【TOAFAEC研究会前史】(T)           TOP へ
1,戦後沖縄社会教育研究会(1976〜1986)
2,戦後沖縄社会教育研究会(1986〜1995)
3,東京学芸大学・小林研究室・留学生特別ゼミ(アジア・フォーラム)→■
【TOAFAEC研究会記録】(U)
◆TOAFAEC定例研究会記録(1)−1995年〜1999年
◆TOAFAEC定例研究会記録(2)2000年〜2001年
◆TOAFAEC定例研究会記録(3)−2002年〜2003年

◆TOAFAEC定例研究会記録(4)−2004年〜2005年
◆TOAFAEC定例研究会記録(5)−2006年〜2007年
こちら■

◆TOAFAEC定例研究会の記録◆(6)
     −第136回・2008年1月〜160回・2010年3月−
 
          ◆第161回以降の研究会記録(7)→■(次ページ)


◆第160回:『東アジア社会教育研究』第15号編集をどうすすめるか 
 <案内>                    *遠藤輝喜(Fri, 5 Feb 2010 04:08)
立春とはいえ春は名のみ、寒い日々が続いておりますが、皆様にはお元気でご活躍のことと拝察いたします。
 さて2月のTOAFAEC 定例研究会は第160 回を迎えます。本年度の研究年報「東アジア社会教育研究」15号発行の準備を早急に進める必要があります。あわせて今年の東アジア・沖縄の研究交流の取り組みについても協議したいと思います。
 第15号の特集テーマについては、すでに内田純一編集長から編集委員会MLを通していくつかの提案が配信されております。第14号の積み残し、新たな課題を含めて検討していきたいと存じます。
 お忙しいとは存じますが、皆様(とくに編集委員の方々)万障繰り合わせの上、ご参加下さいますようお願い申し上げま。
日時:2010年2月26日(最終金曜日)18:30〜20:30
内容:(1)「東アジア社会教育研究」第15号の編集協議:内田純一編集長ほか
    (2) 東アジア・沖縄の研究交流の取り組み:参加者
会場:東京(杉並)高井戸地域区民センター第一集会室
     〒168-0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL03-3331-7841
     京王井頭線「高井戸」駅下車、環八を渡ってすぐ、徒歩3分
終了後・交流会:「イーストビレッジ」TEL03-5346-2077
連絡先:遠藤輝喜 090−7942−4785


<記録> 南の風2396号(2010年3月10日) 内田純一(Tue, 9 Mar 2010 23:36)
 2月26日(金)第160 回TOAFAEC 定例研究会として、現在編集を進めている『東アジア社会教育研究』第15号に関する会議を開催しました。参加者は、江頭、遠藤、小林、瀬川、山口、内田。内容は「特集テーマ」と「全体構成」についてです。
 前者については、東アジアにおける大都市社会教育・生涯学習の展開とその可能性を取り上げることになりました。中国、韓国、台湾そして日本の大都市社会教育・生涯学習の方向性を市民社会やNPOの胎動とともに取り上げていきたいと思います。具体的には、第14号「東アジアの社会教育・生涯学習法制を考える」で実施したように、まずは各国の皆さまによる座談会を実施し、それを基にEメールでの補足や資料によって、紙面を作成していく予定です。座談会は、4月10日(土)に東京で開催します。詳細は後日またお知らせします。
 後者については、近年、活動が顕著な国ごとの研究交流成果を活かす形で考えることにしました。具体的には、特集の第一部に続いて、第二部「中国の成人教育・終身学習」、第三部「韓国の平生学習」、第四部「沖縄研究」など。中国分野は「中国生涯学習研究フォーラム」、韓国分野は「韓国生涯学習研究フォーラム」、沖縄分野は沖縄研究関係者の面々が、それぞれに企画や翻訳作業等を担う形です。その他、研究覚書や調査報告などを主とする「フィールド・ノート」や、交流を重視した「東アジアのひろ
ば」も従来通り設定していく予定です。
 最後に、【南の風】第2358号でもご案内しましたが、TOAFAECのホームページには、本誌の「投稿要領」も掲載されています。積極的な「投稿」をお待ちしております。
 編集に関する会議を兼ねた定例研究会終了後は、いつものイーストビレッジに集いました。途中からは、米山義盛さんも駆け付けて下さいました。米山さんはこの3月で2年間過ごした東京を離れ、ふるさと長野に戻られるとのことでした。可能なら「東京での2年間」を東アジア社会教育との関連で執筆いただければ有り難いところです。
交流会の終わり、イーストビレッジにてー20100226−



◆第159回:パレスチナ(ヨルダン川西岸)難民キャンプにおける文化センターの活動
                     
    (小林文人、Sat, 02 Jan 2010)

 <案内>昨年9月の日本社会教育学会(大東文化大学)でユニークな研究発表が注目されました。東京都板橋区・社会教育会館の平和教育の実践から始まり、そこに参加した学習者に触発されて、イスラエル・パレスチナ問題に取り組み、パレスチナ(ヨルダン川西岸地区)難民キャンプ・文化センターの青少年・文化芸術活動に関するフイールドワークに挑戦した貴重な報告です。発表者は、板橋区の社会教育主事(斉藤真哉さん)と早稲田大学大学院生(佐治真由子さん)のコンビ。
 東京の地域にねざす社会教育施設の実践と、国際的な紛争の真っ只中に芽吹く青少年・文化芸術活動を串刺しにして、現場の社会教育主事と大学院生が学会報告するという果敢な試み。お二人にまずは拍手をおくる気持ちをもって、私たちの研究会にお招きすることにしました。
 学会の自由研究発表はわずか20分、TOAFAEC 研究会では1時間前後の時間を用意して、ゆっくりとレポートを聞き、施設実践と世界が当面する課題について語りあいたいと思います。
 斉藤さんは、1ヶ月前(年末)にもイスラエル・ゴラン高原に出かけ、緊迫した状況を伝えていただいたばかり(風2350号、2354号)。最新の報告もうかがえることでしょう。めったにない機会、寒い夜ではありますが、皆さま、お誘い合わせの上、ご出席ください。
          記
日時:2010年1月29日(最終金曜日)18:30〜20:30
テーマ:パレスチナ(ヨルダン川西岸)難民キャンプにおける文化センターの活動
                           −青少年の文化芸術活動について
報告者:斉藤真哉さん(東京・板橋区教育委員会・社会教育主事) 
     佐治真由子さん(早稲田大学・大学院)
会場:東京(杉並)高井戸地域区民センター3F・第一集会室
    〒168-0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL03-3331-7841
    京王井頭線「高井戸」駅下車、環八を渡ってすぐ、徒歩3分
終了後の交流会:「イーストビレッジ」駅近く、 03-5346-2077
連絡先:遠藤 090-7942-4785、山口090-1548-9595

<記録>
 瀬川理恵Tue, 2 Feb 2010 16:17:29) 南の風2376号(2010年2月3日)
参加者:江頭晃子、遠藤輝喜、小林文人、山口真理子、瀬川理恵
 斎藤さんは、平成2年度から区民とともに時事問題セミナーで平和学習を継続。人権学習グループとも繋ぎ、区全体に人権と平和を守る暖かい人々の輪を創っていった。平成20年度の「平和と人権」フォーラムを機に、企画委員らの熱い思いに後押しされ、企画委員Oさん、社会教育指導員の佐治さんとともにパレスチナを訪れた。
 佐治さんは平成20年度から斎藤さんとペアを組み仕事をはじめた。ご自身の人権へのこだわりや、高校・大学時代の平和学習での学びは、斎藤さんと共通する点が多く、昨年は斎藤さんとともに2回パレスチナを訪問。訪問先の国連施設にある文化センター等でインタビューを実施。厳しい環境の中、若いスタッフが、「子ども達に自分たちと同じような辛い思いをさせないように」と、演劇などを学び、世界中に発信しようとしていることを知った。
 お二人は現地の状況や、出会った人たちのことを日本に伝えていくのが、平和への一歩であるとし、区民とともに、講座や映画、演劇や絵本など、手法・対象を変えて発信を続けている。
 ジャーナリストでない日本人が中東に入国するのは希有で、出国時は大変なチェック・嫌がらせを受けるという。それでも現地を訪れ、笑顔とガッツで知り合いを増やしていくお二人。そこに区民の人権・平和への思いが加わり、板橋発の「人権と平和のメッセージ」は輝いて見えた。「差別や偏見、人権が踏みにじられるもの、その最たるものが戦争です」との斎藤さんの言葉が印象的だった。
 二次会では、稲嶺進氏の名護市長当選の興奮が未ださめやらず。本会、二次会一貫して、平和と人権の尊さ、信じて行動する大切さを再確認し、「光は必ず闇にうち勝つのだ」という希望の言葉をかみしめた一夜になった。
右より2人目・斉藤真哉さん、3人目・佐治真由子さん
  (研究会の帰路、高井戸環八陸橋にて、撮影・遠藤輝喜さん、20100129)



◆第158回:末本誠さん還暦・アラカン集合!

               山口真理子、Thu, 3 Dec 2009 12:44
 <東京・神戸 それからのわたし(末本誠氏)>
 ご案内 12月の定例会は、今年還暦を迎えられたTOAFAEC代表・神戸大学教授の末本誠さんをお迎えします。末本さんは今期の日本社会教育学会・副会長でもあります。
 東京を離れられた後の事をいろいろお話しくださるそうです。神戸にお住まいのため、なかなか普段はお目にかかれません。どんな話をお伺いできるか興味津々。この機会に、皆様お誘い合わせの上、是非ご参加ください。
 なお、お話の後は、還暦を祝う会と恒例の忘年会です。末本さんと合わせて、還暦(団塊)世代のお祝いの機会にもなれば、と思います。 
日 時:2009年12月20日(日)午後4時〜
    *いつもと曜日も時間も異なります。ご注意ください。
     また会場も、当日・高井戸区民センターが休館日のため、定例会なじみのレストランに特に
     お願いしました。
会 場:イーストビレッジ(東京・杉並) 03-5346-2077
    *井の頭線・高井戸駅下車、徒歩2分。駅から続く歩道橋で環八通りを渡り左へ。神田川を越
     えてすぐのビル、駐車場を通り抜け右に進む。環八沿いのビルの裏側。
内 容:第T部(お話)午後4時〜 末本誠さん「東京・神戸 それからのわたし」
      第U部(還暦お祝いと忘年会)午後5時半頃から開会
参加費:実費
連絡先:東京・沖縄・東アジア社会教育研究会
      事務局:遠藤輝喜 090-7942-4785、山口真理子090-1548-9595


<記録>
 江頭晃子(Tue, 22 Dec 2009 23:13) 南の風2349号(12月23日)
参加者:トクタホ、小林文人、山口真理子、瀬川理恵、遠藤輝喜、前本(鈴木)多美子、
      宍戸(石津)淑、金侖貞、小林富美、江頭晃子
 第一部では、ジャスト還暦を代表して、末本誠さんから「東京・神戸、それからの私」と題して話していただきました。神戸に行ってほぼ30年、この間何をやってきたのか、神戸に行って分かったこと、考えていることなどを、家族・仕事・趣味などの側面から、ざっくばらんに話されました。
 権力に近い東京という磁場から解放された意味、学生時代にしこまれた運動的・実践的に動くことが場所が変わることによって困難になり新たな研究スタイルを模索したこと、戦後の社会教育研究を築いてきた先輩と新しい考えを持ち込んでくる若手の間に挟まれ気づいた研究視点や学生との接し方、「書」との出会い、大学内の新しい取り組みであるヒューマン・コミュニティ創成研究センターでの社会教育の枠と希望を広げようとする取り組み、2000年にフランスに行った際に出会ったさまざまな研究者や組織、目から鱗が落ちたガストン・ピノの著書『人生の創造』、そしてライフストーリー研究。成人教育にどうライフストーリーを活用できるのか、これまでの沖縄研究とのつながり、そして本年度からの学会副会長としての抱負などなど、ヒューマニティあふれる末本節に聴き入った90分でした。
 第二部では、アラカン4人(末本、山口、石津、前本の皆さん)を中心に大学時代のエピソードや仲間たちの現在のこと、東京の教育現場の現実などの話、山口さんからは名護市長選に出る稲嶺進さんを応援するチラシも配られ辺野古のことなども語り合いました。そして歌合戦……、末本さんの歌声を聴けた貴重な機会ともなり、沖縄・モンゴルの歌、最後は山口さんの歌声で閉会しました。


左・末本誠さん(イーストビレッジ、20091220)



◆第157回:石倉さん祐志を偲ぶ
           江頭晃子、Mon, 02 Nov 2009 23:20
 <案内> 石倉祐志さん(生活クラブ生協、東京学芸大学OB、東京・沖縄・東アジア社会教育研究会・前事務局長)が7月末に急逝されてから4ヶ月になります。
 「偲ぶ会」を下記の日程で開催することとしました。石倉さんとご縁のあった多くの方々にご参集いただきたく、お誘い合わせのうえ、ぜひご参加ください。ご参加いただける方はメール、電話等で事前にご一報いただけますと助かります。欠席される方のメッセージもお待ちしております。
とき:2009年11月27日(金)
なかみ:第一部 石倉祐志さんを偲ぶ(午後6時30分〜8時20分)
      会場:杉並区高井戸地域区民センター3F第一集会室(「地域と教育を考える会」で会場予約)
      第二部 献杯・交流(午後8時30分〜10時30分) 
      会場:イーストビレッジ 03-5346-2077(食事をしながら)
参加費:実費
連絡先:東京・沖縄・東アジア社会教育研究会
    遠藤輝喜 090-7942-4785、野村千寿子chizun1221@gmail.com
    江頭晃子ringox@nifty.com、山口真理子090-1548-9592

 <記録>     山口真理子(Tue, 1 Dec 2009 06:14) 南の風2327号(12月2日)
参加者:石倉陽子,小林文人,浅野浩一,遠藤輝喜,勝冶(飯沢)美樹,小峯みずき,佐々木一郎,
 田中美奈子,野村千寿子,八朔友二,平井教子,黄丹青,真壁繁樹,山口真理子(以上第1部から)
 遠藤紀子,白井健二,染谷美智子,立澤美緒子,武士田忠,米山義盛(以上第2部から)合計20名
 参加者の顔ぶれは、東京学芸大学の同級生・先輩・後輩が多いのですが、職場の同僚、TOAFAEC を通じて、あるいは先生を囲んでの新年会や七夕の会で一緒になった、という人々も駆けつけました。
 このような会ではいつも、多方面にわたって活躍してくださる江頭晃子さんが、お子さんの急病で参加されなかったのは残念でしたが、石倉さんの遺稿・追悼集「みなさま こんにちわ 石倉@ハンブルク・アルトナです」を作成してくださいました。
 この日のために、石倉さんのご両親が寄せてくださったお手紙や、はるか中国・烟台より送られた伊藤長和さんの「石倉祐志君を悼む」の詩も載せられていて、その出来に感嘆するとともに、短期間でこのように仕上げてくれたことへの驚きと感謝の声が一様に出ました。
 先生が風2335号に、また飯沢美樹さんが2336号に書いておられますように、この日の会は涙あり,語りあり,歌あり,このような会には不似合いな言葉かもしれませんが、盛況でした。

 石倉陽子さんが「亡くなった日は、笑顔で出て行って(出勤)、笑顔で帰ってきた(死に顔)ので、良かったと思う」と繰り返し、おっしゃっていました。
 「彼は明るい鬱だった」とも、「本質的には健康だった」、あるいは「静かな闘士だった」(別の方の言葉でしたっけ?)とも。
 一緒に暮された期間は短かったかもしれないけれど、濃いお付き合いだったのでしょうね。それだけに、これから2人で歩む将来への夢を突然断たれてしまわれたことが、いかにも無念に思われます。
 第2部は、石倉さんが育った研究室、その後のTOAFAEC や沖縄研究などにまつわる歌の会とでも言いましょうか、とにかくすごかったです。
 石倉さんはあまり歌をうたわなかった、という話題も出ました。むしろ音痴だった(陽子さん)ようですが、でも、歌が好きなことは確かだったようですので、石倉さんも、あの日は楽しかったろう、と思います。
 石倉さんの人徳で、楽しく過ごすことができた会でした。
第1部(高井戸地域区民センター、091127)


○石倉祐志さんを偲ぶ会(小林ぶ) 南の風2325号(11月28日)
 晩秋の一夜、TOAFAEC の第157 回研究会として開かれた「石倉さんを偲ぶ会」(11月27日)。彼がとりもつ縁で、珍しい人、懐かしき友、研究会初参加の方も含めて、多彩な顔ぶれが集った一夜でした。それぞれの追悼・懐旧談はしみじみと心にしみるところがあり、飾られた遺影は、最後まで微笑んでいました。
 江頭晃子さん(お子さん発熱のため欠席)が、この夜のために間に合わせた遺稿・追悼集の1冊は50ページ。読み応えのある記録。伊藤長和さんが烟台から寄せた「石倉祐志君を悼む」詩も紹介されています。
 「君の笑顔に癒されて、君の笑顔に励まされ、君の笑顔で助けられ、
  君の笑顔に包まれて、君と共に生きてきた・・・」と。
 ぶんじんは、追悼にも書いたことですが、「…研究者は大学の中にだけいるのではない、むしろ実践・運動のフィールドにこそ研究者が育ってほしい、そんな話をした日」もあり、「自らも在野の研究を心に秘めた一時期があった」こと、しかし体調のこともあり、必ずしも志は実を結ばなかったことを惜しむ話をしました。
 集い、語り、飲みながら、よく歌いあった研究室。当時の仲間たちが久しぶりに顔を合わせたのですから、第2部・献杯の席はほとんど歌の会、石倉くんも喜んだことでしょう。八朔友二や旧応援団メンバーによる「ふるさときゃらばん」メロディ、沖縄の歌。強要して「仰げば尊し」も歌ってもらった!
 会場「イーストビレッジ」は彼が見つけだした店です。マスターもそのことはよくご存知。研究会のあと、毎回ほとんど貸切のかたちで利用してきた歳月。時間の過ぎるのも忘れて会はいつまでも果てず。恒例の「百万本のバラ」熱唱(山口真理子)で、ようやく納得して別れた夜でした。
第2部(イーストビレッジ、、091127)



