TOAFAEC定例研究会記録(13)      TOPページ
   -2022年5月・第292回以降~

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2022・9月定例(TOAFAEC 第295回)研究会
 『東アジア社会教育研究』27号合評会ご案内 
               李正連 (編集長・東京大学)2022/ 9/8  22:10
 『東アジア社会教育研究』第27号も皆様にご協力いただき、無事発刊する運びとなりました。心から
深く御礼申し上げます。

  今回の特集では、日中国交正常化50周年、沖縄復帰50周年を迎え、日中及び沖縄はもちろん、韓国、台湾も含めた東アジア社会教育・生涯学習50年を振り返るものとしました。各国・地域からそれぞれ社会教育・生涯学習50年の歩みとともに日本との交流について書いていただいた特集論文だけではなく、東アジア社会教育・生涯学習研究交流史に関する座談会を行い、その記録も掲載しております。10人以上の登壇者で世代も国籍も多様であり、それぞれの経験をもとに研究や実践交流について語っていただきました。そして、沖縄の本土復帰50年を記念し、戦後沖縄の社会教育を含めて女性運動、自治公民館活動、青年団運動などについて貴重な論文を寄せていただき、沖縄特集も組んでおります。実質特集がつともいえる盛り沢山の年報になりました。
  下記のように27号の合評会(オンライン)を開催いたしますので、是非ご一読いただき、忌憚のないご意見・ご感想をいただければ幸いです。
日時:930日(金)20002200
内容:〈話題提供〉嘉納英明さん(名桜大学)、岡幸江さん(九州大学)
   各執筆者・投稿者・参加者(27号合評)
開催方法:Zoomによる開催
 ご参加を希望される方は929日(木)までに下記のURLにアクセスを(略)
お問い合わせ先:李正連(aozora999@hotmail.com
*なお新年報が皆さんのお手元に届くのは、9月23日頃になると思います。合評会まで時間が短く、大変恐縮ですが、届いたら包装を解いてすぐ目を通していただければ幸いです。皆様と一緒にお祝いできることを楽しみにしております。どうぞよろしくお願い致します。
維持会員、27号執筆者など関係者以外の方で、研究会参加、年報入手ご希望の方は、折り返し事務局・山口真理子 <izk07252@nifty.com>、または編集担当・江頭晃子 <ringox@nifty.com>までご一報ください。定価は1,800円。送料は実費負担。送本の際に請求申し上げます。
*新27号の内容目次は→こちら■B5版292頁 2022年9月18日発行 頒価1800円 (送料別)割引あり
                                                
 

