TOAFAEC 定例研究会・案内・報告(記録11) 
        
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73、5月定例(第262回)研究会
ご案内 (小林ぶんじん、2019年5月4日―五・四の日に―)
 <TOAFAEC・5月定例(第262回)研究会ご案内>
  ―台湾の社会教育・生涯学習、最近の動き―
 桜が終わってハナミズキが咲き、それも散ってツツジの季節、風薫る五月となりました。皆さん、お元気にお過ごしのことと思います。5月の定例研究会では、久しぶりに台湾の社会教育・生涯学習をテーマにお話を聞く企画となりました。
 私たちの研究会は、欧米の動向だけでなく、東アジアの動きについて知見を拡げていこうという志をたて1995年に会を創設、すでに四半世紀です。そのなかでも台湾の現代史はもっとも東アジア的な屈折をもって、社会教育・生涯学習の歴史を紡ぎ出してきた地域ではないかと関心を寄せてきました。台湾という古層の土着文化、中国からの蒋介石政権による戒厳令支配、1990年代の民主化と教育改革の胎動、そのなかでの社区大学の歩みや生涯教育の国際的な動向にも刺激された「生涯学習(終身学習)法」の成立、日本についで早期に登場した社会教育法(1953年)の廃止(2015年)など。いまどんな社会教育・生涯学が動いているのでしょうか。
 日本・社会教育の対比においても興味深い台湾。しかし研究会ではなかなか取り上げる機会がなく、記録を調べてみると、山口香苗さん(当時・東大院)が「この1年の動き」を(中国・韓国、日本と並んで)台湾について報告されたのが、2017年3月定例研究会のことでした。もう2年が経っています。ただし年報『東アジア社会教育研究』では、毎年台湾について「この1年の動き」が執筆され、最近の重要な展開が記述されています。ちなみに昨年の「台湾の生涯学習・この1年」では、主として社区大学発展法令、生涯学習専門職員、高齢者(樂齢)学習の動き、の3点が取り上げられています。山口香苗さんの執筆、興味深い内容です。
 政権はいま国民党政権から民進党政権へ。今後の激動の政治状況のなかで、社会教育・生涯学習がどんな展開をたどるのか。台湾の社会教育・生涯学習の現在の動きとともに、今後の展望・課題についてどうみるか、山口香苗さんにお話をお願いいたしました。皆さま、お誘いあわせの上、多数ご参会くださいますよう、ご案内申しあげます。なお定例日(毎月最終金曜日)ではなく、今回は1週間早い金曜日夜の開催となります。お間違いのないようにお願いします。
        記
日時:2019年5月24日(金)19:00〜20:50 (最終でなく1週間前の金曜日)
報告:山口香苗さん(早稲田大学助手)
テーマ:最近の台湾の社会教育・生涯学習の動き
会場:杉並区高井戸地域区民センター 第3会議室、 
 〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841 *京王井の頭線「高井戸」駅下車
〇終了後(21:00〜)山口さんの就職を祝う懇親会:イーストビレッジ 03-5346-2077
*京王井頭線高井戸駅下車。すぐ陸橋(環八・歩道橋)を渡り左にガードをくぐり、神田川を渡る。
   大きな茶色のマンションの裏1F。駅より徒歩2分。
報告





72、4月定例(第261回)研究会
    (李 正連、Sun, 7 Apr 2019 16:46)
 韓国で地域ファシリテーターとして活躍されている姜乃栄さんの来日に合わせて、4月の定例研究会はいつもとは違って、土曜日の27日に開催することになりました。今回の来日の目的は、反貧困ネットワークと希望連帯共催の「日韓居住貧困実践交流シンポジウム」(4月26日)(詳しくは、http://antipoverty-network.org/archives/3641)での講演のためだそうです。
 姜さんは、首都大学東京で修士・博士号を取得し、帰国後は韓国で地域運動・市民運動に携わりながら、日韓市民ネットワークづくりにもご尽力されています。そこで、4月定例研究会でも久しぶりに姜さんの近況を含めて、最近の主な活動の中でも地域づくりと教育に関する活動を中心にお話を伺うことにしました。皆様のご参加をお待ちしております。
〇日時:2019年4月27日(土)19:00〜20:50 *定例・最終金曜日ではりません!
 ゲスト:姜乃栄(カン・ネヨン)氏(韓国・地域ファシリテーター)
 テーマ:姜乃栄さんの最近の活動を聞く〜韓国の地域づくりと教育を中心に〜
 場所:杉並区高井戸地域区民センター 第4集会室
 〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
 *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
〇終了後(21:00〜)懇親会:イーストビレッジ 03-5346-2077
*京王井の頭線 高井戸駅下車。すぐ陸橋(環八・歩道橋)を渡り、左にガードをくぐり、神田川を渡る。大きな茶色のマンションの裏1F。駅より徒歩3分。
姜乃栄(カンネヨン)さん報告 (高井戸、20190427)


