TOAFAEC 定例研究会記録(8)  2013年1月・第191回〜     

前史・・(1)戦後沖縄社会教育研究会T(1976〜1986)→■
      (2)戦後沖縄社会教育研究会U(1986〜1995)
→■
      (3)東京学芸大学・小林ゼミ アジア・フォーラム(1989〜1995)
→■
記録・・TOAFAEC研究会
(1)第1回(1995) 〜47回(1999) 
→■   
(2)第48回(2000)〜70回(2001)
 →■  
(3)第71回(2002)〜93回(2003)
 →■   
(4)第94回(2004)〜113回(2005)
→■ 
(5)第114回(2006)〜135回(2007)
→■ 
(6)第136回(2008)〜160回(2010)
→■
(7)第161回(2010)〜190回(2012)
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第215回 (3月定例)研究会「やんばる対談」に合流■ 
            小林ぶんじん *南の風3465号
 3月の最終金曜日(定例研究会予定日)、私たちは「やんばる対談」等のため沖縄滞在中です。当初は1週前の20日夜に東京・高井戸を会場とする定例会を準備中でしたが、企画が充分に整わず、28日午後・名護で開かれる「やんばる対談」(第7回)に合流することとなりました。ご了承ください。東京の定例会を予定されていた各位には申しわけありません。
 「やんばる対談」については、名護市長選に稲嶺進さんが当選された年、辺野古・新基地問題との挌闘と並んで、名護の新しい地域づくりへの取り組みが始まった2010年からの企画。各年度の対談記録は年報『東アジア社会教育研究』に収録しています。“ゆんたく”を文字にした面白い記録です。その経過・企画を短く書いている第17号「解題」、その一部を再録しておきましょう。
 「やんばる対談の企画について、島袋正敏と小林が予備的に話しあったのは稲嶺市政がスタートして間もない頃であった。"やんばる"という独自の風土、自然・歴史・文化に根を下ろしながら、復帰・海洋博以降の開発の流れに抗しつつ、その取り組みの蓄積に重ねて、名護市が新しい課題にどうチャレンジしていくか、"基地のない地域づくり"(稲嶺進市長)に向けての自治体の取り組みを見守り、そのなかでの社会教育の課題や展望をともに考えていこう、そんな思いをもって、やんばる対談が始まった。」(年報17号−121頁)
 「対談」テーマの流れは、ホームページ「沖縄」サイトをご覧下さい(対談内容は未入力)。
 →■ http://www004.upp.so-net.ne.jp/fumi-k/06okinawa.htm
 稲嶺市政は、発足して間もなく、名護各地区(合併前の4村)に新しく社会教育主事を配置しました。昨年はこの「若き社会教育主事の群像」との語り合い。本年度はこの「対談」をどう発展していくことになるかが楽しみです。
・日時:3月28日(土)午後2時〜5時、名護市社会教育主事集団との対談
・会場:名護市東海岸・底仁屋「蔓草庵」(島袋正敏さん主宰)
     終了後は名護市内に移動し、名護市中央公民館にて懇親交流会の予定

第7回「やんばる対談」終了。右より5人目に韓国から参加の崔一先さん(慶煕大学)- 蔓草庵,20150328-





★記録 (山口真理子、Fri, 3 Apr 2015 08:04)
 <第7回「やんばる対談」ご報告−TOAFAEC 3月定例(第215回)研究会−>
テーマ:やんばる対談(続・名護の社会教育を担う若き群像)
進行役:小林文人(TOAFAEC 顧問)
参加:A名護側−島袋正敏(蔓草庵・主宰),比嘉ひとみ(社会教育課長),島袋一平(社会教育係長),糸数幸司(社会教育主事・羽地地区),岸本久美子(社会教育主事・名護地区),比嘉祥子(社会教育主事・名護地区),屋良あさの(社会教育主事・屋部地区)
B訪問側−李正連(東京大学准教授),石井山竜平(東北大学准教授),上田孝典(筑波大学准教授),内田純一(高知大学教授),呉世蓮(早稲田大学講師),國吉多美子(エッセイスト),桑原重美(元NHKカメラマン),崔一先(韓国・慶煕大学教授),角田弓果(和光大学学生),鷲尾真由美(沖縄環境ネットワーク世話人)、記録:山口真理子(TOAFAEC 会計),
内容(概要):全国的には削減される一方の社会教育主事(以下・社教主事)、ここ名護市では2010年に稲嶺市政が誕生してから逆に増えていて、5地区・各支所に各1名(名護地区のみ2名)が配置されている。
 昨年のやんばる対談では、そのうち4地区に配置された社教主事さん達の現場での実践の様子が、喜びや悩みとともに熱く語られた(年報『東アジア社会教育研究』第19号所収)。合言葉は「地域を元気に」である。今回は、その後の1年を語ってもらった。昨年参加された社教主事のうち、育児休業から復帰した人や社教主事資格を取得した人がいる一方、お2人が都合により欠席だったのは、2地区の様子が聞けなかったこともあり、残念であった。
 社教主事は社会教育課の一員として、また支所職員としての業務があり、その両立でがんばっている。各地区ともに地域誌(ニュース)を発行し、地区ごとの大きなイベントは互いにサポートしている。配置された支所そのものの活動が活発になってきていて、社教主事に対する期待が非常に大きくなっている。そのスピードは速過ぎるくらいである。   
 地域の中に入っていくことにより信頼を得られ、その素晴らしさを地域の活力に還元できている。"地域力"を感じることが多い。地域の人々にとって、支所(行政)が身近な存在になってきているのではないか。
 年中行事は大事だが、人口―特に子育て世代―が減っており、後を継ぐ人が少なくなっているのは悩みである。そのため区長や社教主事が代わって務めている実態がある。名護では、元来子どもを大事にしてきた。エイサーなど地域の行事は子ども達の憧れでもあり、地域のエネルギーになってきた。しかし羽地地区では小学校が4校から3校に減り、子ども会への影響が大きいなど、子ども達の環境は厳しい状況にある。しかけをつくるなどして克服していきたい。
 …などなど、名護側からの話に訪問側参加者から、また韓国側からも、質問を交え、今後への課題も出しあい、今年のユンタクは終了した。詳細な記録は年報『東アジア社会教育研究』20号に収録される予定である。
 その後は、名護中央公民館に場所を移して、比嘉久(博物館長)、島福善弘(前博物館長)、照屋秀裕(名護市消防長)など先輩諸氏の参加も得て、賑やかに懇親会が盛り上がった。
 名護の皆さま、お世話になりました。ありがとうございました。


TOAFAEC・第214回 (2月定例)研究会
           *山口真理子 (Tue, 10 Feb 2015 11:30)
 本年第2回(第214回)定例研究会(最終金曜日2月27日)のご案内です。
 「南の風」3435その他に折にふれ書かれていますが、この研究会の前身は1976年に始まった東京学芸大学「戦後沖縄社会教育研究会」でした。
 それから約40年。この間、文人先生は毎月のように沖縄に通う一時期もありましたし、研究会を通して、たくさんの人が一緒に沖縄を訪れてきました。沖縄から“日本が見える”ということもありますし、沖縄の“人と歴史”に出会うことの感激も多く、ウチナンチュから元気をもらってきた歳月でもありました。
 そして、辺野古を争点とする2014年の一連の選挙で示されたオール沖縄の意思は、日本の民主主義を問う、かってない盛り上がりとなってきています。
 名護の稲嶺進市長の当選後、私たちの研究会として「やんばる対談」を重ねてきました。その内容は、年報『東アジア社会教育研究』に掲載しています。
 今年も「南の風」3437・内田純一さんご案内のように、3月26日(木)〜30日(月)の日程で、沖縄訪問・やんばる対談が計画されております。今回は沖縄が初めての方もあり、韓国からもご参加ということから、南部戦跡,嘉手納基地から北部へ,辺野古,高江,奥集落、など沖縄・やんばるの様々な側面を歩き実感できるコースの旅になりそうです。楽しみです。
 その事前学習会の意味も含めて、沖縄・やんばるの歴史と現在を考える研究会を開くことになりました。沖縄が初めての方もそうでない方も、今回訪問を予定されている方もそうでない方も、沖縄に関心をお持ちの方は、どなたでも、どうぞお気軽にご参加ください
日時:2015年2月27日(金)18時30分〜20時50分
テーマ:沖縄訪問事前学習会「沖縄・やんばる講座」
話題提供:小林文人ほか−沖縄社会教育研究の歩み、やんばる対談、これから
場所:杉並・高井戸地域区民センター 第1和室  〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5
    TEL 03−3331−7841   *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
終了後(21:00予定)懇親会「イーストビレッジ」Tel 03-5346-2077
    *高井戸駅から徒歩2分。環八・神田川傍マンションビル(裏側)1階

撮影:桑原重美さん(高井戸、20150227)


★記録
  山口真理子
(Sat, 28 Feb 2015 17:50)
参加者:李正連,内田純一(高知からこの会のためにわざわざ上京してくださいました),江頭晃子,呉世蓮,桑原重美,小林文人,杉浦ちなみ(初参加、東京大学・院−博士課程),武田拡明 ,角田弓果(初参加、和光大学4年),山口真理子
内 容:ご案内にもありましたように、3月の沖縄訪問に向けての事前学習ということで、文人先生が「小林:沖縄の社会教育・公民館に関する研究・交流記録」というレジュメを作成され、少し駆け足で、語ってくださいました。
 レジュメの前半は、〈研究史〉〈研究・調査報告〉〈地域史(先島)研究〉〈青年運動・復帰運動証言・やんばる対談〉〈訪問記録・証言資料・短信など(ホームページ)〉の各項目。研究の成果として刊行された資料(本)やホームページのリストとなっていて、資料の内容やそれにまつわる出来事などを話されました。特に、1970年代に、本土の公民館(公的セクター)とは異なる字公民館(集落公民館。戦前のムラヤーが前身。部落公民館、自治公民館とも呼ばれる)に出会われた時の衝撃は、今帰仁村の総合計画・基本構想の図を示しながら、熱く話されました。名護市や今帰仁村の総合計画・基本構想の現物も回覧され、象グループのイラスト(計画そのものにも関与)が斬新な、その少々大判の資料に皆見入ったことでした。 
 レジュメの後半は、やんばる対談の場となる名護市の紹介。現社会教育課長の比嘉ひとみさんが、『時の眼―沖縄 批評誌N27』第4号(2015.1)に書かれている「わがまち・わがむら―名護」紹介とコメント。「やんばる対談」への期待も高まります。
 会の後半は、参加者の自己紹介と発言。初参加の杉浦さんの奄美研究、地域文化としての民謡・音楽への興味が出発点。角田さんは町田市の障害者青年学級への参加。川崎の武田さんは今帰仁村公民館への回想と最近の名護研究について。ウタキ(御嶽)に関する質問には桑原さんの説明があったりして、いろいろ盛り上がりました。3月沖縄訪問の幹事長・内田さんは『民衆と社会教育』(1988年)の時期から沖縄フィールドワークに参加、ヒージャー(ヤギ)汁等のエピソードも。これは初参加の人を、ちょっとビビらせたかな?
 会場の時間帯(と利用料金)が、今年から大きく変わりました。そのため6時50分からしか会場に入れず、それまでロビーでの研究会となりました。今後どうするか、課題です。終了後の懇親会は、いつものイーストビレッジでしたが、「南の風」3456にありましたように、マスターは入院中。代わって奥様とお嬢さんの奮闘で、今回もおいしく、楽しく過ごせました。お嬢さんは専門学校の1年生、お母さん似の明るい美人の娘さんでしたよ。


2015年1月定例(TOAFAEC 第213回)研究会ご案内
                  *小林文人(2015年1月19日)
 新しい年が始まりました。TOAFAEC は今年で20年、どうぞよろしくお願いいたします。本年度の第1回(通算213回)定例研究会のご案内です。
 「南の風」でご存知のように、板橋区大原社会教育会館・斉藤真哉さんは昨年末にイスラエル・パレスチナ・ボスニアを旅して、そのレポートが精力的に寄せられています。この機会に斉藤さんから直接にお話を聞き、日頃なかなか触れることがないパレスチナ問題について理解を深める機会にしたい、そんな思いから第1回研究会を企画しました。
 依頼した斉藤さんから次のようなメールを頂いています。「今回の私の報告は、イスラエル領内で、イスラエリアラブ(イスラエルのアラブ人)ではなく、パレスチナ人としてのアイデンティティを獲得し胸を張って生きようと呼びかけているイスラエルに住むアラブ人、その多くの支持を受けているラップグループ:DAM(Da Arabic Mc's)のパフォーマンスの映像を観ていただき、それに加えて、イスラエリアラブの若者が置かれている状況についてお話をしたいと思います。その映像は、12月25日のクリスマスにベツレヘム郊外の「羊飼いの野」において開催されたフェスティバルの様子を、DAM の許可を得て撮影したものです。パレスチナの若者の生の姿に触れることができます。…」
 また斉藤レポートに強い関心をもたれた伊藤武彦さん(心理学者、和光大学)もお出でいただくことになりました。伊藤さんからは、「JISP(日本イスラエイド・サポート・プログラム)と“イスラエイド”の簡単な報告も準備していきます」とのことです。寒い夜の研究会ですが、多数の皆様のご参加をお待ちしています。
日時:2015年1月30日(金)18時30分〜20時50分
テーマ・イスラエル・パレスチナ問題を考える
報 告:斉藤真哉さん(東京・板橋区大原社会教育会館、社会教育主事)
ゲスト:伊藤武彦さん(和光大学、心理学者)、井上孝代さん(明治学院大学、同)
場 所:杉並・高井戸地域区民センター 第3集会室
    〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
終了後(21:00予定)新春の懇親会「イーストビレッジ」Tel 03-5346-2077
斉藤真哉さん(板橋区教育委員会) −高井戸、20140228−


★記録 佐治真由子(Tue, 3 Feb 2015 01:05)
参加者:伊藤武彦、井上孝代、岩本陽児、江頭晃子、小林文人、斉藤真哉、佐治真由子、山口真理子
内容:
 イスラエル・パレスチナ問題を考えるというテーマで、まず齋藤真哉さんから。そもそもイスラエル人とは誰か(その中で多数を占めるユダヤ人は、ユダヤ教徒の母親をもつ人たち)、パレスチナ人とは誰か、という話から始まった。
 ユダヤ人たちをつなぐ記憶として、「ユダヤ3000年の歴史」があり、ヤド・ヴァシェム(ホロコーストの犠牲者を追悼するためのイスラエルの国立記念館)に代表されるナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺の記憶があること。その一方で、語られてこなかった記憶として、1948年のイスラエル建国以後、イスラエル人(ユダヤ人)がパレスチナ人に対して何をしてきたかがある。徴兵制を敷くイスラエルでは、18歳から20歳のすべてのイスラエル人は皆、兵役に就く義務がある。しかし、人を傷つけてはいけないという厳格な教えを受けて育ったユダヤ人は、兵役中に課される任務に戸惑い、精神を病み、兵役後は何年も世界を放浪するなどして心身を癒やす若者が多い。そうした元イスラエル軍兵士の中から、「考えるのをやめたとき、僕は怪物になった」とし、占領地での虐待、略奪、一般住民の殺戮等の加害行為を告発する「沈黙を破る」という団体が生まれたこと。齋藤さんより、そのメンバーに対して行ったインタビュー記事が紹介される。
 他方で、パレスチナ人は、イスラエル(ユダヤ人)に対する抵抗の歴史を子孫に語り継いできたが、若者の失業率が5割を超え、明日への希望のなさをドラッグなどに手を出すことで紛らわさざるをえない状況がある。しかし最近、そうしたパレスチナの若者の中から、DAM (パレスチナ人ヒップホップグループ)や、フリーダムシアター(パレスチナの若者に自由な表現活動の場を提供する演劇集団)などのグループが生まれ、ユダヤ資本の支援を受けながら活動範囲を広げている。
 最後に齋藤さんは、「日本の『満州国』になぞらえられることの多いイスラエルは、第一次世界大戦後、オスマン帝国崩壊後の東アジア分割を英・仏・露の3カ国が決定したことに始まり、ホロコーストを経て現在に至るまでヨーロッパの植民地であり、世界で最後の植民地である。また、双方とも、戦争や暴力との共存によって成立する自己のアイデンティティを確認するために、相手を必要とし、相手を合わせ鏡としながら存在している。こうした関係をどのように打破していくことができるのか」とまとめた。
 その後、伊藤武彦さんから、2001年にイスラエルで設立された国際人道支援活動団体イスラエイド(IsraAID)と、その日本支部(社)日本イスラエイド・サポート・プログラム(JISP)に関わった経緯や、その活動について紹介。そして、イスラエイドがホロコーストや長年の占領や徴兵によって精神を病むイスラエル人に対して心理的ケアを行ってきた経験をふまえ、日本でも東日本大震災の被災者に対して、「東北の声」など語りの収録とアートセラピーなど言葉によらない方法でのストレスの解放、トラウマの回復などの活動を伊藤さんや井上さんが中心となって行っているとのことであった。
 以上、イスラエルとパレスチナ、占領者と被占領者というちがいはあり、そして占領者イスラエルも欧米の植民地下にあるという重層的構造の下で、両者とも精神を病み、トラウマの回復を必要としている。そして、その心理療法は、イスラエル、パレスチナ問題を作り出した起源、イギリスを発祥としている。
 なんとも複雑でむなしい。
★記録2 小林ぶんじん 南の風3443号
 1月30日(第213回)研究会の記録(上掲)をまとめて下さった佐治真由子さん、有り難うございました。当日の斉藤さんの「イスラエル・パレスチナ問題」、ゲスト伊藤武彦さんの「東日本大震災の語りと支援」、それぞれのお話が交わって刺激的なひとときでしたが、佐治さんの記録からも、あらためて教えられるところがありました。中東問題と国際的なイスラエイド(IsraAID )支援活動について新しい知見を得ることができ、また歴史と政治の「重層的構造の下で、精神を病み、トラウマの回復を必要としている」人たちに心理学が果たしている役割を知ることが出来ました。
 デジカメ初期のカメラを愛用してきましたが、最近はカメラを持参しないことが多く、当日は持参しながら、記録を撮ることを失念しました。2002年以降(第71回〜)の研究会からは、ほぼ全部の画像を残してきた思いもあり、お詫びに1年前の斉藤さんの写真(上)と、ゲストの伊藤・井上両先生については、一緒に旅した内モンゴル訪問(2006年8月)の写真一枚を切り取って再録しました(下)。一周忌が近い故伊藤長和さんの元気な顔も並んでいますので…。
2006内モンゴル訪問団。前列右端・伊藤武彦さん(和光大学)、後列中央・井上孝代さん(明治学院大学)、
 その左に伊藤長和さん。(フフホト、2006年8月27日)