研究会報告
…農中至(鹿児島大学) 2022 .10.1 0:30頃 
・日時:2022年9月30日(金)20:00~22:30
・オンライン(Zoom)開催
・参加者:小林文人、嘉納英明、岡幸江、山口真理子、内田純一、包聯群、石井山竜平、上田孝典、井口啓太郎、田中光晴、農中至、小田切督剛、江頭晃子、山口香苗、呉世蓮、松尾有美、張鼎甲、李天睿、李正連(敬称略)
 内容: 27号合評会では、嘉納・岡維持会員からそれぞれレジュメに沿った報告があった。嘉納報告では、今日なお沖縄が抱える問題の深い根とその歴史的現実との対峙が報告の基調にあったように思う。岡報告では、東アジアに共通する「公(おおやけ)」の位置づけの差異の検討、学習権思想の東アジアでの受容動向の比較、高齢者教育に対する各国の熱意の違い、社会運動と社会教育の関係の検証、コロナ禍の東アジアの社会教育動向の把握の必要性など、論考を踏まえたコメントがなされた。復帰50年の節目の沖縄を意識した特集であったことから、中部青年団運動と祖国復帰運動の検証視点の弱さ、奄美青年団運動のリーダー層の逮捕事案について触れられていないことなど、論考の不十分さが小林文人より指摘され、他方女性運動をめぐる論考やフォーラムを題材にした論考については高い評価が与えられた。これに対して、特に奄美青年団史研究については「既知の史実をなぞる内容展開を避け、奄美大島に限定しない、沖永良部島や徳之島などの多島空間への注目を促す意図が本稿にはあった」という、奄美大島中心史観からの脱却の狙いがあったことが説明され、反論がなされた(農中)。
 P・フレイレの書物が1980年代の韓国では禁書であったことをめぐる議論から派生したE・ジェルピの日本への影響の議論(中国におけるフレイレ受容の詳細は不明ではないか(小林))、東アジアは日本の合わせ鏡にとどまらず、知恵を相互参照し合える関係にあり、またそうであるがゆえにより深い議論が東アジア3カ国では可能になるといった発言(田中光晴)のほか、公設民営で展開される台湾社区教育をめぐる議論(岡−山口)、TOAFECにおける歴史共有の重要性の確認(内田)、日本独自の社会教育実践の蓄積の価値の提起(李)がなされた。
 議論の最後には、小林文人より「社会教育とは、基礎科学ではなく実践科学であり、かつ政策科学である」という提起があり、「どういう政策提起ができるかが日本は弱い」という問題提起もなされた。会を終えるにあたり放たれた、「東アジアモデルがようや動き始めた」(小林文人)という発言を今後どのように活かすかがつぎの世代に問われている。
 地図上の奄美大島がなんと小さいことか。種子島や屋久島よりはるかに大きな島が点になっている。ここに奄美への無関心さが潜んでいるように思えてならない。
 また、政策科学とのかかわりで考えると大学生涯学習センターの役割は大きいものもあり、現在鹿児島大学では「奄美環境文化教育プログラム」(小栗有子)という島在住者向けのリカレント教育プログラムを実施しており、カリキュラムの一部には「会教育経営論」、「生涯学習支援論」が組み込まれている。自治体社会教育にはない独自の動きが従来の大学エクステンションセンター機能にはあり、そこで働く研究者の仕事と研究には官学連携という視点から今後注意が必要である。東アジアでの比較研究も有効であろう。
 最後に、フレイレの成果は識字教育の理論構築にとどまらない。東大自主講座で有名な宇井純(林えいだいも招聘)はフレイレの教育思想の影響を受けていたのではないかという議論がはじめられようとしており(酒井佑輔(鹿児島大学))、民衆教育との関わりでこうした事実は注目される。また、宇井へのフレイレの影響もさることながら、晩年のフレイレが教育行政に深く関わっていた事実は、「社会教育とは、基礎科学ではなく実践科学であり、かつ政策科学である」(小林)という指摘を想起さ
せる。なにより「大学」という箱を利用した「自主講座」という戦略は日本独自の民衆教育実践でもあろう。ここにはTOAFAECにおける“Cultures”の救済方法のヒントがあるように思う。
 『民衆と社会教育』(1988)からどのような理論を取り出すのか、あるいは生み出すのか、挑戦してみたい。


 2022・7月定例(第294回)研究会ご案内
  ー韓国・梁炳賛先生の歓迎会―
                ……李正連(東京大学、 2022.7.9 19:39)  
 少しずつ対面活動もできるようになり、対面授業をしている大学も増えているかと思います。 入国規制も
 緩和され、この度韓国から梁炳賛先生(公州大学)が東京大学の客員教
授として1か月間来日されることに
 なりました。
そこで、7月定例研究会は、梁先生の歓迎会も兼ねて対面で以下のように開催したく思います。
 皆さんのご参加をお待ちしております。 
日時:2022729()18:3020:00 
内容:梁炳賛(公州大学)「韓国平生教育の最近の動きについて」&歓迎会 
・会場:杉並区高井戸地域区民センター第3和室
     1680072杉並区高井戸東373 TEL 0333317841
       *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ) 
〇終了後(2100~)懇親会:イーストビレッジ ℡03-5346-2077 
関連梁炳賛先生の東大講演会
 梁炳賛(ヤン・ビョンチャン)先生が来週、東京大学大学院教育学研究科の客員教授として1ヶ月間来日
されます。
基本的には学内向けの講演会ですが、オンライン参加であれば学外者の参加も可能ですので、
ご関心のある方はご参加ください。どうぞよろしくお願い致します。
【東京大学大学院教育学研究科客員教授・梁炳賛先生(韓国・公州大学)の講演会】

