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自治公民館・小地域の学習活動と地域づくり−分科会記録(2)
  −第44回(2004福島猪苗代)・第45回(2005
福岡)全国集会−
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     <全国集会・分科会記録>                 
     (1)全国集会分科会(2002年・2003年)記録→■ 
      
(2)*2004年及び2005年度集会→本ページ
     (3)2006〜2009年度集会・分科会記録→

            <関連>
             
*京都「ろばた懇談会」、川崎・横浜・松本について→■
            *沖縄・字(集落)公民館・資料→■
            *八重山・公民館憲章関連
            *沖縄・字(集落)公民館研究→■


 <目次T 2004年・福島猪苗代
        
*下掲(本ページ)は後半部分 *前半→■
 
1,問題提起と討議の柱(美若忠生)
2、実践報告
  (1)松本市神田町会のボランテイア活動(永野幸男)
  (2)岩手県川崎村における自治公民館の展開について(千田浩一

3,報告:自治公民館(集落・小地域活動)の可能性を考える(小林文人)
4,第19分科会報告・社全協通信194号(遠藤知恵子)
5,第19分科会報告・討議のまとめ(美若忠生)


 <目次U 2005年福岡市
1,分科会合同世話人会(2月6日、福岡):全国集会へ向けての準備
2,第19分科会・主な討議の内容(大会要綱)、討議の柱(大会資料)
3,実践報告1,町内公民館のてびき・実践集の発行(松本市・高木宏之)
4,実践報告2,みんなで作り上げた七夕まつり(松本市・三村伊津子
5,実践報告3,「小倉東地区はひとつの家族」が目標(春日市・来田富士雄)
6,
討議のまとめ(美若忠生)







 <目次T 2004年・福島県猪苗代町 月28日〜30日>
 自治公民館・小地域の学習活動と地域づくり
  −第44回(2004年)社会教育研究全国集会・分科会関連−

 


1,問題提起と討議の柱(美若忠生)


 
第19分科会:自治公民館・小地域での学習活動と地域づくり

1 これまでの経過
 「自治公民館・小地域での学習活動と地域づくり」分科会は、名護集会、岡山集会に続いて3回目である。
 名護集会では、沖縄の現地で字公民館の優れた実践に学ぼうと発意され、同じく優れた地域活動を創り出してきた長野県の実践がこれに加わったが、この報告と討議は、2つの点で波紋を広げた。1つは、自治公民館の活動方式と長年にわたる実践によって培ってきた住民の自治的諸能力は、地方分権・地方財政の逼迫と行政の合理化に対応する地域の自立的発展を考える上で極めて重要な位置を占めるであろうということ。2つは、全国各地に自治公民館や同方式(或いは自治的に運営される公民館)がありながら、その実践を確かめ、継続して研究討議する場がほとんど無かったことに気付かせたことである。
 岡山集会では、自治公民館の活動と小地域での学習活動を同じ土俵(俎上)にのせることとし、農山村、地方都市と共に公民館の無い横浜市での小地域学習の実践も報告された。
 そこでは、自治公民館・小地域での学習活動は暮らしを支え地域の自立を希求する文化的風土をはぐくむものであり、改めて、住民が日常生活圏で交わり・祭りや行事を行い・自治とは何かを自らに問いかけつつ課題解決に向けて取り組むことの重要性を認識させるものとなった。
 しかしまた、市町村合併、行政の統合・合理化の中で、「自治公民館・小地域での学習活動と地域づくり」が、行政施策上どのような位置を占め、公的社会教育の全体像をどう描いていくか等にも関心が寄せられながら討議を深められなかった。

2 今集会での課題
 私たちは、この分野での各地の経験を互いに学び、もっと豊かにしていかなければならないと考える。岩手県川崎村の実践、長野県松本市神田町会の実践から、その経験を学び、共通の財産にしたい。
 私たちはまた、各種の研修や研究集会の場で語られることの少なかった「自治公民館・小地域での学習と地域づくり」の今日的な意義を、歴史的経過も踏まえて学べる機会にしたいと思う。小林文人世話人による特別報告を予定した。
 そして時間の許す限り、今日の厳しい合理化に抗して、住民と職員等が力をあわせてどのような公民館(体制)や地域社会教育を創りあげていけばよいのかについて、語り合いたい。

3 今後に向けて
 この分野での実践は、各地に優れた取組みがありながら、まだまだ掘り起こして共通の財産にするところまで至っていない。
 そこで、向こう2年間を目途に実践を発掘し、必要な検討を加えて冊子としてまとめようではないかと提案したい。
 当分科会の今後のあり方についても積極的な意見や提案を期待している。

 


2,実践報告

(1)松本市神田町会のボランテイア活動
           安心ネットワークほたるの会    永野 幸男
  
 はじめに
 私たち神田町会は、松本市の東南に位置し、戸数640戸、人口1,674人(男831人、女843人)で松本市の中でも大きな町会であります。以前は純農村地帯で、戦後までの戸数は約100戸、戦後の宅地化で現在は戸数で6倍となっております。町会の1/3は田園で、春は田植え、秋は子ども会のかかし祭り等が日本アルプスの山並みにマッチした環境の良い町であります。
町内には、@あけぼの会、A白梅の会、B白うさぎの会、C関とり会、Dひまわり号、E弘法山古墳を愛する会、Fおんなじ空ネツトワーク、G安心ネットワ−クほたるの会、H千鹿頭の環境と緑を守る会の9つのボランティア団体が活動しております。

1 高齢化の進展の中で
 急速に進む高齢化社会の中で、当町会の高齢者は343人(65歳以上)高齢化率約20.5%、ひとり暮らしの老人の方は15人となっております。
 福祉日本一の町づくりを目指している松本市の広報や「福祉の青い鳥を求めて」のパンフレット、また庄内地区福祉ひろばで開催されます「福祉を語る集い」等で学んだことを、行動に移そうではないかという声が高くなってまいりました。
 そこで私たちは、最初の活動として「困ったときちょっと手を貸して」というお年寄りのニーズに応えるため、ひとり暮らし老人の方を対象に、行政では手の届かないところのお手伝いをさせていただきながら、町の中に小さいながら優しく温かなホタルのような明かりを広く灯そうではないかと考えました。

2 安心ネットワークほたるの会誕生
 袖田町会のボランティア団体の有志が発起人となり、平成13年1月にボランティアの会員を募集しましたところ、個人、法人合わせて26名の多くの賛同者が集りました。会員には「大工さん」「水道屋さん」「ガス屋さん」「看護師さん」「土木建築屋さん」などの特殊技能を持った人、また職業柄「パソコン」「ワープロ」の熟練の方など様ざまな経験豊富な方が集って「安心ネットワークほたるの会」を結成することができました。
 結成総会では会則、役員の決定、活動計画を決めながら「ボランティアについての基本的な考え方、@自発性、A無償性、B公益性」「できることから始めよう」を全員で確認し、講師として「松商学園短期大学」(現松本大学)の白戸先生から「ボランティア活動にあたっての地域通貨の役割」について、対話集会の形式で勉強会を開きました。このような話を基礎にしながら「ほたるの会」のメインテーマであります「住んで良かった神田」「優しい町神田」の町づくりを目指して「安心ネットワークほたるの会」のスタートとなりました。
 具体的な当面の活動としては、「できることから始めよう」の計画に沿って、ひとり暮らしの老人を対象に次の支援活動を始めることにしました。
 @ 冬期の雪かき作業
 A 水道の修理と凍結による破裂漏水工事
 B 居間等の障子張り替え
 C 雨どいのつまり防止
 D 庭木の剪定、枝払い、草刈り
 E 電気製品の簡単な修理等
 F ドア窓の不具合修理 他
 神田町内へは回覧板により「安心ネットワークほたるの会」の活動計画、またボランティアの会員募集も含めて神田町内640戸への周知を行いました。

