南の風・各号後記（ぶんじん日誌）

１８５０号【２００７年６月６日】
◆＜アジアン・ダイニング・バー＞
　２００２年夏の記憶。東京・永福に「メイプル食堂」という、ご夫婦で切り盛りする小さなレストランがオープンしました。“風の部屋”から歩いて１分のところ。私たちの研究会でも永福（高井戸でなく）会場の場合、終了後の交流会でときどき集まった思い出の店です。TOAFAECホームページには賑やかな写真がいくつも。しかし、こまかな事情は分かりませんが、残念ながら１年ほど前に閉店しました。
　そのあとに、このほど「アジアン・ダイニング・バー」と看板をかけた新しい店が。オーナーはネパール人。店を買い取って、ネパールはもちろん、インド、タイ、ベトナムなど「アジアの料理は当店で！」と積極的な営業を展開中。コック２人もネパール人、実によく働き、しかもなかなかの腕前なのです。日を追うごとに繁盛、いま夜おそくまで客が来ています。
　夜更かしの身としては、近くに手軽に飲める店ができて、少々困っています。ネパールのビールも置いていて、つい飲みに行きたくなる。　
　先日、この店に小林富美や江頭晃子さんたちが集まり、試食？をしたとのこと。恒例の「七夕の会」（年に一度は顔を合わせる趣旨で）を今年この店で開いてはどうかの下見。味もよく高くもなく・・・どうやら結論が出たようです。予定は７月１４日午後（夜はおそらく“風の部屋”か）。近くご案内が「南の風」に寄せられるでしょう。
　私たちの「東アジア」への関心は、ネパールまでとても及びもつきませんが、「アジアン・ダイニング・バー」の店名には惹かれるものあり。そう言えば、かって研究室にネパールに情熱を注いだ人もいた、いまどうしているだろう、と思いながら、今晩（５日夜）は一人でビールを楽しみました。

１８４９号【２００７年６月４日】
◆＜はじめに活動ありき＞
　６月３日夕はTOAFAEC ２００７年度の総会でした。慌ただしい日程での集まりでしたが、久しぶりの顔合わせ、過ぎし日の青春？を想い起こし、また新しいメンバーもいて、ともに杯をかわすことができました。皆さん、お疲れさまでした。
　TOAFAEC は発足当時（１９９５年）、会則もなく、総会なども開いたことはありませんでした。その前身、沖縄社会教育研究会でも２０年の歩みのなか一度も「総会」などはない。日頃の活動を重ねるなかでお互いの意志疎通は可能だったのでしょう。
　TOAFAEC が会則をつくったのは、発足して数年後、上海からの訪日団の招聘者として、現地の日本領事館に文書を出す際に求められました。会則の形式として「役員」「総会」等の条項が盛り込まれることに。そんな経過があって、はじめて総会が開かれたのは２００１年６月でした。会場は和光大学、参加者は１３名。「南の風」６９１号に記録が残っています。数えて今年は７回目の総会。
　会の活動もようやく組織的になってきたのです。同時に総会や会則がある以前に「はじめに活動ありき」の思いもよぎりました。これまでの１３年の歳月、年報発行が１２冊。なにもないところから、ささやかですが、それなりに創造的な仕事をしてきたことになります。初心を想いながら、また次の歩みを刻んでいきたいもの。
　恒例の懇親会、私たちのために休日の「イーストビレッジ」が特別開店。最後まで飲むつもりでしたが、急用あり中座して失礼しました。
　▼総会終了（撮影・小田切督剛さん）

１８４８号【２００７年６月２日】
◆＜TOAFAEC総会・懇親会だけでもご参加を！＞
　TOAFAEC の毎年の総会は、いつも日本社会教育学会六月集会に合わせて開く慣わし。今年は六月集会の会場が宇都宮大学（６月２～３日）ですから、宇都宮に設定するかどうか、事務局は大いに迷いました。結局は東京で開くことに。６月３日午後４時～６時。当日午後の学会プログラム（ラウンドテーブル）参加者には申しわけないのですが、当日中に神戸や九州に帰り着きたい意向も寄せられ、日程的に重複する時間帯となりました。ご了承下さい。しかも東京駅や羽田寄りの会場が確保できず、いつもの高井戸区民センターが会場です。
　今年はやや無理な日程での総会開催となりましたが、事情ご了解の上、今後の活動に結びつく大事な総会でもあり、奮ってのご参加をどうぞよろしくお願いします。（TOAFAEC・ＨＰにも地図を添えてご案内中→■）　
　川崎の小田切督剛さんからのメール（Saturday, May 19, 2007 4:52）。
　「…３日の日本社会教育学会６月集会では、李正連さんと金侖貞さんの発表があります。金侖貞さんの発表は午後４時に終わります。ヤフーで検索したところ、16:30－新幹線やまびこ５８号・宇都宮駅発、17:13－埼京線快速・大宮駅発、17:50－京王線準特急・新宿駅発、17:59 －井頭線・明大前駅発、18:06高井戸駅着、というわけで、TOAFAEC総会には間にあわず、懇親会・打ち上げから参加ということになりそうです」。
　まことに申しわけありません。しかしTOAFAEC 総会に関心を寄せていただき、このメールに大いに感激しました。せめて懇親会だけでもご参加を！お待ちします。
　懇親会の会場は（いつもの通り）高井戸駅より２分「イーストビレッジ」（会場より移動３分）電話０３－５３４６－２０７７。問合わせ先は事務局の遠藤輝喜さん（０９０－７９４２－４７８５）まで。
　なおTOAFAEC は、会費関係は別として、会員資格をせまく限定していません。関心ある方々の幅広いご参加を歓迎いたします。

１８４７号【２００７年５月３１日】
◆＜ホームページの写真＞
　TOAFAEC のホームページ（小林の公私混同？のＨＰ）をご覧いただいているでしょうか。技術的には拙劣ながら、ほぼ隔日の更新。手前味噌で恐縮ですが、かなりの画像・資料を蓄積してきました。ときに助言や注文などいただければ幸いです。
　ほぼ１０年前、このＨＰが店を開いた当初に画像はありませんでした。はじめての写真掲載は、記憶に間違いなければ 2000年７月「七夕の会」。たしか江頭晃子さんが送信してくれたような。その後に当方もデジカメを使うようになり、2001年の新学期（和光大学の最後のプロゼミ学生）あたりから写真を載せるようになりました。
　残念ながら、最初のプロバイダー(Justnet)から今のソネットに乗り替えた折（2003年）、ＨＰの一部のファイルと画像を消失してしまいました。この失敗から、その後はすべての記録・写真を大事に保存する習性となりました。
　ところが、ソネットのＨＰは５０Ｍバイトが限度なのです。容量が満杯になって・・・、写真も棄てきれず、2005年11月に現ＨＰ（第２版）を新しくオープンしたのはご存知の通り。それからまだ１年半が経過したばかりなのに、だんだんと最大容量が近づいてきました。容量が重すぎる画像を撤収したりしていますが、惜しまれるものもあり、いまＨＰ第３版を準備しています。現ＨＰも出来るだけそのまま機能させていきたい。というわけで、第３版には主に画像を移動し、テーマ別のアルバムを並べ始めているところ。
　たとえば、旧杉並公民館関連ページ、黄宗建先生追悼アルバム、新年会・七夕の会の古い写真など。ＨＰの隅っこに小さく窓を出しています。機会があれば、見てやって下さい。→■
　永田香織さんから、先日の福岡・油山の会のスナップを送っていただきました。軽い容量の１枚を頂戴してアップ。昨日は、内田純一さんから、訪台報告に関連して写真４枚が届きました。しかし、それぞれ重容量！やっと１枚をトリミングし軽量にして載せるのが精一杯。それでも普通の写真の１０枚分。（デジカメの容量を低く設定して下さい。）
　写真掲載については、いつも肖像権のことが気になります。その都度お許しを得ているつもり、しかし失礼している場合もあり。もし控えるべき画像があれば、ご遠慮なく一報下さい。直ちに差し替えますので。

