21世紀に入ると、WTO加盟を機に,「グローバル社会の一員として認められる」中国が、次第に国際大国になっていく動き・諸動向が説明されました。特に経済発展の不均衡によってもたらされた地域格差や教育不公平の拡大に対応した教育政策の補完・調整、「学歴社会の是正」や「生涯学習の広がりと学習型社会建設」を目指した総合的な教育改革への動き、そして社区教育奨励が新しい施策として登場しました。一時期、日中間の政治的な緊張の時期があり、状況が複雑化し、さらに2010年代になると、中国では「素質教育の徹底や歴史観教育」が強化されたほか、とくに社区教育が「末端統治の技術」として展開されるようになりました。
 日中交流の歴史を背景として,TOAFAECの発展史も再確認されました。1995年以降の多様な活動の中で、日中交流をはじめとする東アジア各地とのさまざま新しい研究交流の集いが取り組まれ、年報発行と研究会の議論を通じて東アジアの生涯学習そして社区教育についての論議が進められてきたことなどが話されました。
 1980年以降には、改革開放政策のもと、各地域から多くの留学生が登場し、その先駆的な来日として、国費留学生として黄丹青先生(目白大学)の報告がありました。TOAFAEC 年報に数多くの資料を紹介され、2000年以降になると、社区教育や東アジアフォーラムなどに数多く参加され、ご自身の経験にもとづくご報告は興味深いものがありました。
 質疑応答も活発でした。その中には、国際交流において相手が共感を得られるような言葉使いはどのようなものか、また複雑化する国際環境の中でいか研究協議を進めていくかなど。出席者の皆さん特に留学生たちの関心とも重なっています。その後、新保先生も1980年代初頭の北京留学のことを懐かしく語られました。両国の温かい交流が始まった時期、北京師範大学の留学として多くの心温まる人々との出会いに包まれたこと、印象的な留学の経験をうかがうことができました。留学生は国際交流の重要な媒介ですから、互いに留学生を大切にすることが重要でしょう。
 小林先生は、1980年代に日本に留学してきた中国人留学生のことを思い出し、厳しい経済状況の中でも懸命に勉強する姿を見て、研究室での「中国語学習会」によ援助の思い出を語られました。出席した中国人留学生に良い励ましになったと思います。国際環境の急速な変化にも関わらず、日中両国の明るい未来を目指して、相互の交流を重ねるとともに、留学生の役割が大事であり今後の役割が期待されます。


100
.2022年2月定例(第289回)研究会
      (
江頭晃子、2022/02/19 (土) 09:35)
 <2月定例会: 「竹富公民館のいま ~うつぐみの島から~」ご案内>
 1月29日の「ブラタモリ」の竹富島の放送を見られた方もいらっしゃるかと思いますが、今月の定例会ははオンラインの利点を活かして、東京から約2000キロ南西にある竹富島(八重山)のお話しを伺います。
 南西諸島の小さな島、厳しい自然環境の中で、自然を敬い、集落を守り、ともに生きてきた竹富島は、島全体が国立公園、重要伝統的建造物群保存地区に指定され、「種子取祭」は国の重要無形民俗文化財、またミンサーと上布は伝統的工芸品に指定されています。豊かな文化が「うつぐみ」(打つ“組む”、協力する)」のもと継承されてきました。
 竹富公民館は、島の祭事行事を保存継承してきた住民自治組織であり、コミュニティの核となってきました。3つの区から代表を出し、「公民館議会」(運営審議会と言わない)が活発に機能し、総会はすべての住民が参加する島の最高決定機関。また、2002年には,NPO法人「たきどぅん」が発足。公民館を応援する組織としての独自の役割も果たしてきました。文化遺産の持続だけでなく、継承者を育てること、そしてユネスコの世界遺産への登録を目標に活動しています。1986年に制定(2017年改定)の「竹富島憲章」(売らない、汚さない、乱さない、壊さない、生かす)は全国的な注目を集めてきました。阿佐伊拓さんから、現在の公民館活動やNPO法人たきどぅんの活動など「竹富島のいま」についてお話しを伺います。これまでの竹富島の公民館や「竹富島憲章」については、以下の文献をご参照ください。いづれもホームページに掲載されています。
 ①「竹富島憲章」と竹富島の暮らし」(阿佐伊拓)
   TOAFAEC『東アジア社会教育研究』第22号(2017)所収論文
 ②「竹富島の集落組織と字公民館」(小林文人、2008)http://bunjin-k.net/taketomironnbunn08.htm
 ③「竹富島憲章と竹富公民館」(対談:上勢頭芳徳・小林文人、2007)
  http://bunjin-k.net/taketomitaidan07.htm
◆TOAFAEC 2月定例(第289回)研究会(Zoom開催)
・日時:2022年2月25日(金)20:00~21:30(Zoom開場19:50)
・テーマ:竹富公民館のいま~うつぐみの島から~
・話し手:阿佐伊拓さん(NPO法人たきどぅん、竹富島を守る会・会長)
・申込み:ringox@nifty.com (江頭)に2/24までにメールでお申し込みください。
 Zoomアドレスをお知らせします。※参加者のお名前は共有します。
※終了後(21:40~22:30)自由討議・交流会

記録
 (江頭晃子 2022/03/01(木) 12:21)
参加者:上野景三、うそまこと、江頭晃子、岡幸江、祁暁航、小林文人澤田智佐恵(大和市生涯学習
     センター)、武田拡明、包聯群、山口真理子
内容:
 「今まで、島の年寄りにお叱りを受けていたところです。自分の言動が思わぬように捉えられることもあります」「今日の話は一島民としてであり、島を代表しているわけではないことを承知していただきたい」と阿佐伊さんは言葉を大事に始められました。途中から、小林先生と対談のかたち、参加者からの質疑応答を交えながら話されました。お話は次の通り。

 1月29日にNHKで放映された「ブラタモリ」の竹富島放送は、準備期間が1年近くあり、台本の監修もし、撮影も一緒に周りました。島のことをよく伝えられた番組になったと思います。タモリさんが歩いたところをと来島する人もいますし、島をよく知っている人からは、井戸水の苦労話、農耕と祭祀のつながり、西塘のことなど、もっと入れて欲しかったなどの意見もありました。
 竹富島は人口364人、3集落からなります。竹富公民館は、1917年に竹富島集落民の自治組織として竹富「同志会」が創立されたことに始まり、「部落会」をはさんで、1963年に公民館制となります。規約に定められた「公民館議会」(運営審議会と言わない)は、3集落から各3名、加えて顧問、長老、踊り師匠、町議会議員で構成されており、議会決議で島の方針が決まります。執行役は、公民館長1人(選考委員会で選任・月10万)、公民館主事2人(3集落で持ち回り・月3万)です。
 年間19の祭事や敬老会を滞りなく行うことが竹富公民館の使命で、公民館長は祭主を務めます。公民館活動のため(年間400万)、種子取祭(400万)の資金集めもあります。公民館会員は在住成人 280人で年齢や性別により会費額が定められ、祭りはほぼ寄付で賄います。以前は、祭りだけやっていればよかったのですが、今は行政(竹富町)との連携、竹富島出身者で構成する郷友会(東京、沖縄、石垣)の窓口、少し前までは年間50万人の観光客の落とし物業務まで行っていました。とても自分の仕事をする暇はないほど、しかし公民館役員になって初めて一人前と信頼される大事な役割です。
 島民の生業は、9割が観光業で、1割がエビ養殖・公務員・郵便局員などです。大学進学・社会人等で、多くが島を出て20代後半ぐらいになると「帰って来いよ」という働きかけをします。竹富で育った人は、祭りの経験や年寄りからの話を聞いていて、竹富精神が染みついています。竹富精神は、西塘精神の「うつぐみ」…など言語化が難しく、人によって捉え方も微妙に違いますが、簡単に言うと、相手のことを敬う。相手の思想や姿勢を敬う。考えが違ったとしても一度は敬うということでしょうか。とにかく人が居ないと島の暮らしはなりたたず、小さい島で逃げる場もないので、相互に尊敬しあうというのが、育つ中で染みついており、島民独特の雰囲気があるように思います。ゆっくりとすすめて周りの人が納得したり、自然に解決するまで待つ流れもあります。「うつぐみ」の捉え方もそれぞれですが、私的には「みんなで心を一つにして、島の発展を願う」と考えています。「みんなが集まること」「みんなで話し合うこと」が「うつぐみ」という人もいます。共同体の精神です。でも最近は、なるべく「うつぐみ」を乱用しないよう、肝心な時だけに使おうという意見が多く、「ブラタモリ」でも出てこなかったと思います。
 移住者は1/3おり、1995年に260人まで人口が減りましたが、現在は,350人前後で変わりません。「島ならい」という制度があり、みちふしん(道掃除)・海浜清掃など一緒にしたり、島の歴史・祭りの話を年寄がしたり、祭りに参加することで島民になっていきます。竹富島のブランドだけを利用して全く関わりを持たない人も少数ですがいます。ホテル「星のや」のスタッフたちも熱心に島の文化を取り入れようとはしていますが、住む家が無いので、多くが通いなのが残念です。住まないと分からないことが多いのです。
 沖縄全体としても大和化がすすんでいると感じていて、文化や言葉、景観が変わるとともに、アイデンティティが失われてきているように思います。「ムニバッキター(シマの言葉を忘れたら)、シマバッキ(生まれ島も忘れ)、シマバッキター(生まれ島を忘れたら)、ウヤバッキルン(親までも忘れる)」という竹富の格言があります。いま、年寄りの多くが、「伝えないといけない」と思いが募り、焦っているのがよく分かります。公民館、郷友会、NPO、文化財保護・各種委員会などの活動を、どう継承していくか。53歳の自分の世代は上から下の世代につなげていく世代で、話を聞き、しかられ、ほぼ毎晩、公民館運営検討委員会、財産権利委員会、、郷友会、PTA、町並み調整委員会 …などいろんな集まり・活動を通して役割を果たしていく。3月末には新しい公民館長の選任があり忙しい日が続きそうです。
 参加者からは、「祭りを通して観光客を楽しませるだけでなく、文化継承にもつながっているのが面白い」「観光とは人と地域のの交流であり、公民館(まちなみ館)などで夜の楽しいプログラムなど組めないものか」「公民館費を収入ではなく年代で区切っているのが意外」「民宿に泊まった時、朝、サヤサヤと道掃除をする音で目がさめた、忘れられない」「共同の新しい形がある」など、面白い感想が寄せられました。
竹富島まちなみ館(竹富公民館、2006年11月)