・テーマ:韓国における学校と地域の連携
・日時:2022727日(水)10:00~12:00
・開催方法:ハイブリッド形式(ただ、学外者はオンライン(Zoom)参加のみ) ・日本語通訳有り
・参加申込:下記のリンクをクリックし、724日(日)までに申し込んでください。
 後日Zoom情報をお送りします。
https://forms.gle/vhntvnpN5LeFmJXE6
研究会報告 (李正連 7月31日00:31)
 TOAFAEC7月定例(294回)会・梁炳賛先生の歓迎会
 年報27号・編集委員会(第4回)報告
〇日時:2022729()19:0020:50
参加者:梁炳賛、小林文人、山口真理子、江頭晃子、栗山究、呉世蓮、李正連(敬称略)
〇内容:今回は、急遽年報27号の第4回編集委員会と、一ヶ月間東京大学に客員教授として来日されている韓国の梁炳賛先生(公州大学)の歓迎会を行いました。まず、編集委員会では提出された原稿をもとに、構成について再検討し、特集を二つに分けることになりました。構成案は編集委員会ページ→■をご参照ください。編集委員の皆様は、ご確認の程よろしくお願い致します。これから執筆者校正、編集者校正を経て、826(金)19:30から編集委員会をZoomで開催いたします。各自担当する編集者校正の確認作業を行いますので、編集委員の皆様は、是非ご出席いただければ幸いです。
 編集委員会終了後、梁炳賛・小林両先生の対話(出会いを振り返る)が行われた後、来日後の約2週間の生活や現場視察で感じたことについて、梁先生より日本語によるお話がありました。なんと今回の東京1か月暮らしが、梁先生にとっては人生初めての一人暮らしだそうです!
 終了後、イーストビレッジに移動し、梁先生の歓迎会を小規模でしたが、盛大に行いました。イーストビレッジにはコロナで約3年ぶりに行ったのですが、マスターご夫妻もお元気そうで、久しぶりの再会で大変盛り上がった夜でした。朋あり遠方より来る、また楽しからずや!
みなさま!29日は本当に楽しかったです。正連さんと呉さんが、こんなにお酒飲むのを見たのは初めてだったように思います。座談会・最終版拝受いたしました。調整等、お疲れさまでした。ありがとうございました。今晩には、原稿がいっぱいくるとよいのですが。(7/31 江頭晃子)

左・呉世蓮さん、右・梁炳賛先生 (イースト・ビレッジ 7/29)    *関連写真→

左より・ヤン先生、李、山口、小林、江頭、右・マスター夫妻  (カメラ:呉世蓮ー奥の鏡に小さく写っている)