１８４６号【２００７年５月２９日】
◆＜「社区」運動＞
　この数日、ちょっと気持ちがはずむような、いくつか刺激的なことが重なりました。ともすれば流されがちな毎日。そんななかで、新たな動き（そして課題）との出会い。一つは、２５日夜・TOAFAEC 研究会での韓国「希望製作所」構想、これは前々号と前号の本欄で書いたことです。うまく伝わらなかったかも知れませんが・・・。
　あと一つは、最近「風」では記事が少なかった台湾について。内田純一さんから長文の「訪台報告」（上掲）が届きました。同じその日、早稲田大学台湾研究所「台湾研究叢書」[１]として刊行された『東アジアの市民社会と民主化－日本、台湾、韓国にみる』（西川潤・蕭新煌共編、明石書店、2007年）と出会いました。
　２７日夜の安井家（原水禁資料）研究会で、竹峰誠一郎さん（早稲田大学・院）が持ってきてくれたもの。感謝！全２６５頁のうち大半が台湾報告（第Ⅱ部「台湾における新社会運動と民主化」）です。
　台湾における民主化の潮流とその担い手としての社区運動、新社会運動としてのＮＰＯと地域づくり運動、その視点から「社区」運動を考えるとき、生涯学習や「社区大学」の独自の意味も見えてくるようです。
　この２０年、東アジアにおけるそれぞれの民主化潮流が、地域からの市民運動を可能にし、同時に地域づくりの諸運動「社区運動」が民主化の土壌を定着させてきたのです。この間の日本をどうみるか。私たちの「まちづくり」「集落（自治）公民館」へのアプローチにとって、東アジアの動向は何を問いかけているか、などと考える数日となりました。

１８４５号【２００７年５月２７日】
◆＜希望製作所の理念とイメージ＞
　TOAFAEC は小さな研究団体。活動は不充分ながら、いささか努力してきたことがあります。
それなりの継続性と記録性、そしてある程度の速報性。毎月１回の研究会もなんとか定例化し、短くてもいいからその記録を、忘れないうちに「風」に、そしてＨＰにも、載せておこう、その積み重ねを大事にしようと。本号にも、金曜日夜の第１２９回研究会の記録が土曜日夜には着信。
さすが！有り難うございました。
　前号の続き…。韓国希望製作所は創立されて１年余り、職員数は、すでに４６名だそうです。日本希望製作所（設立準備会）スタッフは、いま桔川純子さんと姜乃栄さんのお二人。
　研究会で配布されたパンフ「日本希望製作所の設立に向けて」にはこれからの構想がいろいろと提示されています。「主な活動」として「日韓の地域づくりについて調査・研究し、これをアーカイブ、データベースに蓄積していく」「さまざまな分野の専門家や実践家とともに」取り組む、日韓の地域づくりをめぐる「相互交流」「国際ワークショップやシンポジウム」「出版物やホームページ」など。
　希望製作所の研究の「方向と理念」は次の７点。独立(Independence),参加(Participation), 実践（Practicality), 代案(Alternatives), 地域（Local Focus), 現場(Field Based), 統合(Integration)。
　これまでにない表現で活動のイメージが躍っています。組織図（希望のネットワーク）はまことに多彩。たとえば希望アカデミー（パブリックリーダー成長学校）、社会創案センター、プリセンター（プリは「根」＝地域）、代案センター、公共文化センター、知恵倉庫室など。これから具体的にどう展開していくことになるのか。

１８４４号【２００７年５月２６日】
◆＜行く手は遠くに・・・＞
　２週間ほど前、川崎の小田切督剛さんが韓国「希望製作所」（2006年創設・市民社会型シンクタンク）の動きについて書いていただきました（南の風1835号）。今晩(25日)の定例研究会では、日本で始まっている「希望製作所」の運動について、直接にお話をうかがうことができました。共感するところがたくさん。これからの展開が楽しみです。久しぶりの谷和明さん（東京外国語大学）や、はるばると浅野かおるさん（福島大学）が参加されました。川崎の皆さんや岩本陽児さんからは欠席の連絡。
　当夜の記録は、追ってどなたか報告していただけると思いますので、本欄では「希望研究所」（The Hope Institute）「創立宣言文」の一節（日本語訳）をご紹介しておきます。
　「…行く手は遠く見えます。しかし、絶望の淵から希望は始まります。希望は落ちてくるものではありません。私たちが自ら作っていかなければなりません。上からの掛け声ではなく、生に根ざした小さいけれども知恵のある考えと願いがまさに希望の源泉です。…少数の専門家たちだけが良い政策を作るものでもありません。至るところで小さな希望の火種を作り、育む大切な人たちの存在を私たちは信じています。このような人たちこそ、私たちの大切な財産であり、良い政策の基礎なのです。」
　「…１８世紀の名分と観念に囚われた両班（ヤンバン）社会の隙間で“実学”という希望の芽が芽生えたように、今日の絶望を希望へと変えていく“２１世紀実学運動”を繰り広げようと思います。希望を抱くのに決して遅いということはありません。これからまた希望を歌いましょう。」
▼日本希望製作所事務局・姜乃栄さん（左３人目）、同事務局長・桔川純子さん（左・４人目）(20070525)

１８４３号【２００７年５月２４日】
◆＜第１２号に向けて＞
　今回の福岡は約１週間の日程でした。パソコンをもって移動していても、やはり旅行中、頂いたメール等に敏速に対応できず、申しわけありません。まして郵便物は、届けられたものが未見のまま滞留。お詫びとともに、本欄でまとめて、ご返事を書くことにします。
　まず最初のお詫び。「東アジア社会教育研究」第12号に向けての鷲尾真由美さんの論文、以前に拝受したまま、うっかりご返事を差し上げるのを忘れていました。すみません。枚数は４０枚前後まで可能です。もしそれより多くなりそうであれば、またご相談下さい。
　第12号関連では、台湾報告の見通しが暗いので、鄭任智さん（早稲田大・院）にお願いのメールを送信。その返事を風・前号に収録しています。「国家語言発展法」についての提案を頂きました。これを１案として、もしできれば台湾政府や台北市政府のホームページから、最近の終身学習・社会教育の動きを紹介できないでしょうか。「台北市社区大学聯網」（きわめて活発！）のなかから、北投区や南港区などいずれかの１区をとって「社区大学・最近の動き」として主要記事を日本語にする案など、如何でしょうか。ご検討下さい。（締切は６月３０日）
　かねてご意向を尋ねていた呉迪さん（筑波大・院）から執筆したいとの返事が来ました（風・前号）。力作を楽しみにお待ちします。
　魯在化さんからも執筆希望が寄せられています（風1839号）。枚数はどのくらいのご希望でしょうか。なにしろ編集委員からのご提案ですから、積極的に受け止めるべき。次回の編集会議（６月３日、TOAFAEC 総会時）で了承を得たいと思っています。他にも（前回編集会議以降）執筆希望が伝わって来ていますが、いずれ編集会議で。
　なお、留守中に上野景三さんから見城慶和さん「夜間中学はぼくらのふるさと」ＤＶＤ２枚送っていただきました。助かりました。まだ開いていませんが、まことに有り難うございました。

１８４２号【２００７年５月２２日】
◆＜名護そして竹富へ＞
　２００２年夏の社会教育研究全国集会（名護集会）から早いもので５年が経ちます。あのとき名護実行委員会事務局で奮闘した岸本力さんが晴れて結婚の慶事。彼はその後、沖縄伝統の三線の道に精進し、私たちの名護訪問の折には、いつも駆けつけてサンシンを弾いてくれる仲となりました。お祝いの会(６月３０日夜、名護）に出席する予定にしています。
　昨日、島袋正敏さんと久しぶりの電話。その翌日（７月１日）に、新博物館長（島福善弘さん）を囲みつつ名護の皆さんと旧交を温める会を開こうということになりました。先日の風に島福さんが書いているように（1834号「アカショウビンがさえずるヤンバル」）、とりたてのウニと古酒で、歓迎して頂けるとのこと。
　島福さんは名護・源河の人、「源河川に琉球アユを呼び戻す運動」の中心人物の一人です。最近の動きを含めて「琉球アユ」の話をじっくり聞きたいとお願いしていますが、辺野古（文化財調査）問題その他で多忙、今回は見送ることになりました。
　かねて沖縄訪問に関心をもっておられる方々、もしご都合がつけば、この機会にご一緒しませんか？　
　今だとまだ比較的に安い航空券が入手できるようです。小生の分は、上記の日程が確定しましたので、先ほど予約しました。ご参考までに今ＨＰにアップしたところ（→■）。もし沖縄行きご希望の方があれば、名護の宿などまとめて予約しますので、ご意向を一報下さい。
　なお７月２日からは八重山に飛んで、竹富に二日ほど滞在します。これも楽しい旅になりそう。帰京は５日の予定です。もし竹富島にも同行のご希望があれば、もちろん大歓迎です。