99.
2022年1月定例(第288回)研究会記録 

      李 正連(2022/01/13 (木) 15:23)
 <【第288回(1月)定例研究会のご案内】>
 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 コロナ感染状況もそろそろ落ち着くかなと思いきや、再びここ数日急増していてガッカリしています。くれぐれもお気を付けください。
 さて、本年初めての定例研究会を以下の通りに開催させていただきたく思います。 今回の定例研究会では、年報27号に向けて、アイデアや意見を出し合い、話し合う時間にしたく存じます。今年は、日中国交正常化50周年、沖縄復帰50周年を迎える年でもあります。この二つの50周年も含めて、皆さんからの多様なご意見・アイデアをお寄せいただければ幸いです。多くの方のご参加をお待ちしております。
 =====
〇日時:2022年1月28日(金)20:00~22:00
〇内容:年報27号編集・特集構想等についての意見交換
             (「特集案」を募集します!)
〇実施方法:Zoomによるオンライン会議(Zoom URLは当日午前中にお送りします。)
〇参加申し込みは、下記のURLにアクセスしていただき、1月27日(木)までにお申
し込みください。研究会当日の午前中にZOOM 情報をお送りいたします。
 https://forms.gle/NHDgzJKUQiGrFrKj6
記録        李 正連(2022/01/28 (金) 23:26)
○参加者:小林文人、上野景三、山口真理子、内田純一、黄丹青、石井山竜平、上田孝典、
    江頭晃子、包群聯、山口香苗、キギョウコウ、呉世蓮、松尾有美、李正連(敬称略)
〇内容:
 本日(1月28日)、年報27号の第1回編集委員会が開催されました。感染状況がなかなか落ち着かず、3年連続のオンライン編集委員会となりましたが、いつもより多くの方にご参加いただき、充実した議論になりました。
 今回の編集委員会では、主に特集のテーマについて話し合いました。沖縄復帰50年と日中国交正常化50年を特集としてどのように扱い、構成していくのかが、主な内容でした。それぞれの50年を別々に扱うのではなく、東アジアという枠組みの中でどうとらえ、位置付けていくのかについて意見を交わしました。
 「東アジア社会教育・生涯学習50年」(仮)というテーマとし、沖縄と中国に関する基調論文とともに、韓国と台湾からもそれぞれ社会教育・生涯学習50年を振り返る論文を出していただくことにしました。そして、より多くの方の意見や考えを共有し、それぞれ東アジア社会教育・生涯学習50年をどのようにとらえているのか、そして今後の課題や展望について話し合うため、座談会を設けることにしました。座談会は4月もしくは5月の開催を考えていますが、決まり次第、改めてご案内いたします。
 次回の編集委員会は、2月16日(水)20時からです。
引き続き、年報27号へのご関心、ご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。


98.12月定例(第287回)研究会・記録 
   ー東京社会教育史研究フォーラム第47回と合同
     ・テーマ:第11期東京都生涯学習審議会・建議を読むー青少年教育振興の今後の方向ー
                    (石川敬史、2021/12/06 18:21)
 東京社会教育史研究フォーラム第47回・12月定例(第287回)研究会ご案内です。ちょうど昨年の11月,梶野光信さん(東京都教育庁)に「大都市・東京の社会教育2016 その後の動き」と題してお話いただきました。加えて,社会教育行政研究のアプロ―チに対する問題提起もいただきました。当日の記録は以下ご参照ください。
(「第45回・2020年11月(TOAFAEC定例・第275回と合同)研究会ご案内」を参照)
  →https://secure02.red.shared-server.net/www.bunjin-k.net/TokyoForum2016.htm
 この間の東京の社会教育の動向にも注視しておりましたが,本年の9月に第11期東京都生涯学習審議会から建議がまとめられました。これまでに東京社会教育史研究フォーラムにて梶野さんにご報告いただきました若者支援の蓄積や,今後の東京都青少年教育振興の在り方がまとめられています。
 そこで,第47回の東京社会教育史研究フォーラム(TOAFAEC 12月定例(第287回)研究会)では,東京都社会教育主事の梶野光信さんより,建議の意義やこれからの東京社会教育についてお話いただきます。梶野さんから,早速次のようにメッセージをいただきました。
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 2021年9月24日、第11期東京都生涯学習審議会は「東京都における今後の青少年教育の在り方について」という建議を東京都教育委員会に報告しました。この建議は、平成4(1992)年7月に東京都生涯学習審議会が設置されて以降、初めて社会教育固有の領域をテーマに据えたという特徴があります。今回は、教育行政において、今後社会教育はどのような位置付けをもつのかいくのかという課題も視野に入れながら、担当者(草稿執筆者)として、本建議が持つ意義等について報告したいと考えています。 
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 年末のお忙しい時期の開催となりますが,建議の草稿を担われた梶野さんの貴重なお話になります。みなさまのご参加をお待ちしております。
・日時:2021年12月24日(金)20:00~21:30(第二部 21:40~22:30質疑・交流)
・テーマ:第11期東京都生涯学習審議会 建議を読む ー青少年教育振興の今後の方向ー
・報告者:梶野光信さん(東京都教育庁地域教育支援部主任社会教育主事)
・申し込み:12月22日(木)までにお名前とメールアドレスを申し込み先にお送りください。
 前日までに(もしくは当日の午前中までに)ZoomのURLをお知らせいたします。
・連絡先:Zoomお申込み先 → takashii@jumonji-u.ac.jp(石川あて)
・資料:「東京都における今後の青少年教育の在り方について」(東京都生涯学
 習審議会:2021年9月)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/09/24/documents/05_01.pdf
記録:石川敬史(2021/12/25 18:42)
参加者(敬称略):井口啓太郎,江頭晃子,梶野光信,栗山究,小林文人,齋藤真哉,執行治平,
 中村(持田)津希子,的野信一,山口香苗,山口真理子,石川敬史
◆内容:
 第47回東京社会教育史研究フォーラム(TOAFAEC(第287回)定例研究会)は,昨年(2020年12月;第45回)に引き続いて、梶野光信さん(東京都教育庁地域教育支援部主任社会教育主事)よりご報告いただきました。2021年9月の第11期 東京都生涯学習審議会による建議「東京都における今後の青少年教育の在り方について」には,東京都における今後の青少年教育振興の在り方がまとめられています。この建議がまとめられた背景や意義を中心に,東京の社会教育行政の動向についてもご報告いただきました。
 まずは,2002年度以降の東京の社会教育行政の歩みを振り返り,先駆的な取組としての「地域教育プラットフォーム」構想(第5期東京都生涯学習審議会答申)や,高校連携の契機となった都立高校教育支援コーディネーター事業,さらには近年の動向として、学校内にコミュニティづくりの拠点としての「コミュニティハウス」(東京都清瀬市)の事例について、お話いただきました。そして今回の建議の背景として,「ユース・プラザ」や「旧子どもの城」の今後について、という施設的な側面とともに,これまでの東京社会教育行政の積み重ねに基づき社会教育部門からのアプローチに対する機運があったとのことです。
 建議には一般的な建議とは異なり,参考文献も充実し,これまでの青少年教育の歴史を整理したうえで,あるべき姿を示した論文のような内容となっています。とりわけ梶野さんが強調していたことは,従来の「青年期」の捉え方に対する疑問に対する「新成人期」という考え方の提示,そしてユニバーサルアプローチ型の施策を土台に、ターゲットアプローチ型の施策を堅持していくことです。そのためにも,現場での実践を重ねているNPO 等のネットワークを通じて,青少年教育の推進者としてのユースワーカーの役割の明確化が求められていると指摘されました。
 意見交換では,東京都と区市との関係性やつながり,都民との関係性(バックアップや支援の在り方),ユニバーサルアプローチに対する行政評価の考え方,高齢者に対する社会教育としてのアプローチの方法や展望,博物館改正に係る文化行政の在り方,さらには戦後東京社会教育史を俯瞰したうえでの現在の社会教育行政の位置づけなど・・。途中休憩をはさみながらも,あっという間に23時となりました。
 ここ数年,東京社会教育史研究フォーラムは、年末の時期の開催となっています。今回の梶野さんのご報告と活発な意見交換,そして建議を読み進めていく中で感じたことは,歴史を踏まえながら「大都市」東京の社会教育の動向にしっかりと向きあい続けることの重要性です。コロナ禍ではありますが,地域における人と人とのつながりとネットワーク,そして多彩な学びの創出は不変であることを感じています。小林文人先生からもご指摘いただきましたが,東京社会教育史研究フォーラムは年末の研究会開催に留まることなく,共同研究としての活動をしっかりと進めていくことの大事さも改めまして痛感いたしました。