3 地域通貨の発行
 このような活動をする中で、ひとり暮らしのお年寄りから「お礼を何とかしなければ」ということが感じられましたので、早速結成総会時に来ていただいた白戸先生からお話しのあった「地域通貨」を発行しなければいけないと考えまして、「安心ネットワークほたるの会」用ボランティア通貨を発行する作業に取り掛かりました。この地域通貨は、ひとり暮らしのお年寄りの家にボランティア活動に出向いて作業が終わったときに、手間代としていただくものです。要は、ひとり暮らしのお年寄りが気を使うことなく、また私たちも気を使わせないようにするための通貨です。
 この通貨のデザインは、神田の地方色があって、ほたるの明かりがともるようなもの、お年寄りが一目で分かるようにとの願いを込めて、神田の伝統芸能でもあり、我が神田千鹿頭神社の7年に1度の御柱祭の里引き風景の写真を取り入れて発行しました。金種は100、500、1,000、5,000縁(円)の4種類を作りました。また、お年寄りがいつでも分かるように、財布替わりとして通貨袋を用意しました。
 手間代はボランティア1時間当たり500縁(円)としました。ただし、材料などの実費代は500円以上のものについては、その実費代をいただくこととしました。また、万が一、ボランティアが活動中の時、けがをしたり、他人にけがをさせてしまったり、他人の物を壊してしまった場合も想定されますので、ボランティア保険に入ることにしました。

4 ボランティア団体への協力
 私たちほたるの会は、他の「ボランティアグループ」のお手伝いをすることがあります。例えば社団法人シャンテ国際ボランティア会が東南アジアのミャンマー(ビルマ)の難民キャンプの人たちに冬物衣料を贈ろうと活躍しているボランティアグループ「おんなじ空ネットワーク」があります。
 一万着を目標に衣料を集めて送るのですが、そのために衣料の仕分けや梱包が必要となります。私たちほたるの会も賛同し、衣料をそれぞれ持ち込みながら仕分け、梱包作業のお手伝いをさせていただきました。このようにボランティア同志が協力しあって活動する場合もあります。このような交流を通してさらなるボランティア活動の手法を学ぶとともに、国際的な情報を得ることもあります。また、カンボジアの子どもたちに小学校を贈る資金づくりのため、書き損じ葉書の収集協力もしております。

5 お年寄りの憩いの場づくり
 神田町会で一番古い建造物は薬師堂で、正平20年(1365年)今から650年前の室町前期の創建です。明治10年に無住化となり、この間尼寺「紫雲庵」となり、変遷を得て時には神田村の集会場となり、村人の心の拠り所となった時期もありました。時代とともに老朽化が激しくなり無人の廃墟となっていました。
 この建物を解体するか、改築するかを平成4年の町会総会で検討した結果、高齢化が急速に進む中、改築してお年寄りのお茶のみ会の場、健康づくりの場、生涯学習の場として改築することになりました。建造物の面積は30.5坪(100.7u)であります。名称も歴史の名を留め「紫雲庵(第二公民館紫雲庵」としてお年寄りの憩いの場、また公民館として活発に利用されております。
 松本市の福祉ひろばの開設が平成7年4月ですから、それより早い平成5年に福祉ひろばと同じ構想のもとに運営されておりますので、大変誇りに思っております。

 おわりに
 終わりになりますが、ボランティア活動の基本であります、「すべての人にとって、より良い社会」にするにはどうしたら良いのか?
 ボランティアは自主的、自由な意思に基づいた「奉仕活動」であることを常に考えながら今後も項張ってまいりたいと思います。



(2)岩手県川崎村における自治公民館の展開について
                   岩手県川崎村教育委員会社会教育課
                       社会教育主事 千 田 浩 一

1.川崎村の概要
 川崎村は岩手県南部に位置し、面積は約42平方キロ。昭和31年に2村が合併して誕生しました。現在人口は4,702人。温暖な気候を活かし、稲作のほか野菜や果樹栽培が盛んです。また、川崎村は北上川など3つの1級河川が合流する地点にあることから、水害の常襲地であり、現在、治水事業が行なわれている一方、「Eボート大会」など川を活かした村づくりも進められています。昨年には、国道のバイパス化に伴い、道の駅がオープンし活況を呈しています。
 川崎村の教育施設は小学校2校、中学校1校となっており、幼稚園、高校、大学などはありません。また、社会教育施設はその中核施設として、平成10年12月に川崎村生涯学習ステーションが建設されました。ステーションは、村立公民館、村立図書館、ホールなどの複合的な施設。図書館は住民一人あたりの年間貸出冊数が37.4冊と全国6位となっています。また、村立公民館は年間約26,000人が、図書館を含めたステーション全体では年間約58,000人と多くの方に利用いただいております。

2.川崎村における自治公民館のあゆみ
 本村では、昭和44年に、それまで村立公民館の分館とされていた集落公民館(施設は各集落有)を自治公民館(公民館類似施設)として位置づけ、その整備のため経費の一部を教育委員会から補助し自立を図りました。(施設は22館)。
 そして、昭和45年、自治公民館長会議(ここではまだ単なる施設の管理人の意味)において「あすの川崎村を築く住民活動」(※注1)を推進するため「自治活動の組織と運営」(※注2)構想が提案されました。
 昭和49年には、自治公民館長研修会において「集落自治活動を推進する自治公民館の具体的な提案」(※注3)がなされました。
これを受け、各集落内で話し合いが続けられ、合意出来たところから規約を整備し、組織としての自治公民館が成立していきました。
 さらに、昭和53年に首長部局である農林行政の施策として「集落会議設置要項」が示され、このことで特に自治公民館として組織化されていなかったところも、一斉に組織化することとなり、現在の26の自治公民館が成立します。しかし、このことはのちに課題を残すところとなりました。

(注1)「あすの川崎村を築く住民活動」とは、崩壊してゆく近隣社会の連帯性、人間性の回復を図り、新しい地域社会を築くこと。つまり「新しいコミュニティづくり」を目指したもの。また、住民が自らの社会に関心を持ち、当面する共通課題を掘り起こし、その課題解決や目標達成に向け行なう実践活動のことを指す。
(注2)上記のことを目指し図1(略)のような運営組織が提案された。
(注3)第1回「明日の川崎村を築く住民研究集会」が開催され、具体的な成果として自治公民館のモデル規約が示された。

3.自治公民館の目的
 本村の自治公民館は前述のような経過を踏まえ展開されてきたわけですが、その目的は「あすの川崎村を築く住民活動」です。その実践主体となるのは住民であり、自治公民館です。
(1)地域連帯意識の高揚
 生活の多様化が進み、地域の連帯感が薄れつつあります。そこで、新しい地域の連帯感(コミュニティ)形成します。
(2)学習活動と実践活動の推進
 課題解決のため、集落ぐるみの学習と実践活動の体制づくりを進めます。
(3)住民自治意識の高揚
 行政に対する要求、依存の姿勢から住民が主体的、積極的に地域づくりに取り組みます。

4.自治公民館の事業
(1)共同学習・共同実践
 川崎村では、昭和44年に村立公民館が設置されて以来、自治公民館を推進する一方で各リーダーの養成、研修講座を開設して参りました。また、自治公民館単位では、そのリーダーを中心にして、それぞれの集落で自分達の施設に集まって話し合い、学習、実践という(自治会学級講座の開催)活動が行なわれてきました。
 現在でもこの方策にのっとって展開されており、26の自治公民館全てで自治会学級講座が開催され、昨年度は72講座実施され延べ2,966人の方が参加されました。その内容は、お茶、生花といった趣味的な内容から、防災、交通安全といったもの、スポーツなど多岐にわたります。近年、特徴的なものとしては「EMを活用した環境学習」です。現在では全村的な取り組みに発展し、河川などの水質改善運動など展開されています。
 また、このような活動に際し、村立公民館では講師の紹介や謝金の助成のほか運営に関する助言指導などを行なっておりますが、運営は各自治会公民館が主体的に行なっています。
(2)集会
(3)啓発・広報
(4)連絡調整

4.運営と管理
(1)運営体制
 それぞれの自治公民館では各事業を分担した部門(○○部)のいずれかに所属し、みんなで役割を分担し、お互いの知恵や特色を出し合い運営されています。施設や組織の管理運営もそれぞれが主体的に行なっています。
(2)財政の確立
 提唱当時、自治公民館の財政上の負担をめぐり、住民負担と公的負担と大きく2つの方向性で議論されました。結果、本村では昭和44年度から、自治公民館整備事業(新築、改築)に対し、補助金を交付する施策がとられているほか、一部運営費にも助成されておりますが、活動費の大半は会費などにより運営されているのが現状です。
 また、平成15年度からは村部局で自治会活性化補助金を新設。自治公民館(自治会)への支援を行なっています。

