TOAFAEC 定例研究会・案内・報告(記録10) 
        
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             同  ・記録11 (第261回・2019年4月以降)→■



71、3月定例(第260回)研究会
     (小林ぶんじん、2019年3月8日)
 <ご案内>
 春三月、桃の節句も過ぎ、桜の花芽が話題となる時期を迎えました。ご存知「早春賦」(1913年)は、♪春は名のみの風の寒さや♪と歌い始めますが、3番の歌詞では、♪春と聞かねば知らでありしを 聞けば急かるる胸の思いを♪と続きます。私たち「東アジア」研究にかける“胸の想い”も、三月を迎え、何かひとつふくらみはじめた感じがします。
 3月(29日・金)定例研究会では、年報24号特集テーマ「東アジアの社会教育・生涯学習法制」(仮・・・風4029号既報)と関連して、日本社会教育法制を取り上げることになりました。ご承知のように、戦後の教育改革期に社会教育法が成立(1949年)して、今年は70年目の節目にあたります。それから半世紀を経て、韓国では旧社会教育法から脱皮して新しく「平生教育法」が登場(1999年)。相次いで台湾でも「終身学習法」(2002年)が動き始めます。また中国各地では福建省(2005年)や上海市(2011年)など各地で「生涯教育」促進条例が成立する動向にあり、いま東アジアでは生涯教育関連法制が活発に動き始めています。
 70年前の日本社会教育法の時代と違って、最近20年来の東アジアの法制展開には、国際的な生涯教育の思潮に根ざし、時代が求める民主化運動、市民の参加や学びによる立法運動の側面をもっています。三月定例研究会では、そのような東アジアの躍動を背景に、日本社会教育法の現在と課題を考える企画としたました。東アジアの社会教育・生涯学習法制の動きから学ぶところは少なくないと思います。
 報告をお願いしたのは小田切督剛さん。韓国生涯学習研究フォーラムの中心、また川崎市で公務員体験をもち、日本社会教育法のもとで市民の学習や運動に携わってきた方です。興味深い論議となること疑いなし。皆様多数のご参加をお待ちしています。
 なお当日の定例会に先立って、年報編集委員会(第2回)を開催予定です(同会場)。
〇日時:2019年3月29日(金) 19:00〜20:50
〇内容:日本・社会教育法を考える−東アジアの社会教育・生涯学習法制の動きから学ぶもの
〇報告:小田切督剛さん(韓国生涯学習研究フォーラム)、コメント:小林文人(TOAFAEC)
〇会場:杉並区高井戸地域区民センター第3集会室
 〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
 *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
〇終了後(21:00〜)懇親会:イーストビレッジ 03-5346-2077
 *京王井の頭線 高井戸駅下車。すぐ陸橋(環八・歩道橋)を渡り、左にガード
  をくぐり、神田川を渡る。大きな茶色のマンションの裏1F。駅より徒歩3分。
◆年報(第24号)編集委員会(第2回)・・・→■
〇日時:2019年3月29日(金) 18:15〜19:00
〇内容:年報第24号編集
〇会場:杉並区高井戸地域区民センター第3集会室(同会場)
三月定例会・小田切さん報告、李正連カメラ(高井戸、190329)


■報告 (松尾 有美 Mon, 1 Apr 2019 12:55)
参加者(敬称略):上田 孝典,内田 純一,江頭 晃子,呉 世蓮,小林 文人,黄 丹青,山口 香苗,山口 真理子,李 正連,林 忠賢,松尾 有美
内容:今回の定例会では,次のTOAFAEC 年報24号の特集テーマの柱である「法制度」にスポットを当て,日本の社会教育法の経てきた70年間を振り返ると共に,少し裾野を広げて,東アジア、特に韓国・平生教育のこれまでの法制度をめぐる動きと比較し、今後のあり方を考えることが目指された。
 小田切さんの報告は,単なる社会教育法の解釈の問題や流れの整理にとどまらず、自身の川崎市での経験を振り返りながらのものであったため,普段知ることができない現場レベルでの法律の受け止め方を知ることができた。中でも印象的だったのは,現場職員は日々の業務に追われる中で法律についてあまり意識することはないが,それでも自分たちの事業や活動の根拠となる法律を学び,その必要性を考えていくことが重要なのだという部分である。市民一人一人,職員一人一人の思いで,国のあり方,ナショナル・ミニマムは変えていくことができるということを私たちは今一度確認する時であるのではないかという話であった。
 また「九条俳句」問題で社会教育のあり方,社会教育法の解釈が話題となっている今,海外,特に近隣の東アジア諸国の法制度に対する姿勢はとても参考になる。例えば報告の中で韓国市民のもつ法感覚は,日本のそれとはやはり違うという点が強調された。韓国社会にある「自分たちの意見を主張するために今ある法律・制度は積極的に使っていかなければ意味がない」という意識,そして2017年秋頃から2018年まで続いた「ろうそく集会」に参加する市民の姿勢は,日本における「法律は変化することはない」という意識との差を確認することができるものであった。
 その後、小林先生から1981年に横山宏氏と共編で出版された『社会教育法成立過程資料集成』について,当時の背景や裏話を交えながらコメントがあった。日本社会教育法は理念は豊かだがその実質は乏しい。しかし社会教育の自由の保障については強い思いを読み取ることができるということを確認した上で,最後に,「社会が変わり,人が変わり,そこでの価値観が変わるのと共に,法律も姿を変えていく必要があり,それは当然のことである。」とまとめられた。法律をどう解釈し,どう変えていくか。今「ある」ものを当然と考えるのではなく、再考することの大切さを小田切さんの報告,小林先生のコメントから感じた。
 定例会後はいつものイースト・ヴィレッジへ。ここからは上野先生(佐賀大学)も参加され,久しぶりに大人数の懇親会!マスターと奥さんも交えての宴は,桜の季節ということで真理子さんの「朧月夜」「早春賦」で幕を閉じました。
補足 
(小田切督剛、Tue, 02 Apr 2019 10:09)
『韓国の市民の法感覚』について 【南の風】前号(4039号・2019年4月1日)にフォーラムのメールを御掲載いただき、ありがとうございました。「『韓国の市民の法感覚』とは、具体的にどのようなことか。あらためて南の風に、短くすこし書いていただけませんか。」とお書きになっていましたので、事前に準備した読み原稿の該当部分をお送りします。きちんと理論的に分析して問題提起したわけではないので、恥ずかしいのですが・・・ (以下引用)
(1)日本と韓国の市民の法感覚 「法感覚」とは、文字通り「法に対する感覚」である。中川剛(なかがわ・ごう、広島大学法学部教授、1934〜1995)は、『日本人の法感覚』(講談社、1989年)で「日本人が法に対してどのような意識や感覚をもち、どのように行動するか」を、憲法を中心に論じた。社会教育法制にも上昇型の政策循環を作るには、どうしたらよいか。まず日本の市民の法感覚を変えていく必要があり、そのために韓国の市民の法感覚から学ぶことは多い。
 例えば、2017年3月10日に憲法裁判所は朴槿恵(パク・クネ)大統領に罷免を宣告した。私は、憲法請願を行った韓国の市民に「存在する制度は、使ってこそ意味がある。使わなければ死文化する」という信念を感じた。
 また、2018年10月30日に大法院は元徴用工の慰謝料請求に対して「1965年の日韓請求権協定の対象外である」と宣告した。大法院の宣告は、日韓請求権協定には「未払賃金や補償金」は含まれていても、「反人道的な不法行為を前提とする、強制動員被害者の日本企業に対する慰謝料請求権」は含まれていない」と認めた。53年前の協定に、「被害者の人権を最優先に保障する」という観点が欠落していたのは事実である。私は、この宣告を勝ち取るまで元徴用工を粘り強く支援してきた韓国の市民に、「法は、固定化した死んだ文章ではない。積極的に問題提起し、欠けている点を補って豊かにしていってこそ意味がある」という信念を感じた。
(2)川崎・富川高校生フォーラム・ハナ「私たちが考える日韓基本条約づくり」
 韓国の市民のすごいところは、大人の動きから間接的に学び、高校生のような若い世代にも、無意識のうちにそういう法感覚が育ってきていることである。
 川崎市は、1996年に大韓民国・富川(プチョン)市と「友好都市協定」を締結し、多彩な交流事業を実施してきた。青少年交流事業である「川崎・富川高校生フォーラム・ハナ」は、2000年から開催し、20年目を迎えた。1965年の日韓基本条約から50周年である2015年8月に富川市で開いた交流会では、フォーラム「私たちが考える日韓基本条約づくり」を行った。これは富川側の高校生たちからの提案だった。条約は「できあがっているもの」「決まっているもの」「変えられないもの」ではなく、自分たちで議論してどんどん作り変えていくものであるという意識、つまり法感覚を富川の高校生たちは持っていたのである。川崎側の高校生たちも「あ、そうなんだ」と触発され、議論は盛り上がった。時間が足りなくなり、なんと2015年12月に川崎市で開いた交流会で、続きの議論をするに至った。法制とは本来そういうものではないのだろうか。韓国の市民から学ぶことはまだまだ多い。
3月定例研究会、松尾さん撮影(高井戸、20190329)

懇親会、左より内田純一(高知)、上野景三(佐賀)の両氏、小田切カメラ (イーストビレッジ、190329)


70、2月定例研究会、年報第24号編集会議(第1回)
          *李 正連(Sun, 10 Feb 2019 11:04)
 <TOAFAEC年報24号編集委員会(第1回)、2月定例(第259回)研究会ご案内>
 編集委員はじめ「南の風」の皆様、ご無沙汰しております。李正連です。
 昨日は関東も雪が降り道が滑りやすかったようですが、被害はなかったでしょうか。
さて、今年早くも1か月がたちました。年報24号について話し合う時期となり、第1回の編集会議を開催したく思います。今回は定例研究会も兼ねますので、編集委員でない方でもお気軽にお越しください。昨年度1年間の沖縄・東アジア社会教育について情報を交換しながら、年報24号の特集についても議論できれば幸いです。皆さんからも「特集」のテーマを提案していただきたいと思いますので、是非ご参加いただき、意見交換できればと思います。遠方の方で参加が難しい方は、メール等でご意見いただければ幸いです。皆様のご参加をお待ちしております。
〇日時:2019年2月22日(金) 19:00〜20:50
〇内容:1.沖縄・東アジアの社会教育について情報交換
      2.特集について意見交換・議論(「特集案」を募集します!)
      3.第24号編集委員の確定
      4.今後のスケジュール確認
〇会場:杉並区高井戸地域区民センター第3集会室
 〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
 *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
〇終了後(21:00〜)懇親会:イーストビレッジ 03-5346-2077
 *京王井の頭線 高井戸駅下車。すぐ陸橋(環八・歩道橋)を渡り、左にガードを
  くぐり、神田川を渡る。大きな茶色のマンションの裏1F。駅より徒歩3分。
■報告
→■年報編集委員会記録
20190222/高井戸(松尾有美さんカメラ)



69、2019・1月定例(第258回)研究会ご案内
      (江頭晃子、Thu, 10 Jan 2019 23:51)
 <第258回(1月定例)研究会 じんぶんヒストリー(第2回)ご案内>
 昨年7月に開催した「じんぶんヒストリー」第1回では、少年Bが現在に至るまでの時代を大きく7つに分けて、駆け足で全体を話していただきました。参加者からの次回のリクエストは、やはり若き日の少年Bの話をまずは聞きたいとのことで、第2回目の今回は、@少年Bが旧制中学に入るまでの戦前・戦中期。A戦後〜1950年代、20代の青年Bが、学生時代の葛藤と研究、紆余曲折を経る時代を中心に話していただこうと思います。
 遡ること88年、満州事変の直後に生を受け、15年戦争中に育った少年Bは当時のエリートコースであった熊本の「陸軍幼年学校」への入学を夢見る軍国少年でした、…が、しかし…。戦中から戦後へ。九州大学にすすんだ青年Bは九州各地の農漁村に入り込み、多くの調査を手がけていきます。そう、誰もが、文人先生の地域へのこだわりや視点は、その時代にあるのでは!と思う部分です。
 時代や人、地域、さまざまな出会いが、どのように少年から青年Bをつくっていったのか、参加者皆様からの疑問・質問を交えながら、ご一緒にひも解いていきたいと思います。今年初めての定例会、初めての方もどうぞお気軽にご参加ください。
◆じんぶんヒストリー(第2回), TOAFAEC第258回(1月定例)研究会
・日時:2019年1月25日(金)19:00〜20:50(開場18:50)
・テーマ:少年Bから青年Bへ:時代の転換点に考えたこと 
・話し手:小林文人先生
・インタビュアー:江頭晃子(アンティ多摩)
・会場:杉並区高井戸地域区民センター第5集会室
     〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
     *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
・定例会参加:無料
・終了後(21:00〜)懇親会(自由参加・飲食代実費)会場「イーストビレッジ」
・じんぶんHプロジェクト:ringox@nifty.com(えとう)
▼ 2019年1月定例研究会、ぶんじん報告(高井戸、20190125、堀尾先生提供)

報告 (小田切督剛、Sun, 27 Jan 2019 11:43)
参加者:上田孝典、江頭晃子、遠藤輝喜(2次会)、小田切督剛、小林文人、武田拡明、堀尾正靱、
      持田(中村)津希子、山口真理子−敬称略
内容:
 江頭さんの呼びかけから始まった「じんぶんヒストリー」。2018年7月に続く2回目です。文人先生のレジメや江頭さんの資料も、1回目を踏まえ入念に準備されたものでした。 
 1931年の出生から、地域調査・農村社会学を経て、研究者としての姿勢を固めた1960年前後までの約30年をお話しいただきました。この30年における「2つの大きな転換点」として、1945年の「戦争から戦後へ」の転換と、1950〜60年代の全国での「地域の地滑り的変動」「地域共同体の崩壊」を挙げられました。
 第一の転換点である「戦争から戦後へ」については、主に3つのエピソード。
1 学校(旧制中学)での軍事教練、評価が悪いと「成績すべてに響く」と言われる中で、軍人勅諭や、銃の訓練・組立なども覚え、エリート養成・出世コースだった陸軍幼年学校への進学に憧れたこと。「戦時中の神がかり的な教育の重みは、忘れることはできない。圧倒的な国家統制の教育の実態は、到底言葉で言い尽くせない」。
2 陸軍需品廠に勤労動員された時に、少し上の青年世代の朝鮮人労働者たちが、せまい「飯場」に押し込められ、ともに激しい軍労働に従事させられたこと。アリランを教わったりトラジを聴いたりとわずかながら交流もあり、少年なりに植民地支配の実態が少しわかる感じがある。
3 軍需工場を守るための強制疎開として、自分たちの家が軍隊により引き倒され、美しい庭も滅茶苦茶にされ、祖父が落胆して亡くなっていったこと。赤いレンガ蔵だけが残った。少年Bには「軍国少年」であり、また「戦争や軍隊への憤り」という両面があった。
 陸軍幼年学校に進学した同級生たちは、終戦後に帰郷してくるが、戦後適応できずに虚脱感などから自殺に追い込まれた方もあったそうです。しかし少年Bにとって戦後はむしろ「教科書もなく、非常に混乱していたが面白い時代」だったとのこと。「男女共学も始まり、旧制・中学明善(めいぜん)が久留米高女と同じ新制高校となり、すごく感激した」や、「『文ちゃん、大学行ったのかァ?!』と旧友に驚かれるほど、本を読まず受験勉強もしない子だった」との話に何度も爆笑しました。
 質疑応答では、堀尾さんと武田さんから戦時中の国家統制について、持田さんと森田さんから朝鮮人労働者について質問が相次ぎました。「徴用工問題も、その歴史体験から見る。韓国の人たちにとっては『植民地支配の歴史そして日本人をどう見るのか』という問題なのだろう」と。
 第二の転換点である高度経済成長、「地域共同体の崩壊」については、主に3つのエピソード。
 1 かつてはどの地域にも青年団や娘組など年序の組織があり、地域の祭があった。柳田国男が『こども風土記』(1941年)で紹介しているように、地域の子どもには子どもの自治が認められ、役割があった。6年生がカシラになって仕切り、徹夜して遊ぶ「観音さんのよど」などを自分も経験してきた(「よど」は、筑前中・南部、筑後にかけて夏に行われる神仏の宵祭り)。「子どもたちは(家庭・学校だけでなく)地域で生まれ、地域で育つ」という重層的な構造があった。
 2 しかし1950年代後半より、巨大な高度成長政策に流されて農村が大きく変貌した。地域の共同生活の自治や、地域の祭、昔語りやわらべ歌まで全国で壊れていく。この時期、九州各地の農漁村に入り、変貌する地域の状況を調査した。1人ではなく研究室メンバー4〜5人で調査するため、他に場所がなくお寺の本堂に寝泊りした(佐賀県名尾)。一番面白かったのは漁村調査(熊本県天草)だった。調査のためにお酒やタバコも覚えた(笑)。
 3 地域の共同体組織や価値が解体していく過程で、九州農漁村のインテンシブな実態調査にたずさわったことになる。その後、1970年代後半から中心テーマとした沖縄調査では集落の自治・共同を再生しながら米軍基地問題に対峙した沖縄の地域共同体(字、しま)に魅かれることになる。あれほどの戦争を経験しながら、なぜ字共同体が村おこし拠点として生きてきたのか。地域共同体の現代的な機能・意義を沖縄に発見することになる。本土では戦時中の地域統制的組織とされた「隣組」が、沖縄(とくに中部)では子どもをまもる共同体「教育隣組」として展開を見せることになる。
 質疑応答では、上田さんから1957年の修士論文「都市における近隣集団の教育的機能−久留米市暁住宅調査」について質問、さすが研究者です。「暁住宅は旧兵舎に引揚者や戦災者向けの住宅を作ったもので、生活保護や母子家庭も多かった。地域の有志が子ども会活動を始めたが、青年Bの父がその地域の校長だった関係もあり、九州大学から2〜3人入り、2年ほど勉強会などをした。近隣集団(ネイバーフッド)は都市で壊れていくという定説があるが、都市でもいくつかの条件があれば独特に教育的機能が形成されていくのではないか、と課題提起。地域の教育的機能については、佐賀農村の「年令階梯組織とその教育的機能」(1963年)をまとめているが、その過程で青年団や婦人会、そして地域の公民館と出会った」とのこと。
 「論文は客観的に書かねばならない。社会学的な社会構造分析だけでは、人間的な形成の過程や主体としての営みが背景に退く傾向があり、『もう少し人間への着目を』という思いが、1960年代以降の社会教育研究の道に進ませることになるとのことで、3回目からの「じんぶんヒストリー」が、今から楽しみです。
 終了後は、「イーストビレッジ」へ。文人先生「店の前の歩道が広くなりましたね」と声をかけると、マスター夫妻も「これまでは、階段で落ちる人もけっこういたからね〜」と笑顔。激務を終えた遠藤輝喜さんも駆けつけ、みんなで「イーストビレッジ」に乾杯しました。お話にあった強制疎開や道路拡張工事から守った、久留米・実家の赤いレンガ蔵が最近ついに壊されたとのことで、文人先生は「ひと段落したという思い」とビールを何度もお代わり。私たち研究会の2019年の活躍を期して、お開きとなりました。


68、2018・12月定例(第257回)研究会ご案内
           江頭晃子(Wed, 12 Dec 2018 21:57)
   *会場が例会と違います、ご注意!(当日年末のため高井戸区民センター休館)
・テーマ:市民主体の社会教育運動をどう拡げるか〜板橋区の事例から〜
・報告者:齋藤真哉さん(板橋区成増生涯学習センター所長)
・日 時:2018年12月28日(金)19時00分〜21時00分〜(学習会と望年会)
・会 場:イーストビレッジ (杉並区高井戸東2丁目29-23-108、03-5346-2077)
   *京王井の頭線 高井戸駅下車。すぐ陸橋(環八・歩道橋)を渡り、左にガードを
    くぐり、神田川を渡る。大きな茶色のマンションの裏1F。駅より徒歩3分。
・参加費:飲食代実費
・内容(ご本人より):
 2006年に教育基本法が改正されてから、12年が経ちました。改正によりいろいろな問題がありますが、大きな問題の一つに教育委員会において、教育長の権限を増やすことにより住民の意思決定(レイマンコントロール)の原則を放棄したということがあります。それが今日の社会教育の現場にどのような影響を与えているのかという制度上の問題を最初に報告します。そういった状況の中で、教育行政と社会教育の乖離を呑み込んで前へ進もうとする市民の社会教育運動があり、そして、行政の論理で市民の社会教育の舵取りをしようとする教育行政と市民の社会教育運動との狭間で葛藤する社会教育職員がいます。
 それらの状況から、市民がどのように教育行政・機関・組織と向き合い、張り合い、付き合っていけば、市民の主体的な社会教育運動が効果的に展開されるのかを、板橋区の生涯学習センターとNPOが共催して展開する「SDGs(持続可能な開発)いたばしの集い」の事例から報告します。今年最後の研究会は汗と涙なしには語れません。多くの皆さんのご参加をお待ちしています。
 このテーマは、その後の「東京の社会教育と市民活動の展開」に関わる内容でもありますので、東京社会教育史研究フォーラム(2016年『東京の社会教育―歴史と現在』出版)の皆様も奮ってご参加くださいますよう、ご案内申しあげます。、
報告 (石川 敬史、Sat, 29 Dec 2018 06:49)
・出席者(敬称略):井上恵子,上平泰博,江頭晃子,金亨善(東大・院),小林文人,高木久史(ワーカーズコープ、初参加),武田拡明,ハスゲレル(首都大学東京),真壁繁樹(立川市民大学),山口真理子,林忠賢(東大・院),石川敬史
・内容:2018年最後のTOAFAEC定例研究会(第257回)。そして久々の東京社会教育史研究フォーラム(第43回)。寒い寒い日でしたが,会場のイーストビレッジ内は熱気に包まれていました。ワンドリンクを片手に,まずは小林文人先生より23区の社会教育の歴史,他方で東京を牽引するまでに積み重ねられた板橋の社会教育の歩みなど,本日のテーマの意義をお話いただきました。
 そして,齋藤真哉さんからは,「市民主体の社会教育運動をどう拡げるか」というテーマで報告。ご自身の社会教育主事としての歩み,板橋区の財政の特徴(歳出:扶助費・民生費・義務的経費の割合がいずれも23区中1位),板橋区教育長による「板橋フィロソフィー」の作成・教職員の意識改革と「学び続ける」指針の明確化,「SDGsいたばしの集い」(2019年3月23日,18:30-21:00,板橋区立文化会館大ホール)への歩み,市民のSDGsに関わる運動に関与しない板橋区・教育委員会などなど,盛りだくさんの内容を熱く熱く語っていただきました。
 こうした背景には,町会加入率6割を超える板橋の特徴,板橋区の財政状況と区民との協働,国際ボランティア年(2001年)を契機に大原社会教育館がボランティアの拠点となった活動の積み重ねがあったとのこと。とりわけ,齋藤さんが「小文字」で語るボランティア団体や町会の方々,学校教育の現場への思いから,常に住民に寄り添い続け,学びを拡げ続け,ネットワーク化を持続する「芯」を感じることができました。
 続けて,佐治真由子さんより「市民主体の社会教育運動をどう拡げるのか」というテーマで報告。ご自身も運営委員会委員として関わる「ひろがれ!ピース・ミュージアムいたばし」の事例,さらには元板橋区大原社会教育館指導員のご経験も踏まえながら,住民の生活圏としての「ミクロな地域」とともに,特定の学習テーマを基盤に板橋区という行政域をこえた人のつながりの集積地という「マクロな地域」という、板橋の社会教育運動の位置と意義を指摘しました。特に,配布資料「平和の拠点づくりにつながる板橋区民による学習と活動の素地」は,1972年の「ともに活きるまちづくり協議会発足」から,2017年の「いたばしピース・ミュージアム構想」まで,板橋の学習活動の系譜を俯瞰できる貴重な資料でした。1980年代から1990年代は学びを軸としたネットワーク化の時代,しかし、2000年代以降は多彩な学習テーマを背景に横のつながりがわかります。
 その後,望年会・乾杯の後,参加者のみなさんから質問の時間となりました。司会の江頭さんの的確なご指名のもと,参加者全員が齋藤さん・佐治さんへ質問。時間を忘れ,気が付けば22時30分を過ぎていました。
 『南の風』(4014号)に,山本秀樹先生(帝京大)より情報提供のありました『公民館学会年報』14号(2017年)の齋藤さん・佐治さんの実践報告論文をご覧いただくと,板橋の社会教育の特徴,さらには社会教育主事の位置がみえてきます。
 なお,「SDGsいたばしの集い」は,2019年3月23日,18:30-21:00,板橋区立文化会館大ホールにて開催。チラシによると,区内のさまざまな団体が参加協力団体となり,板橋区医師会や町会連絡会も後援,多彩な方々により構成される「SDGsいたばしネットワーク準備会世話人」の企画運営により開催されるとのことです。
 くりかえしになりますが,久々の東京社会教育史研究フォーラム。『大都市・東京の社会教育:歴史と現在』(エイデル研究所,2016年9月)刊行から,2年あまり。毎月開催されていたあの時の編集委員会の熱気を思い出しながら帰路へ。本の刊行に続き,各誌に掲載された書評へどう応えるのか。そして板橋の動き。次なる東京社会教育史研究フォーラムの活動の方向性が拓かれた研究会となりました。
研究会終了後・斎藤真哉さん(20181228)