１８４１号【２００７年５月２１日】
◆＜思いがけぬ再会＞
　１９日の＜福岡＞油山の会、ご参加の皆様、お疲れさまでした。昼食時にまず最初の乾杯（７人）。午後の陽ざしの中、農中茂徳さんが庭で魚（スズキ、アラカブ、トビウオ、イワシなど）のさばきを始め、そのうち三々五々のお集まりに、無人の家も時ならぬ賑わい。最盛時は１５人ほどで何度目かの乾杯（写真→こちら■）。
　遅れて１０時過ぎに来る人もあり、終わったのは午前１時頃か。総勢２０人。終日を飲み、かつ語り、そして歌い・・・。ぶんじんも若い皆さんに伍してなんとか最後までもちこたえました。楽しい１日、有り難うございました。
　２０日も好天、思い立って、アルコール抜きに油山登りへ。久しぶりにひとり気ままに山道を歩きました。油山観音（６世紀の開山、渡来の僧が群生の椿から油をしぼり、はじめて燈火を灯す、観音像は国の重要文化財指定）を経て片江展望台、さらに頂上への尾根に出たところで引き返し、往復３時間の行程。もう健脚ではありませんが、まだまだ大丈夫、ある程度の山歩きができることを確認。
　さて、思いがけない出会いがありました。疲れてようやく家の前までたどりつき、かねて気になっていた「ギャラリーＧＡＹＡ（画椰）」へ。横の階段をのぼれば、家から歩いて１分の距離。遅めの昼食とコーヒーを頼んだところで、この日ギャラリーでは「松崎芙美子のしごと」展が開かれていることを発見！　驚きました。
　陶芸家（大牟田・暁窯）松崎芙美子さんは故横山宏さんの義妹にあたる方。我が家にも幾つか作品があります。６年前、横山さんのご葬儀でお会いして以来の再会でした。奇遇を喜びあい、横山家の皆さんの消息や、三池闘争当時の故小川太郎さん、故津高正文さんのこと、学生時代の猪山勝利さんや（亡夫・松崎先生の）教え子の農中茂徳さんのことなど、話しは尽きませんでした。
　▼ギャラリー画椰（福岡・油山　070520）　「陶・松崎芙美子のしごと展」（写真移動）→■

１８４０号【２００７年５月１８日】
◆＜油山の庭＞
　１７日のビッグニュース、私にとっては、なんといっても韓国・朝鮮の軍事境界線を越えて南北鉄道が連結したニュース！
　閉ざされていた線路を列車が走るのは５６年ぶりとか。定期列車となるには、まだ大きな壁がありそうですが、東アジアの海をめぐって、ぐるっと旅をする夢がふくらんできます。生きている間に、釜山→ソウル→ピヨンヤン→北京へと（ヨーロッパのように）連結した線路を同じ列車で、自由に動けるようになるかもしれない。いくつか新聞を開いてみると、ゆっくりゆっくりと走る列車の写真がそれぞれ印象的！
　１７日より久しぶりの福岡です。留守にしていた油山の庭は、エビネ蘭などすべて咲き散り、篠竹があちこちと背をのばして、乱雑そのもの。１９日午後に皆さんを迎えるため、今日（１８日）は多少なりとも庭の体裁を整える作業に精を出しました。しばし汗をかいて、一休み。缶ビールを楽しんでいると、遠雷あり、沛然と驟雨、なかば梅雨のような空模様に変わりました。明日の庭の料理は大丈夫かしら。
　３本の白樺のうち、元気のなかった１本はやはりダメなようです。中心の幹からは春の芽吹きなく、残念。しかし下の方から出ている枝には緑の葉がしっかりついている、まだ生きている。これに期待をかけ、なんとか蘇らせたいものと、高枝切りバサミも持ち出して、まわりの藪を切り払い、少し明るい空間もつくりました。頑張れ、ガンバレと、白樺に思いを託しながら、自分を励ましているようなもの。
　すくすくと成長している２本の白樺の若葉は実にさわやかです。明日（１９日）午後、皆さんのお出でをお待ちしています。

１８３９号【２００７年５月１７日】
◆＜『公民館史資料集成』さがし＞
　ふたたび『公民館史資料集成』（1986年）について。この本は『社会教育法成立過程資料集成』（1981年）の姉妹編、いずれも横山宏さんとの共編です。末本誠、上田幸夫、上野景三など（当時の）若い皆さんの協力を得て刊行されました。歳月が経過するにつれて、資料的な価値を増してくるように思われます。
　しかし残念なことに、いま、まったく「入手不可」。古本の市場（ネット）でも姿をみせてくれません。対比して、社会教育法『集成』の方は、最近「日本の古本屋」に何冊も出てきますし、当方の「風の部屋」にも少し在庫があります。しかし『公民館史資料集成』はいま幻の本！
　この絶版の本が、いつぞや版元（エイデル研究所）の隅に１冊だけ発見されたと、山添路子さんが持参されたことを想い出します。たしか新年会の席上、参加者の誰かが入札？したような記憶。これが最後か。
　然るべき図書館にも蔵書がない、なんとか入手できないだろうか、など相談もあります。夜のしじま、寝る前のひととき、パソコンでこの稀少本を探しています。もし、古本屋やネットで発見された折には、ぜひご一報下さい。
　この作業の副産物として、同じエイデルの絶版本『民衆と社会教育－戦後沖縄社会教育史研究』（1988年）を入手。値段がほどほどであれば、注文するようにしています。いま５冊ほど在庫ができました。もしご希望の方があれば、お頒けします。
　数日前、古本屋（すかぶら堂、福岡県宗像市赤間）からきたメール。『民衆と社会教育』購入について「このたびはご注文ありがとうございます。…（中略）…著者ご本人様のご注文ですので、せめて送料をサービスさせていただきます」と。ネットでも古本屋のオヤジの表情が見える感じ。ささやかながら、人情を味わっています。

１８３８号【２００７年５月１５日】
◆＜３５年目の沖縄５・１５＞
　５月１５日で沖縄復帰３５年。今日のヤマトの新聞は、皮肉なことに、憲法改正に向けての、「国民投票法」成立の記事が大きく躍っています。
　朝日の社説は「沖縄復帰３５年」と題して、「自立の道探る若い世代」を掲げていますが、沖縄タイムスは「基地混迷　見えぬ自立」と題して、「所得は依然全国最下位、失業率も全国平均の二倍、財政依存度も依然高い状態が続き、自立への展望はいまだ見えない」と厳しい記事。
　琉球新報もまた、本土復帰から３５年を迎えて、「…この間、三次にわたる沖縄振興開発計画と現在の沖縄振興計画に基づき、８兆８４５億円の沖縄振興開発事業費がつぎこまれ、社会資本整備は急速に進んだ。半面、県民所得は全国最下位を続け、失業率は全国平均の２倍近くで高止まりしたまま。「自立的発展」への道のりは依然として遠い。一方で在日米軍専用施設の７５％は依然、沖縄に集中し、事件・事故も後を絶たない」と。私たちの沖縄への関心もまだしばらく続きそうです。
　ところで１４日のお昼、渋谷で久しぶりにアーデル氏（カイロ大学）と会いました。現在は大阪大学外国語学部の客員教授。いまやエジプトの（いや、イスラーム社会の）日本研究者としては第一人者。しかし日本に来てすでに３年余が経過し、カイロ大学のポストは残っているの？と聞いたところ、例の調子で大きく笑って「ご心配なく、大丈夫！」だと。いま時間があれば東京に来るのでなく、愛息に会いにカイロに帰っているそうです。皆さんによろしくとのことでした。
　当方はここ数日、夏風邪の兆候あり、ビールも旨くなく、冴えない昼食会でした。

１８３７号【２００７年５月１３日】
◆＜ラッキードラゴン＞
　前号の続き。１１日夜「被爆者の声をうけつぐ映画祭」プレイベント（明治大学リバティホール）に出かけました。１５０人前後の参加。６月２日～９日の映画祭では、１５０本を超える作品群のなかから、珠玉１９本を選んでの連続上映プログラム（前号本欄で紹介）。当夜の参加者１人ひとりが２０人ほどを誘ってほしいとの呼びかけがありました。
　映画祭の企画は、若い世代の「原爆関連の映画を見たい」との提案から始まったとのこと。核兵器廃絶の声を受け継いでいこうという実行委員会の切なる思い、ぜひ成功してほしいもの。東京周辺の皆様、この機会に時間をやりくりして、ぜひ映画祭へ。
　プレイベント当夜の講演は詩人のアーサー・ビナード氏でした。ミシガン州生まれの４０歳。来日してすでに１５年余りの歳月とはいえ、日本語でこれほどの表現ができるのかと思うほどの話でした。第１２回日本絵本賞を受賞した同氏構成・文「ここが家だ－ベン・シャーンの第五福竜丸」（集英社）も入手。
　画家のベン・シャーン（１９６９年没）には、ラッキードラゴン（福竜）シリーズで、亡くなった無線長・久保山愛吉を主人公に描いた連作があります。「亡くなる前、幼い娘を抱き上げた久保山さん・・・久保山さんが息を引き取り、彼の奥さんの悲しみを・・・」（アーサー・ビナード「石に刻む線」）などの一文を読んだとき、あの日、泣きじゃくる遺児たちの写真を思い出しました。痛切に胸をえぐる１枚（原水爆禁止日本協議会発行『写真記録・ドキュメント1945～1985－核兵器のない世界を』1987年、№32）。この夜、竹峯誠一郎さんの顔も。
　▼詩人　アーサー・ビナード氏