2014年12月(TOAFAEC 第212回)研究会ご案内
           *上野景三  (Fri, 14 Nov 2014 08:44)
 <「東アジア社会教育研究」編集会議(第8回)>
   −TOAFAEC 定例(12月、第212回)研究会 として開催−
 第19号の編集には、ご協力ありがとうございました。おかげさまで充実した内容にすることができました。
 さて、第19号の合評会と第20号にむけての編集会議を下記のとおり開催いたします。
 第19号への反響や反省、第20号へのご意見やアイデア等をお持ちより下さい。年末になり、お忙しいとは思いますが、お誘いあわせの上お出かけ下さい。どなたでも参加できます。お待ちしています。
 なお、当日は東大教育学部玄関は閉まっていますので、上野の携帯へご連絡下さい(090-3076-9519)。ドアをあけにまいります。
○日 時:2014年12月13日(土)13時30分〜17時(予定)
 テーマ:第19号合評会、第20号へ向けての編集構想など
 報 告:上野景三(佐賀大学)「編集を終えて」
      内田純一(高知大学)「特集について」
      東大院生グループ 「第19号を読んで」
      各フォーラムよりの意見
      内田純一「第20号の編集にむけて−東アジア社会教育の20年をふりかえりながら」
 場 所:東京大学 教育学部 1階 第2会議室

年報第19号合評、第20号へ向けての12月(第212回)研究会、撮影・呉世蓮さん(東京大学、20141213)


★記録
 内田純一 (Wed, 24 Dec 2014 12:27)
 過日(12/13)TOAFAEC第212回定例研究会として、『東アジア社会教育研究』第19号の合評と第20号構想の会が開かれました。合評では、最初に第19号編集長の上野景三さんから全体の総括があり、続いて特集「東アジアにおける大都市社会教育の躍動」を担当した内田から、そして東京大学等の院生のみなさんからそれぞれ講評がありました。
 院生の金宝藍さんは、東アジア各国における社会的「躍動」感と生涯学習・社会教育の「躍動」との結節の道筋を、さらに深める必要があるとしながらも、絶えず資本や権力によって囲い込まれかねない状況があるなかで「市民の力」「地域に根ざした学習・文化活動」「繋がりと連帯」等が躍動を生み出す基底であり、それは日本の社会教育がこれまでに蓄積してきたものではなかったのかと再提起されました。
 呉世蓮さんと松尾有美さん(ペーパー参加)からは、中国・韓国・台湾の動向に関する部分の講評があり、様々な制度や実践の進展状況は特筆すべきものだが、その背景として現代社会に関する一歩踏み込んだ記載があると、さらに身近に感じられるのではと報告がありました。
 さらに郭珍榮さん(ペーパー参加)は、第X部「沖縄の地域づくり」について、組織立った社会教育を大局的な見地だけでは見えてこない実態が、地域やそこで生きてきた人に焦点を当てることではっきりと見えるようになり、そこに社会教育の普遍性があるのではないかということでした。
 いずれの講評も問題提起を含むものであり、話はそのまま第20号構想へと繋がっていきました。第20号構想では、この20年の研究を振り返り「社会教育・生涯学習に関するアジア的形態」としてどのような要素が見えてきたかについて意見交換がなされました。
 またその中で、戦後70年という視点をどう入れるか、日本における社会教育の展望をどう描くか、Non-formal Educationに関する法制の動きが南アジアで広がってきていることなどについての言及もありました。今後、編集委員会を立ち上げ、さらに検討を重ねていくことになります。皆さま、記念すべき第20号の編集・発行に向け、来年もどうぞよろしくお願いいたします。


2014年11月(TOAFAEC 第211回)研究会ご案内              
             *石川敬史(Fri, 7 Nov 2014 06:29)
 <11月定例(TOAFAEC 第211回)研究会
   −東京社会教育史研究フォーラム(第19回研究会)と合同開催−
 TOAFAEC 定例会と併行して、東京社会教育史研究フォーラムの研究会がほぼ毎月の定例開催、活発な活動を続けています。いま来年の夏を目標に『東京社会教育の歩み』(仮題)出版に向けて鋭意執筆中、今後が楽しみです。
 これまで、何度か両研究会による合同開催が企画されてきました(昨年10月、「東京社会教育史の出版構想」等)。今回1年ぶりの合同研究会(TOAFAEC 第211回、東京フォーラム第19回研究会)となります。
 テーマは『東京社会教育の歩み』「通史」について、市民運動・NPO活動の視点からどう書くか。三多摩の動きを中心に、執筆を担当される江頭晃子さんにご報告いただきます。すでに江頭さんは2014年6月(TOAFAEC 第207回)研究会にて「市民アーカイブ多摩への期待」と題してお話しいただきました。都立多摩社会教育会館(旧)市民活動サービスコーナーでのご経験,そして現在はNPO 法人「アンティ多摩」の常勤スタッフとしての活動など,常に「市民活動」や「NPO活動」の最前線に立って活動されています。
 こうした活動をはじめ「市民運動」「NPO活動」の歩みを、東京社会教育史の「通史編」として執筆されるにあたり,江頭さんのご執筆構想(内容)や課題をお話しいただきます。多数のご参加をお待ちします。
             記
・日時:2014年11月28日(金)18時30分〜20時50分
・テーマ:「東京社会教育の歩み・通史編−市民運動・NPO活動の視点から」
・報告:江頭晃子さん(NPO市民活動サポートセンター・アンティ多摩)
・場所:杉並・高井戸地域区民センター 第4集会室
    〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
    *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
・終了後(21:00〜予定)懇親・交流会「イーストビレッジ」Tel 03-5346-2077
    *高井戸駅から徒歩2分。環八・神田川傍マンションビル(裏側)1階
江頭晃子さん、瀬川理恵さん撮影(141129)

★記録 石川 敬史(Mon, 1 Dec 2014 12:49)
出席者(敬称略):井口啓太郎,井谷泰彦,井上恵子,栗山究,小林文人,齋藤真哉,瀬川理恵,
           野々村恵子,的野信一,安井節子,石川敬史
・内容
 TOAFAEC第211回(11月定例)研究会は、第19回東京社会教育史研究フォーラムとの合同開催でした。お話は,通史編の市民活動・運動史のうち,主に三多摩を担当される江頭晃子さん。都立多摩社会教育会館(旧)市民活動サービスコーナー,そして現在のNPO 法人「アンティ多摩」常勤スタッフとしての経験をふまえながら,市民運動・NPO 活動の視点から東京社会教育史について,多くの刺激的な課題を提起されました。
 特に,ミニコミや記念誌などを収集し整理した経験から,1945年代から2010年代までの東京・多摩地域の市民活動史について,資料に基づき具体的な事例を丁寧にあげ,時系列的に各年代の特徴を捉えたお話しは,江頭さんだからこそデザインできる通史と言えるでしょう。ひとつひとつの「木」を視るのと同時に,全体の「森」を視ながら、各時代の流れと特徴を提示されました。そして,市民活動・運動史の通史をどう書くか,という議論は時間が足りず,あっという間に会場の閉室時刻となりました。
 例えば「市民活動」と「市民運動」という言葉について,時代を通してみると,70-80年代と2010年代では,範囲や領域が大きく変化していること,三多摩の地域変貌と保守的地盤,公共の解体と代役(市場化、委託、ボランティア化),公共を担う「市民活動」,さらには2010年代以降の「学び」の形骸化など,議論は尽きませんでした。今後の執筆にあたり,市民活動の歩みを大胆に整理する、時代的な特徴を踏まえた論点を軸に組み立ててはどうか、などの意見も。
 小林文人先生からは,PTA の歴史的役割、地域の国際化・多文化,労働組合と地域、学生運動など、三多摩独自の歴史についての指摘がありました。江頭さんのお話から参加者一同,大きな刺激を受けました。
 終了後の懇親会では,遠藤輝喜さん(TOAFAEC 事務局長)も駆けつけ,また「南の風」3409号に齋藤真哉さんが報告された通り,バースディケーキとビールが並び,イーストビレッジでの本年最後の会、早めの忘年会となりました。
 次回は、12月13日(土)午後、年報19号の合評と、来年20号へ向けての体制や構想が検討される予定です(会場・東京大学)。詳細については、追ってご案内されるでしょう。
 

2014年10月(TOAFAEC 第210回研究会・記録
            江頭晃子(Fri, 03 Oct 2014 23:39)
 <10月(第210回)定例研究会ご案内>
 第180回定例会で「わくわくドキドキ・韓国研究への道」を報告していただいた瀬川理恵さんが、2年半の留学生活を終えて、8月中旬に帰国されました。韓国の公州大学校大学院で学び博士論文に取り組みながら、市民活動への参加、日韓の大学交流、そして韓国での寮・アパート生活などなど、さまざまな経験を積んでこられました。ご本人いわく「本当の自分になれたと感じた2年半」だったそうです。
 韓国で実際に生活し、色々な経験をしながら意識変容していった過程や、多くの人々との出会いや活動の様子、横浜市職員に戻った今のことなどなど、率直に語っていただきながら、帰国のお祝いをしたいと思っています。どなたも、お気軽にご参加ください。
日 時:2014年10月24日(金)18時30分〜20時45分
テーマ:「りえちゃんが学び、活動した韓国」
お話:瀬川理恵さん(横浜市教育委員会、公州大学校大学院)
場所:杉並・高井戸地域区民センター 第二集会室
    〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
    *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
研究会後の懇親・交流会: 21:00〜「イーストビレッジ」 TEL03-5346-2077 (いつもの場所)
    *高井戸駅から徒歩2分 環八・神田川傍マンションビル(裏側)1階
当日の連絡先:山口真理子 TEL090−1548−9595

TOAFAEC第210回定例研究会・瀬川理恵さん(高井戸、20141024)


★記録 江頭晃子(Tue, 04 Nov 2014 23:38)
 <第210回定例研究会:「りえちゃんが学び、活動した韓国」報告>
お話:瀬川理恵(横浜市教育委員会) 「りえちゃんが学び、活動した韓国」
参加者:(敬称略)岩本陽児、江頭晃子、金ボラム、小林文人、松尾有美(東大・院)、山口真理子
内容:第180回定例会で「わくわくどきどき韓国研究の旅」の報告から2年半。自分の思いに忠実に、まっすぐ率直な瀬川さんが、辛い思い出も自分の糧に変えて、元気いっぱいに戻ってきました。りえちゃんパワーに参加者も刺激され、本音トークで韓国の社会(平生)教育と市民活動、サードセクター論などと活発な議論ができました。
 報告は「なぜ、韓国に公州に行ったのか」から始まりました。平生教育支援者の力量形成・現場教育への興味、2カ月に一度の報告書作成が課せられて良い記録にもなったと言う「自己啓発等休業制度」のこと。寮やワンルームでのひとり暮らしの実際、そして履修した授業(地域社会教育論、社会教育実践論、平生教育プログラム開発理論など)や苦労したことなどを語られました。韓国語と格闘した日々、思考の萎縮を感じた1年目。周囲と適切な距離をとり、研究に集中しはじめた2年目。その中で変化しつつ再発見する自分自身のこと。
 そして大きな出会い・自分の居場所となった地域貨幣活動団体「地域助け合いハンバレッツ」(『東アジア社会教育研究』第19号・瀬川論文参照)での活動のことなどを、多くの写真とともに報告がありました。最後に自身の研究テーマとこれからの計画、恩師ヤン先生のこと、横浜市に帰ってきて生涯学習係に配属されたことなど、自分を中心とした丁寧な報告から、参加者も韓国留学を少し経験したような気持ちになりました。
 最後に小林先生からは、瀬川さんの研究へのアドバイス(公的平生教育との関連も視野に入れること)と、日本と韓国の市民活動の歴史的な相違等についての話もあり、瀬川さんは、きっと市民活動による居場所研究については、日韓双方の比較研究も入ってくるのでないかと勝手に期待をして終わりました。
 終了後、「お帰りなさい会」は、4ヶ月ぶりのイーストビレッジ(高井戸)、、楽しい語らいは、いつまでも終わりませんでした。


2014年9月(TOAFAEC 第209回)研究会の記録ご案内
               *山口真理子(Sat, 13 Sep 2014 02:22)
 <福井で第209回定例研究会−年報第19号の刊行お祝い−お誘い
        *日本社会教育学会(福井大学)初日夜、どなたも歓迎!
 9月に入り、やっとしのぎやすくなってきました。この夏は、激しい台風や大雨が多く、『南の風』の皆様、お身内の方々に被害はありませんでしたか?
 さて、TOAFAEC は創立(1995年)当初より、年報『東アジア社会教育研究』を毎年九・一八(1931年9月18日、15年戦争勃発の日)に刊行してきました。25人と1団体による維持会員のご支援によって、発行を継続してきました。
 おかげさまで今年は第19号となりました。福井大学で開催される日本社会教育学会(第61回)研究大会の会場で、ご披露できる見込みです。
 今年度の特集テーマは、「東アジアにおける大都市社会教育の躍動」。躍進著しいソウル市・台北市、もちろん中国大都市の最近の動きに注目して、座談会・報告・資料を通して、新たな“躍動”を紹介しています。これに並んで、例年のように、中国、韓国、台湾そして沖縄の新しい動向・実践事例を収録。沖縄の部では6回目となった「やんばる対談」、東南アジアからはCLCについての新しいご報告。悲しいことですが、今年2月に急逝された伊藤長和さん追悼記事など盛り沢山の内容です。「この年報なくして東アジアの社会教育・生涯学習は語れない」と自負しています。
 『南の風』3365号にもありましたように、学会初日の夜、年報第19号発行を祝う集いを、下記のように開催することになりました。学会参加の皆様、どうぞお気軽にお越しください。初めての方、大歓迎!です。福井市・公民館の方もご参加の予定です。(この会を開くにあたって、福井市円山公民館・松井章江さんに大変お世話になりました。ありがとうございます。)
日 時:2014年9月26日(金)19:00〜
内 容:第19号発刊を祝う、自由交流・歓談
場 所:「わらび」片町店(福井市順化2-21-1 電話:0776-27-1118)→■ 
    http://warabi-group.com/warabi/shop/Katamachi/
     (「へしこ」もお刺身もおそばも美味しい、安いのが一番の店だそうです。)
要会費:(飲食代)4000円前後
連絡先:山口真理子(TOAFAEC)090-1548-9595、松井章江(福井)090-5174-8042

第209回研究会(福井市片町、140926) *ピント甘く申し訳ありません、ぶんじんが撮ったのではありませんが・・・。


★記録
  山口真理子(Sat, 4 Oct 2014 17:38)南の風3380号
参加者A:(敬称略)井上満枝(福井市順化公民館),岩本陽児,内田純一,呉世蓮(オ セヨン),
 大前哲彦,小林文人,松井章江(福井市円山公民館),梁炳賛(ヤン ビョンチャン),山口真理子(9名)
参加者B(後半−学会理事会終了後):李正連(イ ジョンユン),石井山竜平,上田孝典,上野景三,
 内田和浩,金宝藍(キム ボラン),長岡智寿子(国立教育政策研究所−「風に参加」)。計16名
内容:わざわざこの会に合わせて、副編集長・内田純一さんは、19号合評の話題提供の準備をなさっておられたようですが「楽しい歓談の会にしよう!」という文人先生の一言(『南の風』3375号)、最初から、乾杯に次ぐ乾杯。これって研究会としてカウントしていいんでしょうか?!
 初めての方もあり、おしゃべりに花が咲き、大前先生は写真を撮りまくっておられました。福井市公民館の松井(円山公民館)・井上(順化公民館)の両公民館主事さんのおかげで、刺身に鯖へしこなど…、とにかく魚介類が新鮮でおいしい、そんな地元のお店が選ばれていたことが、何よりの盛り上がりの元となりました。松井さん、井上さん、ありがとうございました。
 学会理事会(石井山事務局長)も、この夜はスムースに議事が進行したらしく、私たちの「年報19号刊行お祝い」会も賑やかな会となりました。翌日の学会・研究発表を控えている若い研究者も参加され、たいへん楽しい会でした。きっとうまくいきましたよね。ご参加の皆さま(総勢16名)、ありがとうございました。
記録2,小林ぶんじん(南の風3376号) ≪福井・繁華街の定例研究会≫
 学会初日のプログラムを終わって夜の「第19号お祝い研究会(TOAFAEC、第209 回定例)」は、福井の夜の繁華街「片町」で盛大!に開かれました。福井市の公民館からー円山公民館・松井章江、順化公民館・井上満江のお二人が出席され(何よりの会場選定に感謝!)、韓国・公州大学(現在は和歌山大学)ヤンビョンチャンさんもお出で下さって、座はいちだんと盛り上がり・・・。
 この夜は(昼の学会に続いて)大前哲彦さんの話がなめらか。副編集長・内田純一さん用意の「19号・合評」は次の機会に。ひたすら福井の肴でお酒を楽しむ研究会?となりました。ひとしきり「飲み放題」が終わったあと、頃よく学会理事会が終わったとの連絡が入り、理事・幹事の皆さんがドヤドヤとやってきて、いよいよ定例研究会の本格的な?進行。第19号編集長・上野景三さん、学会事務局長の石井山竜平さん、もちろん韓国・中国の両研究フォーラムのメンバーも揃って乾杯が続き、福井のお酒の酔いとともに歌もたくさん。終わりの方は、あまり憶えていません。当夜、何よりも学会・全国理事会のスムースな進行に感謝。写真を一枚(上掲)。古いカメラがそろそろ寿命なのか、今回もピントが甘く、申し訳ありません。
 翌日(27日)の自由研究発表を控えているためか、若い世代はすくなく(例外あり)、他方で新しく参加の方より「南の風」配信の依頼を受け・・・久しぶりの福井の夜は楽しく更けていきました。
記録3,
小林ぶんじん(南の風3380号) ≪これこそ研究会!(ぶ)≫
 … しかし、新年報が出たばかりの日、まだ読んでいない皆さんに「合評」は無理との判断。ひたすら刊行祝いの乾杯!となった次第です。当夜は心通わせての語りあい、お互いに元気を交流しあったひととき。これこそ研究会の原点というべき・…。定例会としてカウント! … 