67、2018・11月定例(第256回)研究会ご案内
        小田切督剛(Tue, 06 Nov 2018 15:14)
 <「躍動する東アジアフォーラム」報告>
 2018年11月2日(金)9:00〜18:30、「学校と地域の連携を通じたマウル教育共同体の創造」をテーマに、第4回東アジア生涯学習・国際シンポジウムが開かれました。第1・2回の中国(上海)、第3回の日本(佐賀・福岡)に続き、今回は韓国中部にある世宗(セジョン)特別自治市に各国(中国8人、台湾3人、日本9人、韓国・東アジア平生教育研究会)から参集、国際シンポジウム当日は約200人が集まりました。
 日本からの参加者は、小林文人、上野景三、黄丹青、石井山竜平、上田孝典、李正連、呉世蓮、山口香苗、小田切督剛(敬称略)の9人。韓国(梁炳贊さん、鄭賢卿さん他)、北京(韓民さん他)、上海(呉遵民さん他)、台湾(張徳永さん他)の皆さんと共に、10月31日から11月 5日にかけて、さまざまな地域の実践現場などを訪問し、心温まる交流と熱い議論を闘わせました。
 その中から見えてきたのは、各地それぞれ異なる厳しい条件の中から、可能性と希望を見出して切り開いていこうと努力する、東アジアの仲間たちの姿でした。私たちが韓国で知った東アジアの最新の動きを、そこで感じた熱気とともに、皆さんと共有できたらと思います。韓国で開催されたこともあり、第84回韓国生涯学習研究フォーラムと合同開催としますので、関心を持たれた方は、ぜひ御参加ください。初めての方も大歓迎です!
・日時:2018年11月30日(金)19:00〜21:00
・場所:東京杉並・高井戸地域区民センター・第3集会室
    〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5   京王井の頭線「高井戸」駅下車、徒歩3分
・報告:小田切督剛「躍動する東アジアフォーラム報告」ほか、フォーラム参加者から
・懇親会(終了後):レストラン「イーストビレッジ」電話 03-5346-2077  
  東京都杉並区高井戸東2丁目29-23-108 京王井の頭線 高井戸駅下車。すぐ陸橋(環八・歩道橋)
   を渡り、左にガードをくぐり神田川を渡る、大きな茶色のマンションの裏1F。駅から徒歩2〜3分。

・当日の連絡先(山口 090-1548-9595)
報告 (松尾有美、Sat, 1 Dec 2018 17:37)
参加者(敬称略):小林文人,李正連,江頭晃子,小田切督剛,黄丹青,山口真理子,山口香苗、
     松尾有美
内容:今回の定例会では,11月初旬に韓国公州で開催された第4回東アジアフォーラムについて,当日参加をされた小田切さんから報告があり,研究会のために病院から一時外出して参加してくださった小林先生を迎えて、報告会が開始しました。
 第4回東アジアフォーラムのテーマは「学校と地域を通じたマウル教育共同体の創造」ということで,世宗市で開かれた国際シンポジウム、始興、牙山、公州などの実践報告や現場での様子を伺いました。日中台の参加者から自国の政策や実践、国内動向についての報告があったとのことでした。
 主催国である韓国の近年の学校と地域の連携の動向を見てみると,「学校型」マウル教育共同体と「地域型」マウル教育共同体というように類型化ができること(前者は学校が地域を学校の中に取り入れる形,後者は地域が学校に働きかけて活動する形というもの),またこういった実践の支援のあり方も,単に教育行政のみが動くのではなく,一般行政との協働の形がとられていることによって、より広い視野からそして様々な角度からのサポートが可能となっていることなどが特徴として挙げられました。
 報告を受けての議論の時間には,今回韓国の実践現場を直接見る機会があったことで,特に中国側の韓国を見る視点に変化がみられたという点や,3年の蓄積を経て互いの国や人をよく知ることができ、自然と他国を尊重できる信頼関係ができてきたという点,そして各国の報告やその後の討論の時間に自国の言葉を使って話すことができるのはやはり強みであるという点が強調されました。日本でいう「地域」をどのように各国が表現し,どんな単語を使っているのか,そういった部分のすり合わせをこれから丁寧におこなっていくことによって,ヨーロッパ型まちづくり・コミュニティ,と東アジア型のそれとの共通点・相違点がより浮き彫りになり,また各国において,社会とともにそして時代とともに少しずつ変化する言葉(マウル、共同体、社区など)の持つ微妙ニュアンスをより明確に感じ取ることができるようになるのではないかという話で最後はまとまりました(簡単な逐語録をとりましたので,整理してまたお送りします)。
 そして,今回の定例会では会の最初に小林先生のお誕生日サプライズを実行し成功!沖縄式で数え年88歳のお祝いを参加者のみなさまとしました。懇親会はいつものようにイーストビレッジで。今回先生は懇親会の前に帰られてしまったのでケーキを召し上がれなく残念でしたが,来年のお誕生日にはぜひ先生もご一緒できますことを楽しみにしています。
11月定例会のサプライズ、88バースデイケーキ(181130、高井戸) 松尾有美さんカメラ



66、2018・10月定例(第255回)研究会・記録
         李 正連(Wed, 10 Oct 2018 03:16)
 <10月定例(TOAFAEC・第255回)研究会ご案内
  −『東アジア社会教育研究』第23号・『やんばる対談集』合評会−>
 『東アジア社会教育研究』第23号が無事発刊されました。皆様のご協力に心から御礼申し上げます。
 先週末の日本社会教育学会の研究大会(名護)は、台風25号の影響で私を含む多くの人が参加できず、大会を準備してくださった学会及び名桜大学の方々には本当に申し訳なく思っております。最も残念だったのは、とても楽しみにしていた文人先生の「トーカチ祝い」がキャンセルになったことです。そして今回の台風で年報23号の販売にも影響があったのではないかと心配しております。台風の中でも年報23号の広報・販売のため、名護入りされた事務局長の山口真理子さんの慰労会も兼ねて、下記のように年報23号の合評会を開催したく思います。
 年報23号の特集は、昨年佐賀・福岡で開催された東アジ生涯学習研究フォーラムの成果と課題で構成しました。日本社会教育の政策及び実践を見聞した東アジア諸国・地域の研究者及び実践家からの一文も掲載されていますので、是非ご一読いただければ幸いです。
 そして今回,年報15〜23号に掲載してきた「やんばる対談」1〜11回、をまとめた対談集『やんばるの地域活動と社会教育』も一緒に発行しました。TOAFAEC としても初めてのこと、別に刊行委員会を組織して実現できました。こちらも合わせてご覧いただき、合評会で感想を話し合い、自由に意見交換できる時間を設けたいと思います。
 まだ年報23号及び「やんばる対談集」をお手元においてない方は、この機会に是非ご購入いただき(合評会でもご購入可能です!)、下記の合評会にご参加いただければ嬉しく思います。皆様からの忌憚のないご意見・ご感想をいただけますようお願い申し上げます。
日時:10月26日(金)19:00〜21:00
テーマ:年報23号・やんばる対談集の合評会・合同祝賀会
報告:李正連(23号合評)
   小林文人(やんばる対談集合評)
   各執筆者・投稿者
   名護社会教育学会報告(参加者から)
場所:東京杉並・高井戸地域区民センター・第3集会室(〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5) 
   京王井の頭線「高井戸」駅下車、徒歩3分
終了後(21:00〜)お祝い会(終了後):レストラン「イーストビレッジ」電話 03-5346-2077
    (東京都杉並区高井戸東2丁目29-23-108)
*京王井の頭線 高井戸駅下車。すぐ陸橋(環八・歩道橋)を渡り、左にガードをくぐり、橋横のマンション裏1F,徒歩2〜3分。    松尾有美さん撮影

*報告 (林忠賢、Sat, 27 Oct 2018 19:52)
参加者:李正連(年報編集長・司会)(以下、逆時計回り順に) 小林文人、江頭晃子、
 ハスゲレル、山口香苗、山口真理子、呉世蓮、松尾有美、金亨善、林忠賢、栗山 究、
 武田拡明、小田切督剛、黄丹青、石井山竜平、計15名。
内容:まずは編集長の李先生から、11月韓国で開かれる国際フォーラムについてお話を頂きました。今回、韓国の世宗市で開かれる会議について、日本ならではの「顔が見える関係」の規模とは少し違って、韓国現地での参加者によりやや大きな会議となります。
 次は社会教育に関する職員の専門職養成について、大学側と行政機関について単位認定の問題、社会教育主事講習などを含めて活発な議論をしました。「社会教育士」について文部科学省のなかでどのような論議がされているのか、研究も十分進んでいない現状。李先生は韓国の平生教育士のレベルアップに関する例を挙げました。韓国の場合は資格を持って、昇進するために自分を磨きます。現場での実践経験も重視されます。文化センターや百貨店も平生教育機関として平生教育士を採用しています。採用された平生教育士は教えるより、コーディネーターとして役割を果たしています。逆に公的機関に配置されるのは少ないということです。
 小林先生は日本における社会教育の体制が、また学会も、10年後、さらに20年経ったら1950年代のような水準になる?ということへの危惧を示しました。しかしながら今の社会教育の専門職制度についても、依然として不十分ではないかと思います。医者や教師のそれぞれの専門職制度があり、それに対して社会教育に関わる専門職制度が不十分だと思います。
 今年23冊目の年報について、小林先生は社会にどういう影響を与えるかが気になります。大学の紀要や学会の年報といった専門的論文集のように、世の中に読まれていない。そういうことにならにならないように、もっと読んでもうために工夫をしました。例えば写真を乗せることや、座談会の記録、最後のエッセイ「ひろば」欄、実際のことに関わって円卓のように自由に語り書いていただく。自由な語らい「ゆんたく」も記録する。
 ここで話は一転、やんばる対談集について。「ゆんたく」の記録であること。177 ぺージにある沖縄伝承話市町村別聴取話一覧表に注目されました。桃太郎のような世代から世代への昔話の伝承は、沖縄では七万五千余りも収集されました。このような「やんばる対談集」について、参加された武田さんと山口真理子さんも少しフォローしました。
 残りの時間は、東アジアからの参加者が、年報収録の各国・地域について語りました。
〇内モンゴル:(長年関わって、かつ三回目の投稿となるハスゲレルさんからの話)異文化接触、アイデンティティについての話で、一旦、生まれ育ちの地域を離れると、自分のアイデンティティを再認識することになる。今後は在日中国籍内モンゴル人二世について研究を進めていきたいそうです。みんなからの質問を受け、内モンゴルと外モンゴルとの違いについて、言葉自体は通じますが、文字は異なる。外モンゴルはロシアの影響で文化もかなり違います。(個人的な感覚から)外モンゴルに対して最近ある程度親近感があります。内モンゴルはどちらかというとやはり中国に影響され関係が近いという。
〇台湾:23号には、台湾の「一年」について、今年は一本しか収録がなかったことと、来年からの寄稿について、山口香苗さんから少し語りました。(林から)今回の投稿は自分の生まれ育ちの場所である台湾における社会教育について知ることができるきっかけとなって、すごく勉強になりました。
 ここで小林先生より、台湾人のアイデンティティと沖縄人のアイデンティティについて触れました。少し話が変わって内モンゴル人の名前は地域によって表記仕方も違ってきます。漢字で表記する人もいれば、そうではない(通名を使う)人もいるという。名前はアイデンティティと関わっているということです。
〇韓国の一年:(金さんから)初めて参加させていただいて、韓国フォーラムの皆さんに頼りました。韓国では保育バウチャー制度が始まりました。また政権交代により、平生教育が急速に盛んになっています。個人的にはそれに注目すべきではないかと思います。
〇中国の一年:(黄丹青さんから)楊先生に締め切りの直前三日でお願いして、福建省に参加した経験に基づいて書いてくださいました。今まで中国ではなかなか見られない報告書の内容で、現場の側面から事実を忠実に記録しました。また今回福建省で開かれた生涯学習フォーラムが15回目を迎えたということは、大きな蓄積を感じます。さらに今年は台湾も参加することになりました。来年も楽しみです。
 二時間にわたって様々な議論ができました。非常に有意義な時間を過ごすことができたと思います。合評会の後、懇親会はいつも通りお世話になっている「イーストビレッジ」でビールを飲みながら、おいしい食事を頂きました。はるばる仙台から来ている石井山先生に乾杯するために、ワインもおいしくいただきました。23号で奮闘された事務局長の山口真理子さんから「トォモロー」という歌を披露してもらいました。松尾さんとのハーモニー。社会教育に移ってきた自分にとって、月一回の定例会が理論のみならず、実践の話も聞けて、勉強するチャンスはもちろん、みんなから暖かく接していただいて感謝します。これからもよろしくお願いいたします。
年報23号・やんばる対談集 刊行お祝い・慰労会(20181026) 松尾有美さん撮影


65、2018・9月定例(第254回)研究会・記録
      *上田孝典(Sat, 8 Sep 2018 15:57)
 <9月定例(TOAFAEC・第254回)研究会ご案内>
 今回の研究会は、「学校と地域の連携」をテーマに議論をします。このテーマをめぐっては、近年になって東アジア(日本、韓国、中国、台湾)などでも、高い関心が寄せられ、喫緊の課題となっています。その背景には、新しい能力観に基づく子どもの育ちをめぐる教育的課題ともに、学校自身が抱える問題状況、そして地域(少子高齢化、地方間格差、過疎化など)をめぐる問題状況に対する共通性があります。
 そこで、今回は学校統廃合を切り口にしながら学校と地域の連携を研究してきた丹間康仁先生(帝京大学)に話題提供をしていただき、日本の現状と課題についてご報告をしていただきます。皆様のご参加をお待ちしています。
日時:9月21日(金)19:00〜21:00
内容:「学校と地域の連携」について考える
報告:丹間康仁先生(帝京大学)
場所:東京杉並・高井戸地域区民センター・第3集会室
  (〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5) 京王井の頭線「高井戸」駅下車、徒歩3分
懇親会(終了後):レストラン「イーストビレッジ」電話 03-5346-2077
          (東京都杉並区高井戸東2丁目29-23-108)
*京王井の頭線 高井戸駅下車。すぐ陸橋(環八・歩道橋)を渡り、左にガードをくぐり、
 神田川を渡る、大きな茶色のマンションの裏1F。駅より徒歩2〜3分。


報告者:丹間康仁さん (高井戸、180921)

*報告 金亨善(hyoung sun Kim, Sat, 22 Sep 2018 12:40)
参加者:  李正連、石井山竜平、上田孝典、 金亨善、小林文人、・瞻、 武田拡明、丹間康仁、
       松尾有美、 山口真理子、 山口香苗 遠藤輝喜(遅れて参加)
内容:今回9月定例会は、いつもより1週間早めて、9月21日(金)開催となりました。11月に韓国・公州で開かれる予定の「(第4回)東アジア生涯学習研究フォーラム」が,「学校と地域の連携を通じた地域教育共同体の創造」をテーマに設定している関係もあり,あらためて日本における「学校と地域の連携」について考えてみよう,ということから始まった今回の定例会。とても楽しみに参加させていただきました。報告者は丹間康仁先生(帝京大学)。日本の現状と課題についてご報告をしていただきました。今回報告の目的は,学校と地域の連携を社会教育の視点から考える際の論点を提示することとし、丹間先生が現在進めている研究に基づき、今後検討すべき論点を挙げ、参加者の皆さんと議論する時間を持ちました。
 「学校と地域の連携」に対する問題認識としては大きく4つに分け、@学校教育に社会教育が包摂されることに対して抵抗している社会教育研究の構造、A政策で「協働」への内実がないこと、B連携や協働そのものが目的になっている状況、C学校教育で進展しているアクティブ・ラーニングは社会教育では新しいものではないことが挙げられました。
 この問題認識から提起された「学校と地域の連携」に対する論点としては、@学校と地域の連携体制を築くという以前に、市町村合併や学校統廃合のような両者の大きな変動を捉える枠組みが必要であること、A学校と地域の連携における社会教育の役割をもっと長期的な視点で考える必要があること、B社会教育と学校教育を対比的にみる枠組みを再検討する必要があること、C学校を核とした地域づくりの危うさに気づき、学校教育と社会教育を自律させること、D少子化にともなう 学校存続の意義を議論する際に,「どんな子どもを育てていくか」という展望と計画の議論が十分にされる必要があること、この五つの論点が挙げられました。それぞれの論点から参加された皆さんの意見や経験・実態を交換しあい、約2時間の研究会が行われました。人口減少と行政的公共性が縮小されている現状の中で、学校の役割、地域との連携の意義や方向性について考える貴重な経験になりました。
 報告終了後の懇親会はいつもの「イーストビレッジ」。おいしい料理とビールを楽しみながら、最後は「珍島アリラン」。定例会前日に南北首脳会談の最後の日程で、白頭山に登頂、韓国歌手のアリーが歌った珍島アリランの映像を見ながら、懇親会に参加された皆さんと一緒にアリランを歌いました。
 今回の定例会は11月の公州フォーラムに向けての事前学習としても、地域と学校の連携に対する様々な論点を検討する機会になりました。これからもぜひまた参加していきたいと思います。


64、2018・8月定例(第253回)研究会・記録
 <8月定例(第253回)プレ研究会・急ぎのご案内> (江頭晃子,Tue, 21 Aug 2018 19:41)
 「イデオロギーよりアイデンティティー」(故・翁長沖縄県知事)の言葉をかみしめています。日本や世界の未来を見据えた時、今は思想の違いよりも、思想を持ちえているかどうかが大きな問題かとも思えます。
 さて毎年、8月の定例研究会は、社全協・全国集会2日目「この指とまれ」で沖縄・韓国を囲みながら開催してきました。今年も例年通り、8月26日(日)17:30〜山梨県立図書館交流ルーム201号室で、「沖縄を囲む」会を開催します。
 今回は、全国集会に名護から宮城有沙さん(名護市地域力推進課職員、元稲嶺進市長秘書室)が参加されます。全国集会の前日に東京に寄られるとのことで、歓迎を兼ねて下記の通りプレ研究会を開催します。
 急な呼びかけではありますが、お時間のある方はどうぞお気軽にご参加ください。
・日時:8月24日(金)19:00〜21:30
・テーマ:名護市政と名護社会教育の今など 〜歓迎・宮城有紗さん〜
・ゲスト:宮城有沙さん(名護市地域力推進課職員、元稲嶺進市長秘書室)
・会場:レストラン「イーストビレッジ高井戸」電話 03-5346-2077
   (東京都杉並区高井戸東2丁目29-23-108 )
*京王井の頭線 高井戸駅下車。すぐ陸橋(環八・歩道橋)を渡り、左にガードをくぐり、
  神田川を渡る、大きな茶色のマンションの裏1F。駅より徒歩2〜3分。

