【TOAFAEC研究会の前史・記録】(T)
1,戦後沖縄社会教育研究会@(1976〜1986)→■
2,戦後沖縄社会教育研究会A(1986〜1995)
3,東京学芸大学・小林研究室・留学生特別ゼミ(アジア・フォーラム)

【TOAFAEC研究会記録】
(U) 
◆TOAFAEC定例研究会記録(1)第 1回 〜第47回 : 1995年〜1999年 →■
◆TOAFAEC定例研究会記録(2)第48回 〜第70回 : 2000年〜2001年
◆TOAFAEC定例研究会記録(3)第71回 〜第93回 : 2002年〜2003年

◆TOAFAEC定例研究会記録(4)第94回 〜第113回: 2004年〜2005年
◆TOAFAEC定例研究会記録(5)第114回〜第135回:2006年〜2007年

◆TOAFAEC定例研究会記録(6)第136回〜第160回:2008年〜2010年2月 →■

TOAFAEC第191回(2013年1月)以降の定例研究会・記録(8)→■ 



◆TOAFAEC定例研究会の記録◆(7)
     −第161回・2010年4月〜第190回・2012年12月−




◆第190回:東京・中国・韓国・各研究フォーラムの交流・合同研究会
 <ご案内>  小林ぶんじん (2012年12月8日)
 12月に入ったとたん、急に寒くなりました。北国では大吹雪のニュース、皆様のまわりにお変わりはありませんか。早いもので、今回は2012年納めの定例会となります。TOAFAEC の歩みとしては18年目の暮れ、190 回目の記念すべき研究会です。
 最近の5〜6年の歩みを振り返ってみると、TOAFAEC を母体に関連研究団体が次々に誕生していきました。まず韓国生涯学習研究フォーラムの登場(2007年)。さらに、中国生涯学習研究フォーラム(2008年)、両者をつなぐかたちで、東アジア研究交流委員会(2009年)の胎動。また沖縄研究の蓄積からは沖縄研究フォーラムが起ち上がりました(2010年)。それぞれ活動は独自のリズム。継続的あるいは断続的な動きなど、いろいろです。その成果(の一部)は毎年の年報「東アジア社会教育研究」に報告されています。TOAFAEC ホームページには、各研究フォーラムの記録を収録。この機会にご覧いただければ幸いです。→■ http://www004.upp.so-net.ne.jp/fumi-k/toafaec.htm
 さらに今年9月の定例研究会(第187回)は、「東京社会教育の歩み・その再発見の試み」をテーマに開かれ、この論議から待望の「東京社会教育史研究フォーラム」の発足となりました。HPにも新しいサイトを開設しています。→■ http://www004.upp.so-net.ne.jp/fumi-k/tokyoforumu2012.htm
 10月の韓国生涯学習研究フォーラム(第38回)の席上、各研究フォーラムが一堂に顔を合わせる研究会を開いてはどうか、との提案が出されました。これを受けて、第190 回研究会は次のように合同の企画で開催することとなりました。当夜は、各フォーラムから楽しい(短めの)報告をお願いし、お互いの交流・交歓を深め、新しい年へのステップを確かめあえればと考えています。
 研究会終了後は、恒例の2012忘年会へ。あらためて『東アジア社会教育研究』第17号刊行、『社会教育・生涯学習辞典』(朝倉書店)完成、「南の風」3000号などのお祝いの会となる予定です。寒い冬の夜ですが、都合をつけてご出席くださいますようご案内いたします。
               記
日時:2012年12月21日(金)18:30〜20:30
内容:各研究フォーラムの交流・合同研究会
報告:中国・韓国・沖縄・東京・東アジアの各グループから(10分程度)
会場: (杉並)高井戸地域区民センター・第一集会室
合同忘年会(20:45〜)「社会教育・生涯学習辞典」完成(内祝い)、南の風3000号、第17号刊行お祝い
、  会場:「イーストビレッジ」Tel 03-5346-2077
当日連絡先:遠藤輝喜090-7942-4785、山口真理子090-1548-9595

★記録
   呉迪 (筑波大学大学院) (Thu, 27 Dec 2012 20:15)
参加者 (敬称略・順不同):小林文人、包聯群、孫佳茹、桑原重美、伊藤長和、黄丹青、上田孝典、
       瀬川理恵、山口真理子、李正連、武田拡明、真壁繁樹、井口啓太郎、金侖貞、呉世蓮、
       陸素菊、金宝藍、岩本陽児、遠藤輝喜、呉迪
内容: 第190回・TOAFAEC定例研究会は、12月21日に杉並区高井戸地域区民センターにて開かれました。今回司会を務めていただいた文人先生が、最初に各研究フォーラムの誕生の経緯について話されました。
 TOAFAECを母体にして、まず2007年に韓国生涯学習研究フォーラムが登場し、翌年に中国生涯学習研究フォーラムが発足、さらに中・韓をつなぐ形で東アジア研究交流委員会が2009年に誕生しました。またこれまでも研究が蓄積されてきた沖縄の社会教育について、沖縄研究フォーラムが2010年に立ち上がり「やんばる対談」等が取り組まれてきました。そして今年9月には東京社会教育史研究フォーラムがスター。各研究会の活動・経過はそれぞれのHPサイトに記録されています。今回は韓国生涯学習研究フォーラムからの提案をうけて、この(はじめての)合同研究会が企画されました。
 3つの報告がなされました。まず東京社会教育史研究フォーラムから、井口さん。今後の研究フォーラムの方向性について、3つの課題を提起なさいました。すなわち、@東京社会教育行政・施設・実践の実証的歴史研究→これまでの東京社会研究史研究の蓄積から進める視点と、23区、三多摩地区など地域性を踏まえて東京社会教育史を再構成する視点。A1970年代「昭和」期に形成された社会教育構想・行政が「平成」期になって「解体」していく背景を、図書館・博物館史研究、市民活動・NPO研究や公共政策・地方自治論など学際的視点を含めて検討する必要性。そしてB大都市社会教育研究と世界都市・東京の位置→国内の都市間や東アジア各都市と比較する視点、の提起でした。
 次に、中国生涯学習フォーラムから、上田先生はこれまでの議論を3つのテーマで整理し報告されました。@生涯教育法制化に関する議論。近年来、中国の地方(省・大都市)レベルで「終身教育」関連法制が成立するようになり、今後各地域の条例制定状況及び内容の比較分析について分担・調査していく。A文化行政と教育行政の関係性。日本とは異なり、中国では図書館や博物館等が文化行政の所管であり、教育と文化の行政系列の二元状況がある。とくに地域の教育活動を見る際に、文化の側面をどのように考えていくかが一つの重要な視点となる。B中国の政治性と時代性。1980年代以降の中国経済発展・改革開放政策により施設などハード面での整備が進んできた一方で、ソフト面、特に教育内容や職員体制など独自の充実をみていない課題を残している。この問題はさらに社会主義国家としての中国の政治性と結びつけて考えていく必要があります。
 最後に、韓国研究フォーラムから、李先生が報告されました。韓国「平生教育・学習」の本づくりから始まった韓国生涯学習研究フォーラムは、これまで日本に向けて韓国の、韓国に向けて日本の、平生学習・社会教育に関する2冊の編集・出版を実現することができた。いま韓国の平生教育の動向について、@1999年に「平生教育法」(2007年に全面改正)が制定・施行されて、国家的規模で平生学習都市奨励が重点的に進められた。多くの都市で平生学習の条件整備や事業実践が拡充されてきている。日本と対比して文解(識字)事業も法的基礎をもって取り組まれている。各地域においては学校を中心とした「マウルづくり」、「共同体づくり」運動が展開を見せている。A一般行政と教育行政との関係の構築が課題となる。平生教育機関として、一般行政所管の「住民自治センター」と教育行政所管の「平生学習館」が併存して動いている。分担が不明確なため、事業・活動を実施する際に混乱もみられ、他方で両者の多面的な展開は今後の興味深い検討課題でもある、など。
 それぞれについて質問が出され、短い時間でしたが、充実したひとときでした。東京という大都市・社会教育の問題を東アジアの視点から考える発言もありました。各研究フォーラムの研究が今後どのように交流され、刺激しあいながら、全体として東アジア研究として蓄積されていくか、これからがまた楽しみです。
 研究会終了後「イーストビレッジ」で合同忘年会が開かれました。『社会教育・生涯学習辞典』出版、「南の風」3000号発行、『東アジア社会教育研究』第17号発刊の祝杯など大盛り上がりの夜でした。
 中国研究フォーラムに参加してきた私としては、今回、韓国の平生教育や東京社会教育の歴史研究について報告を伺うことができて、たいへん知的刺激を受けました。文人先生はじめ、このような機会を設けてくださいました先生方にお礼を申し上げたいと思います。また、190回目の記念すべき研究会の記録を書かせていただきましたことを非常に光栄に思います。ありがとうございました。

190回研究会・合同忘年会、右端に呉迪さん(記録)−高井戸・イーストビレッジ (20121221)



◆第189回定例研究会:『東アジア社会教育研究』第17号合評

          *TOAFAEC事務局・編集担当 遠藤輝喜・江頭晃子(Tue, 13 Nov 2012 00:10)
 <案内> 晩秋の頃、皆様にはお元気でご活躍のことと拝察いたします。今年の秋は、セミの声と秋の虫の声が昼と夜に交錯しておりました。これまでにないコラボだったかと思います。温暖化でしょうか。
 ご承知のように「東京・沖縄・東アジア社会教育研究会」は、年報『東アジア社会教育研究』第17号を刊行いたしました。特集として、東アジアにおける社会教育・生涯学習を担う専門職員と市民、そして「沖縄復帰40年」の2本を組みました。前者では、韓国、中国、台湾の動き、そして日本の社会教育専門職員の今後への課題提起。後者では、戦争体験記録の継承の問題や、沖縄復帰をめぐる青年団運動の証言など力作が並んでいます。
 第189回TOAFAEC定例研究会では、この第17号の合評と刊行祝い、さらに来年18号に向けての構想も語り合いたいと思います。上野景三・編集長も佐賀からお出で頂く予定です。編集委員の方々、ご執筆の各位、東アジア・沖縄に関心をおもちの皆さん、奮ってご参加ください。研究会終了後は懇親をかねて17号刊行を祝う集いを予定しています。
日時:2012年11月30日(金)18:30〜20:45
内容:『東アジア社会教育研究』第17号の合評会、18号に向けて
話題提供:「東アジアの視点から職員論を考える」 上野景三さん(佐賀大学教授、17号編集長)、
       小林文人さん、石井山竜平さん、金ボラムさん、編集幹事から(予定)
会場:東京(杉並)高井戸地域区民センター第3集会室 
刊行祝い(20:45〜):会場「イーストビレッジ」 03-5346-2077
当日連絡先:遠藤:090-7942-4785、山口:090-1548-9595

★記録
   江頭晃子(Tue, 18 Dec 2012 22:47)
参加者(順不同):李正連、上野景三、江頭晃子、呉世蓮、金ボラム、小林文人、齋藤真哉、
       佐治真由子、山口真理子
内容:まず全体として17号の合評、それぞれ感じたことを出し合いました。特集の「職員論」については、重要テーマ(学会でも取り上げている)にもかかわらず、東アジアという独自の視点をふまえた追求が不充分であった、定例会等で議論する必要があり、リライトの時間が必要、依頼の際に趣旨を伝えきれなかった、面白い・元気がでる内容にならなかった、何らかのメッセージ性が欲しかった、などの反省点が出されました。一方、本誌ならではの多様性があったという評価もあり。18号の特集テーマについては次回の編集委員会までに各自が考えてくること、それをもとに議論を経て、三国を並べながらイメージをふくらませて、特集を決定することなどを確認しました。
 その後、特集の朴商玉論文「韓国平生教育士の専門職化のための主体的活動と教育者としてのアイデンティティ確立」について金ボランさんから報告がありました。平生教育「士」と平生教育「師」、スペシャリストとプロフェッショナル、公務員職列化への運動とその反論等、興味深い内容でした。日本とは対照的に専門職化に向けて積極的な検討が進められている韓国、日本の現状も交えて熱い議論が繰り広げられました。他国での議論を知ることで、日本の職員論に何が足りなかったかが、透けて見えてくるように思われました。
 最後に18号に向けて掲載したい内容、スケジュール・編集体制の確認をし、次回編集委員会(1/27日曜日18:00-)では早速特集テーマを出し合うことになりました。
高井戸・イースト・ビレッジにて(20121130)



◆第188回:齋藤真哉、佐治真由子「飯舘村と出会い、つながる学び
 <ご案内>  佐治真由子(Thu, 4 Oct 2012 00:28)
 昨年3月11日の地震・津波、その後の原発の爆発事故により村に放射能が飛散し、国から「計画的避難区域」に指定された飯舘村。東京・板橋区立大原社会教育会館では、今年3月24日、長年パレスチナの子どもや女性を取材してきた映画監督の古居みずえさんの作品「飯舘村のお母ちゃん(仮称)」を教材とし、そこに登場する2名の酪農家のお母ちゃんを招いて、フィルムフォーラムを開催しました。そしてその後、板橋の人たちは、そこで出来たつながりを目に見える形にしていくため、ボランティアを募り、飯舘村民が避難する仮設住宅で住環境改善の一環として棚付けなどを行いました。
 今回は、フィルムフォーラムで上映した映像を見ていただいた後、私たち東京に住む者が、飯舘村、福島、そして被災地の人たちと関係を紡ぎつづけるために必要な学びとは何か。現地の人たちの「語り」を通して、また私たちに「語る」という行為を通して、「夢や希望を失った・奪われた」人たちがどう自分たちの過去・現在・未来を再創造していくのか。その時、東京に住む私たちはどのように「語る相手としての他者」たりうるのか、もしくはそのまなざしを醸成できるのかなど、考えてみたいと思います。今後さらに考察を深めていくための視座を含めて、皆様とご一緒に語りあえれば幸いです。秋の一夜、多数のご参加をお待ちしています。
             記
日時:2012年10月26日(金)18:30〜20:30
内容:飯舘村と出会い、つながる学び−板橋区大原社会教育会館・事業を契機として−
報告:佐治真由子(川崎市役所職員・元板橋区社会教育指導員)
    齋藤真哉(板橋区立大原社会教育会館館長・社会教育主事)
映画上映:古居みずえ監督「飯舘村のお母ちゃん(仮称)」
        *古居みずえ監督もご参加の予定です。
 <古居みずえ監督の略歴> ジャーナリスト・映画監督。アジアプレス所属。1988年よりパレスチナを取材。新聞・雑誌・テレビなどで発表。第1回監督作品『ガーダ パレスチナの詩』が好評を博し、同作品で石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞受賞。2011年新著『ぼくたちは見た−ガザ・サムニ家の子どもたち』(彩流社)を刊行。詳しくは→■http://www.huruim.com/contents.html
会場:(杉並)高井戸地域区民センター第3集会室
終了後(20:45〜、交流・懇親会、「イーストビレッジ」Tel 03-5346-2077
当日連絡先:山口真理子090-1548-9595

★記録
  (佐治真由子、Sun, 28 Oct 2012 22:39)
報告:(1) 古居みずえ監督作品・映画「飯舘村のお母ちゃん(仮称)」上映
    (2) 映像の内容や現在の飯舘村(村民)の動きに関する質疑応答
    (3) 飯舘村と出会うために(課題提起)(佐治)
参加者:岩本陽児、江頭晃子、桑原重美、小林文人、齋藤真哉(司会)、佐治真由子(報告)、
      山口真理子
内容:まず、古居みずえ監督の未公開作品・映画「飯舘村のお母ちゃん」(仮称)を皆さんで視聴しました。そこでは福島・飯舘村の酪農家のお母ちゃんが、「計画的避難区域」の指定後、飼い続けられなくなった牛を屠畜し市場に売りに出し、他県の酪農家に譲るなどして、わが子同然に育ててきた牛を手放さなければならない悲痛な状況と、そのときのお母ちゃんたちの思いが記録として収められていました。
 質疑応答で「飼い続けられなくなった」牛には4月以降も、3月11日以前から保管していた藁が与えられており、牛乳や肉からは(留意に値する)放射線量は測定されなかったこと、それにもかかわらず国や村の指示により酪農家たちは屠畜するしかなかったこと。しかし、その後の村への働きかけで、福島県内だけのみ牛を移動させることができるようになったこと、牛を移動させて現在も11軒中6軒の酪農家が福島県内で酪農を継続していること、などが明らかになりました。
 それを受けて、佐治から「夢なんか何もなくなった」という長谷川さん親子らが、どう次の人生の一歩をふみ出そうとしているのか。また、菅野村長らの発言を追いながら、震災以前は住民参加にもとづく「までい」な村づくりを行ってきた飯舘村が震災後、国主導の復興プロジェクトと村民との間で身動きが取れなくなってしまったこと、村を大切に思えば思うほどかつての村づくりと逆行するような動きになってしまっているのではないか、などを報告させていただきました。
 震災・避難後は、家族の絆や集落(地区)の共同が分断されてきた飯舘村、しかし仮設住宅等では住民相互の横のつながりへの努力、新たなコミュニティがつくられようとしている動き、これまで飯舘村の社会教育が培ってきたものがいまどのように活かされようとしているか、質疑のなかでさまざまな話題が出されました。
 二次会「イーストビレッジ」では、古居さんのパレスチナとの関わりや、元NHKカメラマンの桑原さんと古居さんの映像作品にかける思いの交流など、有意義な懇親会となりました。お料理も特別メニュー!
 今回の古居みずえ監督の映画「飯舘村のお母ちゃん」はまだ完成したものではありません。古居監督は現在も取材のため、福島市内にアパートを借り、月の半分は飯舘村民が居住する仮設住宅等に足を運んでおられます。「来春までには完成させたい」とのこと。飯舘村のお母ちゃんたちの苦しみ・悲しみを少しでも多くの方に分かち合えるよう、完成に向けがんばっていただきたいと思います。
報告2(南の風27979・ぶんじん)
 10月26日の定例研究会には、既報(風2976号)の通り、いま多くの人が注目している古居みずえ監督がお見えになりました。未公開の飯舘村ドキュメンタリー記録を特別に観せていただき、興味深い話を伺いました。
 古居さんは、20数年前よりパレスチナを取材され、現地に通いながらの映画づくり。今回の飯舘村の記録も、パレスチナ・フイールドワークと同じ姿勢で、福島に通っておられるようです。シリヤで銃口に倒れた山本美香さん(ジャーナリスト)とも親しい間柄だとか。飾らない語り口のなかに、激しい思いを秘めておられることが伝わってきました。板橋区の社会教育が、なぜパレスチナに、また今回の飯舘村に・・・出会ったのか、その秘密も古居監督の登場でよく分かりました。
 当日の研究会は折悪しく参加者が少なく、いつも多くの人に囲まれる監督の、制作途上の作品を見ながら直接に話しを少人数で聞くという幸運な夜。古居みずえ監督、そして斉藤真哉(司会)、佐治真由子さん(報告)、まことに有り難うございました。
左より、古居みずえ監督、斉藤真哉、佐治真由子の3氏(高井戸、20121026) *二次会写真→■(10月26日)



◆第187回:小林文人・佐藤進・上野景三「東京社会教育の歩み・再発見の試み」
 <ご案内>  小林ぶんじん(2012/0905)
 残暑が続いていますが、皆さま、お元気にご活躍のことと存じます。
 この数ヶ月、折にふれて東京・社会教育史研究の必要を発言し、関係の方々にご相談してきました。賛同の方が多く、秋の到来にあわせて、東京研究を再開することとなりました。東京は、これまで戦災復興・大都市問題など苦難の道を歩いてきましたが、社会教育の歩みを振り返ると、1950年代の模索、60年代の胎動、70年代の躍動、そして80年代の生涯学習の時代とともに(皮肉にも)新たな混迷を経験し、いま深刻な退潮の局面に遭遇しているようにも思われます。
 東京・社会教育の歴史には、これまで多くの実践・運動があり、全国的にも注目された取り組みがあります。いま、戦後70年ちかくの歳月が経過して、それらの記憶もうすれ、大事な記録・資料が散逸・風化してきたのも事実です。この機会に東京・社会教育の歩み“再発見”の視点をもって、歴史を復元しつつ、また新たな再生・展望の道をさぐる努力が求められているのではないでしょうか。
 この機会に「東京社会教育史研究フォーム」(仮称)の立ち上げを構想しています。諸研究を整理しながら、これからの継続的な研究計画を協議できればと考えています。また、韓国や中国の大都市で「平生学習」「終身教育」「社区大学」等が活発に展開している状況をふまえて、東アジア研究としての視野をもつ必要もありましょう。できれば近い将来に1冊の本にまとめることができないか、など夢をふくらませています。
 関心ある方々、韓国・中国等からの留学生を含めて、多くの皆さんのご参加をお待ちしています。終了後はTOAFAEC 恒例の交流会を予定しています。お楽しみに。奮ってのご参加をお願いいたします。
日時:2012年9月28日(金)18:30〜20:30
内容1,東京の社会教育の歩み・再発見
報告:(1)東京社会教育史研究について・経過   小林文人(TOAFAEC)
    (2)三多摩社会教育の歩み研究(1988〜1999)  佐藤進(日本公民館学会)
    (3)大都市社会教育と東京研究の課題     上野景三(佐賀大学)
内容2,東京社会教育史研究フォーム(仮)の提唱
    呼びかけ 井口啓太郎(国立公民館)、江頭晃子(アンティ多摩)、斉藤真哉(板橋区)ほか
会場:東京(杉並)高井戸地域区民センター第3集会
終了後(20:45〜)交流会「イーストビレッジ」Tel 03-5346-2077
当日連絡先:遠藤輝喜090-7942-4785、山口真理子090-1548-9595

★記録1
  (井口啓太郎、Sun, 30 Sep 2012) *南の風2963号
参加者:(順不同) 岩本陽児、野々村恵子、山口真理子、王国輝、井口啓太郎、上平泰博、
      栗山究、遠藤輝喜、井上恵子、石川敬史、齋藤真哉、江頭晃子、金宝藍(交流会)
・内容:報告者含め16名。この日は、TOAFAEC研究会では意外にも取り上げられてこなかった「東京研究」ということもあってか、東京の東西から年代も幅広く多彩なメンバーが集まった研究会になったのではないでしょうか。
 最初の発題は、文人先生から。これまでの東京・社会教育史研究の足跡を駆足で辿ってくださいました。特に、斉藤峻さんの貴重な資料が一部廃棄され、残っているものも散逸しつつあるとのお話に力がこめられていたように感じます。すでに時はだいぶ過ぎてしまいましたが、東京研究への着手はいましかない、そう受け止めました。お二人目、佐藤進さんからは多摩社会教育会館の三多摩社会教育の歩み研究(1987年〜1998年)について。戦後から1970年代頃までの実践史等を掘り起こす基礎作業はすでに一定の蓄積があることがよくわかる内容。最後は上野景三さん。近年まとめられてこられた「大都市と社会教育」研究をご紹介いただきつつ、大都市社会教育の可能性、検討課題、今日における都市社会教育研究の意味等をご提起いただきました。ただ歴史を跡付けるのではなく、都市社会教育の現実とその可能性にどのように光を当てるのか、非常に示唆的なお話でした。
 東京研究に取り組むにあたって、どのような視点で進めていくのか、三多摩と二三区の双方を扱うことができるのか、など課題はありますが、ともあれまずは始めてみよう、東京社会教育の再生へ展望が描けるようなそんな取り組みにしよう!そんな気運が高まった雰囲気。
 事務局長は齋藤真哉さん(板橋区大原社会教育会館)にお引き受けいただき、「東京社会教育史研究フォーラム」は無事スタートしました。
 交流会では、野々村さん、上平さんなど大先輩にご協力を仰ぎつつ、江頭さん(アンティ多摩)、石川さん(十文字学園女子大学)、井口らで齋藤さんを支えるべく意気投合。大事なのはこれからですね。
 次回「東京社会教育史研究フォーラム」研究会の日程・内容は、後日事務局長からご案内します。いまのところ11月7日夜が第一案。今後ともどうぞよろしくお願いします。
報告2斉藤峻資料> 小林ぶんじん
 … 「東京社会教育史研究フォーラム」がスタート、こんご定例的に集いを開いていく、比較的に若い世代で事務局が動いていく、ことなどが確認できて、嬉しい夜になりました。事務局長の斉藤真哉さんはじめ、井口啓太郎さん、江頭晃子さん、加えて石川敬史さんなど、どうぞよろしくお願いします。カメラに3人(フォーラム呼びかけ人)の楽しそうな1枚があり、記念として「ぶんじん日誌」→■に載せました。
 戦後東京の代表的な社会教育主事として、斉藤峻さん(1903〜1968)のことが繰り返し話題になりました。みな親しみをこめて「しゅんさん」と呼んだ方。しゅんさんを直接知っているのは、当夜の出席者ではぶんじんだけ。在職中に「全国社会教育主事協会」を提唱(1951年、実現せず)。約700 点の貴重な「斉藤峻資料」が残されました。資料リストは作成されていますが、現物は廃棄同然の運命に・・。これを取り戻すことも新「研究フォーラム」の課題でしょう。しゅんさんは詩人(詩集に「夢にみた明日」など)。退職後は日本社会教育学理事や、1960年から3年間「月刊社会教育」編集長など活躍された方でした。
 しゅんさんの写真を探し出しました
→■。1960年に九州大学で開かれた社会教育学会大会(第7回)の折、福岡・西公園に遊んだときの1枚。右が斉藤峻さん、となりは横山宏さん。このお二人や吉田昇・碓井正久・小川利夫など各先生とご一緒に渋谷のヤキトリ屋(井の頭線旧ガード下)でよく飲んだことを思い出しています。
研究会後「イーストビレッジ」にて、なにか歌っている? 金ボラムさん撮影 (20120928)