97.11月定例(第286回)研究会
    4279号【11月11日】
江頭晃子(2021/11/11 07:10)
 <11月定例(第286回)研究会:「労働者協同組合」を考える①>
 今回の定例会は、「労働者協同組合法」が2022年10月に施行されるのを機に、「労働者協同組合」とは何かについて、長年ワーカーズコープで活躍されてきた上平泰博さん(元専務理事)にお話しを伺います。
 労働協働組合法では、働く人や市民が出資して組織を作り、経営や事業にも自ら責任を負って参加する組織を非営利法人として、より簡便に設立することができるようになります。「多様な就労の機会を創出」「地域における多様な需要に応じた事業」を促進する目的(第1条)を掲げた法は、どのように展開され、社会教育や市民活動とどのような連帯が可能になるのでしょうか。
 今回は基礎編と位置づけ、労働者協同組合の歴史や概要、法制定の経過や目的・提起することなどのお話を伺います。どなたもどうぞお気軽にご参加ください。
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TOAFAEC11月定例(第286回)研究会(Zoom開催)
・日時:2021年11月26日(金)20:00~21:30(Zoom開場19:50)
・テーマ:労働者協同組合とはなにか―その全体像
・話し手:上平泰博さん(ワーカーズコープ)
・申込み:ringox@nifty.com (江頭)に11/24までにメールでお申し込みください。
 前日にZoomアドレスをお知らせします。
※参加者のお名前は共有します。
※終了後(21:40~22:30)自由討議・交流会
記録
:江頭晃子(TOAFAEC)   
・参加者:李正連、内田純一、江頭晃子、上平泰博、姜乃榮(カンネヨン)、祁暁航(キギョウコウ)、小林文人、竹中薫、立柳聡、ハスゲレル、包聯群、真壁茂樹、持田津希子、山口真理子 
・内容
 私の両親の田舎は三重県で、私は名古屋で育ったものの叔父と叔母のいる田舎で夏休みなどは育てられた。従弟を入れると総勢64人もおり、最年長の従兄弟は文人先生と同じ年齢で、子どもの頃は少なくとも年に1度は親戚に出会うほど血縁共同体が強く、思春期を迎えたとき親戚を含め、強すぎる人との関係が嫌で東京に出て行った。当時日本の濃密な人間模様は、私たちだけではなかったように思う。
 ところで、日本ではなぜcommunityを共同体とは訳さなかったのか。封建主義的な「共同」と近代的な「協同」とは、対立的に捉えられることが多かったが、community という共同の中にあって、Association としての協同cooporative が生まれていたのではないかと私は考えている。
 1895年には国際協同組合同盟が結成され、ヨーロッパとくにスペインやイタリアでは労働者協同組合の形態が非常に多く、韓国も協同組合基本法が2012年には出来ている。協同組合のアイデンティティについていえば、自発的、民主的管理、経済的参加、自治と自立、教育・研修、協同組合間の協同、地域社会への関与と7つの行動原則をあげている。
 日本の労働者協同組合連合会(ワーカーズコープ)は1980年代に「失業と貧乏をなくし、戦争に反対する」と、清掃事業から始まっている。障がい者やひきこもりの人々にとって、生産合理性と効率主義の社会では働きづらい人が多く、非エリートでも専門性は求められ、なおかつ事業経営や運営にも参画となると大変で、外部からは賃金が安いとか質が悪いと言われることも多かった。子育て関連事業の多くは行政補助があることを前提にした指定管理者事業であった。地方の自治体では行政予算は少なく委託する体力もなく、「FECH自給圏コミュニティの創造」事業(フード(食)、E=エネルギー、C=ケア、H=ホーム)など赤字も覚悟して、新たな地域循環型の経済を創造的に作り出していった。行政の委託事業に留まってしまいがちな首都圏だけでなく、地方での展開は質も高いだけに新たな労働者協同組合の方向性を示しているようにも思う。映画「WORKES」をぜひ見て欲しい。日本の協同組合関係法は、農業協同組合や水産、森林業、消費生活協同組合(生協),信用組合など個別法で対応してきた。その最後を飾る形で2020年12月4日「労働者協同組合法」は成立、来年10月1日施行される。従前の個別法ではなく基本法をつくるべきという議論もあったが。超党派議連によって、この法律を通した意味は大きく、自民党にも大企業の存続だけでは日本に未来はないと思う人も多かったのではないか。資本主義でも社会主義でもない「協同組合主義」のような形態が今後どのように展開されていくかが注目される。
 参加者から:法制化されたことは素晴らしいが、引き続き社会運動性を欠落させてはいけない。韓国も協同労働組合の中間支援組織をつくったり、行政の補助金等を活用して、資本主義に対抗できるような地域の中での自主経済をつくっていけるように努力している(姜乃榮)。地域の中で働く労働者がつながり学習していくことで砂川では公民館や図書館づくりが広がり、砂川闘争にも繋がっていった(真壁)。高知では公民館や若者支援、病院の清掃などをワーカーズコープが担っており、6月には労働者協同組合法成立記念集会が開催された。高知市も税金の1%を使って事業を立ち上げる人を支援しようと動き出している(内田)。東京の社会教育が衰退していく中で、同法を使って図書館・文庫など社会教育施設にどのようなインパクトがあり得るのか(小林)。中国には存在しないし市民組織的なものは専門家を中心とした組織が多く地域ベースにはなりえていない。地域の住民組織が発展する必要がある(祁暁航)。などなど議論はつきませんでした。同法施行後の動きについてまた報告していただくことをお願いして終了しました。
13年前の上平泰博さん、TOAFAEC第141回定例会
  (2008年7月25日)「地域でつくったNPO児童館のあゆみ」)




96.
10月定例(第285回)研究会

            李 正連(2021/10/07(木)21:32)
 <10月定例(TOAFAEC・第285回)研究会・『東アジア社会教育研究』第26号合評会>
 昨年12月に年報25号が出されてから、1年も経たないうちに26号が刊行されました。皆様のご協力があってのことだと思います。この場を借りて心よりお礼申し上げます。
 今号の特集テーマは、「東アジアにおける市民の学び」です。2000年代に入ってから、中国や韓国、台湾の東アジア諸国・地域においては公的社会教育・生涯学習の基盤づくりに加え、最近は地域づくりにおける住民参加や住民自治への意識も高まり、市民の学びにも注目するようになってきています。
 一方、日本では、近年公的社会教育の弱体化が進んでいるといわれていますが、NPO や市民による学びや活動は相変わらず活発に行われています。そこで今回の特集では、日本をはじめとする東アジア諸国・地域における市民の学びに注目し、市民が自主的に、もしくは行政と協働しながら、自らの生活や地域、さらには社会づりについて学びあい、取り組んでいく動きについて検討しました。
 そして、新型コロナウィルス感染症により、オンライン開催となった「東アジア生涯学習研究フォーラム」(2021年2月27日)の報告も掲載しています。なお,今号からは「書評・図書紹介」欄も新たに設けましたので、是非ご一読いただれば幸いです。
 下記のように26号の合評会を開催いたしますので、奮ってご参加ください。皆様からの忌憚のないご意見・ご感想をいただけますことをお願い申し上げます。
日時:10月29日(金)20:00~22:00
内容:〈話題提供〉小林文人先生
 〈特集執筆者からのコメント〉齋藤真哉さん(板橋区大原生涯学習センター)ほか
  各執筆者・投稿者・参加者(26号合評)
開催方法:Zoomによる開催
ご参加を希望される方は、10月28日(木)までに下記のURL にアクセスし、申し込んでください。
 申し込んだ方には、研究会当日の29日にZoom URLをお送りいたします。〈申し込みURL〉   →  
 →https://forms.gle/7aiNVPSspHvup1yJ8
 お問い合わせ先:李正連(aozora999@hotmail.com)
ご報告 金亨善(,Kim Hyoung Sun)、2021/10/30(土)23:4)
参加者: 小林文人、李正連、山口真理子、山口香苗、石井山竜平、平山敬子(板橋区民)、三嶋蓉子(板橋区民)、齋藤真哉(板橋区教育委員会・執筆者)、佐治真由子(川崎市役所・執筆者)、大山宏(駒澤大学非常勤講師、執筆者)、松尾有美、姜乃榮(韓国・ソウル)、内田純一、包聯群、ハスゲレル、黄丹青、金亨善(敬称略、計17名)
内容
 今回の研究会では、年報26号の合評会を行い、編集委員会のみなさんや執筆者の方々が参加しました。特に、昨日は斎藤さんをはじめ板橋区の活気あふれる事例を書いてくださった方々が多数来ていただいたので、板橋の話を中心に振り返りを行いました。
 最初は小林先生から話題提供を受け、今度の「市民の学び」という年報特集のテーマから、東アジア各国の社会教育、「市民の学び」の動向がわかる貴重な事例がたくさん見られたこと、特に中国の事例が興味深かった等のご意見をいただきました。それは、理論だけではなく、事実をベースとしたモノグラフから現場の様子が伝わる文章になっていたからだというコメントもいただきました。確かに私自身も、日本にいながら韓国のことについては、年報の動向整理をすることによって知る機会となることもあるため、各国の状況を継続的に追いかけることの大事さを常々感じております。
 板橋区の事例に関しては、三嶋さんや平山さんのお話を聞きながら子どもを軸として PTA活動と地域活動を通して横のつながりができたり、社会教育ということを意識せずにただ一生懸命に学習活動に取り組んでいたその課程自体が実は社会教育そのものだったという経験について語ってくださったご両人の声が心に残りました。
 また、今後の課題として、「市民の学び」というテーマが実はより運動として捉えられるべきものとして、そのラディカルな動きもより積極的に考えていく必要についてご意見がでました。今回の研究会でみなさんが色々熱く語ってくださった話の共通認識として、東アジアの集いが「他者との出会い」を継続する機会としてやり続けることの大事さを感じました。
 次号のテーマに関しては、沖縄返還50周年や日中国交正常化50周年などを念頭に置きつつ、また別途の時間を持って検討することとなりました。


95. 9月定例(第284回)研究会
              江頭晃子(2021/09/12/22:39)
 <9月(24日)定例(第284回)研究会・じんぶんヒストリー第6回・ご案内>
 今回は「じんぶんヒストリー」第6回目になります! お待たせしました。
 東京での「若き研究者」としての文人先生の話が続いています。第4回は社会教育の学会活動や運動体、地域との関わりなど、第5回は沖縄研究について、そして今回の舞台は「東京学芸大学」です。これまでの記録はホームページに記録されています。→■http://www.bunjin-k.net/jinbun2018.htm
 1967年に東京学芸大学へ(36歳)、当初は教育社会学の担当。社会教育は選択科目としてわずか2単位のみ。教員養成大学の狭さや硬さとの格闘(カリキュラム改造やゼミ単位・卒論導入など)、学閥との闘い、社会教育の単位開設と主事資格取得への取り組み、とくに博物館学開設の歩みが画期的。
 1974年に社会教育担当教員1名増、1979年に社会教育主事そして1982年には博物館学芸員資格取得が実現しました。この間、1980年に教官研究室が相部屋から一人部屋となり、加えて「社会教育研究室」(実験室)スタートが大きな前進、ゼミ・諸活動の拠点となりました。1987年に社会教育講座(大学院)開設、さらに1988年、学部の新しい教養課程に「生涯教育」3コースが開設、へと拡がっていきます。教員体制1名から、なんと5名へ(図書館学を含む)。
 一方、1980年代には学生部長、1987年に図書館長(各4年間)の管理職も歴任、学生運動との対峙もありました。大学管理棟封鎖の学生ときわどい深夜の交渉も。
 学生とのかかわりでは、新「研究室」を舞台に自主ゼミ・読書会・中国語学習会等が始まり、また「麦笛」「麦の子」など児童文化運動系のサークル顧問、沖縄研究会、留学生向けの「アジアフォーラム」。1990年代になると、東京各地に胎動してきた日本語学級・識字実践の調査に取り組み、東京では初めてとなる報告書刊行。
 研究室の冷蔵庫には、泡盛やビールがあり、学生だけでなく三多摩の職員や市民との交流も。大学を市民に開く動きが、小さな社会教育研究室を拠点に取り組まれた15年の実験とも言えましょう。(1995年退職、和光大学へ)。
 大学は市民・運動にとってどのような存在なのか。地域・自治体にとって大学はいかなる役割を果たしうるか。その拡がりのなかに学生たちはどう参加するか。当時の「社会教育研究室」物語を伺いながら、「地域・市民と大学」の関りについてご一緒に考えていきたいと思います。どなたもどうぞ、お気軽にご参加ください。
◆じんぶんヒストリー第6回、 TOAFAEC9月定例(第284回)研究会(Zoom開催)
・日時:2021年9月24日(金)20:00~21:30(Zoom開場19:45)
・テーマ:学芸大学・社会教育研究室物語
・話し手:小林文人先生
・申込み:ringox@nifty.com (江頭)までメールでお申し込みください。前日に
 Zoomアドレスをお知らせします。※参加者のお名前は共有します。
〇終了後(21:40~22:30)質疑応答・懇親会、それぞれお好きな飲み物等をご用意ください。
記録 山口真理子(2021/09/26(日)21:22)
<9月定例(第284回)研究会・じんぶんヒストリー第6回・ご報告>
・参加者:石川敬史、上野景三、内田純一、江頭晃子、大前哲彦、小田切督剛、栗山究、見城慶和、
      小林文人、中村(持田)津希子、樋口寿美、松尾有美、山口真理子 以上13名(敬称略)