稲嶺進さんの名護全国集会記念ボトルを披露する宮城有沙さん(イーストビレッジ、20180824)小田切さん撮影


*報告
1 ≪東京で名護歓迎会(ぶんじん)≫ 南の風3972号
 風・前号「急なご案内」、高井戸での宮城有沙さん(名護)歓迎会(8月24日)には6人が集まりました。急ぎの呼びかけ文を書いた江頭晃子、TOAFAEC 事務局長の山口真理子、中国研究フォーラム黄丹青、韓国研究フォーラム小田切督剛、今年のやんばる対談に参加の武田拡明の皆さんとぶんじん。羽田着が少しおくれた宮城さんは大きなリュック姿で登場、山登りの雰囲気でした。夏の夜、イーストビレッジはひととき賑わいました。
 4月「やんばる対談」(宮城さんは懇親会で司会)の余韻あり、遠慮のない話が湧き出ました。稲嶺進さんは秘蔵の島酒1本(2002年に開かれた名護・全国集会記念の泡盛)を宮城さんに託し、皆で歴史を賞味するような思いで頂きました。有難うございました。あらためて「じんぶん寄せあって」開かれた名護集会からの歩み、この15年余の歳月に思いを馳せつつ、辺野古新基地問題、歴代市長の屈折、稲嶺市政の誕生とその後の経過、名護社会教育主事の群像など話は佳境に。「地域力推進」課における社会教育主事の位置づけも、いま気になるところ。名護社会教育の蓄積と今後どのように展開していくのか、など夜の「やんばる」対談の雰囲気。ぶんじんは久しぶりにしゃべりすぎ。
*報告2 山口 真理子(Mon, 27 Aug 2018 11:52) 南の風3973号
 <甲府(第58回)全国集会。この指とまれ−沖縄(名護)を囲む(速報)>
 昨日(26日、全国集会二日目)の「この指とまれ」は、何と33人の参加!12席しかない部屋に、後から後から入ってこられました。20人分の資料とお茶・お菓子を用意していたけれど、吹っ飛びました。せいぜい15人くらいだろう、20人分は念のため、と思っていたのは甘かった。
 宮城有紗さん(名護市)、まるで沖縄と名護を1人で背負っているようなものでしたね。横山さん(福岡)は、前日有紗さんと打ち合わせをしてくださっていました。また、遅れるかもしれないとおっしゃっていた石原さん(群馬・邑楽)は、結局最初から最後までいてくださいました。石原さんは、「この指とまれ」の申し込みが遅すぎる、と、事務局にかなりきつく注意されていたようで、全く申し訳ないことでした。
 終了後は約半数が、駅近くの居酒屋に行き、そこで稲嶺進さんが持たせてくださった泡盛「スリアーサー」(2002年・名護全国集会記念ボトル)の泡盛も飲みました。私は、電車の関係で中座しましたが、その後も盛り上がったようです。『南の風』用の本報告は、喜蘭さんの原稿(年報23号)日本語チェックを済ませたら書きます。社全協用の報告も書かなくちゃならないので、一緒に済まそうという魂胆です。
イーストビレッジ・マスターを囲む、後ろに宮城有沙さん(イーストビレッジ、20180824)



63、2018・7月定例(第252回)研究会・記録
          *江頭晃子(Mon, 9 Jul 2018 21:19)
 <第252回(7月定例)研究会 じんぶんヒストリー(第1回)ご案内>
 昨年秋の急な入院、2回の大手術を経て、杖は持ちつつも訪沖されるまでお元気に復活された文人先生。これまで、先生の頭の中には、次から次へと、これからやるべきこと・作るべき本などが、頭の中にいっぱいのようです。しかし、ご自身のヒストリーを断片的に聞くことはあっても、まとめて伺う機会はありませんでした。
 「年寄りの自慢話になるのは嫌」と拒否する先生を何とか説き伏せ、TOAFAEC 定例会で年2回程度、「じんぶんヒストリー」を開催いたします。毎回テーマを設定し(例えば社会教育法制論、沖縄研究、東アジア研究、公民館をめぐる論議、社全協や月刊編集長・学会での経験、大学闘争、自治体研究などなど)、そのテーマについて聞きたい人をインタビュアーとして開催します。文人先生のライフヒストリーを通して、戦後日本の社会教育史を紐解いていきます。
 今回は記念すべき第1回目ということで、少年Bから現在に至るまでの、まさにライフヒストリーを話していただきます。
 また、この「じんぶんヒストリー」プロジェクトのメンバーを募集中。それぞれの聞きたいテーマのインタビュアー、テープおこし、プロジェクトへのアドバイスなど、多くの皆様の「じんぶん」を拝借させていただきながら、すすめていきたいと思いますので、ご協力・ご参加をお待ちしています! 文人先生を知らない人の参加も大歓迎です。
【参考】「じんぶん」とは、「うちなーぐち」(沖縄方言)で、知恵・才覚などの意。日常的によく使われます。語源は「人文」か(中村誠司さん説)。2002年の社会教育研究全国集会(第42回)名護集会の大会テーマは、「じんぶん寄せあって21世紀の社会教育を創ろう!」でした。
◆じんぶんヒストリー(第1回), TOAFAEC第252回(7月定例)研究会
・日時:7月27日(金)19:00〜20:50
・内容:「少年Bが米寿を迎えるまで 
・話し手:小林文人先生
・インタビュアー:江頭晃子(アンティ多摩)
・会場:杉並区高井戸地域区民センター第3集会室
     〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
     *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
・終了後(21:00〜)懇親会 「イーストビレッジ」 03-5346-2077
・プロジェクト連絡先 ringox@nifty.com(えとう)
◆年報「東アジア社会教育研究」23号(第5回)編集会議 ※定例会の前に開催します。
・日時:7月27日(金)18:15〜19:00
・内容:最終原稿確認、構成案検討、翻訳確認他
・会場:杉並区高井戸地域区民センター第3集会室

左・ぶんじん、右(司会)江頭晃子 (高井戸、20180727)


■報告
 栗山 究(Sun, 29 Jul 2018 11:15)
 <じんぶんヒストリー(1) TOAFAEC7月(第252回)定例会報告>
テーマ:少年Bが米寿を迎えるまで 〜個人的社会教育概史〜
参加者(敬称略):李正連、江頭晃子、呉世蓮、小田切督剛、金亨善、小宮(杉並区民)、栗山究、小林文人、・(セン)瞻、田邊伸子、持田(中村)津希子、山口真理子、山本秀樹、林忠賢
内容(報告者:小林文人先生):江頭さんの呼びかけから始まった「じんぶんヒストリー」プロジェクト。とても楽しみに参加させていただきました。第1回目は、「じんぶんねんぴょう」に即し「少年B」が現在に至るまでの大枠を、お話いただいた内容でした。
 時代区分は、@少年Bが旧制中学に入るまでの戦前・戦中期。A戦後〜1950年代、20代の青年Bが、学生時代の葛藤と研究、紆余曲折を経る時代。九州農村の調査を数多く手がける。B1960年代大きく農村・地域が変わり、九州大学を離れ、育英会時代の麻生誠さん(昨年逝去)との出会い、九州産業大(社会学担当)での500人の大講義、東京学芸大学では教育社会学担当の教員となる時代。C70年代の自治体・公民館研究とくに三多摩をフィールドに社会教育研究に移行していく、学生運動から刺激を受ける時代。D1980年代(50代)、学生部長・図書館長(管理職)就任により、東京・三多摩の社会教育のつながりは薄れるが、「沖縄」研究が拡がり、研究室に東アジアの留学生が増えていく時代。E1995年以降、冷戦終結・グローバル化を背景に中国・韓国・台湾へ渡る機会が増えて、TOAFAEC が創設され、留学生をブリッジに東アジア研究が本格化する時代。学芸大学を退職し和光大学に移り自由に海外を動けるようになり、PC通信「南の風」発行が始まる。公民館学会創設に参加し、辞典編集や中国・韓国に関わる出版が実現する(70歳代)。Fそして2010年から現在…。
 それぞれの局面で、期待どおりの語りとともに、更なる発見も数々あり、温かな雰囲気のなか参加者一人ひとりが、一緒にわくわくどきどきしながら、「少年B」のお話しに耳を傾け、意見交換しあった2時間+懇親会でした。参加された皆さんからは、例えば、戦中・戦後期の「少年B」や福岡時代の公民館との出会いに関するお話をもっと掘りさげて聞きたかったという声、現在に至る留学生とのコミュニティが生み出されてくる経過、アメリカ都市社会学の定説や方法に対する批判的意識についてなど、今後も掘り下げてお聞きしていきたい内容をさまざま挙げていただき「また次回以降の機会に」ということになりました。
 特に30代・40代、研究者として社会で働かれ始めている皆さんにとっては、自らの年齢と重ね合わせて文人先生の歩まれてこられた道を確認していらしたことが共通していたことも、興味深い点でした。文人先生が「社会教育」へと本格的に向きあっていったのが40歳を前後とする年代であったことも意外でした。先生自身も自認されていましたが、現在の私たちが目にしている様々な成果、残されているお仕事の大半は60歳を超えた頃,むしろ定年後であったということも、勇気づけられながら受けとめられていたように思います。
 年表を作った江頭さんからは、学生部長期の困難な局面のなかでも図書館の新人事や博物館学を開設され、大学の中で社会教育を拡げられていったことの紹介もあり、若き先生と時代をご一緒された学芸大学の先輩の方の感想からもさまざまな視点を学ばせていただく機会となりました。ぜひまた参加していきたいと思います。
懇親会(イーストビレッジ、20180727)



62、2018・6月定例(第251回)研究会ご案内 

     李正連(Tue, 12 Jun 2018 04:28)
 <第251回(6月定例)研究会・年報23号編集会議(第4回)ご案内>
 今日(6月12日)は、米朝首脳会談が開かれた歴史的な日です! この案内文をトランプ大統領と金正恩委員長が会談を終え、一緒に昼食会場に入る光景を観ながら書いています。近い将来に平壌(ピョンヤン)で皆さんと平壌冷麺を食べる日を想像するだけでも幸せです。そして今日は、我々の研究会に北朝鮮からの参加もそれほど遠い話でないのでは、と思える1日でもあります。
 さて、6月末、韓国公州大学の梁炳賛先生が来日されますので、6月定例研究会では梁先生を囲んで韓国平生教育の最新情報についてお話を伺う時間にしたいと思います。文在寅政権1年を振り返りながら、平生教育においてはどのような新たな動きがあるのか、そして日本でも最近関心を寄せている韓国の平生教育専門職「平生教育士」等についてもお話いただきたいと思います。
 なお当日、定例研究会の前には年報23号第4回編集会議も開きますので、併せてご出席いただければ幸いです。皆様のご参加をお待ちしております。
◆編集会議
〇日時:6月29日(金)18:15〜19:00
〇内容:原稿集約状況確認、リライト依頼、翻訳分担他
〇会場:杉並区高井戸地域区民センター第4集会室
◆定例研究会
〇日時:6月29日(金)19:00〜20:50
〇内容:「文在寅政権1年と韓国平生教育の動向」(仮) 
〇梁炳賛(韓国・公州大学)
〇会場:杉並区高井戸地域区民センター第4集会室
     〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
     *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
〇終了後(21:00〜)懇親会 「イーストビレッジ」 03-5346-2077
 
■報告 松尾有美(Sun, 1 Jul 2018 13:41)
 <韓国・平生教育の新しい動向―六つの動きを中心に―TOAFAEC6月(第250回)定例会報告>
日時:2018年6月29日(金)19:00~21:00
会場:杉並区高井戸地域センター区民センター第4集会室
報告者:韓国公州大学 梁炳賛(ヤン・ビョンチャン)先生
テーマ:文在寅政権1年と韓国平生教育の動向
参加者(敬称略):江頭晃子,李正連,小林文人,瀬川理恵、関本保孝,山口香苗、山口真理子,梁炳賛,林忠賢(台湾),松尾有美
<報告> ※長くなってしまいました…
 今月の定例会は,偶然にも韓国公州大学の梁炳賛先生が日本にいらっしゃる日程と定例会の日程が重なっていたことから,現地のリアルな報告として「文在寅政権1年と韓国平生教育の動向」というテーマで、先生を囲みお話をお聞きしました。
 まず文在寅政権発足後の1年を大きく振り返ると,@長らく続いた保守政権の没落と不正の清算,A統一への希望という明るいイメージと,変わらぬ雇用問題などの暗いイメージ,B地方選挙でのリベラル派の躍進,という3点におおよそまとめられます。また教育政策の動向としては,政権が変わっても一貫した教育政策の保障を目指す国家教育会議が設立されたこと,そしてその教育政策が革新学校,革新教育に偏りがちであるということが挙げられました。
 そして次に平生教育の今の動向を6つのポイントに絞ってお話していただきました。
 一つ目は,平生教育法改正に向けた動きです。韓国では昨年,平生教育に関心をみせる国会議員と研究者,そして現場の実践家などが集まり議論をする場として「全国平生教育連席会議」が発足しました。そこでは,具体的に平生教育法人団体の設立と平生教育士の公務員化に向けた法改正案についての議論,そして新しく平生教育の結果認定制度に関する法と高齢者教育の支援法の制定に向けての議論がなされています。
 二つ目は,一つ目のポイントと関連しての平生教育士の配置の強化と公務員化に向けた動きです。上にあげた四つの議論のうち,要となるのがこの平生教育士の配置の強化と公務員化の部分であり,現場の平生教育士たちの期待も大きいです。もしこれが上手く実現しなかった場合の落胆は相当なものであることが予想されるということも併せて説明がありました。
 三つ目は,6月13日に行われた統一地方選挙の結果を受けた地方政府の変化の動きです。例えばソウル市ではリベラル系の朴元淳市長が選挙公約の中に市民の生活圏レベルでの邑面洞・平生学習センターの設置を入れ,そのマニフェスト作成の際に集められた教育専門家のうち平生教育の研究者が4人入っていました。そして住民自治センターを一歩、平生学習センター化しようとする議論も出されています。
 四つ目は,先に述べた選挙で,17の広域自治体のうち15の広域自治体でリベラル系の教育委員会教育長が選出されたことを受けて,彼らが積極的に主張している学校中心的な学校と地域の連携によるマウル教育共同体が今後どのように進められるのかという動きです。マウル教育共同体という言葉自体が、主体ごとに異なる概念で捉えられていることもあり,それを整理し,共有していくことも併せて必要であるとのことでした。
 五つ目は,文解教育の動きです。法制度ができ事業ができ学歴認定へとつながっていく中で,夜学などで教育運動として市民を中心に進められてきた実践が,教育委員会の中に組み込まれ学校化しつつあるという問題点が上がってきています。また文解教育教師も比較的短期で養成されているため,文解教育には特に専門性が求められていない現状も問題としてあります。
 六つ目は,障害者のための平生教育の動きです。昨年度の法改正によって,障害者平生教育センターが自治体に設置され,国家障害者平生教育振興センターも国家特殊教育院の中に設置されました。しかし振興センターの設置の際には,平生教育振興院と特殊教育院とのやりとりの中で,最終的に特殊教育院で落ち着いたという背景があり,梁先生の個人的な考えでは平生教育振興院内で予算を計上し,設置するべきだという主張をされたそうです。特殊教育はやはり学校教育の側面が強い分,今後平生教育分野とのやりとりの中でどう展開されるのかが期待されます。
 以上の話を受けて議論として大きく持ち上がったのは,リベラル系の政権,地方政府,教育長下で,保守系とは異なる平生教育政策が今後どのように出てきうるかということでした。今後の動向を韓国フォーラムでも引き続き追っていこうと思います。
 そして研究会後の恒例イースト・ヴィレッジです。梁先生が持ってきてくださった安東焼酎とビールを美味しい食事と共に味わいました。交流会でも議論は止まらず,気づいたら閉店の時間。山口さんが久しぶりに「百万本のバラ」を歌ってくださり,それでお開きとなりました。カムサハムニダ!
6月定例会。黄・林・山口(香)・瀬川さんなど退出後。左2人目にヤン先生(イーストビレッジ、20180629)



61、2018・5月定例(第250回)研究会ご案内・記録 
     齋藤 真哉(Thu, 10 May 2018 09:34)
<5月定例(第250回)定例研究会ご案内>
日時:2018年5月25日(金)19時〜21時
会場:杉並区高井戸地域センター区民センター第3集会室
報告者:文部科学省障害者学習支援推進室(国立市公民館)井口 啓太郎さん
テーマ:文科省「障害者の生涯学習」と社会教育の施策動向を「内側」から見て
     〜韓国「障害者の平生教育」動向と東京研究との交流・発展に向けて〜
内容:
 4月から文部科学省に出向されている井口さん、所属している障害者学習支援推進室では、学習権保障の諸問題について、職員とは正面から議論できる環境のようです。省内でも夜間中学と同様、障害者の生涯学習推進施策への期待が大きいことが伝わってくるそうです。そこで、井口さんには、以下の視点からご報告をいただきます。
・公民館・社会教育職員の経験を踏まえて
・東京研究における議論の蓄積と今後の発展に向けて
・近年展開する「障害者の平生教育」も含め韓国研究との交流の視点から
 活発な意見交換をしたいと思います。テーマに関心のある方、井口さんの文部科学省での活躍に興味のある方のご参加をお待ちしております。はじめての方も歓迎です。
 会場(杉並区高井戸地域区民センター)は、京王井の頭線「高井戸」下車3分。環八を渡ってすぐ(〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841)。なお終了後は恒例の懇親会を予定しています。〇「イーストビレッジ」03-5346-2077。当日の連絡先は、山口真理子さん(事務局長)。

250回定例会・報告・井口啓太郎さん(右) 高井戸20180525


■報告    松尾 有美,(Sat, 26 May 2018 13:42)
参加者(敬称略):井口啓太郎,江頭晃子、栗山究、小林文人,齋藤真哉,・(セン)
 山口真理子、山本直樹,林忠賢,松尾有美
内容:
 記念すべき第250回定例会では,今年度の4月から文科省の生涯学習推進課障害者学習支援推進室にいらっしゃる井口啓太郎さんを招き,現在国のレベルで進められようとしている「障害者の生涯学習」の施策動向についてお話しいただきました。
 これまで学校卒業後の障害者の学びの機会の保障は,国レベルでの施策ではなされなかったものの,1950年代から各自治体で多様な実践が展開されており,今日までその実践が蓄積されています(詳しくは『大都市・東京の社会教育:歴史と現在』第4章 井口啓太郎・橋田慈子@障害者の社会教育実践の展開)。
 近年の夜間中学をはじめとする基礎教育の保障という議論・施策の延長として,「誰も取り残さない」という視点で障害者の学びが今国レベルで注目されていると捉えることもできるが,なぜ今の時点で?に答える要因を分析することが今後の課題として提起されました。
 一方で韓国の障害者平生教育は,1990年代から始まる民間での実践から保護者団体が立ち上がり,2015年ごろから特別支援教育関係者と協力して,法体制から障害者の平生教育の権利を得ようと働きかけ,その結果として,2016年の平生教育法改正で「障害者平生教育条項」が入り法的根拠をもつようになりました。
 ここで議論となったのは,日本では各自治体の裁量に任されたある意味自由な体制下において,その間で格差が生じながらも多様な実践が展開されているのに対し,韓国では積極的に法改正を働きかけることによって,法律である程度実践の質の統一を図ろうとしているという点です。また障害者生涯学習職員の専門性の問題についても,これから議論を深めていける両国での共通課題の一つとして挙げられました。
 研究会の余韻に浸りながら懇親会へ。今回研究会初参加の帝京大学の山本先生,東京大学大学院博士課程の林さん,そして懇親会は初参加の・さんも交えて,楽しく美味しいひととき。酔いに任せて私も歌ってしまいましたが,真理子さんとの「トゥモロー」は懇親会の楽しみの一つでもあります。来月研究会は記念すべき小林先生の「じんぶんヒストリー」初回!楽しみにしています。
第250回研究会・懇親会(イーストビレッジ・高井戸、201805250) 江頭晃子さん撮影



60、2018・4月定例(第249回)研究会
 ご案内
 (TOAFAEC 事務局 小林ぶんじん、Mon, 16 Apr 2018 22:50)
 東京は花爛漫から緑の季節に移ろい、ツツジやハナミズキが美しく街路をかざるようになりました。皆様、お元気で新しい四月をお過ごしのことと思います。
 この間、TOAFAEC 事務局は、この週末に予定されている2018「やんばる対談」の準備・連絡等に追われているうちに、4月定例(第249回)研究会のプログラムを最終確定するタイミングを逸してしまい、ご期待の皆様に申し訳なくお詫び申しあげます。
 実は、昨年夏に出版された『躍動する韓国の社会教育・生涯学習』(韓国研究フォーラム編、エイデル研究所)の書評が出始めたので、定例研究会として韓国本を一度取り上げようという案や、同じく一昨年に刊行した『大都市・東京の社会教育−歴史と現在』(東京社会教育史研究フォーラム編)について、さらに次の世代に歴史を語り継ぎ、研究ネットを拡げていこう、東京研究のいわば第2サイクルの課題に取り組もう、などの案を温めてきました。しかし年度初めということもあり、話題提供・課題提起の方々の都合がうまく合いませんでした。定例研究会として毎月・最終金曜日のリズムは維持したいので、事務局協議の上、下記のような内容で、4月定例会を開くことにいたしました。
 日頃あまり語られないTOAFAEC の運営、年報・通信(南の風・ホームページ)、取り組むべき課題など、この機会に自由に論議していただく場にもなれば幸いです。お誘いあわせの上、ご参集くださいますよう、ご案内申しあげます。
◆日時:2018年4月27日(金) 19:00〜20:50
 内容:1、2018「やんばる対談」報告・・・・対談参加者
    2、年報23号編集の進捗状況(経過)・・・李正連編集長 
    3、定例研究会の進め方について・・・江頭晃子さんほか
    4、TOAFAEC 活動のこれから・・・自由討議(参加者)
    5、今後の日程(6月・総会の開き方など)
 会場:杉並区高井戸地域区民センター 第3集会室
     〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
     *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
〇終了後(21:00〜)懇親会:イーストビレッジ 03-5346-2077
*当日の連絡先:山口真理子さん(TOAFAEC事務局長)