2014年7月(TOAFAEC 第208回)研究会・記録
                   *小林ぶんじん、2014年7月3日
 7月となりました。今年も半分が過ぎたことになります。いま沖縄は梅雨明け、九州は豪雨、東京も梅雨の真っ最中。皆様には、お変わりありませんか。 
 「南の風」が、2005年から2009年にかけて「原水禁運動(安井家)資料研究会」の案内や活動記事を、ひんぱんに掲載してきたこと、TOAFAEC/HPにもいくつか関連サイトが収録されていることなど、大半の風メンバーはもうお忘れかと思います。この5年間には3冊の報告書も出してきました。→■
 安井家のご事情があり、2009年12月(第58回研究会)から休会となったまま、4年半が経過。その後、病気療養中の安井節子さんも元気になられました。この間には、丸浜江里子さんが『原水禁署名運動の誕生−東京・杉並の住民パワーと水脈』(凱風社、2011年)を出版。また三重大学に勤務していた竹峰誠一郎さん(安井資料研究会・初期メンバー)が明星大学(人文学部常勤准教授)へ。『核時代のマーシャル諸島―社会・文化・歴史、そしてヒバクシャ』共編・刊行(2013年)のニュースも伝わってきました。
 今年はビキニ被爆60年、久しぶりに竹峰さんの最近の話を聞きながら、安井資料に関するデーターベース、今後のことなど情報交換の場として、7月(第208回)定例研究会を企画しました。ただ予定の最終金曜日に出席予定者の都合がつかず、日程調整の結果、下記のように月曜日の夜の会合です。ご了承ください。会場も(いつもの)高井戸ではなく、永福・区民センター。ご注意ください。ご関心ある方、初めての方、どなたも歓迎!です。
 なお当日ご参加にの皆さんには、安井家に保管されていた貴重資料『ひたすらに平和願えり』(安井資料研究会編、2008年度研究会報告)をお渡しする予定です。
日時:2014年7月21日(月)18:30〜21:00
お話:竹峰誠一郎さん(明星大学准教授)「ビキニ60年」をマーシャル諸島で迎えて」
    *安井節子さんもご出席予定です。
会場:東京杉並・永福和泉地域区民センター・第6集会室
    〒168-0063 和泉3丁目8番18号 電話03-5300-9411
    *井の頭線「永福町」北口、駅前の井の頭道路を右へ、三浦屋の角を左
     に曲がってすぐ(右側)、徒歩5分。
終了後の交流会、永福駅近く(未定)、連絡先:ぶんじん 090-7700-7756
★記録
 石川 敬史(Tue, 29 Jul 2014 15:50)
お話:竹峰誠一郎さん(明星大学准教授) 「ビキニ60年をマーシャル諸島で迎えて」
参加者(敬称略):岩本陽児,小林文人,竹峰誠一郎,丸浜江里子,安井節子,山口真理子,
            角田弓果(和光大学生),石川敬史
 7月の定例研究会は月曜の夜に変更・開催となりました。今年はビキニ60年,そしてマーシャル諸島における研究を精力的に続けている竹峰さんより,研究の動向についてお話しいただきました。その後は「原水禁運動(安井家)資料研究会」(2005−2009年)のこれまで、今後について話し合いました。今回の定例研究会には,この「原水禁運動(安井家)資料研究会」に関わったメンバーが久々に集まりました(4年半ぶり?)。
 はじめに竹峰さんより近況の報告(三重大学から明星大学へ)とともに,マーシャル諸島にとっての3.1,さらにはマーシャル諸島における「もう一つの原水爆禁止運動」について,現地のフィールドワークの成果(資料,写真の上映)をもとに,多彩な報告をいただきました。
 竹峰さんは「2014年3月1日をマーシャル諸島現地で迎え」ました。ますます不可視化される核被害の実態を知るとともに、核被害が認められていない地域が存在することなど、60年経過してもなお私たちに知らされていない事実の存在に驚かされました。現在,こうしたマーシャル諸島の調査の経験を生かし,学生とともに福島における調査を行っています。核被害により地域が分断され,被害の実態が可視化されない。こうした苦悩は,マーシャル諸島も福島も同じとのこと。60年前と福島が結ばれる核被害という視点に立ち,地域社会の未来をどう拓くのか。こうした問題意識を持ち,竹峰さんの研究は続いています。
 お話の後,マーシャル諸島研究に関するグローバルな研究動向や調査の手法など,数多くの質問が寄せられました。
 後半は,江頭晃子さん(欠席)が担当された「原水禁運動(安井家)資料研究会」の会計報告を小林先生より説明されました。さらに,2005年の第一回目の研究会からの到達点について『ひたすらに平和願えり:原水禁運動(安井家)資料研究会報告書(2008年度版)』を踏まえ、お話いただきました。
 安井節子さんからは,『つながる:杉並区の社会教育・市民活動』(すぎなみ社会教育の会編,エイデル研究所,2014)刊行の経緯とともに,現在の安井家の原水禁運動資料についてお話いただきました。現在の資料状況,さらには長期的な視点,保存・利用のことを勘案し,残された資料は杉並区立郷土博物館へ移管する方向で検討がはじまっているそうです。
 行政等の援助はなく,市民の目線・立場から、稀少史料のデーターベース化の試み、市民の力によるアーカイブを構築する自主独立の研究会の歩みは,ここで幕を閉じることとなりました。しかし安井家での資料整理を続けた当時から,メンバー一人ひとりの「ひたすらに平和願えり」の思いとその灯は,現在も消えることはなく「原水禁運動(安井家)資料研究会」の記録として冊子に刻まれています。
*なお「原水禁運動(安井家)資料研究会」の記録、『ひたすらに平和願えり』(2009年)報告書は、安
 井家から若干の残部を送っていただきましたので、ご希望の方にお頒けできます(一部700円、送料
 別)。ご希望あればお寄せ下さい。


2014年6月(TOAFAEC 第207回)研究会ご案内
         *山口真理子(Mon, 9 Jun 2014 12:16)
 <6月(第207回)定例研究会ご案内、〜「市民アーカイブ多摩」への期待〜>
 関東も梅雨入りし、今年も蒸し暑い日々がやってきました。皆さま、お元気でお過ごしでしょうか。
 さて、6月の定例研究会は、今年4月12日(土)に正式に開館しました「市民アーカイブ多摩」について、スタッフである江頭晃子さんに語っていただきます。東京都立多摩社会教育会館の市民活動サービスコーナーが2002年に廃止されて以来、当時の担当者だった江頭さんをはじめとする多くの方々によって、それまで営々と収集・保存・提供されてきた市民活動資料を、散逸させないための努力が積み重ねられてきました。
 最初に立ち上げられたのがNPO法人市民活動サポートセンター・アンティ多摩(略称:アンティ多摩)だったわけですが、今度そこが試行的に開室していた「ミニコミ広場」が発展して、「市民アーカイブ多摩」が開館しました。
 『南の風』3293(5月5日)でも紹介されましたので、ご存知の方も多いと思います。多摩モノレール「玉川上水」駅から8分ほど歩いた所にある緑地保存区域の中の平屋の建物です。開館するまでの経緯や、始まったばかりの様子、今後について語っていただくとともに、私たちもこの「場」を通して展開される活動への期待・希望などを持って、応援していきたいと思います。
日時:2014年6月27日(金)18時30分〜20時45分
内容:「市民アーカイブ多摩」が開館しました
お話:江頭晃子さん(アンティ多摩,市民アーカイブ多摩)
会場:東京杉並・高井戸地域区民センター 第2和室
   〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
   *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
研究会後の懇親・交流会:21:00〜「イーストビレッジ」TEL03-5346-2077 (いつもの場所)
   *高井戸駅から徒歩2分 環八・神田川傍マンションビル(裏側)1階
    当日の連絡先:山口真理子 TEL090−1548−9595
★記録  山口真理子(Sun, 29 Jun 2014 02:35)
内容:「市民アーカイブ多摩」開館まで   お話:江頭晃子さん(ネットワーク・市民アーカイブ多摩)
参加者(敬称略):岩本陽児,上田孝典,小林文人,山口真理子
 6月の定例研究会は、今年4月12日(土)に正式に開館した「市民アーカイブ多摩」について、江頭晃子さんに語っていただきました。
 江頭さんは、1995年から社会教育指導員として都立多摩社会教育会館・市民活動サービスコーナーに務め、2002年サービスコーナーが廃止後は、NPO 法人「アンティ多摩」(前年に万が一のため法人格を取得していた)の常勤スタッフとして活動を引き継ぎ、並行して2006年発足の「市民活動資料・情報センターを作る会」事務局も、その準備段階から担当してこられました。お話は、レジュメに添って進みました。
 まず都立多摩社会教育会館時代の資料がどうなったか、ということ。1972年に市民活動サービスコーナー事業が開始し、ミニコミ誌やチラシ,ポスターなどの資料類を収集してきたわけですが、廃止されることが決まって以来、それらの資料を散逸逸脱させないために、東京都と、次に設置地である立川市と交渉します。結局最終的には法政大学(後に大原社会問題研究所)に500箱移管、図書資料等も和光大学その他に移管されましたが、点数不明のまま送られているものも多いそうです。
 この移管先を決定するのにも並々ならぬご苦労があったわけですが、サービスコーナー廃止以降に、アンティ多摩が収集し「ミニコミ広場」で提供してきた市民活動資料をより活かす場も必要となってきました。最初は「つくってもらう」運動だったのが「自分たちでつくろう」となり、募金活動開始、アンティ多摩が支援していた緑地保存活動のNPO法人と、そこが対象としていた土地・建物所有者の理解と連携のもとに、この4月12日「市民アーカイブ多摩」
開館にこぎつけることができました。
 どうして、ここまで続けることができたか。資料そのものに魅力があることと、他にはないという使命感が動かしてきた。多様な団体・人が集まり、議論を重ね、学習し、思いを共有してきたことなど、が考えられるとのことです。
 これからの課題としては、運営を軌道に乗せること、アンティ多摩からの独立、増え続けていくだろう資料の保存対策,提供のマニュアル化など、(ここで話題は研究者個人で所蔵している資料のデータベース化にまで及んでいきました)そして「会員を増やす(募集中です!)」が、あげられました。
 「市民アーカイブ多摩」にはホームページも作られていて、所蔵資料を検索することができます。また「アンティ多摩」については、TOAFAEC年報『東アジア社会教育研究』第8号に、江頭さんが「市民活動サポートセンター・アンティ多摩の挑戦」を書いておられます。
 江頭さんはじめ関係者の皆さまの挑戦は、まだまだ続くのでしょうか。共感なさった方々の、物心両面のご支援を!(これは記録者から)


2014年5月(TOAFAEC 第206回)研究会ご案内
    小田切督剛 (川崎市役所 市民・こども局 人権・男女共同参画室)、Wed, 30 Apr 2014 21:21
 <TOAFAEC 5月(第206回)定例研究会−韓国生涯学習研究フォーラムと合同開催>
  −韓国フォーラム第50回記念:伊藤長和さんを語る会
 TOAFAEC 副代表を長く務め、韓国生涯学習研究フォーラムの土台となった川崎市と韓国・富川(プチョン)市との交流の生みの親でもあった伊藤長和さん。
 2月16日にお亡くなりになり、4月20日に川崎の市民・職員が中心となって「偲ぶ会」を開きました。
 川崎での社会教育職員としての活躍、市民との厚い信頼関係、社会教育と学校教育をつなぎ、労組から「大都市のつどい」へと広げ、富川と川崎 の国際友好都市交流を開拓するなど、いかに大きな役割を果たされたのか、いろいろな方からお話しいただきました。
 これを受けて、伊藤さんの原点である沖縄体験や、中国行きを決意した背景にある黄宗建(ファン・ジョンゴン)先生との関係など、東アジアでのスケールの大きな活動について、「偲ぶ会」だけでは十分語られなかったことがあるように思います。あらためて伊藤さんの独自の世界を語りあってみたい、それにふさわしい場は、まさにTOAFAECです!
 当日は、小林文人先生から伊藤さんとの40年をふりかえる長めのお話をいただいた後、川崎はもちろん、韓国、中国などで伊藤さんから刺激を受けてきたメンバーたちに、おおいに語っていただきます。
 伊藤さんの人生の多面的な拡がり、どの角度から見てもキラキラ輝くその魅力を再発見できる、そんな時間にしたいと思います。皆さま、ぜひお越しください!
○<韓国生涯学習研究フォーラム第50回記念:伊藤長和さんを語る>
日時:2014年5月30日(金)18時30分〜20時45分
内容:韓国生涯学習研究フォーラム第50回記念:伊藤長和さんを語る
お話:「伊藤長和さんのこと、出会いなど」 中野敏雄さん(川崎市スポーツ協会・副会長)
    「伊藤長和さんとの40年」 小林文人(TOAFAEC顧問)
    参加者それぞれの伊藤長和さんを語る
会場:東京杉並・高井戸地域区民センター 第1集会室
    〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
       *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
研究会後:「伊藤長和さん献杯」、懇親・交流会:21:00〜「イーストビレッジ」
                     TEL03-5346-2077 (いつもの場所)
   *高井戸駅から徒歩2分 環八・神田川傍マンションビル(裏側)1階
当日の連絡先:山口真理子 TEL090−1548−9595




★記録1,
金宝藍(東京大学(院)、韓国生涯学習研究フォーラム) - Sun, 29 Jun 2014 15:52-
参加者:(敬称略・順不同)小林文人、中野敏雄、大下勝巳、小田切督剛、武田拡明、瀬川理恵、
 遠藤輝喜、江頭晃子、桑原重美、島田和代、岩本陽児、山口真理子、李正連、金侖貞、ロク秋月、
 郭珍榮、呉世蓮、松尾有美、金陽太(和光大学生)、金宝藍=記録(計20名)
お話:「伊藤長和さんの仕事」 中野敏雄さん(川崎市スポーツ協会・副会長)
     「伊藤長和さんとの40年」小林文人先生 
内容:川崎の市民・職員が中心となって行われた「伊藤長和さんを偲ぶ会(4月20日)」だけでは十分に語られなかった思いをじっくり語り合える「伊藤長和さんを語る会」が設けられました。TOAFAEC 副代表を長く務め、韓国生涯学習研究フォーラム創立に多大な影響を与えてくださった伊藤さんの国境を越えた活躍ぶり、その思い出を描くため、TOAFAECと韓国生涯学習研究フォーラムが共同して開きました。
 まず中野敏雄さん(川崎市スポーツ協会・副会長)から伊藤さんの主な経歴・職歴と、それと一緒に行われてきた「市民と共に地域課題を掘り起し、探求し続けた川崎市の社会教育事業」の流れについてお話をいただきました。
 伊藤さんは、社会教育の本質に対する強い思いを持って、いつも後輩職員たちに、「地域に出て行け!公民館は箱のなかに閉じ込められるものではない!地域に出て行って、いつも地域住民と直接出会って、みんなの声に耳を傾け、深く交流しながら学習要求をつかむべきだ!」と叫んでいた怖い先輩だったそうです。常に市民の立場にたって、市民の平和・人権・自治・生活・学び・つながりに、満身の力を込めてこられたことがよく伝わってきました。
 次に小林先生が「伊藤長和さんとの40年」を語ってくださいました。1970年代の出会いから始まり、社全協・調査研究部や社会教育学会での研究活動、川崎市の社会教育職員集団(教育支部=労働組合)組織など、研究と実践を横断するような活躍を鮮明に描かれました。とくに大都市社会教育の研究、韓国研究と交流、中国・東アジアの視点からの研究は、小林先生と伊藤さんの出会いがなかったら実現できなかったことであって、長い間ともに楽しく歩んできたことが社会教育の研究・運動の歴史のなかで一歩を画したこと、大切な仲間との出会いの大切さを改めて感じることができました。伊藤さんは執筆活動も旺盛に行ってきましたが、その中でも小林先生との共編著『韓国の社会教育と生涯学習』『日本の社会教育・生涯学習』を通して、さらに「仲間」というだけでなく、「兄弟」へと深まっていったそうです(小林先生はいつも、本の共同編集に一緒にかかわった人は“兄弟”だ、と仰います)。

 続いて、教え子のロク秋月さん(首都大学東京・留学生)から「伊藤長和先生への中国学生たちの追悼メッセージ」を紹介していただきました。伊藤先生から励まされた学生さんたちは、尊敬される先生であっただけでなく、ほんとうに大切な“友人”のような存在であったというメッセージが次々と続きました。また、ご自身で直接に日本料理も作ってくださったり、学生たちの将来をともに語り合ったり、旅行にも一緒に行ってくださったことなど、とても優しい先生であったこと。伊藤先生と一緒に過ごした時間がもっとも幸せな時間であって、先生と一緒にとった写真は宝物になったというメッセージなど、非常に心に響きました。職員や研究者にはとても厳しくて怖い先輩でしたが、学生や市民の方々には限りなくやさしい友人だったことがよくわかりました。
 それ以外にも、韓国からわざわざ足を運んでくださった瀬川理恵さんをはじめ、参加された皆様同士で伊藤さんとの思い出や伊藤さんの情熱と人柄を語り合いましたが…、それでもまだまだ語り切れず、その余韻は懇親会でもずっと続きました。「イーストビレッジ」では武田さんがもってきてくださった「偲ぶ会」表紙に載せられていた伊藤さんの仁慈に富んだ微笑みが映し出された写真を前に、皆さんの献杯から始まり、伊藤さんへの話りかけはより深まっていきました。
 伊藤さんが中国に行かれた切っ掛けを汲み取ってみたり、在りし日により多くの話を聞いておけばよかったという後悔もしたり、それぞれしまい込んでいた伊藤さんへの大切な思い出を語り合い、皆で楽しく共有しながら慰められる時間となりました。偲ぶ会で伊藤さんの映像のBGMとしてながれていた「アチミスル」と「友よ」を、今回は私たちが一緒に歌いましたが、一緒に歌っている伊藤さんの力強い声も聞こえるような気もしました。
 今回の「語る会」は、伊藤さんとの過ぎしの日の思い出を語り合う機会でしたが、同時に伊藤さんの志を継いでいく残された「私たち」のこれからの課題や役割と将来を考える場でもあったようです。人間と社会への愛情が溢れ、現場では市民の側に、学校では学生の側に立って頂き、つねに彼らの喜びと辛さを共にしながら支えてくださっていた伊藤さん、いつまでも職員・学生・市民たちを見守っていただき、その対話の時間がずっと続くことを信じています。