5.これからの課題と期待
(1)自主性、主体性の再検証
(2)市町村合併
(3)開放性
(4)自主防災組織としての期待
(5)人がいない現実
 本村の社会教育行政では、その目標のひとつに「住民自治能力の向上と新しいコミュニティの形成」を掲げております。その実践主体は住民であり自治公民館(自治会)です。住民自治能力は、住民が自らの社会に関心を持ち、地域社会について学び当面する共通課題を掘り起こし、その課題解決や目標達成に向けて責任と役割分担していく能力であり、この連続した行為の中で涵養、育成されるものです。
現在、本村は社会の多様化や少子高齢化、また市町村合併など住民を取り巻く環境は大きく変化しており、実践主体としての自治公民館(自治会)の役割は益々重要になると考えております。そのためにも活動の理念が広く理解されていくとともに、これまで培ってきたものを基礎にさらなる発展を期待するものです。(添付図・略)

               



3,報告−理論的整理
(レジメ)
 自治公民館(集落・小地域活動)の可能性を考える  
                 小林 文人(2004/08/29)
                                             
1,自治公民館とは・・・
 ・類似公民館、部落公民館、分館、町内公民館、字公民館など−*集落公民館
 ・統計−全国に5万以上、全公連資料(76,833?)
 ・自治公民館の形成史 (1)公民館初期構想(寺中構想)1946〜
                (2)1960年代・地域変貌・地域再編のなかで・・・
                (3)鳥取県倉吉市−1959〜
                (4)県・市町村(行政主導)の「自治公民館」振興策
2,公立公民館と自治公民館
     ・戦後初期−集落施設を「公民館」として位置(条例化も)
     ・社会教育法−公立公民館の設置(第21条、第42条・類似施設)
     ・公立公民館(施設・職員)条件整備の課題
     ・東京「新しい公民館像をめざして」(三多摩テーゼ、1973)の公立主義
3,自治公民館論争・宇佐川満編『現代の公民館』(1964)−朝倉秋富・友松賢氏など
             ・小川利夫氏の批判「自治公民館の自治性」「自治公民館方式の発想」
                       *『月刊社会教育』1963年3月号、65年8月号など
             ・福岡・公立公民館「合理化」と自治公民館問題(1970年代)
            *関連−京都「ろばた懇談会」(ろばこん 1967〜1978)評価をめぐって
4,三つの“常識”への挑戦
  −集落(ムラ、シマ、マチ、小地域)をどうとらえるか−
 (1)近代化・都市化論、地域の変容・崩壊論 →集落は変わり残る
 (2)古い共同体論、集落の支配・統制・行政従属の側面 →集落の二面性
 (3)地方自治体、地域自治組織の自治性について →あと一つの自治
5,集落・コミュニテイの再生と発展のために(視点)
 (1)人と人の関係性をどうつくっていくか
 (2)地域の課題の発見と共同 
 (3)集落をこえる拡がり
 (4)生活のなかの学び(生活知、地域知)
 (5)公立公民館(職員)等の役割、行政の支援  
 (6)地域の文化(祭り、芸能、行事)のもつ意味




4,第19分科会報告
 自治公民館・小地域での学習活動と地域づくり
      
(社全協通信194号、-2004年9月29日)
               
遠藤知恵子(北海道浅井学園大学) 
         
 産業構造の変化で地域社会が大きく変化し、長期化する不況を背景に市町村合併の議論が吹き荒れているなか、今わたしたち一人ひとりの自治能力が問われています。小地域における生活の場からの学びのあり方を問うこの分科会は、まだスタートして3年目の若い分科会ですが、「自治能力の形成」という社会教育の最も今日的で基本的な課題に迫り、その学びの道筋や条件を明らかにする役割を担っている分科会ではとの感想をもちました。
 小地域における学びは、その特性に応じた道筋が考えられる必要があります。今回の実践報告は、過疎化、高齢化で地域社会の存続の危機に見舞われ、自治公民館を核として地域再生をはかる東北地域・岩崎村の事例、学びの蓄積の上に、町会レベルで生活を守る多様なボランテイア活動が組織化されてきている松本市の事例報告を中心に、さらに人々が孤立化を深める大都市圏や、見捨てられがちな低所得者層の多い地域、自治組織としてのシマ社会を維持している沖縄の事例などが持ち込みレポートとして紹介されました。まさに地域により多様な展開を示している事例です。それらをふまえて小林文人先生による自治公民館の理論的な整理も受け、分科会では次のことが確認されました。
 社会的に排除されがちな人々も含め、日常的な生活の場で支えあう組織やそのための「学び」をいかにして創り出していくか、それらを支えていくリーダーや社会教育職員の果たすべき役割、公的社会教育(公民館)の役割は
何か等々、「公共性」「専門性」の視点で問い直していく作業が必要であること。来年度に向けては、この3年間の分科会報告を中心に、より理解を深めるための具体的な資料や先進的な事例を収集して共有し、仮説的にでもそれらを整理した上で課題提起を行っていくことが宿題として提案されました。来年の議論の深まりが楽しみです。




5,第19分科会 自治公民館・小地域での学習活動と地域づくり
            −ねらい、レポート、討議、これから(まとめ)−
                                美 若 忠 生
1 分科会のねらい
 当分科会は、名護集会、岡山集会に継いで3回目である。各地の実践事例に学ぶこと、歴史的経緯も含めて自治公民館・小地域での学習活動の意義や課題を学ぶこと、発展の方向を語り合うことをねらいとした。参加者25名と県職員3名が午前中参加。

2 岩手県川崎村における自治公民館の展開について(千田浩一氏)
 人口約4700人、自治公民館26の川崎村の自治公民館が、どのような経過をたどって整えられていったかが、よく整理されて報告された。
 自治公民館のめざすものを、@新しい地域連帯感の形成、A課題解決のための集落ぐるみの学習と実践活動、B住民の主体的、積極的な地域づくり(行政依存からの自立)においている。
 運営の特徴は、@自治会学級主事を1〜3名おき、平均3学級を開設している。(内容は、趣味の教室から防災、スポーツ、環境学習まで多彩。特にEMを活用した環境学習・実践は全村的な水質改善の取組みへと発展している)、A運営は、みんなで役割を分担し、知恵や特色を出し合って運営している、B教育委員会からの助成とともに、村長部局も自治会活性化補助金を新設し、活動を支援している、C活動費の大半は住民の会費(1人住まいでも年間1万円程度になる)などで運営されている。
 課題は、継続する事業が多く、形骸化も感じられること、若者を取り込むことがむつかしいこと、全体として地域活動の低迷とこれに対応する主事の意識や力量を高めることだという。また、合併する町村に自治公民館がないことへの対応も課題である。

3 松本市神田町会のボランティア活動(永野幸男氏、宮澤常次氏)
 神田町会は、640戸、1674人の松本市でも大きい町会で、9つのボランティア団体が活動しており、その内の3事例が報告された。
 一つは、「安心ネットワークほたるの会」で、ひとり暮らしの人の“困ったときにちょっと手を貸して”というニーズに応えて、冬期の雪かき、水道の修理、障子の張替え等の活動を行っている。会員は、個人・法人合わせて26人、さまざまな特殊技能や熟練した技を持つ人も多い。お年寄りの「お礼をなんとかしなければ」という気遣いを受けて、500縁(円)、1000縁(円)、等の地域通貨も発行する。
 二つは、「千鹿頭の緑と環境を守る会」で、県と市が千鹿頭山周辺を整備したのを受けて町内14団体(木遣り長持ち保存会、関とり会、小・中PTA、農家組合など)で結成し、遊歩道の点検整備と公衆トイレの清掃は輪番で週2回行うほか植樹や下草刈りを実施して、ふるさとの山の緑と池の水は自分たちで守ろうと活動している。
 三つは、カンボジアの教育支援を中心とする国際ボランティア「おんなじ空ネットワーク」で、プノンペン南部への学校建設、子どもたちを招いての夏祭り・交流などの報告であった。国際的な視野を持つ子どもが地域に育つことを願っているという。
 町内公民館とボランティア活動の関係を質問され、「私たちの活動の根っこには町会という身近な地域があることが特徴です。だからこそ、ボランティア活動を通じて町会住民の気寄りが良くなり、結果として町会の活動が活発になっていると考えている。活動はボランティアであっても、本当のねらいは地域づくりなのです」という考え方を述べた。