■報告 
小田切督剛(Sun, 29 Apr 2018 16:57)
報告者:小林文人、江頭晃子、山口真理子(敬称略・報告順)
参加者:李正連、江頭晃子、呉世蓮、小田切督剛、小林文人、・瞻( Zhan ZHAN 、上海出身、東京大学大学院博士課程)、松尾有美、森田はるみ(北海道置戸町)、山口香苗、山口真理子(敬称略・五十音順)
内容:
 2018年4月21日に名護市で、2月7日に市長を退任したばかりの稲嶺進さんを囲み、11回目の「やんばる対談」が開かれました。今回の研究会は、その成果を共有し、さらに深く掘り下げるために開かれました。
 この日、同じ時間に板門店(パンムンジョム)で南北首脳会談が開かれていました。分断を超え平和な東アジアを作ろうという私たちにとって、何という偶然か!さっそく松尾さんと呉さんに、発表されたばかりの南北共同宣言(板門店宣言)を同時翻訳してもらいました。
 そして本題 まず、1、「やんばる対談」報告
 対談の参加者から報告です。文人先生は、1980年代の社全協・富士見集会そして東京学芸大学小林ゼミ沖縄合宿の宿舎をお願いして以来の、稲嶺さんとの長いご縁から、「とても誠実、信念をもちブレない人」と紹介。名護市教育長(2005年〜)さらに市長(2010年〜)に就任して、暮らしの問題を社会教育に引き付けて地域づくりを進めてきた努力、「『退任後、軽トラを買った』ということも『地域のために働く』というメッセージだろう」と。
 江頭さんは「稲嶺さんが市長を務めた8年の積み重ねで、職員たちの力量が上がった」という話が印象的だったとのこと。「教育委員会社会教育課を市長部局に移管して、地域政策部地域力推進課を設置したというが、その経過についてもう少し訊きたかった」とふりかえりました。
 山口真理子さんは、「(2007年に制定された「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法」に基づく)『在日米軍再編交付金に頼らない地域づくり』を稲嶺さんが進め、その中で職員たちが鍛えられてきた」こと、また稲嶺さん自身「社会教育の仕事が原点」「若い頃から「地域に入ろう。机の前に座っているだけが仕事じゃない、その姿勢を若い職員に積極的に語りかけてきた」ということでした。
 報告を受けての意見交換も盛り上がりました。2014年の対談に参加した森田さんは「対談の後、屋我地(やがじ)支所を訪問した。地域に入り、地域の人と『何が元気になれることか』を探し、その中で職員として鍛えられるという、職員と地域の関係性が印象的だった」とふりかえり、「まち全体が力を失っていく時、『社会教育に何ができるか』という切実な思いがある。地域力推進課を設置したのも、『わが町をどうする』と真剣に考えた方向を選んだのではないか」と指摘しました。
 さまざまの意見。「社会教育行政と地域行政はどういう関係にあるのが望ましいか?」「地域が疲弊する中で、市民的自立と地域的活力・ネットワークはますます重要。地域の活性化に寄与しない社会教育でどうするのか?」「長野県松本市のように、教育行政の中で社会教育の独自性・自立性・専門性を保ちつつ、福祉行政などと積極的に連携する自治体がある」などと議論が広がりました。
 2015年の対談に参加した李さんは、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領のことを紹介しました。いわゆる“政治家”的ではなく、誠実な人柄。政治的利害に興味もなく、何度も弁護士に復帰しようとしたが、周りの皆が説得して政治家になり大統領になった。稲嶺進さんも文在寅さんによく似ているのではないかと指摘。これを受けて「沖縄のアイデンティティを守るために、そういう思いを持った人が政治に関わる」「朴槿恵の不正に抗議するロウソク集会が、文在寅大統領を生み出し南北首脳会談につながった。来る沖縄県知事選も、市民の熱気の中で稲嶺さんのような人が出馬できないものか」など。
2.定例研究会の進め方他
 後半は、定例研究会の進め方が議論になりました。「文人先生が入院されていた間、定例研究会の企画・内容は江頭さんが中心になって調整していた。その実績があるのだから、年報の編集委員会があるように、定例研究会の企画委員会を設けてはどうか」と提案があり、割れんばかりの拍手の中で、江頭さんが企画委員長に就任しました。あらためて江頭さんから「じんぶんヒストリー」と題した文人先生のヒアリング案を含め、2019年3月までの研究会の企画案が示されました。「じんぶん」とは、沖縄・ウチナーグチで「あの人はじんぶんがあるネ〜」などと表現するそうです。「人文」からきた言葉だそうです。「生きるための知恵、実生活につながる賢さ」といった意味でしょうか。文人先生からは社会教育に「求めに応じる原則」があり、「求めがあれば、応じるのが教師の仕事です」と力強い返事をいただきました。
 終了後は、「イーストビレッジ」へ。マスター御夫妻から「遠藤輝喜さんから差し入れがありました」とワインをいただき、「置戸町で27年間、『南の風』で皆さんと心の中でつながり続けてきたことが大きかったです」という森田さんと笑顔で乾杯。山口真理子さんの「Tomorrow」は、松尾さんがソプラノでハモり、大盛り上がりの中でお開きとなりました。

23号編集会議・第249回定例研究会(10180427、高井戸、小田切さん撮影



59、3月定例(第248回)研究会-「やんばる対談」事前学習会ご案内
                        小林ぶんじん(南の風3916号)
 私たちはなぜ「やんばる」に関心をもつのか。日本社会教育のなかで、あるいは東アジアの拡がりの視点をもって、沖縄そして「やんばる」のもつ意味はなにか。この機会に「やんばる」型社会教育とでも言うべき展開とその特徴を考えてみたい。3月定例研究会(3月30日、東京・高井戸)では、やんばる対談の事前学習会として、いくつかのことを話題提供し、皆さんと一緒に「やんばる」を考えるひとときをもちたいと計画中です。幸い名護市教育委員会・仲宗根禎さんがこの日まで東京に滞在中。名護・屋我地の出身なので、具体的に集落(字)の活動等について少しお話いただければと期待しています。
○日時:2018年3月30日(金) 19:00〜20:50
 内容:日本(東アジア)社会教育における「やんばる」の位置(仮)
         ―私たちはなぜ「やんばる」に注目するか
 話題提供:小林ぶんじん(TOAFAEC)、ゲスト・仲宗根禎さん(名護市教育委員会)、
 会場:杉並区高井戸地域区民センター第1集会室
     〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
     *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
〇終了後(21:00〜)懇親会・仲宗根さん激励会:イーストビレッジ 03-5346-2077
 当日の連絡先:山口真理子さん(TOAFAEC 事務局長)

3月定例会、上平泰博さん、山口香苗さんは退出後(20180330)


■報告
 山口真理子,(Sun, 1 Apr 2018 14:27)
参加者:小林文人,李正連,上田孝典,上平泰博,江頭晃子,呉世蓮,小田切督剛,栗山究,武田拡明,黄丹青,松尾有美,山口香苗、山口真理子(敬称略)
 この日は、研究会前に韓国生涯学習フォーラム、年報第23号編集会議(ご報告・上記)があり、それぞれの参加者もほぼ残って、疲れと軽い興奮の余韻で会が始まりました。
 『南の風』3926にありますように、報告者のお一人である仲宗根さんが、年度末しかも出向(文科省)最終日とあって不参加となり非常に残念でしたが、その分は小林先生が熱弁を振るわれました。(以下はその骨子)
1、沖縄研究を始めるいきさつ
 『日本近代教育百年史』(全10巻、国立教育研究所編・発行 1973−1974)の第7・8巻が「社会教育」で、自分は戦後行政・施設史を担当したが、沖縄に関しては全く取り上げることができなかった。編集が始まり執筆は復帰(1972年)前に進められたが、発行時点は復帰後となり、結果的に「沖縄県」が抜けてしまったことに忸怩たる思いであった。
2、研究会・やんばる対談の歩み  関連サイト→■沖縄研究一覧  →■やんばる対談記録
1976年、東京学芸大学で「沖縄社会教育研究会」を起ち上げる。資料調査・沖縄調査活動。
1978年、やんばるに初めて行って、象グループの活躍を知った。今帰仁・名護との出会い。
1995年 「東京・沖縄・東アジア社会教育研究会」(TOAFAEC)の起ち上げ。東アジアの視点。
2002年、社会教育推進全国協議会・全国集会が名護市で開かれるのを契機に『おきなわの社会教育』(エイデル研究所、島袋正敏との共編)を刊行。「やんばる」が起点。
2010年、社会教育主事(1980年代)でもあった稲嶺進市長誕生で「やんばる対談」スタート。
3、やんばるの字(集落)公民館、象グループの果たした役割
 ここから今回の研究会の中心的な内容になっていく。用意された資料は「象グループ・沖縄の仕事 1971-1977(建築知識)」より「集落の構造」「集落の核」「山原型土地利用」「集落公民館とそのまわりの計画」の部分。象グループは集落の共同体的な結びつき(祭祀、生産・生活上での協働、たとえば「ゆいまーる」「共同売店」等)に着目。生活の真の豊かさをみる視点,「逆格差論」(名護市・自治体基本構想)を提起し、集落センターとしての字公民館の役割を積極的に位置づけた。
 沖縄には集落(字)が950〜1000ある。各々の集落(那覇など都心部をのぞき)には字公民館が現在でも多様・活発に機能している。名護市は人口約6万人で55集落、1つの集落の平均人口は1000人強となるが、小さな集落でもそれぞれ字公民館が動いていている。
 ここで小田切さんが,韓国の同じような単位では544人という数字を出すと、すかさず上平さんが、その数字は「クニ」ができる人数でもある、というような発言。要するに共同体的な基礎単位を意識しあう規模ということだろうか。先生「大きな変化のなかにありながら、同時にやんばるの集落の共同が多様に機能し続けていることにに注目したい」「自治体や集落がそのうち消滅するという推計があるが、沖縄やんばるでは集落はなくならない」という中村誠司さんの持論を紹介。そこには沖縄特有の共同体的意識をもった「郷友会」の存在もあるだろうと。
4、社会教育のプロヴァイダー(設置・運営主体)の多元化を考える課題
 日本の社会教育は行政セクターによる一元的な形態であるが、やんばる型社会教育は集落セクターの果たす役割が大きい。一般に、社会教育のプロヴァイダーとしては公的「行政」、加えて委託・財団等の「準公的」形態、さらに「営利」「非営利(NPO)」の民間的形態があると言われてきた。韓国平生養育法は、さらに大学や事業場・言論機関・人材開発など多彩な形態を法に盛り込んでいるが、やんばる型社会教育はいわば「コミュニティ」セクターの重要性を示唆している。集落公民館の積極的役割を通して、日本の社会教育をさらに多元的に構想していく課題が見えていくる。(以上、話題提供)
 「象グループ・沖縄の仕事 1971-1977」の現物(今帰仁村中央公民館を含む)は回覧されましたが、皆興味深く拝見し、写真を撮ったりしていました。
 このほか、名護東海岸・大浦わんさかパークについても,調査している武田さんが話されて、仲宗根さんがいらっしゃったら、さぞやもっとたくさんのやんばる情報が得られたことだったでしょう。4月「やんばる対談」沖縄行の期待が高まり、黄丹青さんも参加の決心をされるという結果になりました。終了後に,いつものイーストビレッジで盛り上がったのは、『南の風』3926にあるとおりです。


58、TOAFEAC・2月定例(第247回)研究会
ご案内
   李 正連,(Wed, 7 Feb 2018 12:11)
 <第247回(2月定例)研究会・年報23号編集委員会(第1回)ご案内>
 編集委員はじめ南風の皆様、最近寒い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。6日夜、台湾東部の花蓮沖でM6.4の地震がありましたが、台湾にいらっしゃる方やお知合いに被害はございませんでしょうか。最近韓国でも震度は弱いですが、地震が頻繁に起こっているので、不安ですね。皆様、くれぐれもお気を付けください。
 先月の定例研究会は残念ながら出席できませんでしたが、盛会だったようですね。一昨年の東アジア生涯学習研究フォーラムは上海、昨年は佐賀で行われました。今年は韓国で行われる予定です。まだ確定ではありませんが、開催地は百済の古都である公州になる可能性が高いです。詳細が決まりましたら、またご連絡いたします。

 この度、第23号年報の編集委員長を担当させていただくことになりました。前任の委員長(小林文人先生)が第2青春の準備に入られ、その代役を務めていたのですが、気付いたらここまで来てしまいました。ご指導のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
 2月に入りましたので、そろそろ第23号の第1回編集会議を開催したいと思います。主な内容は、特集についてのアイディアを持ち寄って、議論しながらテーマを決めることです。是非皆さんからも「特集案」を提案していただきたいと思います。遠くの方で当夜お出でになれない方は、何なりとご意見をメールでいただければ幸いです。 
 ちなみに、第247回(2月定例)研究会はこの編集会議で代替させていただきたく思いますので、編集委員でない方でもお気軽にお越しください。皆様のご参加をお待ちしております。
〇日時:2018年2月23日(金) 19:00〜20:50
〇内容:
1.特集についての議論(編集委員や参加してくださる皆さんは「特集案」を持ち寄ってください)
2.編集委員の確定
3.今後のスケジュール確認
〇会場:杉並区高井戸地域区民センター第3集会室
〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
    *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
〇終了後(21:00〜)懇親会:イーストビレッジ 03-5346-2077
*当日の連絡先:山口真理子さん(TOAFAEC 事務局長)
■報告 李 正連(年報23号編集長、東京大学)
 <年報23号編集会議(第1回)、定例研究会(第247回)の報告>
 2月23日(金)19時より杉並区・高井戸地域区民センターで年報23号の第1回編集会議がありました。はるばる高知から内田先生がお見えになり、ビックリ!とても嬉しかったです!そして来月の定例研究会でお話してくださる仲宗根さん(名護市教育委員会、現在文部科学省に出向中)も参加され、懇親会では来月の報告への期待を込めて盛大に乾杯をしました。
 参加者は、小林文人、山口真理子、内田純一、江頭晃子、小田切督剛、呉世蓮、山口香苗、真壁繁樹、仲宗根禎、李正連(敬称略)でした。
 今回の編集会議の主な議題は特集テーマを決めることでした。参加者の皆様と欠席された方々からもメールで特集テーマの案がいくつも送られてきており、それらをもって意見交換をしました。専門職員問題や法制改革、行政機構改革、第4次産業革命などといった東アジア諸国・地域で関心が高まっている内容がいろいろと出されましたが、今度の年報では、去年12月に佐賀で開かれた東アジア生涯学習研究フォーラムを踏まえた特集を組むことに決まりました。編集会議で決まった特集の大枠(案)は下記の通りです。執筆候補者の方々は名前を見てきっと驚かれると思いますが、後日別途ご依頼の連絡をさせていただきます。どうかご了承いただきますようよろしくお願いいたします。
・特集テーマ:「東アジア生涯学習研究フォーラム(佐賀フォーラム)東アジアから見た佐賀」(仮)
・構成案(それぞれ16,000字以内)(執筆者案・略)
1)これまでの経緯と総括(国家との関係、国際会議のあり方など、国家間交流を超えた東アジア研究共同体づくりに向けた取り組み)
2)フォーラムの内容(専門職制度、法制改革、次回のフォーラムにつなげることなど)
3)フィールドワーク(佐賀・福岡)のまとめ
4)「佐賀宣言」について
5)東アジアから見た佐賀・福岡の社会教育(韓国、中国、台湾にそれぞれ依頼)
*各国参加者の方々に、自分たちの課題と関係付けて最も印象に残ったことや、興味深かったこ
 とについて書いていただくように依頼する。(6,000字以内)
6)まとめ―ヨーロッパから見た東アジア
○特集以外パートについては、例年通りに各国の「この1年の動向」、自由投稿、沖縄やんばる対談、「ひろば」で構成し、昨年に引き続き、谷先生の講演(対談)記録「ドイツ社会教育(その2)」を収録することに。
○自由投稿の希望申込期限は4月25日(水)とし、次々回の編集会議(4月27日・金)で検討する。16時から杉並区・高井戸地域区民センターで開催する予定です。
○なお、今号の編集委員会に韓国フォーラムから梁炳賛先生と小田切督剛さん、呉世蓮さんが新たに参加。
今後ともご指導・ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
(20180223、イーストビレッジ)


57、TOAFEAC・1月定例(第246回)研究会のお知らせ
       山口真理子(TOAFAEC事務局長 Mon,8 Jan 2018 05:54)
テーマ:東アジアの生涯学習を巡る動き
 1.東アジア生涯学習研究フォーラムin佐賀の報告
 2.年報23号に向けての構想 他
日 時:2018年1月26日(金)19:00〜21:00
会 場:杉並区高井戸地域区民センター第3集会室
報告者:(敬称略)
 上田孝典・黄丹青(中国生涯学習研究フォーラム)
 呉世蓮・小田切督剛(韓国生涯学習研究フォーラム)
 山口香苗(台湾の動き)

 明けましておめでとうございます。今年もTOAFAECをどうぞよろしくお願いいたします。
 さて、昨年12月11〜13日に佐賀に於いて、東アジア生涯学習研究フォーラムが開催されました。日本・中国・韓国・台湾の研究者や実践家が参加し、報告を出し合って、熱心な討論がなされたとのことです。
 思い起こしますと、このような国際的な研究フォーラムの第1回は「これまで築かれてきたそれぞれの交流の歴史と蓄積を継承し、日中韓のこれからに向けた研究と実践経験の新しい交流」(上田さん)の場として2010年12月に上海に於いて開催されました。その時、各国持ち回りで継続していくことが決まり、第2回は2012年に韓国で行う予定で準備も進められていましたが、当時の政治情勢により中止となり、その後途絶えてしまっておりました。
 しかし、2016年12月、上海で行われた「第4回終身教育上海フォーラム」に日韓の研究者が参加したことから、再開の機運が盛り上がり、今回第2回として日本での開催が実現したものです。今回は3国に加え、台湾からも参加という広がりがありました。TOAFAEC今年最初の研究会は、準備など中心的に進めてくださった上田孝典さんやフォーラム参加者の方々から、報告していただきます。
*終了後は恒例の懇親会をいつもの「イーストレッジ」(高井戸駅歩3分)03-5346-2077


▼報告:上田孝典さん(筑波大学) 180126


■報告
 小田切督剛(Sun, 28 Jan 2018 17:37
参加者:上田孝典、江頭晃子、遠藤輝喜(2次会)、呉世蓮、小田切督剛、屈路、小林文人、杉山拓也、瀬川理恵、黄丹青、真壁繁樹(たちかわ市民交流大学)、山口香苗、山口真理子、山添路子(敬称略・五十音順)
内容:
 2017年12月11日〜13日に佐賀で「東アジア生涯学習研究フォーラム」が開かれました。主催はTOAFAEC。2016年の上海フォーラムに続き、北京や上海、韓国、台湾など東アジア各地から約40人が集まり、熱い議論と交流の3日間を共にしました。今回の研究会は、その成果と課題を報告し、年報23号につなげるために開きました。
 フォーラムの事務局長を見事に務めた上田孝典さんが概要を報告し、参加者から補足しました。フォーラムの日程順に整理すると、次のとおりです。
 1日目の午前は、佐賀市の公民館2館を視察。山口香苗さんによれば、台湾の参加者は公民館と学校が隣接して設置されていることに驚き、「コミュニティを基盤とした社会教育・生涯学習が、安定した社会づくりに役立っているとわかった」と語っていたそうです。
 1日目の午後は、西与賀公民館で「生涯学習法制をめぐる制度改革」をテーマにフォーラム(木原館長さんに大変お世話になりました)。議論の中心は、職員専門性論でした。上田孝典さんによれば、教育部から中国モデルである「終身学習工作者」の政策文書が出たこともあり、上海の参加者は日本の「社会教育士」の動きに関心が高かったそうです。
 2日目の午前は、大木町の循環センターと環境プラザを視察。呉世蓮さんによれば、韓国の参加者は「ごみ問題をテーマとした平生学習を進めているが、ごみゼロコンテストなど子どもたちと楽しく進める手法が参考になった」と語り、黄丹青さんによれば中国の参加者は「住民と共にごみの分別などを実験しながらじっくり進めるという手法自体が驚き」だったそうです。
 2日目の午後は、柳川市の「水の資料館」と実際の掘割を視察。屈路さんは「実践の現場に行ったおかげで、各地域に根ざした方法で展開していることがわかった。中国でも地域特有の終身学習を作っていくと良いと思いました」とのことです。
 2日目の夕方は、柳川市の城内(しろうち)コミュニティ防災センター(公民館)で、まとめのフォーラム。岡幸江さん(九州大学)が、地域の特徴として@農業との連携と持続可能性、A住民協働の多様な分野への広がり、B自治体職員全体が社会教育職員化し、「公務員が変わり、地域が変わる」ことを提起しましたが、特に市民の動きを挙げたことが重要でした。
 2日目の夜から3日目の朝にかけては、共同宣言である「佐賀宣言」について議論しました。狭い部屋にたくさんの人が集まり、車座になって膝を突き合わせながら、日付が変わる頃まで「東アジアから何を発信すべきか」を熱く議論しました。黄丹青さんは「皆で一つのものをつくる過程は、今までになく、感動的だった」とのことです。
 文人先生からは、「福岡の横山孝雄さんも『フォーラムが本当に面白かった』と。なるほど、東アジアで職員専門職制の論議が始まった、歴史的な会議だったのではないか。先進的なヨーロッパモデルを見ながら、どんな専門性論がありうるか、論議を続けていくといいですね」と。

 後半は、フォーラムを年報23号にどうつなげるか、議論になりました。「フォーラムの成果は、職員専門性論の論議と、実践事例の視察の大きく2つがある。それぞれを生かしてうまく掲載できると良い」「今回初めてTOAFAECが主催して開催したので、今後TOAFAECの活動の柱の一つと位置づけ、その成果と課題を年報に継続的にきちんとまとめていくと良い」「年報に掲載して共通認識を積み重ねていくことで、将来的な出版も展望できるのではないか」といった意見が出ました。そして、フォーラムの成果を年報23号につなげるため、上田孝典さんに副編集長(編集長は李正連さん・東大)をお願いすることが提案され、拍手で承認されました。
 終了後は、「イーストビレッジ」へ。マスター夫妻も「先生、お待ちしていました」と、文人先生の快気祝いも兼ねて笑顔で乾杯。入院中の文人先生に一升瓶を抱えてお見舞い(?)に行った遠藤輝喜さんは、ワインを持って登場。文人先生はますます元気になって、昨年10月に『社会教育・生涯学習ハンドブック第9版』を刊行したばかりの杉山拓也さん(エイデル研究所)に「ハンドブックは索引が命ですよ!」と激励していました。屈路さんがスマホ映像(佐賀会議の歌の風景)をお見せしたのをきっかけに、歌の交歓が始まりました。末本誠さん(湊川短期大学、TOAFAEC前代表)と上野景三さん(佐賀大学、TOAFAEC代表)が、佐賀フォーラムの交流会で沖縄「やんばるの子守歌」を合唱した映像。韓民さん(中国教育発展戦略学会理事長)が上野さんに「懐かしい歌ですね。研究室を思い出しました」とおっしゃっていたことを伝えると、文人先生が「病院では歌えなかったので(笑)声が出ませんが、韓民が教えてくれた歌を歌いましょう」と朗々たる声で「松花江上(松花江のほとり)」を屈路さんと合唱。山添路子さんの「朝露(アチミスル)」、呉世蓮さんの「鳳仙花(ポンソンファ)」、山口真理子さんの「Tomorrow」と続きました。沖縄や台湾の歌も含めて「東アジア・平和と抵抗の歌集」をまとめよう!と盛り上がりながら、お開きとなりました。