◆第186回:
伊藤長和・王国輝・包聯群「日中研究交流のこれから
 <鼎談&.暑気払い−ご案内> 山口真理子・小林ぶんじん、Wed, 4 Jul 2012 12:52
 7月の東京は、恒例「七夕の会」が予定され、TOAFAEC 年報(第17号)編集も佳境に入り、1年の折り返しの慌ただしい季節。皆様にはお変わりありませんか。
 さて7月の定例研究会は毎年、暑気払いを兼ねて開いてきました。(8月は社会教育研究全国集会=今年は高知= 参加のため開かない慣わし)。
 この時期、東アジア各国は夏休み・年度がわり。「烟台の風」でお馴染みの伊藤長和さん(山東工商学院教師)が一時帰国されます。中国滞在はすでに3年が終わり、予定?では完全帰国かと推察していたところ、なんと次年度も仕事を継続されるとのこと。まずは帰国をお祝いし、お話を伺いつつ、さらなるご活躍を祈って乾杯したいと思います。
 今回は、日本と中国の研究交流について考えてみます。両者の努力により、相互交流は着実に動いているように見えて、教育学・社会教育の領域では、最近むしろ停滞の側面もあるように思われます。この機会に、東京大学客員研究員として滞日中の王国輝さん(遼寧師範大学、9月に帰国予定)、中国東北部フィールドワークやモンゴル語研究にご活躍の包聯群さん(東京外国語大学AA研究員)のお二人にも加わっていただき、これからの東アジア、とくに日本と中国のの研究交流の課題を考える鼎談をお願いすることになりました。
 ご参加の皆様からも自由な発言をいただき、夏の暑さを吹き飛ばす愉快なひとときとなれば幸いです。皆様のご参加をお待ちしています。
日時:2012年7月27日(金)18:30〜20:30
内容:日本・中国の研究交流のこれから(鼎談)&.暑気払い
話題提供:伊藤長和(山東工商学院外国語学部)、包聯群(東京外国語大学AA研究員)、
        王国輝(遼寧師範大学、東京大学客員研究員) (敬称略)
会場:東京杉並・高井戸地域区民センター・第一集会室
終了後(20:45〜)暑気払い「イーストビレッジ」Tel 03-5346-2077
*高井戸駅から徒歩2分。環八・神田川傍マンションビル(裏側)1階

★記録  山口真理子、Wed, 15 Aug 2012 15:49)
・参加者:井谷泰彦、江頭晃子、桑原重美、小林文人、山口真理子
・内容:小林(進行)日本と中国の関係は、侵略戦争を含む不幸な時代があった。その後、中国の文化大革命の激動のただなかで、1972年に日中国交正常化が実現した。それまでの“ピンポン外交”や赤十字の活動、LT協定(中国側・廖承志、日本側・高碕達之助)による民間貿易等の努力を通して両国の関係が途切れずつながってきた。
 日本各地には日中友好協会の地道な活動があった。社会教育の世界では故横山宏氏(北京大学出身、文部省・国立教育研究所から早稲田大学、日中教育研究交流会議代表)の役割が大きく、1983年から15年間、社会教育関係者による訪中団が組織され、広汎な交流が続けられた。
 1981年には東京学芸大学にも最初の留学生がやってきて、研究室として日中交流の努力をしてきた。いろんな留学生との出会いがあった。1995年にはTOAFAEC が発足して、新しい研究交流の歳月を重ねてきた。しかし、最近はだんだんと留学生の姿も少なくなり、研究者の努力も拡がりがなく、研究交流の流れはむしろ細くなってきているのではないか。TOAFAEC の集いにも、一時期ほどは留学生が集まってこない。
 日本、中国とも民衆意識としてお互いに「好きではない」「嫌い」という数字が増えている。いま懸案の尖閣列島問題など、ケ小平は「99年後の賢い世代に任せよう」と、敢えて衝突を避け歴史に任せる知恵も持っていた。このような対応に学ぶことも多いのではないか。
 伊藤)7月24日〜8月26日まで夏休みで、7月8日に帰国した。自分の学生も大勢日本に来て、旅館や遊園地などでインターンシップで働いている。1か月4000元らしい。彼等は日本のサブカルチャーに関心があり、詳しい。学生たちは、過去の戦争は歴史として割り切っている。烟台には4つの外国語学部があるが、どこも盛況である。1・2年で会話、3年で文章、4年で論文が書けるようになるのが目標で、大学院に進む学生もいて、とても熱心である。
 王)横山先生は、遼寧師範大学での私の先生(東北大学出身)と親友だった。師範大学は無料で、遼寧師範大学は試験ではなく推薦で入学した。福岡教育大学と共同研究していた。1996・97年に和歌山大学で日本語を勉強し、それから名古屋大学(院)に入った。留学は自分の成長になる。中国では、論文は何本書いた?研究費はいくらもらった?と競争は厳しく適応できなくて自殺した人もいる。
 日本の小・中学校を見学し、人間としての成長を重視していると思った。中国は成績第一で、そのために親が先生に高価な贈り物をしたりして、それがエスカレートしてきている。  
 中国の社会教育は、個人としての活動が少なく、人と人とのつながりが薄い。中国では外国の研究は盛んである。外国との研究交流をしたいが、北の教師の給料は5000元程度で、南の教師の半分ほどしかなく、なかなか難しい。
 包)東アジアの交流にいかに取り組むべきかを考えている。来年上海で行なわれる言語学研究の日中プロジェクト立ち上げに関わっている。中国と日本とモンゴル(韓国とはまだ交渉していない)による東アジア未来フォーラムにも参加している。少数民族の言語学・フィールドワークを専門としている留学生・研究者として、日本を知り、もちろん祖国も知る自分は、積極的に取り組んでいきたい。
 大学の社会貢献は重視されている。人を大勢巻き込んでいく方が効果がある。誰かが動かないと、口だけではだめだ。留学生も帰国して生活が落ち着いたら、交流を積極的に行なうべき。人材をいかに発掘して積極的な意欲をいかに起こさせるか。
 ウィグル族,チベット族は、母語での教育はなさていない。モンゴル族は、北京に近く、一緒に過ごした歴史も長いことから、母語による教育がなされている。しかし、モンゴル語で教育を受けた学生は就職の機会が少なく、北京大学や精華大学には入れない。"学士"資格は50%くらいしか取れていない(中国では大学を卒業しも75点以上ないと学位は取れない)。モンゴル語での教育がなされるのは内モンゴル自治区に限られ、東北部の黒竜江省では、子どもたちはモンゴル語がしゃべれなくなっている。「モンゴル人でなくなってしまう。言葉を忘れたら,親を忘れるのと同じだ。」 日本で留学生が減ったのは、2011年の大震災の影響も大きい。日本は留学生へのサポートをしないから。今は中国では日本語より英語が盛んになっていることもある。
 質問)地震,災害や再開発問題などで、市民・住民が運動的に立ち上がることはあるか。
 答え)何かを始めると、人は集まる。しかしつぶされることは多い。ネット社会になって集まるようになったが、そのネットも遮断される場合もある。NPO的な活動や集まりは、"官"が認めないとできない。
 台湾の関係では、福建省など活発な交流や研究が見られるようになった。
 井谷)自分たちの世代では、日中文化協会は2つあった。早稲田大学では、中国からの留学生に対し、政治的に気を使っていた記憶がある。
 沖縄と福建省の交流史があり、沖縄から中国を見ると、本土から見るのとは違うように思う。中央を飛ばして、沖縄と福建省が交流するようなことはできないだろうか。
 伊藤)中国では、今でも政治思想を教育する。個人同士(中央を飛ばして沖縄が)で交流することは不可能だろう。…(略)…
★報告2 小林文人、2012年7月29日
 はじめに(進行・小林)発題として、日中間・研究交流の歩み、蓄積、横山宏氏の貴重な役割等が概括的に話されたあと、最近は研究交流の流れが拡がっていないこと、全般的にみて相互信頼の輪・ネットが細くなっているのではないか、日中教育研究交流会議の休止状態に見られるように研究者・留学生の積極的な研究活動も低調になっていること、の問題提起がなされた。その後、伊藤、王、包の3人のゲストより、それぞれの立場から、現況認識と今後の課題・期待が語られた。
 参加の皆さんからも自由な発言があり、さらに席を移して暑気払いへ。とくに伊藤長和さんの一時帰国を祝って乾杯が重ねられた。
◆報告3 (南の風2926号・ぶんじん)<暑気払い、夏の夜のひととき>
 27日・蒸し暑い夏の一夜、7月(第186回)定例研究会でした。日中国交正常化40年を意識しつつ、これからの中国との研究交流にどう取り組んでいくか語り合いました。充実したひとときでした。
 社会教育の分野では、故横山宏さん(生前は早稲田大学、日中教育研究交流会議代表)の果たされた役割への回想がいくつも出されました。亡くなられてすでに10年余の歳月。ちょうど1年前の「月刊社会教育」(2011年7月号)に「戦後社会教育に独自の水路を拓く」と題して、その業績を書いたことを思い出していました。HP「追悼」ページの最後に、この一文を掲載しています。参考までに。→■  
 3人のゲストに感謝。伊藤長和さん(山東工商学院、烟台)がますますお元気。中国での教師生活もまさに円熟の境地とお見受けました。同じゲストの包聯群さん(東京外国語大学AA研究員、首都大学東京講師)は会うたびに若く見えます。王国輝さん(遼寧師範大学、大連)は、これから日中研究交流の架け橋として活躍してほしいと期待が寄せられました。
 完全に復調した身には、研究会で飲む夏のビールはことさらでした。暑気払いだけでなく、「イーストビレッジ」では快気祝いのフルコース料理を用意いただいたようで、いい気分。ありがとうございました。
左より伊藤長和、王国輝、包聯群の皆さん(高井戸区民センター、20120727)



◆第185回:谷和明「ドイツの都市における公民館類似施設の新しい動向
                ―カッセル、ハノーファーの事例を中心に−」

 <ご案内> 小林ぶんじん(2012年6月6日)
 TOAFAEC は、主として沖縄・東アジア(中国・韓国・台湾等)についての研究・交流を重ねてきましたが、さらに広い視野をもって、ヨーロッパとくにドイツ社会文化運動の動きにも強い関心をもってきました。ドイツ研究者・谷和明氏(東京外国語大学)の研究調査に同行する機会もあり、多くのことを学んできました(2000年以降)。いわゆるアジア的な地域活動・市民運動・生涯学習の展開や特徴を、ヨーロッパ的な社会文化運動や市民教育との対比において考えてきたということもできましょう。
 今年も、谷和明氏を中心にドイツ・ハンブルク(市民祭アルトナーレ)等への旅が企画されています(ドイツ市民社会文化活動調査―第14回アルトナーレ・第13回ドクメンタ、6月8〜18日)。ドイツの市民主導のアルトナーレやドクメンタ(カッセル市)にみられる蓄積や発展あるいは課題はどのようなものか。帰国早々の日程にもかかわらず、ホットなレポートをお願いできることになりました。
 ドイツの新しい動きを聞きながら、日本や東アジアの地域活動や市民運動のあり方を考える機会になれば幸いです。また社会文化センターの状況を通して、日本の公民館や地域市民施設の方向を考えあってみたいと思います。初めての方も歓迎! まわりの方々とお誘いあわせの上、ご参加くださいますよう、ご案内申しあげます。
日時:2012年6月22日(金)18:30〜20:30
内容:ドイツの都市における公民館類似施設の新しい動向
     ―カッセル、ハノーファーの事例を中心に
ゲスト:谷和明さん(東京外国語大学)
会場:東京杉並・高井戸地域区民センター・第三集会室
終了後(20:45〜)交流・懇親会:会場「イーストビレッジ」20:45〜 電話 03-5346-2077
            *高井戸駅から徒歩2分。環八・神田川傍マンションビル(裏側)1階

★記録
   (山口真理子、Mon, 25 Jun 2012 18:18)
参加者:岩本陽児(研究会のみ参加),小林文人,孫佳茹(早稲田大学大学院),山口真理子,
      遠藤輝喜(懇親会のみ参加)
内容:谷先生はドイツ研究者、社会文化運動等の調査のため毎年ドイツに行っておられます。今年も6月8日〜18日の10日間、カッセル市(人口20万弱)、ハノーファー市(50万強),そしてハンブルク市(180 万弱)の3都市を訪問調査されました。社会文化学会(主催)・日本公民館学会(後援)にも呼びかけ、ハンブルク(アロトナ祭)を中心とする社会文化運動調査は15年近い蓄積があります。今回の主な研究目的は、1,アルトナーレ14(ハンブルク)見学、2,ドクメンタ13(カッセル)見学、3,都市自治と(公民館類似)地域施設のフィールドワーク(ハノーファーを含む)、4,ユネスコ生涯学習研究所訪問、など。
 この日は、24ページに及ぶレジュメ・論文・統計・概況図など資料をご用意いただき、10日間にわたる訪問先の写真を拝見しながら報告をお聞きしました。配布された資料は、訪問3都市の比較、カッセルの都市内分権、ハノーファー地域文化政策の変遷、両都市の地域文化施設の配置図など。
 最初に、ドイツの都市・市民文化運動・地域施設について、歴史的な概要の説明がありました。19世紀後半から民衆会館設置運動が始まったこと、戦後東ドイツでは「文化館」が設置されたこと、西ドイツでは1952年ヘッセン州(カッセル市はこの州の北端にある)で「村落共同の家」―都市化後「市民館」―が設置、1961年ハノーファー市で「余暇ハイム13館設置計画の開始(1978年7館で終了)、1971年ハンブルクのアルトナ地区 Fabrik 開設、1972年ニュルンベルクに「文化店舗」開設等々。
 最初の見学先は、カッセル市立図書館でした。訪問団メンバーに学校図書館司書の方がいらっしゃったこともあって、今回は公共図書館や学校図書館が見学先に含まれています。カッセル市には中央・若者・地区7分館で図書館は合計9館あり、職員は司書,司書補,事務職等で48名(ワーキングシェアの人数)。1つの館に固定するのではなく、各館を回り持ちで勤務しているとのこと。館により曜日により開館時間は異なり、低額ではあるが有料−これはびっくり!です。本が床に散らばっている光景もあり、「ドイツでも地震?!」かと思いきや、ドクメンタ展示の一つ、カオス・混沌をテーマにした作品とか。「エエーッ、信じられなーい!」
 この翌々日には、同市ヴァルダウ地区の学校図書館兼地区図書館。学校の授業と緊密に連絡を取り合える利点があるそうで、これはわかるにしても、「学校図書館と兼ねる方が広く取れるから」という理由にはやっぱり「びっくり」でした。確かにカッセル図書館よりも広々としていました。
 ヴァルダウ市民館(カッセル市)。市民館はカッセル市が地区住民のために設置した集会施設で、地区審議会がここを会議場に利用することも多い。少女の部屋,地域のたまり場,ホールなどがありますが、面白かったのが職員の勤務先のこと。ここには市全体の統括者が務めているのだけれど、だからと言ってこの館が中心館ということではない。この統括者にとって通勤が便利だから、ということだそうです。この人(女性)は両手の甲に派手な刺青があり(おおーっ、大阪だったら即刻クビか)、それでも全然問題にはなっていないことも、文化が違うとはいえ、何と自由な、と思いました。
 フォルデラー・ヴェステン近隣たまり場(カッセル市)。住宅協同組合の設立で、ドイツでは住宅協同組合が文化的センターを作ったのは初めてだそうです。住宅協同組合について、あるいは協同組合の果たす役割についての説明もありましたが、省きます。
 ファーレンハイデ地区フォーラム(ハノーファー市)。毎月開催される地区の住民協議会の見学。参加は自由で、この日も初めての参加者が意見をまくしたてていたとか。5名の世話役がいて、そのうちのお1人・副区長?さんが翌日もずっと、案内してくださったそうです。
 リンデン余暇ハイム(ハノーファー市)。"伝説の余暇ハイム"と称される1962年設立の歴史ある施設。かなり広く、部屋数も多く、現在の職員には少々厄介な建物か。
 プランタージェ通り文化たまり場(ハノーファー市)。ハノーファー市の地域センターは全部で17館。余暇ハイム(7館)、余暇ハイム・類似施設(5館)、文化たまり場(5館)。その他に文化事務所(5か所)、社会文化センター(3館)があるそうです。この文化たまり場には、大学で成人教育を学んだ女性職員がいたこともあり、専門職員の説明がありました。 Sozialpaedagoge,Diplom をもったSozialpaedagoge,フランスとの関係からアニマトゥール。施設の長には、Diplom Sozialpaedagoge の資格(国家資格)が必要ということなどです。
 また、全体的な傾向として、学校が全日になったことからくる、これら地域センターの役割の変化が課題になっていることも話されました。それまでは半日−午前で学校は終わり、午後は様々な活動が地域の中で取り組まれてきた構図に変化が求めれてきているのだそうです。
 ハンブルク・アルトナーレ(市民祭)についてのお話はすでに時間がなく、前夜祭のことなど、わずかでした。ヴェント氏も堂々とした風格。市民祭の性格もやや変化し、最近は商業主義に傾斜していることの批判もあるらしい。その中心の社会文化センター「モッテ」は大規模な改築に入り、話題のレストラン「チンケン」(1階)は廃止されたことなど。
 最後に、ユネスコ生涯学習研究所(ハンブルク)訪問の話題に興味深いものがありました。中国からのスタッフが意欲的に「生涯学習都市」構想をすすめ、来年は北京で集会が行われる企画が進行中のようです。
 この日は参加者が少なく、東アジア以外のヨーロッパのお話を聞く貴重な機会だっただけに、本当にもったいなかったです。レジュメもたくさん用意していただきました。当日のお話を頂いた資料と重ねてみると、立体的に理解できるように思いました。資料は、山口が3部お預かりしました。ご希望の方には差し上げますので、お申し出ください。
 谷先生、ご帰国早々お疲れのところを、ありがとうございました。
左より谷和明さん、山口真理子さん(6月定例研究会、120622)



◆第184回:姜乃榮「東アジア研究交流のこれからを考える」
 <ご案内>  小林ぶんじん(2012年5月9日)
 五月薫風の候となりました。皆様お元気で新年度の仕事・活動をスタートさせておられることでしょう。
 TOAFAEC 研究会では、四月から五月にかけて沖縄復帰40年の節目を考える企画を検討していたところ、「東アジア研究交流委員会」日程案と、当方の定例日(毎月・最終金曜日)が偶然重なり、これ幸いと合同研究会のかたちで開催する運びとなりました。
 すでに石井山竜平氏(委員会代表、東北大学)より、案内が出され、風にも掲載したことはご記憶の通り。(2877号・2012年5月4日)
 テーマは、国際間の研究訪問・スタディツアーのプログラム・映像教材等開発・海をこえるコミュニティワークなど、総じて「東アジアの研究交流のこれからを考える」。韓国と日本の相互訪問・スタディツアーの架け橋となって活躍中の姜乃栄さん(カンネヨン、社会文化運動家)来日の機会をとらえて、その取り組みを聞きながら、私たちのこれからの方向や課題を考えあう企画です。
 当日は2部構成。第1部(東アジア研究交流委員会)−午後の部−ではカンネヨンさんの話を中心に問題を深める。第2部(TOAFAEC 第184 回研究会)−夜の部−では「東アジア研究交流のこれから」を語り合います。終了後は、恒例の懇親会に重ねて、カンネヨンさんの歓迎会を開く予定です。関心ある皆様、ふるってご参加ください。どなたも歓迎!
日時:2012年5月25日(金)18:30〜20:30
内容:東アジア研究交流のこれからを考える
お話:カンネヨン、石井山竜平ほか各氏
会場:
東京杉並・高井戸地域区民センター・第5集会室
終了後(20:45〜)懇親会、カンネヨン歓迎会 会場「イーストビレッジ」20:45〜 電話 03-5346-2077
                 高井戸駅から徒歩2分。環八・神田川傍マンションビル(裏側)1階
◆当日午後は、同会場で「東アジア研究交流委員会」が開かれます。関心ある方、どうぞこちらへの
ご参加もお待ちします。(南の風2877号) 詳細案内→■
 日時:2012年5月25日(金)15:00〜17:30
 内容:姜乃榮(カンネヨン)と語る−コミュニティ・ワークの取組み
 ゲスト:カンネヨン氏 (ソウル)
 会場:東京杉並・高井戸地域区民センター・第5集会室

★記録 
呉世蓮(早稲田大学大学院、Mon, 28 May 2012 11:16)
参加者:浅野由佳(NPO文化学習協同ネットワーク)、石井山竜平、李正連、井谷泰彦、
      上田孝典、王国輝、姜乃榮、金宝藍、小林文人、山口真理子、呉世蓮(敬称略)
内容:TOAFAEC 第184 回研究会では、久しぶりにソウルから来日された姜乃栄さんが現在、取り組んでいる「スタディツアー」についてのお話でした。姜乃栄さんは日韓の市民運動・自治体間交流の架け橋となって猛活躍中で、豊富な取り組みの事例をもとに話を聞かせて頂きました。
 「スタディツアー」に関わり始めた頃は、韓国の行政や民間団体などが一方的に日本に訪れることが多かったものの、現在は、日本から韓国へ視察のために訪れるケースも増えて、「一方的」ではなく「双方的」な関係が築き上げられているということでした。
 姜乃栄さんによるスタディツアーの特徴は、「事前学習」が設けられ、前もって資料を作成し、訪問先に関する取り組みや活動内容について勉強をし、質問チェック用紙を用意し、実際現場の人に会った際に質問を交わすということでした。無知のまま見学に行くのは迷惑な行為であり、今後お互いに長く付き合っていくために、礼儀として「事前学習」をすることは欠かせないことで、「スタディツアー」における基本のマナーであることを改めて学びました。
 また、訪問先の日本における行政の職員と地域の住民の差をなくすために、地域コーディネーターを通して連絡を取り合い、地域の住民と行政の職員とのつながりも考えつつ交渉を行うそうです。姜さんによると、依頼先が「スタディツアー」を通して学びたいことを明確にし、目的が不明確な場合は引き受けないこともあるそうです。「スタディツアー」を通して何かを学びたいという問題意識も重要ですが、訪問先も同時に役に立つようなプログラムを組み、お互いに学び合える場を創るという姜乃栄さんの強い気持ちが伝わりました。また姜乃栄さんは交流の場のみを提供してくれるのではなく、大きな感動も運んでくれるように思えました。日韓の市民運動・自治体間交流の架け橋としてご活躍されている姜乃栄さんのお話からとても熱いパッションを感じることができました。
 話が盛り上がったまま、引き続き姜乃栄さんの歓迎会のために「イーストビレッジ」へ。「南の風」2889号に書かれていたと思いますが、この日は“歴史的”な夜でした。私は研究会に参加してまだ1年半しか経っていませんが、文人先生がお酒を飲まれない姿を初めて拝見しました。よかったことに(?)メインゲストの姜乃栄さんも、そして初めて参加された浅野由佳さん(NPO文化学習協同ネットワーク)もお酒を召し上がれない事がわかり、文人先生お一人ではなく、仲間がいらっしゃるんだー!と思い、ちょっとホッとしました(笑)。
 でも、アルコールなど関係なく、いつもの通りに場の雰囲気は益々盛り上がり、金ボラムさんの「パンソリ」や王国輝先生と文人先生の「松花江上」、井谷さんの沖縄「十九の春」や、最後に研究会・歌姫の山口真理子さんの素敵な歌声で今回の研究会の幕を閉じることが出来ました。