 九州大学助手、日本育英会専門員、九州産業大学助教授(社会学担当)を経て、1967年36歳に東京学芸大学助教授として赴任されました。東京学芸大学は戦前東京の5つの師範学校が戦後統合され大規模・教員養成大大学へ。戦前的体質を色濃く残し、大きな学部だけに、代議員会があり、年に数回の大教授会(体育館で)。教授会自治とはかたちだけの感あり。カリキュラムは教育職員免許法に大きく規定され、卒論やゼミは当時まだ単位化されず、選択科目の比重がきわめて少ない等。旧師範学校的な課題が残り、学生のカリキュラム改革の要求強く、赴任当初からカリキュラム改編をめざす学生ストに見舞われた想い出が語られました。また施設的には旧兵舎がまだ残り、とくにに図書館の貧弱さに失望。研究室は相部屋、50人教室のみが続く校舎。国立大学(とくに教員養成大学)に対する国の政策の貧しさを思い知らされたスタートだったと。そのなかに新しく「社会教育」「博物館」関係単位を開設し、各資格コースを実現していく「物語」が話されました。

 先生は学内・学閥的にはマイノリティ。組合活動に参加、果敢に改革に向けて奮闘。教授会で発言、学生とも議論、まず演習・ゼミ的な運営を工夫し、実質的にレポートを大きくして卒業論文を単位化するなどの試みから始まった。
 人文系研究棟新営(1980年)により研究室相部屋が解消し「社会教育実験室」が設けられることになります。施設的に画期的なことでした。ここまで13年が経過、しかし大きな前進。この日、とりわけ熱のこもったお話は、この「実験室」の様々な活動の創造的な取り組みについて。研究室を、教員の専有空間とせず、学生を主体とした学びの「公共空間」にしていこうというプロセス。レジメ〈文献〉にある
「社会教育研究室外史―ゼミの空間、曲折のあゆみの記録」(東京学芸大学教育学研究年報 第15号)を紹介され、一部を読みながらの説明でした。詳しくはホームページにも収録されていますので、この記録にぜひアクセスしてください。。
 →■http://www.bunjin-k.net/bunjinronbun.htm
 昼間は本来のゼミなどの研究指導。夜になると「大学」という枠を超えた集いの場となりました。沖縄研究会、中国語学習会、識字研究会、アジアフォーラム、季節行事(歓迎会、月見など)。研究室を外に開くベクトルを重視し、市民・自治体職員の参加を歓迎。加えて、80年代から新しく登場してきた留学生たちが参加するようになります。研究会や学習会ではありますが、そこでは、歌ありサンシンあり、酒もあり、先生の表現では「音も匂いもあった」空間でした。まさに外に開く研究室。私事で恐縮ですが、同じ年報(東京学芸大学教育学科「教育学研究年報」第15号1996年)に私も「社会教育実験室after5の小林先生」という小文を書いてます。

 研究室の活用は 社会教育主事資格取得の単位開設、博物館学芸員資格取得のコース開設の歩みと平行していました(図書館司書資格取得は「司書教諭」に関連して実現していた)。担当する教員は「教養課程」(教員養成=教育課程、以外のコース)新設(1988年~)により、教員体制は当初の1名(小林)から5人へと増員されたことが注目されます。国立大学で唯一といってよい博物館コースの開設とともに注目されました。また小林先生の管理職(学生部長4年、付属図書館長4年)にともなう非常勤講師枠によって、外部講師陣も豊富。研究室としての「講師歓迎会」は研究室最大の行事として定着していきました。特に博物館担当・伊藤寿朗さんを専任教員として位置付けることができたいきさつは、ちょっとドラマチック。
 休憩10分後は、参加者も交えて自由な懇談となりました。口火を切った上野景三さん(日本社会教育学会長)の話からは、先生の学生の育て方(?)や先生の研究に対する姿勢が披露されました。「論文指導」はなかった。一緒にフィールドワークするなかで学んだ」と。内田純一さん(高知大学)は「本からではなく、小さな事実から入りなさい、真実は細部に宿る」と。人形劇サークル「麦笛」の樋口寿美さんは「自分たちのことを“若きアーティスト”と呼んでくださって感激した」と「うそまこと」さん(当日欠席)を紹介。江頭晃子さんも、前述の年報に「“ひと”を咲かせる先生」という文を書いていますね。次の「じんぶんヒストリー」では、どんな展開となるでしょうか。
人形劇サークル「麦笛」の[月見]企画ーすすきとお月さま(社会教育研究室,19901003) 関連→■



94. 7月定例(第283回)研究会
       江頭晃子(2021/07/011 22:27)
ご案内 TOAFAEC の各研究フォーラムの中で、もっとも活発に動いている韓国フォーラム。年報26号掲載の「韓国この1年」玉稿も届き、躍動する韓国の平生教育から得る知見は大きいです。今回7月の定例研究会では、その中でも「マウル教育共同体ー世宗市の動き」について継続して書いて下さっている金亨善さん(東京大学大学院)にお話しを伺います。
 韓国研究フォーラムが編集・刊行した2017年『躍動する韓国の社会教育・平生学習』の中では、マウルづくり事業と草の根民主主義について梁炳贊(ヤンビョンチャン)先生が書いておられますし、また5月の定例会で話題となった中国「社区」教育や、日本の地域づくりと教育実践の動きとの関連・異同についても興味深いところがありましょう。
(以下、金さんからのご案内です)。どなたもどうぞお気軽にご参加ください。
 近年、日本の教育政策の動向からみられる「地域学校協働」の流れとともに、韓国でも学校と家庭、地域が協力し子どもの教育を支え、地域の教育力向上を図るという政策的な動きが出ています。その中で、今回は2012年に新しく発足した世宗市(特別自治体)の事例に焦点を当て、「マウル(地域)教育共同体」事業における各アクターの参加の様子、実践の展開、行政側の努力、コロナ拡大における課題等をみなさまと共有したく存じます。
 具体的には、韓国のマウル教育共同体政策、世宗市の実践における事例の現状・特徴、行政との関わり、コロナ禍における新たな課題・対策、マウル教育共同体の成果・意義、実践に関わった人たちの声、などについてお話する予定です。
・日時:2021年7月30日(金)20:00~21:30
     終了後(21:40~22:30)質疑応答・懇親・交流
・テーマ:韓国の地域平生教育-世宗市のマウル教育共同体事業を中心に
・お話:金亨善さん(東京大学大学院)
・形式:Zoomによるオンライン研究会
・参加希望の方は前日まで下記にお申し込みください。
・申込先:ringox@nifty.com (TOAFAEC事務局・江頭晃子)
報告 (呉世蓮、2021/07/31 11:47)
参加者(9名):金亨善、小林文人、江頭晃子、内田純一、山口真理子、李正連、林忠賢、松尾有美、
         呉世蓮(敬称略、以下同)
 本日の研究会では、「韓国の地域平生教育―世宗市のマウル教育共同体事業を中心に」のテーマに基づき、東京大学大学院の金亨善さんから発表がありました。主に、マウル教育共同体の取り組みと世宗市の事例のことでした。まず、マウル教育共同体は、韓国の少子高齢化や学校教育の競争システムへの再考により学校開放の重要性が叫ばれるようになりました。2000年以降は、平生(生涯)学習関連政策・事業の拡大が展開され、「革新教育地区」事業が注目されるようになりました。この事業は、住民自治と教育庁の協力により、地域全体の教育支援システムの構築を目指しています。
 「革新教育地区」の目的としては、①協力的教育ガバナンスの活性化による地方自治体との協力教育システムの構築、②地域社会と協力・疎通するマウル教育共同体の基盤づくり、③地域社会と連携した教育課程の多様化による人材育成、④公教育の革新を通して地域住民の公教育に対する信頼感の向上の4つであります。
 世宗市のマウル教育共同体の事例をみると、現在コロナの影響によりオンライン活動が主になっており、例えば、ヘアメイクに興味を持っている生徒に対して大学生が教師として関わり、オンラインから発信しているそうです。コロナの対応の特徴は、行政実行計画に従い、柔軟に対応しつつ、公務員向けの専門的相談支援などが行われています。また、基礎学力支援センターとして識字学力の支援とともに、教育共同体政策協議会も行われています。取り組みの成果として保護者と家庭教育との連携、子どもと生徒たちの主体的学習への刺激にもなったとみられます。課題としては、実施回数・人数の制限、保護者の参加に関すること、学習拠点となる地域施設の閉館、参加者同士の交流機会が減ってきたこと、マウル学校のスタッフなど人材の確保が挙げられます。
 金さんの発表は以上であり、発表に関して様々な意見と質問が出されました。大まかにまとめますと、次のようです。①韓国における「マウル」の意味合いについて、政治的な意味も持っているのか?「マウル」の意味として「町、村」などの広い意味をさすのか? 曖昧なところもあるのでは? という質問がありました。韓国の政治的な取り組みの流れとともに、生まれた「セマウル運動」とは違う意味であり、平生(生涯)学習として地域単位の取り組みの中に「マウル」の言葉が使われるということです。「マウル」は小さな単位でもありますが、住民たちの集会のあり方をみると、共同課題と学校教育と絡んでいきながら「マウル」の概念を使っているそうです。また、政策として「共同体」が使われることがありますが、むしろ自主的なボランティ活動の中心として行われ、住民が主体になり、積極的に関わっているということです。
 ②マウル教師の役割については、学校の教師と同じように学校の正規カリキュラムや放課後活動などに関わること、ボランティアとして意欲的にかかわる人もたくさんいるということです。マウル教師、マウル学校の概念については、マウル教師は、学校の教育活動を手伝うことができ、ボランティア活動です。マウル学校は一年間の学校を開きたいという申請を、行政に計画書を出し、コミュニティセンターや図書館などが施設として使われるということです。
 ③平生教育士との関わりについて、マウル教育共同体の枠組みの中には平生教育のあり方を前提としていますが、平生教育士の関わりはあまりみられないことが現状です。学校は教師、地域は住民が中心であり、専門家のアドバイスを受ける際は、学校の教師に助けられる様子がみられるということです。
 ④民主市民教育条例であるシティズンシップの教育が学校教育も変えていくのかについては、市民の民主的な意識と力量とともに公益のためにつくられ、実際の解釈については議論が行われていますが、政治的に偏っているのではないかという厳しい意見もあり、保護者の様々な声が挙がっているということです。
 ⑤日本の場合は、地域と学校の連携として建築との関わりがみられる、たとえば新潟の聖籠町(せいろうまち)が新しい学校施設のなかにコミュニティセンター的空間が用意されている事例がみられますが、世宗市の場合は、学校や町が新しい施設面での面白い動きは特にみられず、今後注目していくべき視点ということです。 ⑥マウル教師は現役であるのか、またはリタイヤし、ボランティアなのかについては、マウル教師のほとんどは子どもの保護者であり、40、50代の女性が中心で、リタイヤした男性もいるということです。 ⑦なぜ世宗市に注目したかについては、新しい地域つくり、住民たちが新しく流入し、自主的な活動や、お互いの信頼と地域における若い人たちならではの特徴をもち、自治的な役割を発揮ができるのかについて興味を持って調べたそうです。
 以上、「マウル」の意味やマウル共同体に関わる教師、生涯学習関係者、地域住民による自主的な活動などについて深い議論が行われました。
研究会報告:金亨善さん(東大院、20190525・風の部屋)