◆第156回:韓国・平生教育の展開をどうみるか
                         (小林文人、Wed, 30 Sep 2009 10:36)
 <韓国・平生教育の展開をどうみるか>
 ご案内 先日の日本社会教育学会(大東文化大学)でユニークな研究発表が注目されました。東京都板橋区・社会教育会館の平和教育の実践から始まり、それに参加した学習者に触発されて、イスラエル・パレスチナ問題に取り組み、パレスチナ(ヨルダン川西岸地区)の難民キャンプ・文化センターの青少年・文化芸術活動に関するフイールドワークに挑戦した貴重な報告です。発表者は、板橋区の社会教育主事(斉藤真哉さん)と早稲田大学大学院生(佐治真由子さん)のコンビ。
 東京の地域にねざす社会教育施設の実践と、国際的な紛争の真っ只中に芽吹く青少年・文化芸術活動を串刺しにして、現場の社会教育主事と大学院生が学会報告するという果敢な試み。お二人にまずは拍手をおくる気持ちをもって、私たちの研究会にお招きすることにしました。
 学会の自由研究発表はわずか20分、TOAFAEC 研究会では1時間前後の時間を用意して、ゆっくりとレポートを聞き、施設実践と世界が当面する課題について語りあいたいと思います。フイールドワークで撮った映像も用意していただけるとのことです。めったにない機会、秋の夜のひととき、皆さま、お誘い合わせの上、ふるってご参加くさい。
日時:2009年10月30日(最終金曜日)18:30〜20:30
テーマ:パレスチナ(ヨルダン川西岸)難民キャンプにおける文化センターの活動
                           −青少年の文化芸術活動について
報告者:斉藤真哉さん(東京・板橋区教育委員会・社会教育主事) 
     佐治真由子さん(早稲田大学・大学院)

*斉藤真哉さんから急なご連絡!叔母上(群馬)が急逝され、当夜お通夜と重なり 出席できないそうです。佐治さんだけで報告・・・という案も出ましたが、お二人コンビの研究報告なので、来年1月定例研究会(2010年1月29日予定)に延期することにしてはどうか、と提案しておきました。→事務局でご検討下さい。(10月29日記)
*第156回研究会プログラムは、急ぎ次のように変更します。
テーマ:韓国・平生教育の展開をどうみるか
     −第8回全国平生学習フェスティバル(10月8〜12日)に参加して
報告:小林文人(TOAFAEC顧問)


会場:東京(杉並)高井戸地域区民センター・第一集会室
    〒168-0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL03-3331-7841
    京王井頭線「高井戸」駅下車、環七を渡ってすぐ、徒歩3分
終了後の交流会:「イーストビレッジ」駅近く、 03-5346-2077

<記録>     【記録】瀬川理恵(Tue, 3 Nov 2009 12:05)南の風2321号
日時:2009年10月30日(金)18:30〜20:30
テーマ:韓国・平生教育の展開をどうみるか
    ―第8回平生学習フェスティバル(2009年10月)に参加してー
報告:小林文人、参加者:遠藤輝喜、江頭晃子、瀬川理恵
 予定していた斉藤真哉さん(板橋区教育委員会・社会教育主事)、佐治真由子さん(早稲田大学・大学院)の発表が御親戚の御不幸のため急きょ変更になり、上記テーマで小林先生が発表されました。以下、主要な点をまとめて、報告します。
 韓国の平生教育法が成立して10年目。平生学習都市を指定し国が財政的支援を行う平生学習都市造成事業(全国自治体の約1/3が指定済)や、全国平生学習フェスティバル(3日間で数十万人参加)が、国策として実施(2001年)されてきた成果として、平生教育の地域実像(施設、平生教育士、自治体条例制定など)が最近はっきりと見えてきた。
 その手法を韓国は日本に学んだとし、私に日本の経過について、フェスティバル初日の平生学習都市最高指導者研修会で講演するよう依頼があった。確かに日本にも生涯学習モデル市町村や「まなびピア」の20年の施策があるが、韓国とは似て非なるものだ。私はハングル訳になっている松本市、名護市の公民館事例を紹介し7つの課題を提起してきた。
 韓国から見ると日本の社会教育には60年の歴史がある。いま日本の社会教育は、「新自由主義政策などの影響で社会教育は危機」と語られる場合が多い。確かに厳しい現実があるが、日本の蓄積と可能性についてもっと論議し展望をもつべきだとと思う。
 韓国では、平生教育に関して学歴社会につながる人的資源論と、地域・市民社会の形成という二つの路線があるように思われるが、今回は後者がぐんと前面に出てきたと感じた。いま盛んに使われる「マウル」という言葉は村と訳されるが、むしろ共同体のイメージであり、キーワードになっている。新しい市民ネットの共同体をどう創るかの志向である。
 この数年、日本の社会教育全国集会に韓国から20名ほどの方が参加し、我々の地域の実践や地域づくりの運動などを学んでいるようだ。逆に我々は、韓国の展開からその活力や拡がりを学ぶ必要がある。たとえば韓国の教育行政は、道・特別市・広域市のみにあり、基礎自治体(市町村)にはない。しかし2007年の平生教育法改正で平生教育の役割が市長にも付与された。一般行政の中での平生教育は混乱もあろうが、実際にはさまざまな一般行政所管の施設で社会教育的事業が取り組まれ、平生学習指定都市の中では一般行政の積極的役割が注目される。
 日本では、教育行政を一般行政と切り離して考えてきた。しかし教育行政の独立性が、他方で教育を狭くしてきている面もありうる。今後の一般行政の可能性と役割について、我々は教育の立場からもっと議論すべきではないか。私は今の韓国を見てそう考える。
 今回の平生学習フェスティバルでは、前日の国際学術会議で東アジアの新しい対話と交流への意気込み、その可能性が感じられた。中国のハン・ミン氏の欠席はその点で残念だったが、今後に注目していきたい。
第156回研究会報告(小林)−091030−


◆第155回:年報第14号合評会

        (遠藤輝喜、Tue, 8 Sep 2009 19:27)
 ご案内 蝉の声も小さくなり、朝夕はめっきり涼しく感じる頃となりました。皆様におかれましては、お元気にお過ごしのことと拝察いたします。
 8月のTOAFAEC 定例研究会は、長野県阿智村で開催された社会教育研究全国集会“この指とまれ”「日本韓国の社会教育・生涯学習の交流のつどい」として開かれました。  
 9月の定例研究は、9月18日予定の「東アジア社会教育研究」第14号の発行を祝い、特集等について関係者から苦労話などをお伺いし、これからの編集・取り組みの課題などを語りあう合評会にしたいと存じます。秋の一夜、皆さま、お誘い合わせの上ご参加くださいますよう、ご案内申し上げます。
日時:2009年9月25日(金曜日)18:30〜20:30 
内容:「東アジア社会教育研究」第14号お祝い!合評会
報告(案):黄丹青(目白大学)、小林文人、参加者・関係者から
会場:杉並区・高井戸地域区民センター第3集会室(特別室)
      〒168−0072杉並区高井戸東3-7-5 TEL 03−3331−7841
       *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分
事務局:遠藤輝喜(連絡先)携帯090−7942−4785
終了後・第14号お祝いの会:イーストビレッジ 03-5346-2077


 <記録>    
【記録】山口真理子(Sun, 27 Sep 2009 17:33)
内容:(1)第14号について:
・特集の座談会の形式は、法制という難しい問題を話し言葉で語ることによって、面白く読めるので
 はないかという意図があった。成功したのではないか。気楽に話しあって、かつ輪郭が良く分かる
 座談会になったと思うが、国によって強弱があることは否めない。
・フィールドノートは生(なま)の資料であり、蓄積していけば面白いものになる。事実を第一次資料
 として記録する大事なページ。
・沖縄の青年団運動の聞き書きは、回を重ねて興味深い。いま新しく女性活動家の証言収集が企画
 されている。貴重な証言になると思う。
(2)今後に考えられる特集テーマ:
・識字教育:日本には識字問題がないという誤った認識があって、基礎教育論がない。基礎教育論
 は発展途上国が中心となるが、先進国の問題としても新しい視点から「基礎教育」を考える必要が
 あるのでは…。識字教育は、韓国・中国の研究に学ぶところも大きい。
・大都市問題:日本では、政令指定都市研究の積み重ね、大都市・研究と交流の「集い」があり、また
 東京の深刻な問題もある。他方で東アジアでは上海・ソウルなどいま躍動の動きもある。これらの研
 究を結んで「東アジア・大都市の生涯学習」等の特集を考えてみる。
・各国の都市型施設と専門職制度の問題、など。
(3)その他:年報のあり方−大学紀要の二番煎じにはしたくない。
       東京研究会の必要性。10年の悲惨な経過を記録すべき。


◆第154回:日韓研究交流史とこれから・交歓会(阿智村・全国集会)
           
福島大学・浅野かおる、Wed, 19 Aug 2009 04:45)
 <第49社会教育研究全国集会−日韓交流「この指とまれ」>
 ご案内 阿智村で8月22日〜24日に開催される第49回社会教育研究全国集会に、今年も韓国平生教育総連合会から、チェ・ウンシル会長(亜洲大学校教授)をはじめ、16名の方が参加されます。7月にTOAFAEC 韓国訪問団がお会いし、お世話になった方々も多数おいでになります。
*朴仁周氏(平生教育振興院長)、パク・インジョン氏(平生教育振興院)、チェ・イルソン氏(同)、
 イ・ファヨン氏(同)、ヤン・ビョンチャン氏(公州大学校)、イ・ギュソン氏(平生教育実践協議会),
 シン・ミンソン氏(江南区女性能力開発センター長)、ホン・ミギョン氏(ソウル江南区女性能力
 開発センター)、キム・ジョンエ氏(始興市平生学習センター・平生教育士)など。
 韓国からのみなさんを囲んでの交流の場として、23日夜の「この指とまれ」では、以下のような企画を用意しています。第2部の交流会では、お酒やおつまみも用意し、楽しい交流の場としたいと思います。
 韓国生涯学習フォーラム、東アジア交流委員会(仮)、TOAFAEC 三者の共同主催です。みなさん、ぜひ、ご参加ください!
○この指とまれ:「日韓社会教育・生涯学習の交流の集い」
 日時:8月23日(日)19:00〜
 内容: 
 <第1部> 交流の歴史と展望を語りあおう!
 報告:小林文人氏「日韓社会教育・生涯学習の交流の歴史と展望」
 <第2部> 交流会
 会場:観光センター(予定)*当日案内

<記録> 江頭晃子(Mon, 07 Sep 2009 22:22) 南の風2289号(9月8日)収録
 第154 回TOAFAEC定例研究会は、第49回社会教育研究全国集会(飯田・下伊那集会)2日目「この指とまれ」(2009年8月23日夜)で、東アジア研究交流委員会、韓国生涯学習研究フォーラム、と共催で行われました。
 参加者は韓国から16人(平生教育総連合会チェ・ウンシル会長や平生教育振興院パク・インジュ院長、公州大学校教授ヤン・ビョンチャン先生など研究者や、イ・ギュソンさんなど平生教育士の皆さん)、日本からは社全協の上田幸夫委員長や長澤成次さん、韓国生涯学習研究フォーラムの李正連さんや浅野かおるさん、東アジア交流委員会の石井山竜平さん、福岡・社会教育研究会の横山孝雄さんなど、社会教育研究者や職員、市民、留学生など、日韓合計40人近い参加がありました。
 第一部「日韓研究交流史とこれから」では、小林先生が1980年代に黄宗建先生と出会って韓国の社会教育法制定論議から参加したこと。そして現在の平生教育法制定・改正や自治体における平生教育の発展までを、人との出会いや新たな交流の広がり、さまざまな思い出を交えながら語られました。まとめとして、日本が韓国の平生教育から学ぶものとして、基礎(識字)教育研究の重要性、「生涯学習」をどうダイナミックに捉えていくか、専門職の職能集団の必要性、政策提言と立法運動などをあげられました。黄先生と小林先生とのつながりを聞きながら、研究交流の基本は、出会いと相互の信頼をどう大切にできるかだと感じました。(司会:浅野かおるさん、通訳:李正連さん)。
 第二部では、チェ・ウンシル会長による乾杯の後、発足したばかりの「東アジア交流委員会」について石井山さんから報告がありました。そして、参加者それぞれから日本や韓国との出会いや、生涯学習への思いが語られました。韓国の皆さんからは、全国集会に参加しての感想、専門性を高めていきたいこと、日本に学びながら法案を出していきたいこと、どう若い世代で交流を継続していけるか、肥後さんが黄宗建研究をしたように韓国の人が小林研究をする必要がある、などなど話は尽きませんでした。最後に皆で記念撮影をして終了しました。(司会:横山孝雄さん、通訳:肥後耕生さん)。

日韓合同の記念写真(阿智村、20090823)



◆第153回:伊藤長和 中国烟台の3ヶ月
         (遠藤輝喜、Tue, 30 Jun 2009 20:01)
 <ご案内>
 梅雨の最中、皆さまにはお変わりなくお元気のことと存じます。
 7月の定例(第153回)研究会は、3ヶ月半ぶりに中国から帰国の伊藤長和さんを囲んでお話を聞く会を催すことになりました。
 伊藤長和さんはTOAFAEC 副代表、3月に川崎市教育委員会の職を辞し、中国山東省烟台の日本語学校に赴任されました。この間には「南の風」にフレッシュな「烟台の風」を寄稿され、また折りにふれて頻繁なメールの交換がありました。伊藤さんを通して、これまでにない中国・烟台の街の暮らし、日本語学校とそこに学ぶ若者たち、などに接することが出来ました。伊藤さんの精力的な活動と情熱に刺激をうけるところも少なくありません。
 夏休みでご帰国の機会に、親しく伊藤さんを囲んで直接にお話を伺い、日本と中国さらに韓国を含む東アジアの交流・研究のこれからを考える機会にしたいと思います。伊藤さんの留守中に、東アジア交流委員会が立ちあがった動きも報告し、お互いの元気を語りあう機会になれば幸いです。皆様、お誘い合わせの上(どなたも歓迎!)、ご来会下さいますよう、ご案内申しあげます。
日時:2009年7月24日(金)18:30〜20:30
内容:中国・烟台の3ヶ月(仮題)
報告:伊藤長和さん(山東省・烟台日本語学校)
会場:東京(杉並)高井戸地域区民センター・第一集会室
    〒168-0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL03-3331-7841
    京王井頭線「高井戸」駅下車、環七を渡ってすぐ、徒歩3分
*終了後の交流会:「イーストビレッジ」 03-5346-2077 高井戸駅近く、環七沿い
連絡先:遠藤輝喜(渋谷区教育委員会)携帯090−7942−4785

<記録> 金侖貞Sat, 25 Jul 2009 21:46 南の風2261号(7月26日)収録
 TOAFAEC 7月定例研究会は7月24日、高井戸地域区民センターで開催された。参加者は文人先生、江頭さん、遠藤さん、近藤さん、山口さん、米山さん、真壁先生、伊藤先生、私の8人。遠藤事務局長や参加者の挨拶のあと、伊藤先生から「中国烟台の3ヶ月」の報告が行われた。
 初めての海外暮らしということもあって、5月の床屋でおきたエピソードを交えながら、4月からの烟台生活について報告を始められた。
 今回の報告は、@烟台本州日本語学校での仕事、A中国での生活状況、Bまとめの3つの柱から構成されていた。まず、日本語学校での生活に関しては、会話と聴覚(リスニング)の担当する2つのクラスの、高い志をもちお互い助け合うという学生たちと先生とのやりとりをはじめ、アメリカや韓国、イタリアなどとともに日本に来る留学生の数が多いことや、中国の人材育成と日本の大学政策との関係から日本への留学生が増加するなど、日本語学校だけでなく中国の大学や留学の事情までに話は及んだ。
 生活面においては、92もチャンネルのある中国のテレビ放送や毎日みていらっしゃるという「抗日戦争」のドラマの話、食べ物の話など、先生の烟台での生活が垣間見られる話を聞くことができた。
 最後に、広大な中国大陸の中で「私の中国体験は烟台体験である」と仰りながら、異文化体験の重要性や東アジア交流委員会のお役にたちたいという、今までの日韓交流から東アジア交流に向けての展望にも触れられた。その他にも実際に教材として使っている資料や烟台市の読書運動、中国生活で感じたこと等など、様々な話題が出されたのである。
 研究会のあと、いつものEast Villageに移動し、伊藤先生が持ってきて下さった烟台ワインを頂きながら歓談の時間を持つことができた。
 伊藤先生との4ヶ月ぶりの再会は嬉しかった。日本語学校の学生たちに「日本と中国をつなぐ懸け橋になってほしい」、日本で勉強したい学生たちを応援したいという、先生のお言葉からは、アジアをこよなく愛する先生の愛情が感じることができた。また、私にとっては、中国の一面を知ることのできた貴重な時間であった。
終了後の交流会(高井戸・イーストウッド、20090724)



◆第152回:東京都の社会教育行政の変遷−この10年をどうみるか

                           (遠藤輝喜、Mon, 8 Jun 2009 19:02)
 
ご案内 紫陽花の花が咲き、雨の季節に入ってまいりました。皆様には元気でご活躍のことと拝察いたします。
 さて、5月8日にはTOAFAEC定例研究会が第150回を迎えました。社会教育法60年を記念し、「東アジアの社会教育・生涯学習法制を考える」と題する座談会を開催したところです。また、6月7日にはTOAFAEC総会を無事終えることができました。参加者の皆様から活発なご意見を賜り、新たな活動を展開してまいります。
 さて6月の定例研究会ですが、東京都の社会教育がこの10年、石原都政下において、どのような変遷を遂げてきたのかを考えてみます。報告は、生熊史さん(東京都教育委員会)。入都されてからの社会教育の動きをたどりながら、さらにこの10年の動きを明らかにしていただきます。
 皆様、ふるってご参加ください。どなたも歓迎!です。
日時:2009年6月19日(金)18:30〜20:30
内容:東京都の社会教育の変遷―この10年を振り返って
報告:生熊 史(ふみと)さん・東京都社会教育主事 
会場:東京都杉並・高井戸地域区民センター 第一集会室
    〒168−0072 杉並区高井戸東3−7−5 03−3331−7841
    京王井頭線「高井戸」駅下車、環七を渡ってすぐ、徒歩4分
終了後(20:45〜)交流会:イーストビレッジTEL03−5346−2077
連絡先:遠藤輝喜(事務局)090−7942−4785