*当日参加者の集合写真(撮影:呉世蓮) →■(5月25日)
メインゲスト・姜乃栄さん(高井戸、20120525) 撮影:金宝藍  



◆第183回:石川敬史「戦後千葉の移動図書館」
 <ご案内> 江頭晃子 (Mon, 09 Apr 2012 22:38)
 車窓から見る桜がきれいです。昨年の春は心がどこかにいって花を愛でる余裕がありませんでしたが、今年はしっかりとあたらしい息吹に向き合いたいとも思います。皆さまの地域はいかがでしょうか?
 今月末の定例会のご案内です。3月に続きお祝いを兼ねて開催します。この4月から研究者となられた石川敬史さんをお迎えします。石川さんは和光大学卒業後、図書館情報大学大学院を出られ、工学院大学図書館に就職されました。図書館業務だけでなく大学事務など多忙な中でも、大学の非常勤講師や論文執筆、安井(原水禁)資料研究会のデーターベース化などにも携わり続けられ、この4月から十文字学園女子大学(21世紀教育創生部)の講師になられました。
 学生時代から長年、移動図書館について研究されてきましたが、今回は戦後千葉の移動図書館を中心に石川さんの研究への思いを伺います。昨年の震災でも全国各地の移動図書館が被災地に結集して活躍し、本の持つ力を再認識させられました。
 職場などの異動があった皆様も、変わらない皆様も、ぜひお越しいただき、ご一緒にお祝いし、情報交換ができればと思います。どなたもどうぞお気軽に、お誘いあわせの上、ご参加ください。
日時:2012年4月27日(金)18:30〜20:30 
内容:戦後千葉の移動図書館について(仮題)
お話:石川敬史さん(十文字学園女子大学)
会場:(東京・杉並)区立永福地域区民センター・第6集会室
終了後:お祝い会 会場:駅前(嶋田ビルB1)中華料理店「きさら」 03-3323-5580
                             (永福町駅徒歩1分)
当日連絡先:遠藤輝喜090-7942-4785、山口真理子090-1548-9595
※この日、15:00〜「東アジア社会教育研究」第17号編集委員会も開催します(同会場)。
 こちらもあわせてのご参加、よろしくお願いします。

★記録 (山口真理子、Sun, 6 May 2012 09:55)*「南の風」2879号
参加者:上野景三,江頭晃子,呉世蓮,金宝藍,勝冶美樹,小林文人,武田拡明,包聯群,
      山口真理子,遠藤輝喜(懇親会),宮芙美子(同)
内容:移動図書館の歴史は、石川さんの和光大学時代からの研究テーマである。「@図書館界や地域・住民に与えた影響が大きいにも関わらず、時代背景とともにこれまで十分に分析されていない。Aアメリカの影響が大きく、戦後日本の公立図書館サービスの歴史的特質を解明する手掛かりになるのでは。」(定例会当日の配布レジュメより)
 この問題意識は、大学卒論「埼玉県における移動図書館の展開」を書いた時にも、1950年代の移動図書館の活動が十分に明らかにされていず、否定的な評価であることに疑問を持った、ということから、今日まで一貫したテーマとなってきた。公共図書館・移動図書館の歴史を取り上げた研究は少ないことから、ここに着目した。
 大学卒論は「研究と言えるものではなく"調べ"であった」とご本人はしきりに恐縮されていたが、図書館情報大学大学院に進み本格的な研究に入っていく。千葉県の移動図書館についての研究がそれで、移動図書館に携わった職員の日誌―当時の地域の状況、利用者の傾向なども記録―や移動図書館の写真等も例示しながら、1950年代の移動図書館の活動を紹介された。移動図書館の職員は、本の貸出業務のみならず、車の修理も手掛けねばならなかったこと、泊りがけの運行もあり、世話人などの自宅に泊り、地元の人と時に酒を酌み交わして交流していたことなどもエピソードとして話された。
 大学院時代は、長野県PTA母親文庫の研究にも取り組み、それが修士論文になったとのこと。母親文庫は女性を取り巻く封建的な慣習を克服することに寄与したが、1960年代以降の社会環境の変化に対応しなかったことなど。調査のため、長野に実際に繰り返し足を運んだが、図書館情報大学は文献研究が中心のため、珍しがられたそうである。
 工学院大学図書館に職員として就職した後も、日本図書館情報学会はじめ幾つかの研究会等に属し、母親文庫や青年会図書館―青年団の研究にもつながった―などの調査は続き、また大学図書館員としての図書館利用教育にも取り組んでいった。「1年に1本論文を書けば、10年では10本になる。」という目標を定め、仕事をしながらの研究で中途半端になる悩みを抱えながらも両立させてきた。
 以上のような内容を調査で出会った現場の方々からの刺激や、影響を受けた研究者のことなどを交えながら報告されました。石川さん報告の後の質問や意見交換では、よく言われる「公民館栄えて図書館滅ぶ、図書館栄えて公民館滅ぶ」状況や、図書館員のエプロンについてが話題となりました。
 なお、この日の報告については「南の風」2874号に石川さんご本人が書いておられます。懇親会は、石川さんの十文字学園女子大学講師就任を祝って、永福町駅近くの中華料理店「キ沙羅」において。小林先生が2873号に書いておられるように、実にたくさんの歌がとびだしました。石川さんと大学同期の勝冶さんと宮さんが駆けつけ、ちょっとしたミニ同窓会にもなりました。
山口の感想:戦後の図書館は、「図書館法」公布(1950.4.30)を別にして「中小都市における公共図書館の運営(通称:中小レポート)」(1963.3)から語られることが多く、戦後間もなくの1950年代の歴史は興味深いものでした。学生時代に見学した日野市で移動図書館に乗せてもらったことを思い出し、その後の電算化やICチップの導入,ビジネス支援などの種々のサービス,資料の保存,そして委託問題等々、次々に新しい問題に対処していった歴史のなかで、あらためて公共図書館の原点に思いをはせるひとときでした。
御礼(石川敬史、Mon, 30 Apr 2012 03:29)*「南の風」2874号
 金曜日(27日)は,私のためにお祝いの会をありがとうございました。数年ぶりに皆様方にお会いすることができました。研究会では,これまでの研究とこれからの研究について,ご報告させていただきました。小林先生,上野先生はじめ皆様より貴重なご助言や鋭いご質問をいただきました。
 図書館の研究者の中で,戦後の図書館史や読書運動を視野に入れる方は非常に少なくなっています。今回の研究会で,社会教育の観点から新たな見方や方向性などを考えることできました。私にこうした場をご設定いただきまして,本当にありがとうございました。
左端・石川敬史さん、はるばる参加の同級生(永福町・きさら、20120427)



◆第182回:王国輝・馬麗華「中国の成人教育・社区教育の歩みと現在」
 <ご案内> 遠藤輝喜(事務局長)−Sat, 3 Mar 2012 18:52−
 はや三月・弥生、年度末を迎え皆様方には、お忙しい時をお過ごしのことと拝察いたします。
 さてTOAFAEC定例研究会も第182回、年度末の定例会となります。ご存じのように、TOAFAEC 研究会には中国、韓国など東アジアから多くの留学生が参加されてきました。また中国フォーラムと韓国フォーラムも軌道にのり、TOAFAEC との関係を紡ぎながら、活動が重ねられています。
 そのような中で4月から新たな門出を迎えられる方々がおられます。東京大学大学院の馬麗華さんはドクター論文を提出され、中国に帰国される予定とのこと。また遼寧師範大学・王国輝さんは東京大学客員研究員として昨年より来日され、私たちの研究会に参加されてきました。
 3月定例会では、お二人のご研究について話をうかがい、お祝いと歓迎の会を催すことになりました。
 また、TOAFAEC 初期からのメンバーである目白大学・黄丹青さんは、この4月に准教授に昇進され、昨年から参加されている早稲田大学大学院・呉世連さんは同大学・助手に就任されるそうです。韓国・公州大学の金ボラムさんは4月から東京大学大学院(博士課程)に進学予定、この日の研究会に初めて参加されます。皆さまとともに喜びあいたいと思います。こうした方々がこれから日本とアジアの未来を切り開いてくださることと確信しております。
 定例研究会とお祝い・送別・歓迎・激励など、さまざまの思いをこめて懇親交流の会を下記のように開催いたします。お忙しいところですが、皆様お誘いあわせの上、ご参加くださいますようご案内いたします。
日時:2012年3月24日(土)18:30〜20:30 (定例の金曜日ではありません、ご注意ください)
内容:中国の成人教育・社区教育の歩みと現在
お話:王国輝さん「中国・文革前の労農教育政策の形成と展開」
 馬麗華さん「中国都市部における社区教育政策の動向−政府主導型から住民参加型への試み」
会場:(東京・杉並)区立高井戸地域区民センター(仮設施設)・第1集会室
終了後の懇親交流会:「イーストビレッジ」 03-5346-2077
連絡先:遠藤輝喜(事務局)090−7942−4785、山口真理子 090-1548-9595
*当日午後2時よりTOAFAEC年報(第17号)編集会議が開かれます(場所・風の部屋)。→■

★記録   (山口真理子、Sun, 1 Apr 2012 17:30)
参加者:李正進,岩本陽児,呉世蓮,上野景三,江頭晃子,金宝藍,桑原重美,小林文人,馬麗華,
      王国輝,山口真理子,内田純一(懇親会)
内容:中国生涯学習研究フォーラムに参加されているお二人の博士論文について報告いただきまし
た。短い時間で凝縮した内容となりました。
1,王国輝さん(遼寧師範大学准教授、現在・東大客員研究員)から名古屋大学に提出された「中国労農教育政策の形成と展開」について。1949年の新中国建国から文化大革命までの労農教育(工農教育)を、確立期、展開期、「大躍進」期、調整期の4つの時期に区分して説明された。
 労農教育政策が実施された最初の頃(建国初期)は、90%以上が非識字者、業務余暇学校や夜学、各種訓練班等で読み書きの基礎教育に重点が置かれた。次の展開期において、教育の質の重視と正規化の方向が示され労農速成中学への入学が積極的に促進された。技術教育も重視されるようになる。大躍進期では「教育は生産労働と結合しなければならない」理念が出され、半労半学制度が展開されて、労農教育は政治・生産のために奉仕すべきことが強調された。4番目の調整期で工農業生産の要求に見合うようになるが、政治路線闘争激化のため、階級闘争教育も強化された。
 特徴的には、@中国の労農教育は学校教育を補完する性格が強い(識字教育に重点を置き、速成的で実用性が求められ、学力に応じた技術教育)、A国家目的に強く制約されている、B同時に、民衆の生活上の利益も探るような形で実施されていた。
 添付された資料によると、学校教育とは別の体系として、年齢に関係なく労農速成学校や業余学校が設けられている。労農学校は文革後なくなったが、業余学校は、形を変えて残った。とくに1980年代には都市部「上海市閘北区業余大学」にみられるような展開を見せている。
2,馬麗華さん(東京大学・院)からは今年、東京大学に提出された博士論文「中国都市部における社区教育政策の動向に関する研究―政府主導型から住民参加型への試み―」について概要が報告された。歴史的には(文化大革命後の)1980年代から1990年以降の改革開放政策から現在までの、都市部の社区教育の展開、新しい動向について。時期区分として、萌芽期―「単位」制の崩壊から「社区」制度への変容、模索期―基層社会構造の「異質化」、展開期―高齢化・都市化進展と社会格差の拡大が説明された。
 中国社区教育政策は、基本的に中央主導、行政主導、上意下達方式だが、一方で地方政府の働きかけが政策実施の地域プロセスに影響をもち、また住民参加型社区教育の胎動が現れていることが注目される。
 今後の課題としては、住民参加の在り方,中央政府と地方政府との齟齬,経済・教育格差が拡大している地域間の相違、これからの農村部の社区教育政策の追求などが挙げられる。
 感想:
○現代中国の大きな社会変動が背景にあり、その対応として新しく社区教育が登場してきていることが印象的でした。職業教育が社区で行われているとか、民間の成人教育関係者による「社区教育協会」や居民委員会の活動など、住民参加(その定義は?日本と同じか?)なしには社区教育は今後成り立たない実情などが、質疑のなかで話されました。国際的な動向ととしては、アメリカのコミュニティカレッジや日本の公民館が関連をもっているとのこと。また中国の「単位」制の変貌(小林先生も補足されました)について、80年代初めの頃、留学生の方々に中国語を習っていた時に、テキストの中で身近に感じられていた「単位」を思い出していました。
○王さんの最初の留学時、名古屋大学での博士論文について、また今年の馬さんの東京大学での博士論文のいずれにも李正進さん(東京大学)が関わっておられる偶然がありました。
○終了後の懇親会は、韓国からの東大大学院留学生(博士課程、4月から)金宝藍(ボラム)さんの来日歓迎,同じく4月から早稲田大学助教(助手)になる呉世蓮さんのお祝い,もちろん博士論文合格と中国へ帰国される馬麗華さんのお祝いと送別、そして前々日に“お父ちゃん”になったばかりの内田純一さん(高知から参加)など、お祝いと歓迎・送別が重なり、内容のぎっしりつまった会でした。いつものごとく歌も出て、なかに涙もあり、忘れられない一夜となりました。
○金宝藍さんの名は、"ボラムちゃん"として最近「南の風」に度々登場するようになりました。「希望」「活力」という意味だそうですよ。
左・馬麗華さん、左・王国輝さん(高井戸、20120324)



◆第181回:丸浜江里子『原水禁署名運動の誕生- 杉並の住民パワーと水脈』
 <杉並の原水禁署名運動・安井家資料研究会について>岩本陽児 (Wed, 8 Feb 2012 19:21)
 
      −丸浜江里子著『原水禁署名運動の誕生』(凱風社)を中心に−
 第一回原水爆禁止世界大会(広島)と原水爆禁止日本協議会(原水協)結成から半世紀たった2005年。原水協初代理事長であった故安井郁氏(杉並区立公民館館長・当時、法政大学名誉教授)の荻窪の自宅に残された貴重な資料を整理し、将来に伝えるボランティア・プロジェクトが、竹峰誠一郎さん(現・三重大学)を事務局にして始まりました。この研究会は、途中、和光大学総合文化研究所の研究助成金を得たりしながら、2009年の暮れまでに58回の月例会を持ちました。
 この間、研究会の有力メンバーであった丸浜江里子さんは、膨大な聞き取り資料をもとに、戦前からの杉並地域の人的ネットワークを明らかにして、明治大学に2008年度修士論文「杉並区における水爆禁止署名運動の成立」を提出されました。この論文をもとに書き下ろされたのが、昨年5月に凱風社から刊行の大著『原水禁署名運動の誕生』です。次回研究会では、丸浜さんにご著書と安井家資料研究会のことを語っていただきます。
 その前史ともいうべき1980年代の杉並区立公民館存続運動と原水禁署名運動資料(「歴史の大河は流れ続ける」全4集)についても副報告(小林文人さん)が予定されています。その頃には寒もゆるんでいるでしょう。皆様お誘い合わせになってご参加ください。(会場はいつもの高井戸ではなく永福区民センターです。ご留意を。)
・日時:2012年2月24日(金)18:30〜20:30
・内容:杉並の原水禁署名運動・安井家資料研究会について
・報告:丸浜江里子さん(歴史をたずねる会@杉並、歴史教育者協議会)
        『原水禁署名運動の誕生』と安井家資料研究会〜安井家資料の整理をふりかえって
     副報告:小林文人さん(TOAFAEC 顧問)「歴史の大河は流れ続ける」のこと
・会場:杉並)区永福和泉地域区民センター第一集会室(杉並区和泉3-8-18 Tel03-5300-941
・終了後:交流会(あらためて出版を祝って乾杯!)
・当日連絡先:遠藤輝喜090-7942-4785、山口真理子090-1548-959

★記録
 岩本陽児(Sat, 25 Feb 2012 01:46)南の風2831号
参加者:岩本陽児、江頭晃子、小林文人、真壁繁樹、丸浜江里子、山口真理子、米山義盛、
内容:「杉並区の原水禁署名運動と安井田鶴子さん」について。昨年『原水禁署名運動の誕生−東京・杉並の住民パワーと水脈−』を上梓された丸浜江里子さんに、杉並の運動と安井郁夫人の田鶴子さんについて語っていただきました。
 1954年、ビキニで放射性物質を浴びた日本船には被爆後も業務を継続した船が多かった中で、何かを察していち早く帰港した点で、第五福竜丸は他と違っていたと、丸浜さんはまず指摘します。同年3月16日に第五福竜丸事件が新聞に報じられ、わずか5ヵ月足らずの8月8日に原水禁署名運動全国協議会が誕生したスピーディさは、3・11からまもなく一年になろうとする現状と比較しても注目すべきもの。杉並の風土はなぜ、それを可能にしたのか。自転車をこいで、まさに「足で稼いだ」貴重な情報を元に、半世紀前の知られざる地域史を復元されました。
 3月下旬の阿佐ヶ谷「天祖神社」での集会、4月の婦人団体協議会講演会および区議会での魚商夫妻の発言がきっかけとなった決議文採択。5月の水爆禁止署名運動杉並協議会の立ち上げと、超党派のその運動。プレスキャンペーンで世論を喚起し、全国協議会の事務局長に就任した安井郁は、翌1955年8月には広島世界大会を成功させます。この署名運動の意義を丸浜さんは、従来「アカの運動」とラベルを貼られていた平和運動のイメージを変えたこと、被爆者救済のきっかけとなったこと、アメリカの対日政策に影響を与えたことの3点で評価します。
 東大を離れた後、杉並図書館・公民館長としてこの運動の中心的存在だった安井郁を支え、運動にかかわりながら「杉の子会」の読書会や同窓会の世話にあたったのが令夫人田鶴子。「隅のおや石」の役割を果たしたのは、キリスト教に基づく隣人愛と国際性からくるものでした。女性史研究としても貴重です。
 さて、こうした世論の高まりをよそに日本人の反核・非核の思いが、日米両政府の関係の中で「原子力平和利用」に見事にさらわれてしまったのが歴史の不思議なところ。54年11月には安全基準が緩和され、55年1月にはビキニ事件の「政治決着」と、米国大使館がバックとなっての「平和利用」の大キャンペーン。半世紀後に、この流れの延長に起きた3・11を目撃した今となっては、民主主義国家における国策の問題、現代史の難しさを考えさせられました。
 引き続き、小林先生により、杉並区立公民館の歴史と、杉並区立公民館を存続させる会『歴史の大河は流れ続ける』編纂のころのエピソードの数々が紹介されました。安井郁館長のリーダーシップの元で1953年から100回続いた「公民教育講座」。映画会や講演会などの移行期を経て、1970年代後半から80年代には学習者が主体となり、「公民館講座」が取り組まれました。杉並公民館の歴史について園田(現・平井)教子さんが調査した80年代初頭には、原水禁運動を担った多くの方が存命でした。30年後の丸浜さんの調査・研究は最後の本当に貴重なチャンスであったと思いました。
 米山さんからはご持参の焼酎のほか『月刊 はこべ』を、真壁先生からはビキニ関連の「NHKドキュメンタリー」DVDを頂戴しました。
★心づくしの花(ぶんじん) 南の風2830号
 昨夜(23日)のTOAFAEC研究会は数えて181回目。丸浜江里子さんが昨年出版された『原水禁署名運動の誕生』(凱風社)をめぐって、著者ご本人からお話しを聞きました。副報告として、ぶんじんも『歴史の大河を流れ続ける』(1980〜1984年)のことや、旧杉並公民館について、いくつかのことを発言しました。
 丸浜さん新著は、すでに3刷だそうです。各地で読まれている様子、何よりのことです。出版直後の研究会でお祝いの乾杯をした経過はありますが、研究会として取り上げたのは初めて。この本は、杉並の地域史であり、同時に(今は姿を消した)杉並公民館史であり、東京社会教育史の一面をもっていると言えましょう。社会教育関係の皆さんにも、ぜひ読んでいただきたいもの。
 本書に登場する人たちは多数にのぼりますが、中心人物とも言うべき安井郁氏(杉並区公民館長、原水協理事長、法政大学教授)は1980年3月、安井田鶴子さんは2005年2月に亡くなられています。田鶴子さんのご命日は、2月14日。研究会の当日、田鶴子さんを偲んで、丸浜さんの心づくしのお花が飾られました(写真)。
 はるばる信州松川町より米山義盛さんが参加されました。伊那谷の銘酒ご持参でご苦労さまでした。終了後の出版お祝い会で美味しく頂き、みなほどよく酔いました。
前列右・丸浜江里子さん、横に故安井田鶴子さんを偲ぶ花(永福、20120224)



◆第180回:瀬川理恵「わくわくドキドキ・韓国研究への道」
 <ご案内> 江頭晃子(Thu, 05 Jan 2012 00:53)
 2012年が始まりました。「おめでとう」と言うのもためらってしまいますが、新しい時代に入ろうとしている過渡期だと感じます。世界の情報や知識が片手に入ってしまう時代だからこそ、溢れている情報をどう取捨選択し読み取れるかが大切で、それにはやっぱり自身の感性と足を使って事実を見聞きする体験が大切だと痛感しています。
 今年初めての定例会は、そんな勇気ある一歩を踏み出そうとしているお一人からの報告です。瀬川理恵さんは横浜市教育委員会に勤め、長年社会教育に職員として関わってこられました。2008年には東洋英和女学院大学大学院に社会人入学(この頃からTOAFAEC定例研究会にはほぼ欠かさず参加)し、昨年修士論文「女性問題学習の企画運営等に携わる女性たちの実践の考察」を書き終えられました。
 長年ハングルも勉強されていて、上記論文の中でも韓国で活躍する女性たちにもインタビューされたり、2010年7月TOAFAECメンバーの訪韓にもご一緒し、同行してくださった公州大学校のヤン先生の研究視点に刺激を受け、留学したいね、と夢のように浅野かおるさんや江頭と話していました。その夢をしっかり現実のものにし、この3月から公州大学校の博士課程に入学されます。 
 「心細くはあるのですが、韓国の状況を知りたいという思いは強く、都合よく自己啓発休業も取得できたため、この機会を逃してはいけないと自分を奮い立たせました。不安、恐れ、もありますが、とてもドキドキします。」(本人談)。
 職場や家庭をやりくりしながらも、瀬川さんが強烈に惹かれる韓国の魅力、そしてどんなことを研究されたいのかという未来への希望を聞きながら、応援隊として壮行会も開催します。寒い冬の一夜、皆様、どうぞお気軽にご参加ください。
日時:2012年1月27日(金)18:30〜20:30 
報告:瀬川理恵さん(横浜市教育委員会)
内容:韓国研究への道(仮題)
会場:東京杉並・高井戸地域区民センター第3集会室
終了後に瀬川理恵さん留学を祝う壮行会 「イーストビレッジ」20:45〜 電話:03-5346-2077
当日の事務局連絡先:遠藤090-7942-4785、山口090-1548-9595
*1月27日は15:00〜より、同センター(第4集会室)にてTOAFAEC年報編集委員会が開催されます。