■報告
(金 亨善(Kim Hyoung Sun)、Sun, 28 Apr 2019 14:03)
参加者: 李 正連、入江優子、江頭晃子, 呉 世蓮、小田切督剛、金 亨善、小林文人、黄 丹青、
      富澤由子、包 聯群、松尾有美、山口真理子
内容:今回の定例会では、韓国で地域運動・市民運動に携わりながら、日韓市民ネットワークづくりにもご尽力されていらっしゃる姜乃栄先生をお招きし、姜先生の近況を含めて、最近の主な活動の中でも地域づくりと教育に関する活動を中心にお話を伺いました。
 IMF 経済危機時、韓国で貧困家庭が崩壊されて行く姿をただ見ることを辛く感じた姜先生は、困難な状況にある人達に実際に役に立つことをしたいという思いから、地域活動家としての活動を始めました。韓国の市民団体は社会問題解決のため様々な活動をしていますが、姜先生はその大半が法律・制度づくりにとどまってしまう問題を指摘しました。制度を作ってもそれを受け入れる地域の準備ができていないと実践につながらないということです。京畿道のタボクという中間支援組織では、職員が月1回の研究会を開いています。自分が研究をしたいものへの計画を共有し、組織の問題解決のための課題設定やワークショップなど行っています。そのプロセスのアドバイザー役を姜先生がしています。
 韓国では教育庁と基礎自治体が一緒に教育共同体事業を進めていますが、その主導権がどこにあるかによって事業の方向性も異なってきます。教育庁の主導になると、学校を中心に進めていこうとする傾向があり、自治体の主導になると、住民が事業活動の中心になります。大田市のハンサリム(生協)は、経済成長の鈍化に伴う生協活動の危機に問題意識を持ち、地域活動と緊密な連携を取ろうとしています。このハンサリムの活動にも姜先生が一緒にメンタリングをしながら、地域活性化に力を入れています。
 韓国の基礎自治体には区の下に、「洞」という自治単位があります。金大中政権はこの洞の事務所(役場)を「住民自治センター」と命名し、まちを住民自ら運営する仕組みに変えていきました。この住民自治センターを運営する住民自治委員会を、本来の目的である住民自治を色あせず、復活させるために、最近改めて「住民自治会」と変え、現在全国的に住民自治会への転換が行われています。
 住民自治会は自分が住んでいる地域課題を自ら解決する「洞」単位での住民自治プラットフォームであるため、住民の自治力が必要になります。特に、ソウル型住民自治会は行政に住民の意見がちゃんと反映できるように、ボトムアップ式のシステムを持っています。
 自治会員数も以前まで自治委員会に参加して来なかった人も入れるために拡大し、構成員も特定の世代や性別に偏らないように工夫をしています。住民自治会が上手く運営できるためには、もちろん支援が必要です。ソウル市は各自治体に住民自治会を支援する「まち自治センター」を置き、これを市民団体に委託して各洞に支援管が配置されています。「洞」は1万、2万人程度で構成されているため、50人の住民自治会だけでは十分ではないと思い、自治会の中に分科会も作って、その分科会には人数制限なしに住民誰もが参加できます。つまり、自治のための形式は支援しても、その実際の運営内容は各住民自治会に任せるということです。

 姜先生は、地域活動家というのは「組織家」だと、自分のアイデンティティーを語ってくれました。それは地域間のつながりを作る人であり、マニュアルに頼らず、各地域や組織それぞれの状況と課題に合う方法を一緒に探す人です。そして一番ベースになる、地域はなぜ大事なのか、という問題意識を地域住民が共有できるように手伝う人です。自分の武器、強みを探し、各地域で課題解決のための仕組みを探す作業を一緒に行う人です。今回の定例会では(時間に限りあり)姜先生の様々な活動についてすべて紹介することは難しかったですが、地域自治や住民参加のための活動の内容を聞くことができ、大変刺激を受けました。質疑応答で文人先生がおっしゃった「洞」以下のもっと小さな生活範囲での組織の必要性についても考えるきっかけになりました。そして住民自治と学習との関係や学校との関係についてももっと研究してみたいと思いました。
 報告終了後の懇親会は、いつもの「イーストビレッジ」でおいしい料理とビールを楽しみながら連休の始まりを満喫しました。そして今回は新しく入江さん(東京学芸大学)と富澤さん(杉並区、もと区議会議員)が参加し、入江さんの沖縄での思い出や富澤さんの杉並区での活動など、興味深いお話をしてくださり、もっとお二方の具体的な活動についてお話を伺いたいと思いました。
4月定例(第261回)研究会、前列右端・姜乃栄さん(高井戸、190427) *松尾有美さん撮影



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      同    ・記録10 (第260回・2019年3月まで)→■


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