記録2 小林ぶんじん(南の風3309号 2012/06/01/)
 いつも、こじんまりしたTOAFAEC 定例研究会。しかし5月30日(金)夜の第206 回研究会は、「伊藤長和さんを偲び・語る」会とあって、20人の賑やかな集いとなりました。終了後の「イーストビレッジ」では椅子が足りないほど。
 この日のため韓国公州から瀬川理恵さんが帰国され、また中国山東省烟台での教え子・ロク秋月さん(首都大学東京・留学生)からは学生たちの追悼メッセージが披露されました。切々と胸を打つものばかり(上掲)。すぐれた行政マン・社会教育主事・研究者であると同時に、教師としての伊藤さんの豊かな人間像がくっきりと浮かびあがるひとときでした。ご参加の皆さま、終電ちかい時間まで有り難うございました。


2014年4月(TOAFAEC 第205回)研究会・記録
ご案内
      小林ぶんじん(2014年4月10日)
 < 4月定例研究会お誘い−夜間中学の歩みと東京の識字実践−>
 東京では吉野が散り、八重の桜が待たれる季節となりました。新年度がはじまり、皆様には忙しい毎日をお過ごしのことでしょう。
 「南の風」は、社会教育・地域活動・文化にかかわる交流の“ひろば”づくりを目指してきましたが、この10年来、夜間中学の実践・運動の動きと深い交流をもつことができました。その接点となっていただいたのは東京都夜間中学研究会・関本保孝さん。夜間中学ひとすじの道を歩まれて、この3月に墨田区文花中学を定年退職きれました。
 これまで、TOAFAEC の夜の研究会に夜間中学のテーマを取り上げることは叶いませんでしたが、この機会に、研究会としてはじめて「夜間中学と私」についてお話をうかがうことになりました。あわせて横山文夫さんにお出でいただき、「東京の日本語学級・識字問題の取り組み」を(短い時間で恐縮ですが)について語っていただきます。
 この企画は、お二人の実践・運動のポイントをお聞きすることが基本ですが、あわせて東京の識字教育・実践の歴史と現在を考える機会とし、さらに(かねて課題としてきた)日本「基礎教育学会」構想に向けての準備的な話し合いの場にもなれば幸いと考えています。
 ご関心ある方々の積極的なご参加をお待ちしています。
日時:2014年4月25日(金)18時30分〜20時45分
テーマ:夜間中学の歩みと東京の識字実践
お話:夜間中学と私  関本保孝さん(えんぴつの会)
    東京の日本語学級・識字問題の取り組み  横山文夫さん(NPO アイネット・エデュケーションズ)
会場:東京杉並・高井戸地域区民センター 第2和室
 〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
  *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
研究会後の懇親・交流会:21:00〜「イーストビレッジ」 03-5346-2077 (高井戸駅から徒歩2分)
  *環八沿い・神田川傍マンションビル(裏側)1階 当日の連絡先:山口真理子 TEL090-1548-9595


左・関本保孝さん、右・横山文夫さん(高井戸、20140425)

★記録1 岩本陽児(Sat, 26 Apr 2014 20:39) <速報>>
参加者(敬称略):李 正連、江頭晃子、草 京子、見城慶和、小林文人、澤井留里、関本保孝、
           南角建人(筑波大学生)、山口真理子、横山文夫
内容:昨夜(25日)の研究会は、史上稀にみる、というか空前の贅沢度だったのではと推察しています。報告者お二人に加えて、見城先生、澤井先生、草先生。お一人お一人に、1時間半の講演と1時間の質疑・懇談の時間、100人の聴衆があってしかるべきと私には思われました。キーパーソンというか、斯界の大物揃いでした。
 最初の関本先生のお話は、私は前に町屋の集会で一度伺っていたものの、改めて感じ入るところも多々あり、十分に堪能しました。それで満腹に近づいていたところに、横山さんの、これまたダイナミックなお話。そのメインボディとは別に、いよいよ時間間際となってからの、横山さんご自身にかかわる、会社員からボランティアへの人格への生成発展のお話がまた、私には興味深いものでした。
 二次会は、さらに盛り上がったと拝察します。土曜、毎週ふたコマの授業がうらめしい・・。
 例によって、雑駁ですがメモを添付します。大きな勘違いがないとよいのですが。それではまた。いよいよ連休に入りますね。たまにはゆっくりして、お身体をおいといくださいますように。
記録2 岩本陽児(Mon, 28 Apr 2014 20:36)
 (1)関本保孝先生(元文花中学日本語学級教員、えんぴつの会)
 1978年9月1日に墨田区の教員として採用された。中国帰国者に教えたのがそもそもで、3年のつもりが35年と7か月夜間中学で教えて、この春に退職。夜間中学は、この4月に横浜の統合があり、現在では8都府県に31校。「全国夜間中学研究会」から検索すると、公開授業情報があるので、ぜひ見学を。基礎的な学習の日本語学級が東京では8校中5校にあり、1971年から引き揚げ者対策としてできたもの。各校で京都・奈良への修学旅行。8校の連合運動会も。栄養士がいて給食のあるところが多い。
 生徒は「新渡日外国人」が半数。東京では7割以上。日本語のわからない奥さん、国際再婚の連れ子。難民は昔インドシナ。その後アフガン、スーダン、ミャンマー。日本人は、もと不登校・ひきこもりの若者。学童疎開経験者で70代の人も文花中では学んでいます。中国帰国者は、帰国者センターで6か月日本語を学んだ後、夜間中学に来ている。最近は、無戸籍の若者が多い。出身国の義務教育が六三制の9年に満たない場合、日本の高校には入学できない。全国で2000人が夜間中学で学んでいる。
 1950年の調査で足立の18000人の子どもの7%が仕事のため不就学と判明。二部授業開設をと、伊藤泰治校長が信念をもって区教委、都教委を説得し、文部省は反対だったが夜間中学を発足させたのが1951年。戦災孤児の吉岡源治さんは、小林俊之介先生が大田区糀花中の主事室に住まわせて朝昼と弁当を持ってきてあげた。こうして夜間中学で学び、裁判所事務官となった。この物語は、ひとり芝居でやっていた。
 1960年代は一般のイメージと違い、弱者にとってまだまだ「戦後」だったといえる。
 1963年に荒木文部大臣が、夜間中学を制度上認めないこともありうると参院委員会で答弁。66年には行政管理庁が廃止を勧告。これに対する運動として、「要望書」づくりは1976年から。松崎先生の力が大きい。
 1999年に日弁連の藤原弁護士から、救済申し立てのアドバイスをもらい、2000年の大会で提案、採択。生徒の通学定期代などを詳細に調査した。2006年に日弁連が意見書を提出。2008年「すべての人に義務教育を 21世紀プラン」としてビジョンを公表。ところが、こうした運動が自治体レベルでの夜間中学開設には結びつかないため、2009年から議員立法に取り組み、11年からは義務教育に焦点化した。
 12年には5会派の呼びかけだったが、13年には全8会派から呼びかけ人が出てくれた。昨年11月に議員の、足立四中への公式視察が実現。その直後の文教科学委員会では、文科大臣が各県に夜間中学をと好意的な答弁を行い、ついに昨日、4月24日に、有力議員が参集して超党派の議連が出来た。
 今の日本の問題は、非識字者が3・4割の途上国と違い、不便と苦痛だけでなく、人間としての尊厳が奪われているところ。今後はPRと多様なネットワークづくり、創造的な教材作りが課題。
 「最後に、日本基礎教育学会を研究者に作っていただき、文科省に食い込んでいくことが課題です。」

(2)横山文夫さん(日本語フォーラム全国ネット事務局長、NPOアイネット・エデュケーションズ)
 識字とかかわった最初は社全協主催「イギリス成人教育の旅」に参加したこと。現地で日本人女性がESL(第二言語としての英語)を教えていた。1992年に日本語ボランティア教室を開設し現在に至っています。
 1990年に入管法が変わり、外国人が多数入国して、雨後の竹の子のように日本語学校が出来、福祉ボランティアしかなかった日本に初めて日本語ボランティアができました。行政が日本語教育をやらないので、関係者からメモを出してもらい、私がKJ法で分類して作ったのが「東京宣言」。
 2002年5月に神戸で「日本語フォーラム全国ネット」を約100名で設立。その後、各地で毎年フォーラムを開き、10年たって見直しの「神戸宣言」。その半年遅れで、学会のほうで「浜松宣言」が出されました。
 子どもの権利条約に関連して、第二回の政府報告で「日本語教育にあたりティームティーチングをやっている」とあったのを、そういう実態がないのに疑問と怒りを覚えて、カウンターレポートを提出しました。第三回の時は、言い出した私が基礎レポートをつくりました。こうした「文科省の外堀を埋める」活動に並行して、総務省からは「地域における多文化共生推進プラン」、文化庁からは「生活者としての外国人に対する日本語教育」。文科省とつながりのある国立国語教育研究所の研究者が、いろいろ動いてくれました。
 最後に葛飾区。教育委員会、国際交流協会とかけあって、日本語ボランティアの養成講座を申し入れたところ、却下されました。そこで文化庁に申請して、受託研修を行ったうえで、「民間がこれだけやっているのだから、教育委員会がやってください」と交渉。社会教育主事の林さんが、社会教育委員を動かして提言「国際化、グローバル化する社会を生きる子供の育成について」にまとめ、ボランティアの学校派遣制度をつくってくれました。今年1月の新春シンポジウムには教育委員3名、議員3名など,111名の参加があり、相当の圧力になると期待しています。
 「こういうことを20年やってきました。目に見える成果が上がって来ていて、私自身としては非常にうれしい思いです。」
記録3 <4月研究会−忘れがたい夜> ぶんじん「南の風」3288号
 25日の4月定例研究会は、大げさに言えば、「史上稀にみる」「空前の贅沢」な研究会(岩本陽児、上掲)となりました。テーマ「夜間中学の歩みと東京の識字実践」、東アジア各国・地域に共通する重要な“識字”のテーマ。しかし、私たちの研究会も夜間に開いてきたので、夜間中学を訪問することはあっても、当方に来ていただくことは出来ませんでした。
 今回は、これまで「風」に頻繁に情報を送っていただいた関本保孝さんの定年退職の機会に、また20年来の日本語ボランティア・ネットづくりに取り組んでこられた横山文夫さんもご一緒に快諾いただき、贅沢なプログラムが実現したのです。あふれる内容・資料、これほど短い時間を実感したことはありません。
 参加者が少なかったことが何より残念。“もったいない”とはこのこと。ただ久しぶりに、夜間中学に関心をもつ若い世代の参加が救い。関本さんのお話も、なかば南角建人くん(筑波大学4年)に向けて語られていたような…。TOAFAEC としても(留学生だけでなく)日本人学生へのメッセージを忘れてはならないこと、かって和光大学ゼミ生が多数参加していたことを思い出していました。
 終わっての「イーストビレッジ」は楽しいひととき。皆さん、よくしゃべりました。そして見城慶和さんのハーモニカ、聴くたびに奥行きある音色。神戸からご参加の草京子さん、写真をたくさん送っていただいた澤井留里さん、有り難うございました。忘れがたい夜となりました。


2014年3月(TOAFAEC 第204回)研究会・記録
  ご案内    *江頭晃子(Wed, 05 Mar 2014 23:05) 南の風3260号
 今年の春、みなさんにとってどんな季節になるでしょうか。異動・希望・悲しみ・生命・挑戦・闘い…。年を経るごとに、仕事も生活もルーチンワークになってしまいそうですが、せめて感性が鈍らないように、新しい風を入れたいものです。
 3月の定例研究会は、学芸大OB/OG にお話いただきます。図書館一筋40年。多摩地域の図書館の盛衰を調布市図書館から見てこられた山口真理子さん。嘱託職員最後の今年は組合活動にも積極的に参加されていました。ご自身の図書館への思いと調布市図書館の変遷などなど話していただきます(ご本人の希望で短めに…)。
 続いて、所沢市に勤めて四半世紀を超えた浅野浩一さん。長く福祉関係の部署におられましたが3年前から社会教育に戻ってこられ、13年春からは社会教育課長に。「社会教育は、公民館は変わってしまったのか、何が変わらなければいけないのか、これから何が変わろうとしているのか、自問自答する頭が回転しない中で、他問他答に何も応えられない状況にあります」とのこと。所沢という町の変遷とともに社会教育の現状と課題、これからの希望の方向性などなど、話していただきます。
 社会教育現場の今の現状、苦労、楽しさなど共有できればと思います。
★再度のお誘い  小林ぶんじん、2014年3月26日 南の風3269号 
      −ボヤンバートル夫妻も参加予定−
 TOAFAEC 創設(1995年)、いや、その前身・東京学芸大学「沖縄社会教育研究会」当時からの研究会メンバー・山口真理子さんの“図書館ひとすじ”のお話をお聞きします(ご本人の希望で短めに)。あわせて昨年、所沢市社会社会教育課長に就任した浅野浩一さんの抱負も。楽しみです。もし3月異動の方があれば、この機会にご一緒にご紹介ください。
 当夜は、日本学術振興会「外国人特別研究員」として早稲田大学に再来日したボヤンバートルさん(内蒙古師範大学、1年滞在予定−風3260号既報)が愛妻同伴で参加見込み。1週間ほど前に、夫君を追っかけて東京到着の由。高井戸・神田川沿いの桜も咲きはじめ、皆さんを歓迎することでしょう。春の一夜、お誘いあわせの上、ご参集ください。
日時:2014年3月28日(金)18:30〜20:30
会場:(杉並)高井戸地域区民センター第1集会室
   〒168-0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03-3331-7841
   井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
テーマ:「調布市図書館とともに40年Part2」 山口真理子さん
     「所沢市の社会教育の新しい展開と課長の職務!」 浅野浩一さん
交流会:21:00〜「イーストビレッジ」 TEL03-5346-2077
   *高井戸駅から徒歩2分 環八・神田川傍マンションビル(裏側)
左・山口真理子さん、右・浅野浩一さん

★記録
  江頭晃子(Sat, 29 Mar 2014 15:03)
       −近くを流れる神田川に桜が咲き始めて・・・
出席者(敬称略):ガンチメク・ボヤンバートル夫妻、浅野浩一、江頭晃子、桑原重美、小林文人、
           関本保孝、武田拡明、山口真理子
内容:今回は贅沢な2本立て。最初はこの3月末で2回目の定年を迎える山口真理子さんから「東京と調布の図書館と私の簡単な歴史U」。東京の図書館とご自身のことを交えた詳細な年譜とともにお話がありました。
 大学4年時(70年)に小林先生の社会教育概論の授業で、当時多摩地域にあった7市(当時のすべて)の図書館を見学してレポート。それぞれの図書館職員の「市民にいかに図書館を普及させるか」という熱い思いに接したことが、図書館職員に就職したいと思った動機になったこと。66年に調布に最初の図書館ができ、69年から専門職採用が始まり、6館(その後10館)の分館計画が着々と進んでいる71年に司書として就職。71年からの都の図書館政策(建設費・図書費に補助金)の影響は大きく、小さいながらも82年までに半径800mに1館・2小学校に1館という10館配置ができた。児童サービス、地域読書会、地域文庫等、調布の図書館サービスの基礎ができ、最多時には35の文庫が所属する連合体である長流文庫や、28の読書会の連合体の調布ブッククラブなども活動。この間、「図書館の図書館」として整備され始めた都立図書館の影響も大きい。
 90年代以降、一般事務職員の配置と司書職採用の中断、中央図書館建て替えと委託問題と続くが、「調布図書館をもっともっとよくする会」など市民の大きなうねりがあり、直営が維持された。サービスの拡大により非常勤職員が導入され始め…(1990年代・石原都政へ)というところで時間切れになってしまいました。石原都知事の台頭と都立図書館の変貌、非正規職員の実態…などは、次の機会のお楽しみになりました。

 続いて2012年度から所沢市社会教育課長を務めている浅野浩一さんから「所沢市の社会教育の新しい展開と課長の仕事?!」。浅野さんと言えば、新年会での「たんぽぽ」の踊りを覚えている方も多いことでしょう。浅野さんと公民館との出会いも山口さんと同じく、小林先生の授業のレポート作成。所沢に住みながら、公民館の存在を知らず、所沢の細山さん、則武さんを紹介してもらったのが最初。その後、お二人には上司としてお世話になる。80年に1年間公民館でアルバイトとして働き、81年に所沢市に就職。公民館6年、社会教育課6年、その後首長部局の市政情報センター9年、政策企画課5年。そして11年4月から社会教育課に戻り、12年4月から課長職へという経過。
 所沢市は50年に8町村が合併してスタート。8館の公民館(のち11館)体制に。公民館設置条例ができたのが70年。公民館職員研修会など横のつながりも充実しており、講座の持ち方や公民館報作成方法、新規講座のリハビリ交流会なども話し合いの中で生まれた。市内の小学校建設が終わると同時に、公民館の建替が始まり、大型館が出来始め、地域住民の活動の場と同時に一過性の施設利用も増えていった。99年のPC予約システム導入による横のつながりの希薄化、登録制度の厳格化による市民との軋轢、04年の利用料減免の見直し(有料化)と同時に公民館利用がサービスになっていったこと、高齢化によるサークル活動の停滞などなど。2011年4月から、出張所と公民館を一つにする「まちづくりセンター」が開設され、公民館は首長部局へ補助執行となる。と、ここまでくると、「あ〜所沢もか〜」という落胆ムードが漂いますが、「新しい展開」もあり。現在の教育長は元社会教育課長経験者で公民館の大切さを分かっている人。社会教育主事発令者が増えており、現在13人(社会教育課3人、生涯学習センター2人、公民館8人)。
 2年間のまちづくりセンターの経験で、既存組織(自治会等)とのつながりは深まったものの、新住民とのつながる力は公民館の講座等やサークル活動の方が大きいことなども分かってきた…。そして、浅野さんが課長職にいる意味も大きいようです。予算・決算・議会対応と、人事関連が主な仕事だが、課長として教育長や公民館職員にも発信できることも多い。主事発令を受けている専門職員として、行政職員としての課長の職務に留まらないようにしている。そして、まちづくりセンターの中に入った今だからこそ、公民館は“施設”に留まらず事業をする組織であり教育機関であることを伝えていきたいと言う浅野さんから、新しい展開と希望が見えてくるようでした。
 懇親会では、ガンチメク・ボヤンバートル夫妻の歓迎会。ガンチメクさんの朗々とした歌声が、横を流れる神田川まで響きわたりました。お返しに、山口真理子さんは「春のうららの・・」を歌いました。
座開き・献酒の歌、歌い手はゲスト「ガンチメク(鋼其木格)」さん TOAFAEC204回研究会 (高井戸、20140328)