★記録
   江頭晃子、Sun, 29 Jan 2012 16:18)
参加者:李正連、伊藤長和、内田純一、江頭晃子、遠藤輝喜、桑原重美、小林文人、佐治真由子、坂田宏之、真壁繁樹、山口真理子、(壮行会より)金侖貞−(敬称略)
会場:杉並区永福和泉地域区民センター 第3集会室
内容:今年初めての研究会は2月26日に韓国・公州大学校に旅たたれる瀬川理恵さんのお話。瀬川さんの修士論文は女性問題学習の企画運営に関わる女性たちのライフストーリーの分析ですが、今回は瀬川さんご自身のライフストーリー。ご自身の生まれ育った経過と社会教育や韓国との出会い、これから何を学びたいか、韓国留学を決めた出会いなどを赤裸々に語られました。
 高校卒業後に横浜市に入庁し、仕事と子育てなどをしながら、プライベートで放送大学を卒業し、横浜女性フォーラムや神奈川県国際交流協会などで活動してきました。その後、横浜市内二つの区役所の地域振興課に勤務・異動し、仕事として地域にかかわり、1年半かけて社会教育主事資格を取得。社会教育主事集団での学びあいや読書会、TOAFAEC への参加があり、もっと研究してみたいと大学院にすすまれます。韓国との出会いは2004年の韓国旅行が最初。すぐにハングルを学び始め、修士論文では韓国の女性2人にもインタビューするなど訪韓が続き、2009年7月にはTOAFAEC韓国ツアーに参加、公州大学校を訪問しました。
 今回活用された「自己啓発等休業制度」のことや、震災を通して受けた影響、職場や家庭の反応なども語られました。社会教育がないと言われる横浜市、その中で一職員・市民として社会教育施設や市民活動とどう出会い動いてきたのか。一つ一つの出会いと自分の気持を大切に動き、公私ともに生涯学習を実践・研究されてきた軌跡が見えてきました。 
 壮行会では、遅れて駆けつけれてくれた金さんとともに瀬川さんへの応援と180回を数えた定例会、3月にパパになる内田さんを祝いながら歌合戦。坂田さんの説教節の迫力に圧倒されました。最後に真理子さんの「乾杯」、「Tomorrow・♪明日を信じて−翼広げ飛んでみよう」 で幕を閉じました。
わくわくドキドキ・韓国研究への道−瀬川理恵さん(20120127)


 <韓国・公州大学院へ、昨日(27日)ありがとうございました>
                  瀬川理恵(Sun, 29 Jan 2012 01:32)
 昨日(27日)はTOAFAEC 定例会でお話しする機会を与えていただきまして、本当にありがとうございました。会場の温かい雰囲気の中、私はリラックスしてお話しすることができました。(ちょっと、リラックスしすぎてしまったと、反省もしています。)
 私が、韓国の大学院に進学できることになりましたのは、小林先生、伊藤長和先生、李正連先生をはじめ、TOAFAEC の皆さまのおかげでだと心から感謝しております。
 3月からは、韓国国立公州大学院の梁炳賛先生のもと学ぶことになります。未熟な私ですが、与えていただいたチャンスを生かし、何事も前向きに受け止め、たくさんの人々と出会いながら、過ごしていきたいと考えております。
 小林先生は昨日「今までの研究等に固執しすぎることがないように。現場で、新しいものを発見しようという柔軟な姿勢が大切。テーマは変わることもある、発展的にテーマを持っていることが重要だ。」とおっしゃってくださいました。私は、その言葉を心に刻み、新しいフィールドへ「軽率に飛んで」みたいと思います。本当にありがとうございました。
 ご迷惑でなければ、季節ごとにでも、公州から「おばさん留学生のレポート」をお送りしたいと思っております。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。…


◆第179回:「戦後多摩の公民館活動」(『多摩のあゆみ』144号特集)を読む
<ご案内> 遠藤輝喜(Mon, 5 Dec 2011 20:20)
 早や師走を迎えて、お忙しい毎日をお過ごしのことと拝察いたします。一年を振り返りますと、未曾有の東日本大震災、そして福島の原発事故、歴史上に特記される年となりました。一方で、なでしこジャパンの女子ワールドカップ初優は忘れることのできない快事でしょう。
 TOAFAEC は、今年「東アジア社会教育研究」16号を内田純一編集長の下、編み出すことができました。次号の編集も準備されつつあります。研究会は活発に例会を重ね、179回を迎えることになりました。
 今年の締めくくりの研究会は、これまで「南の風」でも紹介されてきた『多摩のあゆみ』(たましん地域文化財団発行)第144 号の発行を祝い、特集「戦後多摩の公民館活動」を読み合う集いを企画しました。日本公民館学会・事務局長の佐藤進さん、編集を担当された坂田宏之さん(たましん歴史資料室)に話題提供をいただき、下記のように開催いたします。同誌執筆8名の方々にも本案内状を差し上げ、ともに三多摩の公民館の歴史とともに未来を語りあう機会になればと考えています。
 研究会終了後には、場所を移動して、恒例の忘年会を開催いたします。皆様ふるってご参加くださいますよう、ご案内いたします。
日時:2011年12月16日(金)18:30〜20:15
内容:戦後多摩の公民館活動(たましん地域文化財団発行『多摩のあゆみ』第144号特集)を読む
話題提供:佐藤進さん(日本公民館学会事務局長)「時代背景など」
       坂田宏之さん(たましん歴史資料室)「編集を担当して」
会場:杉並区永福和泉地域区民センター 第一集会室
忘年会:「イーストビレッジ」20:45〜 電話03-5346-2077
当日連絡先:山口真理子 090-1548-9595

★記録
 (呉 世蓮、Sat, 17 Dec 2011 14:00)  南の風2788号
参加者:小林文人、王国輝(東京大学客員研究員)、山口真理子、呉世蓮、
       (忘年会より参加)真壁繁樹(敬称略)
内容:今年の最後の研究会は、これまで「南の風」でも紹介されてきた『多摩のあゆみ』(たましん地域文化財団発行)第144 号の発行を祝い、特集「戦後多摩の公民館活動」を読み合う集いでした。
 まず坂田さんから「編集を担当して」について、大きく5つのテーマのもとにお話がありました。一つ目は、公民館史の勉強前に感じていたこと。坂田さんご自身が公民館をどのように捉えてきたのかについて。二つ目は、はじめての「公民館特集」スタートまで。三多摩の公民館活動が日本の公民館史のなかで広く注目をされる地歩を築いてきたこと、とくに1960〜70年代の動きを押さえるだけでも意義があるのではないか、たくさんの執筆予定者のお名前があがったそうです。
 三つ目は、特集構想の骨子がまとまるまで。総論、主要な自治体の公民館の活動、市民との関わりを視野に、公民館の勉強会や社全協三多摩支部運営委員会などにも参加したこと。四つ目は、執筆予定者との打ち合わせ。主要な方々にお会いした経過、丹念な編集作業が印象的でした。その縁でTOAFAEC 定例会参加にもつながったのです。五つ目は編集実務上から文章の部分的割愛や写真選定などに関して。執筆者にお願いや理解をいただいたそうです。充実した経過に驚きました。
 佐藤進さんからは「戦後多摩の公民館活動」の時代背景について興味深いお話を頂きました。一つは、1960~70年代という時代状況。三多摩・東京・全国についてわかりやす年表にまとめて頂きました。二つ目は、「この特集のもつ意味」について。すべての収録報告について五つのキーワードを抽出され、それを並べると三多摩公民館について、また全国的な反響をもたらした論点がぎっしり。たとえば、公民館の世代論、職員・住民・行政・専門家のコラボレーション、自治体公民館計画、たまり場論、複合施設、公民館づくり運動、障害者青年学級など。もちろん中心的なテーマに「三多摩テーゼ」の果たした役割や課題について。
 この特集を読むと、公民館それぞれに地域の物語があり、市町村独自の公民館の歴史がみえてくること、地域の必要と実現のための住民の努力があったこと、いま『多摩のあゆみ』に公民館特集が載ったことの意味、課題として市町村公民館史はあるが、東京の「公民館史」つくりが整っていないこと、などの指摘がありました。  
 引き続き質問や議論で盛り上がりました。小林先生からの東京社会教育史研究の重要性(レジメ)についてお話を聞きたかったですが、時間ぎれ、別の機会にということになりました。研究会の最後には「2011年を忘れない!」2012カレンダーについてお話があり、私は留学生であるため、無料で頂きました。ありがとうございます。カレンダーの中の言葉は本当に心が打たれるようで、切実に伝わりました。
 2011年を忘れないという意味でも、来年へ希望をつなぐ“望年会”のために「イーストビレッジ」へ移動。真壁繁樹先生とマスターが私たちを迎え、少人数でありましたが、料理とビールは最高に美味しかったです。ビールの乾杯の回数が重なったところで、なんと12月16日は小林文人先生と奥様・冨美さんの「金婚」、50年目の記念日ということがわかりました。皆さん一丸となって「おめでとうございます!」と乾杯。今年いろいろと世話になったマスターとも乾杯。とても楽しく2011年の最後の定例会&望年会は終わりました。2012年は希望がもてる幸せなことがたくさんありますように願っております。
★「戦後多摩の公民館活動」編集を通して (坂田宏之、Sun, 18 Dec 2011 09:55)
 第179 回定例会では,『多摩のあゆみ』第144号「戦後多摩の公民館活動」の編集について話させていただき誠にありがとうございました。私公民館史に関するズブの素人が編集の中で感じた「感想」をお話しさせていただいたまででしたが、佐藤様からその舞台裏をもう少し掘り下げて伺うこと出来、大変貴重な機会となりました。その中で、やはり東京全体の公民館史が是非まとまっていってほしいと強く思いました。
 佐藤様が山崎論文のキーワードとしてあげていらした「二次会の社会教育」についても(何故一次会で出来ないのかの議論)、大石論文にある「保育室のあり方」についても(公民館の学習としての保育ではないかなど)、ぜひその「東京都の公民館史」のなかで、そこに到る議論について読んでみたいです。…(略)… 話題提供の後でいただいたコメントの中で特に興味深かったことは、まず佐藤様のご指摘。小林文人先生・進藤文夫さんの論稿の中での「東京都からは公民館に対する補助がなく冷淡」の指摘。しかし美濃部都政下の図書館振興施策の中で図書館に併設の形での公民館(集会施設)建設の動きはあったこと。国分寺市立恋ヶ窪図書館(公民館)等の例、図書館公民館併設施設に対する見方が深まりました。
 そして文人先生の「政治史的に公民館活動を見る視点があってもいいのではないか」と言うご指摘。公民館から、野沢さんは助役→市長に、徳永さん(国立)や西村さん(小平)は教育長に、進藤さんは教育次長になど、それぞれ自治体行政の施策を動かしてこられた歴史があります。
 …(略)… 小林文人先生ご夫妻の、まさに金婚のお祝いのその日の定例会に、こうしたお話を伺えたこと、そのご縁を大変嬉しく思います。これからも定例会に参加させていただいて、社会教育の生の風に感じさせてください。よろしくお願いいたします。
左・佐藤進さん、右・坂田宏之さん(西永福、20111216) 



◆第178回:小林文人「社会教育研究五十年、これまで・これから」
 <ご案内>   江頭晃子(Wed, 26 Oct 2011 20:00)
 あっという間に2011年も終わりに近づいてきました。日本の震災だけでなく、タイの洪水、トルコの地震と続き、胸が痛みます。大震災と原発事故を経験した日本だからこそ、勇気と知恵を結集して、宇宙船地球号がどこに向かうべきか、発信する必要があるように思います。
 さて、小林先生ご夫妻の喜寿のお祝い(2008年)に参加してくださった方はご記憶と思いますが、11月は小林先生夫妻の誕生月で、今年はお二人そろって80歳を迎えられます。今回、先生のご希望により、形式ばったお祝いの会は開催しませんが、いつものTOAFAEC 定例会として、ゆっくりと小林先生を囲んで50年の研究生活について語っていただいた後、これまた気心の知れたいつもの店で、ささやかなお祝い会をしたいと思います。 
 小林先生が社会教育研究の道に入られて半世紀。この間、日本社会もそして社会教育も大きく変化してきました。研究を通しての出会い、気づき、失敗・・・50年を経て見えてきたこと、そしてこれからのことなど、お話と参加者からの質問にも応える形で、ラウンドテーブルの形式ですすめたいと思っています。 
 これまでTOAFAEC 定例会に参加された方も初めての方も、どうぞお気にご参加いただき、今後も一緒にTOAFAEC 活動を支えてくださると嬉しいです。お待ちしています。
             記  
日時:2011年11月25日(金)18:30〜20:30
お話:小林文人「50年をふりかえって、これから」
会場:東京杉並区・高井戸地域区民センター・第一集会室第
終了後(20:45〜)ささやかなお祝い会:「イーストビレッジ」(03-5346-2077)
  *高井戸駅から徒歩2分。神田川傍のマンションビル(裏側)1階。 
参加予定の方はご一報ください:ringox@nifty.com(江頭)
当日連絡先:山口真理子 090-1548-9595、遠藤輝喜090-7942-4785

★記録  *江頭晃子、Sun, 27 Nov 2011 21:48) 南の風2776号

参加者:李正連、井谷泰彦、岩本陽児、上田孝典、江頭晃子、遠藤輝喜、桑原重美、小林文人、近藤恵美子、瀬川理恵、坂田宏之、佐々木一郎、朱(黒龍江省からの留学生・言語学)、染谷美智子、竹中薫、平井教子、胡興智・胡清海、舟瀬孝子、黄丹青、包聯群、真壁繁樹、山口真理子、山添路子。お祝い会から参加:小林冨美、丸浜江里子(敬称略)
お話:小林文人先生「社会教育研究五十年、これまで・これから」
 今回は文人先生の80歳のお誕生日を記念して、50年間の研究生活をふりかえっていただきました。レジュメと「著作・論文等目録・略年譜」(〜2011年)が配布されました。お話しは、1,50年の歳月、2,いくつかの水路を拓く、3,失敗?課題、と続きました。
 1では、九州・教育社会学→東京学芸大学・社会教育研究(管理職となり研究空白となった8年間のこと)→沖縄研究→和光大学→東アジア研究→退職後10年の研究の歩みなど概略のお話。退職後も研究は継続し6冊の本(上海・ソウルを含む)が出版されたなど(目録)。
 2では、5テーマについて。@研究の柱になってきた公民館研究。三多摩のテーゼづくり、『公民館史資料集成』、第五世代の公民館論、そして公民館学会創設など。A沖縄研究。史料の共有化を軸とした戦後史研究、集落づくり・字公民館研究など。B大都市社会教育研究と東京研究の重要性。C社会教育『ハンドブック』編集。資料・交流・共有への思い。そして、D東アジア社会教育研究。韓国・中国・東アジア交流委員会への広がりについて。TOAFAEC 年報『東アジア社会教育研究』も大きな蓄積となってきたこと。
 3は、時間切れのため詳細は省かれましたが、公民館の条件整備論から脱すること、自治公民館の復権、上海での合作学院づくりの失敗などなど、これからの課題を含めて話されました。参加者からの質問・意見交換では、歴史的にみて地域の社会教育や市民の力の拡がりをどうみるか、公民館の今後、社会教育の目指す方向性、これからの10年は?など、多様な立場の参加者がいるからこその議論になりました。
 その後、イーストビレッジに場所を移して小林冨美さんも加わり、賑やかに傘寿お祝い会。加えての乾杯。徳永功さんの新著出版(エイデル研究所)、「多摩のあゆみ」の公民館特集、平井教子さんの館長就任、包聯群さんの帰国お祝いなどなど、話題は尽きず。山口真理子さんの「乾杯」で終了しました (でも続編があったようです)。
第178回研究会(高井戸、20111125) 関連写真(11月25日記録)→■


★平井教子<研究会と小林先生・富美さんの80歳を祝う会>(26 Nov 2011 18:40)南の風2775号
   *鶴ヶ島市富士見公民館(館長)
  皆様、昨日(25日)は楽しい会に久々に参加させていただきありがとうございます。
 先生から学んだものは数々ありますが,「資料・交流・共有への思い」というのは、どの世界にも通用する考え方だと改めて思いました。私も得た良い情報を職場で共有する習慣が身についていたのは、そのような教えが背景にあったのだと改めて思いました。また、昨日の「条件整備論を脱する」という視点は、以前、視察に行ったある公民館で「今の館にこだわらず拠点を変えてもよい」というお話を伺ったことがありましたが、そのような模索が個々には始まっているのかもしれませんね。
 今の立場からいえば、行政が条件整備した「館」に入っているわけですが、地域の人たちが集まってこれる「館」があることは非常に大事で、昨日のお話にもあったように、行政の人間がいるというのは地域の方からも、NPOなどの新しい動きをされている方からも、一定の信頼があります。
 その信頼を大切にし、さらにいろいろな規制を市民の目線で取り払い、「館」の使い方を考え直してみることが大事かなと思っています。もう守るという視点だけでは難しいというのが実感です。
 それにしても、祝う会もとても楽しく、富美さんにも久しぶりにお目にかかれて嬉しかったです。そのほかお初にお目にかかった方や新しいニュースなども聞けて、早く失礼するはずが、ついつい長居をしてしまいました。ありがとうございました。
★<11月研究会の夜>(ぶんじん日誌)南の風2775号
 11月25日夜のTOAFAEC 研究会は多数のご参加、皆様お疲れさまでした。また、それに続く私たちへのお祝い会、まことに有り難うございました。お花やシャンパン・ワインなどをいただき、あらためて御礼申しあげます。皆さんが帰ったあと、立ち去りがたい面々6〜7人はさらに乾杯を続け、お店にも迷惑をかけました。帰宅して時計をみたら、最終電車に間に合わなかった人もいたのではないか、と心配になったほど。思い出にのこる夜となりました。
 ぶんじんの短い報告タイトルは「社会教育研究五十年、これまで・これから」。すべてをお話しできませんでしたが、取り組んできた仕事のなかから五つのテーマを。公民館研究、沖縄研究、大都市社会教育、ハンドブック編集、そして東アジア交流。いつものように終わりは脱兎の如き幕切れ。時間が足りないことは想定していましたから、レジメには「これから」の課題を寸言風に書いておいたつもり。たとえば、大都市研究のところでは、「とくに東京の社会教育をどう再生していくか」など。しかし当方の言葉は、所詮“年寄りの冷や水”です。若い世代への期待大です。動きがあれば“枯れ木も山の賑わい”の喩え、ぶんじんも積極的に参加したいけれど。
 当夜はエイデル研究所・山添路子さんから、徳永功さん(もと国立市公民館長・教育長)の新著(『個の自立と地域の民主主義をめざして−徳永功の社会教育』)が25日付で刊行された、とのご紹介がありました。公民館「三階建論」や「三多摩テーゼ」等を世に出した当事者の証言を含む待望の書。楽しみです。


◆第177回:福建省訪日団を迎えて 
 <ご案内>黄丹青(Sat, 8 Oct 2011 11:08)
 夏の喧騒が遠ざかり、金木犀の甘い香りが辺りに漂う季節となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
 さて、福建省生涯教育訪問団がいよいよ20日に来日されます。
 TOAFAEC 第177回研究会として「福建の風と触れ合う」集いを企画し、歓迎交流会を下記の通り開催するはこびとなりました。
 TOAFAEC と福建とのかかわりは、今世紀初頭に始まります。福建省出身で中央大学大学院生の白メイさんによる生涯教育関連のレポートや、福建資料翻訳をTOAFAEC 年報が数度(2004〜2005年)掲載するとともに、2005年に福建省で成立した中国初の生涯教育促進条例もいち早く翻訳し日本に紹介しました。TOAFAEC の積極的な活動への評価があり、小林文人先生が「福建省全民終身教育促進会」発行の機関紙『終身教育』の学術顧問となり、先生の写真と紹介が中英二ヶ国語で表紙の2面を飾ったこともありました。
 日本と福建の人的交流を一層盛んにしたきっかけは、昨年11月・上海で開催された「学習社会創造」の中日韓三国フォーラムでした。福建の躍動感あふれる実践報告とともに、中日ハングル三国語を操る福建師範大学福清分校の李闘石氏が参加者の注目を集めました。そこでの新しい出会いから、その後の福清での生涯教育センターの設立や生涯教育学科設立の動きについての意見交換、福建『終身教育』での東日本大震災・社会教育関連レポートの掲載、TOAFAEC年報『東アジア社会教育研究』16号も福建「生涯教育の現状と課題」を掲載することにつながり、さらに今回の訪日へという経過になりました。
 訪問団メンバーにとっては、ほとんどの方が初めての日本です。研究会としては、TOAFAEC がいつも交流・活動している場所で、心のこもった歓迎会としましょう。長年にわたって中国との交流に携わってきた方々、これから参加してみようと思う方々、新しい風を生み出し、それに触れてみませんか。ふるってご参加ください。
日時:2011年10月21日(金)18:30〜21:00
内容:福建省訪日団を囲む(歓迎会)*要会費
会場:杉並区高井戸「イーストビレッジ」(03-5346-2077)
当日連絡先:山口真理子090-1548-9595、遠藤輝喜090-7942-4785
★記録 (黄丹青、Tue, 25 Oct 2011 01:58) 南の風2757号
参加者・内容:
 10月21日の朝、遼寧師範大学副教授で東京大学客員研究員として来日中の王国輝氏、筑波大学大学院の呉迪さん、東京大学大学院の侯さん、宇都宮の交換留学生の張治科さん、さらに訪問団の黄碧昇氏の娘さん(前日に北海道から駆けつけた)黄侃さんも参加。一緒に東京都庁、杉並区社会教育センター・セシオン、国立市公民館を見学しました。
 日本側の紹介・説明の中で特に興味を持たれたことの一つに財政問題がありました。事業に自治体の予算がつくのか、講座の申し込みに費用が必要なのか、それぞれどのぐらいなのかと盛んに質問が出ました。施設見学の際には、このような社会教育施設がまだ福建にはないとその差異を口にしながらも、両国の共通した課題として、青年のキャリア学習のこと、職業高校を回避する傾向や学校卒業後の未就業問題が話題となりました。それとともに両国が共通して直面する地域分権、また社会教育への市場化の浸透などの問題、あるいは逆に学校形式をとりがちな中国と異なる学習スタイルの様子が皆さんに大きな刺激になったようです。
 午後は、杉並セシオン(大型施設)とは違って小規模の国立市公民館(なかみはぎっしりつまった施設)の見学。興味深い市民交流ロビーや青年室の障害者への取り組み、公民館の職員(社会教育主事の配置)体制と公民館の“無料の原則”などに関心が寄せられました。
 <TOAFAEC による歓迎会(第177回定例研究会) 
       *関連記事・写真→南の風2755号(10月23日)ぶんじん日誌東京訪問の1日」→■
 夜はイーストビレッジでの歓迎会です。仕事や授業で昼間に出席できなかった方々が続々来場しました。東京大学の李正連さん、大学院の馬麗華さん、丁健さん、早稲田大学・院の呉世蓮さん、TOAFAEC 会計の山口真理子さん、事務局長・遠藤輝喜さん、横浜市教育委員会の瀬川理恵さん、立川市民交流大学の真壁繁樹さん(元校長)、カメラマンの桑原重美さんなど。店内がたちまちいっぱいになり、熱気に包まれました。
ビールで乾杯が続く合間に、参会者が自己紹介し、生涯教育や三国交流への思いなどを語りました。
 いよいよ言葉が物足らなくなる時には歌が響き出します。今回最初に歌い出したのは、福建省泉州の謝和基氏でした。柔和な福建南部の方言が水田にひろがる午後の日差しを連想させます。韓国からは呉世蓮さんのリズミカルで快活な韓国民謡、李正連さんと小林先生の初めての「友よ」合唱。中国の歌に戻り、小林先生の音頭で「大海、故郷」「松花江上」へと続きました。最初は戸惑っていた中国のお客さんもやがて加わり、さらに林健民氏が外国暮らしの慰めにと方言で「遊子」を歌い上げ、美声でみんなを驚かせました。中日両国語で「白樺、青空」の大合唱も。
 最後は気持ちのこもった山口真理子さんの「切手のないおくりもの」、「赤とんぼ」そして「TOMORROW」絶唱となりました。
 今回の交流で改めて感じたのは若い留学生の力でした。その橋渡し役がいなければ交流が成り立ちませんでしたし、何よりも将来への希望であります。皆さん、ありがとうございました。