2022・6月定例(第293回)研究会記録
 ご案内沖縄の日本復帰50年ー沖縄の青年団運動  山城千秋さん(熊本大学)>
              …江頭晃子(アンティ多摩、2022.6.18 23:03)
 アメリカ支配下にあった戦後の沖縄(戦後初期、奄美を含む)の暮らしの中で、集落の共同や相互扶助、祭りや自治の取り組み、保安や自警の組織として、地域青年会が果たした役割には独自のものがありました。主に集落を単位とする若者たちの活動は、アメリカ占領下の統制にあえぎながら、1948年には沖縄青年連合会を結成し、1953年にはいち早く日本青年団協議会に加盟、活発に「祖国復帰運動」に取り組んできました。
 占領下にあって、最大の政治課題であった「祖国復帰運動」の大きな牽引力となり、祖国復帰協議会のなかでは、沖青協出身の仲宗根悟氏が事務局長をになうなど、沖縄青年団協議会の独自の役割がありました。各地の集落(字、アザ)公民館の担い手としても重要、現在でも(当時の勢いは低下しつつも)活発な青年会の事例が注目されます。
 沖縄には「エイサー」にみられるような、地域文化・芸能活動の伝統と、今日でも層の厚い担い手が存在します。集落ごとの豊年祭等も、青年会のエネルギーに支えられている部分が少なくありません。地域的な差異は否定できませんが、地域文化の担い手として若者の役割は全国的な視野からも興味深いところです。
 沖縄の「日本国憲法施行50年」の今年、改めて沖縄の青年団の歴史と今日の状況についてお話を伺いながら、あわせて基地問題、平和・暮らしのいまを語り、考えあいたいと思います。どうぞどなたもお気軽にご参加ください。
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TOAFAEC定例(第293回、6月)研究会(オンライン)
・日時:2022624()20:002130zoom開場1950
・テーマ:沖縄の日本復帰50年ーとくに沖縄の青年団運動に注目して ・お話:山城千秋さん(熊本大学)
終了後(21402230)交流会  ・申し込み:ringox@nifty.com(江頭) ※前日までにお申し込みを
報告 武田拡明,6・/26)
出席者:井谷泰彦、内田純一、江頭晃子、小田切督剛、キ・ギョウコウ、栗山究、小林文人、武田   土屋里穂、ハスゲレル、包聯群、山口真理子、鷲尾真由美(敬称略)
・内容:1972年沖縄の返還から50年経過した現在、復帰50年とは何だったのか、そもそもどこに復帰するのかを問うことから始まった研究会でした。琉球政府が本土に提出した建白書にみられるように、日本国憲法に唄われた平和で戦争のない島であったはずで、基地の中に沖縄があるという状況は、今でもまったく変わっていない日常生活があり、基地問題抜きの青年運動は語れないことを強調されました。
 基地が集中している中部市町村には、占領期より周辺市町村から青年層が流入し、新旧住民が混在しており、青年団運動は、1956年コザで第一回全島エイサーコンクール発足するほど活発。また産業開発青年隊が北部・中部に誕生しました。一方で基地に対する地域青年層の意識、関わりの差が、南部・中部間に対立や温度差を生み出していき、60年代に盛んだった青年団運動が一枚岩になりきれなかった限界の検証が必要とのことでした。
 青年団運動の基礎単位である地域青年会の活動は、共同や自治の担い手として現在でも必要不可欠な活動であり、祭りや諸行事の担い手として日常生活の中で、期待、理解されている。この経験をもとに、地域課題に向き合い積極的に区長として活動する人や政治家として行動する人材を生み出すなど、役割は大きいものであるとまとめられた。
 質疑応答では、本土の青年団運動と沖縄の青年運動との違いや特色との質問、青年運動の教育学的価値をどう考えるか、教育学や社会教育活動としてみる限界、祭りや地域貢献等日常生活に密着した活動で、沖縄では、戦後警察組織がなかった頃、基地暴力から地域住民を守る自警組織の役割も果たしていたとの指摘もあり、沖縄青年団協議会の会長をどの地域から出すのかが会長としての役割課題だったという指摘もありました。小林文人先生からは、青年団運動の助言者であった頃の発言もあり、エイサーだけではない、地域の共同、自治を支える地域の諸行事の担い手として不可欠な活動だという指摘で締めくくられた。交流会では、中部出身の海勢頭豊さん作詞・作曲「月桃の花」を山口真理子さんの発声で、歌い終了した。
 感想として、150万を超える大都会の中に、地域活動などわずらわしいと感じている多数の若者が暮らしている川崎の地域からすると、若者が生き生きと地域で活動の場が与えれて貢献できる場が残っている沖縄地域共同体、青年会活動をあたりまえに支援でき、子ども、若者の声が息づき、昭和の地域社会の仕組みが守られていている沖縄の地域社会が、羨ましいと率直に思いました。(武田)
若者たちのエイサー(名護・城区青年会などエイサー祭り、フィナーレ 「カチャーシー」 2019年、渡口裕さん提供)