4 3つの当日レポート
 持込資料や報告として、次の3つがあった。
 一つは、横浜市磯子区の報告(伊東秀明氏)で、地域を重視する学習活動へ切り替えて、@現在約40グループが活動を始めたこと、学習交流会など情報交換・連携があること、A区内のケアプラザ、コミュニティー施設を学習活動の拠点として位置づけられないかと模索中であり、福祉・コミュニティー担当者との連携も進めていること、B学習グループを基盤にNPOを立ち上げ、「公民館主事」を育成したり公的施設の指定管理者となる方策はないか模索中、C大都市でも狭い地域の学習を大切にしたいこと、パソコンによるオンラインの街づくり=パソコン仲間が広がっている、という報告。
 二つは、貝塚市の報告(松岡伸也氏)で、NPO法人での活動。集合住宅地域で単親家庭の多いところがあり、子どもたちが社会とどうつながっているか気に掛かったが、その地域に入れず、隣の超高齢化の地域で活動を始めた。夏祭りやクリスマス会を企画した。子どもたちだけでなく周辺の人たちも集まってきた。若いお母さんと高齢者のつながりもでき、次第に広がっていった。当初は入れなかった集合住宅とのつながりもできた。公民館と違う形で地域活動ができている、というものであった。
 三つは、沖縄県の「シマ社会」についての報告(中村誠司氏)で、これは、字区(公民館)を中心に地域性豊かな文化があり、人々の連帯があり、地域の暮らしに目を向けた地域誌づくりが取り組まれる背景を、国頭村奥集落を事例に報告された。
 奥集落には共同売店があり、100年を迎える。今は、特産のお茶を製造し流通に乗せるのも共同店の仕事。沖縄戦の記念碑を建てるところが多いが、奥は「共同」と刻んだ。奥に鯉のぼり祭りがあって村のみんなが出て運営に当たる。お婆は博物館の入場整理に当たるというふうに、、、と、地域社会を自ら運営する姿が報告された。

5 小講義「自治公民館(集落・小地域活動)の可能性を考える」(小林文人氏)
 我々の実践の意義、位置づけや展望を探る上で必要と考えて、小講義をお願いした。
 戦後初期公民館、地域変貌の中での自治公民館の誕生、これをめぐる自治公論争(画一的指導から行政伝達組織になりやすく住民自治にどうつながるかが見えてこないという評価が強かった)にふれつつ、自治公民館は、地域の連帯意識、相互扶助意識、地域の文化を大切にして、大変大事な課題に挑戦してきたのではないかと感じると述べ、今、基礎的集落での自治の獲得という課題の見えるところまで来つつあることを指摘した。
 また、地域は大事な形で残るもの、新しく豊かにするという視点が大切で、集落を行政の支配や拘束性だけで見るのでなく多面的に見ることの必要性をこの分科会は獲得しつつあるとも指摘された。
 学びは生活の中で課題があるから在るもの、生活地域での活動を通した学びが非常に大切であること。同時に、情報ネットワーク、NPO、行政も含めてどういうふうに開いていくか、公立公民館はどうかかわりを持つか、行政はどう支援していくかなど、たくさんの課題があることも述べられた。

6 来年に向けて
 自治公民館、小地域での学習活動と地域づくりの様々な活動が報告され、住民の自治と地域の自立という課題を乗り越える上で自治公民館・小地域での学習活動の重要性について理解を深めることができた。しかし同時に、今日、都市で農村で自治公民館・小地域での学習活動を進めることの意味そのものを整理しておく必要があり、市町村合併・自治体の広域化の問題等と共にこの分科会が投げかけられた課題も多く、もう一度世話人集団を中心に課題自身を整理しようではないか、ということになった。
 当まとめは、むしろ記録に近い形とした。








 <目次2 2005年福岡市
 ■自治公民館・小地域の学習活動と地域づくり
  −第45回(2004年)社会教育研究全国集会・分科会関連−

1,分科会合同世話人会(2月6日、福岡):全国集会へ向けての準備
2,第19分科会・主な討議の内容(大会要綱)、討議の柱(大会資料)
3,実践報告1,町内公民館のてびき・実践集の発行(松本市・高木宏之)
4,実践報告2,みんなで作り上げた七夕まつり(松本市・三村伊津子
5,実践報告3,「小倉東地区はひとつの家族」が目標(春日市・来田富士雄)
6,
討議のまとめ(美若忠生)




第45回社会教育研究全国集会へ向けての準備

1,分科会名;『自治公民館・小地域での学習活動と地域づくり』
2,代表連絡先;氏名 美若 忠生
  〒708−0511岡山県苫田郡鏡野町羽出164−2(3月1日以後)
  Tel&fax :0868−52−0739 (留守電fax共)
  E-mail: miwaka-t@mto.town.okutsu.okayama.jp
3,分科会世話人:小林文人、星山幸男、遠藤知恵子、松岡伸也、伊藤秀明、
           矢久保学、柚野裕正、島袋正敏、美若忠生、垣内よし子、山城千秋
4,定例研究活動:@美若世話人が連絡担当となっているが、研究活動には至っていない。
  A小林文人世話人のホームページに、関係資料を保存・公開している。
  http://www007.uppso-net.jp/bunjin-k/
  「自治公民館・小地域学習研究」「全国集会・分科会記録」(本ページ)
5,分科会の成果:当分科会は、沖縄集会、岡山集会、福島集会と3回を重ねた。福岡集会で 分科会設置4年目であるが、5年を契機に成果ををまとめようと申し合わせている。
6,その他・課題:当分科会は、「自治公民館」のみでなく「小地域での学習活動」を併せて考えていくことにしている。都市小地域における学習活動と地域づくりは今日的な重要課題と考えている。福島集会で約束した課題整理の「課題」には2種類がある。
 1つは、この分科会が現在の都市型公民館(社会教育)に対して投げかけている課題、例えば都市集合住宅地における高齢化率70%等の状況を公民館等が黙殺してきた状況に対する課題提起としての意味、或いは、地域分析も出来ない公民館職員の専門性?などの問題、2つは、住民の学習参加型地域づくりの意義と展望に関する課題、である。



2−1,第19分科会・主な討議の内容(大会要綱)

 都市と農山漁村を問わず、人々が日常的に支えあい励ましあうことが可能な小地域での学習活動と地域づくりを考える分科会、今回で4回目である。各地の事例を交流し、その意義を確認し、課題や展望を探ってきた。今回は、松本市で実践事例集と町内公民館の手びきを改訂発行されたのを受けて、先進的な松本市の経験から何を、どう学ぶかを中心に研究討議する。参加者がレポート(当日可・50部)を持ち寄る分科会にしようと願っている。

2−2,分科会『自治公民館・小地域での学習活動と地域づくり』討議の柱(大会資料)

1 これまでの経過
 この分科会は、名護集会で沖縄の字公民館の優れた実践に学ぼうと発意され、これを受け継いで今回4回目となります。
 名護集会では、字公民館の活動と字誌づくり、同じく優れた地域活動を創り出してきた松本市の町内公民館、飯田市の分館の実践が報告されました。これらの報告と討議は私たちにいくつかのことを気づかせました。
 1つは、字誌づくり、蟻ヶ崎西町の実践をはじめとする取組みが、かって「自治公論争」の中で危惧された官製住民運動の枠をはるかに超えたものであることを示しました。例えば、住民が歴史の証言者となり聞き手となって編纂される字誌づくりは、人びとが今どのような地点に立っているかを問いかけていく営みでしたし、子どもや高齢者のための地域づくりの活動は、地域と生活のあり方を創り出していくものでした。
 小さな地域でのこうした実践は、一方では高度成長期の都市化の中で多くの地域で失われていった地域での生き方や文化の持っていた意味の大きさに気づかせましたし、他方では、都市型公民館の活動スタイル・学習の概念・地域分析・指導者の役割等に大きな課題提起をするものでもありました。
 また、町村合併が進み、改めて住民の自治と地域の自立的発展が模索される状況の下で、自治公民館の長年にわたる活動の蓄積は重要な位置を占めると思われました。
 2つは、継続して自治公民館の実践や経験を蓄積し、交流し、検討を重ねていく場が必要であると気づかせました。しかし、自治公民館にも様々な規模や運営の仕方があります。そこで「小地域での学習活動と地域づくり」という視点で一般化しながら、当分科会を継続することにしました。