福建訪問団・東京都庁訪問(20111021)  左より:林健民(福建)、黄丹青、李斗石(福建)、梶野光信(東京都)、小林
文人、裴暁敏((福建)・団長)、上田孝典、謝和基(福建)、李建南(福建)、黄碧升(福建)、王国輝(遼寧)、の皆さん




◆第176回:第16号合評とお祝い会
 <ご案内> 
山口真理子(Sun, 4 Sep 2011 04:25)
 暴風・大雨をともなった台風12号は、まだのろのろと日本列島を進んでいるようです。各地にお住まいの皆さま、被害のないことを祈っています。
 さて、TOAFAEC(東京・沖縄・東アジア社会教育研究会)発足の翌年・1996年に創刊し、以来毎年刊行してきました年報『東アジア社会教育研究』は、今年めでたく第16号を世に送り出すこととなりました。
 毎年、年明け頃から編集会議を始めて、夏の真っ盛りの日々、校正など最後の追い込み作業に汗を流します(今年の夏も暑かった!)。今号からは編集体制が充実し、内田編集長の下に、副編集長,編集幹事を設けて、いわば集団的な編集を進めてまいりました。
 こうして出来上がる16号。江頭・副編集長によれば「上野さんの巻頭言、特集の総論・各論文、CLCの対談、中国・韓国からの論文・報告、パレスチナの文化活動、やんばる対談など、今号も大変内容の充実した読み応えあるものです」。その誕生(9月18日・発行予定)を賑やかにお祝いしたいと思います。
 執筆者の皆さま,読者の皆さま,これから読者になられる皆さま、お持ちの方は16号を手に、お持ちでない方もご遠慮なく、どうぞ奮ってご参加ください。(当日はもちろん16号を用意します。)
 なお、9月16日(金)日本社会教育学会初日の後にも、「東アジア研究交流委員会」による合評会が予定されています(風2725号に案内)。こちらにも、どうぞご参加ください。
            記
日時:2011年9月30日(金) 18:30〜20:30
内容:『東アジア社会教育研究』第16号刊行のお祝い・合評会
話題提供:上野景三さん(佐賀大学教授、16号「巻頭言」執筆)-予定
会場:杉並区高井戸地域区民センター 第4集会室
     (〒168-0072 杉並区高井戸東3-7-5 03-3331-7841)
*京王井の頭線「高井戸」下車、会場は現在工事中のため、入り口が異なります。
 駅改札を出て歩道橋を渡り、環八に添って高井戸センター方向へ歩き、1本目の道路の
 手前がセンター入り口です。
研究会終了後、刊行祝い懇親会:「イーストビレッジ」(03-5346-2077)
当日連絡先:山口真理子 090-1548-9595
 *ちょっと一言:発行日は毎年決まっておりまして、9月18日です。昨年の15号は1か月遅れの発行でしたが、それでも発行日は9月18日。十五年戦争(満州事変)の始まりとなった柳条溝事件の日・1931年9月18日、いわゆる「九・一八」(チューイーパー)を意識しての日付です。

★記録 (呉世蓮、Sat, 1 Oct 2011 10:14)
参加者:井谷泰彦、上野景三、江頭晃子、小田切督剛、呉世蓮、小林文人、坂田宏之
      (たましん地域文化財団)、山口真理子。(懇親会から参加)遠藤輝喜(敬称略)
内容:『東アジア社会教育研究』第16号刊行のお祝い・合評会が開かれました。16号の「巻頭言」を執筆された佐賀大学の上野景三先生が九州からはるばる上京され、話題提供して頂きました。「巻頭言」に基づき、「グローバル化とユニバーサル化の中での社会教育―“新しい地平”は見えたのか―」について、詳細な解説や今後の課題について話されました。特に社会教育研究の理論的課題として、概念・法制・施設・専門職員・自治体と住民自治、の五つの課題が取り上げれれていますが、さらに労働、福祉、関連領域との線引き、学習主体論、成人基礎教育論から捉えていく必要の指摘、「新しい地平」の次にくるものは何かなど。
 第16号副編集長の江頭さんからは、次の第17号に向けて「これから東アジアを前提にテーマをもっていくかどうか。」という問題を出さました。参加された方々からも関連して様々なご意見がありました。
 小田切さんからは、識字問題から東アジアにおける共通の課題がみえてきたというコメントとともに、ハングルを日本語訳にする際の難しさやアドバイスを頂きました。今回初めて参加された、たましん地域文化財団の坂田さんからは、『多摩のあゆみ』は地域史をまとめ発信しているが、『東アジア社会教育研究』ときっとどこかでつながっていくのではないかのコメント。山口さんからは現在、韓国の大学から『東アジア社会教育研究』第16号への注文があったという嬉しいニュース。
 この研究会の大きなテーマである沖縄について、井谷さんや小林先生からのコメント。1972年・復帰から来年で40年。『東アジア社会教育研究』としてどう取り組めるか、などについてのお話でした。
 会の最後は、第17号の編集体制について。高知の内田先生が来年夏の全国集会を担当されることになり、上野先生に編集長をお願いしようとの提案(上野先生は快諾!)をはじめ、これからの編集委員会に関する全体的なお話など。そして第16号刊行のお祝い&第17号の編集長になられた上野景三先生を囲む会(イーストビレッジ)へ移動しました。
 懇親会は、上野景三先生へのお祝いの乾杯から始まりました。上野先生の大学院時代の想い出話などで、とても盛り上がりました。現在、社会教育研究に携わっていらっしゃる研究者たちは、小林文人先生の授業を受けた方が多いこと、小林ゼミがよく行った国立の「うなちゃん」のことなど、普段なかなか聞けない貴重なお話を聞くことが出来ました。懇親会の最後には、山口さんの「グラスをあわせ〜」の素敵な歌声もきけてとても幸せな気分になりました。
 今回、第16号の翻訳(金南宣先生担当)を初めてさせて頂きましたが、私にとっては貴重な経験、大変勉強になりました。小林先生をはじめ、TOAFAEC の皆様のおかげだと思います。心から感謝の気持ちを申し上げたいです。今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。
報告・上野景三さん(高井戸、20110930)   *懇親会写真→■



◆第175回梁炳賛先生・崔一先先生を囲む会
         
李正連(Tue, 26 Jul 2011 15:16)
 <ご案内> 猛暑が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。日本の夏は韓国に比べると、湿気が多く暑く感じるのですが、一年中で最も暑い8月に、韓国・公州大学の梁炳賛(ヤンビョンチャン)先生が日本の「学校と地域社会との連携活動」の調査のため、来日されます。
 8月18日〜26日までの東京滞在中は、「風の部屋」にお泊まりになり、その後27日からは社全協・全国集会(静岡)に参加される予定です。
 梁炳賛先生は、昨年10月に韓国で出版された『日本の社会教育・生涯学習』(学志社)の編者でもあり、ここ10年くらい日韓社会教育交流において最もご尽力いただいた方でもあります。
 そして今年は、韓国平生教育学会内に「東アジア平生教育研究会」を立ち上げ、これまであまりアジアには目を向けてこなかった韓国の社会教育学界に新しい風を吹き込んでいらっしゃいます。
 日韓の研究交流、さらには東アジア社会教育交流における韓国側のキーパーソン・梁炳賛先生の来日を歓迎するとともに、韓国平生教育の最近の動向についてもご紹介いただく「梁炳賛先生を囲む会」を下記のように開きたいと思います。多くの方々のご参加をお待ちしております。
*追記:ヤン先生の来日調査に同道して、崔一先チェ・イルソン先生(慶熙大学)も来日されるそうです。
            記
日時:8月18日(木)18:30〜20:00(囲む会)、20:10〜(歓迎会)
内容:ヤンビョンチャン先生(公州大学教授)・チェ・イルソン先生(慶熙大学准教授)を囲んで
会場:東京(杉並区)高井戸地域区民センタ−・第三集会室。
    〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5TEL 03−3331−7841
 *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分。会場は現在工事中、入り口が今までとは異なります。
   高井戸駅改札を出て歩道橋を渡り、環八を高井戸センター方向へ少し歩いて右へ入る。
歓迎会:(囲む会終了後)「イーストビレッジ」 03-5346-2077 
連絡先:事務局・遠藤輝喜 携帯090−7942−4785

★記録
         瀬川理恵(Sat, 20 Aug 2011 17:02)
参加者:李正連、伊藤長和、岩本陽児、上田幸典、呉世蓮、川野佐一郎、金槿泰、小林文人、
  瀬川理恵、谷和明、山口真理子 (交流会から参加)遠藤輝喜、吉田照子(敬称略)
内容:韓国・公州大学の梁炳賛(ヤンビョンチャン)先生と、慶熙大学の崔一先(チェイルソン)先生が来日され、お二人を囲んでの研究会となりました。崔先生は高齢者教育がご専門で、韓国平生教育振興院などを経た後、現在、慶熙大学で平生教育の体制等についてご研究なさっています。梁先生はTOAFAEC年報にも論文をお書きになっており、昨年10月に韓国で出版された『日本の社会教育・生涯学習』の編者でいらっしゃいます。この本は現在、初版がほぼ完売し、第2版を作成中とのこと。韓国では、日本における社会教育の実践の記録を知る貴重な資料となっており、特に現場の人々に、大変好評を得ているとのことでした。
 また韓国平生教育学会内の研究会として、お二人が中心となり5月8日に発足した「東アジア平生教育研究会」(会長:ソウル大学校・カンデジュ先生 会員15名)は、学会内4つの研究会の中で最も活発に活動しており、前出の本を使った勉強会も開かれるとのことでした。会の後半は社会教育・平生学習システムにおける行政と市民との関係について熱い意見交換が続き、そのまま楽しい歓迎会へ移動しました。
 歓迎・交流会は、韓国のお二人の先生を囲んでビールでの乾杯!そして、8月20日早朝に中国烟台へお戻りになる伊藤長和さんの健康とご活躍のために乾杯!本日の素晴らしい通訳者である呉世蓮さんを慰労して乾杯!TOAFAEC 年報発行にあたって多くの働きをしてくださっている山口真理子さんへ乾杯!本日が命日である故金大中氏に献杯。イーストビレッジのマスターとマダムに乾杯!遅れて到着したTOAFAEC 事務局長の遠藤さんと東京二三区支部の吉田照子さんにも乾杯!しました。
 また谷先生からは薬草入りのウオッカの差し入れ、韓国の両先生からはジンロ(焼酎)古酒をいただきました。どちらも深い味わいがたまらない〜。多くの乾杯、歌、笑顔、会話で満たされた交流会。韓国の若いお二人(呉さん、金さん)がさらに活気づけてくれました。
 私は韓国において、日本の社会教育・生涯学習の実践に対する関心が高いということを今回の定例会で改めて知ることができました。「両国ともに、実践の現場は悩みを抱えている。日韓の実践家たちが互いに学びあい、結びつき、歴史を感じていくことは非常に意味があることだ。」とおっしゃったヤン先生の言葉が印象的で、実践者として非常に身が引き締まる思いでした。交流会では新しい出発をしようとする私へ、皆様から暖かい応援をいただきました。出発の決意ができたのも小林先生をはじめ、TOAFEC の皆様のおかげだと心から感謝しています。今後ともよろしくお願いいたします。
★鳳仙花の歌  小林ぶんじん(南の風2715号)
 残暑の東京へ、韓国から二人の学者の来訪。歓迎の研究会(18日)はお互いの心が通い合って、いい会となりました。公州大学ヤンビョンチャン(梁炳賛)・慶熙大学チェイルソン(崔一先)の両先生。韓国・学会等の話も聞き、若干の論議もして、余韻を残しつつ、歓迎の夕食会へ。夜おそくまで宴は続きました。
 両国の友人たちが集いあうと、いまや定番となった日本「友よ」、韓国「朝の露(アチミスル)」の合唱交歓から始まり、約15人の参会者がみな歌いました。締めの歌は、もちろん山口真理子さんの「乾杯」そして「百万本のバラ」。
 チェイルソンさんの「珍島アリラン」も名調子でしたが、この夜あらためての発見は、瀬川理恵さん(横浜市教委)の美声。「鳳仙花」の歌を日本語訳詩でなく、原詩で三番までの熱唱。「鳳仙花」には忘れない想い出あり(いつぞや「風」に書いた?)、韓国研究の道を志している瀬川さんに「いちど歌ってください」とリクェストしていたもの。久しぶりの♪ウルミッテソン・ポンスンアヤ〜♪ 有り難うございました。
 お返しに沖縄民謡「てぃんさぐぬ花」(鳳仙花)を歌うのが、過ぎし日の(研究室の)慣わしでしたが、この夜はすでに時間なく…。散会したのは23時をまわっていたような。その後、岩本陽児さんから深夜のメイル来信。23日朝、韓国からのお二人を築地魚市場へ案内して寿司を食べようとの企画が進行中。


ヤンビョンチャン、チェイルソン両先生を囲んで (高井戸、20110818)

*歓迎会「珍道アリラン」チェイルソンさんの名調子(南の風2714号)
→■


◆第174回
江頭晃子報告「原発をめぐる市民団体の動き」
                        

             (山口真理子、Wed, 6 Jul 2011 07:52)
 <TOAFAEC 7月定例研究会ご案内−原発をめぐる市民団体の動き−
 沖縄は梅雨が明けていましたが、東京はまだすっきりしないお天気が続いています。各地にも局所豪雨や被害が伝えられ、また松本や和歌山では大きな地震、皆様のまわりに被害のないことを祈っています。
 福島原発事故問題も未だ先が見えない状況にあります。「南の風」でも原発問題についてたくさんの方がアピールを寄せてこられました。最新号(2684)の丸浜さん「九州電力玄海原発再開を止めるために」はもうお読みになられたことと思います。大震災以前にも、小峯みずきさんが風2572号(2011.1.14)で映画「ミツバチの羽音と地球の回転」−中国電力・上関原発に反対し続けてきた祝島島民のドキュメント−を紹介され、フクシマ原発事故直後には江頭晃子さんが風2612号(2011.3.16)でいちはやく「放射能対策」を出されました。
 第174 回研究会は、その江頭さんのお話です。現在だけでなく、未来にも(10万年後までも!?―映画「100000年後の安全」)憂うべき影響を与えてしまう原発事故、たいへんな時代がやってきたと思います。原発問題にどう対応していくか、とくに市民団体の新しい動きを通して、江頭さんのご報告をお伺いします。多くの方々のご参加をお待ちしています。
 なお、今回の会場はいつもの高井戸地域センターではありませんので、ご注意ください。
1 日時:2011年7月24日(金)18:30〜20:45
2 内容:原発をめぐる市民団体の動き
3 お話:江頭晃子さん(市民活動サポートセンター・アンティ多摩)
4 会場:永福和泉地域区民センター 第二和室
5 会の終了後:駅近くで交流会を予定しています
6 連絡先:山口真理子 携帯090-1548-9595

★記録
 
岩本陽児(Sat, 23 Jul 2011 18:46)
参加者:李正連、伊藤長和、岩本陽児、内田純一、江頭晃子、桑原重美、小林文人、小峯みずき、佐々木一郎、瀬川理恵、沼尻(和光大学生)、真壁繁樹、山口真理子(13名)、丸浜江里子(二次会)
会場:杉並区永福和泉区民センター
内容:涼しい一日でした。午後から「風の部屋」で行われた『東アジア社会教育研究』第16号編集会議につづき、永福和泉区民センターを会場とした研究会には13名もの参加があって盛会でした。
 今回報告の江頭さんは、1995年の「市民活動サービスコーナー」以来、市民活動の情報に接する仕事をしていく中で、時にマスコミ情報に対する違和感を覚えてきました。今回の報告では、4枚8ページに及ぶ資料を用意して、3・11直後から市民団体がどのような情報を発信し、どのような行動を起こしてきたのかを詳細に紹介しました。
 政府・東電が「直ちに健康への影響はない」と繰り返していた頃からすでに、たんぽぽ舎、フォトジャーナリストの森住卓氏、原子力資料情報室は的確な警告を発していました。郡山市長の意見表明を受けて緊急署名に取り組んだ古荘斗糸子氏の「福島原発の廃炉を求める有志の会」の署名提出には、江頭さん自身も立会いました。廃炉の決定など、政策変更に伴い、東電も内閣府も回を重ねるごとに態度を軟化させています。
 4月19日に文科省が、福島県の学校で年間20ミリシーベルトまでの被曝を許容した問題では、役人が18歳未満の労働が労基法で禁止されている「放射線管理区域」について無知で、「子どもの健康も大事だけれども、勉学も大事です」との、とんちんかん発言も。5月23日の650人参加の文科省交渉で、20ミリシーベルトの安全基準は撤回され、「1ミリシーベルトを目指す」ことになりましたが、国がきちんと動いてくれないと、自治体が独自に始めた除染などの活動が制約されてしまいます。福島県が長崎大学の御用学者を動員して心配ありませんキャンペーンをはじめたこと、御用学者をやめさせる運動も始まっています。
 江頭さんが市民活動の力のすごさを実感したのは、ついに浜岡を止めさせたこと。政府・企業にはバックがあり、「これはいえない」ことがある。いかに一人ひとりがお上意識を脱せるかが重要。ただし、マスコミの影響力は大きく、子どもの通う学校に「野球部の練習をやめましょう」といっても伝わらない、溝を埋められないもどかしさも感じています。自治体も、さっと学習会や支援コンサートができるところと、そうでないところがあり、差が大きいと。
 質疑の時間には、資源大国でありながら風力・太陽光発電に力を入れている中国の事例や、海の汚染が次第に大きな魚に及んでいく問題(今年の戻り鰹はもうだめだろう=高知新聞=)、訴訟に関する日弁連の動向、原発自治体の補助金などが話題になりました。30年以上も前に小林先生が関西電力による原発地域社会の社会調査を九州大学の某氏から勧められて、お断りしたエピソードにはびっくり。いわゆる「原子力ムラ」以外にも、原発推進に加担した研究者は意外に多そう。革新自治体だった川崎市の幹部職員も原発見学の大名旅行に招待されたといいます。江頭さんによれば、事故後さっと配布された厚労省の原発安全ちらしが、却って親の不安を招いたとも。
 二次会は永福駅前の中華料理店「綺紗羅」にて。瀬川さんからご自身の将来構想に関し重要なアナウンスあり。公州大学校ヤンビョンチョン先生の来日が来月予定されています。小峯さん歌う「アチミスル」、急逝して2年になる石倉さんを偲ぶ声あり。丸浜さんも駆けつけれくれて、会は大いに盛り上がりました。次回は、8月18日(木)夜、ヤンビョンチョン先生を囲む予定です。

右・江頭晃子さん(永福、20110722)



◆第173回:伊藤長和「烟台生活から見えてきたもの」
             金侖貞、Mon, 13 Jun 2011 21:32
 <ご案内> 梅雨の季節ですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。6月となり、今年も半分が過ぎようとしています。
 今回6月のTOAFAEC 研究会は、中国烟台から戻られる伊藤長和先生を迎えて、烟台のことや中国の大学・学生たちについてお話を伺い、研究会の後は歓迎会「伊藤先生を囲む会」も予定しています。
 「南の風」の<烟台の風>でも知られている伊藤先生、烟台のお話を伺いますが、中国の学生たちとの交流だけでなく、また日韓交流だけでもなく、11月の日韓中三国シンポジウムにも参加され、東アジアにおける交流を大事にしてきたお立場から、今後の東アジア社会教育交流についてもお話をお聞きしたいものです。
 会場はいつもの高井戸地域区民センターですが、工事中のため、入口が変わっているとのことなので、お気をつけて下さい。多くの方々のご参加を心よりお待ちしています。
日時:2011年6月24日(金)18時半から20時半まで
内容:「烟台生活から見えてきたもの」
お話:伊藤長和氏(中国・山東工商学院外国語学部)
会場:高井戸地域区民センター・第一集会室
*研究会のあと、歓迎会「伊藤先生を囲む会」。場所「イーストビレッジ」 03-5346-2077 。
*参考までに、会場は現在工事中、入り口が今までとは異なります。ご注意ください。高井戸駅改札をでて、歩道橋をわたって、環八を高井戸センター方向へ歩いていただいて、一本目の道路の手前がセンター入り口となります。(TOAFAEC事務局コーナー・風2670号)。

★記録 (金侖貞、Sun, 26 Jun 2011 19:51)

参加者(敬称略):小林文人、伊藤長和、山口真理子、江頭晃子、呉世蓮、金侖貞、瀬川理恵、
 小田切督剛、王麗(横浜市立大学国際総合学部)、劉暁宇(東京福祉大学日本語別科)、
 岩本陽児、中村高明(幸市民館館長)
内容
 伊藤先生の中国生活も3年目となります。どのように中国をみているのか、中国からは日本をどうみているのか、お話は、まず、学校や中国の3年間の生活から自分はどう変わったのかから始まります。
○烟台の大学、住居など
 昨年から赴任している山東工商学院は、学生2万人、教員1,600人14学部を持つ学校である。最初は「石炭経済大学」だったが、エネルギー政策の変化を背景に、総合大学になって国立大学「山東工商学院」、歴史25年の新しい大学である。中国全国から学生が来ている。大学では9月に入学式があり、すぐ2週間の軍事訓練をうけ、集団生活のルールを身につけさせている。
 はじめに赴任した烟台の日本語学校(2009年4月3日)、いま中国生活は3年目(山東工商学院は2010年9月〜)となるが、最初は生活に対する戸惑いを感じながらも、豊かな好奇心であっちこっち回っていた。それが2年目になると、自分なりの楽しみを発見した。烟台には3つの大学で3人ずつ(補助金の関係で各3人)日本人教師がいて全部で9人であるが、集まりがなかったことから、烟台日本人教師の会を作った。3年目になると、その日その日を楽しむようになった。
 住まいは、1年目からは市中のマンションに住み日常の中国人の生活に接することができた。今は大学の教員宿舎に入り、演劇や音楽会などのイベントにも出て大学の学生の生活が分かるようになった。
○学生たち、日本への関心
 学生たちの寮は6人が一部屋。部屋にはテレビはなく、みんなパソコンを用いてネットで情報を取り入れている。暗記学習が主流な中国だが、2年生でも日本語を流ちょうに話し、日本語検定試験や日本語能力試験などを受けるための努力をしている。
 学生たちが、日本のどういうところに興味をもっているか。3年生の作文授業で「私の好きな日本・私の嫌いな日本」を書いてもらった。アニメやドラマ、ゲーム、日本料理が好きである半面、男女不平等、残業から自然災害や原発事故までを日本が嫌いな理由に挙げていて、現在の日本の状況が反映されている。このような好き嫌いは、日本には来たことのない学生たちが、ネットなどで見聞きしたことを書いているようだ。資料にある3年生の作文「大事なことを教えてくれた日本人」(略)も同じで、彼女はネットから情報を集め作文した。
 現在日本語学科の1年から3年生の会話と作文の8クラスを受け持っている。4年生81人の卒業論文の内容をみると、日本語学科であるにもかかわらず、意外に日本語や日本文学よりも産業経済(26人、32%),現代文化(8人)、精神文化(8人)、日本社会(7人)について書いている。