<記録> 江頭晃子(Tue, 23 Jun 2009 02:38) 南の風2242号(6月25日)収録
日時:
2009年6月19日(金)18:30〜20:30
テーマ:東京都の社会教育行政の変遷−この10年をどうみるか
報告:生熊史さん(東京都社会教育主事)
参加者:小林文人、遠藤輝喜、小田切正剛、真壁茂樹、竹中薫、山口真理子、
      津久井純(二次会のみ)、江頭晃子
内容:最初に詳細な年表ととともに東京都社会教育行政の変遷を生熊さんから話していただいた後、研究者として東京都の社会教育行政にかかわってきた小林先生、そして都立図書館の動きを山口真理子さんから話していただきました。ひとりの独裁者の登場がいかに大きいか、そしてそれに抗う動きを作り出すための「連帯」の必要性を改めて感じました。
◇鈴木−青島−石原都政下の社会教育行政の流れ(生熊)
 神奈川県大和市で、米軍の爆音を聞いて育った。マラソンをずっとやっていて、卒業論文で大和市の社会体育について書いたのがきっかけで、1980年に社会教育専門職として入都。八王子青年の家、立川社会教育会館、武蔵野青年の家、府中青年の家、そして本庁へと異動。通算29年になる。入職する一年前の79年から95年まで鈴木都政(その前まで美濃部都政)、95年から4年間が青島都政、その後10年が現在の石原。
 鈴木都政時代は、都立施設の区市町村移管をすすめ、婦人分野が生活文化局に移ってしまった。85年には文化教育施設が財団委託、その反面、バブル時代で芸術劇場など新しい施設も作られた。85年に生涯学習推進本部、90年には生涯学習部となり、情報システム、都民カレッジなどが始まった。青島都知事の4年は、特に政策を持っていたわけでなく、鈴木時代から懸案になっていた青年の家の廃止問題があった。
 そして石原都政は、財政再建推進プラン等を立ち上げ、青年の家、近代文学博物館、生涯学習センター、体育館、市民活動サービスコーナーなど、あらゆる社会教育施設が廃止されていく。組織も生涯学習スポーツ部となり、06年にはオリンピック招致関係でスポーツも生活文化局へ移動。08年には地域教育支援部となった。現在は、施設がなくなって学校のみとなってしまったこともあり、学校・家庭・地域のネットワーク支援が主。政策にそった子育て支援などの職員研修や初任者研修などはあるが、基本的に研修は市町村や公民館連絡協議会など各種団体にまかせて、その連絡事務だけ行っている。社会教育主事(補)は、1980年に49人いたのが、2000年43人。2003年33人、2005年22人、現在は18人。
(以上の主報告めぐって質疑、以下は関連する主な発言。)
◇東京研究の必要性、(小林)
 戦後、文部省の動きとともに全国各地で公民館がつくられていく中で、東京都は設置が遅れた。大都市として独自な施策が模索され、青年学級、都市型の青年館施設、婦人リーダー研修、自主的な「市民教育」施策などが始まる。三多摩の社会教育も動き出し、立川社会教育開館では積極的に職員研修やセミナーが行われ、市民も職員も研修機会を通して、各地でリーダーとして活躍しはじめる。社全協支部、東京の社会教育を進める都民の会、職員労働組合、研究者集団など、多様な層が積極的に動き、社会教育行政予算が削られると、抗議もし運動も活発だった。
 しかしその後の行財政合理化、職員削減、委託路線など、とくに石原都政下で社会教育行政はボロボロになった。社会教育主事集団の衰退だけでなく、社会教育に関わる施設・職員・市民層があっという間に姿を消していく。社会教育法第6条の都道府県の役割を何一つ東京都はしていないことへの抗議が、どうしてどこからも出てこないのか。首都・東京研究の重要性、社会教育の研究・運動の再生が必要である。
◇都立図書館の再編(山口)
 都の社会教育行政と都立図書館の動きは、まったく同じだと感じる。大学で1970年にレポートを書くのに多摩地域の図書館をまわった時は7館しかなかったが、それぞれの館でこれからどんな図書館をつくっていくか職員の熱意を感じた。その後の区・市町村図書館の躍動がある。都立図書館では職員が帰りに市町村図書館に本を持っていったり、協力車による貸出しなど「図書館の図書館」としての機能が追及されてきた。市町村図書館も都立への信頼度は厚く、両者で役割分担をしてきた。
 しかし、石原都政になったとたん「都立図書館のあり方検討会」が設置され、図書館再編計画が突然だされた。職員や市民の反対の声が多く上がったが、14万冊の図書廃棄や図書館長協議会の解散、司書採用ストップ、都立日比谷図書館の閉館などが相次いいる。各自治体図書館で所蔵しない本は、以前は都立図書館から借りることが多かったが、現在は自治体間での貸し借りが増えている。
◇社会教育専門職・職能集団のへ期待(小林)
 文庫運動など市民の動きと、公共図書館の展開は並行して動いてきた。また図書館の動きには、とくに60〜70年代において、日本図書館協会の役割が大きい。専門職としての(労働組合でもない)図書館司書の職能団体の機能。自分たちの専門性を高め、専門職としての立場を拡充しつつ、市民とつながり、必要な出版活動等の事業をすすめてきた。社会教育主事のこのような専門職・職能団体の胎動が必要ではないか。以前、社会教育主事が市町村に配置されていく1960年代初頭、齋藤峻さん(東京都社会教育主事)などが、仮称・社会教育主事協議会をつくろうとしたことがあった。あらためて初心にかえり、専門的・職能団体の組織化を模索する課題がある。韓国では平生教育士協会が組織され、身分保障や政策論議、法改正への働きかけなどが積極的に取り組まれている。大いに学ぶべき動き。日本でも、まず首都圏から取り組めないだろうか。
生熊史さん、20090619



◆第151回:和光大学ゼミ・東アジア活動・烟台と日本語学校
                        *小林文人(南の風2218号・5月15日)
 <第151回 TOAFAEC(5月
) 定例研究会ご案内>
 ご案内 慌ただしいご案内となって恐縮です。滋賀県愛荘町・教育長として活躍中の渡部幹雄さん、その上京に合わせて、第151回(5月)定例研究会を下記のように開催いたします。渡部さんは「南の風」への寄稿も多く、よくご存知の方。教育長としての日々を、直接に、楽しく語っていただけるものと思います。
 あわせて(1年遅れの)教育長就任お祝いの乾杯をいたしましょう。なお、渡部さんの上京日程に合わせたため、いつもの最終週ではなく、お間違いのないように、ご参集下さい。
日時:2009年5月22日(金)18:30〜20:30
内容:教育行政(図書館を含む)に取り組んで
ゲスト:渡部幹雄氏(滋賀県愛荘町教育長)
会場:東京(杉並)高井戸地域区民センター・第3集会室
    〒168-0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL03-3331-7841 
京王井頭線「高井戸」駅下車、徒歩3分
終了後・教育長就任お祝い会:「イーストビレッジ」 
高井戸駅近く、環七沿い、 03-5346-2077
連絡先:遠藤輝喜・090−7942−4785

■急告! 第151回研究会
 滋賀県下に新型インフルエンザ患者発生のため、上京中の渡部幹雄・教育長は急遽
 愛荘町に呼び戻され、22日の研究会出席は難しくなりました。
 当夜の研究会は、別案プログラムに切り替え。 (2009年5月21日、小林文人) →記録■
             →「和光大学ゼミ・東アジア活動・烟台と日本語学校など」

<記録>   
記録:山口真理子(Sun, 24 May 2009 18:11) 「南の風」2224号(5月26日)所収
 <第151回TOAFAEC 定例(5月)研究会報告>
参加者:江頭晃子(アンティ多摩),小林文人,張林新(山東省烟台日本語学校理事長),
      張ル(中国・青島市外国企業服務総公司・日本事業部),前本多美子(沖縄・竹富島),
      遠藤輝喜(渋谷区教育委員会),山口真理子(調布市)
内容:予定では、滋賀県愛荘町教育長・渡部幹雄さんに「教育行政に取り組んで」というテーマでお話しいただく予定でしたが、新型インフルエンザ対応のため急遽帰られました。以下の3テーマによる報告会に切り替えて研究会を持ちました。
1,江頭晃子さん:和光大学のゼミについて
 NPO・アンティ多摩の江頭晃子さんは和光大学講師でもあり、4年目に入った今年度は、岩本先生がイギリスに在外研究で不在、責任が増されたご様子。ゼミ学生は9人。テーマは「地域の課題を考える」。今の若者は、地域とのつながりが少なく、彼等を地域に出会わすこと自体が課題。地域ミニコミ誌を読んで、そこから問題意識を探り、後期にまとめる計画とのことでした。
2,小林文人先生:仮称・東アジア研究交流委員会の提唱(資料あり)
 2007年初頭に韓国生涯学習研究フォーラム,2008年暮れに中国生涯学習研究フォーラムが胎動。5月8日に第150回 TOAFAEC 研究会として東アジア社会教育・生涯学習法制を考える歴史的な座談会が催されたことは既報の通り。二国間(日韓、日中)の関係から、東アジアの拡がりで新しい研究交流の歴史が始まったこと。TOAFAEC 活動として、これまでのネットワークを継承発展して、第2サイクルともいうべき段階に入ったのではないかとの報告でした。
3,張林新さん:山東省烟台の経済と日本語学校のこと
 烟台の産業(4大産業、とくに金の産地)のこと、烟台と日本・韓国との経済的な関係は歴史的な繋がり、また現在の世界的な経済不況の中での影響は少ないこと,その中でも人材派遣と日本語教育の重要性、職業訓練の新しい動きなど、興味深い内容でした。
 張さんは、既に和光大学学生時代に新宿に中華料理店を開くなど、実業者として手腕を発揮し、現在も経済的な分野で中国・日本をつなぐ役割を果たそうと努力されている人。烟台日本語学校は、2003年発足当初より文人先生が名誉校長を務め、現在は伊藤長和さんが大活躍であることは『烟台の風』でご承知の通りです。
 研究会後は「イーストビレッジ」で懇親交流会、八重山竹富島から帰られた前本多美子さん、青島市・張ルさんの歓迎会となりました。
右より、前本多美子(八重山・竹富島)、小林、張林新(山東省・烟台)など(撮影・江頭晃子、090522)



◆第150回:東アジアの社会教育・生涯学習法制を考える
       
―日本社会教育法60年の歳月を踏まえて―」(記念座談会)

                 小林文人(南の風2200号・4月17日)

 <150回研究会記念・東アジアの社会教育・生涯学習法制を考える(座談会)>
 ご案内 日本で社会教育法が成立(1949年)して今年で60年。この歳月の蓄積をどう見るか、そして、これからの課題にどう取り組んでいくか。定例研究会が第150回を迎える機会に、東アジアの視野を加えて「法制」問題をみんなで考えあってみたいという企画です。
 最近の日本の動きは、現政権による教育基本法改正(2006年)、関連して教育諸法制(社会教育法等を含む)にも改正の動きがあり、改悪を許すな、という立場からの法防衛の論議が当面の課題となってきました。他方、どういう法制を求めていくかという本来の立法論は、不充分のままに推移してきたように思われます。
 他方で、海を越えて東アジアの動静をみると、この10年、成人教育・生涯学習に関わる立法・運動が積極的に取り組まれてきました。韓国の「平生教育法」成立とその全面改正(1999年→2007年)。台湾における「終身学習法」制定(2002年)。そして中国では、いま生涯教育法あるいは条例の制定に向けて立法論議が活発です。東アジア生涯学習法制史としては、これまでにない躍動の10年と言えるでしょう。それぞれの国・地域の固有の展開があることはもちろんですが、そこには日本を含めて相互に共通する課題も少なくないと考えられます。
 日本社会教育法60年の年に、東アジアの躍動に目を向けながら、法制研究の成果を交流しつつ、これからの新しい展望を模索していく機会になれば幸いです。当日は、座談会的に話をすすめ、検討すべき問題を出し合い、その記録をもとに、9月に刊行される年報「東アジア社会教育研究」第14号への原稿に仕上げる予定です。
 TOAFAEC研究会としても第150回を迎える記念の集い、新しい歩みを刻んでいくステップにしたいもの。季節はさわやかな5月、皆さま、お誘い合わせの上、ご参加ください。どなたも歓迎!です。
日時:2009年5月8日(金)18:30〜20:30
内容:150回研究会記念・東アジアの社会教育・生涯学習法制を考える
     −日本社会教育法60年の歳月をふまえて−
座談会:<敬称略>上野景三(佐賀大学)、李正連(名古屋大学)、内田純一(高知大学)
             ほか参加者、進行・小林文人
会場:東京杉並・高井戸地域区民センター・第五集会室
   〒168-0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL03-3331-7841
   京王井頭線「高井戸」駅下車、環七を渡ってすぐ、徒歩4分
終了後(20:45〜):第150回記念研究会の祝賀・交流会を開催予定。
    「イーストビレッジ」( 03-5346-2077、駅近く、環七沿い)
連絡先:遠藤輝喜(事務局)090−7942−4785


<記録>      
記録:山口真理子(Mon, 11 May 2009 08:04)  南の風2215号(5月11日)収録
参加者:進行役>小林文人(TOAFAEC 顧問)
・報告者>日本・上野景三(佐賀大学)、韓国・李正連(名古屋大学),
 梁炳贊(YANG ByeongChan韓国・公州大学校),小田切督剛(通訳 川崎市高津市民館)、
 中国・上田孝則(国際教養大学・秋田)、台湾・内田純一(高知大学)、
・記録>山口真理子(会計)、事務局長(代理)江頭晃子(アンティ多摩)、 
○参加者:李相Y(名古屋大学・M1),朴正善(早稲田文化館),馬麗華(東京大学大学院),
 孫冬梅(東北大学・M1),呉迪(筑波大学大学院・D3),丸浜江里子(杉並・安井資料研究会),
 黄丹青(目白大学),朴源花(早稲田大学),姜乃榮(日本希望製作所),瀬川理恵(横浜市),
 遠藤輝喜(事務局長)遅れて参加。
内容:小林司会作成の「進め方」レジメに沿って進行した。
1 座談会のねらい
 日本の社会教育法は1949年7月5日に制定され、もうすぐ60年になる。この間、韓国では平生教育法,台湾では終身学習法が制定された。中国ではまだ全国レべルの法はできていないが、策定の動きがあり、地域では例えば福建省が終身教育条例を策定し,上海では近く生涯教育条例を予定している。このように、東アジア関係者が一堂に会して法制を語り合う機会は日本では初めてであり、多分他の国でも行っていないと思う。記念すべき歴史的な日になり、感激している。
 今日は問題提起を中心に気軽に自由にはなしてもらい、その後テープ起こし原稿をもとに、さらにメールで報告をふくらませ、ネット編集作業を進め、「東アジア社会教育研究」第14号の原稿にまとめたい。
2 日本社会教育法60年をどう見るか。
 上野>社会教育の意義は、時代ごとに変わり、具体的な機能を果たしてきた。制定当時は平和や民主的な人間を形成する等、一つの「解」があったが、今は社会の要請、特に若者の問題に対応しきれなくなっている。青年学級振興法の廃止も今考えると課題を残すこととなった。
3 各国の動向と到達点,課題など
 上田>中国について。(本来は韓民さんからメールが来るはずだったが未着なので、代理報告)今は国レベルの法律はないが、全国人民代表者会議では、2008年以降の教育振興行動計画として、「生涯学習法」を起草・立法させていくはずである。地域では34モデル地区,110実験区で動きが出ている。今後国家がどう関わっていくか、生涯学習法がどう制定されるか、また社区教育の推進など、注目される。 
 小林>中国・国務院の幹部と最近(4月25日)会う機会があった。「継続教育」の概念も検討されている模様。「社区教育」、「成人教育」などと並び今後に向け非常に真剣に取り組んでいる印象を受けた。 
 李>韓国について。1999年の「平生教育法」は「社会教育法」から名称を変えただけで、すぐに改正が話題になった。2008年全面改正。いま韓国では「社会教育法」はなく、用語としてもあまり使わない。
 今さらに改正を論議中。「平生教育振興法」(仮)「成人継続教育法」(仮)、つまり基本法的位置づけと従来の社会教育法的立法の2つに分けた方がいい、という議論がある。(数年前からあった。)
 争点は3つある。@6つの領域を想定しているがそれでいいのか、A平生教育振興院は必要か、B「平生教育士」資格のレベルを上げたが、却って“壁”になっていないか。2002年の「人的資源開発基本法」との関連等。
 韓国は、学会の政策形成論議が活発で、政治と密接なコミュニケーションをとる努力をしている。動きが早く、東アジアの中では一番活発に動いているのではないか。
 梁炳贊>韓国について。2008年に改正法できたが、またすぐにその改正の課題が出ている。なぜか。2008年では法改正の推進を優先し、内容など他を譲歩した経緯がある。その譲歩の部分の1つが「文解」(ムネ、識字)教育の規定。現法では「文字解得教育」と矮小化されてしまった。
 内田>台湾について。上野さんの話の中に“領域”と“概念”ということが出てきたが、そこにもう1つ“実態”の問題がある。台湾は中華人民共和国との微妙な関係を持ちながら、1953年「社会教育法」、1980年にその改正法、と法律は持っていたが、戒厳令下、実態は弱かった。
 1987年戒厳令解除後、98年に教育部「学習社会に向けて」白書を受けて1999年に「教育基本法」,2002年に「終身学習法」が成立。また,2009年1月には、生涯教育に関する討論会をして、5つの問題について議論している。
 小林>韓国では社会教育法をなくし、平生教育法を作った。台湾では社会教育法を残して、終身学習法を作った。韓国では、学会関係者の論議の中に議員あるいは官僚も加わるかたち。台湾では法律を作ること自体を学会に委託するという経過があった。日本の学会関係者は立法や政策形成の政治から遮断され、研究成果が政策に反映されず、残念である。
 日本では、若者の職業教育・訓練に関して、社会教育から分離され問題点のみ指摘してきたが、湯浅誠等の反貧困の取り組み等をみて、社会教育研究者として職業・労働に関わる研究・提言が弱く、痛みを感じる。
4,その後参加者からの発言 実情の補充説明や熱い意見が出ました。報告者同士のかみ合い、参加者の文字通りの発言参加があって、中身の濃い研究会となりました。小林先生のおっしゃる歴史的な会であったと思います。「東アジア社会教育研究」第2号に上海の成人教育草案が載っていますが、これについての裏話も出たりして、興味深い会でもありました。この場に、記録担当として参加できたことをありがたく思います。(が、責任を感じ、緊張もしました。)
 韓国を始めとし、どなたももっと熱く、もっと詳しく話されたのですが、この報告ではとても書き切れていません。遅くとも5月までにはテープ起こし原稿を作成しますので、それをご覧いただき、さらに充実した原稿に仕上げてください。
 韓国の話を聞きながら、1980年前後の韓国社会教育法立法論議の際に、黄宗建先生の招聘で小林先生が日本社会教育法について報告、その韓国訪問の際は、まだ軍事政権下のため空港で厳しいチェックがあったというお土産話を思い出したりしました。
TOAFAEC第150回記念(4月)定例研究会