2 今集会で中心となること
 この分科会に毎年優れた実践報告を持って参加されたのは松本市の町内公民館でした。その松本市で385町内公民館から108の実践を収録した実践事例集がまとめられ、その上に立って「町内公民館のてびき」を改訂(約30年ぶりの書き直し)されました。これは当分科会と各地の自治公民館関係者・小地域で頑張っている人たちへの大きな贈り物であるといえます。松本市の実践と町内公民館のてびきからできるだけ多くのことを学ぶことを今集会の中心に据えたいと思います。松本市からは、町内公民館での事例報告、そして実践事例集とてびき発行についての2つの報告を予定しています。
 現地からは、福岡市に隣接する春日市の「小倉東地区」の取組みを報告していただきます。春日市中心部でまちづくりに挑戦している報告です。都市の中での自治公民館の活動は難しいのではないかというイメージを払拭する報告ともいえます。 昨年の猪苗代集会で、これまでに浮かび上がってきた「課題」を整理する必要があることが指摘されました。これは引続き世話人集団の宿題として分科会運営をする予定です。
 福岡市には小学校区単位に公民館がありこれを拠点に自治協議会を設けていこうとする動きがあり、北九州市にも地域福祉と結びついた活動があります。集会全体を通して、当分科会との関連を注目していきたいと思います。





3,実践報告(1)


 町内公民館のてびき・実践集の発行
               松本市町内公民館長会会長 高木宏之

はじめに

 平成の大合併の流れを受け、松本市は今年(平成17年)4月に四賀村、梓川村、安曇村、奈川村の4村と合併しました。その結果、東は美ヶ原高原から西は上高地・槍ヶ岳に至る全国で14番目に大きな面積(917.67km2)と97位の人口(223,533人)を持つ、自然と文化豊かな新松本市としてスタートしました。
 これにより松本市の町内公民館館長会に合併4地区(四賀、梓川、安曇、奈川)のうち、四賀地区27館と安曇地区5館の計32館が加入しました。平成17年度は昨年の385館体制から417館へと拡大した体制で活動を始めました。梓川地区21館と奈川地区8館は町内公民館システムへの即応が困難であるため平成18年度からの加入を予定しています。
 合併した4地区は、それぞれ地域に根ざした特色ある公民館活動を展開してきました。住民の真摯な地域への愛着心や生涯学習への高い参加意欲は旧松本市の私達が学ぶべき点が多いと考えます。

1 町内公民館の『てびき』発行のあゆみ
 昭和29年に周辺13村、35年の1村、49年の本郷村(現本郷地区)との合併を重ねてきた当市では、昭和515月(1976年)に「住民によるまちづくりのために」と題した『町内公民館活動のてびき』(初版)が市教育委員会から発行されました。内容は、@町内公民館ってなんだろう、A町内公民館の実際、B町内公民館への振興策、等の項目に分けられ、町内公民館活動(住民自治活動)のあり方について活動事例を織り交ぜながら分かりやすく書かれていました。多くの町会役員会や公民館関係者に共通認識や理解、示唆を与える画期的なものでした。全国初となる『てびき』は全国的にも高い評価を得ることができました。
 昭和543月には第1次改訂版が出され、内容的には町内公民館の活動事例が一新されました。各地区の活動振りが館長や町会役員におおいに参考になりました。当時、旧市と新市を合わせて179の町内公民館がありましたが、その状況は町会長兼務の館長が多いことや公民館活動が皆無の町会がある等が実態でした。そして、旧市と新市の間で交流する機会が少ない事もあり、行政からの勧めもあって、昭和549月(1979年)に第1回町内公民館長研究会が開かれました。
 昭和623月には第2次改訂版が刊行されました。ジャンル別に14の町内公民館活動が紹介されたことにより、てびきの果たす役割が認められました。
 当市では町内公民館活動の円滑な運営と活性化のために、町内公民館振興業務委託料が戸数割りと均等割りにより3段階の委託料が決められ毎年支給されています。委託料は過去7回増額されてきました。また、最近では町内公民館整備補助金制度(福祉関連設備も含む)の補助率や限度額の変動等もあり、町会の法人格取得についての問い合わせ等についてもてびきで説明する等、町会の民主的、自主的運営にも『てびき』が役立っています。
 平成5年3月には「街づくり・人づくりのために」と題した『町内公民館活動リーダー必携』(内容は町内公民館活動のてびき第3次改訂版)がA4版で装いも新たに発行されました。表紙は国宝松本城と北アルプス連峰の写真で飾られました。内容は、町内公民館の概要、運営、7町会の活動事例、活動に関するQA、町内公民館館長会の活動と沿革、会則の変遷、事業の変遷、研究会、理事の先進地視察、文化講演会、市内施設見学、予算、歴代役員の紹介等が掲載されています。

2 実践事例の掘り起こし
 少子高齢社会は世界に例のない早さで進み、地域の連帯感や地域への関心が希薄化しています。さらに世代間の価値観のミスマッチ等で地域社会がすさまじく変化しています。こうしたなか、町内公民館のあり方も現代にマッチしたものにどう変えていくかが問われるようになりました。町内公民館にとっては、福祉や防災の面から身近な地域が再評価され、やや追い風を受けながら新たな機能や役割について考える機会となりました。そして何度か話し合いを重ね、平成146月の館長会総会で承認を受け、町内公民館の『てびき』を全面的に見直すことになりました。以来12回の企画編集委員会、9回の執筆者会議、地区公民館長会・公民会主事会との懇談会等28ヶ月掛けて『てびき』の編集をしてきました。その背景には市中央公民館の深い理解と協力がありました。
 まず初めに385の町内公民館がどのように住民自治活動に取り組み、その活動がどんな役割や効果を町会や地域にもたらしているのか等を調べるため「町内公民館実態調査」等を実施しました。次に、地区公民館の協力を得ながら地区別の町内公民館長会にお願いして、各地区にはどんな活動事例があるのか、とにかく項目だけあげていただきました。そして、そのなかから地区ごとに執筆する2〜3事例の推薦を依頼しました。
 予想をはるかに越えた多数の応募があり、11ジャンル、108事例に絞り込む作業に随分手間取りもしましたが、それぞれの事例を当事者に執筆していただくことになりました。その結果集まってきた原稿はそれぞれ自信と達成感で満ちあふれていました。
 選定前の実践集原稿ジャンル別順位では1位―学習・文化 21.6% 2位―健康・スポーツ20% 3位―町会福祉 18.9% 4位―町づくり・地区町内公民館長会活動 11.1% 5位―暮らし・環境 9.6% 6位―青少年 5.9% ここで注目すべきは2位の健康・スポーツと3位の町会福祉で、中高年・高齢者の健康志向と自助・共助を中心とした町会福祉への関心の高さを実感しました。ちなみに「町内公民館実態調査」の結果、町会でのスポーツ大会は36%が実施し、42%が未実施でした。同様に運動会は16%が実施、77%が未実施、文化祭は21%が実施、61%が未実施、学習・講座は51%が実施、48%が未実施、というように、町会での運動会やスポーツ大会、文化祭が取り止めの傾向にあることが伺えます。これには特に町内公民館のない50町会や新市部の町会が設備の整った地区公民館や福祉ひろばと連携し、町会単位の事業から地区単位の事業へと転換している実状が関係していると思われます。地区公民館や福祉ひろば周辺で自前の公民館施設のない町会には両施設の日常的有効利用が欠かせないメリットをもたらしています。一方長寿社会を反映して敬老会が65%の町会で開催され、その輪は着実に年々増え続けています。
 事例が比較的少なかった暮らし・環境の課題は、私たちが日々の暮らしのクオリティを維持し高めるために、また自然環境保護への取り組みや学校5日制・総合学習・学校と地域の連帯等は青少年の居場所づくりと関連して緊急かつ重要課題として別の機会に当館長会で各地の活動を集約してみたいと考えています。

3 新版町内公民館の『てびき』の内容
 さて、初版から数えて第5版となる新版の『てびき』が『活動実践集』とともに今年(平成17年)2月に発行されました。今回の『てびき』は、町会役員や公民館長に理解し易いようにイラストガイドで町会と町内公民館の意義や関係、さらに町内公民館の役割と地区公民館の関係等を冒頭で住民自治活動への理解と手法を解説して好評を得ています。全体的な理念として、学習・文化活動から町会福祉を包含した「地域コミュニティ」の構築に向けての新しい地域づくりを提案しています。自治組織である町会や町内公民館を町会福祉の観点から見据え、NPOやコミュ二ティ・ビジネスとの連携まで視野に入れています。
 