2014年2月(TOAFAEC 第203回)研究会・記録
           *江頭晃子(Fri, 14 Feb 2014 23:04)
 ここ数年、クリスマスはパレスチナで過ごしているという齋藤真哉さん(昨年末から南の風に「パレスチナ便り」「コソボ便り」を連載)。難民キャンプでの文化活動そして民族問題の取材が今回の主目的。その民族と文化活動には「苦悩」が表現されていると言います。イスラエル建国によって失われた故郷への苦悩、故郷を取り戻すことができない苦悩、そしていつまでも仮住まいである苦悩、民族対立の苦悩、将来が描けない苦悩…。それでもパレスチナ人であることからを「辞めない」で、文化を通して苦悩を語り継いでいく姿に長年寄り添ってこられました。
 パレスチナとコソボの人々の文化活動(今回はラップ?!)と、パレスチナの生活の実際、ジェニン難民キャンプ、サマリア人・セルビア人、エルサレムで活動する日本人などなど、現地でいっぱい撮っていらした映像や写真とともにご報告いただきます。
 日本でももっと苦悩や怒りを表現する術と文化を持たないといけないのかもしれません。
日時:2014年2月28日(金)18:30〜20:30
会場:(杉並)高井戸地域区民センター第7集会室
   〒168-0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
   井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
テーマ:映像・写真とお話
     「パレスチナからコソボへ〜暴力に対して、文化・芸術・教育の力で闘う人たち」
報告:齋藤真哉(板橋区立大原社会教育会館館長・社会教育主事)
研究会後の交流会:21:00〜「イーストビレッジ」 TEL03-5346-2077 (いつもの場所)
          *高井戸駅から徒歩2分 環八・神田川傍マンションビル(裏側)1階
お話・斉藤真哉さん(板橋区教育委員会) −高井戸、20140228−

★記録
 岩本陽児(Sat, 1 Mar 2014 18:03)
 2月末には珍しい暖かさの中、板橋区大原社会教育会館館長・社会教育主事、齋藤真哉さんの「パレスチナからコソボへ〜暴力に対して、文化・芸術・教育の力で戦う人々」と題した報告を聞きました。本邦でパレスチナ報道に接すること自体が、BBCテレビなどに比較して大変に少ないのですが、長年かけて培ってこられた信頼関係が、はじめて可能にした「サマリア人」インタビューなど、第一級の同時代資料と拝見しました。
出席者:小林先生、齋藤真哉、桑原重美、江頭晃子、佐治真由子、岩本陽児
 ********
 「ミサイルがテレビゲームみたいに飛んでくる」湾岸戦争をきっかけに始めた平和講座で、講師のアーデル・アミンさんの「分かったふりをしないでほしい」との言葉に衝撃を受け、私たちの中東やアラブ人に対する見方へのバイアスに気付いた。その根っこがパレスチナと分かり、難民の間にだんだん入っていくようになった。パレスチナ人は、礼儀を重んじる誇り高い人たち。しかし、経済的に追い詰められている。ここ2年ほど、子どもが金をねだるようにさえなった。先生も親も、子どもをすぐ殴る。居場所のない子どもは、人間らしい暮らしをするために文化センターに行っている。趣味教養、文化が生きるためのもの。
 難民はガンジーやマンデラを師とあおぎ、武装闘争を放棄したバスクやアイルランドからも応援の来訪がある。外国人に話を聞いてもらうことが、彼らの「見捨てられていない」という安堵になっている。
 その後に上映されたビデオ映像は、非常に貴重なものでした。英語インタビューに関しては私、岩本がかいつまんで和訳紹介。齋藤さんの「家族はどういう物語を持っていますか、その物語があなたの生き方にどう影響していますか、難民でしんどくないの?」という問いかけに対し、難民は、1948年のイスラエル建国以前の祖父母から受け継いだ物語や、インティファーダ時代の物語を、毎夜子どもに聞かせています。これが厳しい現実に立ち向かう力を与えています。これに対し難民でないパレスチナ人は、父祖の物語に重きを置いていません。
 イスラエル政府による組織的な逮捕、殺人など、とんでもない人権侵害が日常茶飯事となっています。一方でイスラエルの一部ユダヤ人のあいだにパレスチナ難民を応援する考えがあることも紹介されました。他では聞けない折り入った話だけに、時間不足がたいへんに残念でした。齋藤さんのご要望もあり、不十分なものですがメモを添付します。証言部分だけでも、ちゃんと和訳しておきたいと思ったことでした。
 二次会はいつものイーストビレッジ。桑原重美さんの音頭で、十日あまり前に亡くなった伊藤長和さんに献杯。ささやかな「偲ぶ会」となりました。小林先生歌う「トルコの娘」の一節が聞かれました。常連の遠藤輝喜さんや山口真理子さんの姿(と歌!)がなくて残念でした。
記録2 南の風3257号・小林ぶんじん
 …研究会に(病みあがりながら)元気に出席できる喜び。ご出席の皆さん、とくに報告の斉藤真哉さん、24時間も経っていないのに折り返しの研究会報告を寄せていただいた岩本陽児さん、ご苦労さまでした。
 テーマは「パレスチナからコソボへ〜暴力に対して、文化・芸術・教育の力で戦う人々」。社会教育の基本問題と通底するところがあるにしても、社会教育の場ではなかなか取りあげにくい問題。短い時間にまとめるには大きすぎるテーマに奮闘の斉藤さん。それを大事な記録にして届けていただいた岩本さんの見事な手さばき、感嘆しています。決してお世辞ではありません。速記記録も付されて、その意味で近来稀な研究会となりました。


2014年1月(TOAFAEC 第202回)研究会の記録
            遠藤輝喜(Thu, 16 Jan 2014 01:12)
 皆様には、安らかな新年を迎えられたことと拝察いたします。 
 さて東京・沖縄・東アジア社会教育研究会の今年最初の研究会は、いま全国から、また国際的にも注目されている沖縄・名護の動きに関して最新の報告を伺い、名護の地域と社会教育を考えあう機会にしたいと存じます。
 ご存知のように、沖縄県知事は、普天間基地移設の"少なくとも県外"の公約から豹変し、日本政権の圧力に屈して、辺野古の海の埋め立てを容認しました。名護では、市長選挙が告示され(12日)辺野古基地問題を大きな争点として激闘中。海にも陸にも基地はつくらせない!方針を堅持して、私たちの研究会とも深いつながりがある稲嶺ススムさん(現市長、もと社会教育主事)が厳しい選挙戦を闘っておられます。
 1月19日の投開票日、小林文人先生、山口真理子さん、川崎の武田拡明さんなどが名護に駆け付けます。今回の選挙と当日の状況について山口さんから、武田さんには「名護の社会教育の蓄積と地域づくり」(年報18号所収)について、小林先生には35年にわたる名護との関わりについて、お話しいただく予定です。皆さま、多数の参加をお待ちしております。
日時:2014年1月31日(金)18時30分〜20時45分
報告:1, 名護の歩みと社会教育の蓄積 武田拡明(川崎市もと市民館長)
   2, 稲嶺ススムさんの奮闘(19日の報告)  山口真理子(TOAFAEC)
   3, 名護との出会いー回想いくつか 小林文人
会場:東京杉並・高井戸地域区民センター 第二和室
  〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
  *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
研究会後の懇親・交流会:21:00〜「イーストビレッジ」
            TEL03-5346-2077 (いつもの場所)
 *高井戸駅から徒歩2分 環八・神田川傍マンションビル(裏側)1階
当日の連絡先:山口真理子 TEL090−1548−9595
       遠藤輝喜  TEL090−7942−4785
左・武田拡明さん、右・山口真理子さん

★記録
(
江頭晃子、Sat, 01 Feb 2014 00:03)
      −東京でも“いい正月”を迎えました−
出席者(敬称略):江頭晃子、小林文人、桑原重美、武田拡明、山口真理子
内容:
 最初に小林先生から「名護との出会い」について簡単な回想が語られました。1978〜79年に初めて沖縄・やんばるに入った当時は、今帰仁村が多く、稲嶺進さんとの出会いも、82年の社全協・富士見集会。稲嶺進さんは社会教育主事、名護から4人の仲間を連れての参加。翌83年の昭島集会で初めてTOAFAEC 前身の沖縄研究会で「沖縄を囲む」歓迎会を催し、その後の名護とのつながりが続いてきたことなど。
 続いて武田拡明さんから「名護の歩みと社会教育の蓄積」と題して、詳細な年表とともに戦後の名護の社会教育の歩みを、時に川崎と繋げながら、話されました。1973年の「名護市総合計画」の3原則(自然保護、生活・生産基盤、住民自治)と自治体における計画は「現実のあらゆる差別、格差に対する未来への理性的・人間的闘い」であること。“逆格差論”の提起も。しかし当時の海洋博などによる乱開発の弊害、、さらに95年の米兵による少女暴行事件をきっかけに普天間基地移設の動き、SACO(沖縄特別行動委員会)合意、対抗して基地たらいまわしへの反対、真の豊かさへの再追求、そして稲嶺市政(2010)が目指してきた地域づくりなどなど。
 続いて山口真理子さんから1月19日の名護市長選の一日のドキュメントを沖縄タイムス、琉球新報、政見広報・パンフ、正敏さんの報告などをもとに。その雰囲気と“大勝利”した勝因なども。名護の人はもちろん、全国から集ってきた人たちの様子、「勝手連」的な動きがいろいろあったこと、意外な人の応援、宝物のような大事にしたい言葉もいくつも教えてもらい、名護の一日を追体験できました。大切なものから目を逸らさず「屈しない」姿勢をみなで共有したことで、最悪の新年から、すばらしい旧正月を迎えることになった…等々。
 最後に小林先生から名護がいかに社会教育においても地域独自のものを追求してきたか、ヤマト的なものを排して、職員論でも条件整備でも講座主導でも公的な公民館でもなく、集落の公民館・土着的な文化・人のつながりと自治・在来資源の保存と重視など、いかに地域的に活かすシステムをつくるか、独自の視点をもって取り組んできているかを話されました。
 本土ではあまりにも沖縄報道が少なすぎますが、基地建設反対の闘いに連帯できるかどうかは、それぞれの今後の生き方を問う大きな分岐点になると思いました。稲嶺さん当選と旧正月のお祝いが重なって、いつものイーストビレッジでは、遅くまで話しはつきませんでした。


TOAFAEC第201回(2013年12月)定例研究会・記録 
    
−中国生涯学習研究フォーラム(第26回)と合同開催−  山口真理子 (Mon, 2 Dec 2013 07:06)
 いよいよ師走となりました。「特定秘密保護法案」は参議院でも強行採決されるし、沖縄県出身の自民党国会議員5人とそれに続いて自民党沖縄県連も基地の辺野古移設を容認するし、とても2020年東京オリンピック開催決定に浮かれる気にはなれないこの1年でありました。
 さて、TOAFAEC 研究会は、今年最後の定例会を迎えました。いま早稲田大学に招聘され来日中のボヤンバートルさん(内蒙古師範大学教授)を招いて、最近の内モンゴルの状況についてお話を伺います。草原・環境問題、人々の暮らしと経済、民族教育や文化の問題、など自由に語っていただき、参加者で気軽に課題を深めたいと思います。
 ボヤンバートルさんは、1997年から2000年前後まで和光大学の留学生、古いメンバーとは顔なじみです。積もる話に花が咲くことでしょう。1997年の夏に一緒にモンゴル草原を旅した和光大学ゼミなどの皆さんも、お誘い合わせの上、ぜひお越しください。研究会後は2013年・忘年会です。“望年会”となりますように。
日時:2013年12月20日(金) 18:30〜20:45
内容:モンゴルの草原はいま―フィールドワーク報告
お話:ボヤンバートルさん(内蒙古師範大学教授、もと和光大学研究生)
会場:東京杉並・高井戸地域区民センター第3集会室
     〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
     *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
研究会後の忘年会会場:21:00〜「イーストビレッジ」 TEL03-5346-2077 (いつもの場所)
     *高井戸駅から徒歩2分 環八・神田川傍マンションビル(裏側)1階
右より3人目・ボヤンバートルさん。若い世代5人は帰ったあと (帰路・高井戸駅、20131220) 撮影・遠藤輝喜さん

★記録 山口真理子(Sun, 22 Dec 2013 14:56)
 出席者(敬称略):岩本陽児、江頭晃子、遠藤輝喜、呉世蓮,大下勝巳、小林文人、サラナ,武田拡明,ボヤンバートル,紅桂蘭,山口真理子,□(「緑」のつくり−右側−にしんにゅう)秋月
 内容:中国・内モンゴル自治区の現状などレジメに添って説明されました。
1,内モンゴルの概況−人口は2470万人で、そのうち80%弱が漢民族、17%強がモンゴル人、他民族が3%強である。戸籍上モンゴル族となっている人の中でも、本来のモンゴル人は約6割、4割は漢民族が民族身分を変えていると考えられる。文化大革命後の被害者に対するモンゴル人優遇策や、少数民族に一人っ子政策が免除されるなどの理由によるもの。
2,内モンゴルに求められているもの−農耕用土地を求めて漢民族の移入が増え、元来の牧草地が農地化されている。→@牧草地の不足・私有化となり、遊牧共同体が崩れ、人間関係にも影響している。A牧草地の減少に加え、貨幣経済の浸透により、従来の家畜数では生活できなくなっている。遊牧文化、モンゴル伝統文化の継承に影響を及ぼし、貧困化が進み、豊富な資源(石油・石炭、鉱産物など)開発が進むなか、モンゴル人への還元はほとんどない。環境破壊も引き起している。
3,内モンゴルの民族自治、民族教育、モンゴル語の継承(法律上はモンゴル語を使うことになっているが、実態は言語として衰退しつつある)など大きな課題がなげかけられている。
 1時間ほどのボヤンバートルさんの熱のこもったお話の後、小林先生による生育・教育歴、モンゴル字・中国語の習得歴などのインタビューにより、ボヤンバートルさんの育った環境や時代が浮き彫りになりました。参加者の質問や感想も活発に相次ぎました。中国の少数民族教育を研究しているサラナさんや、紅さんとのやり取りがボヤンバートルさんの話の内容に幅を持たせました。漢民族である若い逮秋月さんにとっては、初めて知ることもあり、長く感じる時間だったかもしれません。
 初めての参加者:サラナさん(奈良教育大学大学院、「南の風」3214・3215号を参照ください)−奈良から当日上京され、この日の11:30の深夜バスで帰られました。すごい行動力、爽やかな風が吹いたようでした。
 紅桂蘭さん−モンゴル族の筑波大学大学院生。サラナさんの自己紹介の中(214号)にも、お名前が出てきます。こちらも夜おそく筑波まで。
 逮秋月さん−山東省出身。伊藤長和さんの学生さん。いまは首都大学東京・研究生、金侖貞さんの学生さんです。
 研究会の後は、「イーストビレッジ」で忘年会。帰りの深夜バスの時間を気にしつつ、サラナさんは美しく良く通る声で、モンゴルの歌を歌ってくれました。横でボヤンバートルさんが幸せそうに小さい声で和していました。皆さん、これからも、ご無理でなかったら、研究会にお越しください。次回研究会は1月31日(金)予定。内容が確定したら風にご案内します。


TOAFAEC第200回(2013年11月)定例研究会・記録
  ご案内
         山口真理子 (Wed, 6 Nov 2013 09:40)
 東京ではつい1ヶ月前に32度を記録したことが嘘のような最近の寒さです。秋も深まってまいりました。皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。
 さて、毎月行なわれてきました定例研究会、この11月にとうとう第200回を数えることになりました。
 振り返れば第1回研究会は、1995年6月2日、国立公民館において、文孝淑さんが「韓国社会教育法をめぐる近年の動向」というテーマで報告されたのでした。それ以降、社全協・全国集会が開かれる8月を除いて、この18年間、月1回のペースで研究会は継続されてきました。
 報告者には、会員・大学研究者はもちろんのこと、外国からのお客様,書店の親父さん、戦後激動の中国に残られた方,市民活動の方、沖縄からのゲスト、モンゴルの留学生等々、実に多彩な方々が登場されました。鬼籍に入られた方もおられます。
 定例研究会とともに、1996年に年報が創刊されて、毎年の発行を維持し、こちらも今年で第18号を発行するに至りました。
 今回は記念のプログラムを下記のように企画しました。年報創刊号からの編集長である内田純一さんが高知から、現編集長の上野景三さんが佐賀から上京されます。中国・韓国・東京社会教育史の各研究フォーラムの皆さんも賑やかにご参集ください。はじめての方、もちろん!大歓迎です。
 また、早稲田大学に招聘されて来日中のボヤンバートルさん(内蒙古師範大学教授、もと和光大学研究生)も見える予定です。研究会後の交流会ではボヤンバートルさんのお祝い・歓迎の乾杯をいたしま しょう。1997年の夏に一緒にモンゴル草原を旅した和光大学等の皆さん、お誘い合わせの上、ぜひお越しください。
日時:2013年11月29日(金) 18:30〜20:45
内容:(1)200回の歩みを振り返って(内田純一さん・高知大学)
     (2)年報『東アジア社会教育研究』第18号合評(上野景三さん・佐賀大学・18号編集長)
     (3)第19号編集に向けて(参加者)
会場:東京杉並・高井戸地域区民センター第3集会室
  〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
  *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
研究会後の懇親会・200回お祝い会 
   会場:21:00〜「イーストビレッジ」TEL03-5346-2077 (いつもの場所)
 *高井戸駅から徒歩2分 環八・神田川傍マンションビル(裏側)1階
 *ボヤンバートル(内蒙古師範大学教授)歓迎会をかねる
当日の連絡先:山口真理子 TEL090−1548−9595