右から2人目 梁炳燦さん(韓国・公州大学校) ともに肩をくみ「アチミスル」をうたう (高井戸、090508)



◆第149回伊藤長和「私と中国の出会い」、壮行会と黄丹青さんお祝い会
          遠藤輝喜(Thu, 5 Mar 2009  南の風2178号・3月6日)
 <壮行会・お祝い会ご案内>
 ご案内 今年度締めくくりの3月定例研究会は、新年度を目前にしての壮行会とお祝い会です。
 東京でTOAFAEC 活動を中心的に担ってこられた三人の方が、この4月より揃って新しい門出を迎えられます。お一人は、TOAFAEC 副代表の伊藤長和さん。中国山東省・烟台に赴かれます。中国の若い世代に日本語教育を通して、ほんものの文化交流と草の根からの友好・共生に一役果たそうとの決意。
 また常任委員の岩本陽児さん(和光大学)は、もともとイギリスでの研究生活が長い方ですが、次年度は(羨ましいことに)1年間の在外研究、イギリス・北欧での研究を楽しまれるとのとです。
 そして編集委員の黄丹青さん(中国生涯学習研究フォーラム・副代表)にもまた新年度に向けての嬉しいニュース。
 この機会に、それぞれのお話しをお聞きしながら、お三方の新たな門出をお祝いし、壮行・激励の会にしようという企画です。年度末でお忙しいときですが、是非ともご参加くださいますようご案内申し上げます。どなたも歓迎です。
日時:2009年3月25日(水曜日)午後6時30分〜8時30分
内容:それぞれのご挨拶・壮行会・お祝い会
   「私と中国の出会い」伊藤長和さん(川崎市教育委員会)
   「これからの1年」岩本陽児さん(和光大学)
   「中国研究のこと」黄丹青さん(中国生涯学習研究フォーラム)
会場:かふぇ&ほーるwith遊(ウイズゆう)*高井戸ではありません!
   住所:東京都杉並区荻窪3-46-13(TEL.03-6661-2336)
 *JR荻窪駅南口を出て左(阿佐ヶ谷方面)にまっすぐ行くと 青梅街道にぶつかります。
   最初の角を渡った右手にマンション『イニシア荻窪』があり、その2軒先が『with遊』。
会費:4000円 *ご参加の方は3月23日までにご連絡を。
連絡先:遠藤輝喜 0146076101@jcom.home.ne.jp、携帯090−7942−4785。

<記録>                (江頭晃子、Sat, 28 Mar 2009 16:39
 第149回TOAFAEC研究会(2009年3月25日)は、年度末にふさわしい三つのお祝いの会でした。お一人は、TOAFAEC 副代表の伊藤長和さん。この4月から中国山東省・烟台に赴かれることになりました。二人目は岩本陽児さんの在外研究(急な事情のため欠席)、そしてTOAFAEC の中国研究に欠かせない存在である黄丹青さん、新年度から目白大学の専任教員として就任が確定したお祝い。
 会場は元銭湯で現在は地域の「たまり場」として自由な空間を演出している「荻窪かふぇ&ほーるwith 遊」(杉並区)を貸しきって開催。(日時:2009年3月25日(水)18:30〜21:30)
 参加者:石倉祐志、伊藤長和、江頭晃子、遠藤輝喜、小田切督剛、姜乃栄、金侖貞、小林富美、小林文人、瀬川理恵、武田拡明、張林新、手打明敏、西野一夫、黄丹青、真壁繁樹、丸浜江里子、安井節子、山口真理子、山田貴夫(敬称略・五十音順)20人。盛大な会となりました。
 以下、小田切さんが詳細な記録をとっていただいた中から紹介します。

 最初は、参加者の皆さんの自己紹介と伊藤さん黄さんへのお祝いの言葉から始まりました。手打「今後はアジア・太平洋地域を見ながら日本の公民館を捉えなおしていく新たな時代。中国の社会教育を伝えてほしい」、張「煙台は景色がきれいな港町で650万人。本当に田舎で、夜9時になるとライトもない。伊藤先生にどう暮らしていただくか心配している。皆様も訪問団を組んで烟台に足を運んでほしい」、小林「中国や韓国の若者たちの学びへのキラリとした目は、日本の学生が失ってきているもの。伊藤さんはその意欲と輝きを見たのが、烟台に行かれる理由の一つではないか」、瀬川「KYY(川崎・横浜・横須賀)という社会教育関係者の交流があったため、横浜の先輩たちも伊藤さんをよく知っている」、小田切「ありとあらゆるネットワークの結節点におられるのが伊藤さん。コンピュータで言えばOSのような方」、山田「川崎で在日韓国・朝鮮人の運動からいろいろな声を政策にしていくのは難しかったが、伊藤さんが岩渕英之さんや星野修美さんたちと活躍されて施策が動いてきた」、西野「伊藤さんは長い間のケンカ相手、最後を見送らねばと思って来た(笑)。相棒がいなくなって寂しいが、私も70代まで生きられたら、カンボジアあたりに骨をうずめたい」、姜「イギリスにも希望製作所があり研究員がいるが中国にはまだない。伊藤さんの中国進出で出きるといい」などなど続きました。
 肝心の伊藤さんの講演「私の中国との出会い」は、伊藤さん独特の話しぶりに笑わされることが多かったのですが、韓国への関わりから中国の関心へと拡がってきたこと、歴史・文化・政治等さまざまなトピックスが出されました。烟台が中国ワインのメッカであり、朝鮮・日本と向き合ってきた歴史も。資料4枚にわたる伊藤さんの中国関係の読書歴には圧倒されました。韓国そして中国への熱い心のひろがり、若者たちとの出会いは、伊藤さんにとっては必然の流れだったのでしょう。
 上海調査から帰ったばかりの黄丹青さんからは思いあふれるご挨拶がありました。10数年間どこにも所属せず非常勤講師をしながら子育てをしてきたつらい日々の中で、小林先生をはじめ皆さんに活躍の場をつくってもらったこと。そして昨年から、自分ひとりではできない研究を先生が声をかけてくれたお陰で「中国生涯学習フォーラム」を発足させることができ、今は上海との研究交流をどう進めたらよいかで頭がいっぱいであること。中国の社区教育はすごい勢いで進展しており、日本の社会教育に対する関心が高い。日本の経験をいかに伝えていくか、その中で自分に何ができるかが課題と考えている、とのことでした。
 岩本陽児さんが出席できなかったのが残念でしたが、参加者一同、お二人の新たな出発に元気をもらった一夜でした。
 
<伊藤長和先生のこと> 金 侖貞(Sat, 28 Mar 2009 00:03)
 …(略)… 私が伊藤先生を初めて「みた」のは、2003年の社会教育学会でした。その1年後に高津市民館に先生を訪れて初めてお話できたのが、先生との交流の始まりでした。それから川崎だけでなく、富川市との交流において、TOAFAEC 研究会において、『韓国の社会教育・生涯学習』編集においても、色んな場面で伊藤先生とお仕事を一緒にすることができました。
 初めて中国行きを聞いたときにはびっくりしていて、今も実感は沸いてきませんが、煙台の日本語学校で中国の若者を教えたいと決めた先生の決断には、いかにも「伊藤先生らしさ」があると思います。
 常に挑戦し続けるという「伊藤スピリット」を、先生のいらっしゃらない川崎や研究会の場においてどのように継承していくのか、私たちの課題であると思いました。
 日本と韓国を繋げ、また中国との新しい架け橋になりたいと考えていらっしゃる先生をみて、本当の意味での「東アジア社会教育研究」の共同体をつくっていくためには何をすべきなのかを考えさせられた時間でもありました。
 寂しくはなりますが、伊藤先生のさらなるご活躍を心から祈っています。健康にお気を付けて下さい。

 伊藤長和さん「私と中国との出会い」(20090325)

 ▼黄丹青さんご挨拶(20090325)



◆第148回:原水禁運動(安井家)資料研究会・第50回記念(合同開催)
         −安井家資料との出会い、安井田鶴子さんの回想など−
                               丸浜江里子、Mon, 09 Feb 2009
 <ご案内−原水禁運動(安井家)資料研究会50回記念
         −安井家資料との出会い、安井田鶴子さんの回想など−> 
 立春が過ぎて、梅が盛りとなりました。お元気でしょうか。
今月は、2005年3月に始まった原水禁運動(安井家)資料研究会(安井資料研究会)が50回目を数えます。TOAFAEC2月定例(第148回)研究会と合同で開催することとなりました。
 また今月は、安井田鶴子さんがお亡くなりになった月(2005年2月)でもあります。そこで今回は、安井郁(杉並区立公民館長、日本原水禁初代理事長)のベストパートナーであった田鶴子さんを偲びながら、安井家資料から何を学ぶのか、杉並の水爆禁止署名運動について語り合いたいと思います。
 杉並という地域のなかで胎動した平和運動、安井郁だけでなく、安井田鶴子さんの果たしてきた役割、その人となり、「杉の子会」って?など多岐にわたる話題が飛び交うと思います。ご期待下さい。
 研究会の皆様だけでなく、まわりの関心ある方々もお誘い合わせの上、ご出席くださいますよう、ご案内申しあげます。
○原水禁運動(安井家)資料研究会50回記念 
       −安井家資料との出会い、安井田鶴子さんの回想など
日時:2009年2月25日(水)18:30〜20:40
テーマ・報告者:
  1,安井家資料との出会いと経過       小林文人
  2,「歴史の大河は流れ続ける」(1980〜1984)のこと
                       平井教子、生野忠志
  3,安井田鶴子の思い出            安井節子
  4,杉並の水爆禁止署名運動研究に取り組んで  丸浜江里子
会場:東京・杉並区高井戸地域区民センター・第二集会室
        〒168-0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL03-3331-7841
        京王井頭線「高井戸」駅下車、環七を渡ってすぐ、徒歩4分
終了後:交流会(20:45〜)「イーストビレッジ」(予定)
        高井戸駅近く、環七沿い、 03-5346-2077
連絡先:遠藤輝喜・携帯090−7942−4785

<ご報告>       (丸浜江里子、Sun, 01 Mar 2009 12:44)南の風2175号
 今年はビキニ水爆実験被災から55年、杉並での水爆禁止署名運動からも55年、2005年3月に始まった原水禁運動(安井家)資料研究会が50回目、さらに、安井郁さん(杉並区立公民館長、日本原水協初代理事長)のパートナーの田鶴子さんが亡くなった月(2005年2月)でもあり、「研究会50回記念−安井家資料との出会い、安井田鶴子さんの回想など−」の会を持ちました。
 2月25日当日の会場(杉並区高井戸地域区民センター、18:30〜21:00)には、28人が参加され、15人程用意した資料は、続々見える参加者で足りなくなり、金沢七友実さん、山口真理子さんに増刷の手間をおかけしました。ありがとうございました。
 参加者のうち15人が杉並区から、そのほか、川崎、横浜、柏と都外の方も参加されました。参加された方には、杉並で公民館活動をされてきた「杉並の社会教育と社会運動を記録する会」の皆様、戦後史研究の中村政則さん、女性史研究で「和の会」を主催する永原和子さん、女性史の加納実紀代さん、第五福竜丸展示館学芸員の安田和也さん、大学院で社会教育、平和問題を研究されている方々など、多彩な方が参加されました。
 安井研究会の皆様、とりわけ小林先生、江頭さんの奮闘で報告書『ひたすらに平和願えり』も完成し、安井節子さんがお宅から直送してくださり、印刷の香りもかぐわしい出来たばかりの本を手にすることができました。 内容・報告者は次の通りです。
1,安井家資料との出会いと経過 小林文人
2,「歴史の大河は流れ続ける」(1980〜1984)のこと 生野忠志
3,安井田鶴子の思い出 安井節子
4,杉並の水爆禁止署名運動研究に取組んでー安井田鶴子さんを中心に 丸浜江里子



 小林先生は刷り上がった本を手に、杉並公民館のこと、それが発展的継承という方向でセシオン杉並に移行したこと、『歴史の大河は流れ続ける』を発行したいきさつ、安井研の成り立ち、この資料整理にかける思い(『ひたすらに平和願えり』を是非見てください)を語りました。
 生野さんは「若かりし頃」と20年以上前の『歴史の大河は流れ続ける』の打ち合わせのこと、時には会議がうまく進まないときもあったが、安井田鶴子さんと大塚利曽子さんが毎回出席して原水禁署名運動を記録しておきたいという気持ちがひしひしと伝わってきたことなどを懐かしそうに語りました。
 安井節子さんは、田鶴子さんについて一緒に暮らしていなければわからないことを話してくれました。タンシチューなど洋食がお得意だったこと、でかけるときには帰ってからすぐ食べられるものを用意したこと、毎日の新聞を丹念に読み、切り抜きをスクラップ帳にまとめていたこと、第五福竜丸の保存を呼びかけた武藤宏一さんの投書にすぐ呼応して投書し、保存に向けて努力されたことも語りました。
 丸浜は修士論文「杉並区における水爆禁止署名運動の成立ー戦前・戦後の人々の結びつきに注目してー」の中から、戦後社旗教育と杉並区の社会教育の受容を行政と住民の面から見えること、さらに安井田鶴子さんについて田鶴子さんが通った神戸女学院の面から語りました。
 多彩な方々の多彩な論議は、現在の杉並はどうなっているのかも含めて広がりましたが、時間がなくなり、続きは場所を変えて,、11時近くまで続きました(駅ちかくの交流会)。
 今年は原水禁署名運動55年、引き続いて論議を深めてもよいのではないかとも思いながら散会しました。皆様、おつかれさまでした。
終了後、高井戸駅ちかくの交流会(20090225)、左列奥から生野忠志(杉並区役所)、安井節子、
 右列奥から安田和也(第5福竜丸展示館)、中村政則(一橋大学名誉教授)、丸浜江里子などの各氏




◆第147回:岩本陽児 日本のナショナルトラスト運動について
     
小林文人、Mon 05 Jan 2009 「南の風」2150号
 <日本のナショナルトラスト運動について>
 ご案内 TOAFAEC の1月スケジュール、事務局や編集委員会等それぞれで考えていただいていることですが、同じ日に三つの企画が絡み合って動いていますので、まず「南の風」として、一括ご案内させていただきます。詳しくはそれぞれにML等で周知していただければ幸いです。
 (1) 第147回(新年1月定例)TOAFAEC 研究会は、これまで楽しみにしてきた岩本陽児さん(和光大学)による「ナショナル・トラスト運動について」の報告をお願いしました。英国に発祥する国際的な拡がりもありますが、あまり欲張らないで、今回は日本への定着過程、その現状と課題等の問題にしぼってお話しいただこうという企画。岩本さんからは「両方お話しすると時間が足りない…」と。ごもっとも。「風」としては、かねて関心をもってきた信州・妻籠や竹富島の町並み保存との関連もあり、また先月立ち寄った和歌山・田辺の天神崎は「日本ナショナル・トラスト発祥の地」とも称されているところ。当夜は、ご自由に話していただきますので、どんな展開になるか、楽しみです。
日 時:2009年1月28日(水)18:40〜20:30
テーマ:日本のナショナルトラスト運動について
報告者:岩本陽児さん(和光大学)
会 場:東京(杉並)高井戸地域区民センター・第2集会室
終了後:恒例の新年会(20:45〜)「イーストビレッジ」にて
連絡先:遠藤輝喜・携帯090−7942−4785

(2)「東アジア社会教育研究」第14号編集会議 →■
日時:2009年1月28日(水)14:00〜16:00
内容:第14号編集の基本骨子、進め方などについて
会場:同会場

(3)「中国生涯学習研究フォーラム」(第2回)→■
日時:2009年1月28日(水)16:10〜18:10
内容:研究フォーラムの進め方、上海研究の視点や方法について
会場:東京(杉並)高井戸地域区民センター・第2集会室