56、12月・TOAFEAC定例(第245回)研究会のお知らせ
                 (TOAFAEC 事務局)
・テーマ:再読 丸浜江里子『原水禁署名運動の誕生』(凱風社、2011年)
     ――「原水禁運動(安井家)資料研究会」の活動を踏まえて
・報告者:竹峰誠一郎さん(明星大学)
・日 時:2017年12月29日(金)18時00分〜19時30分(忘年会〜21:00)
・会 場:イーストビレッジ(高井戸駅歩3分)03-5346-2077
・参加費:飲食代実費
・内 容:12月7日、丸浜江里子さんが享年66歳で逝去されました。丸浜さんは中学教諭を退職後、杉並区の教科書採択をめぐる市民運動に関わり、地域における運動の面白さと難しさを、語っておられました。
 明治大学大学院進学と前後して、竹峰さんに誘われ2005年に始まった「原水禁運動(安井家)資料研究会」に参加。修士論文のテーマとして原水禁運動を中心とした杉並の市民運動の歴史を、丹念な資料探索とヒアリングによりまとめられました。論文を元に『原水禁署名運動の誕生』を出版されました(平塚らいてう賞奨励賞を受賞)。改めて本を手に取りながら、丸浜さんの歩みと思考、伝えたかった思いを竹峰さんのナビゲートで振り返ります。
 なお、当日は『原水禁署名運動の誕生』も複数部用意しております(入手が難しくなっておりますので、この機会にどうぞ)。
・当日連絡先:山口真理子(TOAFAEC事務局)
※会場の都合で、参加予定の方は事前にご連絡いただけると助かります。
 参加申し込み→ringox@nifty.com(江頭)
■報告  石川敬史/南の風3894号
・報告者:竹峰誠一郎さん(明星大学)
・参加者:井口啓太郎,江頭晃子,瀬川理恵,堀尾正靭,真壁繁樹,安井節子,山口真理子,米山義盛,石川敬史
・内容:「『別れの記』戦後史研究者・丸浜江里子さん」『中国新聞』2017年12月26日(論説委員・森田裕美)の記事タイトルです。記事は続きます。「12月7日,66歳で死亡,原水禁運動 原点追う。語り口はソフトだが,発する言葉はシビアだった。取材しながら,次第に背筋が伸びたのを覚えている。……」
 この記事は,今回報告された竹峰誠一郎さんがレジュメとして用意した資料の一部です。参加者一人ひとりが『原水禁署名運動の誕生』(丸浜江里子著)のページをめくりながら,「ソフト」で「シビア」な丸浜江里子さんを偲びました。
 今回の報告者は,マーシャル諸島における核被害について精力的に研究を進める竹峰さんです。同書の内容とともに,丸浜さんの研究の源流から,研究に対する姿勢,思いを熱く報告いただきました。同書を編んだ契機のひとつは,同書の「序章 研究の視座」にある通り,2005年3月に始まった「原水禁運動(安井家)資料研究会」です。同研究会の報告書『ひたすらに平和願えり』(2009年)も竹峰さんから紹介されました。研究会の詳細についてはに小林先生が整理されています。
 同書は,単に原水禁運動の歴史をまとめたに留まらず,411ページにも及ぶ分厚い記述から,丸浜さんが全国各地を歩き,粘り強く資料を探したこと,目次をみると一目瞭然ですが,明治・大正期から広範囲にわたる杉並の歴史がしっかりと記述されていること,だからこそ,地域に生きる人と人との関係性や,地域活動の連続性が描かれていることが報告されました。
 とりわけ,同書が刊行されたのは2011年5月にて,「あとがき」にもある通り,「原子力の平和利用」への幻想に関する思いは同書で十分語られませんでした。丸浜さんは,続けて『ほうしゃの雨はもういらない』(凱風社,2016年)も刊行。この本の「あとがき」には,「私も今年,医師からガンを告げられた。1951年生まれの私もビキニの子,原水爆実験の毒牙にかかったのかもしれない。「ヌチドゥタカラ(命こそ宝)」という言葉が今ほど深く心にしみる時はない」とあります。多くの人と語り合い,輪を広げていく…,その知恵は初期原水禁運動にあふれていることを,さらには地域における社会運動への問題意識について,少し焦りながら執筆していた,と竹峰さんは報告されました。本当に無念です。
 もともと丸浜さんは大学では日本史専攻,そして社会科の教員をされていたので,事実を追い,同時に周辺の歴史をもしっかり調べるという意識があったようです。丸浜さんが残された研究成果の意義・価値について,『中国新聞』の数々の記事も踏まえながら,竹峰さんより熱くお話いただきました。
 献杯に続き,参加者一人ひとりからも,丸浜さんとの関わり,「原水禁運動(安井家)資料研究会」の活動などを中心に,丸浜さんを偲びました。私自身も大学図書館員の時代に研究会に参加させていただきました。修士論文執筆中の丸浜さんは,やや疲れた表情でしたが,まさに「語りはソフト」でした。しかし,そのソフトな語りの中から,研究への「信念」を感じたことは,今でもはっきりと記憶しています。そして今回,竹峰さんの報告を機に,改めて丸浜さんの著書を拝読し,研究とは何か,何のための研究なのか,と行間で語りかけ続ける丸浜さんの言葉が伝わりました…。
・記録→■(2012年2月・181回定例研究会の丸浜江里子さん、前列右)


55、11月・TOAFEAC定例(第244回)研究会のお知らせ
         (齋藤 真哉、Fri,10 Nov 2017 13:51)       
テーマ:青年教育の今日的意義と課題
報告者:大山宏さん(東京大学大学院・板橋区社会教育指導員)
日 時:2017年11月24日(金)19時〜21時
会 場:杉並区高井戸地域センター 集会室
*終了後、恒例の懇親交流会(イーストビレッジ)
内 容:
 大山さんは大学院で研究を進めるとともに、板橋区大原生涯学習センターにて社会教育指導員として勤務し、若者支援計画の作成及び事業の実施に関わってこられました。今回は、大山さんが見聞きしてきたものから、感じたこと、そしてそこから考えたことを率直にお話しいただきます。
 主な内容としては、大山さんが係わってこられた青年概念の歴史的な検討等を踏まえた現代における青年像や青年教育のあり方について。また、青年教育の実態について、これまで係わってこられた実践から意義や課題がどこにあるのかを明らかにしていただきます。特に、板橋区の事例を通して、地方自治体が担っている若者支援の施策や事業についての問題や課題をずばっと切り込んでいただき、また、若者に係わる実践を歴史から読み解く材料もご提供いただけるものと思います。
 以上の大山さんからのご報告を踏まえ、皆さんと議論しながら、課題解決の方図を探ってみたいと思います。研究会においては、皆さまの積極的な議論を期待しています。 教育施設に係わらず若者支援の現場で実践に携わる方、青年教育研究に携わる方、“若手”と呼ばれている職員・研究者には是非ともお越しください。
■報告  佐治真由子(Tue,27 Nov 2017 07:00)
 <11月・第244回)研究会、テーマ:青年教育の今日的意義と課題 (報告:大山宏さん)
参加者:江頭晃子、栗山究、佐治真由子(敬称略)、(山口真理子さんも)
内 容:大山さんは大学の学部で「ゆう杉並」に、修士で小平市の若者の取り組みに関わる中で、前者では中高生が学校等での居場所のなさを口にしつつ、ゆう杉並では「良い表情」を見せていたこと、後者ではインフォーマルな関係性の深化がフォーマルな活動の継続性を担保していたことを通して、評価の枠から外れたゆるやかな場所と関係性の意義に着目するようになり、現代の都市型社会における若者世代の社会参加のあり方、若者世代は社会の中でどのように生きることが求められているのかを研究テーマとしてきたと話されました。
 そして若者に求められる「自立」がその時々の社会的要請と不可分なものとして語られながら、終身雇用制の崩壊等の変化にもかかわらず、近年の若者を対象とした法制度が依然として経済的自立の達成に収斂していることを指摘。さらに、こうした若者に対する一面的な評価尺度が、その評価尺度との関係で本音が言えないなど、日頃のユースワークを通して感じる中高生や若者の被抑圧感や閉塞感につながっているとし、大人や社会がこれから社会に参加してくる中高生や若者に対して多様なまなざしや回路を持つこと(就労以外の社会参加の機会の提供など)ができるかどうかが重要だと言う。
 以上、大山さんの研究は若者世代のありようを通して、大人世代の関係の結び方や社会のつくり方を問うており、中高生が安心していられ、かつ他世代との応答関係を保障された環境を社会教育行政としてもいかにつくっていけるのか、社会教育行政は青年に何ができるのか等の問いとともに、大変学び、考えることの多く、参加者は少なかったものの、イーストビレッジに移動後(山口真理子さんも参加)も議論は尽きませんでした。ありがとうございました。


54、10月・TOAFEAC定例(第243回)研究会のお知せらせ
                 李正連(Mon, 2 oct 2017 21:15)
 <10月・TOAFEAC定例(第243回)研究会のお知らせ>
テーマ:『東アジア社会教育研究』第22号の合評会
日 時:2017年10月27日(金)19から21時
場 所:杉並・高井戸地域区民センター第3集会室(高井戸駅歩)
内 容:皆様のご協力のおかげで『東アジア社会教育研究』第22号の発刊も日本社会教育学会の研究大会に無事間に合わせることができました。どうもありがとうございました!
 「南風」でご覧になった方はご存知かと思いますが、編集長の文人先生が現在第2の青春をお迎えする準備に入っておられますので、代わりに第22号合評会のご案内をお送りさせていただきます。
 すでに今号を手にした方は感じられたかと思いますが、今号もかなり分厚いものになっています。22号の特集は、東アジアで教育改革が行われてから20年が経ったところで、それまでの躍動を振り返りながら、次のステップに向けての課題について考えたいという思いからスタートしています。そして、この20年でいえば、東アジア各国での発展も著しいですが、一方では海を越える国際交流もかなり増えてきました。22号では昨年の12月に上海で行われた日中韓生涯教育フォーラムの振り返りも掲載していますので、是非ご覧いただければ幸いです。今号で初めて試みたことですが、「ドイツの成人教育・社会文化運動から学ぼう」という企画を立て、ドイツ社会教育がご専門の谷和明先生(東京外国語大学名誉教授)からお話を伺う時間を持ちました。貴重なお話が多かったので、その記録も一部整理して載せています。 今回は投稿論文も多く、編集委員会としては嬉しい悲鳴をあげています。第20号で力を使い切ってしまったかなと思いきや、20号より40頁も増えた大作になりました!
 是非奮ってご参加いただきますようお願い申し上げます。まだ第22号をお手元においてない方はこの機会に是非ご購入いただき(合評会でもご購入可能です!)、下記の合評会にもご参加いただければ嬉しく思います。皆様からの忌憚のないご意見・ご感想をいただけますことをお願い申し上げます。
■報告1(山口香苗、Sun, 29 Oct 2017 00:56)
テーマ:『東アジア社会教育研究』第22号の合評会
参加者:李正連、江頭晃子、小田切督剛、屈路(王編に路)、栗山究、斉藤真哉、山口真理子、山口香苗、楊格(敬称略・五十音順)
内容:
 今回は、小林先生不在の合評会でした。小林先生がいらっしゃらないと、やはりどこか寂しい…と感じつつ、初参加の楊格さん(筑波大学M1)、屈路さん(華東師範大学博士課程、筑波大学留学中)も交え、様々な意見が飛び交いました。
 この20年の東アジアの歩み、とくに法整備の進展を見ると、90年代から始まった研究交流はとても大切なものだったことを感じる、という小田切さんの話から議論は始まり、注目できる点として、ユネスコのGNLCに合わせた日中韓の動きと台湾の学習型都市の動き、韓国のマウル運動と台湾の社区大学普及運動の相似点、教育行政と文化行政の棲み分けによる図書館の位置づけなどについての指摘、疑問点が挙げられました。
 特に図書館は、韓国では90年に教育行政と文化行政が分かれ、どちらにも位置づくようになっていること、さらに台湾でも2010年頃からこうした傾向があることが話されました。そして、これは博物館にも共通する話なのではないかと、栗山さんから日本の博物館の位置づけをもとに、ご指摘がありました。真理子さんからは、日本の図書館が、昔、演劇などの社会教育的な実践をしていたことが語られ、今の台北市楽齢学習センターの取り組みとの共通点を指摘されました。さらに韓国の「小さな図書館」の実践とも通じるものがあるのではないか、との興味深い指摘もありました。そして齋藤さんからは日本の動きとして「行政はしょぼくなっても、市民はしょぼくなっていない」ことを板橋区の事例から見られることが語られ、日本の下からの動きの可能性と、躍動する東アジアとの接点を感じることになりました。そこにおける職員の役割にも話が及び、日韓の職員の動きに注目していく必要を、改めて感じることになりました。
 この他にも、1997年のアジア通貨危機を韓国の研究者は必ずといっていいほどとりあげるのに、中台香港が取り上げない理由、各国の法改正における学会の役割、行政と市民セクターとの関係、日本の臨教審のような学者を交えた会議は中国にも存在するのかどうか、韓台でよくみられる教育部長(文部科学大臣相当)に大学教授が就任することに関して、政治と学問の距離なども話題に上がるなど、22号の内容の厚みが、多くの議論を生み、とても充実した合評会となりました。23号の特集については、時間切れとなり、イーストビレッジにてということに。
 小林先生の一日も早い快復を願い、来年の23号に向けて、また頑張っていこうという気持ちです。
■報告2 (栗山究 Tue, 31 Oct 2017 11:44:36)
 先日の合評会はありがとうございました。当日は時間ぎれで何も発言する機会のないまま、帰りの時間を迎えてしまいました。合評会で話せなかったことについて、メールで送ってほしいということだったと思いますので、送らせていただきます。
 まず、感想です。前号の南の風の江頭さんの編集後記にもありましたように、私も皆さんのご意見をお聞きして、中国・韓国・台湾の政策と研究の関係が、非常に前向きであり、かつ現実的に展開されていることに驚きました。そこから得られるヒントも数多くあり、また、板橋の実践もそれに呼応する発言が、齋藤館長からありました。
 いずれの発言もたいへん力のこもった内容でした。私自身もあらためてエネルギーをいただいた合評会でした。ありがとうございました。
 合評会で話題としてとりあげられていなかったのが、沖縄であったと思います。「やんばる対談」では、今回は地域博物館を取り上げていただきました。山城先生の解題は的を射たもので、とてもわかりやすい内容でした。
 ところで対談当日、対談内の最後に記録されているその後の懇親会に山城先生は参加されていませんでしたので、対談内で小林文人先生から提案されていました「やんばる地域博物館宣言」の対談当日のその後の展開については、年報内には記録されていません。
 しかしこちらも、とても大切な内容が含まれており、合評会ではその懇親会時のことを少しだけでもお伝えしたかったと思っていました。また、当夜の懇親会での対談の続きについても、少しだけでもお伝えしたかったと思っていました。そして「対談の続き」に関連して先月、1泊2日の強行スケジュールではありましたが、再び名護博物館を訪問させていただきました。そこで、対談に登場した元気な若手学芸員の一人である村田さんと、あらためてお話しする機会がありました。現場は忙しく、まだ「宣言」の言語化と内実化までは至っていないようですが、しっかりとその必要性については覚えていらっしゃいました。来春、また私が伺うとき、その内実化に向けた検証をしていくためにも「やんばる対談」ならぬ「やんばる地域博物館対談」を深めていく必要があるね、ということで合意し、その約束をして本州に帰ってきました。
 合評会の席では、そのようなことをお伝えしたかったと思っていましたので、メールにはなりますが、お話しさせていただきました。それでは、今後ともよろしくお願いいたします。


53、9月・TOAFEAC定例(第242回)研究会のお知らせ
    齋藤 真哉、Wed, 13 Sep 2017 
テーマ:東京都の社会教育の現在、これからの展望
報告者:東京都教育庁(社会教育)梶野光信氏
日 時:平成29年9月29日(金)19時から21時
会 場:杉並区高井戸地域センター 第3集会室
*終了後、恒例の懇親交流会(イーストビレッジ)
内 容:
 昨年刊行されました東京社会教育史研究会編『大都市・東京の社会教育 歴史と現在』おいて、「東京都の社会教育行政史」をまとめられた梶野光信さんに東京都(小池都政下)の社会教育の現在、今後の課題・展望をお話しいただき、皆さまと意見交換をしたいと思います。
 梶野さんには「東京都の社会教育行政史」において、東京都の社会教育行政の変遷を描いていただきました。
 特別区は、東京都の社会教育行政の変化に対応して係わり方を変えてきました。1990年代までは、東京都の社会教育行政は、特別区にとってはパートナーであり、「青年の家」は先駆的な取り組みをする半歩先を行く先輩のような存在ではなかったかと思います。
 それ以降は、迷走するランナーのような存在となり、かつ、お互いを利用し利用される関係に変わっていったように思います。「さすが東京都だね」から、「なんだ東京都か」という感覚に変わっていきました。
 勿論、地方分権により、広域自治体と基礎自治体の関係が変わったことは承知の上にしても、かつての期待の裏返しのような感覚になったと思います。特別区から見て、東京都はなぜ変わったのかと同時に何を変えなかったのかということを梶野さんの文章から理解することができました。
 さて、今回は、東京都の社会教育行政の将来についても梶野さんに語っていただきましょう。
 次の10年は、東京都と特別区はどのような関係が創れるのかを楽しみにしています。そして、特別区だけでなく東京都の社会教育行政が三多摩の社会教育行政・公民館、市民活動との関係をどのように創っていけるのかについても考えあってみたいと思います。
 皆様のご参加をお待ちします。初めてのご参加・大歓迎です。
■報告




■第241回(7月定例)研究会 ご案内
 -平和のための博物館国際会議(第9回)参加ご報告−
     山口 真理子(Fri, 14 Jul 2017 02:08)
 九州では記録的な豪雨が続き、多くの方が亡くなられたり不明になっておられます。猛暑の中、被害に合われた方々、心よりお見舞い申し上げます。 
 さて、7月の定例研究会が近づいてまいりました。今回は、今年4月10〜12日に、北アイルランドのベルファストで開かれた第9回国際平和博物館会議に参加された栗山究さんと佐治真由子さんに、これまでの経緯を踏まえながら会議のご報告をいただきます。
 報告者の佐治真由子さんによれば、国際平和博物館会議は1992年にイギリスのブラッドフォード大学で第1回が開催されたのを皮切りに、その後2〜3年に一度のペースで、これまでオーストリア、日本(大阪・京都)、ベルギー、スペイン、韓国などで開催されてきました。世界には平和のための博物館が 250館近くあり(定義によって数も変わる)、その内80館以上は日本にあるそうです。
 そうした各国の平和博物館関係者の交流と意見交換の機会に、いま板橋の中で起こりつつある市民発の「平和の拠点づくり」に向けた動きについても報告し、いただいた意見を板橋に持ち返ろうという思いから、今回の会議に参加されたそうです。そして、第2次世界大戦に関連した反戦平和の博物館が多くを占める中で、地域福祉の拠点づくりの実践と連動させ、多様なニーズを包含した板橋における「平和の拠点づくり」の取り組みは、ユニークなものとして受けとめられたとのことです。
 今回の定例会では、国際平和博物館会議の取り組みと国内外の平和博物館の概観、昨今の板橋の「平和の拠点づくり」に向けた動き、また、ひめゆり平和祈念資料館の職員や琉球放送のスタッフなど、沖縄からも多数の関係者がベルファストに来られていたことなどについても、6月の定例会のテーマと絡めご報告いただけることになりました。
 博物館に興味のある方はもちろんのこと、平和への取り組みについても、共に考えあう場となれば幸いです。初めての方のご参加、とくに大歓迎!です。
         記
日時:2017年7月28日(金)19:00〜21:00
内 容:1、第9回平和のための博物館国際会議参加報告
    2、板橋の「平和の拠点づくり」に向けた動き
報告者:栗山究さん(早稲田大学非常勤講師、元板橋区社会教育指導員)
    佐治真由子さん(川崎市中原区役所、元板橋区社会教育指導員) 
会 場:杉並区高井戸地域区民センター第4集会室 03-3331-7841
    京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八歩道橋を渡ってすぐ)
終了後(21:00〜)懇親会「イースビトレッジ」03-5346-2077
当日の連絡先:山口真理子(TOAFAEC事務局)

*記録1
 佐治真由子(Sun, 30 Jul 2017 14:29)
参加者:栗山究、小林文人、斉藤真哉(板橋区社会教育主事)、佐治真由子、芹沢昇雄(NPO中帰連平和記念・事務局長)、包聯群(大分大学)、真壁繁樹(たちかわ市民大学交流委員会)、山口真理子
内容:
 今年で第9回目を迎えた平和のための博物館国際会議の歩みをふりかえりつつ、とりわけ1990年代まで主流を占めた戦争に対峙する平和という意味の学習運動の拠点(空間)や反戦平和を主題とする博物館実践としての平和博物館(Peace Museum)から、2000年代以降、ヨハン・ガルトゥング(平和学)の積極的平和の概念をふまえ、反戦平和だけでなく、貧困・社会的差別・環境・福祉など現代社会のさまざまな諸課題に向き合う学習運動の拠点や博物館実践としての平和のための博物館(Museum for Peace)へ定義の更新が行われてきたこと。
 にもかかわらず、今年4月の第9回会議での報告や国内外の平和博物館実践の大半が15年戦争期の被害や加害の歴史を主題としていたため、後段で報告させていただいた福祉に係わる市民運動と社会教育がつながることで人権学習を基底に据えつつ、さまざまな現代的な課題の学習に取り組んできた板橋の市民による「平和の拠点づくり」の取り組みは、多様なニーズを「平和」として捉える、平和のための博物館につながるユニークな実践として受け止められたことなどについて報告があった。
 その後の意見交換で小林先生から、世界の平和博物館の3分の1が日本に存在するにもかかわらず、安井郁さんらを中心に展開された原水爆禁止運動をはじめ日本の平和運動がさまざまな政党や組合の対立等の影響を受け、「平和」な社会づくりに向けた影響力を行使し得てこなかったこと、日本(政府)はアジア太平洋諸国に対する加害責任を壊しながら逃げてきたこと、また中国出身の包先生や和光大学の留学生さんから、中国には平和博物館だけでなく平和のための博物館が必要だという指摘などがあった。
 以上、あらためて日本において「戦争」や「平和」を主題とすることの難しさ、「平和のための博物館」という定義への更新をはじめさまざまな「平和」観を打ち出していくことが、日本においてこれまでにない新しくかつ多様な主体による「平和」への接近と拠点の発展に一役を講じるものになるのかどうか。また、政治的立場等を異にする多様な人たちが人権学習をベースとすることでつながりえた板橋の「平和の拠点づくり」の取り組みが、今後人権から「平和」へその紐帯を移行させた時、引き続きつながりえるものをつくれるかどうかが問われていると考えさせられた研究会だった。発表の機会をいただき、どうもありがとうございました。
*記録2 栗山究(Sat, 29 Jul 2017 17:52)
 <28日研究会の感想記録>
 昨日の研究会はありがとうございました。少人数でしたが、たいへん内容のある会となり、小林文人先生とともにゼミ形式で研究を深められました。当日の研究会は、明星大学の竹峰さんを経由して日本の平和博物館市民ネットの皆さんへ呼びかけていただいたこともあり、中帰連平和記念館の芹沢さんが参加されました。さらに、砂川資料館の真壁先生、大分大学の包先生、岩本先生のご紹介でモンゴルからいらした留学生にもお越しいただき、板橋区の社会教育主事の齋藤館長を含め、視点を広くもちながら、内容ある議論となったことに、心より感謝しています。
 研究会の議論で集約された論点は2つであったと思います。ひとつは、小林文人先生からも事例を踏まえて解説があったように、「日本の平和博物館は本当に豊かであるのか?」という論点でした。このことに関して、私も8年前に以下のコメントを書いていました。
 -----日本の平和博物館の「量」の豊富さから(中略)世界的評価の声(中略)。しかしそれは「公的社会教育」と呼ばれる支援や保障の充実ぶりが決め手となって実現したものではなかった。むしろ関心は弱かったが、貧困のなかで運営される草の根的活動に支えられてきた側面が大きい。あるいは「戦争博物館の復活」と形容される各種事態も現われているといった現実的かつ特殊日本的な博物館の歩み続ける構造的問題を知るとき、両手をあげて評価しきれない矛盾を内在的に抱え込んだ性格となっている日本社会のなかの問題を見逃すわけにはいかないだろう。(月刊社会教育2009年2月号) ----
 その展開はこの10年をかけ、ますます顕著な姿となって進行していることを、昨日の議論は追認するものであり、無視できない課題です。しかし沖縄の「ひめゆり」など、それを克服していこうとする研究も見られます。傾向としてはそうであれ、実態を捉えるには、さらに研究が必要であることを確認しあいました。
 2つめの論点は、そのような中から、国際的文脈における目標として「Peace Museum(平和博物館)」から「Museum for Peace(平和のための博物館)」という考え方が生み出されていることです。
 この目標が国際的に見て途上にある状況は、第9回総会でも確かめられましたが、後者が意味する内容は前者を発展的につなげつつ、今後の可能性をもつものなのでしょう。
 これは昨日の参加者の感想にもあったように、議論に共通の土台を構築する概念である以上、自分たちの国にもあったらいいな、という発見を与えるもののようです。そして、佐治さん報告にあった板橋の学習運動も、後者を発展的に志向する実践事例であることを確かめあいましたが、それはまだ抽象的次元であり、本気でそれを生きた言葉にしていくには、人の生死を自分ごととして捉える学習者の学習課題がどのような学びあいで相互に結びついているかということを精緻に見ていく必要がように思いました。
 その結果として現れてくるMuseum for Peaceという学習拠点とは、まだ私たちが目にしたことのない博物館の姿なのかもしれません。
 ここでの議論は、おそらく東京の社会教育の危惧すべき現状と可能性をめぐる問題とも絡み合ってくる論点であり、次回9月の研究会での論点へと展開していくものであることを確かめあい、懇親会へと至りました。