今回の『てびき』には、7ジャンルの事例を掲載し、それぞれの町会における新機軸な活動を紹介しています。松本市町内公民館館長会の活動では、専門部の改編と女性部の誕生が特筆されます。町会連合会や単位町会への女性館長推薦依頼が功を奏し、平成12年度から女性館長が総勢20名のラインを維持しています。平成17年度には28名の館長が主婦の立場から学習会や視察研修を重ね、活動の場を広げています。市街地にある100戸足らずの町会で女性館長がまちおこしに奮闘し続けている姿には敬服します。
 巻末の資料として掲載した「町内公民館実態調査」では、公民館活動の事業内容が少子高齢社会に向けて変化しつつある現実と、旧市内の地域では町内公民館が町会の活動拠点として活用されているが、新市の地区では多くが地区公民館主体での活動が大勢を占めていることが判明しました。
 平成17年度の館長会では、今回の新版『てびき』を理事研修会をはじめ地区館長会や年2回開催される館長全体研修会の学習に活用していくことにしています。
 過去の『てびき』冊子の大半が引き継がれていない現状から、『てびき』と『実践集』の1セットを各町内会公民館の保存用とし、もう1セットを館長の引継ぎ用として全町会へ配布し活用することとしました。社会教育が長寿社会と人口減という現実の狭間にあって社会の趨勢にいかに対応していくべきかが今厳しく問われています。それこそ口で言うだけでなく、身近な地域で「住み良い・明るい・支え合いのまちづくり」へ向けた合意形成と地道な実践活動が肝要であると思います。     



4,実践報告(2)
 みんなで作り上げた七夕まつり
               松本市徒士町町会公民館長 三村伊津子

はじめに
 松本市徒士町町会は、松本城の北西に位置する100戸足らずの小さな自治会です。町会は高齢化と少子化でやや元気がなくなり、住民の関係も希薄になっていました。そこで、子どもと大人が一緒になって「七夕様」を楽しもうと、町内公民館主催で「おかち町七夕まつり」を開催しました。まつりのテーマを「町・人・そこに愛」とし、平成15年7月の第1土曜日から1週間、町内の通りに24本の七夕飾りを立て、まつり当日には新鮮市や子ども広場を開設しました。まだ始めたばかりですが、これを切っ掛けに町内が一体化し、「まちの人の輪」が広がってきたように思います。

1 まつりのきっかけ〜新鮮市からの発展〜
 かつて、当町会でも運動会や球技大会を行っていましたが、高齢化が進み自然消滅に至っています。その後、町内の行事は8月の「青山様」と「ぼんぼん」だけとなり、住民同士の交流が減ってしまいました。そのため、13年7月に「おかち町新鮮市」を開催しました。市で売る品物は、主に有志による手作り品と町内の漬物店の協力による商品というささやかなものでしたが、珍しさもあって、意外に大勢の方々に来ていただき、話の輪がいくつもできて、楽しいひとときとなりました。
 これに勢いを得て、翌14年には、農家直売の野菜やだんごを商品に加えてみました。市の雰囲気が膨らみ、子どもや通りがかりの人も加わって、一段と盛況なものとなりました。しかし、子どもから大人まで一緒に交流でき、町内の力を持ち寄って企画・運営していくという点では、さらに工夫が必要だと感じていました。すると、町内の男性の集まりである「徒睦会」から、「町内通りに七夕飾りを立てたらどうか」という提案がありました。「竹は用意できるし、飾り付けも手伝う」というありがたいものでした。早速、子ども会育成会や町内の女性の集まりである「花寄り会」に相談したところ、「やってみたい」「精一杯協力する」という力強いことばをいただけたので、「新鮮市」と公民館とPTA共催の「七夕会」を一体化した企画を考えることになりました。

2 まつりをみんなの手で 〜町内の絆を深める組織づくり〜
 まつりは、何らかの形でみんなが参画できるように心掛けました。大勢が参加することで公民館活動が活発になり、町内の仲間づくりが進むと考えたからです。そこで、地域の様ざまな組織が協力してまつりの準備・運営に関わるようにお願いしました。企画委員会には、町内公民館長をはじめ町会役員(正副会長・会計・庶務・交通部長)、育成部長、花寄り会(12人)、徒睦会(9人)が参加し、広報や当日の運営、庶務、会計等を担当しました。また、実行委員会には、育成部、PTA、町会評議員、花寄り会、徒睦会のメンバーらが加わり、ポスターやチラシの作成、七夕飾りの製作、出店の準備・販売、交通整理等を担当しました。担当者一人一人が具体的に承知しあって進められるように、全体会や担当者会を適宜開催しました。そして、公民館長と町会長は連携を密にして、折々の決定事項が役員に徹底するよう連絡・調整し、誰に問い合わせても困らないようにしました。

3 まつり準備の実際 〜ふれあいの広がりを願って〜
(1) 周知活動
 町内への案内として回覧板が有効に機能しました。町会長が作成した案内には準備の様子が何回かカラー写真で紹介されていました。これを町内に回覧してまつりへのムードを盛り上げていきました。ポスターはPTAの方に専門職の方がいましたので、その方に作成を依頼し、6月上旬から町内に掲示しました。すっきりしたデザインで、大好評でした。さらに、チラシはポスターより詳しい内容にして全戸に配布しました。
(2) 飾りづくり
 七夕飾りづくりは町内住民の思いが伝わるように心掛けました。短冊づくりは、願いごとや短歌、俳句、川柳など、子どもも大人も寝たきりの方も含めて町内のみんなで書き上げました。飾りづくりは、ぼんぼん・鎖・投網などを子どもと大人が手を取り合って作りました。「どちらのお子さん?」「おばちゃん、ここわからない」などの小さな会話から大きなふれあいが生まれていました。
 
松本地方には「押し絵雛」という独特の飾り雛が伝わっているのですが、最近では見ることが少なくなりました。そこで、この文化を伝えていきたいという願いを込め、この機会に手作り雛を飾りました。「おかち町オリジナル飾り雛」が次々と生まれました。
 新鮮市の前日には、子どもや大人が総出で、24本の七夕飾りを電柱に取り付け、町内の通りは、一気にまつり気分が高まりました。青竹は町内の親戚の竹林から、24本をいただきました。
(3) 出店品の準備
 出店の準備は販売するものにあわせて行いました。@新鮮野菜は、しののめの道で開いている野菜市の方に、特別出店を依頼、A漬物は、町内の漬物製造会社に家庭向け商品の準備を依頼、B手作り品は、町内に手芸品・木工品等の出品を呼びかけ、C作業所製品は、地区内にある「共同作業所パノラマ」「北ふれあいホーム」へ出品を依頼、Dだんご等は、これまでの出品で評判のよかった物を中心に注文、Eラーメン店は、トラックで営業しているラーメン店に出店を依頼、F子ども広場は、ポップコーン・金魚すくい・ぼんぼん釣り・くじ引き等の材料や器具を準備、という具合に特設の市が準備されました。

4 まつり当日の様子
 
まつり当日は好天に恵まれ、この小さな町会にこんなにも大勢の人がいたのかと思うほどの人出に驚きました。
 新鮮市は、どの売り場にも行列が出来るほどの賑わいで、たちまち売り切れてしまう品物が多く、直接やりとりして買う楽しさを味わえました。新鮮野菜も好評で、農家の方との話も弾んでいました。また、ラーメン店は、子ども向けに小盛りを用意するなどの工夫もあり、炎天下でしたが開店以来ずっと盛況で、和やかな語り合いの場となりました。
 子ども広場は、どこの祭りへ行ってもあるような出し物でしたが、町内の仲間と安心して遊べる場が確保されたことで、無邪気に楽しんでいました。

5 まつりを終えて
 まつり広場に集まった子どもの顔も大人の顔も、生き生きとしていました。日ごろは行き来が少なくても、旧知の間柄のように顔をほころばせて談笑する姿が、とても印象的でした。参加した人たちに、「とにかく、やってよかった」という喜びが湧き上がり、まとめの会では、次のようなことが話されました。
@ 町内総員による短冊書き、手間ひまを惜しまないで声を掛け合って進めた飾りづくりにとても大きな意義があった。
A あちこちで元気な声が沸き、話が弾んでいた。隣りの町会の方々も訪ねて来て、即席のテーブルに何組もの家族が一緒にラーメンを食べているのが印象的であった。B 町内の方々の気持ちや力を寄せ合うことができた。
 新鮮市と七夕まつりを一体化したことで、仕事量が増えたり、まつりの場所づくりに手がかかりましたが、その分、自然に大勢の人がかかわりやすくなり、ふれ愛の輪もあちこちに生まれました。こうしたことが、年毎に広まれば、町内に「挨拶の声」や「助け合いの輪」が一層大きく育つことが期待できます。
 準備や当日の活動を通して、町内におられる多様な特技や技術を持った素晴らしい方々とも出会うことができ、町内の宝さがしができました。年にたった一度の行事ですが、町内のみなさんの知恵や力、さらには近隣愛をもっと出し合えるように工夫を重ね、さらに誰もが心待ちにするような行事に膨らむようにしていきたいと考えています。まつりを通じて本当によく町会が見えました。これからも暮らしの原点である町会を住みよいまちにするため努力していきたいと思います。