 学校や学生たちに関する説明をした後、中国人の二面性と中国社会の二面性について話をして下さいました。いつもバスでは席を譲ってくれるにも関わらず、列に横入りするとか、綺麗に清掃活動をしていた若者が、すぐポイ捨てをするとか、教師の日の記念品や中秋節にもらう月餠の箱は大きいのに中身は小さいとか、今までは男の子が結婚するのに家や車が必要だったけど、愛さえあれば何もいらないという結婚を選ぶ「裸婚」がみられるなど。
 今後の中国社会の課題としては、「役人あって公務員なし」「国民あって市民なし」の指摘とともに、内陸部と臨海部や農村と都市との格差問題も取り上げ、その一例として、烟台では住民の主体的な文化、青少年の活動はあっても、行政の社会教育は皆無で、住民260万人に図書館は1館しかないという社会教育の現状なども。
 最後に、離れている奥様が「南の風」を読んでいて、「烟台の風」のお陰で奥様が安心し、先生自身も元気をもらうと話されました。
○質疑いろいろ
 参加者から「儒教思想が中日韓それぞれ違うのはどうしてか?」という質問を皮切りに、日本は宗教の生活規範と道徳的なところになったけど、中国では道教、仏教のお寺は現世ご利益を求め大盛況で、日本の行事宗教とは違うことが指摘されました。また、「2年間いて中国から得たものは何か?」について、中国は巨大な生き物で、間口が広くて奥が深く、一口では語れないこと。中国での食事について、学食・自炊・外食をしていて、大学内に4つある学食は 5、6元で食べられ、安くて不味く、外食の場合は種類が豊富で安くて美味く汚いレストランから、高くておいしくなくて綺麗なレストランなど、興味深いお話でした。
 この間、俳句を詠んでいること(俳句で心のバランスをとっている)、俳句を披露。中国を出発した23日の朝は雨だったらしく「夏休み別れの朝は涙雨」と詠んで下さいました。
 2人来ていた中国人の留学生は先生の教え子で、それぞれ感想も話してくれました。23日中国を出発するときに、空港まで見送りにきて涙を流した学生がいたらしく、研究会のときに回された写真のほとんどは学生と一緒に撮った写真でした。勉強熱心で「情」のある中国人学生たちとの交流が、烟台での生活の大きな元気のもととなっていると分かりました。昔から中国に関心をもっていらしただけに、暮らしてみると違うところも出てくること、3年間の中国生活を通して中国という国、社会が見えてきていらっしゃるのかと思いました。中国にいらっしゃることは、私たちにとってみると寂しいことですが、久しぶりの「伊藤節」に充実した時間でした。
 日本と韓国、中国をみてきた文人先生とともに、東アジア交流に尽力してきた伊藤先生の「第二ステージ」が垣間見られた研究会でした。
伊藤長和さん(左端)を囲む(イーストビレッジ、20110624)



◆第172回
東アジア研究・交流の新しい地平
               江頭晃子 (Tue, 03 May 2011 00:03)
 
<第172回TOAFAEC(定例・5月)研究会ご案内>
 福島原発から目が話せない状況が未だ続いています。18年前、浜岡原発で働いて白血病で亡くなった嶋橋さん(29歳)は、8年間で50ミリシーベルトの被爆(労災認定)。子どもが年間20ミリシーベルトなんて恐ろしい話です。20ミリシーベルト撤回のための文部科学省交渉に行ってきましたが、文科省は「勉学も大事」とのこと。命より勉学が優先されるようで、市民からは悲鳴とため息。。。
 さて、「東アジア社会教育研究」16号の構成案もほぼ確定し、投稿論文も出揃いました。次回・定例研究会では、同特集「東アジア社会教育における研究と交流の新しい地平」“総論”について議論しあいます。
 @1990年代から胎動する日中韓の研究交流について振りかえり、
 A各国それぞれの独自性と「東アジア」間の共感のなかから生まれてきた共通視点や特徴をみながら、
 Bこれからの新しい課題や展望について語りあいたいと思います。
 各国からの留学生をはじめ、初めての方の参加も歓迎です。また研究会終了後は、80年代からの日韓交流の草分け的存在であり、筑波大学に在外研究中の魯在化さんの歓迎会も予定しています。ぜひご参加下さい。
日時:2011年5月20日(金曜日)18:30〜21:00 
話題提起:李正連さん(東京大学・韓国)、上田孝典さん(筑波大学・中国研究)、小林文人さん
会場:(東京・杉並)区立永福和泉地域区民センター第一集会室
     杉並区和泉3-8-18 Tel:03-5300-9411
     http://www.enjoytokyo.jp/life/spot/l_00018906/map.html →■
    ※京王井の頭線「永福町」駅下車徒歩5分(井の頭通りを明大前方面へ、スーパー三浦屋を左折し、右側)
終了後の交流会:駅前(嶋田ビルB1)中華料理店「きさら」(03-3323-5580)予定。駅から1分。
 事務局:遠藤輝喜(連絡先)携帯090−7942−4785、小林携帯090-7700-7756
追記:同日午後に年報16号編集委員会を開催します。編集委員および、TOAFAEC メンバーのご参加をお願いします。
★記録
   小林文人、Fri, 27 May 2011
参加舎:井谷泰彦、内田純一、江頭晃子、遠藤輝喜、呉世蓮、金侖貞、瀬川理恵、真壁繁樹、
     山口真理子、(交流会より参加)岩本陽児、丸浜江里子(敬称略)
 今世紀に入って中国(終身教育・社区教育)や韓国(平生教育)のめざましい躍進を背景に、この1両年、日本との二国間、そして三国間の相互交流が活発な展開を見せています。「東アジア」において今、新しいステージが始まっているのではないか、これまでを振り返りつつ、いま到達している“地平”を確かめ、これからの課題を考えてみよう、という趣旨の研究会。年報16号の特集(上記テーマ)「総論」に向けての予備的な論議が行われました。
 韓国が日本との交流や(昨年からの)三国間交流を通して得てきたもの、とくに中国の積極的な公的体制の構築から受けた刺激、逆に両国の動きが日本に示唆するものはなにか<李報告>、中国の(北京・上海以外の)各地の動きや「街道」など地域レベルの民意の把握、世界の動向から見る視点、中国は日本の何を見ているのか<上田方向>、など興味深い話題提供でした。時間不足は否めませんが、これからが楽しみ。
 社会教育・生涯学習をめぐる公的体制の方向と、住民自治や参加のこれからを考える視点が重要なポイント。また具体的な課題として、基礎(識字)教育や職業教育を含めての共同研究、継続的な資料共有の取り組みの課題等が指摘されました。台湾やアジアの動き(CLCなど)についても視野をもつ必要が語られました。
 1993年に東京学芸大学社会教育研究室が刊行した『東アジアの社会教育・成人教育法制』が共通の話題になりました。すでに20年近い歳月が経過し、あらためていま「東アジア」を考えるひととき。終了後の交流会に駆けつける人もいて、賑やかな一夜となりました。
第172回研究会・交流会(永福、20110520)


◆第171
→ ゆんたくの会へ変更      
 
小林ぶんじん(Wed, 09 Mar 2011 12:00)     

     
*急告!東日本大震災のため楊碧雲さんの来日が取りやめとなりました。
     
      第171回研究会「楊さんを囲む会」は中止。当日はカイロ大学・アーデル氏
            がこの会に参加のため帰日予定でもあり、またお祝いの方もあり、
希望者のみ
            の“ゆんたく”の会(同会場・
18:00〜20:00
)といたします。ご都合のつく方は
            ぜひお出かけください。ただし停電の場合は中止。(3月25日)

 寒い日が続いていますが、皆様にはお変わりありませんか。年度末そして4月からの新年度に向けて、それぞれにご多忙のことと思います。
 3月のTOAFAEC 研究会は、来日予定の楊碧雲さんを迎えて、久しぶりに台湾の近況についてお話を伺い、また楽しい歓迎の夕べを過ごそうという企画です。風2603号にも記したように、楊さんは台北市政府教育局の社会教育科専員。台湾の社会教育行政をリードする文字通りの専門職、また私たちの年報「東アジア社会教育研究」編集委員のお一人です。
 台湾・生涯学習法(第9条)に法規定をもつ「社区大学」の創設・普及に大きな役割を果たしてこられました。年報第15号に「公設民営」による独自の社区大学の展開について詳細な報告が寄せられています。最近はさらに「台北市の新しい学習都市づくり」に没頭されているとのこと(Fri, 4 Mar 2011)。東京に南からの風を吹かせていただきましょう。
 今回は、楊さんの来日日程に合わせて、定例日ではなく、また会場も高井戸ではありません。ご留意の上、お誘いあわせご参集ください。ご出席の方は(会場用意のため)前日・27日までに連絡を願いま
日時:2011年3年28日(月)
18:00へ20:00
内容:楊碧雲さんを囲む・歓迎の夕べ
(変更・上記)
会場:渋谷「ロゴスキー」 03−3463−3665、JR渋谷駅南口バスターミナル前・「東急プラザ」9F
   中央三井信託銀行のビル(JR渋谷駅から真正面に見えます)、渋谷駅から徒歩1分
要会費:3000円前後
問い合わせ:小林ケイタイ → 090-7700-7756

(2)李正連さん歓迎会

                  (小林文人、Wed, 30 Mar 2011)
 <4月(第171回)研究会−李正連さん歓迎会−ご案内>
 花の季節というのに、3.11の余震がなお続き、津波が残した惨劇と瓦礫、そして東電福島の原発震災、気が遠くなるような犠牲者・被災者の拡がりのなかで、春の4月を迎えることとなりました。
 TOAFAEC 第171 回研究会は(3月は中止)4月例会として、下記の日程で開くことになりました。この4月から正式に東京大学に着任される李正連さんの歓迎会の企画です。李さんは大学院(名古屋大学)当時から「南の風」の古いメンバーです。ご存知『韓国社会教育の起源と展開』(2008年、大学教育出版)の力作があり、最近では韓国への出版『日本の社会教育・生涯学習』(小林・伊藤・梁・共編、2010、学志社)編集の事務局長として活躍されました。最新の『月刊社会教育』4月号にその「経緯と意義」を執筆されています。
 ご本人は、韓国研究フォーラムなどで「ほぼ毎月お目にかかっているので、特に歓迎会は必要ないかと思いますが … 」とのこと。しかし、あらためて東京大学への就任をお祝いし、これからのご活躍を期待しつつ、TOAFAEC としての歓迎会を開催する運びとなりました。皆様、お誘い合わせの上、ご出席くださいますよう、ご案内申しあげまず。
日時:2011年4月22日(金)18:30〜20:30〜
内容:李正連さん「日韓研究交流のこれから」(仮題)、歓迎会 
会場:Humming Bird(ハミングバード) : 03-3324-6922 東京・世田谷区松原2-28-17
  *京王線「明大前」改札口を出て、左側のガードをくぐり右折、線路沿いに歩いて踏切が
    ある角の左側。駅から徒歩2分。1月新年会と同じ会場です。
要会費(実費)
事務局:遠藤輝喜(連絡先)携帯090−7942−4785 小林(ぶ)ケイタイ 090-7700-7756
★記録:瀬川理恵(Sat, 23 Apr 2011 10:44)
参加者:李正連・上田孝典・内田純一・江頭晃子・呉世蓮・小林文人・山口真理子・瀬川理恵
                                             (敬称略・順不同)
会場:Humming Bird(ハミングバード) 
 第171回定例会は、4月に正式に東京大学に着任された李正連さんの歓迎会として開催されました。李正連さんと小林先生との縁は2001年。当時、名古屋大学博士課程だった李正連さんは、社会教育学会で発表をしましたが、その時の司会者が小林先生だったとのこと。そして翌年、学会の懇親会で、「韓国の社会教育」に関する本を一緒につくろう、と小林先生から提案をいただいたと、李正連さんは話されました。
 李正連さんは、博士課程修了後、日本でも就職活動をしましたが、いったん帰国。韓国の学会で梁炳賛先生に出会い、その縁で韓国・公州大学の講師を務めることになったとのことでした。その後、名古屋大学に就職がきまり再来日、在籍中の4年半の間、同僚の先生方に恵まれ、本当に充実した研究生活だったと李正連さんはおっしゃっていました。東京大学から誘いがあった時、とても悩み、同僚や先輩に相談をしたとのこと。…(中略)… まわりの方々の愛情に満ちた言葉をうけて、李正連さんは東京大学に移ることを決意されたそうです。
 「これから何を研究していくのですか」という問いに対して「博士論文では韓国の社会教育の歴史についてまとめた。その継続として科研費申請書を作成していた時とてもイキイキとしている自分に気づいた。やはり自分の進む道は、韓国の社会教育の歴史研究なのかな〜と思った」という李正連さんの言葉が印象的でした。
 お話をうかがって、李正連さんの名大の先生方や小林先生、梁炳賛先生などとのご縁、そして中国研究者である上田孝典さんたちとの出会いが、今日の日韓中の研究者交流などに繋がっているのだと私は改めて感じました。
 会場は、持ち込み可能なため、小林先生がご自宅から沖縄の古酒やワインをお持ちくださり、参加者全員、美酒に酔いしれ、いい気分。3月3日に内田さんが入籍なさったという嬉しいご報告を思い出し、幸せいっぱい、笑顔いっぱいの会となりました。
 前回の定例会は地震の関係で中止になったため、2ヶ月ぶりの開催となりました。参加者は、地震や放射能に対する恐怖、地震後の1ヶ月をどのように過ごしたか、周囲の人々とのやり取りや自分の気持ちの変化などについて語り合いました。高知でも3m近い津波があったとのことでした。私は、被災された皆さまに、一日でも早く穏やかな日々が訪れるよう心から願わずにはいられません。私にできることは本当に少ししかありません。でも、こうして毎月開催されるTOAFAEC に今までどおり参加すること、それが私にできる応援の一つかもしれない、そう感じながら会場を後にしました。
左から4人目・李正連さん(明大前、2011年4月22日)



◆第170回アジアの識字・CLC・公民館の出会い
       遠藤輝喜(Tue, 8 Feb 2011 20:30、南の風2589号)
 早や2月も半ば、立春を過ぎ、寒さが少し和らいできた感じがいたします。皆様には、お元気でご活躍のことと拝察します。
 2月のTOAFAEC 定例研究会は、ユネスコ・アジア文化センターから柴尾智子さん(事業部次長)をお迎えして、この間のアジア全域に拡がる活発な国際交流・研究事業について、お話を聞きます。
 柴尾さんは、1990年代からの識字運動、地域学習センター(CLC)の普及、「公民館」英文パンフの作成、CLCと公民館に関わる国際会議開催など注目すべき仕事を担ってこられました。私たちTOAFAEC が追求してきた視点と深く交わるだけでなく、日本の(土着的とも評されてきた)公民館に国際的な光をあてる重要な契機となってきたことは衆目の認めるところ。当日は、対談形式でお話しいただき、聞き手は小林文人氏(TOAFAEC 顧問)を予定。記録にして今年秋発行『東アジア社会教育研究』第16号に収録しようとの同編集部の意向もあるようです。
 願ってもないゲスト、今後の研究会にとっても重要なテーマ、開催日は(対談の充分な時間をとるため)いつもの金曜日夜を変更し、26日の土曜日午後となります。お間違えのないようお願いします。
 大変貴重な機会となりますので、まわりの方々お誘い合わせの上、奮ってご参加くださいますよう、ご案内申し上げます。
日時:2011年2月26日(土曜日)14:00〜17:00 
ゲスト:(財)ユネスコ・アジア文化センター(ACCU) 柴尾智子さん
テーマ:識字・CLC・公民館との出会い
会場:(東京・杉並)区立高井戸地域区民センター・第1集会室
     〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
     *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八陸橋を渡ってすぐ)
事務局:遠藤輝喜(連絡先)携帯090−7942−4785
終了後の交流会:「イーストビレッジ」 03-5346-2077(予定)
★記録   瀬川理恵、Sun, 27 Feb 2011 11:54
参加者:上田幸典、小林文人、瀬川理恵、谷和明、手打明敏、トクタホ(中座)、岩本陽児(遅れ)
内容:(財)ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)の柴尾智子さんをお迎えして、小林先生との対談形式で進行された。柴尾さんがACCUに入ったきっかけなどを伺ったあと、DVD で識字アニメーション「ミナの笑顔」(1993年)を観た。ACCUの事業の一つ、1980年代から始まった識字教育の重要性を伝えるために、現在は37もの言語で制作されているアニメーション教材。DVDを使ったワークショップの手法なども紹介されており、2500円で販売されている。
 DVDの内容を簡単に紹介すると――アジアの農村で働くミナの家族。夫が農作業中に体調が悪くなり、町の病院に薬を取りに行くが、文字が読めないため、バスに乗れない。やっとたどりついた病院では、ミナが夫に飲ませようとした薬のビンに農薬と書かれていたことを知る。薬局では薬代を騙される。文字が読めない辛さに意気消沈して自宅に戻る道すがら、識字教室を見かけ、その後ミナは夜間識字教室で文字を学び始める。文字の読み書きができるようになったミナは、野菜を卸す仲買人に騙されることもなくなった。貧困が原因でミナの子ども達は学校を辞めざるを得なかったが再度学校に通わせようとミナは夫と話し合う。―
 非識字者の3分の2はアジアに集中しており、その多くが女性である。ACCUは、識字事業のパートナーとなってもらうために、各国に識字女性センターを設置しているという。そのセンターが中心となり、女性の識字教育と母子保健事業を一括で行う「スマイル・アジアプロジェクト」も展開していることを柴尾さんは語った。
 ACCUは識字教育などノンフォーマル教育を展開する過程で、アジアのCLC(コミュニティー・ラーニング・センター)に注目をしていく。そしてCLC との関連で日本の公民館を“発見”し、相互の交流に携わるようになる。2003年にはアジア各国から公民館の視察がおこなわれ各国担当者(18ヶ国27名)の国際会議では、宇都宮市の公民館を舞台に14項目の「気づき」が共有された。2006年の松本市公民館との交流を経て、2007年の岡山では ESD(持続可能な開発のための教育)と地域づくりに関して、公民館とCLC の機能と役割は同様であるという「岡山宣言」がまとめられた。
 第6回国際成人教育会議に向けてのCONFINTEA W・アジア太平洋地域準備会合(2008年秋、ソウル)において、「日本の公民館が世界的に注目をされている」ことが政府関係者にはっきりとわかったという。文部科学省は、ベレンのCONFINTEA 本会議(2009年12月)に間に合わせるべく、英文で公民館のパンフレットを作成。アジアのCLC と日本の公民館を繋ぐかたちでACCUからは柴尾さんがパンフレット制作を担当。公民館に対する国際的な注目の契機となった。小林先生は、公民館・英文パンフレット発行の意義と内容を高く評価。それと日本語版との異同についても論議された。手打、谷、上田各先生の発言も加わって、時間切れまで密度の高い対談・座談会が続いた。柴尾さんが持参された諸資料を詳細に拝見する余裕がなく、心を残しつつ終了。
 イーストビレッジで行われた懇親会には、山口真理子さんも参加。語りきれなかった公民館とCLC のこと、寺中作雄氏や平塚益徳氏とユネスコの関係についてなど、話は尽きなかった。
ACCU・柴尾智子さん(高井戸、20110226)



◆第169回紹興・上海への旅(報告)
     遠藤輝喜(Sat, 8 Jan 2011 00:34、南の風2569号
案内 上海国際フォーラム・紹興の旅を終えて(報告会)

 あけましておめでとうございます。皆様にはお健やかに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。新しい年になっても政治的な混迷は続くのでしょうか。このような転換期だからこそ、お互いに底力を蓄積していきたいものと思っております。
 さて、TOAFAECは今年も意欲的にテーマを掲げ、頑張って定例研究会を開催していきます。皆様方のご参加、ご協力、ご支援をよろしくお願いいたします。
 新年1月のTOAFAEC研究会(最終金曜日28日夜)は、昨年11月に上海で開催された日中韓三国「学習型社会創建」国際フオーラムについて、またそれに先だって企画された紹興への旅についての報告をお願いします。すでに「南の風」を通してレポートされている岩本陽児、烟台から一時帰国(予定)の伊藤長和のお二方に、紹興出身の黄丹青さんにも加わっていただいて、楽しいお話と映像記録が紹介される予定です。
 上海・国際フオーラムについての理論的な整理や課題については、翌29日(土)に、東アジア研究交流委員会(代表・石井山竜平氏)として報告会が開催されるとのことです(詳細は別途案内)。関心をおもちの方は両日参加も可能だそうです。
 今回の上海・国際フォーラムでは、TOAFAEC とは親しいお付き合いの葉忠海、呉遵民(いずれも華東師範大学)の両先生や、懐かしい袁允偉さん、羅李争さん(いずれも東京学芸大学・留学生)との再会もありました。小さな学びの集団にすぎないTOAFAECが、上海の皆様のお力を得て、三国国際フォーラムの成功に一つの役割を果たしたことは誠に感慨深いものがあります。
 関係の皆様方にお集まりいただき、新しい年の門出にふさわしい研究会にしたいと思います。ふるってご参加ください。*なお翌29日は韓国研究フオーラム、東アジア研究交流委員会の予定。参加歓迎→■
日 時:2011年1月28日(金)18:30〜20:45
内 容:上海国際フォーラム・紹興の旅を終えて
報 告:岩本陽児(和光大学)紹興・上海への旅(映像)
    黄 丹青(目白大学)私の故郷
    伊藤長和(中国・烟台工商学院)中国研究について
    小林文人(TOAFAEC顧問)三国間交流のこれから
会場:(東京・杉並)区立高井戸地域区民センター・第2集会室
        〒168−0072杉並区高井戸東3-7-5 TEL 03−3331−7841
         *京王井頭線「高井戸」駅下車、環八を渡ってすぐ、徒歩3分
終了後の新年交流会:イーストビレッジ 03-5346-2077(予定)
事務局(連絡先):遠藤輝喜 090−7942−4785
★記録 (江頭晃子、Sat, 29 Jan 2011 22:34) 南の風2581号(1月30日) 
参加者:(敬称略・順不同)伊藤長和、王麗(目白大学)、劉暁宇(東京福祉大学)、石井山竜平、
 李正連、小林文人、瀬川理恵、岩本陽児、山口真理子、江頭晃子、遠藤輝喜(懇親会)
内容:最初に岩本さんから。たくさん撮った写真を観ながらの中国の旅のご紹介。11月・上海フォーラムに先立って、黄さんの故郷である紹興の旅。魯迅の生家や百草園、紹興酒博物館などをめぐりながら、たくさんの中国の食と中国ランをはじめとする多彩な植物が登場。中国の留学生の二人にとっては、望郷の念を強めた模様。
 その後、上海に移り、立派な会場(上海外国語大学)で開催された三国フォーラムの様子が映し出され、久しぶりに会う中国(韓民さん、羅李争さんなど)、韓国(ヤンビョンチャン先生、金ボラムさんなど)の皆様との再会を楽しみました。
 フォーラム後の施設見学では、社区センターやTV大学のすばらしい設備に驚きつつ、人の匂いがする公民館の良さが逆に見えてくる気もしました。懇親会では、皆が立ち上がり歌合戦の模様、音が出ないのが残念でした。
 続いて、久しぶりに帰国し顔つやが良くなってお元気そうな伊藤長和さんからのご報告。帰国前に敦煌を訪れた様子と、中国の現状について。上海での社区教育の盛り上がりの一方、全く社区教育のない烟台。発展すさまじい上海の街の影で、見えてこない貧困層など格差の激しさ、スローガン行政の実態。人間関係の国であり、法律ができてもなかなか実態とはかけ離れている部分もあることなど。それとともに、日本の学生にはない学びへの欲求や真剣さについても語られ、今後どのように生涯学習が発展していくかを注目していきたいとのことでした。
 最後に小林先生からは、今回のフォーラム実現に至った「東アジア」研究の歩みについて。90年代からの東京学芸大学の留学生グループや95年のTOAFAEC 創設、そして2010年にいたる中国・韓国とのかかわり、20年近い前史について話されました。中国への訪問団の初期には、韓国から草分け的存在としての魯在化さんの参加があったことなど。
 その後、今後の交流について4つの課題をあげられました。@国家間交流の側面をもちつつ、海を越える仲間的つながりの“研究共同体”をどう創っていくか。A東アジアの視点をもった情報交流・知的共有の努力。B「終身学習」法やすぐれた社区大学を展開させている台湾とどうつながっていけるか。C社会教育におけるアジア・モデル論。ヨーロッパ近代との比較論だけでなく、独自の特質や可能性をみる視点についてなどなど。最後は時間切れで、翌日の東アジア研究交流委員会に持ち越しとなりました。
 この日は、美味しいお酒がいっぱい。和歌山大学の山本健慈学長からは、滋賀のお兄さんが作られた清酒「農民一喜」。口あたりがよく、つい飲みすぎてしまい、帰りの電車で冷や汗でした。王麗さん、岩本さんからも強くてまろやかな中国酒(白酒、紹興酒)を、石井山さん・李さんからは宮城と名古屋のお土産をいただき、賑やかな卓上でした。
銘酒「農民」を前に・・・(イーストビレッジ、20110128)