１８３６号【２００７年５月１１日】
◆＜被爆者の声を受け継ぐ映画祭プログラム＞
　朝日新聞でも「被爆の記録、映画で次代に」（５月８日夕刊）と報じられた映画祭について、丸浜江里子さんからメールをいただきました。このプレイベントが、５月11日夕（明治大学リバティホール）で開かれます。いかにも慌ただしいご案内ですが、「風」も日付を前倒し、連夜の配信となります。恐縮しつつ・・・ご了承をお願いします。
　映画祭の主催団体には、宇都宮徳馬の思想の流れをくむ「明治大学軍縮平和研究所」が名を連ねています。映画祭の会場はすべて明治大学リバティタワー（神田駿河台、会場変更あり）、当日券は大人1200円、学生1000円。問い合わせは「共同映画」（03-3463-8245）。
　映画祭のプログラム詳細は→http://eigasai.exblog.jp/　
　概略のみ以下にご紹介しておきます。
6／2（土） 昼の部13:30～17:00　映画祭開会セレモニー（約30分）
　短編アニメ「ピカドン」（9分）監督木下蓮三、劇映画「原爆の子」（98分）監督新藤兼人　　　　
　講演：「映画は原爆被爆をどう描いて来たか」山田和夫（映画評論家）
○夜の部　18:30～21:00　記録映画「ビキニの海は忘れない」（62分）講演：森康行監督
　記録映画「生きていてよかった」（56分）亀井文夫監督　
6／3（日）朝の部　10:00～12:30　短編アニメ「おこりじぞう」（27分）監督板谷紀之　　　
　スタッフ挨拶　山口逸郎プロデューサー
　劇映画「はだしのゲン（第一話）」（107分）監督山田典吾
○昼の部　13:30～17:00 「ながさきの子うま」（27分）監督河野秋和　
　劇映画「せんせい」（103分）監督大澤豊（挨拶）　
○夜の部　18.30～21:00作品解説　野田耕造（記録映画作協事務局長）
　記録映画「広島長崎における原爆の影響」（164分）
6／4（月）夜の部　18:45～21：15　
　劇映画「ゴジラ」（97分）監督本多猪四郎
　講演：「ゴジラと手塚治虫」石子順（映画評論家）映画の前（25分）
6／5（火）夜の部18:45～21:15記録映画「歩く」（34分）監督　板谷紀之　　
　スタッフ挨拶　山口逸郎プロデューサー
　劇映画「愛と死の記録」（93分）監督蔵原惟繕
6／6（水）夜の部　18.45～21:15劇映画「黒い雨」（123分）監督　今村昌平
　講演：「『黒い雨』のロケに参加して」大原穣子（方言指導者）
6／7（木）夜の部19:00～21:15記録映画「にんげんをかえせ」（20分）　監督橘祐典
　スタッフ挨拶　橘祐典監督
　劇映画「八月の狂詩曲」（98分）監督黒澤明　
6／8（金）夜の部　18.45～21:15　スタッフ挨拶　有原誠治監督
　短編アニメ「つるにのって」（28分）監督有原誠治
　長編アニメ「NAGASAKI1945 アンゼラスの鐘」（80分）有原誠治
　講演：池田眞規弁護士（日本反核法律家協会会長）
6／9（土）昼の部　13:30～17:00
　記録映画「ﾋﾊﾞｸｼｬ世界の終わりに」（116分）監督鎌仲ひとみ
　講演：鎌仲ひとみ監督　肥田舜太郎（被爆医師）
○夜の部　18:30～21:00 劇映画「父と暮せば」（99分）監督黒木和雄
　講演：未定　

１８３５号【２００７年５月１０日】
◆＜事務局のいま＞
　研究サークルも市民運動も、会を運営していく事務局の役割が大事です。TOAFAEC の前身は、沖縄社会教育研究会、当時の事務局は、研究室（東京学芸大学社会教育研究室）メンバーで担ってきました。1995年に現在のTOAFAEC（東京・沖縄・東アジア社会教育研究会)へ移行、その後も事務局体制はもちろんボランティヤ、お互い苦楽をともにしながら頑張ってきました。この１０年余（通算すれば３０年余）の歳月、大したものです。事務局長は内田純一さん（現・高知大学）から石倉祐志さん（生活クラブ連合会）へ。
　ところが昨年秋、石倉さんは体調が充全でなく、しばし休養。事務局長の役割はいま遠藤輝喜さん（渋谷区社会教育館）が代行中。その石倉さんもほぼ恢復してようやく復帰か・・・というところで、先月末「高尾こてんぐクラブ」の活動中（と聞いています）、怪我のため入院のニュース。心配していました。様子が分かりませんでしたが、トクタホさんより次のメール来信（Wed, 9 May 2007 00:30）。
　「 … 昨日（月曜日）石倉さんが入院中の右田病院に行き、会ってきました。石倉さんのケガはそれほど心配でなく、本読みに楽しんでいました。ベッドの横には山ほどの本が重ねてあって、楽しそうに読んでいました。顔色もよく、痛みも、疲れも無いようです。
　“そろそろTOAFAEC に出るかなと思っていたところ、ケガしてしまって申し訳ない・・・。５月末には退院できる見込み、皆様にご心配なさらないようにお伝え下さい”とのことでした。以上ご報告まで。」
　やれやれ、一安心です。どうぞお大事に！（と言っても、恐らくパソコンに接していない？）もうあまり若くはないのだから、お互いに自重して参りましょう。

１８３４号【２００７年５月８日】
◆＜沖縄からのたより、ふるさときゃらばん＞
　東京も日ましに緑が鮮やかになりました。５月の花が咲き、風そよぎ鳥は飛びかい、いい季節です。この４月に新しく名護博物館長になられた島福善弘さんに、お祝いメールを送っていたところ、「アカショウビンがさえずるヤンバルより」の返事をいただきました。アカショウビンの鳴声は・・・キョロ・ロ・ロー（尻下がり）と遠くまで聞こえる澄んだ声。この鳥のように、名護博物館もさらに遠くまで輝きを届けていただきたい。手元にアカショウビンのいい写真がありますが、著作権がありそうな作品ですから、ＨＰに載せるのは控えます。
　ご存知「ふるさときゃらばん」の２００７年・春号が今日届きました（４月25日発行、通巻１１８号）。開いてみると半ば沖縄特集号。今年１月から２月にかけての公演「沖縄みちぶしん」全１３ステージの記録（本島だけでなく石垣・宮古を含む）です。名護の公演では、子どもたちがカーテンコールで役者と一緒になって元気いっぱいに歌った！など。
　沖縄でしか観ることができなかったミュージカル。ほとんどの公演地で２週間前には札止め！まだチケットのある公演地を目指し北から南へと車を走らせる人が続出、裏の手も使って入手したチケットを自慢する人が現れるなど、「沖縄みちぶしん」現象が沸騰したそうです。
　昔、１９８０年代前半の話ですが、ゼミの（留学生を含む）皆さんを誘って、追っかけるように「ふるきゃら」を観に行ったものです。たとえば福井県（旧）美山町。ふるきゃら公演に取り組むことで青年団が復活したところ。２００７春号にも、福岡県那珂川町青年団の「地域と祭りが育てた若者－都市近郊の奇跡」の記録が綴られています。あの山田洋次監督による映画「同朋」（はらから）の世界はまだ生きている…と印象的に読みました。

１８３３号【２００７年５月７日】
◆＜夜間中学の公開授業＞
　ひとすじに夜間中学教師の道を歩まれてきた見城慶和さんのＮＨＫ・ＴＶ映像が連休中に再放送されました（教育テレビ「知るを楽しむ－夜間中学は僕らのふるさと」）。昨年１１月放映の際に録画を失していましたので、救われる思い。しかしうっかり、４回シリーズのうち、第２回録画をセットできず。もしどなたかテープをお持ちであればお貸しいただけませんか。いい番組でした。
　振り返ると、荒川九中で行われた全国夜間中学校研究大会（1970年）に参加したり、学生を連れて学校見学に出かけたり・・・、はるか昔の出会い。見城慶和さんは東京学芸大学の卒業生、その縁もあって、1975年頃より学芸大学（小林担当）「社会教育論」の特別講師として毎年来て頂きました。いつも多くの受講生に深い感銘を与えた名講義。1995年以降は、和光大学にもなんどか来講されました。
　「南の風」には夜間中学について数多く紹介してきましたが、初めての記事は第43号（1998年６月19日号）。同年の「東アジア社会教育研究」第３号には、見城さんに「３７年の教師生活をふりかえって」と題して、夜間中学の教育実践を語っていただいた証言（和光大学・特別講義）あり。また和光大学人間関係学部紀要・創刊号（「学部創設記念連続講演会」記録、1798年）にも講演抄録が掲載されています。
　今回のＮＨＫ映像は、永年の教師生活を振り返って、お人柄がにじみでる貴重な記録、多くの教育関係者に観てもらいたい作品です。
　ところで数日前に、同じく夜間中学教師の立場から果敢に活動を続けておられる関本保孝さん(世田谷・三宿中学校)から、「夜間中公開授業ご案内」が来信しました。
○三宿中学校・公開日時：５月14日(月) ～18日(金) 17:40～21:00（第１校時～４校時）。
　申し込みが必要です。また「生徒の学習環境確保のため，参観希望日の変更をお願いする
　場合」もあるとのこと。詳しくは同中学校（夜間学級）ホームページをご覧下さい。
　→ http://www.setagaya.ed.jp/tmiku/13_night.htm
　▼古いアルバム：右端・見城慶和さん（20020129）