退院された伊藤長和さん(中央)を囲む、後列右から3人目にボヤンバートルさん(高井戸、20131129)

★記録  岩本陽児(Mon, 2 Dec 2013 12:51)
出席者(敬称略):伊藤長和、岩本陽児、上野景三、内田純一、江頭晃子、大下勝巳、小田切督剛、小林文人、武田拡明、ボヤンバートル、山口真理子、二次会に遠藤輝喜。
 ボヤンバートルさんをお迎えして、和やかな自己紹介の後、内田純一さんが研究会のこれまでを振り返り、上野編集長による合評、次年度の編集体制の確認があり、最後に伊藤長和さんの〆のご挨拶を得て、8時半に終了。二次会会場へと移動しました。そこでは、ボヤンバートルさんや山口真理子さんに美しい歌を聞かせていただきました。
内容: 1、内田純一さんから、冒頭、1995年4月28日(沖縄デー)の研究会準備委員会で配布されたプリントが紹介されました。打ち合わせの結果、東アジア・東京・沖縄の三角形をニュースでつなぐ構想となりました。内田さんは更にTOAFAEC 18年を5期に分けて、それぞれの特徴を指摘しました。今や韓国、中国、東京とフォーラムが誕生し、TOAFAECはどうするのかの課題が見えています。当初案では「OAFAEC」となりかねないのを、東京(T)を頭に追加して「TOAFAEC 」にしたと、興味深いお話でした。小林先生からは、色々な人たちがこの会を「通り過ぎてゆく」ことの価値が語られました。
 2、合評について。上野編集長から、メモに基づき17号の反省が18号につながったこと、数字や注の付け方を標準化するために「執筆要綱」の作成が必要なこと、「この一年」の価値と同時に、日本や東アジア全体を見渡した「この一年」が必要なこと、編集実務の江頭さんの負担減等、論議されました。北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)やバングラデシュが初めて扱われたことの意義と、方法論的課題も。なお、小田切さんからは北朝鮮の呼び方についての問題提起もありました。伊藤さんからは、高齢社会がアジアの共通課題になるとの指摘がありました。
 3、来年度編集体制ですが、なんと内田さんが …(略)…、なので上野編集長、内田副編集長と、編集実務江頭さんとの三人体制となることがアナウンスされました。
 次回研究会は「モンゴルの草原は今…」のタイトルで、ボヤンバートルさん(内蒙古師範大学)のお話を聞きます。山口さんから別途ご案内が行く予定です。


TOAFAEC第199回(2013年10月)定例研究会
  ご案内 
       *遠藤輝喜(Sat, 12 Oct 2013 01:02)
 路地に金木犀の香りがただよう季節、それも過ぎようとしています。ときに夏日の暑さも残りながら、季節は確かに秋へ移うっています。皆様、お元気でしょうか。
 10月の定例研究会は、先にご案内した通り(風3171号)、東京社会教育史研究フォーラム(第9回)と合同で、10月18日(金)に開催いたします。今月は恒例の第4金曜ではなく、下記の通り、第3金曜日の開催となりますので、ご留意の上、ご出席くださいますよう、ご案内いたします。
 東京の社会教育の歴史を復元・再生しようという思いでスタートした同研究フォーラムは、昨年9月から、ちょうど1年が経過しました。この間、事務局会議を含めて精力的に『東京・社会教育のあゆみ』(仮称)出版に向けての検討が進められてきました。今回は、その構想や課題について、現段階での到達点を報告し、今後の進め方についての提案が予定されています。関心をお持ちの方々の積極的なご参加をお待ちします。
 当日の内容詳細は、東京社会教育史研究フォーラム・サイトをご覧下さい。→■  
 TOAFAEC の定例研究会としては10月で199回。来月に第200回の記念すべき研究会を迎えます(11月29日−第4金曜日・予定)。あらためて案内を掲げますが、これまでの200回(1995 年〜18年)の歳月を振り返り、9月に刊行した年報「東アジア社会教育研究」第18号(320頁の大作)を合評し、今後に向けての展望を語り合う内容が企画されています。あわせてご期待ください。
日時:2013年10月18日(金) 18:30〜20:45
内容:東京社会教育史の出版構想−事務局案の検討、今後の進め方
会場:(杉並)高井戸地域区民センター第3集会室

       〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
       *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)

終了後(20:45〜予定)懇親・交流会
、会場:イーストビレッジ Tel 03-5346-2077
       *高井戸駅から徒歩2分。環八・神田川傍マンションビル(裏側)1階
当日連絡先:山口真理子 Tel 090-1548-9595


★記録 井口啓太郎 (Wed, 13 Nov 2013 17:04)
参加者(順不同・敬称略):小林文人・山口真理子・遠藤輝喜(TOAFAEC事務局)、佐藤進・
 齋藤真哉・井口啓太郎(東京社会教育史編集事務局)、山添路子(エイデル出版)、杉山悦子
 (東京学芸大学・院)、包聯群(首都大学東京、11月より大分大学)
内容:事務局長の体調不良があり記録が遅れてしまいましたが、2013年10月18日(金)に開催されたTOAFAEC第199回目の研究会の記録メモです。今回は東京社会教育史研究フォーラム(第9回)と合同の開催でした。ちょうど1年前にスタートした“東京社会教育の歩みを再発見する”取り組みは、個別テーマを掘り下げていく研究会の積み重ねから、いよいよ本にまとめていく議論への展開を迎えています。18日夜の研究会では、東京・社会教育史の証言づくりとも言うべき「東京社会教育史の出版構想」について、事務局からの提案、今後の進め方が議論されました。
 参加者はいつもの東京社会教育史研究フォーラム例会よりも少ないのが残念でしたが、活発な議論が交わされ、いいスタート。例えば行政的な事業事例よりも市民の視点、運動の足跡と展望を重視した構成案を練り上げていくこと、可能な限り生資料を活かした原稿作成をしていくこと、これまでの研究成果・実践報告の整理や諸資料の収集、年表作成・共有などの基礎的な共同作業が鍵になること、などが確認されました。
 そのために資料を共有できる資料室の必要やゼミナール形式の研究会のあり方なども今後の課題に。これから1年、企画・構成案の確定、執筆依頼や執筆内容検討など編集作業が具体的に進むことになります。
 次回は、12月7日(土)午後に3時間ほど確保して拡大編集会議を開催予定。関心ある方々の力を合わせ、後世に残る本づくりへと結実させましょう。案内は追ってご連絡いたします。
付記:次回の編集事務局会議は、11月22日(金)19時〜、会場:風の部屋(西永福)予定です。
    事務局各位、ご参集ください。


■第198回 TOAFAEC(9月)定例研究会記録   
          
山口真理子(Fri, 13 Sep 2013 07:34)
 <「ともに学ぶ共同体を夢見る」−9月定例研究会ご案内>
 9月に入って、ようやく酷暑の季節を脱し、すこし涼しい風が吹くようになりました。皆様にはお元気に秋の季節をお迎えのことと存じます。
 9月定例(第198回)研究会の日程(9月27日)は、東京学芸大学で開かれる日本社会教育学会(第60回)研究大会の初日と重なります。学会では、60周年大会記念の国際シンポジウム(第3日、29日)が企画されていますが、その第3分科会の招聘ゲストとして、イ・ギュソンさん(李揆仙、韓国平生教育実践協議会会長)が来日されます。この機会に1日早くお出でいただき、私たちの研究会へご出席をお願いいたしました。
 イ・ギュソンさんは、韓国平生教育士協会を創設(2002年)して初代会長。それに協働して、実践的力量を高めていく平生教育実践協議会のリーダーとして活躍されています。2006年にはTOAFAEC 訪韓団が始興(シフン)市の同事務局を訪問し交流した経緯もあります。「東アジア社会教育研究」第15号(2010年)には「共に生きる共同体を夢見る人々」と題する熱のこもったイ・ギュソン論文(李正連訳)が掲載されています。
 今回はイ・ギュソンさんの来日を歓迎し、東京多摩地区の市民活動・NPOのなかで活躍している江頭晃子さん(アンティ多摩)との対談のかたちで、韓国の平生学習の動きや実践運動についてお話をうかがいます。
 学会初日の夜でもあり、関心ある多くの方々(初めての方も歓迎)のご参加をお待ちいたします。
 付記:当日には新「東アジア社会教育研究」第18号が刊行されている予定。皆さまとご一緒に喜びを分か
     ち合いたいと思います。
日時:2013年9月27日(金)18:30〜20:30
会場:高井戸地域区民センター・第三集会室
〒168−0072杉並区高井戸東3-7-5 TEL 03−3331−7841 *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分
ゲスト:李揆仙(イ・ギュソン、韓国平生教育実践協議会会長)
内容:「ともに学ぶ共同体を夢見る」韓日対談−イ・ギュソンさんと江頭晃子さん(聞き手)対談−
終了後(20:45〜23:00・予定)歓迎・交流会、年報第18号刊行お祝い会 
会場:イーストビレッジ Tel 03-5346-2077 *高井戸駅から徒歩2分
左より郭珍栄、江頭晃子、李揆仙、金宝藍の皆さん(高井戸、20120927)

★記録1,(江頭晃子、Sat, 28 Sep 2013 23:43)
参加者(敬称略):李揆仙、伊藤長和、岩本陽児、上田孝典、呉迪、江頭晃子、大下勝巳、郭珍栄、
     金宝藍、金侖貞、小林文人、添田祥史、棚田洋平、山口真理子
 日本社会教育学会参加に先立って、当研究会のために日程を早めて来日してくださった韓国・平生教育実践協議会のイ・ギュソンさんに「ともに学ぶ共同体を夢見る」と題して、お話を伺いました。
 イ・ギュソンさんは、1999年に韓国・放送大学に出会うまでは、国営企業に勤務、そして専業主婦の時代のことから話は始まりました。ムネ(文解=識字)教育の講師としての活動・教材作り、「生活に役立つ」学びの視点の重要性と、放送大学での平生教育の授業が合致したこと。2002年に平生教育士資格を取得した後、就職先も横のつながりも無い状態に落胆し平生教育士協会を設立。始興(シフン)市を中心に、より実践的に活動することを目指して「平生教育実践協議会」としての活動スタート。平生教育士が「マウル(地域)の中で活動する」ことを重視し、「住民自治センター」に平生教育士の配置を始興市に求めモデル配置が始まったこと。現在の朴政権では「幸福学習センター」構想があり、政策をうまく活用して平生教育士を配置していきたいことなど。
 平生教育振興院と合同で、「地域の宝探し」プロジェクトを展開したり、始興市の公務員は市内にある170 のサークルのいずれかに属するように働きかけていること。最初は公務員には敵対視されていたが、着実でまじめな仕事を継続することによって、信頼関係が築けていることなど、国の政策や自治体との協働方法についても話されました。韓国の10年来の躍動の平生教育の動きについては、量的拡大は成功してきているが質的には十分とはいえない。たとえば地域活動に参加せず、個別の教育や文化の「学習ショッピング」(学習者は消費者)をつくっているだけではないかという懸念。日本社会教育の実践や失敗に学ぶことが「全国集会」に毎年参加している目的でもあることも話され、今回の「学会」招聘に対しても、単なる賞賛ではなく、より具体的なアドバイスを求める場面もあり、実践者精神が現れていました。
 参加者からも質問が絶えず、交流会に場所を移しても、話はつきず。静養中の伊藤長和さんが参加してくださり、退院お祝いもささやかに。スリムになったものの伊藤節は変わらず、楽しいひと時でした。
記録2,(小林ぶんじん) *南の風3166号
 まず27日の記録。…(略)… 夜はTOAFAEC(198回)研究会@高井戸へ。ちょうど学会の理事会と時間帯が重なり、しかも遅くまで会議は続いたらしく、来会予定の面々もついに姿を見せず、残念でした。研究会は、上記ご報告のように熱のこもった対談。イ・ギュソンさん(平生教育実践協議会)と江頭晃子さん(アンティ多摩)の話は、記録をおこして、来年度年報19号に収録してはどうでしょうか。通訳は(翌日の学会発表を控えていた)金宝藍・郭珍栄のお二人(写真)。有り難うございました。
 静養中の伊藤長和さんが退院後はじめて研究会出席、懇親会まで参加いただきました。お元気そう、無事な経過で何よりです。


TOAFAEC第197回(2013年7月)定例研究会 
          
(李 正連、Mon, 1 Jul 2013 10:25)
 <第197回(7月)定例研究会−東アジア研究交流委員会→■と合同開催−ご案内>
 今年もあっという間に半分が過ぎ、蒸し暑い7月に突入しましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。梅雨に入り、毎日雨なのかなと思っていたのですが、全国的に雨が少なく、水不足が心配されています。
 このように雨が心配される中、「干天の慈雨」のような朗報が舞い込んできました。筑波大学の上田孝典さんが6月1日付で助教から准教授に昇格されたという嬉しいお知らせです。
 そこで、7月のTOAFAEC定例研究会では准教授昇格のお祝いとともに、昇格を記念して上田さんに研究報告をしていただくことになりました。上田さんのご専門は中国の社会教育・生涯学習研究です。近年中国では社区教育などにみられるように、社会教育・生涯学習政策が活発に進められています。中国は東アジア研究交流においても欠かせない重要な国であり、現在及び今後の中国の動きに注目する必要があると思います。
 今回の定例研究会では、今後中国と東アジア研究交流をどう進めるかも含めて、中国における生涯学習の最近の動向について、上田さんに報告していただきます。なお、研究会終了後は、上田さんの准教授昇格の祝賀会を行いますので、こちらにもどうぞ奮ってご参加下さい。
日時:2013年7月26日(金)18:30〜21:00
テーマ:中国の生涯学習を巡る近年の動向
報告:上田孝典さん(筑波大学、東アジア交流委員会・事務局長)
会場:(杉並)高井戸地域区民センター 第二和室
    〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
     *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
終了後(20:45〜予定)祝賀会「イーストビレッジ」Tel 03-5346-2077
  *高井戸駅から徒歩2分。環八・神田川傍マンションビル(裏側)1階
8月定例(197回)研究会・上田孝典さんお祝い会(中央・赤シャツ)、その右は台湾・楊碧雲さん (高井戸、20130726)

★記録1 呉 世蓮(Sun, 28 Jul 2013 10:55) 南の風3130号
・参加者(敬称略):小林文人、伊藤長和、上平泰博、山口真理子、石井山竜平、李正連、呉迪、金宝藍、
 呉世蓮ほか。*終了後お祝い会(遅れて参加):楊碧雲(台北市政府)、山口香苗、胡興智、遠藤輝喜
・内容:報告は、レジュメに沿って、1)中国を研究対象としてきたこと、2)中国の生涯学習・社区教育の政策動向について、報告して頂きました。ご自身の細かな研究史と、現代の大きな教育政策について充実したお話でした。詳細の内容については次のようです。
 1)中国を研究対象とすることについては、研究対象として中国を選んだ背景・経緯と中国留学、そして大学院時代の研究仲間との研究活動について報告されました。2)中国の生涯学習政策の特徴について、中国の生涯学習の在り方や現在の動向など取り上げられました。主要な点について。まず一つ目は、単位銀行制度(浙江省慈渓市「市民学分銀行管理弁法(試行)」2009年11月23日(中国初))の規定を紹介されました。韓国との関連からも興味深いものがありました。二つ目は、社区教育の進展について。その中で「全国学習型都市建設連盟」「法制化の動向」「社区教育工作者・専門職員」への着目、具体的な動きを紹介されました。
 中国の生涯学習の動向はとても勉強になりましたが、個人的には、李正連先生や研究仲間たちとの共同研究を進めていった大学院生時代のお話が非常に興味深く、自分にとっても大変いい刺激になりました。
 報告後には、上田先生の昇進の祝賀会のために「イーストビレッジ」へ。台北市政府教育局の楊碧雲先生、台湾留学予定の山口香苗さん(東大・院)、日中学院の胡興智先生、そしてTOAFAEC 事務局長・遠藤輝喜さんも合流されて、楽しいひとときとなりました。最後には、研究会歌姫の山口真理子さんの歌声と、定番になりつつある(?)金宝藍さんと私、二人のコンビによる韓国・ジンドアリランを歌いながら会を締めくくりました(笑)。
 改めて、上田先生!とてもすばらしいご発表、ありがとうございました。そして、おめでとうございます!
 初めてお会い出来た方々もいらっしゃって、とても嬉しかったです。何よりも、私のような留学生にいつも優しく接して下さる伊藤長和先生の笑顔を久しぶりに拝見できて嬉しかったです。伊藤先生の「闘病生活」、応援しておりますので、頑張って下さい!! 研究会の皆様には、いつも心から感謝しております。今回も大変いい勉強をさせて頂きました。ありがとうございました。
記録2 <夏の夜の研究会>小林ぶ、南の風3129号
 7月26日(金)夜の定例研究会、東アジア交流委員会と合同の開催とあって、夏の夜の夢にみた賑わいとなりました。何よりも病院より一時帰宅中の伊藤長和さんがお元気に登場されたこと。心配していた私たちへの何よりのプレゼント。加えて台北市政府教育局の楊碧雲さん(TOAFAEC 年報編集委員)、台湾留学予定の山口香苗さん(東大・院)の道案内で参加されました。珍客とはまさにこのこと。いま注目の「台北市学習型城市」づくりの立役者です。また、予告(風3126号)通りに、日中学院の胡興智さんも来てくれました。
 この夜の参加者のルーツをたどれば、天津、清州、光州、釜山? そして台北。日本側は少数派。それでも東京周辺だけでなく、仙台から石井山竜平さん(東アジア交流委員会代表)が見えました。報告者・上田孝典さん(筑波大学)は、これまでの中国研究史と、現代中国の生涯学習・社区教育政策の新しい動向について興味深い話、充実した研究会となりました。そのあとの上田さんお祝いの会は、思わぬ東アジア交流の宴となり、時を忘れて、帰途はほとんど最終電車か。ご参加の皆さん、遅くまでお疲れさまでした。いずれ「風」に研究会報告が寄せられることでしょう。
 上に当夜の写真1枚を掲げました。伊藤さんなど前の方はフラッシュが当たりすぎ、後方は暗い画像となって、申しわけありません。ここに写ってない人もいるような。