<記録>  山口真理子(Sat, 31 Jan 2009 14:08)南の風2162号

参加者:
岩本陽児,内田純一,小林文人,瀬川理恵,黄丹青,真壁繁樹,山口真理子,
      遠藤輝喜(体調悪く退席)
○資料:「日本ナショナル・トラスト協会」ホームページ表紙部分、「ナショナル・トラスト ニュースレター 2008年12月号」、「鎌倉風致保存会」ホームページ表紙・歴史部分
朝日新聞コピー
・1964.12.21「天声人語」イギリスの運動の紹介 執筆)入江徳郎
・1977.1.16 「天声人語」   〃       執筆)辰濃和男
・1965.2.8〜12「破壊される自然 1〜5」大佛次郎 鎌倉の自然と文化財を守るキャンペーン
・ 1978.9.24「知床100平方メートル運動」
・ 1982.9.3 「天神崎保全に協力を  市民団体、緊急アピールへ」
・ 1982.9.5 「自然買い取り保存 天神崎と知床の実情聞く ナショナルトラスト研究会」
・1982.9.26「知床アピール発表 ナショナルトラスト・シンポ」
・1983.2.16「総評が『緑防衛』カンパ ナショナルトラスト運動支援 まず天神崎買い取り」
・1983.9.27「天神崎保全一つの実り 火力発電所計画凍結 素早い反対運動奏功 
        買い取り県市の協力がカギ」
・1984.2.13 「天神崎買い取りカンパ強化」  
ナショナルトラストジャーナル 2002年」コピー ナショナルトラスト『創世記』連載
                                   第1回〜第5回 岩本陽児
○内容:岩本さん作成レジュメ「ナショナルトラスト・日本への定着過程、その「現状と課題」に添い上記資料を紹介しながら説明された。
前史
 1895年、イギリスで非営利会社として「The National Trust」が登記されたのが最初だが、その30年前に既に母団体が創立されて、活動は始まっていた。
 日本へは、1933年、本位田祥男(ほんいでんよしお)「欧州の思ひ出」の中の『ラスキンを憶ひて』で紹介しているのが、最初と思われる。
1、第1期(1960年代半ば・鎌倉を中心に)
 1964年に「鎌倉風致保存会」が結成され、古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法の制定につながった。大佛次郎が朝日新聞紙上で大々的にキャンペーンを行った。
2、第2期(1970年代後半〜知床と天神崎からの広がり)
 1977年「知床で夢を買いませんか」キャンペーンの成功
3、第3期(80年代を通じ「ナショナルトラスト」団体、各地に誕生―「ナショナルトラスト」の日本的理解を下敷きに) それまで各地にあった“自然を守る運動"や"町並み保存運動”などが、自分たちの運動を"ナショナルトラスト"として捉えなおすようになった。
1983年「ナショナル・トラストを進める全国の会」発足
1983年「財団法人、妻籠を愛する会」〃
1985年「かながわトラストみどり財団」〃
1988年「柿田川みどりのトラスト委員会」〃
1984年 木原啓吉著「ナショナル・トラスト」三省堂 刊行 
 〃  四元忠博訳「ナショナル・トラスト−その歴史と現状」時潮社

4、第4期(90年代、ふたつの全国組織 イギリス人もびっくり 成熟期における「運動」か「活動」か論)
 1992年「ナショナル・トラストを進める全国の会」が「社団法人日本ナショナル・トラスト協会」となる。同年同月「観光ナショナル・トラストを進める全国の会」も「財団法人日本ナショナルトラスト」と名称変更。
5、21世紀のナショナルトラスト 直面する諸課題
 低金利政策や行財政改革、そして特にリーマンブラザーズ以降の経済危機は、各団体に資金的な影響を及ぼしている。また、世代交代が進んでいないことも、課題である。
 まとめ:日本のナショナル・トラストにはいろいろな側面があり、イギリスとは違う展開を経ている。
○感想:
 岩本さんは興奮していました。今まで日本のナショナル・トラストに関連して報道された最初の記事は、1965年2月、大佛次郎の「破壊される自然 1〜5」であるとされていたのが、それ以前、1964年12月に入江徳郎が「天声人語」に書いているのを発見した、というのです。
 「発見してまだ24時間経っていない!」と。私たちは、その歴史的瞬間の直後に居合わせた、というわけです。
 資料の山にも圧倒され、その山に岩本さんのこのテーマに対する熱意の深さを実感しました。朝日新聞の記事は、当時の動きがリアルタイムに伝わってきて、興味深いものでした。天神崎の問題は、研究会出席者の中にも記憶のある方々がいて、ある感慨を持って受け止めておられたようです。
 イギリスのナショナルトラストというと、私は絵本の主人公・ピーターラビットの活躍する湖水地方が頭に浮かびます(あ、行ったことはありません)。岩本さんの「ナショナルトラストジャーナル 2002年」連載『創世記』は、イギリスのナショナルトラストを、産業革命以降の近代イギリス社会の背景の中から捉えた、大部なレポートです。
岩本陽児さん(20080428研究会)



◆第146回:中国訪問団(11月)からの報告−とくに上海の社区教育の動きなど
                     *遠藤輝喜Thu, 20 Nov 2008 23:48
ご案内  霜月も押しせまり、時の経つのは本当に早いものです。皆様、お元気でご活躍のことと存じます。
 さて、12月のTOAFAEC 定例研究会は、久しぶりに中国をテーマに開催いたします。ご承知のように、10月末から11月初めにかけて、小林文人、末本誠、伊藤長和、内田純一などの皆さんが、烟台(山東省)、あるいは台湾、そして合流して、上海を訪問されました。
 とくに上海の最近の社区教育、生涯学習をめぐる動向は注目すべきものがあり、その新しい動きや、3月に訪日された華東師範大学の方々との交流など楽しい話が聞けそうです。
 当日(12日)午後には、来年度のTOAFAEC 研究年報(「東アジア社会教育研究」第14号)の編集体制・企画の会議も予定され、その出席も兼ねて、高知から内田純一さんも上京される予定。ご苦労さまです。
 年末のお忙しいときですが、ふるってご参加下さいますようご案内申し上げます。定例研究会終了後は、恒例の忘年会を開きますので、こちらに合流される方も大歓迎です。
日 時:2008年12月12日(金)18:30〜20:30
テーマ:中国訪問団からの報告−とくに上海の社区教育の動きなど
報告者:伊藤長和、小林文人、内田純一、黄丹青(資料紹介) 敬称略
会 場:杉並区立高井戸地域区民センター・第1和室
     〒168-0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL03-3331-7841
     *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分
     地図→ http://www010.upp.so-net.ne.jp/mayu-k/yotei0808.htm

事務局:
遠藤(連絡先)携帯 090-7942-4785
忘年会:
イーストビレッジTEL03-5346-2077(駅近く、環七沿い)
<TOAFAEC−3つの会合、第146回研究会報告> 内田純一、南の風2139号
 12月12日(金)にはTOAFAEC として三つの会合が行われました。三つとは @14:00〜「中国生涯学習研究フォーラム〈仮〉」の立ち上げ、A15:10〜『東アジア社会教育研究』第14号編集委員会、そしてB18:30〜第146 回定例研究会です。会場は東京杉並・高井戸区民センター。順次開催され、夜はイーストビレッジでの望年会となりました。
 @は、上海をはじめとするこれまでの中国研究・交流の形を一歩進めようという試みです。参加者は、孫冬梅(東北大学・研究生)、馬麗華(東京大学大学院)、呉迪(筑波大学大学院)、上田孝典(国際教養大学・秋田)、黄丹青、小林文人、内田純一、江頭晃子でした〈敬称略〉。
 内容については別に報告が寄せられると思いますので、そちらにゆずります。→■ 中国研究について新しい研究会の出発、短い時間でしたが、大事なステップを刻む集まり、これからが期待されます。
 Aは、第14号作成に向けての第1回編集委員会ということで、編集の体制と方針・内容などについて話し合いました。編集体制については、前号同様に、世代的な若返りと実質的な編集体制を図り、TOAFAEC 常任委員会と一体的に進めていくこと、編集委員及び常任委員を含むメーリングリストを立ち上げ、連絡を密にしていくことなどが確認されました(具体的な委員名については、編集委員長から該当者への正式な依頼の後に「南の風」にて報告します)。
 内容については、前号で十分展開できなかった中国特集を何としても実現すること、「韓国生涯学習研究フォーラム」との連携による諸報告、日本・社会教育法制定60周年との関連、全体240 頁を想定した大まかな構成についての意見が交わされました。上記@から引き続いての会議ということもあり、「中国生涯学習研究フォーラム」の存在意義が一段と高まったようにも感じました。第2回編集会議は来年の1月28日(水)15時〜東京を予定しています。
 Bからは、さらに遠藤輝喜TOAFAEC 事務局長と、川崎・伊藤長和さん、立川・真壁繁樹さんが加わりました。内容は、11月に上海を訪問した小林、伊藤、内田からの報告と、黄さんから資料紹介・検討が行われました。小林先生からは、1983年以来の上海との研究交流の歩みが紹介され、今回の上海訪問がこれまでの関係をある意味で総括するような価値や位置をもっていたことが話されました。
 伊藤さんからは、上海に先だって訪問した烟台の紹介がなされ、ついで今回の訪問を通して改めて見えてきた中国の政治、経済そして教育の現状と課題について問題提起がありました。内田からは、今回の訪問で頂戴した上海市教育委員会編の大著『第6回長三角社区教育発展論壇文集』(上海教育出版社、2008.9)の各論文タイトルの翻訳作業を通して見えてきた特徴、「和諧社会」「社区資源」「社区教師資」といったキ−ワードとして紹介しました。黄さんからは高等教育機関、電視大学、公立研修学校、企業訓練センター、私立学院、社区学院、社区学校、老人大学などが成人教育に果たすそれぞれの目的と役割を整理しつつ、市場経済化をはじめとする社会変動がそれらにどのような変化をもたらしているのかが示されました。社区教育のあり方をこうした中で考えていくダイナミックな視点が提示されました。
 @ABと長い会合のあとの一杯はまた格別でした。来年のTOAFAEC 活動もさらに充実していきそうです。東京事務局の皆様にはお世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。

研究会が終わってー左より内田純一・上田孝典・小林(高井戸、081212)



◆第145回:文人先生・富美さんの喜寿を祝う会・記念講演
           
*江頭晃子、Tue, 11 Nov 2008 21:48
 
ご案内 2008年11月のTOAFAEC第145回定例研究会は、揃って1931年11月生まれの小林先生・富美さん夫妻の喜寿を祝う会として開催します。
 第一部は小林先生の講演会、第二部はお祝いの会です。お二人を囲みながら、旧交を温めたり、新たな出会いを楽しむ気楽な会です。「東アジア社会教育」の交差点として、「南の風」読者メンバーのオフ会的な出会いも楽しめるかと思います。ぜひ、お気軽にご参加ください。
○とき:2008年11月29日(土)午後1時から受付 
 ◇第一部:午後1時15分〜2時30分 文人先生講演会
        「私と社会教育 〜福岡、三多摩、沖縄、東アジアを歩き続けて〜」
 ◇第二部:午後3時〜5時 お祝いの会
○ところ:東京・吉祥寺東急イン2階 中国海鮮料理 トルファン
       (吉祥寺駅公園口を出てすぐ・徒歩1分) http://www.turpan-china.com/
○会費:第一部 500円(会場費)
      第二部 大人 6000円(中国料理を食べながら)
            *学生や留学生、遠方からの参加者 3000円、子ども無料
            *一部・二部、どちらからの参加も可。
○申込み:ringox@nifty.com(江頭) 会場の都合上、事前申込みをお願いします。
<記録>
第一部・講演「私と社会教育」(081129)


【小林・講演レジメ】 
私と社会教育−九州・三多摩・沖縄・東アジアを歩きつづけて-
1,はじめに−これまでとこれから   *付表・年表メモ(別紙・略)
2,研究自分史の試み・時代との出会い
 (1)戦争と戦後      *1931年〜1945年〜 世代的な責任
 (2)九州・農漁村などの調査(農村社会学) 
                *1960年代〜地域変貌と村落共同体、社会学で教わったこと
 (3)東京・三多摩(国立・国分寺など)の公民館 *学生運動・市民運動・社会教育運動 
 (4)社会教育戦後史の研究−史資料共有の課題
                *「社会教育法制研究資料」(全15集)→「資料集成」の思想
 (5)社会教育における沖縄の発見
                *「日本近代教育百年史」(1974年)が書かなかったこと
                *占領下の沖縄、琉球社会教育法、字公民館など
 (6)東アジア「社会教育」への視野 *留学生との出会い(1980年代〜)、海をこえる研究と交流
   「東アジア社会教育研究」(1996年)、東アジア研究フォーラムへの期待
3,いま考えていること、いくつか・・・
 (1)新たな「共同体」論の構築
 (2)立法論、政策論、実践論の提言
 (3)東アジア研究ーどう発展させ、収斂させていくか
4,おわりに 

 <喜寿の会−御礼> 小林文人・富美 
 本日はお忙しいなか、私たちの喜寿の祝いにお出で下さり、誠に有り難うございました。久しぶりに懐かしい方々にお会いでき、また、心暖まるお言葉など頂戴し、冥利につきるものがりました。
 このような機会を企画・準備いただいた世話人の皆様に、心からの御礼を申しあげます。有り難うございました。今日の記念に、沖縄・名護にお願いして、「やんばる」の土と火が創り出した「古我知焼」小品を用意させていただきました。…
 私たちも、この「やちむん」(焼きもの)のように、ささやかに、情熱を秘めて、これからの人生を歩いていきたいと思っています。今後ともどうぞよろしくお付き合いのほどお願いします。(2008年11月29日)
 <「桃杏四海」のぜいたくな気分> 小林ぶんじん(南の風2132号)
 第145回研究会は既報のように、小林「喜寿祝いの会」と合体して開かれました。「私と社会教育−福岡・三多摩・沖縄・東アジアを歩きつづけて−」と題して、約1時間の話をさせていただきました。演台には(11月訪中の折)北京・韓民さんからいただいた青銅の鶴亀を右に、上海・呉遵民さんからのお祝い工芸品を左に飾っていただき、「桃杏四海」のぜいたくな気分。各地から約100名の方々、遠く沖縄や九州から見えた方も10人余り、せまい会場はいっぱいとなり、恐縮してしまいました。久しぶりの方々とゆっくり語りあう余裕がなく、心のこりでした。申しわけありません。
 ぶんじんの話はもちろん不充分、時間もきっちりと終わる必要があり。用意したレジメの最終部分はほとんどふれることができませんでので、続きの話は、20年後に沖縄「やんばる」で予定?されている「97才カジマヤー」(風車)の会で、とお約束しました。皆さん、笑って許して下さったようです。
 お祝いの宴会の後半から、その後の二次会への流れは、すでに酔って細かなことをあまり覚えていません。帰宅してポケットから出てきたいろんなメモや、思いつきで撮ったカメラから、いま思い出しているところ。たくさんの電報やお花など送っていただき、お名前はいちいち記しませんが、まことに有り難うございました。
 全体の記念写真は当方のカメラになく、どなたか送っていただければ幸いです。ただし容量の小さいものだと有り難い。まずは二次会の終局(このあと三次会に移ったらしい)の画像を一枚、掲げます。
▼喜寿の祝い・二次会(2008年11月29日


 <11月29日、ありがとうございました> 江頭晃子(南の風2133号)
 先生 富美さん、昨日(29日)はお付き合い頂き、有り難うございました。お疲れになったことでしょう。
 すてきな「やちむん」もいただき、ありがとうございました。和光大学退官の際にいただいた物とは違う味わいで、とてもすてきな一枚。以前のものは豆腐や和え物を食べる際に必ず使っていますが、今回はどんな料理が似合うかなと考えています。使わせていただく度に、昨日のことを思い出すでしょう。
 受付にずっと張り付いていただいた野村千寿子さんの集計によりますと、第一部の参加が104人、第二部が107人(とお子さん5人)とのこと。会場・トルファンにはマックス 100人と言われていたのですが、皆さんにはきつい思いをさせてしまいましたが、何とか全員入ることが出来て、ほっとしています。
 講演もありがとうございました。お願いしていいものかどうか最後まで迷ったこともあり、心配しておりました。丁寧な年表もつくってくださり、先生の足跡とご自身の原点や人・課題との出会いを垣間見ることができ、興味深かったですし、あの場にいらしていた皆さんとのつながりも見えてきました。でもやはり、時間不足でした。レジュメを見たときから、最後の部分を一番期待していたのですが、ゆっくり聞けずに残念です。特に,(1)新たな「共同体」論の構築 については、今度うかがいたいです。(和光大学の最終講義も時間不足感がありました。先生には嫌がられそうですが、やはり2時間は必要だと思いました)。講演は白井知子さんが起こしてくださるとのこと、「東アジア」第14号に掲載できるといいなと思います。
 お祝いの会は、本当に各地からよく皆さんたくさんきてくださいました。短い時間で皆さんがゆっくり話せたかどうか不安ですが「南の風」でお名前だけ聞いていた方のお顔を拝見したり、元気そうな姿にほっとしたり、新しい家族や知り合いを連れていらした方など新たな出会いもありました。一番若い和光大学のテーブルも、学生の顔とは少し違い、時の流れを感じました。(宏さんが、自分を可愛がってくれた人がみんな白髪になっていると言って笑っていましたが、いい意味で皆、歳を重ねていると思います)。
 写真を少し添付しました。白井夫妻が歌っているのは三次会です。歌合戦になりました。皆で先生の影響だねぇと笑っていました。 …(略)…
 米寿のお祝いの際には、先生に2時間の講演をお願いしようと思います。どうぞお二人ともお元気でいらしてください。

 <白酒と島酒> 小林ぶんじん(南の風2133号)
 29日の会の余韻さめやらず、いろんなメールをいただき、有り難うございます。当日はお花だけでなくお酒も頂戴していました。中国の白酒(烟台や上海から)は、二次会で開けることができましたが、沖縄からの泡盛2本は、結局その機会がなく、せっかくの島酒、次の機会の楽しみにとっておくことにしましょう。いま“風の部屋”で保管中。
 そう言えば、松本・村田正幸さんからも信州の銘酒を送る・・・との電話がありました。が、当日の会場との関係で、お酒の持ち込みが難しい予感もあり、お気持ちのみいただき、控えていただくようお願いしました。ご好意に感謝! 「古我知焼」は概ね好評、正敏さん、有り難う!
 世話人の方々、お疲れさまでした。上掲の江頭メールは、なかば私信のようにも思われましたが、一つの記録として「風」に収録させていただくことにします。講演後のパーティでは、世話人の皆さんにはまったく席がなく、ビールもゆっくり飲めなかったようですね。申しわけありません。
 江頭さんからは、あわせて添付の写真が10枚ほど。しかし、残念ながら、カラーバランスが不調で、とくに全員の記念写真はいい画像ではありません。また、上海から頂いたワインレッドの帽子の写真(これを贈った華東師範大学に写真を送る・伊藤長和さん案)も、逆光でもあり、色がほとんど出ていませんでした。
 もし、どなたかのカメラに別の画像が収まっていれば、送っていただけませんか。今回は、ぶんじんのカメラは(二次会は別にして)まったく機能せず、申しわけない。いい画像が届いたら差し替えることにして、ひとまず全員の集合写真を下に掲げておくことにします。