１８３２号【２００７年５月５日】
◆＜油山の会・ご案内＞
　いま中国も大型連休のせいか、「東アジア」第12号編集関連で出した数本のメールに返事がありません。日本でも皆さん、ゆっくりとお休みのようで、「風」もなんとなく暇です。当方は、この時期はできるだけ動かないようにして、静かな東京を楽しんでいるところ。
　そんなとき、風・前号送信と入れ違いに訃報が届きました。岩井龍也氏・九州大学名誉教授、享年９０歳。岩本さんには旅先から送信していただき恐縮しています。故岩井龍也さんとの思い出はいろいろありますが、最近はやや回想が多いので、また別の機会にいたしましょう。
　連休明け、次の日程で、久しぶりに福岡「油山の会」を催すことになりました。最近は、2005年夏（社会教育研究全国集会・福岡集会二日目夜）に、沖縄の皆さんを囲んで盛大な一夜。しかしその後はとくに油山で飲む機会がありません。３０年来続いてきた正月や旧盆などの行事も、数年前から、正月は（幼い孫たちのため）東京で迎える慣わし、夏の旧盆もどこかを歩き回っていて、油山に落ち着くことができません。
　というわけで、５月薫風の季節、久しぶりに相集って、いくつかお祝いの乾杯をかわし、主なき家にも酒をそそぎ、ゆっくり語り合おうという趣向です。お誘い合わせの上お出かけ下さい。
　日時：2007年５月１９日（土）午後４時頃から夜にかけて（適当な時間帯にどうぞ！）。場所：福岡市城南区東油山３－２６－２９：小林宅 ℡092-801-0765（西鉄バス：13「檜原」、113「片江営業所」行き、「油山団地前」下車、バス停より徒歩５分、ＨＰに地図添付）。ご一報あれば迎えます。庭の料理など、農中一家や樋口知子さんなどにご面倒をおかけします。もともとは農中家の御祝いの話から始まったのに、申しわけありません。
　いま油山の庭は、エビネ蘭が咲き乱れている頃。５年前と２年前の画像を探し出しました。
▼主なき庭、いまエビネ満開か。５年前(2002年5月5日)撮影　＊２年前(2005年5月9日）はこちら→■

１８３１号【２００７年５月３日】
◆＜“若夏の御祝”＞
　薫風の５月となりました。５月１日はもうメーデーではない時代。街に出ても、この日特有の、あの遠くから聞こえてきた地鳴りのようなデモの風景はどこにもありません。
　１日の夕べはやや雨模様、目白の小さなホールで催された琉球芸能の公演、題して「若夏の御祝」（バガナツヌウエエ）に出かけました。歌・サンシンは新城亘、踊りは比嘉いずみ、人形劇「ちょんだら」は桑江純子（劇団かじまやぁ）の皆さんの熱演でした。
　新城亘さんは八重山（石垣）出身。比嘉さんと桑江さんは名護出身。亘さんとはお兄さんの故新城剛さん（八重山博物館学芸員）と知子さん夫妻を通して、また、桑江さんとは名護の友人たちを介しての、懐かしい出会いでした。それに加えて、当日の司会をした吉田正勝さん（うたごえの店「ともしび」メンバー）は未知の人だと思っていたところ、なんと！東京学芸大学卒。「先生の公民館の講義を聴いたことがありますよ」と挨拶をいただき、びっくり！
　新城亘さんは（パンフレットによれば）１９９０年に２３年つとめた横浜のＮＴＴを退職し、沖縄県立芸術大学に入学、以来１６年かかって昨年３月、「琉球古典音楽・安冨祖流の研究」で博士号を取得されたそうです。当夜は「三線博士ミニ講演」もあり、博士号おめでとう！のプログラムでもありました。　
　桑江さんの人形劇団「かじまやぁ」には、その昔、東京学芸大学・児童文化サークル「麦笛」メンバーが訪沖の際、たしかお世話になったこともあったような。数年前の飯田市人形劇フェスタでお会いして以来の久しぶりのステージ。台湾の伝統人形劇で修行された腕前と、琉球の芸能文化が結合した見事な人形劇「ちょうんだら（京太郎）」に圧倒される思い。新城亘さんが歌う「鳥刺し舞」のリズムもまだ耳から消えません。写真１葉。
　▼左より桑江純子、新城亘、比嘉いずみ、の皆さん－熱演を終えて

１８３０号【２００７年５月１日】
◆＜ダーオさんの写真、メッセージ＞
　ベトナムの地域学習センター＝公民館の「生みの母」と呼ばれるダーオさん。これまでベトナムのインフォーマル教育に関する施策づくりの中心人物。まだお会いしたことがありません。津久井純さんメールに添付された写真を拝見すると、笑顔が美しい方ですね。昨年の日本公民館学会年報（第３号）に収録されたダーオ論文（「ベトナムの地域学習センター」）の写真ではうかがえない素顔、有り難うございました。
　メールと写真をホームページに収録させて頂きます。津久井さん、ご了承を。ＨＰ表紙の左側記録欄「ベトナム地域学習センター」を開いて下さい。
　ことのついでに。ホームページには、１９９８年の「ベトナム教育法」（翻訳：津久井純・坪井未来子）を収録しています。その後、この教育法は２００５年に改正され、ようやく地域学習センターについて１条が設けられたようです。しかしダーオさんによれば、まだ施行規則等の細則は用意されず、制度的には宙吊り状態、CLC運営の人件費等もなく、村の役人の兼任で動いているとのこと。
　２００５年の改正法については、あらためての日本語訳（全訳）をお願いしています。いずれそのうちに・・・と期待しているところです。
　“ベトナムの公民館”は、１９９８年頃から設置が始まり、２００６年現在、なんと７,３４８館、全コミューン（行政末端単位）の７割近くに達しているそうです（昨年のダーオ論文）。ダーオさんからは、日本の公民館関係者による訪問を期待している、日本の公民館に学びたい、とのメッセージ。日本公民館学会あたりでベトナム訪問を企画していただけないでしょうか。その際には、ぜひ参加したいもの。
▼左・津久井純さん、右・ダーオさん

１８２９号【２００７年４月３０日】
◆＜「魯迅と日本」＞
　２７日夜の研究会席上で、黄丹青さん(紹興出身、東京大学・院修了)から、一冊の本を頂きました。黄中海著『魯迅与日本』（紹興名人叢書、2002年）。表紙の題字がまことに流麗な墨字、しばし見とれました。聞けば著者直筆とのこと。著者は黄丹青さんのお父上、惜しまれながら亡くなられました。遅ればせながら、謹んでご冥福をお祈りします。
　黄さんのお父さんが著名な魯迅研究家であることは伝え聞いていました。ずいぶん前に藤岡貞彦さん（一橋大学、当時）が何かの一文で紹介したこともあります。本の著者紹介によれば、他に魯迅についての数冊の著書があり、紹興・魯迅中学の副校長もされていたようです。
　「魯迅心中的藤野先生」等の各章にたくさんの写真。著者ご自身で撮影された「日本文化」に関する（一部にカラー）画像も多数。本文は詳細には読み切れませんが、これまでにない１冊とお見受けしました。
　魯迅に関しては、いくつもの思い出があります。何よりも、故横山宏さん訳出の顧明遠著『魯迅－その教育思想と実践』(同時代社刊、1983)。顧明遠さん（北京師範大学、中国教育学会会長）は、魯迅の縁に連なる人。2004年の中国成人教育協会・年次大会（北京）の壇上で、久しぶりにお会いして固い握手を交わしました。
　この本には、魯迅が辛亥革命後の中華民国・教育部（蔡元培・教育総長）に招かれて（1912年）、誕生したばかりの社会教育局・第一科長に任ぜられたことが記されています。魯迅の思想や生涯はほぼ承知していますが、新政府・社会教育行政の担当者として、魯迅はどんな仕事をしたのだろうと、かねがね興味をもってきました。どなたかに教えていただきたいと思いながら、心残りのまま時が過ぎていきます。
▼古いアルバム－右・顧明遠先生（２００４中国成人教育協会・年次大会、１２月６日）