◆第168回東アジア社会教育研究」15号合評・16号に向けて

           江頭晃子(Thu, 02 Dec 2010 23:20) 南の風2547号
 <「東アジア社会教育研究」第15号お祝い!合評会!望年会!>
          −第16号・来年に向けての編集体制を考える−

 あっという間に2010年の終わりも近づいてきました。
 実質、10月末に出来上がった「東アジア社会教育研究」第15号発行から、すでに一ヶ月余り・・・皆様にとって、今号はどの論文や実践が興味深かったでしょうか? これまで「中国の実態が見えてきた」「沖縄対談が面白い」「韓国はいつも充実していますね」「大都市のシンポ記録から見えてくるものあり」などなど声をお寄せいただいています。
 第15号が無事に出来上がったお祝いと執筆に協力頂いた皆さま及び編集委員慰労を兼ねた合評会を行いたいと思います。率直な感想を出し合い、第16号以降も見据えて、熱い思いを語り合いましょう。来年度の編集体制についても、一歩前進の方向で考えあいたいと思います。
 また、中国フォーラム、韓国フォーラム、東アジア研究交流委員会から、ぜひご参加いただきたくお願いします。上海国際フォーラムのお土産話もよろしくお願いしま
日時:2010年12月17日(金曜日)18:30〜20:30 
内容:「東アジア社会教育研究」第15号お祝い!合評会!望年会!
 (敬称略)
 (1)第15号合評・コメント:上田孝典・黄丹青(中国フォーラム)
                金ユンジョン・李正連(韓国フォーラム)
                石井山竜平(東アジア交流委員会)、小林文人(TOAFAEC) 
  ※可能な範囲でどうぞよろしくお願いします!
   ご都合でお出でになれない場合、メモでもOKです。
 (2)第16号・来年に向けての編集体制について:内田純一(編集長)
 (3)上海国際フォーラム報告:岩本陽児

会場:
東京杉並区・高井戸地域区民センター第2集会室
   〒168−0072杉並区高井戸東3-7-5 TEL 03−3331−7841    
   *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分、環八歩道橋を渡ってすぐ
事務局:遠藤輝喜(連絡先) 携帯090−7942−4785
終了後、忘年・望年会:イーストビレッジ 03-5346-2077
★記録   (江頭晃子、Mon, 20 Dec 2010 21:16) 南の風2557号(12月23日)
参加者(10人・敬称略):岩本陽児、上田幸典、内田純一、江頭晃子、遠藤輝喜、金(和光大2年)、
     小林文人、瀬川理恵、黄丹青、山口真理子
内容:15号合評会と16号発行・編集体制に向けての話し合い。
 最初にこの間の報告として、小林先生から、@11月末の中日韓国際シンポジウム(上海)の様子−開催に至るまでの経過と2年後の韓国、4年後の日本開催予定、A12月5日『日本の社会教育・生涯学習』出版記念会(つくば)、B12月13日ACCU主催の国際シンポジウム「CLCと公民館の協力」の報告があった。とくに、Bではアジア各国の地域学習センターの展開と日本の公民館の歴史・役割が注目されたとのこと。
 次に内田編集長から15号についての総括的な提起があり、それをもとに、活発な合評が行われた。5年越しとなった中国特集が組めたことの意義。韓民さんの論文に関連して日本で「生涯学習」「社会教育」等の概念論議がほとんどされてこなかった問題。「この1年の動き」について中国研究フォーラムが果敢な挑戦、なかなかとらえにくい中国の動きを全体的に考えるきっかけになったこと。
 東アジアの大都市を中心にした座談会では、テーマを充分に絞りきれなかったが、さまざまな問題が出てくる中で、大都市の持つテーマ・課題の奥深さを実感したこと。
 韓国報告では、4年目となる「この1年の動き」により、韓国の平生教育が国の政策でも自治体レベルでも、流れを理解できるようになったこと。条例や自治体の動きの資料が丁寧に紹介され、継続される大事さを確認できた。「文解基礎教育法案」は日本の夜間中学運動にとって示唆的、平生教育実践協議会の記録は、地域実践やNPO活動の立場から学ぶところが多い。
 沖縄の聞き書きや対談からは、証言という形でしか書き記されないであろう記録の意味と、それぞれの人の生き様との関わりが見えてくること、などなど多彩な合評となりました。
 総体的に15号は、これまでの一つの到達点ともいえる年報になったのではないか。構成も充実し読みがいもあり、内容的にも分かりやすかったこと。今後、研究者だけでなく実践者に読んでもらい、参考にしてもらえるようにするためにも、東アジアを横断する重要なテーマ(たとえば識字、職員実践論、法制など)を設定する必要が語れました。
 その後、16号編集体制に向けての話し合い。編集長は内田さんが引き続き担い、編集委員に石井山竜平さんに入ってもらうこと。集団的な体制への取り組みとして、編集幹事を設けること。案として中国、韓国や、沖縄・日本など各領域から2人ずつ程度の実働的な参加をお願いすること。また、副編集長を設けて編集長をサポートして欲しいという案が出され了承されました。次回は1月28日(金)を予定。
 その後、イーストビレッジに場所を移し望年会へ。上海のお土産話を聞いていたら、帰り際に編集長から爆弾発言あり。とってもめでたく今年の最後の定例会&望年会を終了しました。

2010忘年会終わる、撮影:遠藤輝喜 (高井戸、20101217)



◆第167回増山均「アニマシオンに注目する意味」
    遠藤輝喜−Sat, 9 Oct 2010 00:32 南の風2520号(2010年10月13日)
 <アニマシオンについて考える>
 ようやく朝晩が涼しくなってまいりました。夏の暑さから確実に季節は移り変わってきています。皆様におかれましては、お元気でお過ごしのことと拝察いたします。
 TOAFAEC第167回研究会は、前号に予告(10月定例日を変更)した通り、11月5日、増山均先生(早稲田大学)をお招きして開催する運びとなりました。ご承知のように、増山先生は先駆的にスペイン研究に取り組まれ、アニマシオン<魂の活性化>概念を積極的に紹介されてきました。
 子どもたちの教育に「アニマシオン(イキイキ・ワクワク、ともに楽しむ)」の営みがセットされる必要、生涯教育とならんで「社会文化アニマシオン」の考え方に注目することの指摘(増山著『アニマシオンが子どもを育てる』2000年、など)。この間、実践的にも重要な提言をされています。最近では『子育て支援のフィロソフィア−家庭を地域にひらく子育て・親育て』(2009年)等を出版されています。
 先生からお話をお聞きしながら、心を揺さぶられたいと思います。ヨーロッパだけでなく、東アジアにとって社会文化アニマシオンとは何かなど、これからの課題もご一緒に考えてみる機会となりましょう。
 お忙しいと存じますが、めったにない機会、是非ともご参加くださいますようご案内申し上げます。(定例開催日の変更にご留意ください。)
日 時:2010年11月5日(金曜日)18:30〜20:30
ゲスト:増山 均氏(早稲田大学教授)
テーマ:「アニマシオンに注目する意味について―スペインにおけるアニマシオン研究を手がかりにして」
会 場:東京・杉並区立高井戸地域区民センター・第2集会室
終了後の交流会:「イーストビレッジ」 03-5346-2077
事務局:遠藤輝喜(連絡先)携帯090−7942−4785

記録 山口真理子(Fri, 12 Nov 2010 12:57)
参加者:(敬称略)15名 荒田直輝,井谷泰彦,岩本陽児,梅津亜衣子,江頭晃子,遠藤輝喜,
 桑原重美,小林文人,佐治真由子,申東華,瀬川理恵,谷和明,真壁繁樹,増山均,山口真理子
内容:詳細なレジュメに沿って熱く説明がなされた。それを補完する論文や雑誌記事も多数ご準備頂
    いた。お話の概要を以下に要約する。
1,アニマシオンに出会うまで
 子どもが育つのは、学校の中だけではない。1970年代に「子どもの社会教育」「学校外教育」として研究されてきたが、それでは捉えきれない。新しい概念を模索していた。1980年代に末本誠氏(現代フランス研究)や佐藤一子氏(イタリヤ文化運動通信)の研究があり、触発されて1992〜93年にスペインへ。アニマシオン概念との出会いがあった。
2,社会文化アニマシオンの背景
 スペインは、四つの言語文化圏があり、独自の歴史・文化、それぞれ強烈な自治権の主張がある。「スペイン」という国としての統合維持が一つの課題となっているほど。他にも経済や少子化など、問題は山積みなのに「何故?」と不思議なくらい、のんびりと構え、生活を楽しむ文化をもち、バカンス、祭り、遊び、余暇など独自の生活スタイルがある。
3,社会文化アニマシオンとは何か
 アニマシオンの対象領域は、民衆教育,成人教育,職業教育,文化促進,地域開発,自由時間教育,余暇,観光,スポーツ,文化芸術,レクリエーション,祭り,青少年活動など多岐に亘っている。(読書のアニマシオンに限定されるものではない。)
 アニマシオンとは、命を吹き込むこと、魂の活性化。イキイキ・ワクワクする心情,正義感に燃えた決心,自由闊達な精神,先祖から受け継ぐ想い・民族の魂を活性化することなど。適切な日本語が見つからない。
 社会文化アニマシオンの目的は「市民の文化的参加」「連帯した生活」「生活の質の向上」を促進することにより、文化的不平等をなくして社会の変革を進めること(レジュメより)。
4,社会文化アニマシオンになぜ注目しているか(レジュメより)
 概念の総合性・包括性(「人間学」)に注目してきた。
@「教育」概念の問い直し
A「教育」と「文化」をつなぐ概念として
B「個人」−「集団」−「社会」の発達・発展をつなぐ概念として
C「プロテクシオン」−「エデュカシオン」−「アニマシオン」の3原理の独自性と関連性
D「あそび−遊び」の意義、「文化・芸術」の意義を捉える概念として
E「ゆとり」「学校5日制」研究の視点として
F「祭り」研究のキー概念として―祭りは元祖アニマシオン
G「楽しむ」ことの生理学的・脳科学的研究の必要性
5,終わりに余談として、なぜ(観光以外で)スペインへの注目が低いか、スペイン研究の必要性、
 東アジア社会教育研究との関わり、について付言され、興味深いものがあった。

 感想:沖縄・東アジア研究をテーマとするTOAFAECで、スペインとは? しかし、お話はまさしく沖縄を想起させるものでした。"自由闊達な精神""楽しむ文化"など、まさにTOAFAEC 活動の精神ではありませんか!
 この日は2日前に入会申し込みのあったばかりの井谷泰彦さんや、早稲田の研究室の皆さんが初めての参加。また谷さん,桑原さん、真壁さんなどお久しぶりの方も見え、賑やかな会となりました。
 終了後、イーストビレッジでの懇親会。井谷さんは沖縄を研究している方、「なりやまアヤグ」(宮古)を披露され、ヤンヤの喝采でした。
 渡部幹雄さんのお母様から送られてきたカボスが"花"ならぬ"実"を添えたことも、書き添えます。渡部お母さま、ありがとうございました。
第167回研究会ゲスト:増山均さん(高井戸、20101105)



◆第166回金侖貞「最近の韓国・平生教育の動向」
         金侖貞・遠藤輝喜、Wed, 8 Sep 2010 00:20 南の風2501号(9月8日)
 <TOAFAEC (第166回)研究会、韓国生涯学習研究フォーラム(第27回)合同企画>
 今年の夏は、各地で最高気温の更新が相次ぎ、熱帯夜も連日続きました。残暑まさに厳しい折り、皆様には、お元気でお過ごしのことと拝察いたします。
 さて、9月のTOAFAEC 定例研究会ですが、韓国生涯学習研究フォーラム(第27回)と同日、合同で開催することになりました。第一部と第二部に分けてのプログラム、また月末の金曜日の日程を日曜日に変更しての開催となりますが、皆様、ぜひ両プログラムにご参加くださいますよう、ご案内申しあげます。初めての方も歓迎です。(とくに第二部では、躍動する韓国・生涯学習の新しい動きが報告される予定です。)
 終了後は両研究会合同の懇親会を予定しています。賑やかな午後・夕となりますよう、ふるってのご参加をお待ち申しあげます。日時をお間違いのないよう重ねてお願いいたします。
日時:2010年9月26日(日曜日)13:30〜17:00 

会場:
(東京・杉並)区立高井戸地域区民センター・第3集会室
内容:第一部(13:30〜15:00)韓国生涯学習研究フォーラム
    @10月7日の出版祝賀会(大邱)について、A『韓国の社会教育・生涯学習』改訂版の構想検討。
    第二部(15:10〜17:00)「最近の韓国平生教育の動向について」報告・金侖貞(首都大学東京)
終了後・懇親会(17:10〜19:00)「イーストビレッジ」 03-5346-2077 「高井戸」駅から歩いてすぐ
事務局:遠藤輝喜(連絡先)携帯090−7942−4785
★記録  記録:山口真理子(Mon, 27 Sep 2010 16:46) 南の風2514号(9月29日)
参加者:(敬称略・順不同)金侖貞、小林文人、瀬川理恵、遠藤輝喜、李正連、岩本陽児、
      赤崎隆三郎、赤崎京子、黄丹青(懇親会)、山口真理子
内 容:この日は午後1時半から同会場で(第27回)韓国生涯学習フォーラムが行なわれ、その関連で韓国「平生教育」の最近の動向がテーマとなりました。金侖貞さんがレジュメにそって報告されました。
 韓国では、2007年12月に「平生教育法」が全面改正され、2008年2月に「平生教育振興院」が設立されるという、大きな変化があった。あたかも、李明博新政権発足の時期である。この法改正により、平生教育振興における一般行政の位置づけがより強化され、推進体制は教育行政によるだけでなく一般行政による比重が(とくに基礎自治体において)大きくなっている。一般行政への移管の動きもあり、広域自治体とともに基礎自治体においても、平生教育振興の条例制定や担当組織の設置等が行なわれている。担当職員の身分等は各自治体によって異なるが、専門職・平生教育士(多く契約制)の配置も進んでいる。
 2001年から行なわれてきた「平生学習都市事業」からこの変化を見ると、国家が平生学習都市を指定する方式で2007年までに韓国の全自治体の約3分の1に当たる76都市が選ばれ、予算も2001年の6億ウォンから2009年の88億ウォンまでに規模が拡大してきた。平生学習都市づくりは、基礎単位である地域社会の住民が、主体的に平生学習運動に参加し、地域の学習文化を振興することをすることを期待して始まった。平生学習都市に指定されることは、自治体として、市長にとってもアピール度が大きい。
 しかし、「平生学習都市事業」は見直されることになり、2008年度以降は新たな都市の選定は行なわれていない。そこで指定制から認定制に転換することが検討されてきている。指定制が対象を選定しそこに特定な資格を付与する制度であるのに対し、認定制は対象が特定の基準に合っているかどうかを判定する制度である。言うならば、Top-down方式とBottom-up方式の違いでもある。
 2010年4月や6月には、国会議員イム・ヘギュ氏や平生教育学会、総連合会、平生教育振興院(主管)による平生学習都市10年、認定制度導入等に関する討論会が開かれている。指定制や認定制の特徴比較表や広域市「平生教育担当組織現況」一覧なども紹介された。
 韓国平生教育はいま躍動期、新しい変革期、今後どのように展開していくのか、興味をそそられる報告でした。
 この日、上京中の赤崎隆三郎さんが愛妻同伴で参加されました。日本の「生涯学習まちづくり」研究との関連で、韓国の平生学習フェスティバルともご縁がある方。美術教師を経て、現在も沖縄で地域おこし仕掛け人のような仕事をなさっています。…(中略)… 教育、産業、生活をいかに地域に根ざして結びつけるか、それはまさしく社会教育の実践である、と研究会でも懇親会上でも力説されました。お2人を迎えて、懇親会も一層楽しいものとなりました。なおこの日は日曜日でしたが、懇親会場「イーストビレッジ」は特別に開いてくださいました。マスターと奥さまに感謝。次回は、11月5日(金)の案でゲスト交渉中です。
左側二人目から赤崎夫妻、右側二人目に金侖貞さん。撮影・遠藤輝喜(高井戸、20100926)



◆第165回吉田照子
東京23区の社会教育の動向と課題
(遠藤輝喜、Tue, 29 Jun 2010 22:45
 蒸し暑い日々が続いております。不快指数が最大に近いような毎日です。しかもワールドカップ、これがまた熱い日々をもたらしました。
 さて今年は、社会教育研究全国集会が第50回の節目を迎えます。東京・立正大学(品川区)にて、8月28〜30日に開催されまる予定です。
 これに先立ち、東京23区の生涯学習・社会教育の現状を考える内容で、研究会を実施したいと思います。昨年6月から1年ぶりの東京をテーマとする研究会、今回は社全協23区支部との合同による開催。
 全国集会では、課題別学習会 NO8(「構造改革」を超えて自治体社会教育をどう創るか)で報告される『東京23区の生涯学習・社会教育をめぐる動向』(月刊社会教育7月号に報告掲載)の内容を更に深め、事前の学習会としてタイアップするかたちで実施するはこびとなりました。
 皆様方におかれましては、ご多忙とは思いますが、是非ともご参加下さいますようお願い申し上げます。
日時:2010年7月23日(金)18:30〜20-45
テーマ:『東京23区の社会教育の動向と課題』
報告:吉田照子氏(社全協23区支部副委員長、前品川区社会教育主事)
副報告:小林文人氏「東京の社会教育史研究について−回想」
会 場:杉並区立高井戸地域区民センター第5集会室
終了後:交流懇親会:イーストビレッジ 03-5346-2077
連絡先:遠藤輝喜 090-7942-4785
備 考:現段階で23区支部の生涯学習・社会教育の情報・資料をもとに、画期的な取り組みにしたい。社会教育指導員、指定管理職員などの参加も期待しています。
★記録   記録・竹中薫・遠藤輝喜(Wed, 28 Jul 2010 22:15)
報告:吉田照子氏「東京23区の社会教育の動向と課題」
    小林文人氏「東京の社会教育史研究について−回想」(副報告)

会場:東京(杉並)高井戸地域区民センター・第5集会室
参加者:(敬称略)初参加・羅建中(台湾、音楽家、学芸大学院卒)、小林文人、伊藤長和、河上富範、吉田照子、橋本策也(目黒区図書館)、栗山究、橋本聡、竹中薫、山口真理子、江頭晃子、小林繁之(目黒区指導員)、遠藤輝喜
内容:今回の定例研究会は、社全協東京23区支部と合同で開催され、8月の全国集会への報告テーマ「東京23区の社会教育の現状と課題」を深める取り組みとして実施された。
 まず吉田照子氏(東京23区支部・副委員長)から、『月刊社会教育』7月号所収報告と支部作成の資料をもとに、公民館的施設の教育委員会からの移管や施設の廃止による大幅な減少、施設の指定管理者による運営状況の拡大と問題点、生涯学習部門の一般首長部局への移管状況、そして社会教育専門職員の激減と役割の変化。社会教育主事の教育政策・放課後クラブ担当・図書館や博物館への配置、教育部門以外への位置づけなどが指摘された。指定管理者の導入では、議会のコントロールがきかないなどの報告も。東京23の社会教育は激変しており、現状と課題をきちんと捉えることが急務である(23区支部作成の資料は重要)。参加者からは「今年度図書館の指定管理者制度導入が大幅に進行し、市民や職員の反対運動があったが、導入は首長の考えによるところが大きい」との指摘があった。
 東京都の社会教育研究に長年関わってこられた小林文人氏から、「東京の社会教育史研究−回想」と題する副報告があった。東京の社会教育の通史研究がないこと。(旧)多摩社会教育会館での「三多摩の歩み」研究、斉藤峻資料、杉並原水禁運動・公民館研究などの蓄積が紹介された。東京の社会教育の通史は、『東京都教育史四』まで完成、しかし『五』は原稿が提出されているが刊行されていない。この10年に東京の社会教育が解体傾向にあるだけに、資料収集と歴史研究を急ぐ必要があること。こうした事実を都民に知らせていくことが大事だと指摘された。あらためて東京都及び23区の実態分析の必要性と歴史研究を継続していく重要性を再認識した。今後、東京研究で可能な限り共にやっていけたらと思う。
 終了後は、恒例のイーストビリッジで交流会。TOAFAECと23区支部関係者との交流会で、竹中薫さんの初めての歌、映画・同胞「ふるさと」合唱、そして最後はやはり、山口真理子さんの"百万本のバラ"で終了。(南の風2475号 7月27日)
右より4人目(手前)が吉田照子さん、副報告・小林-右より2人目 (165回研究会、20100723)



◆第164回
谷和明「英独の市民運動・生涯学習視察、アルトナーレの報告」
              
 (遠藤輝喜、Fri, 28 May 2010 23:37)
 
<英・独訪問、アルトナーレの報告 (谷和明氏)>
 風薫る爽やかな季節から、お湿りが多い季節へと移っていきます。皆様には体調にご注意ください。
 さて、6月TOAFAEC 定例研究会は、久しぶりに谷和明先生(東京外国語大学)をお招きします。谷先生はドイツ・社会文化運動の研究、とくにハンブルク・アルトナーレ(アルトナ地区の市民文化祭)調査を重ねてこられ、私たちの研究会に何度もお話いただきました。4年前には谷先生とハンブルク調査に同行した故石倉裕志事務局長がアルトナーレについて報告した経緯もあります(2006年7月・第120回研究会)。
 今年は、6月13日〜21日の日程で「英・独の市民コミュニティ活動とハンブルク市アルトナ祭調査」に出かけられます(風2432号・案内)。今年で第12回を迎えるアルトナーレ、その中核として動いている社会文化センター"モッテ"などの地域施設や、社会文化運動の拡がりについて、帰国早々のご報告をお願いすることになりました。
 谷先生は、この5月には、日本公民館学会国際交流部の代表としてベトナム訪日団の受け入れに尽力されました。アジアの地域学習センター(CLC)への関心も深く、欧亜の比較について、また日本の公民館との対比についてもコメントいただけるのではと期待されます。
 皆様、お忙しいところですが、是非ともご参加くださいますよう、ご案内いたします。
日 時:2010年6月25日(金)18:30〜20:30
ゲスト:谷 和明氏(東京外国語大学)
内 容:「英・独訪問、アルトナーレの報告―多様なコミュニティ施設の映像を交えて−」
会場:東京(杉並)高井戸地域区民センター第二集会室
終了後・交流会:イーストビレッジ 03-5346-2077
連絡先:遠藤輝喜 090-7942-4785
★記録  記録・平井教子(Sun, 27 Jun 2010 01:37)
参加者:(敬称略)10名 谷和明、佐治真由子、小林文人、佐々木一郎、瀬川理恵、
      八朔友二、遠藤輝喜、江頭晃子、山添路子、平井教子。
内容:調査期間(6月13日〜21日)
 訪問先:ロンドン−成人教育施設、トインビーホール、労働者コレッジなど
      ハンブルク−社会文化センター、地区資料館ほか。ハンブルク・アルトナ祭(Altonale 12)
 調査参加者:谷和明、手打明敏(筑波大学)、佐治真由子(早大院)他