TOAFAEC第196回(2013年6月)定例研究会記録
  ご案内 
               齋藤真哉(Wed, 29 May 2013 18:27)
 <第
196回(TOAFAEC 6月)定例研究会−第7回東京社会教育史研究フォーラムと合同>
・テーマ:「東京・特別区社会教育行政の歴史的変遷」
・報告者:荒井 隆さん(元大田区・社会教育主事)
・日時:2013年6月21日(金)18:30〜20:30
・会場:高井戸地域区民センター 第3集会室
     京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
 今回は、東京都大田区で社会教育主事としてお仕事をされていました荒井隆さんに、東京・特別区社会教育行政の歴史的変遷と題しまして、都区制度の変遷を踏まえて、特別区の社会教育行政及び社会教育機関・施設がどのような経緯で、かたちづくられてきたのかについてのご報告をいただきます。
 荒井さんは特別区社会教育主事会の会長を務められるなど、特別の社会教育主事の研修等において、後進の社会教育主事・補などに、特別区の独自性を踏まえた各区の社会教育行政の課題と展望などを学ぶ機会を提供してこられました。
 その中でも、特別区の社会教育行政の特徴として、社会教育委員の制度が整備されてこなかったことや社会教育機関・施設としての公民館が設置されてこなかったことを都区の制度の関係から考えるという視点を示されたことが印象に残っております。
 今回のご報告を題材に、特別区の社会教育の独自性が明らかにしてみたいと思います。
 特別区の社会教育に関わる皆様には、歴史から新たな社会教育の可能性を探る機会を提供できればと思います。皆様の参加をお待ちしております。
 また、荒井さんは、『社会教育主事がみた社会教育・生涯学習 東京23区からの発信』を今月、エイデル研究所から出版されましたので、そちらをお読みいただいてご参加いただければ、研究が深まるものと存じます。
報告・荒井隆さん(高井戸区民センター、20130621)

★記録1  佐治真由子(Tue, 25 Jun 2013 08:27)
参加者(敬称略):荒井隆、石川敬史、上平泰博、遠藤輝喜、小林文人,齋藤真哉,佐藤進,
            的野信一、野々村恵子、山口真理子、山添路子、佐治真由子
内容:報告の前半では、荒井さんが今年の4月に出版されたばかりのご著書『社会教育主事がみた社会教育・生涯学習 東京23区からの発信』をもとに、とりわけ第5章の「地方ごとの社会教育行政の多様性〜"選択的な定着化"、東京23区の場合〜」についてご紹介いただきました。
 昭和26年から28年にかけて北区、練馬区、杉並区の3区に公立公民館が設置されるが、他区では設置されず、最後に残った練馬公民館も区の組織改正により平成24年4月に「生涯学習センター」と名称変更されたことにより、「公民館がない特別区」となった。ほかにも特別区の特殊性として、区教育委員会が直接事業を実施するなど「教育行政と教育機関が未分化」であったこと、また昭和50年代でも23区中10区のみの設置で、残り13区では設置されずに今日に至っている「社会教育委員設置率の低さ」。その一方で、東京郊外にあった都立青年の家の常時活動の場として、東京都独自の取り組みで昭和43年までに各区に一館ずつ「青年館が設置」。
 だが、青年層の利用が次第に減少し、代わって女性や高齢者の利用が増加したことにより、青年館の名称自体も、社会教育会館や文化センターへと転換。荒井さんが勤めた大田区も、昭和50年代に青年館12館の計画的配置を進めたが、昭和60年度にはその名称をすべて文化センターへと改称。
 以上、特別区に見られる社会教育の"選択的定着化"をふまえ、「23区独特の行政体質の存在」、すなわち昭和27年に区長公選制を廃止されてから平成12年に区が基礎的な地方公共団体とされるまでの48年間にわたり、特別区は都の内部的部分団体であるという位置づけが続いたことにより「23区横並びの体質」が根付いてしまったのではないかというのが荒井さんの仮説であった。
 その後の質疑応答で「なぜ特別区に公民館が根付かなかったのか」「青少年対策地区委員会やジュニアリーダーは社会教育課や生涯学習課などが所管しているものの、そうした人たちの会合は他部局が所管する集会所や地域センターで開催されている場合が多い。そのことをどう考えるか」、「社会教育は(町会や自治会、青少年対策地区委員会などの)保守的な地盤の変革まで目指すのかどうか」などの意見が出されました。
 会の終了後は、いつものように「イーストビレッジ」で報告者・荒井さんを囲んで、ご著書の出版祝いを兼ねた楽しい会でした。
記録2 南の風3108号(ぶ)  21日夜の研究会(第196回)、すこし遅れて始まりました。「… 17:50頃、芦花公園・人身事故のため、京王線上下線運転見合わせ。運転再開は19時頃の予定、調布駅は大混雑。バスで吉祥寺に出て、井の頭線に乗るつもりです」(山口真理子さん)。それでも常連はほぼ集まって12名の参加。報告の荒井隆さん(元大田区社会教育主事)とは5年ぶり?か。終わってイーストビレッジへ。4月に刊行された荒井さんの新著『社会教育主事がみた社会教育・生涯学習』(エイデル研究所)のお祝い乾杯をしました。山添路子さんの顔も見えて、賑やかな夜となりました。
右から3人目・荒井隆さんの出版を祝う−研究会終了後の懇親会 (イーストビレッジ、20130621)



TOAFAEC第195回(2013年5月)定例研究会・記録 
 
               (山口真理子、Sun, 5 May 2013 11:14)
 案内 爽やかな5月となりました。しかし、東北の被災地の皆さまにとっては、まだまだ苦難の日々が続いていること、「南の風」3079号の八朔さんのお便りには胸の痛む思いです。「2011年を忘れない!」(龍谷大学・堀尾先生達が作成されたカレンダー)の気持ちを大切にしていきたいと思います。
 さて、5月のTOAFAEC定例(第195回)研究会は、白井健二さんを迎えて、お話しを聞き、新しい仕事へのお祝いをしようという企画です。白井さんは東京学芸大学を卒業後、法務省(法務教官)に入られ、全国各地の少年院等で矯正教育、不幸にして罪を犯した少年・少女達の更生に当ってこられました。この4月、大分・中津の少年学院々長から本省(法務省・大臣官房・広報室長)に戻ってこられました。
 お連れ合いは社会教育研究室で一緒に活動された樋口知子さん(元エイデル研究所、いま『東アジア社会教育研究』カットでお馴染み)です。先日の年報編集会議(4月21日、東大)に見えました。白井・樋口のお二人を知る方も、初めての方も、どうぞ奮ってご参加下さい。*樋口さんはこの日は見えません。
日時:2013年5月31日(金)18:30〜21:00
お話:白井健二さん(法務省大臣官房秘書課広報室長)「少年院の子どもたち」
会場:杉並区高井戸地域区民センター第5集会室
    ―京王井の頭線「高井戸」駅下車、陸橋で環八を渡ってすぐ、徒歩2分。
      会場は「地域と教育を考える会」で案内が出ています。  
*終了後(21:00〜)白井さんお祝いの会「イーストビレッジ」( 03-5346-2077)
     ―環八添い、神田川を渡ってすぐのマンション裏側1階
*特別ゲスト:島袋正敏さん(名護・底仁屋「黙々100年塾・蔓草庵」主宰)参加予定
*連絡先:遠藤輝喜090-7942-4785、山口真理子090-1548-9595
報告・白井健二さん、右は金ボラムさん(高井戸、20130531)

記録(事務局)
参加者(敬称略):岩本陽児、上平泰博、江頭晃子、金宝藍、桑原重美、小林文人、武田拡明、
       中村(持田)津希子、包聯群、山口真理子 *懇親会より参加:武士田忠、中澤郁美
特別ゲスト:島袋正敏、赤崎隆三郎(名護市より)
内容:当日の配布資料は「少年院の子どもたち−少年院の教育活動」についての報告レジメ、3月まで院長をされていた中津少年学院の詳細な紹介画像(少年院の活動について短期処遇・長期処遇の各コース、日課表などを含む)、興味深いものでした。加えて法務省パンフレットも。
 今回の研究会の白井報告と質疑について、岩本陽児さんによる速記記録が作成されています(上掲)。ありがとうございました。長文のため、そのままここに掲載できませんので、ご希望の方には別途お送りすることにします。ご一報ください。
 社会教育・生涯学習の領域では、ほとんど聞くことができない「矯正教育」「少年院の教育活動」についての具体的・実践的なお話でした。私たちの研究会として初めて聞くことばかり。その感想が下掲(ぶ)欄にいくつか記されています。また当夜ご参加の皆さんの感想もお寄せいただければ幸いです。
 白井健二さんの法務省・広報室長としての活躍を期待して、研究会終了後はお祝い・激励の会となりました。その席上に(既報・ご案内)名護から島袋正敏さん、赤崎隆三郎さんが合流されました。法政大学沖縄文化研究所総合講座での講演資料「沖縄在来文化資源としての泡盛とアグー」も紹介されました。こちらはTOAFAEC 年報(第16号)「やんばる対談」Aなどでお馴染みのテーマ。当夜、終電まで続いた語らいについては、前号末尾(ぶ)欄をご覧下さい。
記録2,(岩本陽児) … 昨晩(31日)研究会・白井健二さんのお話「少年院のこどもたち〜少年院の教育活動〜」、大学の後輩が法務教官で話を聞かされていたこともあり、大変興味深く伺いました。例によって雑駁ですが、記録メモを添付します。・・・添付失敗のため、直接貼り付けてお送りします。(南の風3097号)
記録3,(小林文人) 昨年末に出版された『社会教育・生涯学習辞典』(朝倉書店)にも、矯正教育、少年院、厚生保護等の項目は収録されていますが、全体のなかでは小さな取り扱い。31日・研究会の「少年院の教育活動」報告は、私たちの研究会でも初めてのテーマでした。報告者・白井健二さん(法務省大臣官房・広報室長)は、この分野ひとすじに歩き、3月までは大分・中津少年学院長の職にあったただけに、概要の話も具体的・実践的で実に興味深い内容。詳細は別に速記記録が用意されていますので(ご希望の方はご一報を)、ここでは、いくつかの感想を記しておきます。
 少年院という施設は、その性格上、全体として画一的・管理的イメージが強いのですが、短期(特別、一般)と長期の「処遇」の計17コースをもっていること、入ってくる「少年の特性に合わせた教育・指導」「分類処遇」が基本となっている報告が印象的。“個別教育”が基本なのです。
 加えて、強制、拘束、管理などの側面をもちながら、少年たちに対する激励、応援、保護などの、まさに教育・指導の理念に根ざした取り組みが強く意識されていること。これは白井健二さんの個性、人間観もあるのでしょうが、教育全般にかかわる課題として教えられるところがありました。
 終わりの方では、最近の少年院の動きとして、保護者への積極的な対応、被害者の視点をいれた教育、福祉的支援との関連(社会福祉士、地域との連携)、処遇プログラムの充実、矯正広報の取り組み、など興味深し。
記録4(小林文人)≪想い出話に酔って(ぶ)≫
 昨夜(31日)の第195回研究会、とくに終了後のお祝い・懇親の集いは、期待通りの賑やかな顔ぶれとなりました。同午後から開かれた法政大学沖縄文化研究所のプログラムを終えて、名護の島袋正敏さん、赤崎隆三郎さんが私たち(高井戸)に合流されたのは午後10時ごろか。当夜の報告・白井健二さんの友人たちも遅くかけつけて、昔懐かしい“夜の集い”。
 3号前の本欄に書いたように、名護博物館長(当時)島袋正敏さんと白井健二さん(当時は学生)は30年ぶりの再会でした。1980年初頭から続く名護の皆さんとの忘れ難い交流。ビールだけでなく想い出話に酔った夜。
 たとえば1990年1月、島袋正敏さんや稲嶺進さん一行が、早朝に名護で焼いた豚1頭、羽田行きの同じ便に載せて、小金井の東京学芸大学社会教育研究室に運び込んだ話。到着は陽も落ちたころ、1日がかりの豚の旅でした。包みを開けると豚から湯気が立ちのぼり、感激の乾杯となったのです。当時の沖縄研究会メンバー(国立や入間の社会教育関係者を含む)による豚を囲む稀有の交流。懐かしい写真が出てきましたので、スキャンして(ただし甘いピント)HP・古いアルバムU(番外編B)に載せました。亡き足立邦彦さん(上福岡市教育委員会)などの懐かしい顔もあります。
→■
http://www007.upp.so-net.ne.jp/bunjin-k/albumhoridasi.htm
 昨夜の参会者はおそらく終電か。ご苦労さまでした。深更に金ボラムさんからメール(上掲)と写真5枚。有り難うございました。その中から白井健二さんなどの顔も見える1枚を添付します。
最後に残った人たち、右より山口、小林、赤崎、白井、中澤、武士田、金、島袋の皆さん (イーストビレッジ、20130531)



TOAFAEC第194回(2013年4月)定例研究会・記録
              (山口真理子、Sun, 7 Apr 2013 20:02)
 <沖縄をテーマに−4月(第194回)定例研究会ご案内>
 激しい寒暖の差,台風並みの低気圧、と今年の春はなかなかスムースには過ぎていきせんが、皆さま、お変わりなくお過ごしでしょうか。
 さて、最近は沖縄の米軍施設(6区域)の返還計画や、4.28「主権回復の日」=沖縄では「屈辱の日」をめぐって、中央紙でも地方紙でも沖縄問題が大きく取り上げられています。
 安倍政権は「基地負担軽減を明確にする」ことを強調していますが、何のことはない、旧計画の焼き直し、すべて普天間飛行場移設が前提。「沖縄には現在、全国の米軍専用施設面積の73.8が集中。…今回の返還計画がすべて完了しても73.1%にしかならず、負担軽減は 0.1ポイント。」(毎日新聞4月7日記事) しかも返還時期は「2022年度またはその後」、本当に実施されるかどうかも怪しい。他の施設返還と引き換えに辺野古移設を迫るという、またしても「アメとムチ」の形です。
 しかし「南の風」3062収録『沖縄タイムス』で紹介されているとおり、名護では稲嶺ススム市長をはじめとして皆さん辺野古移設反対でがんばっておられます。高校生の言葉は、力強いかぎりです。
 TOAFAECの4月定例研究会は、「沖縄」をテーマに企画しました。今年も私たちは3月に名護に伺い、もう5回目となる「やんばる対談」を行ないましたが、それに参加された上平康博さん、武田拡明さん、かねがね沖縄・青年組織の研究を重ねておられる井谷泰彦さん(3人の豪華版!) に「それぞれの沖縄」について、自由に語っていただきます。例会日の最終金曜日(26日)の夜、4・28の直前の日程です。
 どなたもご参加歓迎! 皆様のご出席をお待ちしています。
日時:2013年4月26日(金)18:30〜21:00
内容:沖縄との出会い、やんばる対談のことなど
お話:(敬称略)井谷泰彦(早稲田大学・院)、武田拡明(もと川崎市・市民館々長)
          上平康博(白梅学園大学<非>講師、ワーカーズコープアドバイザー) −敬称略−
会場:(杉並)高井戸地域区民センター第5集会室 −井の頭線「高井戸」駅下車、環八を渡ってすぐ
*終了後(21:00〜)懇親会をいつもの「イーストビレッジ」で
*当日連絡先:遠藤輝喜090-7942-4785、山口真理子090-1548-9595
★記録1,山口真理子(Sun, 28 Apr 2013 12:23)
 TOAFAECの4月定例研究会は、「沖縄」がテーマでした。お話しくださった3人の方は、それぞれに「沖縄」に関わって、深い関心を持ち続けている方、思いのこもったお話でした。参加者が少なく残念でした。
日時・報告・会場・・・上記の通り
参加者:井谷泰彦 上平康博 小林文人 武田拡明 山口真理子  
内容:最初にTOAFAEC として沖縄研究への長い経過や「やんばる対談」のことなどが話されたあと、3人の方からご自分のテーマについて興味深いお話しをいただきました。
1,上平さん「やんばる対談と奥共同店史から学んでのつぶやき」
 今年3月、やんばる対談に参加し、翌日は奥集落へ。小林先生と一緒の沖縄行きは初めて。以前より沖縄には何度も足を運んできたが、今回はとくに奥共同店で『奥共同店創立100 周年記念誌』を求め、その中の「奥共同店店則」(1917年頃制定、奥共同店の創立は1906年)が興味深い。この店則第3条は「字奥在籍ノ人民ハ本店ニ対スル権利義務ヲ有す」となっており、この時代に「人民」「権利義務」等の言葉を使っていることに注目。
 共同店は、法律に基づいて設立・運営されているわけではなく、経営者と労働者という関係もなく、集落の小さな共同体の生活を守るために創立されたもの。「小さな共同体から蟻のように動き回って発信する力の掘り起こし」「奥集落の歴史と名護博物館に描かれたシマ社会の絵柄は、過ぎ去りし日の遺物ではなく、未来進行形の絵図ではないか」など(上平さん“つぶやき”より)。大きな可能性を感じるというお話でした。
 ワーカーズコープ(アドバイザー)に関わっている立場からも、共同店の歴史と現在に並々ならぬご関心、尽きぬ興味をお持ちのようでした。
2,武田さん「名護のまちづくりの新展開」  昨年・今年と沖縄行き「やんばる対談」に参加したが、振り返れば、なんと1979年、川崎市市民会館で開いた「社会教育を考える会」基礎講座で小林先生のお話しを聞き、今帰仁村の中央公民館(象グループ設計)を見に沖縄に飛んだのが最初の沖縄訪問。今回はとくに、名護市東海岸・二見から天仁屋まで10区の地域おこしの拠点として動き始めている「大浦わんさかパーク」(運営はNPO委託、2010年10月からは指定管理)の話を聞いてきた。特に「地域づくりコーディネーター」(名護市企画調整課嘱託、3ヵ年契約)の新しい役割に注目。いまの1名から3名に増員が予定されていることに大きな期待。地域づくりコーディネーターと支所配置の社会教育主事との関係(連携・協力)が今後の事業展開の大きなカギか。
 TOAFAEC 年報『東アジア社会教育研究』第18号にもこの内容を含む報告を投稿なさる予定。詳しくはそちらをご期待ください。
3,井谷さん「沖縄の社会教育における風俗改良運動」  独自の歴史研究。沖縄の青年組織(ニセー、毛遊びなど)をテーマに、これまでも沖縄に長期滞在して資料調査し研究を重ねてきた。(この詳しい報告は、近く開かれる地方教育史学会で発表される予定とのこと。)
 沖縄の風俗改良運動の歴史は、沖縄の伝統的な風俗を悪しきものとして捉え、改廃し同化することがすなわち近代化であるとして、明治30年代に始まったとのこと。沖縄語(方言)やモーアシビ(毛遊び)、浜降り,刺青(針尖)など、土着の風俗・文化・習慣等が禁止の対象になってきた。非現実的なものもあったようである。本土政府の圧力とばかりとは言えず、先進文化への憧れからの同化志向の面もあった由。しかし、結局は合理的なものは一部受け入れられたものの、今にも残っている文化・習慣(むしろいま復活される動き)もあり、成功したとは言えないのではないか、という結論でした。沖縄語の禁止は、初期はあまり徹底されなかったこと、私たちもよく聞く「方言札」は、1903年にでき、学校教育の場だけではなく地域でも使われたとのことでした。
 それぞれに歴史・現代・未来(共同体)にわたるテーマが並んで、話は終わらず、終了後の「イーストビレッジ」でも遅くまで会は続きました。
★記録2, 小林ぶんじん(南の風3075号) 4月26日の定例(194回)研究会は、久しぶりに「沖縄」がテーマ。山口真理子さんから報告が届きました(上掲)。当日は参加者が少なく残念でしたが、語り合われた内容は、沖縄近代における風俗改良運動の歴史、共同店100年(奥)史にみる共同体の思想、現代地域づくりと社会教育の課題(名護)など盛り沢山。
 話は次々と発展して尽きるところがありませんでした。これまで忘れたことがない研究会・写真を撮る余裕がなかったほど。・・・後半は(お察しの通り)楽しい酔いのなかでカメラのことなど念頭になし。…というわけでHPに(この10年)掲載してきた研究会写真、今回は収録できません。…