936月定例(第282回)研究会ご案内、沖縄戦後史のなかで
      小林ぶんじん(2021/06/14 12:25)
 6月恒例の総会が終わり(6/11、皆さんご苦労さまでした)次のスケジュールとして、最終の金曜日・定例研究会の企画についてご案内する運びとなりました。ご承知の通り、6月は沖縄「慰霊」の月、戦後沖縄史に関わって研究会をもとうではないかということになり、南の風4250号で予告の通り、名桜大学・嘉納英明さんにお話をお願いできることになりました。
 実はこの間、コロナ禍のため恒例の「やんばる対談」が実施できず、沖縄関係者にそれにかわる年報への執筆依頼をしてきた経過がありますが、嘉納さんから、年報執筆予定のタイトル:戦争体験の次世代(非体験者)への継承を考える、同じタイトルでお話しいただけるとのことです。楽しみです。嘉納さんは基地の町コザのご出身とか。自分史・地域史にもかかわって、興味ふかいご報告となりましょう。あらかじめいただいた話の筋は(あちこち飛ぶかもしれなりが、とのこと)、次のような流れを用意されているようです。
〇戦争体験を次世代にどのように伝えるか
・沖縄戦の実体験の継承―学校(教師)の取組を中心に―
・コザ生まれの私と母親の沖縄戦
・米軍統治下の幼少時の記憶と沖縄戦経験の教師
・平良家の戦争体験と母の体験
・沖縄戦の学習と実践-小学校における平和教育への取組-
・沖縄全戦没者追悼式~平和の詩「世界を見つめる目」~
・大学でのささやかな取組~まとめにかえて~
【再案内】江頭晃子
 今回の定例会の話し手・嘉納英明さん(名桜大学)は、沖縄の戦後教育史や地域社会教育論、子どもの貧困研究などを専門とされています。実践においても学校や社会教育の場で中学生や大学生を巻き込みながら、どうしたら「沖縄」に出会えるのかを試行錯誤しながら続けられてきました。・
 1963年生まれ(旧コザ市出身)の嘉納さんご自身のアメリカ占領下での体験、そしてお母さんの初子さんの沖縄戦体験と戦後夜間中学生としての学びなおし(『沖縄発 → 平和を願う絵本 82さいの中学生 はっちゃん』(第39回沖縄タイムス出版文化賞受賞)の中での言葉…。75年余が過ぎ今も戦後は終わっていない、にもかかわらず、戦の備えを暴力的に押し付けている政策の現状。沖縄のこと、私たちが自分の言葉で「平和」をどう伝え続けられるのかを、嘉納さんのお話を伺いながら、ともに考え合いたいと思います。皆様お誘い合わせの上ご参加を。ズーム申し込みお待ちしています。
〇研究会・テーマ・日程・ズームなど
・日時:2021年6月25日(金)20:00~21:30~
・テーマ:戦争体験の次世代(非体験者)への継承を考える
・お話:嘉納英明さん(名桜大学)
・Zoomによるオンライン研究会
・Zoomミーティング参加希望の方は前日までに申し込みください。
・申し込み先:ringox@nifty.com(TOAFAEC事務局・江頭晃子)
〇終了後(21:40~22:30)質疑応答・懇親・交流(お飲み物等ご用意ください)
〇問合せ先:ringox@nifty.com(江頭晃子)

記録 (山口真理子、2021/06/02 21:58)
参加者:(五十音順、敬称略)李正連,石川敬史,入江優子,内田純一,江頭晃子,呉世蓮,大前哲彦,小田切督剛,栗山究,小林文人,武田拡明,谷岡重則,土屋里穂,包聯群,松尾有美,山口真理子 以上16人 
内容 
 6月23日沖縄慰霊の日には、毎年「沖縄全戦没者追悼式」が開かれ、「平和の詩」が朗読されます。この模様は NHKにより全国放送されます。初めて全国放送されたのは2008年だそうですが、その時に朗読したのは読谷小学校4年の嘉納英佑(えいすけ)君、嘉納英明さんの息子さんでした。題は「世界を見つめる目」。ドキュメンタリー番組で、紛争地域で飢えに苦しむ少年らの姿を見た時の思いなどを綴ったそうです。英佑君は体験者であるおじいさんやおばあさんから、沖縄戦の話を聞いて育ちました。その後大学生になった英佑君は、2019年にも朝日新聞、山梨日日新聞から取材を受けています。「祖父母から戦争体験を聞いて育った。大学のゼミでは現代史を学ぶなど、世界の戦争や紛争について関心を持ち続けている。自分らはしっかり考えなければ『戦争』を理解できない世代だと思う。」「戦争経験者は年々少なくなっていく。僕らの世代には歴史に埋もれてしまう戦争の記憶を伝え、次世代に平和の大切さを伝える使命がある。」と述べています。「10歳の詩の時からずいぶんと月日が経ったが、沖縄戦の記憶が、祖父母の世代から若い世代に確実に継承されていると実感。」とは、お父様・嘉納英明さんの言葉です。
 このような若者が育った嘉納家の戦後の歴史を含め、「沖縄戦について見聞きし、考え、実践してきたこと」―テーマの副題―が時系列に書かれたレジュメに添って、「戦争体験の次(非体験者)への継承を考える」が語られました。
 1963年生まれの嘉納さんが最初に住んでいたのは基地・コザ市(現在の沖縄市)。1970年のコザ暴動も経験、1972年5月15日の復帰もここで迎えました。復帰しても教科書は同じ、特に変化はなかったとのこと。小学校時代の思い出は方言禁止標準語励行、嘉納さんより年下で当時名護に住んでいた入江さんも同じようなことを体験。中・高校時代は米軍の演習反対運動や主任制闘争、国の管理体制強化等批判等で組合活動に熱心な教師たちの存在を知ります。
 嘉納さんは1989年から小学校の教師をなさっておられますが、もちろんそこでは平和教育に取り組んでこられました。沖縄戦をテーマにした劇や戦跡巡り、体験者からの聞き取り等々。琉球大学附属小学校では「激論を闘わせた」と表現されました。この附属小学校時代は「共感してもらえたと手ごたえを感じた時期だった」と述べておられます。名桜大学に移られてからも沖縄戦等を取り上げておられますが、今の学生は学校の授業で沖縄戦や基地問題について学ぶ機会が乏しい、特に県外出身学生では観光地・沖縄以外の情報を持っていないとのこと。そんな学生たちも、現地に連れて行くと顔つきも教室で見せる表情とは一変するそうです。嘉納先生の取り組みは続きます。
 当日の進行とは異なりますが、この私の報告での最後はご家族のことです。嘉納さんは沖縄戦のために学業を断念したお母様が82歳で学び直された実話を「82さいの中学生 はっちゃん」という絵本にされましたが、動画「私は、ずっと無学だった」というYAHOO!JAPANニュースで、80歳の叔母様(お母様の妹)が学んでおられる姿も紹介されました。そして高校教師で平和教育実践活動家として沖縄ではリーダー的存在である平良宗潤さんはお母様の弟さんです。嘉納さんにとって平良さんは平和教育の第一人者としての大きな存在と思われました。平和教育、基礎教育の実践そのもののようなご家族です。
 英佑君が「平和の詩」の朗読をしたその約3か月後、NHK教育番組「みんな生きている」でも「聞かせて戦争のこと」というテーマで、ご家族全員が取材を受けておられます。その15分の動画も見せていただきました。そこにはご家族全員(祖父母の方を中心としたいわば大家族)で、旧盆でしょうか仏壇の前で合掌している様子、お祖父様が先頭になってみんなを連れて曾祖父様が戦死されたとされる場所に行きお参りする様子が、写されていました。それらを見聞きし、それを詩に書く英佑君。英佑君の目の輝きが印象的との感想が出ました。沖縄戦を身近に感じさせるご家庭の雰囲気が伝わってきました。
〇お話が終わって・・・
・嘉納さんからの補足のようなこととしては、家庭での継承は難しくなっていて、そうするとやはり学校に期待される。沖縄戦の歴史は語ってほしい。しかし,基地問題には触れないでほしいという学校側の暗黙の要請がある。沖縄は戦跡が残っていることが多いが活用できているか、同じく(文人先生の指摘された)字誌も活用できているか、今後の課題。資料館は整理されているので、沖縄戦と戦後史のまとめとしての活用方法も考えてもよいのではないか。
・参加者からの感想
-戦争というのは案外小さな所に残っている。いわゆる字誌を、沖縄全体と家族をつなぐものとしてネットワーク化するなどしたらどうだろうか。
-「つまづき石」という、日常的に痕跡に触れて戦争を想起させる意味で使われる概念がある。
-英佑君と同世代の参加者はおばあさまから戦争体験を聞いているとのこと。
-直接でなくとも、自分の大事な人から、その大事な人の悲しみを聞くと、悲しみは伝わるのではないか。
-父親とは戦争観の違いで闘い、子には冷ややかに見られ、しかし語り合う関係は大事。
 個人・家族の歴史が沖縄の歴史の中で語られる、興味深いお話でした。嘉納さんは今年の年報第26号に「わが家の沖縄戦と子供への継承」という題で執筆されます。9月に刊行予定ですので、ご期待の上,そちらもどうぞご覧ください。それを含むものとして、この日は9ページにも及ぶレジュメを用意していただきました。希望される方は山口までご連絡ください。→Tel.&fax.042-482-9143 Mail.:IZK07252@nifty.com