◆第144回:
「東アジア社会教育研究」第13号・合評会
               遠藤輝喜、Tue, 7 Oct 2008 16:40
 ご案内 朝夕はめっきり涼しく、美味しい秋の果物も店頭に並ぶようになりました。皆様におかれましては、お元気のことと拝察いたします。
 さて10月研究会は、TOAFAEC 年報『東アジア社会教育研究』新刊(第13号)合評会をいたします。前回9月の定例研究会では、上勢頭芳徳氏(竹富島リゾート開発の問題等)、平林正夫氏(くにたち郷土文化館等)ご報告が中心となり、年報第13号に関しては経過報告のみとなりましたので、改めての合評会の開催となりました。
 第13号は5部構成(中国、韓国、台湾・モンゴル等、沖縄、ひろば)、それぞれにこれまでにない思いがありますが、今年も課題を乗り越えて力作が編み出されました。このような年報が完成したことは、東アジアの社会教育・生涯学習の新しい胎動のあらわれとも言えましょう。今後の課題を出し合い、さらに次年度の編集につなげていきたいと思います。
 終了後は、あらためて発刊のお祝いと恒例の交流会を予定しています。皆様、ふるってご参加くださいますよう、ご案内申し上げます。
日時:2008年10月24日(金)18:30〜20:30
内容:『東アジア社会教育研究』第13号(新刊)合評会
     −今後に向けての課題・展望をさぐる−
報告:黄丹青、瀬川理恵、江頭晃子、小林文人、ほか参加者
会場:杉並区立高井戸地域区民センター・第2和室
事務局:遠藤(連絡先) 携帯090−7942−4785
終了後・第13号お祝い会・交流会:イーストビレッジTEL03-5346-2077
<記録>
参加:伊藤長和(川崎市)、江頭晃子(編集担当)、遠藤輝喜(渋谷区)、小林文人(編集顧問)、
 黄丹青(編集委員)、瀬川理恵(横浜市)、山口真理子(交流会のみ)

内容:
 9月に刊行されたTOAFAEC年報『東アジア社会教育研究』第13号についての合評会。発行から1ヶ月が過ぎて、学会関係者等によっても好評裡に読まれ始めていること、「東アジア」を共通のテーマに類書のない独自の研究年報としての評価があることなど、総括的な報告のあと、編集実務を担った江頭晃子さんから、全般的かつ細部にわたっての課題提起(レジメつき)がありました。
 全体のページ数、各部(中国、韓国、台湾・モンゴル等、沖縄、ひろば)構成等についての形式上の課題、中国特集、韓国特集、「東アジアのひろば」その他の内容上の課題、編集委員の役割分担やスケジュール等についての編集実務上の課題、さらに「第14号に向けて」の課題など。詳細はここで書ききれませんが、来年に向けて貴重な意見・提言が出され、今後に向けての有意義な合評会となりました。
 とくに編集委員会に関連して、今年度よりとくに、各委員の実質的な役割への期待、事務局制をやめ全員参加、世代的な若返りと新メンバーへの拡大、財政(維持会員)の安定化などをはかった年でした。これまでの仲間意識だけに頼らない、本格的な論議とメール交換を含む丁寧な相互連絡、正式の原稿依頼状の発行など、活性化と細部にわたっての意見があいつぎました。本年12月からはじまる第14号編集・企画に活かされていくことになると思います。
 特集については、編集委員・黄丹青さんから中国特集についての今後の課題、韓国特集については瀬川理恵さんからの感想と、10月2〜5日の韓国訪問の興味深い報告(レジメあり)が出されました。
 終わって、駅近くのイーストビレッジで第13号お祝い会。山口真理子さんが駆けつけて下さいました。
 
(年報編集委員会事務局)
○南の風第2116号
(2008年10月27日) 小林文人
 当夜の第13号合評会は、雨模様でもあり、少ない人数でしたが、本格的な論議が出来ました。年報発行の経過、第13号の出来映え、収録論文の内容、これからの編集体制など。課題をつめながら、第14号に向けて新しい一歩を踏み出すときであることが確認された夜でした。
 論文の内容については、とくに韓国関連の諸報告(7本と訪韓記録)がそれぞれに躍動的、相互関連もあって、充実した特集となったことが参会者の一致した感想でした。
 今年はとくに韓国「平生教育法」が全面改正され施行された年。改正法(施行令を含む)の新旧対照表・日本語訳を付して、李正連さん(名古屋大学)が、「…今日の日本とは正反対に、近年韓国では学習権を保障する平生(=生涯)学習体制づくりが活発となり・・・制度的な支援体制をより強化させる新法として誕生させた」(46頁)と書いている部分が印象的、との共通した感想が出されました。
当夜の報告者・左より江頭晃子、黄丹青、瀬川理恵の皆さん



◆第143回:
竹富島レポート、くにたち郷土文化館など
        
遠藤輝喜、Thu, 11 Sep 2008 04:38 (南の風2092号)
 ご案内ようやく朝夕は多少涼しく、虫の声も聞こえてくるようになりました。皆様におかれましては、お元気のことと拝察いたします。
 さて、9月研究会は、TOAFAEC年報『東アジア社会教育研究』新刊(第13号)合評会をいたします。あわせて“くにたち郷土文化館”の館長・平林正夫さんにおいでいただいて、国立での取り組みなどについてお話をしていただきます。
 平林さんは、私たちの大先輩、かっての国立公民館の「わいがや」喫茶や障害者青年学級を担当(創設)した人。新年会・七夕会等では30年?前からの主要メンバーですが、研究会にお出でいただくのは初めてです。東京学芸大学の講師(社会教育施設論)を永くつとめ、この3月まで国立市教育次長、退職されて、いま“くにたち郷土文化館”だけでなく新しい意欲での活動を開始されています。
 TOAFAEC研究年報『東アジア社会教育研究』は、今年で第13号を刊行いたします(9月18日予定)。各号にそれぞれの思いがありますが、今年も課題を乗り越えて力作が編み出されました。発刊のお祝いと合評の機会をもち、さらに次年度へつなげていきたいと思います。終了後は、近くで恒例の交流会・13号お祝い会を予定しています。
 皆様、ふるってご参加くださいますよう、ご案内申し上げます。
日時:2008年9月26日(金)18:30〜20:30
内容:1部 国立市での取り組み、くにたち郷土文化館のことなど
       平林正夫さん(くにたち郷土文化館・館長) 
    2部 『東アジア社会教育研究』第13号(新刊)合評会  加者(みんなで)
会場:杉並区立高井戸地域区民センター・第5集会室
〒168-0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL03-3331-7841*京王井の頭線「高井戸」駅下車3分
事務局:遠藤(連絡先) 携帯090−7942−4785
終了後の交流会・13号刊行お祝い会:イーストビレッジ TEL03−5346−2077

*竹富島・上勢頭芳徳さん(喜宝院蒐集館長)特別参加の見込み
 当日「高井戸」駅改札・18:20に待ち合わせ。お楽しみに。

<記録>
内容:(1)竹富島リゾート開発問題など 上勢頭芳徳さん(竹富島・喜宝院蒐集館長)
(2)国立市での取り組み、くにたち郷土文化館のことなど(主報告)
 平林正夫さん(くにたち郷土文化館・館長)
参加者:伊藤長和(川崎市教育委員会)、岩本陽児(和光大学)、上勢頭芳徳(喜宝院蒐集館長)、江頭晃子(アンティ多摩)、大和田健太郎(元朝日新聞記者)、姜乃栄(日本希望製作所)、小林文人、清水孝治(日本希望製作所)、瀬川理恵(横浜市教育委員会)、竹中薫(目黒区社会教育指導員)、トクダホ(首都大学東京大学院)、趙娜火英<火と英で一文字>(日本希望製作所)、橋本信(拓殖大学北海道短期大学)、平林正夫(くにたち郷土文化館)、真壁繁樹(たちかわ市民交流大学)、井口啓太郎(国立市役所)の計16名。
*交流会から参加:遠藤輝喜(渋谷区教育委員会)、山口真理子(調布市図書館司書)、張林新(山東省・烟台日本語学校)、時永芳(同)
 今回の主報告者の平林さんの到着が遅れる間に、タイミング良く上京されていた上勢頭さんが今回の研究会にご参加くださり、竹富島のリゾート開発問題の経過と近況をお話ししてくださいました。今回は私を含め初めての参加者が多かったので竹富島の特徴を”24”(北緯24度・東経124度、平均気温24度など)のキーワードでご紹介いただいたり、竹富島のリゾート開発問題の経過について分かりやすく説明していただきました。上勢頭さんは住民の立場からリゾート開発が竹富島に必要かを問い、反対運動に関わってこられたとのこと。2008年1月の住民説明会(風・第1980号【おきなわ短信】)や水牛車施営業所転問題(第2003号【おきなわ短信】)のその後の展開などについて短い時間ながらお話しをしていただきました。
 町長の改選により新たな局面を迎えている情況もあり、今後も竹富島の動向に注視する必要がありそうです。
 研究会のメイン・レポートは国立市で長く公民館活動を支えてこられた平林さんから。平林さんは2008年3月で国立市教育委員会教育次長を退職され、現在は「くにたち郷土文化館」館長(指定管理者:くにたち文化・スポーツ振興財団に出向)を務められています。東京学芸大学大学院で社会学を専攻し、社会運動を研究された経験や小林先生との出会いから、国立市で社会教育の仕事を始められます。国立市公民館では障害者青年学級や喫茶「わいがや」を創設。その後も社会教育課に戻り、国際化関連事業などを担当され、国立の社会教育を創り上げてこられました。興味深いことは、その後の市長部局・課長職を歴任する中で産業振興課に異動されても、大学、商店街、商工会、市民と共に、空き店舗を活用して「人間環境キーステーション」という地域活性化事業を立ち上げられ、社会教育実践ともいえるお仕事をされてきたことです(曰く「わいがや」設立と同じとのこと。詳しくは『月刊社会教育』2007年11月号の平林論文をご参照ください)。
 伊藤寿郎さんの『ひらけ、博物館』(岩波ブックレット)を引きながら「市民のなかの博物館」づくり目指されている現在の郷土文化館のお話しも参加者の関心を強く引きました。省電力、施設緑化の「エコ博物館」の取り組みが朝日新聞(多摩版2008年8月27日)や読売新聞(多摩版2008年8月28日)に紹介されるなど、館長着任早々のご活躍が話題を呼んでいます。
 お話しをお聞きして考えさせられたことは、斬新なアイデアを実現させてきた平林さんの仕事の仕方や力量についてです。新しい発想を事業の中で実現しようとすると、時に住民や行政の枠組み・やり方と対立しぶつかる。その時、平林さんは住民や行政職員と時間をかけて対話をくりかえすことで信頼関係をつくりあげてきたこと。そして事業の仕組みにはいつも「経済・教育・自立」の視点があることなど、改めて学ぶことの多い内容となりました。
 南の海から竹富島(上勢頭さん)、北の大地・北海道(橋本さん)はじめ、韓国(希望製作所)、内モンゴル、中国(山東省烟台日本語学校)の関係者が集い、多彩な参加のなかで内容的にも盛り沢山。予定されていた新刊『東アジア社会教育研究』第13号合評会は、時間の関係で経過報告のみ、次の機会でということになりました。
 交流会も盛んな議論が続くとともに、第13号発刊の祝杯、新たな参加者の自己紹介、昔からの参加者の歌声など、大盛り上がりの夜でした。(井口啓太郎、南の風2101号 Sun, 28 Sep 2008 13:35)

平林正夫さん(くにたち郷土文化館) 撮影・上勢頭芳徳さん

中央・上勢頭芳徳さん(終了後「イーストビレッジ」にて)



◆第142回:平生教育法全面改正後の韓国・平生教育の最近の動き
           遠藤輝喜、Sat, 9 Aug 2008 19:20(南の風2074号)
 7月韓国訪問の報告会>
 ご案内 酷暑の8月、お見舞い申しあげます。皆様にはお元気にお過ごしのことと存じます。
 ご存知のように、先月下旬に福岡より釜山への交流の旅、続いて韓国向け出版・編集委員会による公州・ソウル訪問がにぎやかに行われました。8月研究会は、今回の韓国訪問の報告会として開催いたします。
 韓国では昨年末「平生教育法」全面改正が実現し、今年2月に施行されて半年、各地に新しい動きが始まっているとのこと。これまでにない躍動がみられ、また平生(生涯)学習に関わる市民活動も活発に展開しているようです。これらの動向をどう見るか、日本の社会教育・生涯学習のこれからを考える上でも大いに参考になるところがありましょう。
 7月韓国訪問に参加され、かねてより川崎と富川(プチョン)との市民交流に努力されてきた小田切督剛さんに、これらの新しい動向や課題等をお話しいただくことになりました。あわせて2年前に逝去された故黄宗建先生の追悼(お墓参り)、また福岡・釜山の社会教育関係者による初めての交流についても報告していただきます。
 なお、8月23〜25日・札幌で開かれる第48回社会教育研究全国集会には、韓国より平生教育振興院院長、平生教育総連合会会長、同事務総長、韓国平生教育学会会長などを含めて、20名近くの方々が参加される予定。全国集会・自由交流「この指とまれ」の場で「平生教育法改正後の動き」等の報告をお聞きできるようです。研究会では、その紹介もありましょう。
 皆様、ご期待の上ふるってご参加下さい。終了後は、近くで恒例の交流会(慰労会)を予定しています。
日時:2008年8月29日(金)18:30〜20:30

内容:
小田切督剛氏「韓国・平生教育の動向について」(主報告)
     伊藤長和氏「黄宗建先生の葬所(サンソ)に詣る」
     小林文人氏「福岡と釜山ー海を越えて初めての交流」
会場:(東京・杉並)区立高井戸地域区民センター・第5集会室
      〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
事務局:遠藤(連絡先)携帯090−7942−4785
終了後の交流会:「イーストビレッジ」 03-5346-2077(予定)
<記録>
参加者:浅野かおる、伊藤長和、江頭晃子、遠藤輝喜、小田切督剛、瀬川理恵、朴正善、
      真壁繁樹、山口真理子、米山義盛(交流会のみ)、小林文人、計11人
 毎月、川崎で開かれている「韓国生涯学習研究フオーラム」の活発な活動や7月訪韓、8月全国集会を反映して、盛りだくさんの内容でした。
 韓国では昨年末に全面改正された「平生教育法」が本年2月に施行。これを契機として、いま地域・自治体にこれまでにない新しい動きが始まっています。その動向をどう把握するかが大きなテーマ。
 主報告の小田切督剛さん(川崎市高津市民館)からは、梁炳賛氏(公州大学校)による実務者に向けての最新論考を紹介しつつ、韓国平生教育の動向と課題について詳細な報告が行われました。
 平生教育機関について「専担」機関に加えて一般関連施設も対象とし、三層域(洞など基礎圏域、地区など中層域、市など広域)レベルで対応を考える視点、教育行政と一般行政の競合の問題、とくに地域「平生学習館」の今後の展開課題、大きくは政府セクター・市民社会セクター・市場セクターの構図によるバランスとネットワークを考えていく課題などが興味深く提示されました。
 加えて川崎市と深い関係をもつ富川市の具体的な動向について、平生学習とまちづくりの問題を含め、事例的に地域状況と課題が報告されました。学会報告のような豊富な論点と資料、短い時間では細部の議論に至らず。次の機会にまた(解説を含めて)続編をお聞きしたいもの。
 伊藤長和さん(川崎市教育委員会)からは、7月韓国訪問と故黄宗建先生が眠る葬所への旅(7月22日)の報告、関連してたくさんの資料が紹介されました。小林は福岡・社会教育研究会による初めての釜山(平生教育)との交流について報告しました。
 あわせて、8月・札幌で開かれた社会教育研究全国集会(第18回分科会)で実現した韓国訪日団による興味深い「マウル・平生学習」レポートについて紹介。同分科会「自治と連帯を築く小地域の活動(自治公民館など)」では、昨年に引き続き韓国訪日団の主要メンバーが出席されました。札幌・横浜そして沖縄(竹富島)等に関する報告と関連して、いま活発に動いている韓国の住民自治センターや小地域(マウル)の平生学習について、特別にお話を伺うことができました。邑・面・洞などの地域末端行政組織だけでなく、さらに下部のマウル(ムラ、集落)レベルで、住民活動や学びの取り組みが始まったいるというのです。
 興味深い内容、しかしテープにとる用意がなく、不充分な記録ですが、ホームページにも掲載。ご覧いただければ幸いです。→■
 終了後の交流会には、雨の中、米山義盛さんが駆けつけ参加。雷鳴と豪雨のなか、帰路を心配して、やや早め?のお開き。(小林文人、南の風2086号(2008年9月3日)

小田切督剛さん(20080829)