１８２８号【２００７年４月２８日】
◆＜二度目の１２８回研究会＞
　昨日（２７日）夜の定例研究会は数えて１２８回。最近は、「聞き手」や「進行」役に控えてきましたが、この回、ぶんじんは自ら買って出て久しぶりの「報告」者、テーマ「竹富島憲章と公民館」。まだ勉強不足ながら、介添え役のように、東京竹富郷友会のお二人（有田静人・顧問、大浜勝子・副会長）が出席して下さいました。他に、新しい方のご参加もあり。皆さん、有り難うございました。
　実は私たちの研究会の前身、東京学芸大学を拠点に活動してきた「沖縄社会教育研究会」は、１９９５年２月に１２８回をもって閉会しました。当日の記録をみると「２月２０日－１２８回研究会　照屋秀裕（名護市社会教育主事）ヤンバルの社会教育をかたる、仲宗根政善先生を偲ぶ（小林文人）、東京学芸大学社会教育研究室における沖縄社会教育研究会の閉会宣言！」となっています。
　１２８回を迎えるまで１９年が経過していました。この間に定例研究会だけでなく「沖縄訪問・調査５３回、学会発表１２回、戦後沖縄社会教育史料刊行７冊、『民衆と社会教育』出版、論文発表多数」の記録も。
　その後、東アジアの視点を加えたTOAFAEC （東京・沖縄・東アジア社会教育研究会）が発足して１２年。二度目の１２８回研究会となったわけです。竹富の報告をしながら、あらためてこの３０年余り、研究会を足場に元気に動いてきた幸せをかみしめていました。
　終わって駅前の（十数人がやっと座れた）店で楽しく飲んで、ビールだけなのにやや飲み過ぎ。深夜１２時にソウルの魯在化さんから電話が来るというので急ぎ帰宅。酔いがまわってどう受け応えたしたのか、１日明けた今、あまり憶えていない。この夜、来日中の張林新さんは“風の部屋”に泊まりました。さて来月１２９回以降の研究会、これからどう展開していくのか。何回まで続くことになるでしょうか。
▼右・有田静人さん、左・大浜勝子さん

１８２７号【２００７年４月２５日】
◆＜菊池一春さんの快挙、想い出いろいろ＞
　北海道・訓子府（くんねっぷ）の菊池一春さんが見事！町長選に勝利されました。森田はるみさんのレポートと新聞記事で、当選の感激場面が目に浮かぶよう。快挙とはまさにこのこと、おめでとうございます！
　菊池さんは、社会教育研究全国集会の歴史に語り継がれる１９９０年第３０回北海道（知床）集会の立役者、オホーツク社会教育研究会の当時の代表。この集会の準備過程で印象的な出会いがありました。
　第３０回全国集会がなければ、森田はるみさん（東京学芸大学・院生－当時）も「北の大地」（置戸町・社会教育）に就職することはなかったわけですから、運命的な集会そして菊池さんとの出会い。あれからすでに２０年近くが経過したことになりますね。
　ぶんじんは、ちょうど同じ日程で、台湾政府の招きを受け、知床集会そのものには参加できませんでした。北に走るか、南に飛ぶか、ずいぶん迷った記憶があります。しかし大学付属図書館長として半ば公務の出張、その直後に九州大学での日本教育学会シンポへの参加もあり、南を選んだのでした。たしか台湾の公式日程を終え、台北空港にたどりついて、疲労のなかシンポ報告の準備。一首「読み人知らず」の歌を詠んで、月刊社会教育編集部に送った記憶あり。編集長の佐藤進さんが編集後記欄に載せてくれたような・・・。
　翌年の第３１回全国集会は松本でした。この時、ぶんじんは社全協委員長。松本集会の翌日、小金井（東京学芸大学）に戻って、臨時「沖縄社会教育研究会」を開催。松本に参加された菊池一春さん、森田はるみさん（すでに置戸で仕事を始めていた？）、それに沖縄からの喜納勝代さんなど、北と南の豪華メンバーを迎えての歓迎会となりました。菊池さんは沖縄への強い関心を持ち始めていました。
　菊池さんの当選の話題から、想い出いろいろ。ながくなりますので、この辺で。　

１８２６号【２００７年４月２４日】
◆＜TOAFAEC 編集会議、事務局会議、総会の準備を＞
　２７日の第１２８回（４月定例）研究会「竹富島憲章と竹富公民館」（小林報告）には、東京・竹富郷友会からもゲストとして、ご出席頂ける模様です。こちら側の参加が少ないと、面目がありませんので、皆様ふるってお出ましいただけますよう。会場は、いつもの高井戸ではなく、永福和泉区民センター（杉並、井の頭線・永福町）です。お間違いなくお願いします。（南の風第１８１９号に「ご案内」）
　５月定例研究会は、５月２５日（金）を予定、しかしまだテーマ・報告者が決まっていません。候補はいくつかありますが、ご提案などあればお寄せ頂ければ幸い。　
　TOAFAEC 年報（第１２号）への自由投稿申し込み期限が過ぎました。その報告もあり、他の予定原稿の進捗状況、今後の作業への段取り等について編集会議を開く必要があります。連休前後に事務局会議とも重ねて、日程を決めては如何でしょう。
　日本社会教育学会より、六月集会プログラムも届きました。６月２日～３日、会場は宇都宮大学。この時期に開く恒例のTOAFAEC 総会に向けて準備を始める時期となりました。場所は宇都宮か、東京にするか、日時をどうずるか。神戸（代表）、高知や九州から参集のご都合もあると思いますので、ご相談の上、早めに確定いたしましょう。そのためにもまずは事務局会議を。場所は永福「風の部屋」ＯＫです。

１８２５号【２００７年４月２２日】
◆＜那覇から東京へ＞
　竹富から那覇に戻って、２０日には長嶺徳助氏（沖縄県青年団協議会第18代会長、糸満市在住）を訪問。青年団リーダーとして激烈な復帰闘争を担った当時の興味深いお話を聞きました。ご案内は、安谷屋孝勇さん（沖縄青年会館・常務理事）。往復の車中は、いろいろ積もる話も。
　東京に帰って、２１日「韓国生涯学習研究フォーラム」（第２回、川崎）に出席。名古屋や福島からもご参加があり、夜の懇親会も含めて充実した１日となりました。別れて数時間後には小田切督剛さんより研究会報告（→■）が届き、いつものことながら素早い対応！まことに有り難うございました。　　　
　この間、いくつかの私信的なメールを頂いています。そのまま「風」に収録できる内容ですが、一括して本欄でご紹介しておきます。
　一つは、中村誠司さん（名桜大学）から「東アジア社会教育研究」第12号に向けて、定広由起さん「日韓姉妹都市交流」研究のご紹介。ご寄稿については歓迎、どうぞよろしくご準備を、とお伝え下さい。原稿の締切りは６月３０日、デッドラインは７月１５日です。
　二つは、内田純一さん（高知大学）から５月連休中の台湾訪問スケジュール案。実りある旅を祈ります。昨年に続き、ぜひ「風」にレポートをお寄せ下さい。
　三つ目は、李正連さん（名古屋大学）から、「東アジア社会教育研究」第２号のご注文。留守中にメールを送信されたそうですが、氾濫する迷惑メールの山にまぎれこんで削除してしまったらしい。たいへん失礼しました。早速に対応いたします。２１日・研究会（川崎）への日帰りご出席、お疲れさまでした。

１８２４号【２００７年４月２０日】
◆＜鳥囀り花咲き蝶も舞う－竹富島＞
　隔日に発行してきている「風」も、今回は４日ぶり。１６日から１９日まで那覇－竹富と移動していました。パソコンは那覇に残して、竹富島には持参せず。おかげさまで時間はゆっくりと過ぎていきました。旅の疲れどころか、むしろ元気を回復。いま那覇のホテルに戻ってこの日誌を書いています。
　もう若夏かと思っていたのに、むしろ寒いような竹富島でした。１８日未明には烈風・強雨あり、縁先に脱いでいた靴はびしょ濡れ。サンダル履きで島を歩きまわる始末。同夜は喜宝院蒐集館々長・上勢頭芳徳さんのご自宅で「竹富島憲章と竹富公民館」についてお話をお聞きしました。熱のこもった３時間。こんな機会を数日重ねて、詳しい記録を作りたいところですが、日程的にそうもいかず。憲章づくりや町並み保存運動（その基盤に竹富公民館が機能してきた）からすでに２０年。芳徳さんにぜひ「２０年史」を書いていただきたいとお願いもしてきました。
　当夜の記録は、同席の前本多美子さん(東京学芸大学卒、竹富島在住)にテープ起こしをお願いして、『東アジア社会教育研究』第12号に掲載する予定です。お楽しみに。
　１９日は一転して見事な晴天となりました。旧暦３月３日の「浜下り」当日。ぜいたくに竹富の浜を堪能。まず、西桟橋へ。そしてコンドイ浜→カイジ浜・いわゆる星砂の浜→（南下は断念して再び北上）ニーラン石→安里屋クマヤ墓→（北端の）美崎御嶽へ。潮の香を楽しみながらの砂浜、野道に入ると、鳥囀り花咲き蝶も舞うなかの一人歩き。よく歩いたものです。万歩計の数字は新記録。
　ようやく集落に戻って、「うたりや」（一度入ってみたかった食事処）の木漏れ日の下で生ビール。うまい！しばし至福の一人時間を楽しんで（うたた寝も）、帰りの舟に飛び乗ったという次第です。幸せな１日となりました。今回もまた竹富の皆様にお世話になり、有り難うございました。書きたいこと、いろいろ。
▼左・上勢頭芳徳さん、掛軸「かしくさやうつぐみどまさる」（上勢頭亨・書）　撮影・前本多美子さん