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2021年5月定例研究会(第27回・中国生涯学習研究フォーラムと合同)
             上田孝典(2021/05/20 21:26)
 <5月定例研究会、中国研究フォーラム(通算・第27回)合同会>
 ご案内が遅くなりました。5月の定例(TOAFAEC 第281回)研究会は、久しぶりに中国研究フォーラムと合同により、「中国・台湾における近年の終身教育・社区教育政策と研究動向」をテーマに報告します。
 話題提供として、近年の政策動向と現地の研究紹介を中心に、下記3名から中国、台湾について、それぞれ報告を予定しています。ご期待ください。
 近刊の年報「東アジア社会教育研究」(第24号、第25号等)掲載の論文や「この1年」報告などを事前にご参照いただければ幸いです。皆様多数のご参加をお待ちしています。参加希望の方は、下記 URLよりズームお申込みください。
◆研究会スケジュール
〇日時:2021年5月28日(金)20:00~21:30
〇テーマ:中国・台湾における近年の終身教育・社区教育政策と研究動向
〇話題提供:黄丹青(目白大学)、山口香苗(早稲田大学)、上田孝典(筑波大学)
〇Zoomによるオンライン研究会(どなたも参加できます)
〇Zoomミーティングに参加する↓
 https://us02web.zoom.us/j/86759572521?pwd=eUZXb2FGbk5ab29QdGxsanlEdU5Idz09
 ミーティングID: 867 5957 2521
 パスコード: 204738
〇終了後(21:40~22:30)質疑応答・懇親・交流(それぞれお好きな飲み物等ご用意を)
〇問合せ先:ueda@human.tsukuba.ac.jp(上田孝典)
記録:豊田明子(2021/5/31 23:20)
*はじめに(自己紹介) 今回、研究会の議事録作成を担当した豊田明子です。金曜日のTOAFAEC 研究会では、久しぶりに文人先生にお会いできてとても嬉しかったです。わたしのことを覚えていてくださったことは望外の喜びでした。・・・ 当夜の自己紹介のときに少しお話ししましたが、(名大院のあと)鈴鹿市の保育者養成系短大に着任したのが2013年、当時は科研のスタート支援でもらった少額の研究費すら使い切れないほどに校務に追われ、以来ずっと社会教育からは離れていましたが、今年度、新設の四大に異動になったこと(名古屋柳城短期大学→名古屋柳城女子大学)などを機に、牧野先生の下で博論を書き上げたいと思い、4月から「兼業大学生」になりました。博論では歴史研究に取り組みますが(植民地台湾の実業補習教育と民衆の生活をテーマに、現場の教職員の実践に着目して見えてくることを探りたいと思っています)、ここに集うみなさんとともに、東アジアの社会教育の今について学び合いたい、語り合いたい、と強く願っています。長い間、不義理をしてきたわたしですが、どうぞ宜しくお願い致します。
 以下の記録、「簡単にまとめる」ことができず、かなり長くなってしまいました。過不足や事実誤認等、ご確認いただきますようお願い致します。
◆第281回TOAFAEC定例研究会ご報告
・テーマ:中国・台湾における近年の終身教育・社区教育政策と研究動向
・話題提供:上田孝典(筑波大学)、黄丹青(目白大学)、山口香苗(早稲田大学) *敬称略・以下同じ
・参加者:小林文人、上田孝典、黄丹青、山口香苗、李正連、江頭晃子、山口真理子、内田純一、小田切督剛、呉世蓮、大前哲彦、包聯群、ハスゲレル、孫冬明、田井康仁、張鼎甲、沈明明、松尾有美、金亨善、楊映雪、楊博蓉、馬海燕、豊田明子(参加者合計23名)
内容:第281回定例会は,「中国・台湾における近年の終身教育・社区教育政策と研究動向」をテーマに、上田孝典・黄丹青の両先生から中国、山口香苗先生から台湾の状況についての報告が行われ、その後、活発な質疑応答の時間をもつことができました。3名の報告はそれぞれに深めたい論点をたくさんに孕んでおり、継続的に議論をしていくことを約束して閉会となりました。それぞれの報告概要は以下の通りです。
 上田報告では「現代中国の生涯学習政策を見る視点」と題して、共産党の中長期計画と現代中国の内憂外患(腐敗、格差、民族、環境、資源、少子高齢化・人口減少)、社区教育の状況について説明されました。この社区教育に関して、「社区治理(コミュニティガバナンス)」といって、党の基本方針に基づいて住民自らが公益事業に参与していく仕組みがとられていることが語られました。
 上田報告が全体的な中国の現状と今後に関する「計画」の部分に言及したのに対して、黄報告はもう少し各論的な部分に焦点化されました。具体的には,1)2021年全国教育工作会議で生涯学習を全国民に提供するシステムが提案され、そこで初めて障害者の生涯教育について言及されたこと、2)高齢者教育に関して,哲学者とともに孔子や老子、カント等の哲学思想との対話の中で、より大きな視点から議論が深められようとしていること、3)東アジアにおける市民の学びとして、,草の根タイプの社区学習共同体がつくられ、市民が自発的かつ自由に活動を広げていく実践がうまれていること、の3つです。とくに中国の場合、地域差がかなり大きく、実践とその展開は多様化を極めており、これからさらにそれぞれの実践についての調査を進めていきたい、とのことでした。
 続く山口報告は、台湾の生涯学習政策についての発表であり、1998年の白書「学習社会に向けて」から20余年を経て、2121年に学習社会白書(Learning Taiwan 全民愛学習的台湾:学習型台湾)が出され、学習によって格差や分断を乗り越えることが提起されたこと、ただし、台湾の生涯学習は「学習型」をキーワードとしながらも、これまでと同様に「他国と肩を並べられる社会」という文言が見られる等、国際競争を意識する視点は変わらないことが指摘されました。また、社区教育を考える際の論点として、社区教育を牽引するリーダーの専門職化の行方、民主化・自由化といっても政府主導で活動が展開していることなどが挙げられました。さらに、脱中国依存、多文化台湾化についても言及され、言語政策や新住民(東南アジアからの移民)の現状も話題に上りました。
討議 三報告の後、小林先生から90年代末に上海に通っていた頃の事が語られ、「25冊の年報を作成したものの、どうも中国はわからない」「もう一つのリアリティ、民衆のリアリティがあるのではないか」という思いが吐露された後に、上田報告に対して「中国的な自治」「『単位』社会から『社区』社会へという政策転換」をめぐって質疑応答がなされました。
 また包さんから行政的な民衆「管理(治理)」の方法と言語政策の発想の類似性について言及され、山口(香苗)さんから、その応答として、例えばこれまでの「外国籍配偶者」という呼称が「新移民」、そして「新住民」へと変更されたように、用語の変遷にも政策意図を看守できることが語られました。
 内田さんからは、管理面に関して日本にも同じ課題があることが指摘され、中国において「人権」や「権利意識の芽生えがあるのか、という疑問が呈されました。上田さんから「消費者としての権利」という「権利意識」はとても強いという応答がなされた上で、「人権」や「権利意識」については、ここに集う若い留学生のリアルな声を聞いてみようということになりました。
 これを受けて、楊映雪さんから「上海の、社区教育が最も発展した地域で育った20代」の感覚として、学校教育では個人の権利より国家に対する義務が教えられるものの、個人の権利は語られる(ものとしてはある)ということ、自身を含めJ-POPや,K-POPが好きだという若者は多く、文化や芸術を通して一緒にいい社会を創っていこうという動きや小グループが生まれている現状、民衆の生活や楽しさの感覚は生まれ国の如何を問わず、同じなのではないかという率直な意見が出されました。
 さらに江頭さんから「中国の話を聞くことで、日本が照射される」ことが、とくに、日本の新自由主義と家庭(教育)への干渉や、政府が担うべき福祉事業を NPOに肩代わりさせる状況について語られたあと、共産主義社会の自由と新自由主義社会の自由とは何か、という大きな問いが提起され、また、他にもそれぞれの参加者から多様な視点からの感想や質問が出されるなど、対話を深めたい論点が数多く出されました。しかし夜も深まってきたため、次回の報告者・報告内容を少し話し合った後に(今、何をどの程度なら無事に語り得るのか、は難しい問題です)、閉会となりました。
 今回、議事録を担当するわたし(豊田明子)は、久しぶり(15年ぶり…でしょうか)に爽やかで熱くカラフルな「南の風」の心地よさを堪能し、みなさんとともに東アジアの現代を捉える視点と知性を養いながら、自身の課題に取り組んでいきたい、という思いを再確認しました。次回も楽しみです。