■第240回(6月定例)研究会 -「沖縄のビデオと証言」ご案内
         山口真理子(Tue, 6 Jun 2017 18:14)
 夏日のお天気が続いておりますが、梅雨も近い空模様、皆さまお元気でお過ごしでしょうか。
 さて、6月と言えば(8月6日,8月9日,8月15日とともに)忘れてはならない沖縄慰霊の日(23日)の月です。この日は、日本軍の組織的抵抗が終わった日とされ(諸説あり)、復帰前の沖縄ではは公休日でした。今も地域限定の公休日として、沖縄県内各自治体の官公庁や学校は、休日となっています。
 その6月の研究会では、元NHKカメラマンの桑原重美さんに来ていただき、所蔵されているビデオを見せていただきながら沖縄についてのお話を伺います。
 桑原さんは「NHK 市民大学1984年10〜12月期 沖縄の歴史と文化」で、講師の故外間守善(ほかま しゅぜん)先生の映像部分を担当されました。外間先生と一緒に沖縄を巡るうちに、沖縄に魅せられ、個人でも頻繁に沖縄に足を運ばれるようになりました。小林先生とは(東京ではなく)名護市で島袋正敏・中村誠司など皆さんを通じての出会いがあり、その後、親しくお付き合いされるようになったということです。沖縄への旅も「やんばる対談」などよくご一緒させていただいています。
 共著書として「沖縄の祖神アマミク」(外間守善文・桑原重美写真)、ご著書として「南島の聖地と祭りー写真とエッセイによる聖地巡礼―」「続・南島の聖地と祭りーニライカナイをもとめて―」を出しておられます。
 定例研究会としては久しぶりの「沖縄」のテーマ、願ってもない貴重なビデオ記録と証言、ご関心ある皆様のご参加をお待ちしています。
日時:6月30日(金)19:00〜21:00
内容:@DVD「歴史みつけた 学童疎開」「仲宗根政善 浄魂を抱いた生涯」等を見ながら  
                    お話・桑原重美さん(元NHKカメラマン)
A戦後沖縄社会教育史への証言・仲宗根政善先生(回想) お話・ 小林文人先生
会場:杉並区高井戸地域区民センター第5集会室 03-3331-7841
    京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八歩道橋を渡ってすぐ)
終了後(21:00〜)懇親会「イースビトレッジ」 03-5346-2077
当日の連絡先:山口真理子(TOAFAEC事務局) 


*報告
 瀬川理恵(Sun, 2 Jul 2017 09:58)南の風3853号
参加者;桑原重美(発表者)、小林文人(お話)、石川敬史、江頭晃子、栗山究、新保敦子、瀬川理恵、武田拡明、土屋里穂、橋田慈子、山口真理子(五十音順)
内容:今回は元NHKカメラマン桑原重美さん所蔵のビデオ2本を鑑賞した。まずは教育テレビで1988年11月に小学校6年生を対象に放送した「歴史見つけた 学童疎開」という、桑原さんがお撮りになった作品。1945年4月8日夜から、波照間島の全住民が20キロ離れた西表島に日本軍の命令で強制疎開。劣悪な環境の中、マラリアに罹り人々が次々と亡くなった。識名(しきな)小学校長の命がけの日本軍への交渉で、8月始めから波照間島に戻ったが、その後も500人ほどの人々がマラリアで亡くなり、墓地があふれサダコ浜にも埋葬したが、それでも追いつかなかった。校長は波照間へ戻る際、小学校のあった岩場に「 忘勿石 ハテルマ シキナ」と自ら刻んだ(現存 読みはワスレナイシ)。校長の妻や当時の小学生たちのインタビューを交えたビデオだった。桑原さんは、この取材のほかに沖縄を数多く訪れ、沖縄の聖地うたきや、シヌグの取材等を続けていらっしゃる。
 次は「仲宗根政善 浄魂を抱いた生涯」というビデオ。仲宗根先生は沖縄本島の篤農家の長男。東京大学卒業後、沖縄県立第一高等女学校(女師・一高女)で教鞭をとり、生徒達の陸軍病院への動員(ひめゆり学徒隊)の引率者となった。かつて軍国主義教育を目的とした「国民精神文化研究所」にも在籍し、組織の一員として戦争を肯定する仕事をしたが、引率時、目の前で教え子を見捨てるという体験をした。軍から解散命令後、病院(洞窟)から追い出された生徒達とともにさまよったが、「私、お母さんに会ってから死にたい」という生徒の声によって自決を免れたと、生徒達は証言している。終戦後、先生は教科書編纂等に携わりながら、ひめゆり学徒隊の遺骨収集や、ひめゆりの塔の建設、自らの戦場体験や生徒の手記をまとめた本の刊行を行った。琉球大学退職後は「沖縄戦記録フィルム1フィート運動の会」の会長等に就任し、沖縄戦を後世に残すことに尽力した。先生が「人に対する愛情、ごくごく常識的な感情から、人が互いに殺しあう戦争を阻止し、互いに愛情をもって生きていける社会を作ろう」という信念のもと、活動なさったことが良く分かる記録ビデオだった。
 小林文人先生と仲宗根先生とのインタビューの資料も配布されたが、仲宗根先生は、石などに刻みを入れられるよう、いつもノミを持っていたと小林先生はおっしゃっていた。
  沖縄の基地問題等がメディアで取り上げられることは多いが、戦時下での学徒や市民たちの記録は、今あまり放送されないように思う。知識として知ってはいたが、インタビューに答える人々の言葉一つひとつに、胸がつぶれた。過去に学ばす、繰り返される争い。組織の一員となってしまっている自分自身を振り返り、心がとても重かった。しかしたゆまぬ活動を続けていらっしゃる桑原さんや、小林先生のお話を伺ったからには、私も地道でもあきらめず、平和の大切さを伝えていこう!気持ちを新たにできた研究会だった。
 二次会(イースビトレッジ)では、マスターのご長男で、今回のテーマ沖縄(琉球)と同じ文字を持つ、琉太郎さん(18才)に初めてお目にかかりました!


■第239回(5月定例)研究会 - 祝!新韓国本出版・東京研究からの発言
               (井口啓太郎、Tue, 16 May 2017 17:56)
 5月14日は、小林富美さんのお通夜に参列させていただきまして、ありがとうございました。富美さんのお人柄と人生が伝わってくる暖かい雰囲気でした。私自身は、東京研究フォーラム(『大都市・東京の社会教育』編集委員会)事務局の会議で「風の部屋」へ通うなか、富美さんとお話する機会がございました。すでに介護をうけながら生活されている頃でしたが、会議後半いつもはじまる酒宴の席で江頭さんをはじめとした馴染の方々と談笑する富美さんの笑顔をよく覚えています。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 その「風の部屋」で議論を重ねて作ってきた『大都市・東京の社会教育』の出版から早9か月ほどが経過しました。書評などでの紹介・評価もいくつか出てきている中、この間休止状態だった東京研究フォーラムの今後や東京研究の課題を見つめ直す時期を迎えているように思います。また同じく「風の部屋」で練り上げられてきた『躍動する韓国の平生教育』もエイデル研究所からいよいよ出版と伺っています。
 そこで、5月のTOAFAEC 定例研究会では、それぞれの出版を記念しつつ、編集実務を担ってきた東京研究フォーラムと韓国研究フォーラムの研究交流ができないかとの提案がありました。TOAFAEC 年報22号では、「東アジア・教育改革から20年」の特集も予定されているとのこと。日本・東京の社会教育・公民館はこの20年、極めて厳しい時代を迎えてきたなかで、例えば比較研究の視点から“躍動20年”を歩んできた韓国・都市平生教育などの動向に学び、共通性や展望を探れないだろうかとも。東京研究からは、「東京研究の課題とこれからに向けた視点」をやや大胆に提起しながら、そうした「対話」を始めていく一歩になればと期待もしています。
 当夜は、まずは新韓国本『躍動する韓国の平生教育』の出版をお祝いし、韓国研究フォーラムの皆さま、そしてエイデル研究所・山添さんからもご発言いただきたく、みなさま、どうぞよろしくお願いいたします。ご関心おもちの方々もぜひお出かけいただきますよう願っています。
・日時:2017年5月26日(金)19:00〜21:00

・内容:東京研究と韓国研究、それぞれの到達点と研究交流に向けて
(1)「東京研究の課題とこれからに向けた視点―『大都市・東京の社会教育』を通して」
  斎藤真哉さん(東京フォーラム事務局長・板橋区)、井口啓太郎(国立市公民館)
(2)「韓国・教育改革20年の展開―『躍動する韓国の平生教育』」
               韓国研究フォーラム・李正連さん(東京大学)ほか
(3)東京・韓国二つの大著出版を担当して 山添路子さん(エイデル研究所)
・会場:杉並区高井戸地域区民センター第5集会室
   〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
   *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
・終了後(21:00〜)出版お祝い会:イーストビレッジ 03-5346-2077
  当日の連絡先:山口真理子(TOAFAEC 事務局)
韓国・東京「この20年の歩み」(239回研究会・高井戸、20170526) *江頭晃子さん撮影

*報告
(南の風3840号 2017年5月28日) 橋田慈子(筑波大学・院)
参加者:13名(敬称略):小林文人、山口真理子、井上恵子、斎藤真哉、的野信一、上田孝典、李正連、井口啓太郎、山添路子、江頭晃子、呉世蓮、藤田美佳、遠藤輝喜(懇親会)、橋田慈子
テーマ:新『躍動する韓国の社会教育・生涯学習−市民・地域・学び』刊行記念!東京研究と韓国研究、それぞれの到達点と研究交流に向けて
内容:昨日(5月26日)は韓国フォーラム・東京フォーラムの同時開催という記念すべき会に参加させていただき、誠にありがとうございました。とても勉強になり、密度の濃い四時間でした。
 まずは『躍動する韓国の社会教育・生涯学習』のご出版、おめでとうございます。早速手にとってみましたが、表紙に掲載されている数々のカラフルな写真からは、活気あふれる韓国のようすが伝わってきますし、その内容も政策や事業、運動など様々な角度から網羅的に記されていて、勉強になります。
 韓国フォーラムでは、李先生(東京大学)から1990年代後半から今日に至る20年間の教育改革の展開について解説をしていただきました。保守派・革新派両方の政府が10年ごとに成立している韓国では、その両方が平生教育の振興やマウル共同体づくり、教育福祉を支援してきたといいます。最近では平生教育法が改正され、障害者の平生教育について明文化されるなど、政策・実践が躍動感にあふれているといいます。
 対する東京では、社会教育行政の貧困さがありながらも、それを支える市民や NPO、行政職員が草の根の運動を展開し、時には運動から制度を生み出してきました。東京フォーラムでは、現職の井口さん(国立市公民館)、斎藤さん(板橋区教育委員会)、的野さん(同)のお三方が『大都市・東京の社会教育』にある「10の提言」を踏まえつつ、これからの東京社会教育の展望を語ってくださいました。そこでは、社会教育に関わる職員が施設を出て市民あるいは市民運動とネットワークを結び、「誰も置き去りにしない」、排除しない地域をつくること、そこに学習という要素を取り入れていくことが求められているというお話しがありました。
 懇親会では、エイデル研究所の山添さんが、東京本・韓国本の編集過程を比較しつつ乾杯のご挨拶をしてくださいました。重量感あふれる二冊の刊行、本当にお疲れ様でした。この二つを、学びの糧にしていきたいと思います。
 懇親会の議論も、日韓の社会教育の話で白熱し、気付けば時計は23時になっていました。遅くまでありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。

東京社会教育史研究フオーラム(井口・的野・斉藤)の3氏(高井戸、20170526)

*報告2(南の風3840号 小林ぶんじん)
  5月26日(金)の研究会(239回)は新韓国本の出版を記念して、画期的?とも言える充実した論議となりました。研究会の時間が終わって、お祝いの乾杯の席(イーストビレッジ)でも熱気は続き、とくに板橋区のお二人(斉藤真哉、的野信一)がよくしゃべりました。あふれる思いを吐露するような、たまっている執念を吐き出すような・・・、打たれるものあり。二人の呼吸はぴったり、それぞれの話が合体してひとつのストーリーが紡ぎ出される、稀有の相棒。
 当日の私の興味は、韓国の李正連さんのお話「韓国・教育改革20年の展開」と東京の「この20年の社会教育の歩み」がどのようにクロスするかという点にありました。韓国の躍動と東京の停滞・解体の20年。それぞれの制度・行政の対照的な展開。しかし視野を拡げて、市民やNPOの学びや活動の展開を含めてみると、韓国・東京それぞれの鼓動が聞こえてくる。板橋のお二人の息の合った報告はその点で意義深いものがありました。
 あらためて、東アジアへの拡がりのなかで、多元的にとらえること、複眼的に考える視点の大事さを教えてくれた一夜でした。


■第238回(4月定例)研究会・年報22号編集委員会・ご案内
                 山口真理子(Sat, 1 Apr 2017 11:48)
 4月は勤めを持っている方々にとっては年度初めの月。異動,転職そして退職を経験されている方も多いと思います。「南の風」3813には、飯田市公民館・木下巨一さんの退職と新しい仕事のご報告がありましたが、TOAFAEC 研究会の関係者では、先ず遠藤輝喜・前事務局長が3月で定年退職です。また大学院での同期生・平井(旧姓:園田)教子さんも同じく退職されます。お二人は、東京学芸大学が1984年のみ行った「社会教育主事講習」の受講生、そこでの資格取得、という共通点もあります。その資格で、遠藤さんは渋谷区の、教子さんは鶴ヶ島市の教育委員会に就職されました。
 4月研究会では、このお二人のお話しを伺い、これからの新しい門出を祝う激励会にしたいと思い ます。遠藤さんは社会教育一筋、教子さんはその後本庁に異動され、最後は会計管理者(収入役)として、それぞれ活躍されました。
 教子さんのことは、「南の風」読者の中でもあまりご存じない方が多いかと思いますが、障害をもつお嬢さんを育てながら、いつも明るく働き続けたという経歴をお持ちで、その記録は年報『東アジア社会教育研究』(第9号)に書いておられます。さて、どんなお話しが飛び出すか、楽しみです。
 同じようにこの春、転機を迎えた方々や、東京学芸大学・社会教育主事講習のお仲間(齋藤真哉・野村千寿子・真壁繁樹ほかの皆さん)も、いらっしゃいませんか。
○日時:2017年4月28日(金)19:00〜21:00
・内容:新しい4月を祝う―
(1)「社会教育・スポーツ行政の歳月」(仮) 遠藤輝喜さん(渋谷区教育委員会・前事務局長)
   *年報執筆「東京の識字教育1997」(座談会)、第2号・1997年 所収
    「人権としての日本語教室・学習の課題」第5号
    「スポーツ祭東京2013の現状と国民体育大会の行方」第19号
(2)「鶴ヶ島の30年」(仮) 平井(旧姓・園田)教子さん
   *年報執筆「重度障害児の保育と保護者の就労保障を求める裁判闘争
    について−男も女も普通に働いて、普通に暮らしたい−」年報9号
    「誌上討論:新・新しい公民館像を−“公民館60年”に関する小林講演をめぐって−」同11号
・会場:杉並区高井戸地域区民センター第3集会室
   〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
   *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
〇終了後(21:00〜)懇親会:イーストビレッジ 03-5346-2077
  当日の連絡先:山口真理子(TOAFAEC 事務局)
*報告


年報22号「自由投稿」呼びかけ
             22号編集委員会
 『東アジア社会教育研究』は、1996年に創刊。「東京・沖縄・東アジア」に視野を広げ独自の編集を重ねて、すでに20年余の歳月、今年は22号を発刊いたします。類書のない東アジアの「社会教育研究」年報の22冊目、編集委員会として、いま鋭意準備を進めているところです。
【自由投稿呼びかけ】
 自由投稿は、東アジア(沖縄を含む)の社会教育・成人教育、生涯学習・社区教育等に関する研究や調査、情報交流をテーマとするものとし、論文40〜50枚(1枚400字、A4:10〜14頁)、資料紹介20〜30枚(5〜8頁)、エッセイ・フィールドノートも可。投稿ご希望の方は、まず概要(800字)を2017年4月25日(火)までに編集委員会(編集長・小林文人bunjin-k@js4.so-net.ne.jp)宛お送りください。
 編集委員会で協議したのち、採否の結果についてお知らせします(5月上旬)。原稿の最終締切は6月末日、発行日は9月18日を予定しています。詳しくは、TOAFAEC ホームページ(年報編集委員会・編集方針・投稿要領)をご覧下さい。→■
https://secure02.red.shared-server.net/www.bunjin-k.net/1-10kenkyu.htm
◆投稿要領
(1)本誌の編集方針に賛同するものは誰でも投稿することができる
(2)論文の執筆字数は、1万字〜2万字程度とする情報・資料の紹介等は1万字以下でも可
(3)締切りは毎年6月末(厳守)とし、テキストファイルで提出する
(4)題目の英文訳と執筆者・訳者名のローマ字綴りを付記する
(5)掲載料は求めないが、原稿料は払わない
(6)掲載原稿の採否は編集委員会が決定する
(7)投稿希望者は4月25日までに執筆予定題目、概要(800字前後)、希望字数を添え申し込む
【原稿送付先・問合せ・申込み先】編集長・小林文人(bunjin-k@js4.so-net.ne.jp)あて


第237回(3月定例)研究会・年報22号編集委員会・記録
       *李 正連(年報22号・副編集長 Sun, 12 Mar 2017 16:57)
 当然の結果ですが、3月10日(金)韓国の朴槿恵元大統領が罷免されました。「闇は光に勝てない!」国民の力で正義と民主主義を守り切った歴史的な日でした。残念ながら、朴元大統領は国民に対して公式な謝罪もせず、罪も認めていませんが、約2か月後の大統領選挙で韓国国民は再び大きな力を見せてくれると信じています!
 さて、3月のTOAFAEC定例研究会をご案内します。3月の研究会では、年報22号の東アジア各国の「この一年」という欄をどう書くかについて議論したいと思います。マンネリ化しがちな「この一年」欄を、歴史を刻みつつ読み応えのあるものにするため、各国から話題提供をしていただき、意見交換及び議論を通じていっそう充実したものにしていきたいと思います。
 なお、同日定例研究会の前に、年報22号の編集委員会(第3回)を開催しますので、こちらにも是非ご参加ください。 皆様のご参加ををお待ちしています。関心ある方々、初めての方も歓迎!です。
日時:2017年3月31日(金)16:00〜18:00(編集委員会)
       同      19:00〜20:50(定例研究会)
内容:東アジア「この1年」をどう書くか
課題提起:各国(日本、中国、 台湾、韓国)の担当、編集長
会場:杉並区高井戸地域区民センター第2和室
〇終了後(21:00〜)懇親会:イーストビレッジ 03-5346-2077
*当日の連絡先:山口真理子さん(TOAFAEC 事務局長)


★報告
 呉 世蓮(Sun, 02 Apr 2017 11:59)
(1) 年報22号編集委員会(第3回)
日時:3月31日(金)16:00〜18:00、会場:高井戸文化センター第2和室
参加者(敬称略):上野景三、内田純一、上田孝典、李正連、小林文人、山口真理子、江頭晃子、
            山口香苗、呉世蓮
内容:まず、編集長(小林文人先生)から「やんばる対談」のご報告がありました。その後、特集1「東アジア・教育改革から20年」と特集2「上海・日中韓三国シンポ」進捗状況・執筆者確認があり、各担当の原稿依頼の状況の報告が行われました。また、「東アジア・ひろば」の執筆者案検討や留学生の投稿の呼びかけなど様々な意見が交わされました。

(2) 18:00〜19:00(韓国フォーラム打ち合わせ、休憩)
 韓国研究フォーラム・韓国本いよいよ刊行です。表紙カバーデザイン案の検討・打ち合わせのために、山添路子さん(エイデル研究所)も出席され、遅れて参加の小田切督剛さんも加わり、最終案が話し合われました。