【関連報告】松本市教育委員会『自治の力ここにありー学びとずくのまちづくり
               −松本市町内公民館活動実践集−』2005年、所収

「まつりをみんなの手で」〜町内の絆を深めるづくり〜
             城北士町公民館(館長 三村伊津子)

 小さな町でみんなの力を結集させて七夕まつりを成功させた実践です。町内すべての人が何らかの形でまつりに参画できるような組織づくり、役割づくりは見事です。町会長と公民館長の呼吸もぴったりです。
 徒士町は、100戸足らずの小さな町です。平成15年7月、第1土曜日から1週間、町内公民館の主催で、松本地方に伝わる「七夕様」を子どもと大人が一緒に楽しもうと、「おかち町七夕まつり」を開催しました。まだ始めたばかりですが、年毎に、町内が一体となり、「まちの人の輪」が広がるように期待しています。

1 まつりの概要

 (1)タイトルは『おかち町七夕まつり』 ― 町・人・そこに愛 ―
 (2)町内通りに24本の七夕飾りを立てる(1週間)
 (3)新鮮市の開催(まつり当日)
 (4)子ども広場の設置(まつり当日)

2 まつりをみんなの手で−町内の絆を深める組織づくり
 「まつりを作る人」と「まつりに寄って見る人」という関係から、すべての人が何らかの形でまつりに参画することで公民館活動が活発になるように、組織作りをし、まつりの準備に取りかかりました。
 
   ○係と仕事の内容

区  分

担 当 者

仕 事 の 内 容

企画委員会

公民館長 

町会(正副会長・会計・庶務・

交通部長)

育成部長

花寄り会、徒睦会(9人)

企画、広報

当日の運営

庶務

会計等

実行委員会

育成部、PTA

ポスター・チラシ作り

七夕の飾り作り

町会評議員

短冊の各戸配布・回収、飾り付け

花寄り会

七夕の飾り作り

出店品の準備・販売

徒睦会

竹の用意、飾り付け、市の会場作り、

交通整理

○担当者一人一人が具体的に承知しあって進められるように、全体会や担当者会  
 を適宜開催しました。

○公民館長と町会長は、連携を密にして、折々の決定事項が役員みんなに徹底す 
 るよう連絡・調整にあたり、誰に問い合わせが来ても困らないようにしました。

3 まつり準備の実際―ふれあいの広がりを願って    
 (1)町内への案内
   ア 回覧板 ‥・町会長が節々で、準備の様子をカラー写真入りの案内を作成。  
             町内に回覧し、まつりへの期待感を高めていきました。
   イ ポスター‥・専門職のPTAの方に作成を依頼し、6月上旬から町内に掲示。
             すっきりしたデザインで、大好評でした。

   ウ チラシ ・・・ ポスターよりも詳しい内容にして全戸に配布、周知を図りました。

4 まつり当日の様子
 (1)新鮮市 ・・・ どの売り場にも行列が出来るほどの賑わい。たちまち売り切れてしまう
         品物が多く、直接やり取りして買う楽しさを味わえました。新鮮野菜も好評で、
         農家の方との詰も弾んでいました。
 (2)ラーメン店 ・・・ 子ども向けに小盛りを用意するなどの工夫もあり、炎天下でしたが、
         開店以来ずっと盛況で、和やかな語り合いの場となりました。
 (3)子ども広場 ・・・  どこのまつりへ行ってもあるような出し物でしたが、町内の仲間と
         安心して取り組める遊びがいっぱいで、無邪気に楽しんでいました。




5,実践報告(3)−《第45回社会教育研究全国集会資料》
  「小倉東地区はひとつの家族です」が目標
            ―― マンションでのまちづくり£ァ戦 ――

                         春日市小倉東地区自治会 来田冨士雄

1.愛の反対は憎しみではない 無関心である
(1) 隣は何をする人ぞ
 私が住むところは、ここ30年足らずの間につくられた新興の住宅地域です。春日市の資料によると、490世帯、1,400人(高齢化率8%)で構成され、そのうち90%がマンション、アパートなどの集合住宅に住んでいます。
 春日市は、福岡市の南に隣接する人口11万人の都市で、その人口が7年余りで入れ替わるというくらい、人の流動が激しいところです。市長が常々言う言葉の「人間関係が希薄である」ことを私自身も日常生活を通じて実感しています。
 3年前(平成14年4月)に小倉東地区の自治会長を引き受けてからも、その思いはいっそう強くなっています。都会に住む人にとって、避けられない現実なのでしょう。人付き合いのわずらわしさから逃げたいとの思いでマンションに移り住んだ人も多いだけに、「隣は何をする人ぞ」の無関心派が住民の大半を占めています。

(2) 広報紙「ふれあいニュース」の発行
 そこで、自治会長になってまず住民の「親睦交流」を深めることに取り組みました。言葉を変えれば「コミュニケーションをよくしよう」ということです。現役時代、経営セミナーで「コミュニケーションとは、あなたと私の双方が同じ情報を持つこと」だと教えられました。そのためには、町内のできごとを住民の皆さんに知らせること――広報紙を発行することにしました。身近な町内で、今、何があっているのかを「ふれあいニュース(月刊、A4・4ページ)に掲載して、全世帯に配っています。私が40年前、社内報の編集に携わった経験があること、8年前、勤めを辞めてからパソコンに挑戦したことが役に立っています。
 昨年(平成16年)1月に行った住民アンケートでは、約80%から継続発行の回答がありました。
 しかし、自治会が主催する親睦交流事業に「参加していない」人が39%いることも現実です。
 これからのまちづくり≠ヘ、隣近所が「困ったときはおたがいさま」で助け合う気持ちになるように、近隣の人間関係づくりが自治会に課せられた最も大きなテーマではないでしょうか。

2.縦割り組織からの脱却
 400世帯あまりの小さな地区ですが、その中に@自治会 A公民館 B老人会 C子ども会の4つの組織がありました。そして、それぞれが活動しています。役員が違うので、横の連携がなかなかとれずに、一体となった活動が少なくなっていました。
 この縦割り≠フ弊害を減らすため、自治会長就任1年目で、まず、自治会と公民館とを1つの組織にしました。老人会、子ども会も、自治会組織の1つとして位置づけ、合同で会議を開くなどして、情報の共有化を進めています。
 しかし、行政側の組織は依然として縦割り≠ナ、自治会で事業を計画するときも、行政窓口がどこかを把握しておかないと、もらえる補助金ももらえないということにもなります。また、行政側はそれぞれの窓口から依頼、指示等を出しますが、受け手は1つということで、日程が重複したりして混乱を招くことも少なくありません。小地域ごとに担当職員を決めるなどの、住民を基盤とした新しい行政組織が必要だと痛感しています。

3.ボランティアで始めた福祉活動
 (1) 健康保持を主眼とした高齢者福祉
 6年前の平成11年6月、私たちの地区は社会福祉協議会から「地域福祉活動推進地区」の指定を受けました。当初、自治会に設置された福祉推進委員会は、メンバーを当て職で構成していたため、なんら取り組みがされないまま半年あまりが過ぎてしまいました。
 これではいけないと、有志7名(女性5名、男性2名)が立ち上がり、社協の支援を受けながら高齢者の集まり「ふれあいサロン」の開催にこぎつけました。地区内に住む65歳以上の方84名に近所のボランティアが手分けして案内状を持参し、「出てこられませんか」と声をかけました。その結果、49名(ボランティア10名を含む)の参加がありました。初めてこのような近所の集まりに参加された方が、帰りがけに「楽しかった。次は主人と来ます」とおっしゃっていただいことが、ボランティア一同の次へのエネルギーになりました。
 ふれあいサロンは、2か月に1回の割りで開催を続け、既に26回を数えています。今年度は「健康」を主眼とした内容で開催することにしており、7月に開くサロンは「栄養バランスのよい食事をしていますか」というテーマにして、希望された高齢者に2日分の食事を記録して提出してもらい、それを専門家(春日市健康課管理栄養士)から診断・助言を受けるというものです。
 高齢者の健康保持には、食事と共に運動≠煬かせません。6年前から「ニコニコ歩こう会」を2か月ごとに実施しており、例えば1月は「あるいて三社参り」、11月は紅葉の「太宰府歴史の道」を歩くなどの楽しい企画を並べています。さらに、3年前からは春日市健康課が出前で実施したシルバー運動教室を受けて、引き続き「すこやか運動教室」として、毎月2回、高齢者20名前後が、転倒予防を目的としたストレッチ体操などを行っています。