912021年4月定例(第280回)研究会
   ■第3回編集会議 (李 正連、2021年4月18日18:14)
 <4月30日・年報編集委員会お知らせ>
 編集委員の皆様 お世話になっております。李です。4月30日(金)19時30分編集委員会
 を開催します。定例研究会の30分前に始めます。主な検討内容は、自由投稿申し込み
 の結果及び原稿依頼の進捗状況の検討です。各国・地域の依頼担当の方は、進捗状況
 についてご報告をお願いいたします。

 ZoomURLは当日の午前中にお送りいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
 <4月定例・第280回研究会のご案内> *江頭晃子(2021年4月5日22:33)
 
  ―シンポジウム「"東アジアにおける市民の学び”とは何か」―
 大学も新学期となり、学校ごとの方針の違いが今年度はより明らかになっています。学び会いをより大切にする社会教育では、自治体ごとの違いが更に鮮明にでており、学習権の保障を求めて市民や学会や団体が、いかに声を出していけるかにより、混迷する社会教育行政の動きも変わってくるように思えます。学び合いを止めない、声を出せない人に代わって声をあげられる人が声を出す必要を感じています。
 TOAFAECが毎年刊行している年報『東アジア社会教育研究』。今年は予定通り9月18日に発行予定で、現在投稿論文を募集しています。どなたさまも「東アジア」沖縄などの「社会教育・生涯学習」「地域・市民活動」に関連するテーマでしたら、投稿歓迎です。タイトル・概要(400字)を4/23までに編集長(李正連)までお寄せください(原稿締め切りは6/30)。
 →■http://www.bunjin-k.net/25gou.htm
 4月の定例会のテーマは、今号特集テーマである「東アジアにおける市民の学び」。フォーマル・インフォーマル・ノンフォーマル多様に広がる「市民の学び」のどこにターゲットを置くか、編集委員それぞれが考える視点を提起しながら、深め合います。あなたの視点からの提起、聞くだけのご参加だけも歓迎です。多くのご参加をお待ちしています。
〇にちじ:2021年4月30日(金)20:00~21:30
〇テーマ:オムニバス・シンポジウム「"東アジアにおける市民の学び”とは何か」
〇報告者(各5~10分):小林文人(沖縄)、内田純一(高知)、上田孝典(中国)、
黄丹青(中国)、呉世蓮(韓国)、山口香苗(台湾)、包群聯(モンゴル)、
小田切督剛(川崎&韓国)、江頭晃子(NPO)/李正連(総括)
〇Zoom申込み先:前日までにお名前とメールアドレスを下記フォームから送信
してください。zoomアドレスをお送りします。
https://forms.gle/wzo9JncugdEsJfuB8
〇終了後(21:40~22:30)質疑応答・懇親会
それぞれお好きな飲み物等をご用意ください。
〇問合せ先:aozora999@hotmail.com(李正連)/ringox@nifty.com(江頭晃子)
記録 内田純一(2021年5月8日13:36)
 <東アジアにおける市民の学びとは何か・・・研究会・報告>
*2021年4月30日(金)20:30~『東アジア社会教育研究』第26号編集会議に引き続き(報告・4242号)、当号特集テーマに関連して「東アジアにおける市民の学びとは何か」と題する参加者全員による意見交換会(第280回研究会)が行われました。
参加者:石井山竜平、内田純一、江頭晃子、呉世蓮、小田切督剛、小林文人、武田拡明、黄丹青、ハスゲレル、包群聯、松尾有美、山口香苗、山口真理子、李正連(年報26号編集長)
◆内容:
 1980年代の後半から1990年代にかけての東アジア各国・地域における民主化の潮流は、市民社会や社会運動の興隆と不可分の関係にあり、その共通性や相違性の相互理解を草の根レベルで深めていくことが重要であること。「東アジアにおける市民の学び」は、この関係性の原動力であること。さらに近年の権威主義的ポピュリズムの拡大等による民主主義の危機や、暴力化する資本主義に対して歯止めをかけ、それに代わる新たな社会を生み出す可能性(すでに生み出している)を持っていること。総じて「国家と市民と資本のせめぎ合い状態」(江頭さんの発言)の中で、上記のような問題意識が参加者に共通して見られたように思います。以下、私見ですが、皆さんの発言を4点にまとめて記したいと思います。
 第一は、戦争や歴史の問題を背景として、一人一人の人間としての生き方・在り方・幸せを出発点にすること。その意味で、識字の取り組みや集落自治、文化や言語といったアイデンティティを取り戻す運動などに注目してみたい。また、川崎市と富川(プチョン)市との高校生交流は22年を積み重ね「東アジア市民になろう」という関係を構築してきている。
 第二は、個から始まりながらも、それをパブリックへと広げる意味での市民と行政の関係を考えること。市民の学びは「主語」を取り戻す運動であり、政策や制度に収斂されない価値意識(多様な選択肢)を保障する行政を生み出していくこと。80年代の川崎市は「市民が学びを通して自治を培う風土」があり、それが川崎市生涯学習計画づくりにつながっている。また調布市でも90年代に起こった公立図書館委託阻止運動において市民の果たした役割がたいへん大きかった(「助けられた」)。
 第三は、とはいえ、東アジア各国・地域の状況や体制はそれぞれ異なり、当然、「市民」「市民感覚」のズレが生じてくるし、日本に留学していてもなかなか実感が持ちにくい用語ではある。また「学び」についても、競争手段としての理解や格差が大きい現実がある。
 そして第四は、日本の現状(『鎌倉市における講師拒否問題』など)に対する声を上げない・連帯できない・闘わない状況に対する危機感に関するものでした。このことは「社会を変える潮目に来ている」なかで、いま、日本からどのような実践を第26号に掲載できるかを問うものでもありました。
 気が付けばあっという間に23時。いつもの乾杯も忘れるほど白熱した研究会でした。次回(5月28日・金)は、「中国」を取り上げるとのこと。難しさのなか、楽しみでもあります。



912021年3月定例(第279回)研究会・じんぶんヒストリー(5) 
                   江頭晃子(2021年3月7日10:51)
ご案内 <3月定例(第279回)研究会・じんぶんヒストリー(第5回)>
 3・11から10年を迎えようとしています。昨秋、常磐線に乗り、いわきから双葉駅へと北上しました。きれいに生まれ変わった双葉駅前には10年前のまま、瓦が落ちた商店や家があり、開通した道路脇でスクリーニングが行われ、空き地には除染のため取り除かれた土砂が山ずみにあり、福島第一原発周辺の緑地は汚染水置き場に広がっていました。復興とはだれが言っているのか。コロナ政策もそうですが、「被害にあったもの」「弱い立場のもの」は棄てられる。何のために政治があるのかと思ってしまいます。
 そんなコロナ政策の中でも腐ることなく、福岡や沖縄に行くことを楽しみに暮らしている「ぶんじん」先生に、「じんぶんヒストリー」を3月定例会として伺います。第5回目となる今回は、1970年代半ばから1980年代へ。社会教育の戦後史、法制定着、多摩地域の実践と並走しながらの職員論や学級講座論の構築、そして「月刊社会教育」編集長や社全協運動にもドップリと関わるなかで、沖縄研究との出会いが始まります。ぶんじん先生にとって新しいフイールドワークと沖縄研究の視点。
 今回は、インタビュアーは設けず、先生に思う存分語っていただいた後、参加者の皆さんから質問をお寄せいただきながら進める形にしたいと思います。どうぞどなたでも、お気軽にご参加ください。
◆じんぶんヒストリー(第5回), TOAFAEC35月定例(第279回)研究会(Zoom開催)
・日時:2021年3月26日(金)20:00~21:30(zoom開場19:45)
・テーマ:沖縄研究への道、沖縄からの提起
・話し手:小林文人先生
・申込み:①お名前、②ご所属(または先生とのかかわり)、③ご質問などを明記の上、
  江頭:ringox@nifty.com までお知らせください。前日にZoomアドレスをお知らせします。
・締め切り:3月25日(参加者のお名前は共有します。)
〇終了後(21:40~22:30)質疑応答・懇親会、それぞれお好きな飲み物等をご用意ください。
記録  ■当日の報告レジメ
参加者:石川敬史、うそまこ、上平泰博、内田純一、江頭晃子、嘉納英明、金侖貞、熊本博之、栗山究、小林文人、武田拡明、ハスゲレル、樋口寿美、堀尾正靱、包聯群、山口真理子、米山義盛(17名)
内容:嘉納英明(名桜大学)
 じんぶんヒストリー第5回(3月26日)は、文人先生の沖縄研究のきっかけになったことを聞けるとあって、申込〆切は過ぎていたが、江頭さんにお願いしてパスワードを頂いた。当日、文人先生の少しばかり興奮した面持ちで、2時間以上も、沖縄とのかかわりや社会教育研究を始めたきっかけなどをお聞きすることができた。沖縄の社会教育研究の欠落を大いに意識して、文人先生は共同研究を始めた、という。単なる研究対象としての沖縄ではなく、沖縄に対する深い愛情を感じさせるお話であった。また、文人先生の真摯な研究態度は、きっと沖縄の社会教育関係者を魅了させたことであろう。沖縄大学の平良研一先生、名護在住の島袋正敏さん、前名護市長の稲嶺進さん、うるま市在住の宮城英次さん、又吉英仁さんらのお名前が次々と出てくる。沖縄研究を通しての交友関係の広さに驚くと同時に、羨ましさを感じた。そして、沖縄の現地を歩き、史料を集め、分析していくという研究者としての基本的な姿勢をあらためて学んだ思いである。
 文人先生の沖縄研究は、集落と字公民館に注目していることに特徴がある。とりわけ、字公民館は、教育文化、生産活動等の地域の拠点として機能し、戦後の沖縄復興のシンボルでもあった。その例として、文人先生は、読谷村の波平公民館の経済門と文化門についてふれた。さて、その沖縄の字公民館は、公民館の生みの親である寺中作雄の構想と関係したのか、というのが、私の関心事であり、質問したかったことである。文人先生は、「寺中は、初期公民館構想の中に集落公民館をつくっていこうとする考えをもっていたが、この考えが占領下の沖縄の教育関係者に共有されてはいなかった。だが、沖縄の集落(字)公民館の考えは、寺中構想と共通するものであった」と明快に答えて頂いた。
 沖縄の復帰後、末本誠さんらとの本格的な共同研究の推進を始め、東京から沖縄をみるのではなく、沖縄のウチからみていくことの大切さを語って頂いた。文人先生の沖縄研究から大いに刺激を受け、今後とも遅々としながらも、研究を継続していきたい。
読谷村波平区公民館ー右に経済門(横に売店)、左に文化門(横に図書室)ー2003/7/1ー