１８２３号【２００７年４月１６日】
◆＜安井郁生誕百年の会、そして奈良へ＞
　４月１４日午後、「安井郁先生生誕百年の会」が市ヶ谷・私学会館で開かれました。東京（帝国）大学と戦後の法政大学の教え子の皆さんや原水禁運動の関係者が参集。国会議員、学者、教師、かっての全学連運動の闘士など多彩な顔ぶれ、印象深いひとときでした。
　皆さんが「安井先生」の想い出をこもごも語るなか、いま安井家所蔵資料データーベース化の作業が続けられていること、原水協理事長としてだけでなく、杉並公民館の館長でもあった安井郁の仕事について、短いスピーチをさせていただきました。ご一緒に出席された丸浜江里子さんから当日の印象など送っていただければ幸いです。
　帰宅してみると息子たち一家が来訪。孫たちの賑やかな声に迎えられて・・・、「遊ぶ子どもの声聞けば、我が身さえこそ・・・」の心境。そして１５日、珍しく早起きして関西に向かったという次第です。
　奈良へ。社会教育研究全国集会（阪奈和集会）プレ集会。お昼近くに会場（奈良市中部公民館）到着。関西の顔なじみだけでなく、受け入れの奈良や貝塚あるいは米原などからの若い世代の参加をみていると、社会教育関係の運動として新しい時代が始まったのではないかと思いました。それぞれ（おそらく）難しい課題をかかえての取り組み！
　奈良市生涯学習財団の稲富和美さん（和光大学卒）も元気そう。田中伸一くん（同）は進路的なジャンプを考えているらしく、いつもになく引き締まった顔つき。懇親会に遅れてかけつけた彼に、激励の乾杯をして別れました。人生というものは、いくつか跳躍をしなければならないときがあるものだ、頑張れ！と。
　夏の全国集会（第４７回、於貝塚）「小地域・自治公民館」分科会について、貝塚の松岡伸也さん（社全協副委員長）といくつか意見交換も。次回のTOAFAEC 研究会（４月２７日）の折、世話人の横浜・伊東秀明さんにご報告します。
　美味しいサンドイッチを見つけて、缶ビールを楽しみながら、関西空港ロビーで書いています。今から沖縄です。（４月１６日午後１時）
▼奈良の皆さん、若き群像（阪奈和集会プレ集会 in 奈良、懇親会）、左端・田中伸一くん

１８２２号【２００７年４月１４日】
◆＜竹富の写真集＞
　沖縄に関心をもち始めて既に３０年余。仕事に疲れると、よく沖縄の歌を聞き、写真集を見ます。私たちが沖縄研究を始めた頃、ちょうど小橋川共男さんの写真集『沖縄・御万人の心』（1979年）が世に出て、その画像に心打たれるものがありました。ようやくまとめた『民衆と社会教育』（エイデル研究所、1988年）の口絵写真には、小橋川さんにお願いして「エイサー」や「ムラの公民館」などの画像を掲載。小難しい本は、エイサーを躍る「みやらび」の笑顔で救われたというのが大方の評。
　いま竹富島に行く用意をしながら、大塚勝久写真集『うつぐみの竹富島（たきどぅん）』（琉球新報、2005年）を開いています。心が浮遊して、活字の論文など読む気にならない。夕陽のなか「わらべ歌あそび」（おそらく「ふーゆべまー」の歌か）の写真など、しばし見とれて仕事が手につきません。大塚勝久さんには、1992年にもほぼ同じタイトルの写真集（『うつぐみの心・竹富島』葦書房）があり、“竹富の心”に魅せられてきた歳月がよく分かります。
　“うつぐみ”とは「協同」「互助」の意。竹富の古謡「しきた盆」の最後の１節に「かいしくさ　打組（うつぐみ）どぅ　まさりょうる」とあり、「賢いことよ　仲間ごころが　すぐれている」と解説が付されています（上勢頭亨著『竹富島誌』法制大学出版会、1979年）。竹富のいわばキーワード“うつぐみ”。お互いに協同し、心を組みあう意味です。竹富島出身の狩俣恵一氏（沖縄国際大学、民俗学）によれば、“うつぐみ”は島びとが独自に創り出した言葉、「学校にも郵便局にも、子どもたちやお年寄りたちをはじめ、竹富島のありとあらゆるものには、それぞれの“うつぐみ”の心が宿っている」（大塚勝久写真集）と。
　竹富島に通うようになって、写真集の中にも、少しずつ見知った顔が増えてきました。

１８２１号【２００７年４月１２日】
◆＜阪奈和プレ集会in 奈良－桃杏四海＞
　昨日、奈良の稲富和美さんから「プレ集会in奈良」（４月15日）ちらしが届きました。集会については「風」に数回、稲富さんと田中伸一さん（いずれも奈良市生涯学習財団職員）からの熱いメッセージあり。
　二人とも和光大学の卒業生です。小林研究室によく出入りした人たち、縁あって奈良・社会教育に就職しました。お二人の元気な顔を見に奈良へ出かけるつもりです。
　あと一つ、和歌山大学の山本健慈さんとどこかで同席した折、酒を飲みながら、阪奈和・社会教育研究全国集会への取り組みに「きっと顔を出してほしい、きっと！」などと言われた経過があります。15日の集会は山本さんの講演から始まるらしい。行かずばなるまい！そんな気持。
　稲富さんが案内してくれたホテル（風1813号）はツインの高い部屋しかなく、諦めて自分で尼ヶ辻駅近くの安い部屋（インターネットにもつながる）を予約しました。ご安心下さい。
　翌16日は、関西空港に出て沖縄へ。那覇経由で南の竹富島へ飛びます。「竹富島憲章と竹富公民館」をテーマに島を歩きまわる予定。竹富島には東京学芸大学時代の卒業生・前本（鈴木）多美子さんがいます。いろいろ手配をお願いしているところ。まさに「桃杏四海」（教え子が四つの海にいる）、皆さんにお世話になりますが、どうぞよろしく。
　さきほど渡部幹雄さんからも、「…14日に都合がよろしければ近江八幡（公民館見学）へ、一泊して翌日の奈良まで御案内しますが …」とのお誘い（Thu, 12 Apr 2007 07:40）。14日は、東京（安井郁先生生誕100年の会）にいることにします。忘れずに有り難う！

１８２０号【２００７年４月１１日】
◆＜異動の季節－メールマナビン６００＞
　“学ばんとほっす”人たちのためのメールマガジン、いわゆる「メール・マナビン」はこの４月に入って６００号の大台に乗りました。横浜市磯子区を主な舞台に、たしか２００２年暮れ？の誕生。とすると４年あまりで６００回の配信ということになりますね。ご苦労さま。発行人の伊東秀明さんはいつもお元気そうで何より。さらなる継続を！期待している人がたくさん。まずは６００号のお祝いを申しあげます。
　ところが、先日の６０２号（４月７日）には４月異動を知らせる一文。教育（生涯学習）行政から福祉行政へ異動とのこと。同じ地域－磯子区での異動ですから、むしろ福祉へウイングを伸ばす機会になるのでしょうね。しかし生涯学習関連の皆さんは寂しくなるのでしょうか？
　毎号末尾に掲げられている伊東さんの思い、「メールマナビンは教育・医療・福祉をつなげます。住んでいてよかった、いつまでも住んでいたいと思える町づくりに役立ちたい。戦争・環境など、世界の課題を地域から解決したい。」このメッセージの意味をあらためて味わっています。
　相次いで、鶴ヶ島の平井教子さんからも異動の知らせ。昨年の市長選以降の経過から考えて、複雑？なコメントもありそうですが、「公民館を所管する課」の担当とのこと。大事な役割、頑張って下さい。
　４月は異動の季節、「南の風」の皆さんにもいろいろんな動きがあることでしょう。お差し支えなければ、異動など皆さんのそれぞれの風をお寄せいただければ幸い。ぶんじんは、異動なし、です。