2022・5月定例(第292回)研究会ご案内
 <由布の里・自由大学づくり(渡部幹雄さん・元和歌山大学付属図書館長)>
               *内田純一(高知大学・地域協働学部) 2022/5/7(12:59)
 報告者の渡部幹雄さんは、私の同級生です。同級といっても10歳年上で、小林研究室で大学院時代を一緒に過ごさせていただきました。博物館(M)、図書館(L)、アーカイブ(A)、公民館(K)そして大学(U)に関するお仕事を約40年間なさり、退職後もそれらをふるさと大分の地で一体的に実践していらっしゃいます。その構想「由布の里 自由大学づくり」について、渡部さんならではの思いを含めて伺おうというのが今回の趣旨になります。
 昨年、渡部さんは、由布院・別府・長湯温泉にほど近い庄内町大龍に「B&B由布」という宿泊施設を開設されました。通常B&Bとは、イギリスやアイルランドなど主として英語圏各国にある宿泊と朝食の提供を料金に含んだ比較的安価で利用できるホテルのことですが、渡部さんは、bed and breakfast ならぬbook and bedとして、小さな図書室のある宿泊施設を構想の一としてはじめています。学習会の開催も考えられているとのこと。このゴールデンウイークも忙しかったことでしょう。さらに豊後大野市(旧緒方町)の実家は、その周辺に多数ある石橋や滝、水車小屋や田園風景等などを取り込んだエコミュージアムの拠点として現在改装中。ここにライブラリーも併設。由布市庄内のBOOK&BEDに対し、こちらはBRIDGE&BEDとのこと。世界遺産ならぬ「世間遺産を活かしたまちづくり」(愛知川図書館20周年記念講演会での渡部さんのタイトル)という、ユニークさも渡部さんの魅力です。地域青年団時代(渡部さんは大分県連合青年団協議会会長でもあった)の仲間とも再びめぐり合い、自由大学づくり構想は着実に実現してきているようです。社会教育を丸ごと実践されてこられた渡部さんから、いま考えていることを自由にお話いただき、参加者の皆さんと思いを共有するひと時にしたいと思います。
 奮ってのご参加お待ちしております。
〇にちじ:2022年5月27日(金)20:00~22:30 (zoom開催)
〇テーマ:由布の里・自由大学づくり
〇報告者:渡部幹雄さん(B&B由布 元和歌山大学付属図書館長)
〇申込み:下記にアクセスし、名前とメールアドレスを送付してください。
 後日zoomのアドレスをお知らせします。
 https://forms.office.com/r/fsRpv6u0HW (締め切り:5月25日・水)
〇終了後(21:40~22:30)質疑応答・懇親会
 それぞれお好きな飲み物等をご用意ください。 〇連絡先:uchida@kochi-u.ac.jp
記録:
内田純一(2022/5/29)
・参加者:渡部幹雄、小林文人、武田拡明、岡 幸江、江頭晃子、李 正連、祁 暁航、栗山究、森田はるみ、
      山口真理子、内田純一、鷲尾真由美(敬称略)
・内容:報告者の渡部さんは、今年69歳。TOAFAEC通信第5号(2022.5.8)での予告を遥かに超える壮大な「渡部自由大学構想」の実践力に参加者一同、驚きの2時間半でした。渡部さんが「サテライト」と呼ぶ大分駅前に存する小さなギャラリーを除き、「由布の里自由大学」にはキャンパスが2つあります。一つは、大学本部と附属ホテルを兼ねた庄内町大龍にある「B&B由布」キャンパス。もう一つは、ご実家とその周辺環境を含む緒方キャンパス。和歌山大学附属図書館長に赴任される以前からの構想経緯にはじまり、2019年に入手した空き家を「地域資料研究室・閲覧室」「プレゼン・ゼミ室」「展示室」「多目的交流室」「宿泊交流室」等を備えた「B&B由布(大学本部棟)」へと自らの手で改造した様子、すでに始まっている地域住民との交流や周辺自治体等との関係などについて、写真とビデオで紹介されました。建学の精神は① 学際的な研究拠点、②高等教育機関との密接な関係性の構築、③地域・社会への研究成果の還元、④研究の自由を保障し真理の追究、⑤教育の格差の是正、⑥持続可能な社会の追究の6つで、遊び心とはおっしゃりながらも、自由をめぐる現代の閉塞状況に対する問題提起を強く感じました。また「長年の渡り鳥生活を経て」「様々な問題の連立方程式の解答が自由大学」だと述べられているように、あらためて、博物館(M)、図書館(L)、アーカイブ(A)、公民館(K)そして大学(U)に関するお仕事を約40年間なさってこられた渡部さんならではのキャリアが存分に発揮された、それこそ自由な構想であることに感銘しました。
 参加者との質疑としては、社会教育研究の蓄積としての「自由大学」という概念をめぐる問題、付随して「○○市民大学」や「○○雑学大学」など現代的潮流との関連、さらに、かつての「地域にひらく部屋」構想や文庫運動の広がり、「アーカイブ」に関連して資料と人を結び付ける工夫や専門性の問題、これまで職員と共に集団的に歩んできたキャリアから想像しての今後の方向性などについて、多様な意見交換なされました。カッコイイ、すごい生き方といった感想とともに、私たちももっと何か出来そうだ、小林先生からは「言葉と言葉を巧みに繋ぐ渡部さんの能力(ダジャレの事)がキャリアと共に花ひらいた」「70歳代が勝負だ!」という声掛けもあり、挑発に緊張しつつ、元気の出るやり取りでした。とはいえ、和歌山大学を退職して空き家を購入される半年前まで大病を患っていらしたとの話もお聞きし、あまり無理せず、豊かな経験を活かして、たいへんだけど、70代を楽しみながら。何より自由に。ぜひ機会を見つけて、お訪ねすることを確認し、参加者一同で乾杯して散会となりました。
14年前の渡部幹雄さん(東京-2008年5月・TOAFAEC研究会にて)





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