(3) TOAFAEC第237回(三月定例)研究会ご報告
 日時:19:00〜21:00  会場:同上
 参加者(敬称略):上野、内田、石井山竜平、上田、李正連、小林、山口、江頭、山口香苗、呉
 内容:東アジア年報「この1年の動き」をどう書くかの検討。この1年の動きについて各担当者から報告が行われました。山口香苗さん(東京大学大学院)から台湾の動向、石井山先生(東北大学)から日本(11項目の提案)、上田先生(筑波大学)から中国、李先生(東京大学)から韓国の動向についてご報告がありました。ご報告の内容をまめると、次の5つを挙げることができます。
1、この1年は、それぞれ国の背景があり、歴史・展開は個別・特殊であることから、当然、個性的なものになる。2、歴史は「この1年」にとどまらず継続・断絶の動きをもっているから、たとえば4〜5年の動きとして捉え、年次ごとの連続性の視点もまた大切である。3、同時にそれぞれの国・地域相互の歴史に共通する事項、重要な視点を見出していきたい。政策・行政とくに法制、他方で国の動きに対する地方、あるいは実践・運動の展開をどうみていくか。4、社会教育における固有の職員、とくに専門職制度の体制や行政における位置付けを捉えることは共通して重要である。その際(日本よりも)韓国の平生教育士制度の歴史と展開が東アジアにおける一つの典型となるのではないか。5、関連して統計・年表への追及もこれからの課題。以上の会議は夜9時近くまで行われ、時間切れのために、論議の延長は「イーストビレッジ」へ。
 今回の会には、佐賀から上野先生、高知から内田先生、仙台から石井山先生、筑波から上田先生が出席され、とても豪華なメンバーによる論議が盛り上がりました。雰囲気はますます賑やかになり、石井山先生の歌を聴くこともできました。とても素敵な歌声でした。最後の締めは、研究会歌姫の山口真理子さんの歌声とともに、名残を惜しみつつ、時計の針が夜11時をまわったため解散しました。今回も非常に充実した研究会。いつもありがとうございます。



第236回(2月定例)研究会・記録

 
ご案内   TOAFAEC 事務局長・山口真理子(Thu, 9 Feb 2017 13:50)
 立春の2月3日は、その名のとおりの暖かさでしたが、その後は寒い日が続いています。今日など、みぞれまじりのどんよりとした空、雪にもなりそうな気配です。大雪のニュースも気になります。皆さまお元気でしょうか。
 さて、11月の研究会では、谷和明さんをお招きしての、興味深いドイツ報告でした。私たちの研究会は、当然のことながら東アジアが中心の内容ですので、ヨーロッパ・ドイツのお話はとても新鮮でした。日本や韓国のような公権力による根拠法からではなく、市民側の自主的なさまざまな活動・運動の蓄積から、その拡がりが先にあったこと、その歴史的な背景としてドイツの都市の成り立ちや地域センター・施設の系譜が、中世からの歩みとして述べられるなど…。
 11月研究会、谷・小林対談の柱は次の五っでした(南の風3760号、進行の柱)。
1、ハンブルク・アルトナーレ(市民祭)、ドイツ独自の社会文化運動、その後
2、ドイツ「市民大学」(Volkshochschule)の歩み、その制度と特徴
3、ドイツの地域センター施設の系譜、最近の「多世代館」の普及、その意味
4、公民館(日)と市民大学 Volkshochschule(独)、社会教育行政とドイツ
文化政策の違い、社会教育とErwachsenenbildung、Sozialpaedagogik の比較
5、ドイツとの対比において、あらためて日本・韓国(東アジア)の特徴、課題を考える
 11月研究会・興味深いお話は、残念ながらとても最後までは進みませんでした。予定の前半部分はおわったことにして、今回の2月研究会では、その後半についてお話しいただこうという流れです。前回、とても盛り上がり、特に韓国研究フォーラムにとって、非常に有意義な会になったようです。今回もきっとそうなることでしょう。自由な対話方式、昨年11月研究会に出ていない初めての方も大丈夫です。ご参加をお待ちしています。
日時:2017年2月24日(金)19:00〜21:00
 内容:ドイツの成人・継続教育、社会文化運動の動き(その2)
   −あらためて東アジア(日本・韓国など)の特徴を考える−
 ゲスト:谷和明さん(東京外国語大学名誉教授)−対談
 会場:杉並区高井戸地域区民センター第3集会室
   〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
   (京王井の頭線「高井戸」駅下車3分、環八を渡ってすぐ)
〇終了後(21:00〜)懇親会:イーストビレッジ 03-5346-2077
当日の連絡先:山口真理子(TOAFAEC 事務局)
■当日、研究会に先立って、韓国研究フオーラムとして谷和明さんを囲み、学習会「東アジア・韓国とドイツ」(同会場、15:00−17:00〜)を企画しています。自由ゼミ形式の学習会、関心を持たれる方は、ぜひ御参加ください。大歓迎です!(小田切督剛)

 2月定例(236回)研究会、中央にゲスト・谷和明さん (高井戸、20170224)
★報告 山口真理子(Sat, 4 Mar 2017 13:03)
参加者:李正連,江頭晃子,小田切督剛,金ボラム,高坂千夏子(初・首都大学院生),小林文人,
朱紫月(紫月ともに王偏)(初・東京外国語大学院生),瀬川理恵,包聯群,ハスゲレル,黄丹青,
山口香苗,山口真理子 
内容:今回は11月研究会の続きであり、また先立って同日同会場で韓国研究フオーラムとして、学習会「東アジア・韓国とドイツ」(上記)が開かれた流れもあり、ゲスト・谷さんを囲んで和気あいあい、自由に質問なども入る活発な会となりました。文人先生が立てられた対談の「5つの柱」(3760号に収録)の後半からですが、厳密にこの順で論議が進んだわけではありません。
 谷さんからは、新しく二つの資料を用意いただきました。「戦後ドイツにおける地域センター施設発展史の構造」「人口転換期に対応した新たなコミュニテイ施設創造の試み」。それに先回も配布された有名な?「ドイツにおける地域センター施設の系譜」図。
 はじめに日本で言うところの「社会教育」「生涯学習」の概念と関連してドイツの「継続教育」についてコメントがありました。教養主義的ではなく職業教育に重きを置く。その考えに反対する研究者もいたりして経過はいろいろあるが、職業教育に一般教養も必要だというところに落ち着いているようです。
 また1970年代にはユネスコの影響もあって、各州で法制化が進むが、共通に掲げているのが、「施設の自由」であることなど。
 さて本題。「五つの柱」に整理して後半の柱の順で記録しておきます。
3、ドイツの地域センター施設の系譜、最近「多世代館」の普及、その意味。      
 前回同様、今回も谷さんの用意されたドイツ「地域センター施設の系譜]流れ図が大きな助けとなりました。この系譜は,中世から始まり現在につながっていますが、研究会では戦後が中心で、今回は21世紀にまで話が及びました。
 「ドイツ」として一つにはくくれない、とは前回にお話しされたことですが、 ここで ドイツは戦後1989年にベルリンの壁が壊れるまでは、1949年から東西ドイツに分かれていた時代があり、それによる違いもあることに気づかされました。例えば、西ドイツは市民が自主的に運営しているのに対し、東ドイツは公の資金による運営していた。東ドイツで存在した「文化館」は、「西ドイツでの地域センター施設の発展に対しては反面教師的役割」であったと。統一後は資金の問題でほとんどが閉館したそうです。
 全国画一の法規がない中で画期的なのは、2006年に連邦家族高齢者女性若者省(長い名前だなあ)が「多世代館」振興計画を開始したこと。連邦政府として初めての振興施策。しかし、いきなり出てきた政策ではなく、各州が独自で「われわれの館」から「みんなの館」へと発展させてきた民営振興政策を踏襲したものと言えるそうです。「多世代館」経過については、配布資料「人口転換期に対応した新たなコミュニテイ施設創造の試み」論文に詳細な説明あり。
4、公民館(日)と市民大学 Volkshochschule(独)、社会教育行政とドイツ文化政策の違い、社会教育とErwachsenenbildung、Sozialpaedagogik の比較。
 日本の場合は社会の問題を解決する場として社会教育・施設を考える傾向があるのに対し、ドイツの場合はむしろ“個人”の問題を解決する、あるいは個人と社会の問題についても個人の側からとらえようとする場となってきた。
 李正連さんからは、日本では教育と福祉を分けて考えるが、ヨーロッパでは福祉は当たり前のこととして全ての政策等の前提となっている旨の発言がありました。黄丹青さんや包聯群さんからは、中国についての、ドイツとは対極的な事情が述べられました。
5、ドイツとの対比において、あらためて日本・韓国(東アジア)の特徴、課題を考える。
 谷さんからは、行政の論理からの独立性、行政に従属しない論理を持つことの大切さ。また、東日本大震災後「絆」が強調されているが、それが画一化することの危惧についても自覚すべき、と話されました。文人先生からは、公的セクターの一元性について、たとえば公民館にかかわる市民、その活動や実践の実像は、きわめて多元的に動いていること。行政がどうあるべきか、公的施設をどう活性化していくか、という視点の大切さ、を話されました。
 さて、資料「ドイツにおける地域センター施設の系譜」には。「民衆会館・労働組合会館」などが重要な系譜であるとのこと。そこには「飲食できる機能は必須」だそうです。文人先生の補足では「『学ぶ・語る』ことと『食べる・飲む』ことは大事」とのこと。その実践として、終わってからのいつものイーストビレッジでの交流会となりました。


第235回(1月定例)研究会・記録
         江頭晃子(Wed, 11 Jan 2017 00:03)
 <第235回(1月定例)研究会 ― 年報『東アジア社会教育研究』22号編集会議―
 この間、「南の風」で何度か小林先生からも案内がありましたが、『東アジア社会教育研究』22号の編集会議が始まります。さまざまな「長」職から離れていた文人先生、編集長への復活です。「85歳の俺をまだこき使うのか」と怒りをかいつつも、お願いするにあたっては、その知恵と視点とつなぐ力を次世代でしっかりと引き継ぐことを覚悟して臨まなくてはと思っています。
 東アジア各地各国と、その関係は今、歴史的に大きく動きつつあります。この間、社会教育と生涯(平生、終身)教育の法制の動きも活発、「社会教育法」はいま日本だけになりました。それぞれの地域で新しい市民の「学び」も躍動中。どのような市民の取り組みが拡がっているのか、丁寧に見ていきながら東アジアの現在を知り、その方向性を相互で確かめていきたいと思っています。
 1月の定例研究会は、年報22号(第1回)編集会議。編集委員の方はもちろん、関心のある方々、「南の風」読者はじめ多くの皆さんのご参加をお待ちしています。
〇日時:2017年1月27日(金)19:00〜20:50
○内容:『東アジア社会教育研究』22号の編集(第1回編集会議)−特集テーマをどう組むかなどー  
 1.これまでの経過と22号特集案について 小林文人(編集長)
 2、韓国の動きから、22号への提案   李正連(東京大学)
 3、上海・日中韓三国シンポ(2016年12月)から見えてきたこと
   石井山竜平(東北大学)、上田孝典(筑波大学)、黄丹青(目白大学)
○会場:杉並区高井戸地域区民センター第3集会室
    〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
    *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
〇終了後(21:00〜)いつもの「イーストビレッジ」03-5346-2077
  *駅2分。環八・神田川沿いマンションビル1階(裏側)、郵便局の前
〇当日の連絡先:山口真理子(TOAFAEC 事務局)TEL090-1548-9595

1月定例会・二次会。黄さん上田さんは帰ったあと、前列はマスター(イーストビレッジ・170127)


★報告 江頭晃子 (南の風3788号)
○参加者:李正連、石井山竜平、上田孝典、江頭晃子、呉世蓮、小林文人、関本保孝、黄丹青、
       張若穂(早稲田大学)、山口真理子
○内容:今回は『東アジア社会教育研究』第22号の記念すべき第1回編集会議。最初に12月に行われた「上海・日中韓三国シンポジウム」について石井山、上田、黄各氏から報告がありました。全体としては、韓民、呉遵民の両氏の役割が大きく、進行も構成も優れており、具体的な実践を出し合うことができて、相互に噛み合う議論も出来た良い会であったとのこと。次回の三国シンポは日本開催で模索中。今回の三国シンポの記録は中国側でまとめられる予定であるが、そのなかから日本語版として、何等かの形でTOAFAEC 年報22号に掲載する方向になりました。たとえば、第2特集として位置づけてはどうか、上田孝典氏が編集を担当していただく案、など話し合われました。
 さて、社会教育法制から70年が経過した日本、「平生教育法」(全面改正)から10年の韓国、台湾の終身学習法の活発な動き、そしてこれからの法制化が模索される中国。東アジアの動きは各国・地域で異なりますが、それぞれの法制・政策や実践、施設や職員、企業や市民組織との関係構築などが具体的に動いています。とくに1990年代後半から東アジアにある程度共通する「教育改革」の動きに注目してみる。
 小林編集長からの「これまでの経過と22号特集案について」は、視野を広げつつ、それだけでなく特集により状況を深め、課題を析出していく作業に挑戦していきたい。「東アジア・教育改革から20年」という特集タイトル案で、90年代後半からの日本の社会教育の後退(解体)、韓国の躍動、中国「教育法」制定からの20年、台湾の独自な改革の動きに注目していく提案でした。
 李正連さんからは韓国の動き、条例を含む「社会教育・生涯学習法特集」の提案がありました。韓国の「平成教育法」全部改正から10年、台湾の社会教育法廃止、中国の地方条例などを取り上げる案。その他参加者からは、各国の財政比較、教育の機会の確保、学習都市形成の動きについての提案など自由闊達に意見が交わされました。東アジアにこだわりつつ、ヨーロッパの視点も入れることの重要性も語られ、2月研究会ではドイツの話を聞く予定。その記録も特集のなかに盛り込んではどうかという提案など。
 第一部は時間切れとなり、イーストビレッジに移り、春節のお祝いを兼ねて、編集委員体制(副編集長:李正連、常任編集委員6人案による分担)や、今後のスケジュール、やんばる対談企画などの話も。
 次回編集会議は3月の定例研究会と兼ねて行うこと、やんばる対談との日程を含めて調整中。第2回は各国・地域からの「この1年をどう書くか」の議論と、特集案確定及び執筆者案を出し合うことになります。


第234回(12月定例)研究会・お誘い
      (山口真理子 2016年11月29日)
 <12月定例研究会―八重山を語る―そして・忘年会ご案内)>
 とうとう、この1年も終わろうとしています。今年2016年、4月に私の故郷・熊本で大地震が発生し、「前震」「本震」なる、これまでの地震では経験したことのない災害に見舞われました。災害に遭われた方々が無事に新しい年を迎えられることを、切にお祈りいたします。
 さて、今年8月21日に、「基礎教育保障学会」設立大会が開かれたことは、『南の風』メンバーの皆さま方は、ご存知かと思います。その会場で、新しい出会いがありました。「全国夜間中学ガイド」を発行した出版社「学びリンク」の販売ブースに来ておられた黒島安央さんです。お名前が「黒島」であることから、文人先生がピンときて、沖縄・八重山出身者で、しかも『八重山毎日新聞』の通信員であることがわかりました。お誘いしたところ、黒島さんは10月の定例研究会に出席されました。
 沖縄には、現政権が目の敵にしている『琉球新報』『沖縄タイムス』のほか、八重山地方(石垣島など)を中心に発行されている『八重山毎日新聞』があり、前2紙とはまた違った存在感を示しています。
 12月の研究会は、黒島さんにお出でいただき、久しぶりに八重山のこと、南の島の出版(折しも『南の風』3760号には関連記事がありました)や新聞通信員などについて、自由に語っていただきましょう。
 そして12月の恒例・忘年会(望年会)とまいりましょう。常連の方も初めての方も、どうぞお出かけ下さい。
〇日時:2016年12月16日(第3金)19:00〜20:50
    *(年末のため)最終金曜日ではありません、ご注意を。 
 ゲスト:黒島安央さん(「学びリンク」,八重山毎日新聞通信員)
 内容:八重山を語る (1) 八重山と私、八重山の新聞と出版文化(仮題)黒島安央さん
               (2)「TOAFAEC と八重山」(小林ぶんじん)
 会場:杉並区高井戸地域区民センター第 3集会室
     〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
     *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
〇終了後(21:00〜)忘年会:いつもの「イーストビレッジ」03-5346-2077
     *高井戸駅そば。環八・神田川傍マンションビル(裏側)1階、郵便局の前。
〇当日の連絡先:山口真理子(TOAFAEC 事務局)TEL090-1548-9595

2016年最後の研究会、右・黒島安央さん(八重山毎日新聞・通信員)−イーストビレッジ、161216−

★報告
 山口真理子(Sun, 18 Dec 2016 08:38)
テーマ:八重山を語る
参加者:小林文人,ハスゲレル,横山文夫,山口真理子,遠藤輝喜(忘年会)
内 容:先ずは例によって、文人先生がホワイトボードに、さらさらと八重山諸島の地図を書かれて、島々の位置関係を確認。
・黒島さんの自己紹介は、ご両親の出身が同じ石垣島でも間切り(村、字)が異なることから始まりました。間切り単位の地域が、その人の拠り所(アイデンティティー)なのですね。父上の(自分の)出身地は石垣市の新川、お母様の出身は宮良(メーラ)。秘祭と言われる宮良の「アカマタクロマタ」のこと。「宮良には480の唄があり、それを全部唄えることが若者が一人前になること」(小林)など、地図も見ながら、八重山独自の話題となりました。
・通信員を務めている『八重山毎日新聞』のこと。『琉球新報』と『沖縄タイムス』が、いわば沖縄“全国紙”ならば、こちらは八重山の地域紙。別に『八重山日報』も出ているが、八重山地方で多く読まれているのは八重山毎日新聞。いま八重山地方で最も問題になり、記事として大きく取り上げられているのは自衛隊配備の問題だそうです。
・東京には八重山出身者の「郷友会」が12。石垣・竹富の前述の「間切り」(集落)毎に活動しているそうです。親睦の集まりというだけでなく、強い共同体意識に支えられ、親島(出身地)の人口が少なくなっているところでも親島の祭りも郷友会によって成り立つなど、親島をサポートする独特の役目も大きいようです。
・参加者のお一人、横山文夫さんの質問により、八重山の言葉はユネスコが消滅の危機にあるとする国内8言語(アイヌ語、八丈語、奄美語、国頭語、沖縄語、宮古語、八重山語、与那国語)であることが説明されました。
・小林先生からは、東京学芸大学の「戦後沖縄社会教育研究会」時代から現在のTOAFAEC まで振り返ると、40年間の沖縄(社会教育)研究・八重山との交流に関わってきたこと。八重山については竹富島・与那国のフィールドワークが重ねられてきたが、地域・文化の古層には奥深いものがあり、完結した報告にはいたっていないことが話されました。
・忘年会(イーストビレッジ)には遅れて遠藤さんも駆けつけました。黒島さんは、八重山の写真集『来夏世(クナチィユ)』(小森一也、南山舎、2014年)を紹介、「世は稔れ」について独特の節回しの唄も披露されました。少人数ながらもいい忘年会となりました。黒島さんの更なるご活躍を期待いたします。


第233回(11月定例)研究会・記録
            小林文人(2016年11月8日)
 早いもので、今年も残すところあと2か月。皆さんには、お変わりなく、お元気のことと思います。
 11月の定例研究会は、久しぶりにドイツ研究者・谷和明さん(東京外国語大学名誉教授)をお招きして、お話を伺うこととなりました。振り返ってみると、私たちの研究会は、今世紀に入って、ドイツの成人・継続教育や社会文化運動に関心をもち、ハンブルク市のアルトナーレ(市民祭)に何度も出かけた経過があります。同行の故伊藤長和さん(副代表)や故石倉裕志さん(事務局長)のことが思い出されますが、すべて谷さんのご案内によるものでした。ドイツの動きを通して現代ヨーロッパの成人教育や文化運動に出会い、それとの対比で、東アジア的な社会教育の特徴を考えてきたようにも思います。来月開かれる日本公民館学会(12t月4日、会場・千葉大学)でも、谷さんは「戦後ドイツにおける地域センター施設発展史」について発表されるようです。
 今回の研究会では、ドイツについてまったく知見のない人にも分かりやすい基礎的なところから、また日本や東アジアとの関わりで特徴的な点についても、お話いただくようお願いしたいと思っています。お茶を飲みながらの雰囲気で、対談形式でドイツの市民大学や社会文化運動の動きについて学びあいたいという企画です。皆様のご参加をお待ちしています。初めての方も大歓迎!
〇日時:2016年11月25日(金)19-00〜21-00
 ゲスト:谷和明さん(東京外国語大学名誉教授)
 内容:ドイツの成人・継続教育、社会文化運動の動き(対談:聞き手・小林)
 会場:杉並区高井戸地域区民センター第5集会室
    〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
    *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
〇終了後(21:10〜)交流懇親の集い−会場:いつもの「イーストビレッジ」
    Tel 03-5346-2077。高井戸駅近く、環八・神田川傍のマンションビル(裏側)1階、郵便局の前。
〇当日の連絡先:山口真理子(TOAFAEC 事務局)TEL090-1548-9595
ゲスト・谷和明さん(高井戸、20161125)


★報告 (江頭晃子、Fri, 2 Dec 2016 22:00)
お話:谷和明さん(東京外国語大学名誉教授)
参加者:江頭晃子、小田切督剛、小林文人、佐々木一郎、瀬川理恵、松尾有美、山口真理子
内容:定例会では東京を含め東アジア関係の報告が多いのですが、久しぶりのヨーロッパ・ドイツ報告でした。最初に小林先生から、2000年に谷さんと2人で回ったドイツの旅と、21世紀初頭に数年続いたドイツ・ツアー(故伊藤長和、故石倉祐志お二人を含む多彩な参加)、そして当日の報告への5つの期待、@社会文化運動・アルトナーレの今、A市民大学(Volkshochschule)の現在、B新たな施設創造としての「多世代館」、CEU圏内での「社会教育」登場の動き、D東アジア・日本との比較、が話されました。
 谷さんからは、初心者のためにまずドイツと日本との大きな違い(連邦政府制度、小さな地方行政制度、下位から上位への地方自治、州ごとに異なる憲法など)について話していただいた後、公民館と市民大学の比較(施設数、職員、講座、運営形態)、社会文化センター(こちらの方がより公民館に近い)運動の実態へと続きました。
 社会文化センターは1970年代の「社会文化運動」の地域拠点、面白いところは、市民たちが自力で開設し自主管理を原則に運営していること、施設は旧工場など産業期の歴史文化財を保存活用していること、カルチャー事業の他に高齢者・子ども・女性などの福祉活動、そして市民運動・文化運動の拠点になっていること。運営形態は9割がNPOで職員の半分以上が市民ボランティア。運営財源は自治体により異なるが、公的補助が半分ぐらいとのこと。運営方法等のイニシアチブは市民にあり、部分的に補助金を出させているというイメージでしょうか。ついつい根拠法は?と問いたくなりましたが、それは無粋な質問でした。
 初心者への解説にやや時間が取られましたが、今回のメイン報告は「ドイツにおける地域センター施設の系譜」でした。教会・自治体公共施設・我々の館・社会福祉・飲食店と大きく5つの系譜で地域センターの歴史をたどり、中世から21世紀までどのように変遷してきたのかを、変遷図をたどっての解説。個人的には「我々の館」の系譜が興味深く、手工業者の同業会館から、啓蒙的市民結社の会館、読書サークル、労働者教育協会、民衆会館運動、文化館…そして社会文化センターへとつながっていきます。
 教会はもちろんですが、「場」が持つ意味への着目と、地域諸施設の歴史変遷からのお話には学ぶべきことが多いと感じました。あっという間の2時間。小林先生の5つの期待は2までしか進まず、続きを聞く機会をお願いすることになりました。とくに韓国研究フォーラムは、ドイツにみるヨーロッパ的特徴のお話から、韓国「平生教育」制度を解析する新しい視点・ヒントが見えはじめているようでした。
 終わっていつものイーストビレッジへ。谷さんの自分史、ドイツ研究への道を根掘り葉掘りききだし、珍しく歌も忘れた懇親会となりました。