○調査趣旨・課題等については、すでに「南の風」に谷先生が寄稿してくださっているので(風2432
  号、2436号)、詳しく触れません。以下、記録者の関心分野について、感想を含めた記述になって
  しまうことをお許しください。
 ≪ロンドン≫
 (1) イギリスの成人教育施設、市民団体が設置運営するコミュニティセンター(教室は2〜30)では、音楽、写真などのようなカルチャー的なものや英語などを学ぶ基礎教育、family learningという日本でいえば家庭教育学級のようなもの、職業教育的なものが多彩に準備されていた。気になるのは経費?年間13万円くらいだそうです。(日本で13万円払って学ぶのはどんな人たちだろう。しかし、ここだけ見ては高いか安いかは言えない。他の教育費、福祉にかかる扶助費などがどうなっているのか。フツーの人の学びの場なのだろうか?他にも大学拡張などの学びの場はあるだろうし。)ただし、外国人や低所得者は安く受けられるようになっているとのこと。
 (2) 財政削減を受けて、スキルトレーニングにしか補助金が下りなくなってきていて、教養(リベラルな)学習より、職業訓練的なものが多くなってきている。
 (3) 英語ができない人を入国管理局が排除するようになったのを受けて、ESOL(English for Speakers of Other Language)のようなものが少なくなっているので、モバイル型の英語学習プログラムを開発中。
 (4) コミュニティセンターを運営する人たちは、講座を指導している講師がコミセンの理事だったりと供給主体が重層的だそうです。教育が削減されていく要因のひとつには、マネジメントに関わる人と教育者が切り離されているところにあると思うので、それは良い方法だと思った。
 (5) このような形で成人教育が発展せざるを得なかったのは、Univercityの壁があるだろう。日本は大学や専門学校が成人教育の場となっているのだろうか。それにしても日本の教育費は高すぎる。
 (6) 各コミュニティセンターには、上部団体としてのLondon コミュニティセンターがあるとのこと。このような仕組みになっていることにより、各コミュニティセンターの内容がしっかりしたものになっているのではないかと感じた。日本の住民管理型の組織の連合組織って聞いたことがない。イギリスのコミセンは、そういう意味ではかなり「公」に近い、安定性や力量があるのだろう。(南の風2461号 6月28日)

 ≪ドイツ・ハンブルク(アルトナ地区)≫
 (1) 地区文化センターは、州により、市により施設設置の形態が違うとのこと。140 地区あるうちの25センターが公認。モッテ(ハンブルク市オッテンゼン地区の社会文化センター)は必要経費の80%を市が負担している。しかし90年代後半以降は行財政改革により、公認はゼロ。
 (2) これまで、低所得者はこの地域に住んでいたが、新たな再開発で追い出されるという問題が生じている。
 (3) 「モッテ」1階に「チンケン」というレストランがあり、青少年の実習の場になっている。人が集まる施設には「食」は大事。また、日本の公民館の障害者喫茶と通じるところがある。「食」と「職」をつなげた取り組み、このあたりの取り組みは、日本の都市公民館も学ぶところは多い。
 (4) ここでも社会文化センターの上部団体があるそうだ。この上部団体の存在は、やはり市民管理型が公共性を高く持つためのひとつの条件かもしれない。
 (5) バルムベク・バッシュという労働者区域には複合施設のコミュニティセンターも生まれている。教会、母親相談所、教育相談所、地区公共図書館、文化の家(社会文化センター)、高齢者センターの7つの施設の統合。教会といっても、ミサなどの宗教活動はここでは行われない。ここも食堂をテナントとして入れているとのこと。
 (6) 地区の面積は、中学校区(3?)。このほかに地域の施設としては消防団などの目的をもった拠点があるが、これは、コミュニティ施設ではないとのこと。(人々は車や自転車で集まるのだろうか?この距離では歩いてはいけない。)
 (7) ドイツの社会文化センターは市民が生み出した施設であり、日本の公民館のように国が基準を出して自治体計画に基づき配置されるような性格ではない。必要無ければ空白地域があってもかまわないとの考え。
 (8) 行政の役割は、プラニング、評価、プロジェクト事業の推進。基本的な施設運営は市民の役割。ただし、この行政を谷先生が中央官庁と言われたのは(国ではなく)ハンブルク市か。日本でいう市町村行政の役割をもっと聞きたかったのですが・・・。
 ≪ジェントリフィケーション(独、Gentrifizierung)について≫
 (1)「都市の社会問題地域が再開発により高級地域化し、低所得者層が排除されていくこと」だそうだ。谷先生は、盛んにこの問題をおっしゃられた。このことは「南の風」2436号(5月16日)に書かれているので、参照いただきたい。私の感想としては多様な層を飲み込めないまち(集団)は弱いよねって言いたい。と同時に行政に携わる一人として、何かを進めるときは常に排除される側に視点をおくことを忘れてはなら
ないこと。
 ≪アルトナーレについて≫
 (1) 最後に小林先生の質問で「アルトナーレ」のこともお話いただいた。アルトナーレは1998年にハンブルグの下町(アルトナ)で始まった、外国籍、貧困層を巻き込んだお祭りだそうです。社会文化運動の具体的な展開として国際的に注目されてきた。パレードは秋に催される。
 (2) 日本でも元気な地域は祭りがたくさん行われている。最近予算・人件費削減から縮小の傾向もあるが、自治力を高めるのにお祭りは有効だという話を聞いた頃がある。
 (3) 最後に、調査に同行なさった佐治真由子さんから、日本の公民館の置かれている状況の大きなものに「指定管理者制度」があるが、そのことと絡めて、市民ネットワークの中で人をそだてる視点を提起された。文化マネジメントや自己決定学習のことにも触れられたが、時間切れで二次会へと場所を移動した。

 二次会では谷先生がお隣でした。日本の公民館とドイツの社会文化センターの事例を比較していえることは、公民館の在り方、目指す方向性を16,000館を十羽ひとからげに議論することはできない。地域に応じた在り方をその地域の歴史を踏まえて考えていく必要があるというお話などをしたのが印象的でした。(南の風2462号 6月30日)
谷和明さん(第164回研究会、100625)


■<梅雨の晴れ間の164回研究会・小林ぶんじん>
 25日夜の研究会は、久しぶりの谷和明さん(東京外国語大学)がゲスト。ロンドンやハンブルクについてのご報告は、何回かに分けて、日本の社会教育や公民館を視野に入れながら、ゆっくり吸収したいほどの内容。未消化のところもあり、新しい言葉もあり。東アジアの諸問題について、このような(1世紀ほど前を歩いてきた)ヨーロッパの成人教育や社会文化運動の動きとの対比で考えていきたいものだ、とあらためて思いました。
 常連メンバーが風邪や別用でお休み。岩本陽児さん「…本日の研究会、谷先生のご報告を楽しみにしていましたが、急なことでいま、九州に来ています。11日(七夕の会)にお目にかかります。盛会でありますように…」(Fri, 25 Jun 2010 19:08)の連絡など。しかし珍しい参加者が多く、賑やかな一夜でした。「いちど、谷先生の話を聞いてみたい」「案内で久しぶりに谷先生のお名前を見たので…」など、HPの案内効用も満更捨てたものではない。研究会を毎月定例化してきた15年の歳月、やはり「継続は力」です。
 終了後の懇親会はことさらに話がはずみました。谷さんと何度かハンブルクを訪問した故石倉裕志さんの思い出も。この夜、谷さんはいくつか歌をうたいました。名残り尽きず、店をでたのはかなり遅く、埼玉や千葉に帰る人たちは最終便に間に合ったかしら…と心配。
 研究会の記録は別に「風」に送られてくるはずです。7月の定例研究会は、東京「23区の社会教育・生涯学習の動き」について、23区関係者と合同で開くことになりました。7月23日(金)を予定。(南の風
2460号 6月26日)


◆第163回:Dr.Adel 「カイロの日本研究とアーカイブづくり構想」
(5月28日予定を繰り上げ)
                 遠藤輝喜(Sun, 2 May 2010 01:46)
 <カイロの日本研究、日本図書館の構想(アーデル氏)>
 ゴールデンウィークはいかがお過ごしですか。ひと休みされているでしょうか。
 さて、南の風でご案内のように、われわれの友人であるカイロ大学のアーデル・アミン氏が5月6日に来日される予定です(日本大学で開催される中東学会に出席)。TOAFAEC 5月の定例研究会は、アーデルさん来日の日程に合わせ、最終金曜の定例日を第2金曜に変更し、下記のように開催することになりました。
 カイロ大学では日本語講師の募集があり、何よりもカイロに日本図書館を創る画期的な構想が動きはじめているとのこと。その中心的な役割を担っているアーデルさんの貴重なお話をお伺いしたいと思います。私たちとしても、必要な情報の提供・交流の機会にいたしましょう。
 アーデルさんは今年の新年会にも来日されました。今回は4ヶ月ぶりの再会、いつもの交流会(会場・イーストビレッジ)を拡げて、歓迎の楽しいひとときを過ごしたいと存じます。さわやかな5月の一夜、皆様お誘い合わせの上、ご参加くださいますようご案内申し上げます。
日 時:2010年5月14日(第2金曜日)18:30〜20:30
ゲスト:Adel氏(カイロ大学)
内 容:カイロの日本研究、日本図書館の構想など
会場:東京(杉並)高井戸地域区民センター第五集会室
     〒168-0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL03-3331-7841
     京王井頭線「高井戸」駅下車、環七を渡ってすぐ、徒歩3分
終了後・歓迎会:イーストビレッジ 03-5346-2077
連絡先:遠藤輝喜 090-7942-4785

★記録 江頭晃子(Mon, 17 May 2010 23:24)
参加者:(敬称略)アーデル・アミン(カイロ大学)、青山鑛一(日印協会)、土屋礼子(早稲田大学)、八朔友二(旧ふるさと・きゃらばん)、齋藤真哉(板橋区大原社会教育会館)、小林文人、遠藤輝喜、山口真理子、張林新(二次会から)、江頭晃子
内容:
 新年会など宴会ではお馴染みなDr.アーデルですが、真剣な話をゆっくり聴くのは初めてかも? アーカイブづくりへの熱い思いを語っていただきました。
 サウジアラビア、ヨルダン、シリア、チュニジア等でも日本語学科ができたり、日本財団による日本語教室も増え、21カ国のアラブの国々では、かなり日本語が普及してきた。カイロ大学日本語学科の大学院生は 460人在籍し、更にエジプトと日本政府(JICA)による共同プロジェクトで大学院レベルの「エジプト−日本・科学技術大学」も1学年800人規模で開校する。
 一方、私が日本留学を終えてカイロに帰って唖然としたが、日本に関する資料の蓄積はなく、日本語は普及していても日本研究はすすんでおらず、論文執筆もままならない。カイロの日本大使館も文化的拠点となりえていない。また、日本でお世話になった大学教員が退職を迎え、貴重な資料群が散逸する話を聞き、それらの資料も活かしつつ日本研究・交流の場、次世代の育成、日本文化の拠点としての「カイロ・日本アーカイブ」をつくれないかと動き始めた。今回の来日で、資料収集等については国際交流基金等の援助を受けられる見込みがあり、開設後の運営についても日本系企業等の協力が得られるであろう。今一番大きな課題はどう施設をつくるか、である。政府レベルでつくりカイロ大学内に日本研究所をつくって下部組織としてのアーカイブとするか、NGOを設立し土地を購入して海外援助により建物をつくるか。両方のメリット・デメリットを考えながら、実現に向けて動いている。

 参加者から質疑応答や実現に向けての意見交換が交わされました。私自身も市民活動資料のアーカイブづくりを始めたところ、政府レベルでも動くことが可能なアーデルさんに圧倒されました。ともに問われるのは、「インターネット時代のアーカイブ」の意味でしょう。個々人の資料の活用についてはインターネットが便利であるが、資料群があり人が集う「場」としての意味、印刷物として資料現物の「物」としての意味を、どう伝えられるかが課題だと感じました。
 白熱した議論ごと二次会のグランメールへ移動。20年以上前、17歳の若き青年であったアーデルさんとエジプト大使館・青山鑛一さん(文化参事官−当時)二人による貧乏旅行の珍道中を聞いた後、歌合戦に。エジプトの「ビラーディ・ビラーディ」(アーデルさん)。久しぶりに聴く八朔さん作詞作曲「電話の向こう」の初恋?歌、そしてふるきゃらの名曲。最後は日本語(山口さん)、ロシア語(土屋さん)による「百万本のバラ」合唱、終ったのは11時30分でした。
カイロ大学・アーデル氏(163回研究会、100514)

アーデルさん「ビラーディ・ビラーディ」を歌う(イーストビレッジ、20100514)



◆第162回:岩本陽児さん(和光大学)イギリス報告

                  遠藤輝喜、Fri, 12 Mar 2010 20:40
案内 花の季節、新年度を迎えて、皆様には如何お過ごしでしょうか。人事異動、去る人・来る人もあり、慌ただしくお過ごしのことと存じます。
 さて、TOAFAEC 研究会(1995年〜)の前身は「戦後沖縄社会教育研究会」(1976年発足、東京学芸大学研究室)です。その初期の有力メンバー・比嘉佑典先生をお迎えして、4月定例会を下記日程で開催します。
 比嘉先生は、今年3月で東洋大学教授を定年退職されました。沖縄やんばるのご出身。戦争と戦後の困窮時代を体験され、多彩な経験を活かしつつ、教育学、社会福祉、児童文学、アジア文化論、創造性の研究など諸分野にわたり「総合科学としての創造学」の境地を歩まれています。
 昨年末には、『教育の原像 育ちのエコロジー』と題する名著を、自ら創設された「遊びと創造の森図書館」から出版されました。少年時代からの自分史の記録が実に面白い本です。驚くほどの体験に根ざした興味深い話をお伺いできると思います。
 当日は、めでたく定年退職を迎えられたお祝い会でもあります。あわせて、1年の在外研究を終えて英国から戻られた岩本陽児さん(和光大学、TOAFAEC事務局)の帰国歓迎の乾杯もいたしましょう。
 皆様、お誘い合わせの上、ご参集ください。
日時:2010年4月23日(金)18:30〜20:30  *連休に入る前の金曜日です。お間違えないように。
テーマ:沖縄の教育をめぐって−体験的に−       
★プログラム変更! 
ゲスト:比嘉 佑典氏(東洋大学教授−3月定年退職) 急な別用が生じ、お出でになれなくなりました。
会場:杉並・高井戸地域区民センター第二集会室 
  報告は岩本陽児さん(和光大学)に交代。
〒168-0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL03-3331-7841    
「レディング通信・余談など」
 *井の頭線「高井戸」、環八歩道橋を渡ってすぐ、徒歩3分)   
(比嘉さん報告は、9〜10月に延期) 
終了後、お祝い・交流の会:「イーストビレッジ」TEL03-5346-2077
連絡先:遠藤輝喜 090−7942−4785
★記録             記録:山口真理子,(30 Apr 2010 09:39:18)
参加者:岩本陽児,遠藤輝喜,小林文人,包聯群,山口真理子
内容:岩本陽児(和光大学現代人間学部)さん報告
    「英国環境史事始め:すぐれた環境の中で暮らすことを求めた市民たち」
 イングランドの「入会地」(commons)は、地主の所有権がはっきりしている私有地だが、地域の住民(主として農民)に対して家畜の放牧や薪炭採取など、生活のための土地の利用権を認められていた。
 しかし、1760年ごろに始まった産業革命は、農業(=入会地)にも大きく影響していく。折からのロンドン周辺の鉄道開発ブームにより、鉄道用地となって消滅していった入会地もある。一方、人口が大都市に集中し、多数の労働者は庭のない家(スラム)で生活するようになる。
 大量の石炭が燃やされることにより、都市は日常的にスモッグに覆われるようになり、都市の「肺」=緑地への価値が高まっていった。
 このような背景の中でノブリス・オブリージュ(高貴なる者の義務)の考え方から、中産階級の「社会改良運動」家が労働者階級のために奔走、1860年代にグラッドストーン自由党内閣の有力政治家ルフェーブルが「入会地保存協会」を設立することになる。
 これは時代を代表するインテリや影響力の大きい人を糾合し、入会地における伝統的な慣行から、市民一般が享受できるオープンスペースとして保存しようという動きになり、この「入会地保存協会」を母団体として、1895年にナショナル・トラストが創立された。
 国民共有の美しい景観、歴史的由緒ある場所を保存していこうという動きは、第一次世界大戦により自国を改めて認識するようになったことやレジャーの時代を迎えることにより、更に強まり、1926年「田園イングランド保存協議会」の設立、1947年「都市田園計画法」(土地の所有権と開発権を分離、公共の福祉の見地から私権へ介入)の成立につながっていった。
 感想:この日のお話は、第147回(2009/1/28)定例会での「日本のナショナルトラスト運動について」報告の、前史に当たるとも思われる内容でした。

 本題に入る前には、レディング滞在中に開催された共進会の様子がプロジェクタにより映し出されました。大がかりな電動のこぎり(もしくは移動式製材所?)や巨大な脱穀機、かと思うと、個人の持つこだわりの年代物の展示。1900年代前半の機械・物が今なお健在で、出品者も誇らしげでした。
 私は、「南の風」で紹介された映画「こつなぎ 山を巡る百年物語」(岩手県小繋事件ー1917年「入会権確認・妨害排除」を求める民事訴訟、1926年第2次訴訟を経て、1966年反対派農民側の敗訴、1975年調停成立)を見たばかりでしたので、同じ入会地の問題でも、環境保全に動いていったイギリスとは随分違うなあ、と思ったことでした。終了後には、無事帰国・帰朝講演を祝って盛大に乾杯しました。(会場・イーストビレッジ)
岩本陽児(和光大学現代人間学部)さん(20100423)



◆第161回:東アジア大都市社会教育・生涯学習の展開と可能性
座談会
                   記録内田純一・高知大学 (Thu, 15 Apr 2010 00:32)
ご案内 この5年、上海、ソウル、台北など東アジア大都市の社会教育・生涯学習の躍動にはめざましいものがあります。施設や法制の充実といった条件整備にとどまらず、NPOや市民活動の興隆、都市問題固有の地域(社区)への注視など、そこには、あらためて社会教育・生涯学習の可能性を探る数多くのヒントが隠されているように思います。現在編集中の『東アジア社会教育研究』第15号では、この「大都市」に焦点をあて《特集》を組むこととし、特別企画として、下記の通り、各都市の動向と可能性を多面的、多角的に語り合う座談会を実施することにいたしました。
 大都市社会教育研究といえば、日本では大都市の社会教育職員と社会教育学会関係者とによる「研究と交流のつどい」が30年来続いてきています。今回の座談会でも、その蓄積や日本の最新動向をも織り交ぜながら進めていきたいと思います。その意味でも、座談会(指定報告者設定)ではありますが、TOAFAEC の定例研究会(第161 回)として積極的に位置づけながら、多くの方の参加を得る中でこの座談会を創っていきたいと考えています。多方面からのご参加をお待ちしております。
日時:2010年4月10日(土)14時00分〜17時30分
場所:杉並区・永福和泉地域区民センター第二集会室
     →■(井の頭線永福町駅より徒歩3分) *いつもの高井戸区民センターではありません!
     http://www.yoyaku.city.suginami.tokyo.jp/HTML/0006.htm
報告:@姜乃榮さん(ソウル・希望製作所)からは、韓国大都市における市民運動・地域連帯の動向
      を通して、社会教育・平生学習への問題提起をしていただく予定です。
    A上田孝典さん(筑波大学)からは、中国上海市における終身教育・社区教育の近年の躍動を
      中心に、その可能性と課題を整理していただく。
    B石井山竜平さん(東北大学)からは、日本における大都市社会教育研究の蓄積と近年の動向
      を踏まえつつ、今後の方向性を提起していただく予定です。
 この他に、台北市における社区大学・終身学習・社区営造の動向や日本におけるNPO・市民活動、多文化共生、都市における地域・自治といった視点からの発言者をお願いしています。
 なお終了後に、駅前の中国料理店「綺紗羅(KISARA)」( 03-3323-5580)で、東アジア交流委員会(夕食・懇親)を予定しています。→■ 座談会に引き続きご参加いただければ幸いです。
連絡先(事務局):遠藤 090-7942-4785、内田 090-9973-6179
*関連記事 「南の風」2417号日誌(4月11日)「風の部屋・古酒のカメ」→■
★記録
報告:姜乃榮(ソウル・市民運動)、上田孝典(筑波大学)、石井山竜平(東北大学)
参加者:小田切督剛(川崎)、瀬川理恵(横浜)、遠藤輝喜(渋谷)、川野佐一郎(相模原)、
   柿沼陽子(NPO横浜市民アクト)、 高橋和哉(社会福法人・視覚障害者支援総合センター)、
   江頭晃子(市民活動サポートセンー・アンティ多摩)、トクタホ(成蹊大学アジア太平洋研究
   センター)、馬麗華(東京大学大学院生)、金侖貞(首都大学東京)、李正連(名古屋大学)、
   山口真理子(調布・記録)、小林文人(杉並)、内田純一(進行・総括)、計 17名。
   <夕食懇親会より参加> 岩本陽児(和光大学)、陸善(和光大学院生)    <敬称略、順不同>
内容: 姜さんからは、市民が制度や政策を「活用」しながら、生産共同体運動や教育福祉特区、コミュニティビジネスといった新しい概念を取り入れた統合的で持続可能な都市におけるまちづくり活動の報告がなされました。姜さんの問題意識としては、ご自身が市民活動家として、都市の課題を克服する活動をしながらも、現在の平生学習事業や学会・研究者との間にギャップがあるということでした。
 上田さんからは、急激な生活変化が人々の意識や価値観を変えてきている中国社会の状況と、多くの矛盾を抱え込んだ都市の再生装置としての「社区」概念、上海市の街道レベルに見られる「社区センター」の建設ラッシュの可能性、加えて従来から広がるノンフォーマルな活動を通した下からの組み替えへの期待が示されました。
 石井山さんからは、官民パートナーシップの「質」を問うことが、日本大都市社会教育の重要な論点となってきていること。ドイツ社会文化センターの活動から見えてくる課題克服の視点として、行政を内発的に変える力をいかに蓄え発揮するか、集団の力を蓄える共同学習、制度や法のもつ意味をあらためて考えるなどが提起されました。
 大都市はある意味で社会の縮図であり、そこでの社会教育・生涯学習は、現代の貧困問題を始め、あらゆる課題と向き合い、自治と統制、市民と行政、地域と国家といった矛盾や葛藤を含みながら、新たな進化・深化が求められている。民主化や市民社会構築を原動力とする東アジア大都市の今日的躍動の中にこそ、これまでの発想に縛られない視点や課題がに見いだせるのではないか、このようなことを考えさせられる時間でした。
 今後は、この記録をベースに、本会の中で出された職員論や中間組織論、大学論や他の動向などをメール討議により加筆補強し、今秋発行予定の『東アジア社会教育研究』第15号に特集としてまとめ上げて行く予定です。

 座談会終了後、近くの中華料理「綺紗羅」で、夕食懇親会・東アジア研究交流委員会が開かれました。4月2-3日に韓国カンヌン市で開催された第一回韓日・平生教育・社会教育セミナーの様子や、今後の委員会活動について意見交換がなされました。途中から岩本陽児さん(和光大学)と陸善さん(和光大学大学院生・韓国)も加わり、新年度の新たな門出にあたって、いくつもの乾杯がかわされました。
 その後、三次会として「風の部屋」へ移動。私自身飲み過ぎで、その後の記憶がはっきりしません。この様子については、どなたかフォローをお願いします。 

座談会 左・石井山竜平さん、右・姜乃榮さん(永福区民センター、20100410)

三次会・古酒カメを囲んで(風の部屋、20100410)


◆第160回研究会(2010年2月26日)までの記録(6)→■




                        トップページへ