◆第141回:上平泰博 地域がつくったNPO児童館のあゆみといま
                  小林 文人、(2008年7月10日)
 地域がつくったNPO児童館
 ご案内 今年6月の定例研究会は、TOAFAEC 総会や七夕の会の行事と重なり、7月へずれこむこととなりました。2ヶ月ぶりの定例研究会です。
 今回は「南の風」2011号(2008年4月9日発行)にご紹介した上平泰博さんをお招きします。上平さんは今年3月まで東京・品川区の公立児童館に勤務、公務員生活(30年)に終止符を打って、4月からNPO法人「おおもり子どもセンター」が経営する「子ども交流センター」の館長として活躍されています。
 NPOといえば、一般には地域から離れた機能団体的な組織が多いなかで、「おおもり子どもセンター」は地元の6町会が設立したユニークな歩み。旧大森第六小学校の施設を活用するかたちで「子ども交流センター」が創立されました。床面積1768u、常勤職員3名、非常勤6名、児童館事業(補助・自主事業)と学童保育事業(委託)を担って、今年で5年目。2月に4周年記念フォーラムが開催され、「地域がつくったNPO児童館のあゆみといま・資料集」が発刊されています。興味深い記録です。
 上平さんは、これまで東京を拠点とする児童館運動の理論的なリーダー。また沖縄にも関心をもっている人。私たちの研究会としては願ってもないお話となることでしょう。ふるってのご参加をお待ちします。
日時:2008年7月25日(金)18:30〜20:30
ゲスト:上平泰博さん(おおもり・子ども交流センター館長)
テーマ:地域がつくったNPO児童館のあゆみといま
会場:杉並区高井戸地域区民センター・第5集会室
    (京王井頭線「高井戸」駅下車、環八を渡ってすぐ、徒歩3分
             「地域と教育を考える会」名称で会場予約)
終了後(20:45〜):上平さんを囲む交流会−高井戸駅近く、「イーストビレッジ」 03-5346-2077
連絡先:遠藤輝喜(渋谷区幡ヶ谷社会教育館、03−3376−1541) tel 090-7942-4785
記録
出席者:伊藤長和(川崎市教委)、遠藤輝喜(渋谷区社教館)、小林文人(TOAFAEC )、小林繁之(目黒区青少年プラザ)、山口真理子(調布市)、瀬川理恵(横浜市教委)、佐野秋桜(東京学芸大学)、江頭晃子(アンティ多摩)−敬称略
内容:   
 上平泰博さんは今年3月まで東京・品川区の公立児童館に勤務、公務員生活(30年)に終止符を打って、4月からNPO 法人が運営する大田区の「子ども交流センター」の館長に。もともと児童館の歩みは、住民や商店街など地域で子ども達の居場所が作られてきた背景があり、美濃部都政時代に行政サービスとして公的に設置されてきたことで、多く地域との繋がりが薄れ、館内でのサービスを中心に展開してきた。
 上平さんは品川区公設館時代、地域に出て事業を展開し、地域の子ども達とどう共に作っていけるかというアウトリーチに力を入れてきたが、役所の規制に限界を感じ、今回の館長就任へ。現在の交流センターには上平さんが理想とする児童館があると言う。
 同センターを運営するのはNPO 法人「おおもり子どもセンター」。元は大森第六小学校の統廃合に伴い施設活用協議会が立ち上がり、自治町会長や地元住民が話し合う中で、1-2階を運営するNPO法人「大森コラボレーション」と、3-4階の児童館を運営する「おおもり子どもセンター」が設立された。現在、同法人の理事は自治町会長や元PTA役員、青少年委員などで構成され、同センターには毎日 100人以上の地域の人材が出入りをし、地域の力で子どもが育ち、世代間の交流が行われ、場がまちづくりの拠点ともなり地域力を感じると言う。
 課題別に動くことの多いNPO法人に、地域住民や自治会が深く関わることで、生活に密着した活動展開が可能になっている。そして職員の専門性も大事だが、地域共同体が生きていればカバーできる、とも話された。が、悩みはやはり安い人件費。自由に仕事ができることで、最大限に自分の力を出し切れるが、残業代も出ない非常勤職員などの労働条件は悪い。いい意味で地域の力を(安く)引き出そうとしている現在の大田区長などに、地域力をいかすための人件費の保障についてなど、かけあってもいる。
 上平さんが理想とする児童館は今の行政機構では難しかった。でも公的機関としてしっかり行政がお金を出す必要がある。小林先生からは、「公だ民だといいあうのではなく、今こそ公のあり方を問い直し、民はどう関わっていくか、両者の結合の視点から展望を描いていく必要がある。上平さんたちから、その方向を発信して欲しい」という話も出た。
 上平さんの話を聞きながら、わがNPO法人のこと、子どもの保育園民営化の問題、さまざまな社会問題等を頭に浮かべながら、立場や意見の違いを超え、それぞれが自分の問題と捉え、どうつながり連帯できるかが鍵だなぁと改めて感じたひと時であった。
 終了後の交流会は上平さんを囲む会。いつもの店がお休み、駅下の中華料理店に座り込んで盛んな議論が続いた。(江頭晃子、南の風2066号・7月27日発行)
上平泰博さん(080725)


<希望、未来をみる視点>
 韓国から帰った翌日は、1ヶ月のばしになっていた第141回定例研究会(研究会記録は上掲・江頭メール)でした。この日のゲストは上平泰博さん。はるか昔の和光大学や「東京都教育史」執筆グループ以来の再会。前にもまして、存在感ある風貌で登場、嬉しくなりました。
 沖縄・韓国への旅に続く連日のスケジュールで、体の疲れはたまっているものの、久しぶりの出会いに心は活気あふれ、研究会でも、終わっての交流会でも、盛んに議論しました。酷暑にもかかわらず、暑さを忘れる毎日、すこしまわりで心配する向きもありますが(有り難う!)考えてみると、なんと幸せなことよ。自然に体の疲労感も消えています。
 この日、ぶんじんが力説したことは、児童館にしても、公民館また社会教育にしても、たしかに厳しい現実は否定しがたい、しかし、だからこそ脱皮と再生の論議をする必要がある、希望と未来を語る姿勢が大事なのではないか、ということです。上平さんの話は、いくつもの重要なキィワードがあったように思いました。たとえば、地域のネットワーク、市民の主体的力量、地域がつくるNPOの可能性、行政の脱皮の課題など。
 あと一つ、今回の韓国訪問で「希望」「創造」等という言葉を各地でたくさん聞いたことが関係しているようです。課題はもちろん多い、だからこそ、未来に向けて何を創るか、そんな躍動を実感してきたのです。(小林文人、南の風2066号)


◆第140回:渡部幹雄 愛知川の図書館と新教育行政への期待
 <愛知川の図書館と新教育行政への期待> 小林 文人、(2008年5月7日)
 ご案内 花香り、そして風薫る五月、いい季節となりました。皆様、お元気でしょうか。今年に入って私たちの研究会は、(1月は東京でしたが)2月・名護、3月・上海、4月・伊江島、と海を越えて上京・来日される方々を迎えての例会が続いています。次回(5月定例)も、陸続きとはいえ、近江から上京されるゲストを囲んでの研究会を開催することとなりました。
 「南の風」にはよく登場される渡部幹雄さん。この3月まで滋賀県旧愛知川町図書館の館長、転じて4月より、合併した新・愛荘町の教育長に就任。このニュースは私たちを驚かせました。「愛知川の図書館と新教育行政への期待」(仮題)について、この間の“ドラマ”をお聞きしようという企画です。日程は下記の通り。
 渡部さんは、東京の大学を卒業した後、故郷の大分県緒方町で社会教育主事、博物館学芸員、図書館司書を歴任した珍しい人。その間には地域青年団運動に参加し、一時期は大分県連合青年団長としても活躍。
 1980年代後半に社会人研究生として大学へ。さらに大学院(修士)修了後は再び緒方町に帰り、請われて長崎県森山町、滋賀県愛知川町へと動き、それぞれの地で意欲的な図書館づくりに奮闘されてきました。著書として『図書館を遊ぶ』(新評論、2003年)など数冊。また私たちの「東アジア社会教育研究」には、第9号(2004年)に「図書館づくり四半世紀のライフヒストリー」が収録されています。興味深い自分史。
 ゲストの日程に合わせて、定例の金曜日でなく、また会場も、いつもの高井戸ではなく、永福和泉区民センターです(ご注意を)。終了後は駅近くで、教育長就任お祝いの乾杯をいたしましょう。皆様お誘いあわせてお出かけ下さい。どなたも歓迎!
日 時:2008年5月20日(火)18:30〜20:30
内 容:愛知川の図書館と新教育行政への期待
ゲスト:渡部幹雄(滋賀県愛荘町教育長)
会 場:杉並区・永福和泉地域区民センター・第6集会室
      *井の頭線「永福町」駅下車、井の頭道路・三浦屋の横を入る、徒歩4分、
       「地域と教育を考える会」名称で会場予約
終了後(20:45〜):教育長就任お祝い会(永福町駅近くで)
連絡先:遠藤輝喜(渋谷区幡ヶ谷社会教育館、03−3376−1541)
      tel 090-7942-4785
<記録>
参加者:<敬称略>江頭晃子(アンテイ玉)、遠藤輝喜(渋谷区教委)、栗山究(早稲田大学・院)、小林文人、瀬川理恵(横浜市教委)、丸浜江里子(原水禁・安井資料研)、トクタホ(首都大学東京・院)、ブレン・ジリガラ(同)、山口真理子(調布市、交流会のみ)
会場: 杉並区・永福和泉地域区民センター・第6集会室
終了後(20:45〜):教育長就任お祝い会(永福町駅近くで)
<自治体の図書館づくりと教育行政>
 … このたび滋賀県愛荘町・教育長に就任された渡部幹雄さんを招いて、図書館と教育行政に関するお話、続いてお祝いの乾杯の夜でした。社会教育畑からの教育長の誕生、ユニークな仕事振りに共感、期待大!です。横浜等から新しいメンバーも見えて、140回記念にふさわしい会でした。中天には満月。人数がやや少なくて残念。
 そういえば、内田純一さんと渡部幹雄さんは同じ研究室の同期の仲間。20年ほど前のこと、いろんなエピソードが残っています。それ以前に,、渡部さんとは(青年団活動の時代から数えると)もう30年もの付き合い。ダジャレ好きの昔を知るものには、教育長などという、教育行政を束ねる要職につく人とは夢にも思いませんでした。人生にはいろんな道が待っているもの、それも突然に・・・。持ち味の豊かな感性を大事にして、個性的な教育長として歩んでいってほしいと願いつつ、紹興酒の杯を重ねました。
 隣に座っていた渡部さんから、キラキラ輝く「教育長バッジ」を見せてもらいました。小さな桐箱入り。政治家の議員バッジと似ているようで似ていない、金ではなく銀色の静かな輝きでした。
(小林文人、南の風2032号・2008年5月22日
渡部幹雄さん(愛荘町教育長)
 2008年5月20日



◆第139回:@赤崎隆三郎 伊江島のいま−地域づくりの動き  
        A
山口真理子さんに乾杯

沖縄・上空より、伊江島(左下)、対岸(右上)は本部半島・備瀬(20061226) 写真移動


<沖縄・伊江島のいま−地域づくりの動き>
 小林 文人、(2008年3月3日)
 ご案内 4月・春らんまんの季節となりました。新年度・新学期、皆様いかがお過ごしでしょうか、花見はどんな賑わいでしたか?
 4月の定例研究会は、数えて139回となります。4月下旬に、沖縄・伊江島から赤崎隆三郎さん(伊江村地域雇用創造協議会事務局長)が上京されることになり、今回はその好機に合わせて、赤崎さんを囲み「伊江島のいま−地域づくりの動き」についてお話をお聞きすることにいたしました。
 本研究会は、伊江島について、ずいぶん前に、故阿波根昌鴻さんの土地闘争の証言や映像を取り上げたことがあります。今回は、その後の島の変化や最近の新しい動きのお話をお伺いできると思います。
 4月は、年によっては人生の節目となる月、異動の季節です。今年は山口真理子さん(調布市立図書館司書)が、40年近くの勤務に終止符をうち、この3月末をもって退職されました。真理子さんは、本研究会創立(その前身の沖縄社会教育研究会・中国語学習会)当初からのメンバーであり、現在は研究会の会計を担当されています。これまでの図書館一筋の仕事をねぎらい、これからの自由な生活をお祝いする集い(会終了後)です。ともに乾杯し、お互い春の一夜を楽しみましょう。
 赤崎さんのご都合に合わせて開きますので、毎月の例会日(最終金曜日)とは数日の違いあり、ご注意ください。
日時:2008年4月28日(月)18:30〜20:30
内容:(1)沖縄・伊江島のいま−地域づくりの動き
      ゲスト:赤崎隆三郎さん(伊江村地域雇用創造協議会・事務局長)
    (2)山口真理子さん退職お祝いの会−終了後
会場:杉並区高井戸地域区民センター・第3集会室
   (京王井頭線「高井戸」駅下車、環八を渡ってすぐ、徒歩3分
              「地域と教育を考える会」名称で会場予約)
終了後(20:45〜):お祝い会「イーストビレッジ」 03-5346-2077
連絡先:遠藤輝喜(渋谷区幡ヶ谷社会教育館、03−3376−1541) tel 090-7942-4785

<記録>     
出席:(敬称略)赤崎隆三郎(伊江島)、伊藤長和(川崎市教委)、岩本陽児(和光大学)、遠藤輝喜(渋谷区教委)、金侖貞(首都大学東京)、小林文人(TOAFAEC)、近藤恵美子(中央大学・院)野村千寿子(大田区教委)、平井教子(鶴ヶ島市役所)、真壁繁樹(立川市教委・嘱託)、丸浜江里子(明治大学・院)、山口真理子(調布市)、米山義盛(全教共済)
●<28日・4月定例研究会ご報告> 小林ぶんじん *南の風第2021号(4月30日)
 4月研究会は、沖縄・伊江島から赤崎隆三郎さんを迎え、あわせて37年勤務された調布市立図書館・退職の山口真理子さんの労をねぎらう集い、懐かしい顔ぶれが集まり、思い出にのこる会となりました。
伊江島といえば、過酷な伊江島戦、戦後の激しい土地闘争、故阿波根昌鴻さんの生涯(証言集、映画、ビデオ等)、他の島にみられない独自の厳しいイメージ。赤崎さんのお話は、それと対照的に現代の伊江島の活発な地域づくりの躍動。たとえば、白百合祭り、ハイビスカス、押し花、かりゆしウエア、ファッションショー、百年記念事業や民泊等、むしろ南の島からの明るい動きの報告でした。興味深し。
 二次会の「イーストビレッジ」で、もっと詳しい話を聞きたいところでした。ところが山口真理子さん退職お祝いの会ということもあり、体調を整えて出席の近藤恵美子さんから花束贈呈、また昔の研究会仲間が賑やかに集まって、やや同窓会的な雰囲気。百万本のバラや喜瀬武原の歌も続いて、宴は尽きず。
 赤崎さんには、伊江島の現在について、また次の機会に“続き”をお願いしよう、その楽しみを残していただいたかたち。お許しください。
 次の「やんばる」行きは、7月上旬の予定。その折、村営企業の伊江島フェリーに乗って、島に渡れるかどうか、お楽しみ。
 なお次回・5月定例研究会は、当夜ご相談する機会を失しましたが、新しく教育長(滋賀県愛相町)に就任された渡部幹雄さん(前・愛知川図書館長)を囲む会を予定しています。定例曜日を変更して5月20日(火)となる見込み(既報・4月19日−風2015号「5月日程」)。

 
なお1996年秋、和光大学のゼミ旅行で伊江島・阿波根昌鴻さんをお訪ねし、ご一緒に撮った写真がありましたので、記念にHP第3版「沖縄アルバム」へ載せました。→こちら■

左・伊江島の赤崎隆三郎さん(イーッストビレッジにて、20061226)