902021年2月定例(第278回)研究会・年報26号編集会議(1)記録 
ご案内
 2月定例会は、新年報26号編集会議として開催します。(編集長 李 正連)
 <年報26号第1回編集委員会、定例研究会(第278回)ご案内>  
 25号の合評会(1/29)に多くご参加いただき、どうもありがとうございました。先週合評会を行ったばかりではありますが、今年の年報、通常の9月発行に合わせるためには、さっそく26号の準備に取り組む必要があります。本来ならば最終週の金曜日(2月26日)に行うべきですが、翌日27日に「東アジア生涯学習研究フォーラム」(別項・石井山メール)の開催があり、一週間早めて2月19日(金)に新26号の第1回編集委員会(第278回定例研究会)を開きたいと思います。
 先週研究会の終盤に特集テーマ案として「東アジアにおける市民の学び」「小地域(小規模自治体)の学習」「障害者」、「高齢者」などが提案されました。これらの案と、また新しい案があれば、ご提案いただき、26号の特集テーマを決めさせていただきたく思います。
 今回は定例(第278回)研究会も兼ねますので、編集委員でない方でも関心ある方お気軽にお越しください。編集委員でない方で参加を希望される場合は、2月18日(木)までに下記のURLにアクセスし、申し込んでください。
https://forms.gle/18A3gfdaRU9CYytf6 
 開催日時及び実施方法は、下記の通りです。皆さまのご参加をお待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。
◆第278回(2月)定例研究会・年報26号編集委員会(第1回)>
 日時:2021年2月19日(金)20:00~22:00
 内容:年報26号・特集構想についての意見交換(「特集案」を募集します!)
 実施方法:Zoomによるオンライン会議(ZoomURLは当日午前中にお送りします。)
記録  李 正連(2021/02/22 14:29)
○参加者:小林文人、山口真理子、黄丹青、小田切督剛、江頭晃子、姜乃栄、包群聯
       山口香苗、呉世蓮、松尾有美、李正連(敬称略)
〇内容:年報26号の第1回編集委員会が開かれました。コロナの影響で25号が年末に刊行されたばかりですが、26号は通常の9月発行を目指して早速に編集委員会を始めさせていただきました。今回の会議には韓国の姜乃栄さんが参加され、久しぶりに挨拶を交わし、会議終了後は歓談の時間も持ちました。
 今回の編集委員会では、主に特集のテーマについて話し合いました。今回の特集テーマについては、(1)東アジアにおける市民の学び、(2)小地域(小規模自治体、集落)の学習、(3)障害者や元気な高齢者、(4)小林文人先生特集などの案が出されました。
 議論の結果、「東アジアにおける市民の学び」をテーマ(案)としますが、「市民の学び」の舞台として小規模自治体や集落などの小地域を念頭に置きながら、生活や地域課題の解決、地域づくり等における自主的な市民の活動や学習について検討することにしました。
 日本とは違って、中国や韓国、台湾の東アジア諸国・地域は従来行政主導の地域づくりや社会教育が進められてきましたが、近年地域づくりにおける住民参加や住民自治への意識も高まり、そのための住民の学びにも注目するようになってきています。各国の異なる諸条件を踏まえつつ、官主導ではなく、市民(住民)自らが自身の生活や地域、さらには社会づくりのためにどのような活動や学びをしてきたのかについて振り返るとともに、現状、そして今後の課題について検討することにしました。 そして、来週27日(土)オンライン(Zoom)で行われる「東アジア生涯学習研究フォーラム」の報告、各国の「この1年の動向」、自由投稿、依頼論文、沖縄やんばる対談、「ひろば」等についても話し合い、大枠を決めました。
 例年通りの9月発行を目指して、すべての原稿の締め切りは6月30日(日)厳守とさせていただくことにしました。自由投稿応募・概要締切は4月23日(金)です。
 なお、25号から特集論文や依頼論文、投稿論文には、10行程度のアブストラクト(各各執筆言語及び英語版)を提出していただき、日中韓の言語にそれぞれ訳して掲載することを始めました。翻訳に時間もかかり大変な作業ではありますが、26号も引き続き掲載することにしました。 引き続き、26号編集へのご協力もどうぞよろしくお願い申し上げます。


892021年1月定例・TOAFAEC(第277回)研究会・記録 
 ご案内  李 正連(2021/01/12(火)12:55)
 <1月定例(TOAFAEC・第277回)研究会・『東アジア社会教育研究』第25号合評会ご案内>
 明けましておめでとうございます。
 旧年は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。コロナ禍の影響によって例年より大変遅れましたが、『東アジア社会教育研究』第25号が皆様のご協力をいただき、無事発刊することができました。心から深く御礼
申し上げます。
 今号の特集は、「自治体の生涯学習計画」としました。「生涯学習振興整備法」の制定から30年、その間日本の国家政策は停滞したといわれていますが、自治体では新たな生涯学習計画に取り組む動きが生まれてきました。そして、同時期の中国や韓国、台湾等の東アジア諸国では国家及び自治体の生涯学習計画及び支援体制の構築など、大きな発展を見せています。そこで、日本をはじめ、中国・韓国・台湾における自治体の生涯学習計画についての原稿で構成しました。
 そしてもう一つの特集には、2019年11月、中国の北京で開かれた「東アジア生涯学習研究フォーラム」について中国からの盛り沢山の報告と、日本・韓国・台湾からの意見・感想が掲載されています。なお、昨年初めころから世界中で猛威をふるっている新型コロナウイルスに対して東アジア各国がどのように対応しているのかについても、特集を組みましたので、是非ご一読いただければ幸いです。
 下記のように25号の合評会を開催しますので、奮ってご参加ください。皆様からの忌憚のないご意見・ご感想をいただけますことをお願い申し上げます。
・日時:1月29日(金)20:00~22:00
・内容:25号合評会 〈話題提供〉上野景三先生(TOAFAEC代表、西九州大学)
    小田切督剛さん(韓国研究フォーラム)「特集:自治体の生涯学習計画を読んで」
    各執筆者・投稿者・参加者からの感想・
・開催方法:Zoomによる開催
・ご参加を希望される方は、1月28日(木)までに下記のURLにアクセスし、申しんでください。
 申し込んだ方には、研究会当日の29日にZoom URLをお送りいたします。
 〈申し込みURL〉 https://forms.gle/cdtKjw3fvm5nnyRH6 
・お問い合わせ先:李正連(aozora999@hotmail.com)
記録 呉世蓮
参加者・敬称略:小林文人、上野景三、内田純一、小田切督剛、矢久保学(松本)、李正連、江頭晃子、包聯群、山口真理子、山口香苗、石川敬史、黄丹青、ハスゲレル、土屋里穂、上田孝典、シーラン、呉世蓮(17名参加)
内容: 新年第1回の定例会として年末に刊行された年報『東アジア社会教育研究』第25号の合評会が行われました。
 特集テーマとして「自治体の生涯学習計画」について、上野景三先生と小田切督剛さんから話題が提供されました。論議のなかで最も興味深かった内容は、25号の総論とともに、松本市「学びの森づくり」計画の事例(矢久保報告)でした。参加された方々からも松本市の事例について、たくさんの質問が出され、矢久保さんから丁寧な説明とともに、今後の課題について話し合いがありました。
 まず、上野先生からは、内田先生・総論について、「地方自治は『地方自治の本旨』に基づいて団体自治と住民自治の両方から成り立っており、それをつなぐ環として社会教育がある」と語られました。今の行政学や地方自治論は、「地方自治の本旨」を言わないということ。団体自治といったときに、市民の声を聞くことは市民のクレームを聞くということとイコールになっているという内容が印象深かったです。自治体職員は、住民自治に関心を払わず、選挙で選ばれた議員をどう説得できるかという資質をもった職員像に傾斜しているのではないか、という話をされました。
 小田切さんからは、「矢久保さん(松本市)にいろいろ聞きたい。川崎ではなかなか松本のようにはならない」という切り口から以下について、語られました。①「下からの社会計画との関係」で、松本をどれだけ語れるか(下降型、上昇型の2つのモデル)。②「職員論」について。職員の中の主流派と市民派という呼ばれ方について、小田切さんは市民派のさらに左派の人権派と呼ばれたそうです。このように保守派・市民派のせめぎあいが、松本にもあったお聞きしたいと思いました。③「自治体の計画」は、具体的な施策の現状と課題、方向性について、主に庁内・議会と合意形成を図る「実行計画」的なものや、今後のビジョンへの認識を共有する「基本計画」的なものに大別されると報告されました。
 全体議論では、質問も多く、参加者みなさんから一番注目されました松本市について、矢久保さんからの発言が詳しくありました。「松本は乗り越えているという感覚ではなく、常にまだせめぎあっている」ということ、職員より住民側から公民館は大事だと言い続けているそうです。だからこそ、行政はサービスではなく、住民とどう一緒に行っていくかという課題、同時に色々な課題を考えて動くために学習につながると語られました。また、NPO や町会、他の部署と協働しながら行政自体が動いていく必要があり、市の職員も保守とか革新ではなく、現場を知っているかどうかによって大きく異なるという視点も語られました。
 小林先生や内田先生、上田先生、黄先生、山口香苗さん、李先生から日本、中国、韓国、台湾における東アジアの動きとも関連したご意見やご感想が寄せられました。今回の研究会は初めての参加者もおり、参加者の皆様の様々な側面からの議論やご感想などが交わされ、大変盛り上がり、充実した議論となりました。
 最後は、上野先生から乾杯の音頭をとっていただき、新年と第25号『東アジア社会教育研究』刊行の祝杯を挙げました。3時間に及ぶ研究会は新年第1回にふさわしい盛り上がり、また次号26号をどんなテーマで進めるかも決まりそうになりました^^;(笑)。非常に有意義な時間でした! 一刻も早く対面式の研究会が出来ればと心から願っております。


*2020年までの研究会記録




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