(2) 子育て支援にも取り組む
 福祉といえば、とかく高齢者ばかりに目が行きますが、子育て支援≠燒Yれてはならないことです。3年前(平成14年)11月に、これも社協の支援で子育てをテーマにした福祉懇談会を開き、それがきっかけで幼稚園入園前の子どもの集まり「どんぐりころころ」ができました。毎週1回、公民館に親子が集まって楽しいひとときを過ごしています。また、昨年(平成16年)からは、0歳児・1歳児を対象にした「親子ふれあいビクス(赤ちゃん体操)」を月1回開き、毎回、10組前後の親子が参加しています。

4.孤独死を出さないために――これからの課題
 高齢者の1人暮らし(16)が、私たちの地区でも徐々に増えています。今のところ元気な方ばかりですが、もし万一の場合、どう対応するのかも含めて、日常からの見守り活動を定着させていくことが必要だと感じています。そうすることで、私たちの地区から孤独死≠ヘ出さないようにとボランティア共々、心がけています。以上
[連絡先]〒816-0826 春日市小倉東2-22 小倉東地区自治会 092-571-0901




6,分科会・討議のまとめ
第19分科会「自治公民館・小地域での学習活動と地域づくり」
                              世話人・美若忠生

1 この分科会は、沖縄集会の「字公民館と地域づくり」以来4回を迎えた。参加者は26名(市民11、職員8、研究者4、学生3)であった。 
 事例報告として、
福岡県春日市から小倉東地区自治会・公民館の実践事例「“小倉東はひとつの家族です”が目標〜マンションでの“まちづくり”挑戦〜」(来田富士雄氏)、長野県松本市から「町内公民館のてびき・町内公民館活動実践集の発行」(高木宏之氏)、「みんなで作り上げた七夕まつり」(三村伊津子氏)、「お楽しみ会〜福祉のひろば出前講座〜」(山崎壽子氏)の報告があった。 
 また、自己紹介の中で
鹿児島県菱刈町の校区公民館を中心にした「健康な地域づくり事業」(原田義壽氏)の報告を、討議の中で、貝塚市の低所得住宅地域でのNPOによる地域づくりと文化活動の取組み(松岡伸也氏)、横浜市磯子区での学習文化グループの育成とメールを活用した連携、更に福祉やコミュニティ関係職員とも連携して地域に活動拠点(公民館的施設)を作り出そうとしている取組み(伊東秀明氏)が紹介された。
 参加者の共通理解を図るために、また当分科会の目指すものと視点を整理するために、小林文人世話人に自治公民館論争にも触れながら発言してもらった。

2 私たちはここ数年、新しい発見をしてきた。自治公民館に代表される小地域での住民活動が、人びとの暮らし、成長と自立、自治的な地域づくりに極めて重要な意味を持つという認識である。
 沖縄の字公民館は、特殊なもの、古いものという見方があるが決してそうではない。新しいもの(字誌、基地など)に挑戦している。伝統行事などを行いながら、地域のつながりや暮らしにとってかけがえのないものを育んでいる。自分たちの地域を自分たちで守っていこうとする住民自治のエネルギーは非常に新しい意味を持っている。 
 1960年代の地域の変貌・解体の事態に際して、
倉吉市をはじめとして自治公民館の設置を行政が進めていこうとした。公民館が行政に絡めとられるのではないかという議論(自治公民館論争)があった。これに対して公立公民館の職員体制の充実と専門職化、施設整備、行政からの独自性に取り組んできた。しかしその時点で、私たちは、自治公民館の持つ狭い側面について指摘したが、自治公民館が住民の暮らしの中で持つトータルな重要性を見ることが出来なかった。こうした見方を変えてくれたのが沖縄だった。
 沖縄集会ではもう一つ重要な提起があった。中央に対する地方の自治(地方自治体・行政)だけでなく「もう一つの自治」=集落の自治、近隣の自治、暮らしの中で住民自身が積み重ねてきた自治を豊かに創造していく重要性についての発言(手塚氏)だった。
 公民館活動に「地域」というキーワードがある。地域との関わりで公民館の方向性を持つ必要がある。暮らしの中で自分たちがどれだけ自分たちの地域に責任が持てるのか、主体的にどれだけ担い得るのか、その人たちはどう育ってくるのかという問題である。
 この分科会は、人びとの地域における暮らしと自治の問題にどう取り組むかについて見ていこうとしている。自治といえば近隣における自治が原点だ、そのことを認識しながらそれぞれの地域でそれぞれの取組みが進んでいる。今回の報告も含めて、地域活動の中に大きな意味を見出す、そういう考え方をこの分科会は少しずつ少しずつ明らかにし、蓄積してきた。

3 春日市小倉東地区自治会・公民館は、住民の9割がマンション・アパート住まいと言う地域で「ずっーと住みたい街にしたい」をモットーに住民の親睦交流を重視しながら福祉、環境、教育の3本柱で活動を続けている。その活動は積極的で多面的で楽しさいっぱいであり、自治公民館・小地域活動の指導者の力量と質が課題となる中で「何と情熱的で社会教育主事的か」という声の出る程だった。(この分科会で報告に立った住民・館長はみんな情熱的だった。)
 松本市徒士町町内公民館「七夕まつり」の活動、井川城下区町内公民館「お楽しみ会」の活動は共に女性館長が地域の人びとの願いと力を引き出しながら取り組まれた事業であるが、この事業を通じての地域づくりの視点が印象深かった。
 貝塚市での取組みは、重い課題を抱える地域で自治会とNPOが協働することによって暮らし、地域文化、自治を向上させようとしている。
 横浜市磯子区では、次々に誕生した学習文化グループが今自分たちの地域に眼を向け、どのような地域を創っていくかで連携を深め行政職員と協働しようとしている。
 菱刈町は校区公民館を拠点にして等々、それぞれの地域で多様な取組みがある。この多様であることを大切にしながら、住民が自らの手で(或いは行政やNPOと協働して)豊かな暮らし、豊かな地域を創り出そうとする努力を「学び」として捉えておきたい。

4 今年、この分科会に大きな贈り物があった。松本市町内公民館活動実践集と町内公民館のてびきの刊行である。この宝の山から何をどう学ぶかは尚今後の課題となったが、短い説明の中で次の点が印象に残った。
 1つは、「地域自治共同体と学習参加型福祉コミュニティの創造」を目標としようとしていること。町内会を核として地域を地域自治共同体とすること、それは学習参加型の地域づくりだと考えたこと。
 2つは、町内会と町内公民館の関係にふれて、町会は全会一致の原則であるから決定事項は最小限・他団体との連携等には消極的な性格をもつが、町内公民館はやる気のある者でとりあえずやってみる・本質的な議論も可能である等の特質をもっており町内公民館の多様な活動が地域での住民自治を豊かに発展させる鍵を握っていること。
 3つは、現在の公民館が「教養・社会変革型」とすれば、将来、公民館が総合的な地域づくりの拠点となる「地域協同型」スーパー公民館を想定していることである。ここでは、各分野の公的な機関が地区自治支援チームを組み、住民と共につくる地域づくりプロジェクト全体を公民館がコーディネイトする役割を担う。
 生涯学習フェスティバルだと騒ぐこの時代に、住民の暮らしにしっかりと視点を据え、町内公民館の108の優れた実践を集録し分析討議して手引書を作った松本市でさえ、公民館と住民との距離はまだ遠く、細い糸でしか結ばれていないと言う。そこに、住民と職員との並々ならぬ意気込みを感じる。市立の地域公民館と町内公民館との関係(発言する機会も作れなかったが)その他、まだまだ学ぶべきことは多いと感じた。


自治公民館1(2002〜2003年)
自治公民館2(本ページ)
自治公民館3(2006〜2009年)



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