●<伊江島・赤崎隆三郎さんの報告>平井教子(Tue, 29 Apr 2008 23:59)南の風第2022号〜2023号
 この日は、「沖縄デー」。1952年4月28日・サンフランシスコ平和条約発効により沖縄が本土から分離された「屈辱の日」ということは、先日の「南の風」(2020号)でもお知らせがあったところです。
 学生時代から今も!お世話になり続けている山口真理子さんの退職を激励する会ということで、この日は、なんとしてもという思いで会場に向かいました。
 まず、伊江村地域雇用創造協議会の事務局長をされている赤崎先生から、伊江島の地域づくりについて興味深い報告がありました。
 赤崎さんはもともと与論高校の美術の先生ですが、1年半前に名護から伊江島に移られて、現在のお仕事をされているとのこと。伊江島は沖縄の戦後史を見るのには典型的なところ。戦後全くの焼け野原からスタートをしたのが伊江島だそうです。そういう意味で「再生能力」が秀でていて、沖縄で最も元気な地域だとのこと。
 伊江村には8つの集落・公民館があり、それぞれの地区で伝統行事の村踊りが受け継がれている。この村踊りの指導法に工夫があり、直接踊る青年層を、長老が指導するのではなく、長老が成・壮年層の指導の仕方を指導し、成・壮年層が青年層を指導するという2段階方式になっており、世代間の役割が明確になっているのだそうです。
 また、最も興味を引いたのが、「民泊事業」の話。伊江村には高校がなく、中学を卒業したら、子ども達は、みな本島(那覇など)の高校へ進学することになるそうです。その子どもの空き部屋を使って、大阪の中学生(コミュニケーションに問題を抱えた子どもを含めて)を民泊で受け入れている。ただこれだけの事業だが、このことによって、いろいろと良い連鎖が生まれているとのこと。まず、各家庭の家計の面で言うと、子どもを高校へ出すために、那覇へ月々相当額を仕送りをしている。しかし、民泊事業を受け入れることによって、1人1泊 7,000円が各家庭に落ちる仕組みになっている。
 このうち、3,000 円は食材に充てることになっているので、近所の商店が潤い、また他人の子どもを自家用車に乗せるため、車検などもきちんと受けるようになり、地域の業者にお金が回るようになり、地域全体が活性化する効果があるとのこと。そして集落はユイマールの社会。
 メンタル部分での効果として、他人の子どもを預かることにより、自分の子どもとはさほど会話をしないが、他人様の子どもとは会話をする(子どもの側からみても同じ)。そのことにより、自分の子どもと同世代の子どもがなにを考えているのか良く分かるようになった。また、民泊にきた子どもも同様、子どもたち相互も受け入れ具合を聞きあったりして、コミュニケーション能力が高まっているとのこと。もともと、民泊の内容は各家庭に任せているため、多少の不公平が前提だが、それがかえってコミュニケーションを活発にしている効果がある。。
 しかし、これらの事業は、効果があるからといって、無原則に拡大はしない。受け入れ家庭数はたとえば集落123戸のうち、3分の1ずつが受け入れ家庭となる。何かあっても対応できるようにしている。また、いくら希望があっても年間2万3,000人で打ち止めにしている。これは、観光事業としてやっているのではないので、水準を管理をしていく必要があるため。超えた場合は受け入れを控えているとのこと。
 そのほか、「百合祭り」「フラワーハイランド構想」などさまざまな事業も構想し手がけている。
 伊江島のお話の中で、印象的だったのは、いくら良いことでもボランティアだけでは住民は生活できない、ビジネスの側面をもたなければ生活は成り立たない、換金によりはじめて潤うのだという事実。コミュニテイ・ビジネスとしての取り組みと、集落のユイマールの組織があること。これを全国の仲間へ伝えていきたいとのことであった。
 わが身を振り返ると、都市では生活と文化に密接な社会教育は展開できているが、ビジネスと結びついていかない。生活そのものが厳しい昨今、社会教育にも新たな展開が迫られているのかもしれないなどと思ったりした。
 次に、山口真理子さんから37年にわたる調布市図書館司書としての歴史をお話された。1970年に東京都の図書館振興政策を受けて、調布の図書館が分館網計画を採り、上り坂のとき就職されたとのこと。10年後に足立の図書館が民間委託になり、調布もその後委託の問題が出たが、市民運動で阻止したとのこと。また、以前は図書館の利用者といえば子どもとお母さんだったのが今は高齢者が多いこと。どこも高齢化社会への対応が課題になっている。淡々とお仕事をやっておられる山口さんも、就職して16年目に辞めたいと強く思ったが、今は亡きお父上に「4年頑張れ!!」と励まされ、その後20年、勢いでここまで来たとのこと。含蓄のあるお話でした。
 質疑の中で、『米軍と農民・沖縄県伊江島』(岩波新書、1973年)などを書かれた阿波根昌鴻さんに何度も会われたという丸浜江里子さんから、「今、伊江島では阿波根さんをどう評価していますか?」という質問があった。赤崎さん曰く、伊江島の人たちは、民泊事業で訪問した県外の子ども達に島の生活を伝えるために、伊江島の過去を知る必要があり、そのプロセスであらためて阿波根さんに光が当たっているとのことであった。自分が必要としたとき、主体的に物事に向かったとき初めて人間は拓かれていくものだなあ、と思いました。
 さて、その後は、会の皆さんにとってはいつもの、私にとっては久しぶりの二次会「イーストビレッジ」でした。体調のお悪いところを押してご参加いただいた近藤さんからプレゼントされたバラの花束を抱いて、歌ってくださった山口真理子さんの「百万本の薔薇」をはじめ、数々の歌やお話で楽しい、忘れがたいひと時を過ごしました。
近藤恵美子さんより右・山口真理子さんへ花束(20080428)   



◆第138回:華東師範大学(上海)訪日団歓迎会  【南の風】第2004号(2008年3月22日)
              小林ぶんじん、(2008年3月3日)
 <華東師範大学(上海)訪日団歓迎会ご案内>
 ご案内 すでに「南の風」誌上で何度かお知らせしたように、私たちの親しい友人(老朋友)呉遵民さんを中心に、上海・華東師範大学の教授一行が3月20日に来日されます。第1回東アジア教師教育研究国際シンポジウム(日本教師教育学会主催、3月20〜23日、会場・法政大学)参加のためです。ご一行は、同大学・副学長(庄輝明氏)をはじめ、教育系学部長・杜成憲さん(学生時代、羅李争さんと寮で同室、寝食をともにした友人)など9名の方々。賑やかな顔ぶれです。
 同スケジュールが終了する23日(日)午後、東京観光のあと、私たちの研究会で来日歓迎の集いを開催することになりました。渋谷の夜のひととき、中国・日本の関係者あい集い、ともに語りあい、お互いの親善・友好を深めたいと思います。いつもの定例会・交流会場と違いますので、お間違いのないように。懇親会として会費をお願いすることになりますので、よろしくお願いします。
 研究会員以外の方でも、関心ある方はご遠慮なくお出かけ下さい。準備の都合上、出席ご希望の方は、21日までに下記事務局まで、ご一報いただければ幸いです。
○華東師範大学(上海)訪日団歓迎会:
日時:2008年3月23日(日)18:00〜20:00
会場:渋谷ロゴスキー(東京プラザ9階、03-3463-3665)JR渋谷駅西口正面、徒歩2分
会費:6000円前後
事務局:遠藤輝喜(渋谷区・幡ヶ谷社会教育館)tel 03−3376−1541
      ケイタイ 090-7942-4785、Email:0146076101@jcom.home.ne.jp
○華東師範大学・訪日団メンバー・専攻:
杜成憲(1954年生まれ)教授;中国古代教育史、教育学部長
楊小微(1954年)教授;教育改革論、中国教育部・基礎教育改革と発展研究所所長
陸有全(1943年)教授;教育哲学
熊川武(1957年)教授;基礎教育
呉遵民(1952年)教授;生涯教育
周金浪(1949年)副教授;教育原理、教育学部・党書記
黄向陽(1967年)副教授;道徳教育
王建軍(1973年)副教授;カリキュラム論
*庄輝明(華東師範大学副学長)は東京・国際シンポジウムのみ参加
○沖縄スケジュール
 一行は上海への帰路、かねてお誘いしていた沖縄を訪問されることになりました。3月26日(那覇・歓迎会)、27日(名護・歓迎会)、28日やんばるめぐり、29日に那覇に戻り、30日午後、上海への直行便にて帰国の予定です。
 この日程に合わせて、韓国の金済泰さん、魯在化さん、申聖勲さんも沖縄への旅に参加されることになりました(風・前号に既報)。26日夜に台北経由で那覇着、合流してやんばるへ。30日に帰国予定。これに本土からの同行者を入れて、合計16名の沖縄訪問団となりました。那覇、名護では、車の手配を含めて、準備が始まっています。皆さん、有り難うございます。(ぶ)
★記録
出席者:上記・華東師範大学関係者、小林文人・富美、伊藤長和、手打明敏、呉迪、黄丹青、新保敦子、岩本陽児、古市直子、林真一郎 山口真理子、遠藤輝喜(事務局)
 
華東師範大学・教授グループは9名の皆さん。庄・副学長、杜・学部長を含む一行は、訪日の主日程(第1回・教師教育に関する東アジア国際シンポ)を終えて、これから沖縄へのエクスカーション
に出かけるスケジュール。楽しそうな雰囲気でした。いつもの渋谷ロゴスキーの一角を貸し切って盛大な歓迎会となりました。
 進行・通訳はもちろん呉遵民さん。上海からのゲストだけでなく、黄丹青さん、呉迪さん、それに新保敦子さん(早稲田大学)の中国語による挨拶を含めると、この席は日本語スピーチが少数派。呉さんに乗せられて、久しぶりに「大海(ターハイ)」(山口真理子さん付き添い)を歌いました。(小林ぶんじん)
 昨日(23日)は、お会いできて、本当に嬉しかったです。華東師範大学の先生方ともご一緒でき、嬉しく思っています。呉さんは、相変わらず元気でパワー炸裂ですね。他の先生方ともご一緒に、秋葉原のヨドバシカメラ、上野公園、アメ横と、普段はなかなか行く機会の無い所にいきまして、私自身も楽しかったです。
 ロゴスキーでの歓迎会ですが、3月に卒業する学生の追いコンがあり、途中で中座させて頂き、済みませんでした。先生にご挨拶をと思ったのですが、大海を歌っていらっしゃる所でしたので、失礼いたしました。(新保敦子)


*関連記事・沖縄訪問記録→こちら■


◆第137回:島袋正敏 泡盛の歴史と文化・古酒づくり、(2次会)仕次ぎの実際
              
小林ぶんじん、(2008年2月4日)
 <泡盛の歴史と文化・古酒づくり>
 ご案内 信州・松本の公民館60周年記念「第23回・松本市公民館研究集会」(2月16〜17日)の招聘をうけて、名護の島袋正敏さんが参加されます。この機会に私たちの研究会に立ち寄っていただき、久しぶりのお話をお願いすることになりました。日時・テーマ・会場は下記の通り。
 正敏さんは、名護博物館や名護市中央図書館の館長等を歴任され、山原(やんばる)の社会教育・文化運動のなかで中心的な役割を担ってこられました。『おきなわの社会教育−自治・文化・地域おこし』(エイデル研究所、2002)の共編者。現在は山原島酒之会、ものづくり塾、ギャラリーみんたまあ(目の玉)等の運動にたずさわり、幅広く活躍されています。人呼んで「やんばる自由人」。
 当日は、文化としての山原島酒(しまざけ)の運動をうかがったあと、少し早めに終了し、会場を「風の部屋」(西永福)に移して、古酒づくり「仕次ぎ」(三つのカメを用意)の実際を指導していただきます。お楽しみに!当日、正敏さんは「風の部屋」に宿泊予定です。
 なお2月19日には、竹富島の喜宝院蒐集館(館長)上勢頭芳徳さんが上京され、同じく「風の部屋」に宿泊されることになりました。千客万来の賑わい。竹富島の動きなどに関心をもたれる方はご一報ください。芳徳さんのご都合が分かり次第、ご連絡します。一夜語らいましょう。
○第137回TOAFAEC 定例(2月)研究会
 日時:2008年2月15日(金)18:30〜20:00
 内容:泡盛の歴史と文化・古酒づくり
 ゲスト:島袋正敏氏(名護、山原島酒之会々長)
 会場:杉並区高井戸地域区民センター・第五集会室
      (京王井頭線「高井戸」駅下車、環八を渡ってすぐ、徒歩3分
                 「地域と教育を考える会」名称で会場予約)
 二次会:講演を少し早めに終了し、西永福「風の部屋」に移動
         20:30〜 古酒「仕次ぎ」と交流会 

★記録    
【南の風】第1993号(2008年2月19日)
参加者・敬称略:(第一部)小林文人、伊藤長和、桑原重美、岩本楊児、旭天文(内モンゴル通寮市出身・和光大学修士課程) 薩如拉(サルラー、内モンゴル赤峰市出身・和光 大学研究生)、包聯群(東北大学北アジア研究センター・外国人特別研究員)、遠藤輝喜、トクタホ
○第1部の報告 
(記録:トクタホ、Sat, 16 Feb 2008 00:36) 
 話の流れとしては、泡盛の誕生から古酒カメのこと、「仕次ぎ」の思想やその方法などについて興味深い話でした。
1,泡盛の誕生とそのルーツについて。シャムルート説。14〜15世紀の交易品としてシャムの南蛮酒が
 入ったという説があり、その香気と風味が泡盛と同種のもの。シャムから來琉し商売した歴史からシャ
 ムルートと言われてきたそうです。
2,複線ルートによる可能性。大交易時代の中国、タイ、インドなどからの伝来の可能性もある。
3,主な記録には、1462年の那覇港倉庫に古酒があったこと。1660年の将軍家網へ献上されたこと。
 71年目録「泡盛」という名が載っていた。
4,泡盛の呼称由来としては、原料としての栗、泡を盛る、薩摩命名説などあり。
 さらに話は多岐にわたり、短い時間の中で、泡盛の特性、古酒の甕選び、洗浄、保管場所、「仕次ぎ」と管理、順序について貴重なお話でした。我々モンゴル人にはとりわけ興味深い話であり、一度是非やって見たいと思っています。
○第2部:仕次ぎの会報告−記録:岩本陽児(Sat, 16 Feb 2008 11:32)
 第二部からの出席者:(第1部に加えて)富美さん、もと銀行で同僚の山口さん、下仲さん、地元の美容室・宮里さん(久米島出身)とお連れの方(人吉出身)、ネパール・レストランのオーナー(料理を運んできて同席)。
 メインイベントは島袋正敏さんによる「実技篇」。甕を3つ並べ、左の古いものへと順に移し替えていきます。もとは柄が鋭角についた柄杓を使用していたそうですが、今回は家庭用の灯油ポンプ(使用後は水洗いして乾燥保存)。まず、ふたを取り、甕の口を清潔なタオルで清めます。次にデイゴの木でできた蓋をくるんであったセロハンのうち、最下部のものを新品に交換。なぞめいていた紐のかけ方も丁寧にご教示いただきました。8の字にして、最後は片結び。紐の余分と、はみ出したセロハンをはさみで切り除きます。仕上げは月桃紙で蓋を覆い、これまた同様に結んで完了。
 セロハンの重ね具合で密閉の度合いを調整します。特にお願いして蓋を持ち上げさせていただき、その加減を手に覚えさせました。きつからず、ゆるからず。
 さて、古酒の芳醇なること、まさにうまざけ。飛び入りでネパール・ネワール族の酒器に入った73度も登場して、いつもに増して楽しい集いでした。
左・島袋正敏さん(名護博物館・ものづくり塾にて、20051127)


◆第136回:TOAFAEC ・今年度の活動、"これからの夢"をかたる
                  *遠藤輝喜、Mon, 14 Jan 2008 21:17
 <“これからの夢”をかたる>
 ご案内 皆様、お元気で新しい年をお迎えのことと存じます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 私たちの研究会は今年で足かけ13年目を迎えました。TOAFAEC 定例会も数えて第136回。新春第1回は、昨年の経過を振り返りつつ、TOAFAEC の今年の新しい方向と課題、“これからの夢”を語りあう会にしたいと思います。ご参加の皆様より、それぞれの立場からご意見や期待を出しあって頂ければ幸いです。
 主要な課題の第一は、昨年来取り組んできた「モンゴル支援奨学会」(仮称)について。理解ある方々からご芳志を寄せていただき、すでに前途ある若者への奨学援助の活動が始まっています。この試みがさらに循環性をもって継続していく上での課題、とくに「モンゴル支援奨学会」規約や組織等を検討したいと考えています。
 あわせて第二に、韓国生涯学習研究フォーラムのこれからの活動について、さらに中国・台湾との研究交流の進め方について。本年度の『東アジア社会教育研究』第13号編集との関連もあり、関係の方々から当面していること、これからの方向、年頭にあたってのご提案等を出しあっていただくようお願いいたします。
 3月下旬の上海(華東師範大学)訪日団の沖縄訪問の受け入れ、7月予定の韓国訪問計画(案)などを含めて、TOAFAEC の今年度旅行スケジュールも話題になることでしょう。皆さまのご出席をお待ちいたします。新しいご参加も歓迎!どなたもお気軽にお出かけ下さい。
○第136回研究会−今年度の活動、“これからの夢”をかたる
 日時:2008年1月25日(金)18:30〜20:30
 内容:(1) モンゴル支援奨学会のこれから
     (2) 韓国生涯学習研究フォーラム−韓国へ向けての出版構想等
     (3) 中国・台湾との研究交流、とくに第13号編集に向けて
       上海(華東師範大学)グループ沖縄訪問・受け入れについて
 話題提供:トクタホ、金侖貞、小林文人ほか
 会場:杉並区高井戸地域区民センター・第五集会室
 交流会:終了後(20:45〜)「イーストビレッジ」TFL 03-5346-2077予定
 連絡先:遠藤輝喜(渋谷区幡ヶ谷社会教育館)03−3376−1541 ケイタイ090-7942-4785
★記録    【南の風】第1981号(2008年1月28日)
参加者:
(敬称略):金侖貞、トクタホ、チングル(首都大研究生)、ツェリン(首都大院1年)、
      小林文人、遠藤輝喜
 TOAFAEC ・今年度の活動 "これからの夢"をかたる、と題して、三つの報告がなされました。
 一つは、トクタホさんによるモンゴル支援奨学会の報告と課題検討。昨年秋より、内モンゴルにおいて成績優秀で前途ある若者が経済的な理由により大学に進学できない事情があり、TOAFAEC としての支援活動が始まっています。すでに2人の若者に奨学金の貸与を開始したところですが、課題もあります。会の名称確定、規程の作成、社会的な認知を拡げる、呼びかけのちらし作成、会計報告等。小林先生からは、規程(案)の具体的提示あり、文面など検討の上、六月に予定されるTOAFAEC総会で検討、発効するよう提案がありました。
 二つには、金侖貞さんによる韓国生涯学習研究フォーラム活動、とくに韓国へ向けての『日本の社会教育・生涯学習』(ハングル版)の出版構想についての報告でした。同書のねらいは、韓国に日本の社会教育・生涯学習を総合的に紹介する初めての本とする、基本的認識と研究課題を提示し関係者の必読の書とする、日本の社会教育の蓄積を基礎とし今後の課題と展望を示すなど。今年9月にはソウル・学志社から刊行予定。是非とも日・韓の共有財産として成功させたいとのこと。原稿の締め切りが1月31日。関係者各位のご奮闘を期待したいところです。
 三つには、小林文人先生から「2008年・TOAFAEC活動について」の課題提起がありました。@上述のモンゴル支援奨学会・規程(案)の提案。A2月TOAFAEC定例会について。島袋正敏氏(名護市、山原島酒之会々長)の上京に合わせて開催(2月15日、会場・高井戸地域区民センター予定、「やんばるの島酒運動・仕次ぎについて」)。B華東師範大学(上海)教育学系・教授グループの来日・沖縄訪問(3月20日〜30日、沖縄訪問26日〜30日)の受け入れ計画が提示されました。C「東アジア社会教育研究」第13号の編集を進める、三月編集会議の日程準備など。D故黄宗建先生の命日(7月20日)に合わせての韓国訪問について。既に福岡・社会教育研究会では福岡・プサンの交流をめざしてこの日程が予定されていること。E「南の風」終刊についてなど。
 終了後、いつものイーストビレッジにて交流会、山口真理子さんが駆けつけて下さいました。しかし、1月定例研究会は例年参加者が少なく寂しいですね。本年度これからの研究会、ご都合をつけてご参加の程宜しくお願い申し上げます。*記録:遠藤輝喜(Sat, 26 Jan 2008 19:38)


    *2007年12月・第135回までの研究会記録(5こちら■

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