TOAFAEC第193回(2013年3月)定例研究会・記録
                    (遠藤輝喜、Sun, 03 Mar 2013 23:03)
 3月(第193回)定例研究会−中国生涯学習研究フオーラム(第24回)と合同開催・ご案内> 
 皆さま、忙しく3月をお迎えのことと拝察します。TOAFAEC 関連の研究会も活発に毎月の企画が進行し、それぞれ賑やかに開催されています。3月のTOAFAEC(第193回)定例研究会は、中国(第24回)研究フォーラムと合同で開催することになりました。
 中国の成人教育・継続教育は、1990年代以降の改革開放政策、社会主義市場経済の導入を背景に大きな転換をとげつつあります。いわゆる「単位」(組織・企業)社会からの脱皮が進行する中、「社区」(コミュニテイ)建設が大きな政策課題。このような経済・社会動向を背景に、従来の成人教育もまたその姿を変え、いま「社区教育」(地域教育)あるいは「終身学習」(生涯学習)が新しく登場しつつあり、最近は「継続教育」という言葉も多く使われるようになりました。
 旧「成人教育」の主要な内容であった「職業教育」は、この新しい状況のなかで、いまどのように展開しているのでしょうか。上海の華東師範大学で「職業教育」を研究・指導されている陸素菊先生(昨年より東京大学客員研究員として滞日中)にお話を伺います。また「日本の社会教育との関連」から、上田孝典先生(筑波大学、中国研究フォーラム事務局長)にもコメントを添えていただくことになりました。
 終了後は、私たちの研究会で初めて報告をしていただく陸素菊先生の歓迎会、あわせてお互いの交流会を(いつもの「イーストビレッジ」で)開催いたします。おそらく桜満開の時期、会場横・神田川沿いの桜も見事に咲いていることでしょう。皆さま、花見の気分でお出かけください。
日時:2013年3月29日(金)18:30〜21:00
内容:陸素菊先生(華東師範大学)報告「中国の職業教育・継続教育の動向」(仮題)
    上田孝典先生(筑波大学)コメント「日本の社会教育との関連で」
会場:(杉並)高井戸地域区民センター第3集会室
  〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
    井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ
終了後(20:45〜)陸先生の歓迎会・交流会「イーストビレッジ」 03-5346-2077 
    *高井戸駅から2分、神田川そばマンションビル(裏側)1階
当日連絡先:遠藤輝喜090-7942-4785、山口真理子090-1548-9595
陸素菊先生(華東師範大学)−高井戸、20130329ー

★記録

○参加者(敬称略):陸素菊、上田孝典、岩本陽児、上平泰博、呉迪、小林文人、孫佳茹、モウラ(ワーカーズ・コープ)、山口真理子、山口香苗(進行)
感想1 (岩本陽児、風3058号)…陸素菊先生、とても刺激的なご報告で、二次会でぜひ続きを伺いたかったのですが、ない後ろ髪を引かれる思いで辞去しました。
 私が最初に中国の教育制度のイメージを得た1980年代後半が、じつは文革後のリハビリテーションの時期であり、ことによると今もなお過渡期的な状況が続いているかもしれないことがイメージできました。陸先生が今後の課題として挙げられた農民工のUターン、Jターンのお話を聞くにつけ、高度成長期に人材供給を求められ、半世紀後のいま、持続可能性をほぼ失った日本の農村部のことが思いやられました。地方出身で、町田や川崎で定年を迎えた私の周囲のみなさんに、ふるさとに帰ろうとの動きは見られません。今回の「一票の格差」違憲判決で、国会で農村部の利益を守る議員はさらに出せなくなるでしょう。私には、今回ご報告の中国の状況と、この間、異常な低金利政策のもとで「自己責任」社会化を進めてきた日本の状況とが、背後でつながったものとして映ります。中国の同じ状況に対する陸先生と上田先生の見方の違いは、おふたりの研究対象との距離の持ち方を反映しているのかも、と思ったことでした。昨日のメモを添付します。
感想2 (上田孝典、風3059号)…岩本先生、昨日(29日・中国研究会)は、ご参加いただきありがとうございました。日本の高度経済成長期における人口移動との対比で見る視点は、たくさんの示唆をいただきました。中国の現状は、戸籍制度によって、都市部では国民としての諸権利が剥奪されている農民工に対し、制度を整備しているのに法規を無視してその枠組みから外れている農民工が悪いという、自己責任論です。
 子どもの就学、進学や受験においても、大きな悪影響が出ています。またこの様な議論を中国フォーラムで深めて行ければと思っています。丁寧な「まとめ」を送っていただき、ありがとうございました。
感想3 (孫佳茹、風3058号)…本日(29日)研究会に参加させていただきまして、本当にありがとうございました。まず、陸素菊先生の発表は大変勉強になりました。知らないことが多くあったので、中国の職業教育・成人教育についての現状についてしっかりと「補習」していただきました。その後の上田孝典先生のコメントと皆様の議論でも勉強になったことがたくさんありました。
 質疑応答の時間に出た中国の経済体制転換により起こった出来事は、私の家庭でほぼ経験済みです。2,3年前から新保敦子先生のゼミ論文がきっかけで、家族や親族にライフヒストリーの聞き取りを始めました。なぜ私の家族はこのようなことを経験してきたのだろうと不思議に思ったことがありますが、うまく回答が見つかりませんでした。改革開放後の市場経済体制への転換は中国では良いこととして認識されていますが、個人のレベルに立ってみると、どうだろうという複雑な思いはあります。
感想4 (小林文人、南の風3058号) …29日夜の3月定例(第193回)研究会。ご報告をお願いした陸素菊さん(華東師範大学)、上田孝典さん(筑波大学)有り難うございました。そしてご参加の皆さん、お疲れさま。会場近く神田川沿いの満開の桜は残っていました。終了後イーストウッドの歓談はいつまでも終らず。遅れて遠藤輝喜さんが来たような記憶(定かでない)。若い世代は知らない・・というので「九一八・松花江上」を想い出して歌ったり、久しぶりの“歌姫”の絶唱を聞いたり。駅で別れたのは23時半近く。無事帰宅後の孫佳茹さん(早稲田大学・院)から深夜の「お礼です」メール(上掲)。お疲れさまでした。


TOAFAEC第192回(2013年2月)定例研究会記録
               (井口啓太郎、Fri, 8 Feb 2013 10:28)
 <東京・特別区の社会教育史を俯瞰する−東京社会教育史研究フォーラム(第4回)>
 昨年秋のTOAFAEC 第187回研究会(2012年9月28日)が契機となって東京社会教育史研究フォーラムが発足しました。その後、11月7日(第2回)、今年1月16日(第3回)と回を重ね、事務局会議を含めて活発な活動が始まっています。この間の経過や論議については、TOAFAECホームページ「東京社会教育史研究フォーラム」サイトをご覧ください。
 →■ http://www004.upp.so-net.ne.jp/fumi-k/tokyoforumu2012.htm
 第4回研究会は、下記のように、TOAFAEC 2月定例(第192回)研究会と合同で行うこととなりました。これまでの、東京社会教育史の再発見、その全体像をとらえる視点、今後の研究をどう進めるか、などの論議をふまえて、今回は「東京・特別区の社会教育史を俯瞰する」をテーマに議論を深めます。
 大都市・東京の特別区は、現在は首長部局移管、指定管理者制度などの影響もあって制度面からみれば厳しい状況にありますが、歴史的には公民館・青年館・社会教育館などの独自の施設史があり、多摩地区にはない社会教育主事・社会教育指導員の設置と集団形成によって、個別には豊かな実践が育まれてきました。そうした社会教育史の歩み諸相を拾い集め、全体を俯瞰していく、その一歩になるような研究会にできればと思います。
 せっかくの合同研究会、幅広い関心のみなさんと終了後は恒例イーストヴィレッジにて交流の場をもちたいと思います。ご参集、よろしくお願いします。
テーマ:東京・特別区の社会教育史を俯瞰する〜大田区の社会教育のあゆみから〜
報告者:大田区教育委員会・社会教育主事 野村千寿子さん
コメンテーター:元練馬区教育委員会・社会教育主事 野々村恵子さん
日時:2013年2月22日(金)18:30〜20:50
会場:東京都杉並区高井戸地域区民センター第3集会室
    〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 tel:03-3331-7841
    *京王井の頭線「高井戸」駅下車徒歩3分(環八を渡ってすぐ)
終了後(20:45〜)交流会「イーストビレッジ」Tel 03-5346-2077
    高井戸駅から徒歩2分。環八・神田川傍マンションビル(裏側)1階
当日連絡先:遠藤輝喜090-7942-4785、山口真理子090-1548-9595
         齋藤tel:090-5996-9351、井口tel:090-4620-4643
★記録
(江頭晃子、Sat, 23 Feb 2013 21:13)
<第4回東京社会教育研究フォーラム報告−TOAFAEC第192回定例研究会との合同−>
参加者(敬称略):井口啓太郎、井上恵子、岩本陽児、上平泰博、小田切督剛、江頭晃子、栗山究、
 小林文人,齋藤真哉,佐藤進,武田拡明、的野信一、野々村恵子、野村千寿子
 (交流会から−山口真理子、遠藤輝喜)
内容:最初に野村さんから大田区の社会教育の歩みを2期に分けて報告していただきました。戦後初期の施設がない時期からの成人学校、社会学級、青年学級、母親(婦人)学級等の多彩な事業。1960年以降の青年館(のち文化センター)等15館構想により広がった施設を利用しての区民大学、高齢者教室、女性セミナーなど、知識習得・趣味活動、生活課題解決をも含めた広汎な講座・活動が展開されてきたこと。23区のなかでは注目されてきた施設の設置、社会教育主事(4名)や社会教育指導員(最大40人)による積極的な職員体制による拡充の時代。
 1980年代以降は青年館は文化センターへ名称変更されていく一方、生涯学習振興施策による学級講座事業の改変、2001年「第2次生涯学習振興計画」によって従来事業の見直し、成人学校・高齢者教室の廃止など相次ぎ、2003年には文化センターは区長部局へ移管された。「文化センターまつり以外の事業はなし」という状況になってしまった。最後に現在の社会教育事業について話され、社会教育行政がやるべき仕事内容と他部局や民間企業との住み分けと連携と、これまで培ってきた市民活動を含めた「社会教育」の再認識が必要であることが指摘されました。
 次に野々村さんから練馬区を中心に、同時に23区全域を見渡しながら、90年代以降の社会教育の特徴的な変化について報告がありました。「生涯学習」という名称の登場とともに23区の社会教育は施設・職員・組織とも大きく変わってきたこと。多摩地域と違い東京都施策の影響が大きく、区民とともに学びあう関係が奪われ、情報提供や計画作りなど学びの周辺整備など机上でのサービス提供事務が増えていったことなど話されました。
 参加者からは、それぞれの自治体での経験や同様の変化、市民の学びと社会教育行政とのつながりのとらえづらさ、個人・サークル・NPO活動への支援の方法、活動と学習との関連、社会教育「解体」をどうとらえるかなど活発な論議がかわされました。他方で、1990年代には市民参加による「生涯学習計画」づくり(東大和市など)の動きもあったこと、社会教育行政「解体」と言っても市民活動は活発なのではないかなども。
 終了後はイーストビレッジ交流会へ。今日の報告への感想や意見、大田の隣の川崎の状況を武田さん・小田切さんに聞きつつ、久しぶりに野村さんの「なごり雪」を聞きました(その前座を争って小林先生と上平さんが本気でジャンケンをしていたような記憶あり)。
 3月の予定について。東京社会教育史研究フォーラムは事務局会議のみ開催とし、次回は4月19日(金)「東京の地域博物館史」について栗山究さんに報告をお願いする予定です。TOAFAEC 定例(第193回)研究会は3月29日(金)に華東師範大学・陸素菊先生にお出でいただき、中国の職業教育・継続教育についてお話を伺う企画です。
左より野々村恵子さん、野村千寿子さん(高井戸、20130222) *関連写真→■



TOAFAEC第191回(2013年1月)定例研究会・案内・記録
           (江頭晃子(Sun, 20 Jan 2013 07:20)
 <年報「東アジア社会教育研究」第18号編集委員会(第1回)と合同>
 今年初めての定例会(通算191回)は、TOAFAEC第18号の編集会議と合流して、下記の通り開催します。18号の編集会議も始まったばかりで、今回は「特集案」を出し合います。「東アジア」「社会教育」をどのような視点で輪切りにするのか。これまでのバックナンバーを振り返り、激動の東アジアの状況と研究交流をそれぞれのフォーラム(中国・韓国・東京・沖縄など)の報告により共有しながら、ざっくばらんに特集案を出し合います。編集委員に限らず、ご興味のある方は大歓迎です。ご参集、よろしくお願いします。
・日時:2013年1月27日(日) 18時から20時45分まで
・内容:(1)特集テーマについて、(2)各フォーラムの進捗状況
     (3)今年の編集体制・スケジュ ールについて、(4)その他
・会場: (杉並)高井戸地域区民センター・第1集会室
     〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
     *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
・終了後(21:00〜)交流会−予定
 当日連絡先:遠藤輝喜090-7942-4785、山口真理子090-1548-9595
★記録:『東アジア社会教育研究』第18号編集会議
                江頭晃子(Sat, 16 Feb 2013 22:28)  *南の風3036号
・参加者(敬称略):李正連、石川敬史、伊藤長和、上田孝典、上野景三、内田純一、江頭晃子、
     遠藤輝喜、金侖貞、小林文人、齋藤真哉、佐治真由子、竹中薫、包聯群、山口真理子。
・内容:
 昨年から発足した東京社会教育史研究フォーラムが加わり、おそらくこれまでの年報編集のなかでも最も賑やかな編集会議となりました。はるばる佐賀から上野編集長、高知から内田前編集長が出席されました。
 まず上野編集長より第17号合評をふりかえり(特集の不十分さ、東アジア全体の視点の弱さ、市民視点の脱落など)、続いて、中国・韓国・東京各研究フォーラムから、この間の各フォーラムの進捗状況と検討内容の報告をお願いしました。韓国フォーラムからは、既に執筆者案の提案もありました。沖縄については山城千秋さんからメール連絡あり。また、ここ数年来の課題である「台湾の生涯学習」編集についても論議しました。
 肝心の特集テーマについては、「市民活動の胎動と社会教育」「社会教育施設論」「若者問題・職業訓練」「社会教育・生涯学習と国家」「一般(文化)行政と教育行政」「社会教育講座比較論」「社会教育関係団体」「都市社会教育論」などさまざまな切り口が出され、それぞれについて意見交換をしました。市民活動と言った時に中国ではどのように捉えたらいいのか、地域づくりの拠点としての施設論を考えると社会教育施設だけに限らない、韓国におけるマウル共同体への注目、格差社会を乗り越えるための共同体論、国家論としては日本では市民の中では議論されにくいい・・・・等々。
 結果的に地域づくりや共同体論、市民性の形成などに視点を置きつつ、各国それぞれでの捉え方や状況が違うこともあり、やや広くテーマ設定した方が依頼もしやすいということになり、「東アジア生涯学習における自治と共同」(仮題)という特集案になりました。今後の編集論議の中で、さらに具体化し検討を深めることになりましょう。
 その後、掲載したい内容案や執筆者案を自由に出しあいました。次回編集委員会では特集の執筆者と各国それぞれの構成等について議論する予定です。3月上旬には自由投稿論文の公募も始まります。皆様の投稿をお待ちしています。次回の編集委員会は3月22日(金)18:30〜、ご参加お待ちしています。
中国・韓国・東京史各研究フォーラム主要メンバーは帰ったあと、残った編集委員会メンバー(高井戸、20130127)。
左より山口(会計)、上野(編集長)、小林(顧問)、包(編集委員)、江頭(副編集長)、遠藤(事務局長)、内田(前編集長)




*定例研究会・190回(2012年12月)までの記録→■



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