第232回(10月定例)研究会・記録
           江頭晃子(Sat, 15 Oct 2016 23:20)
ご案内 
 <年報『東アジア社会教育研究』第21号・合評会>
      〜特集:東アジアにおける地域学習施設〜
 今年は予定通り、九・一八に『東アジア社会教育研究』第21号を発行しました。定例研究会(1995年スタート)としては第232回となりました。
 本年報の特集は「東アジアにおける地域学習施設」。住民の共有施設を学習空間に転換していこうという政府主導で動く韓国の「幸福学習センター」。地域課題に取り組むことを使命とし市民社会の実現を目指している学習施設と しての台湾の「社区大学」。青年たちの学び・集う場として新たに動き始めた中国の「少年院」、そして公立公民館(行政)と自治公民館(市民)の有機的なつながりが市民の自治(意欲)を育んでいる日本・松本市。社会・文化・政治の違いはもちろんありますが、それぞれの機能と重視する視点の相違を見ていくと、東アジア独自の胎動があり、新たな地域学習施設の可能性やアイディアが浮かんできます。
 特集だけでなく、毎年掲載してきた各国・地域の生涯学習「この1年」(今年は新たに日本・社会教育の一年の動きも追加)や実践報告。2本の沖縄「やんばる対談」、本誌発行日の九・一八と深く関わる「松花江上」物語などなど、盛りだくさんです。
 21号を読んでくださった方も、これから読もうと思っていらっしゃる方も、どうぞご一緒に「東アジア」的視点から「社会教育・生涯学習」を俯瞰し、これからのこと、私たちの課題を考えあってみましょう。きっと新たな発見!があるはずです。皆さんのご参加をお待ちしています。
○日時:2016年10月28日(金)19:00〜21:00
 内容:東アジアにおける地域学習施設 〜年報・第21号合評会
 お話:山口香苗さん(台湾)、呉世蓮さん(韓国)、内田純一さん(編集長)
 場所:杉並・高井戸地域区民センター 第3集会室
     〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
     *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)
〇終了後(21:10〜予定)交流懇親−21号お祝い・22号発行に向けて
       会場:いつもの「イーストビレッジ」Tel 03-5346-2077
〇 当日の連絡先:山口真理子(TOAFAEC 事務局)
◆第21号(1500円)の注文は→山口真理子さん(IZK07252@nifty.com)へ
 目次一覧→■

★報告  江頭晃子(Mon, 31 Oct 2016 23:05)
参加者(五十音順・敬称略):李正連、内田純一、江頭晃子、呉世蓮、黒島安央、小林文人、
     杉山拓也、武田拡明、山口真理子、山添路子、楊映雪、(懇親会から)遠藤輝喜。
内容:今回は、『東アジア社会教育研究』第21号の特集「東アジアにおける地域学習施設」について報告していただき、議論しました。最初に21号編集長の内田さんから、今回の特集のねらいと21号全体の内容紹介がありました。
 次に金銀慶(公州大学校講師)さんの「韓国における生活圏平生学習空間の拡張過程」を訳した呉世蓮さんから、金論文の内容紹介と現在の韓国の平生教育の現状についての解説がありました。続いて山口香苗さんから台湾の地域学習施設としての「社区大学」の特徴と、地域ごとの特性、台湾で論文をお願いする際の今後のお願い方法に関する留意点についても話しがありました。
 全員での議論の中では、生活レベルの地域・自治会的集落など地域共同体の有無、公的な公民館と住民自治施設との違い、地域に関わるときに教育・福祉・産業や祭り等の視点の重要性、地域学習施設に対する公的財政支出の割合、ヨーロッパ各地にみられる学校型教育から脱皮する生涯学習・市民の学びに対して、別の路線をゆく東アジア的施設などなど、各国・地域との比較論から話が盛り上がり、1次会はここまででタイムアップ。
 その後、イーストビレッジに場所を移し、初参加の3人の方=黒島安央(やすちか)さん(「学びリンク」、八重山毎日新聞・東京通信員)、杉山拓也さん(エイデル研究所、千葉大学出身)、楊映雪さん(東京大学研究生、華東師範大学出身)の自己紹介をしていただきました。沖縄の歌なども出て盛り上がった後、最後に大事な次年度年報・22号の編集体制の話となりました。
 22号は小林編集長が復活することになりました。ただし、集団編集体制を取ることが条件。中国・韓国・台湾・モンゴルの皆さまの副編集長参加をお待ちしています。次号の特集案については、語る時間ありませんでしたが、第1回の22号編集会議は来年1月27日(金)のTOAFAEC定例会を予定しています。皆様のご参加お待ちしています。
 また今回、年報(21号)46頁の表が文字化けしていることに気づきました。当方から入稿したデータは文字化けしておらず、現在印刷屋に理由を問合せ中、何らかの対処方法を考えたいと思っています。とりあえずはPDFで本来のデータを添付しました。
第232回定例研究会・懇親会(高井戸イーストビレッジ、20161028)



第231回(9月定例)研究会ご案内
          井口啓太郎(東京社会教育史研究フォーラム、Fri, 9 Sep 2016 10:55)
 <『大都市・東京の社会教育―歴史と現在―』出版祝いの会>
 『大都市・東京の社会教育―歴史と現在―』の反響が【南の風】にも寄せられ、編集に関わった一人としては本が拡がっていく嬉しさもありますが、今後はさまざまな評価も寄せられることと思います。多くの課題を残しながらの出版でしたから、それはむしろ当然のこととして引き受けながら、次のステップへの足掛かりにしたいものです。
 実はすでに「月刊社会教育」11月号での『大都市・東京の社会教育―歴史と現在―』を取り上げた座談会企画が先日開催され、井口も参加させていただきました。これから編集作業なので内容報告は「月刊」発刊を待ちたいと思いますが、ここでもいくつかの課題が指摘されたところです。
 また、秋には「大都市の社会教育・研究と交流のつどい」でもこの東京本を取り上げていただけるとのお話も聴いています。それぞれ楽しみですが、その前に、ようやくまとめた本書、まずは奮闘した関係者の労苦をねぎらい出版を祝う場、さらに言えば編集委員会、出版社、執筆者だけでなく、読者を含めて一同が集まり、発刊までの想いを語り合い、手に取った読者からも最初の感想をうかがえるような、そんな場を持ちたいとの声も。
 8月末、全国集会「この指とまれ」の集いもありましたが、執筆者への案内が十分ではなく、編集委員会と全国集会参加者での内祝いのような雰囲気でしたので、仕切り直して今回はTOAFAEC第231回研究会との合同企画として、編集委員会事務局で以下企画しました。
 はじめはちゃんと会場を確保した研究会をと思いましたが、予約が取れなかったこともあり、最初から馴染みの「イーストヴィレッジ」を貸し切り乾杯しつつ、と思います。どうかみなさまにはご了解いただき、多くの方々にお集まりいただきたいと思います。また近刊『躍動する韓国の社会教育』編集中の韓国研究フォーラムの皆様にもご参加いただければ幸いです。
・日時:2016年9月30日(金)19:00〜21:00
・会場:高井戸「イーストビレッジ」(レストラン)電話Tel 03-5346-2077  
               *いつもの区民センター会場ではありません。
     住所:杉並区高井戸東2-29-23-108 *井の頭線「高井戸」駅徒歩2分。  駅改札(1ヶ所)を
         出て右へ。歩道橋で環八を渡り、降りて線路をくぐる。神田川傍マンション(裏側)1階。
・内容:執筆者(梶野光信さん・東京都教育庁ほか)、関係者、読者「一言スピーチ」など
・会費:3,000円前後(学割あり)
・当日の連絡先:山口真理子(TOAFAEC 事務局)TEL090-1548-9595


東京本・出版お祝いの会、撮影・江頭晃子さん(イーストビレッジ、160930)


★報告
 橋田慈子(筑波大学大学院、Sun, 2 Oct 2016 13:16)
 <東京社会教育史研究フオーラム・第35回研究会と合同>、
○『大都市・東京の社会教育―歴史と現在―』出版記念パーティ
参加者(順不同・敬称略):小林文人、野々村恵子、横山文夫、上平泰博、山口真理子、高井正、
 梶野光信、小田切督剛、山添路子、江頭晃子、井口啓太郎、石川敬史(司会)、栗山究、橋田慈子
内容:2016年9月30日が発売日となる本書の出版を記念して、高井戸のイースト ヴィレッジで出版記念のパーティが開催されました。ご参加くださいました皆様、遅くまでお付き合いくださいましてありがとうございました。韓国生涯学習研究フォーラム(同フォーラム編『躍動する韓国の社会教育・生涯学習』エイデル研究所より来年春・出版予定)から小田切督剛さんが出席してくださり、およそ4時間にもわたって本書を巡る熱い議論が交わされました。
 まずゲストスピーカーの梶野光信さん(東京都庁)からのお話がありました。梶野さんは「行政評価」が導入されて以来、たしかに東京の公的社会教育は縮小してきたものの、同時に豊かなNPO活動が生まれてきた点を指摘されました。
 上平泰博さんからは、本書のオリジナリティは民衆の立場から社会教育史を描いた点にあることを確認されましたが、NPO 活動をそのなかに十分に位置づけることができなかった点が課題として残されているという指摘。さまざまのご意見は興味深いものがありました。さらに、小林先生からは、戦前、行政の範囲外にあった民衆による豊かな社会教育実践(隣保館やセツルメント、労働組合や協同組合など)への「大都市」らしい展開が見られたが戦後史としては、その視点からの研究取り組みがなかった点が心残りというお話しがありました。課題は残されましたが、次へのステップとなることへの期待が大きい!
 さて、「月刊社会教育」11月号には早速、本書を巡る若手メンバーの対談が掲載される予定になっています。本書と合わせて、多くの皆様にご覧頂ければ幸いです。宴もたけなわとなって、山口真理子さん、山添路子さんなどから味わい深い歌がいくつも出され、思い出にのこる夜となりました。
10時過ぎ遅れて参加した栗山究さん(奥)を歓迎して何度目かの乾杯!(100930)



第230回(7月定例)研究会・案内
  定例曜日変更     内田純一(Fri, 15 Jul 2016 04:08)
 <TOAFAEC年報21号・第4回編集会議(230回研究会)ご案内>
 ご案内がたいへん遅くなってしまいました。申しわけありません。『東アジア社会教育研究』第21号の第4回編集委員会(5月定例・第230回研究会)を開催します。すでに頂戴した原稿もあり、構成自体にも変更ありませんが、この間、編集長としての働きかけがほとんど止まってしまい、特集部分をはじめ進捗が大幅に遅れてしまっています。こうした状況も含め協議をしたいと思います。皆さまのご参加、お待ちしております。     記
にちじ:2016年年7月24日(日)13時30分〜17時
(1)13:00~15:00 第5集会室、(2)16:00~18:00第一和室
なかみ:年報第21号編集・進捗状況の確認と対応
ばしょ:東京杉並区・永福和泉地域区民センター  〒168-0063 杉並区和泉3丁目8番18号
    京王井の頭線「永福町」駅下車3分。井の頭通りを横断し右(明大前方向)へ150m。
    三浦屋の角を左折し30m。
れんらく:内田純一(090-9973-6179)

■報告 江頭晃子(Mon, 25 Jul 2016 22:03)
・参加者:内田純一、上野景三、小林文人、山口香苗、(遅れて:江頭晃子、山口真理子)
・内容:@21号進捗状況確認、A催促・原稿チェック・訳者分担、B編集スケジュール確認、C22号以降の編集体制について、でした。
 @Aは現在1/3が入稿済み、1/3が7月末までに入稿予定、残り1/3の確認・催促分担を確認しました。全体構成については別紙添付ファイルをご覧ください。エッセイ的な「ひろば」章の原稿を本論の方に入れたため、書評2本だけになってしまったため、2000〜3000字ぐらいで,8/5までに執筆してくださる方がいたらお願いする。
 B編集スケジュールは、今年は日本社会教育学会が 9.16の(例年より早い)ため、かなり前倒しとなる。8/5締切(8/15編集委員内最終締切)、編集者校正は8/26、27に設定(詳細は同じく添付ファイル参照)。
 C次年度22号以降の編集体制をなるべく早めに決めること。できれば21号発行と同時に学会で話し合えたら良い。毎号編集長を交代する案、メンバーを増やしていく方法を考えていくことを確認しました。
 ご参加された皆様、お疲れさまでした。江頭遅れての参加だっため記入漏れ等あるかと思います。ご指摘いただけましたらと思います。よろしくお願いします。内田さま、そちらにきている原稿、至急お送りくださいますよう、お願いします。
○第5回編集会議(校正作業)
・8月26日(金)18:00-21:00 杉並周辺
・8月27日(月)10:00-13:00 都心予定


第229回(6月定例)研究会記録
 案内
 小林文人(TOAFAEC 顧問)
 東京も梅雨入り、紫陽花の季節となりました。井の頭線の線路傍にも精気あふれる花の群落が美しい。あじさゐの精もらいたやTOAFAEC(ぶ)。
 「南の風」3672号(5月27日)ぶ欄でご紹介しましたが、東京学芸大学の卒業生で最初に社会教育の道に入った農中茂徳さん(その後は養護学校等で活躍、大牟田市在住)が、この6月『三池炭鉱 宮原社宅の少年』(石風社、2016年)を出版しました。少年時代の回想が、1960年・三池争議の時代とも重なり、自分史でもあり社会史でもある面白い本の誕生です。東京学芸大学の学生寮・雄辿(ゆうてん)寮の話も出てきます。
 本をかついで東京の友人たちに会いに来る、と聞いたので、私たち研究会の例会日程に合わせていただきました。当日は、高井戸区民センターでの研究会ではなく、直接に「イーストビレッジ」(いつもの懇親・交流会場)で開会。農中さんに少しお話いただいて、そのまま出版お祝いの乾杯を、という企画です。
 この席には、学芸大学時代の同窓生に出版記念パーティとしての案内が出ていますので、新しい顔ぶれも少なからず参加することになりそう。研究会の皆さんも、こぞってお出かけくださいますよう案内申しあげます。
1、日時:2016年6月24日(金)18:00〜21:00 *例会より1時間早い開会
2、会場:高井戸「イーストビレッジ」(レストラン)Tel 03-5346-2077 (区民センター会場ではありません)
  住所:杉並区高井戸東2-29-23-108 *井の頭線「高井戸」駅徒歩2分。駅改を出て右へ。
  歩道橋で環八を渡り、降りて線路をくぐる。神田川傍のマンションビル(裏側)1階。
3、内容:農中茂徳さんを囲む(出版祝賀会)
4,会費:3000円前後
5,参考:『三池炭鉱 宮原社宅の少年』に寄せて→ぶんじんホームページ
→■  
 https://secure02.red.shared-server.net/www.bunjin-k.net/essay2010.htm
第229回研究会(農中『三池炭鉱 宮原社宅の少年』出版祝賀会)左4人目に農中さん(高井戸、20160624)


報告  戸高(中村)きぬえ(Sun, 26 Jun 2016 17:35) *信州・上田市
 24日はお世話になりました。農中さんのおかげで、小林先生にお会いできてうれしかったです。さて、お申し付けいただきました記録をお送りします。研究会のメンバーのなかにお名前もフルネームがわからなくて苗字のみになっています。すみません。よろしくお願いします。(6月26日)
 <農中茂徳『三池炭鉱 宮原社宅の少年』出版祝賀会の報告>
              −6月24日・第229会研究会(高井戸)‐
参加者:小林文人、山口真理子、江頭晃子、関本保孝、栗山究(以上は研究会) 小笠原和彦、北村小夜(以上2名は農中さんの知人)、農中茂徳、小野木(秋山)みき子、安東(太田)桂子、箱守(中沢)憲子、永塚正博、松村茂治、山村澄子、戸高(中村)きぬえ(以上8名は東京学芸大学教育心理科1966年入学。
農中さんの同級生)
報告:著者・農中さんと、この祝賀会の生みの親である小林先生を中心にして、初見どうしの顔ぶれも交じる集いとは思われぬほど和やかに、そして深みのある話が続けられた。農中さんが選択した著作の中の一部分を、戸高きぬえが朗読。その内容にまつわる事柄についての、参加者たちからの掘り下げた話。農中さんの熱唱(「炭掘る仲間」)、小林先生、山口真理子さんによる心に染み入る味わい深い歌。
 農中さんは三池争議の歴史をテーマにした大学の卒業論文が未完であったと、当時の指導教官であった小林先生は言う。この著作はそれに連なるものだろうとも。「こども時代の回想、証言、宮原社宅で育った自分史が、そのまますぐれて希少な地域史となり、三池争議をはさむ激動の社会史の側面をもっている。(本の帯。小林文人記)」という今回の出版を経て、次には教師の実践記録をと、皆は切望した。そして参加者たちは、自身の「未完の卒業論文」にも思いをはせながら、すっかり夜更けた街を帰路に着いた。
中村きぬえさん朗読(農中『三池炭鉱 宮原社宅の少年』) -高井戸・160624-



第228回(5月定例)研究会・記録
ご案内  山口真理子(Sun, 15 May 2016 14:25)
 今年も、4月23〜25日、沖縄・名護市に行って参りました。
 24日(日)に名護(底仁屋)蔓草庵で、25日(月)に名護博物館で、2日に亘る「やんばる対談」を行いました。24日は、訪問側は文人先生はじめとする常連や、沖縄「おきなわ社会教育研究会」メンバーに加え、見城慶和・関本保孝両先生(元夜間中学教師),小林チヒロさん(写真家・夜間中学記録)が初めてのご参加。
 迎える側では島袋正敏さん(蔓草庵・主宰)など、ほとんどがもうお馴染みとなった名護市教育委員会の面々ですが、底仁屋公民館長(前)の島袋カズノリさん(正敏さんの弟さん、そっくり!)や見城先生の荒川九中時代の教え子・新崎さん(名護市真喜屋、オリオンビール)も見えて、蔓草庵庭のテントは今年も賑やかでした。
 テーマは「学校と地域」。学校と地域あるいは学校と社会教育が、どう関わっているか。チーム化した地域コーディネーター、わんさか大浦パーク、婦人会や子ども会など諸団体、宮城孝子先生(元保育士)とそのお仲間の「名護民話の会」の学校等への活動などが紹介されました。
 そして、特別篇とも言える夜間中学の歴史と現在の状況が、沖縄の事情をからめ、加えて元夜間中学生・新崎さんの証言も交えて話されました。
 翌日(24日に都合つかずご欠席の)宮城孝子さんに、あらためて「名護民話の会」のお話しを伺いましたが、実物の特大紙芝居を見せていただいたりして、興味深い対談となりました。
 この「やんばる対談」が、TOAFAEC第227回(4月定例)研究会となりました。第228回(5月定例)研究会は、そのご報告と総会に向けての会となります。どなたでも参加できます。お待ちしております。
            記
日時:2016年年5月27日(金)午後7時〜9時
内容:1、やんばる対談の報告 (1) 武田拡明(紙上報告)
                    (2) 小林文人「名護社会教育の歩み、民話の会の活動について」
    2、2016年総会(6月4日)に向けて―TOAFAECへの期待、課題 
会場:杉並・高井戸地域区民センター第3集会室
  〒168−0072杉並区高井戸東3−7−5 TEL 03−3331−7841
   *京王井の頭線「高井戸」駅下車3分(環八を渡ってすぐ)会場案内板には「地域と教育を考える会」
    と表示、ご留意ください。連絡:山口へ

報告  江頭晃子(Mon, 6 Jun 2016 23:32)
      参加者:江頭晃子,小林文人,山口真理子
 『東アジア社会教育研究』誌では2010年から「やんばる対談」を掲載し、名護社会教育との交流を深め、歩みを定点観測しつつ、新しい視点からの再発見を続けています。第21号(2016年9月発行予定)に掲載予定の「対談」第8回も、4月24日〜25日に名護で開催されました。当日の様子については武田さんからの紙面レポートがあり、小林先生からは今回の対談の面白さと、名護の社会教育の歩みから見えてくること、の報告がありました。
 沖縄社会教育との出会いは、1976年上野で開催された社会教育研究全国集会(社全協)東京集会に、社会教育主事講習を受けに来ていた上原文一さん(具志頭村・当時)が訪ねてくるところから始まります。同年9月に上原を学芸大学に招んで第1回「戦後沖縄社会教育研究会」開催(末本誠事務局長)。『沖縄社会教育史料』が77年に創刊、87年まで7集までまとめ、その間幾度にわたる訪沖からつながりは拡がり、88年の『民衆と社会教育』、更には02年の社全協名護集会開催、『おきなわの社会教育』刊行へとつながっていきます。
 名護の社会教育の着目点として、小林先生が話されたことの中から印象的だったことのみ挙げると、「三多摩テーゼとは対極にあること」「復帰から本土並みを目指すのではなく、その格差から沖縄の価値を見出す“逆格差論”の視点」「人々が暮らす生活の共同体としての基層となる集落が生きていること」「博物館・図書館の重視」「施設職員だけではなく、地域に社会教育主事を配置」「職員集団が世代的に重層していること」などです。また、今回の対談の中心となった「名護民話の会」の活動と、行政・大学・市民組織・図書館・博物館・学校・市史編纂室などが円になってつながっている図を書かれました。それぞれが独自の必要性を感じて役割を担いつつ、他機関・活動とつながっていくことで更に力動的に動き出す、そんなイメージが湧いてきました。


第227回TOAFAEC 定例研究会→2016 やんばる対談(名護・4月24日)→■
              →「東アジア社会教育研究」第21号に対談記録を収録・予定
やんばる対談の夜、懇親・交流会 (名護市中央公民館、20160424) 山城千秋提供  −いずれも敬称略
 後列・左より、比嘉久(名護市博物館長)、島袋一平(社会教育係長)、佐久川純(同課長)、新崎廉文(オリオンビール)
宮城満(元名護市図書館)、山口真理子(TOAFAEC)、武田拡明(川崎)、比嘉ひとみ(名護市中央図書館長) 前列・左より
見城慶和(夜間中学・えんぴつの会)、中村誠司(名桜大学)、小林文人、島袋正敏(蔓草庵)、関本保孝(夜間中学)





記録・・TOAFAEC 定例研究会1(第1回・1995年〜)→■
  TOAFAEC 定例研究会9(第227回・2016年4月までの記録)→■


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