１８１９号【２００７年４月９日】
◆＜田辺信一さんの想い出＞
　風・前号の本欄にふれた「故田辺信一さん」についてお尋ねをいただきました。感想二つ。一つは風（ぶ）欄記事も案外細かく読んでいる人がいる（有り難う！）。二つは、田辺さんを知る人も少なくなった、その音容を知る世代として過ぎし歳月を思うことしばし（年をとったものだ！）。この機会に、田辺さんのことを少し書くことにします。
　急逝されたのは１９７４年９月（享年４９才、脳動脈瘤）。「月刊社会教育」は同年１１月号に追悼記事を載せています（ぶんじんは当時編集長）。中原吉郎さん（風・前号）が寄せた挽歌。
◇兄逝きて道しるべなき思いせむ芙蓉の咲けるこの道先きに
　田辺さんが書いたものはたくさんありますが、とくに公民館に特化したかたちではなく、『地域社会教育論』上下(ドメス出版、１９７２年)が主著でしょうか。没後に遺稿集刊行委員会によって『生活復権のために』（同、１９７６年）が編まれています。巻末には詳しい年譜あり。
　遺稿集の「はじめに」に故三井為友氏が、田辺さんは幼少期から「一人旅」で苦労したことを書いています。経歴は、川口市教育委員会（社会教育課）に勤務しながら、東洋大学（社会学科）に学び、職を追われた後、生活科学調査会、医歯薬出版、新生活事業センター等で編集・出版の仕事にたずさわり、さらに新生活運動協会・生活学校の運動に関わって、全国を飛び回った人です。
　東海大学等いくつかの大学で非常勤講師をされますが、むしろ在野の理論家であり運動家。「月刊社会教育」初期からの編集委員、また社会教育推進全国協議会の設立メンバーの一人。才気あり気骨あり（毒舌もあり）、全国的な拡がりで社会教育関係者との結びつきをもった人でした。その早すぎる落日、多くの人が急逝を悲しみました。最後に、遺稿集のなかで故野呂隆さんが紹介している田辺信一さんの歌一首。
◇何事にも耐えて大地にしがみつける雑草の如く生きてゆかんか

１８１８号【２００７年４月７日】
◆＜長門の俳人＞
　昨日、山口県長門市の中原吉郎さんから句集『天地自尊』（長門時事新聞社発行、2007年3月9日）が送られてきました。立派な本です。待望の出版、おめでとうございます。この機会に山口についての回想をを少し・・・・。
　最近はご無沙汰していますが、かって山口県にはよく出かけたものです。宇部市や山口市、豊浦町（いま下関市）をはじめ懐かしい友人も少なくありません。豊浦町の中央公民館は、東京「三多摩テーゼ」をモデルに建設された施設。面白い経過があって、ぶんじんは同町の公民館運営審議会委員を数期つとめたこともあります（1970年代後半）。宇部市には大橋謙策さん（日本社会事業大学）とコンビで、25年ほど、毎年の講座に通いました。
　山口県社会教育関係者とのお付き合いは、まず長門市の中原吉郎さん（当時、社会教育主事）から始まったのです。1960年代のこと、その頃、ぶんじんは九州産業大学、なんと半世紀近い歳月。中原さんは故田辺信一さんとも親しく、1965年頃からは社会教育研究全国集会の常連。「月刊社会教育」への寄稿も多く、「社会教育私史」（1983年）を３回連載、「かがり火」の執筆もあります。かっての山口県社会教育研究会の顔、農業問題や地域づくりのことなど、合宿して語りあったものです。
　私が和光大学に勤務していたころ、同付属（梅根悟記念）図書館には「月刊社会教育」バックナンバーが収蔵されていませんでした。中原さんのご厚意により、貴重な「月刊」一揃いを無料でお譲りいただきました。忘れられません。この機会にあらためて御礼を申しあげます。
　中原さんは長門市役所を退職後、市議会議員、そのかたわら「長門時事新聞」社を設立。10年ほど前から俳句の世界へ。長門俳句協会々長、「金子みすゞ顕彰全国俳句大会」事務局長など。いま82才の長老ながら、矍鑠としてお元気です。
　われわれが作る本は、定価を安くするため表紙などいつもペラペラものですが、中原さんの『天地自尊』はこれぞ美装本、輝くような出来映えです。194頁に367句というぜいたく。発行日は誕生日とのこと。
　すべての仕事をやめて、いま読んでいるところ。本欄も長くなりますが（いつものこと！）、初めの章の句をいくつかご紹介いたしましょう。
　◇みすゞ忌や鯨供養の島を訪ひ　　　◇春雷や遠きいくさを語るとき
　◇反骨の詩碑に触れたる落椿　　　　◇診断の妻を待つ間の濃あぢさい
　◇枯葉舞うウォール街を曲がるとき　 ◇酒倉の裏より出でて恋の猫
　◇呆けたる役の子もゐて里神楽　　　◇海峡の砲火はむかし風薫る
　◇樹木医の鋭き眼の追いし蟻の列　 ◇愚かさと無知を数へて除夜の鐘

１８１７号【２００７年４月５日】
◆＜横浜山手中華学校＞
　昨年１２月初旬、川崎で開かれた日本公民館学会（忘れもしない、その夜に奥田家に弔問に行った）の翌朝、黄丹青さんのお誘いで「横浜山手中華学校」（孫文の提唱、百余年の歴史をもつ）を訪問しました。
　このことについては、南の風1751号（昨年11月23日）他に黄さんの案内記事（中華学校見学）が載っていますが、あの頃、ぶんじんは中国へ「南船北馬」の旅に出かける直前で、本欄に何も書く余裕がありませんでした。かねて黄さんに訪問記を書くよう求められていて、４ヶ月前のことを想い出し、昨日やっと短いレポート（いま書き終えたばかり）を送信したところです。この機会にその１部を紹介させていただきます。
　「横浜山手中華学校を訪問して－（抄）－　とくに印象深いこととして・・・日本の近現代史における華僑学校の歩みについてです。学校ホームページによれば、広東語、寧波語そして北京語等の多言語で教育する学校の歴史を知りました。また震災や戦災また1950年代の「学校の分裂」「臨時校舎」建設を経過しての苦難の歩みがあったことも、初めて知りました。・・・
　…それぞれの民族のアイデンティティを尊重し、多民族共生の視点から学校教育や社会教育のあり方を深く考えていく必要を感じました。政治家の中には「単一民族」主義を標榜する人もあり、また市民の意識のなかにも民族的な偏見や差別につながる問題もないわけではありません。同じ都市に多民族がともに楽しく住み、それぞれの民族的な教育が豊かに展開していくような「共生」の地域づくりと市民意識の形成を考えていく課題を教えられたように思います。・・・
　…地域（学校外）の華僑の皆さんの活動があったこと、あるいは｢成人クラス｣（1948 年）の試みなどにも興味をもちました。学校を支える地域社会、子どもを支援する親・成人の取り組みが、とくに民族学校としては重要な意味をもつのでしょう。この点について、もっとお話を聞く機会を得たいと思っています。・・・
　…学校見学が終わって、山手町から元町への坂を下り、横浜中華街でご一緒に昼食をとりました。美味しい中国料理と楽しい歓談が忘れられません。山手中華学校があたかも横浜中華街の地域と食文化に包まれているように感じたひとときでした。」
　▼横浜山手中華学校・潘民生校長（左）の熱弁

１８１６号【２００７年４月３日】
◆＜１２号・編集会議＞
　今年になって何度か本欄にも書き、ご相談してきた研究年報『東アジア社会教育研究』第１２号編集会議は、３月３０日午後（定例研究会に合わせて）開くことが出来ました。本格的な企画・編集の論議が始まりました。ご出席の皆様、ご苦労さま。
　１２号まで（１２年間）よくぞ続いてきたものです。少なからざる方々の期待と声援、TOAFAEC の皆さんの思いと協力、があったればこそ！
　創刊号（1996年）以来のいろんな想い出が蘇りますが、とくに２年前に「１０年一昔の譬えもあるではないか！」「世代交代だ！」などと騒いだ？（TOAFAEC代表も末本誠さんに交代してもらった）経過がありました。しかし前後の事情で（昨年に引き続き）今年も編集を担うことになりました。気力を維持しつつ頑張りたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
　３０日の編集会議（出席８名）で話しあったことは、編集委員・事務局の皆さん（海外を含め総勢２４名）に直接メールでご報告（ホームページにも掲載）しました。なにしろ“東アジア”の海を越えての作業ですから、なかなか大変。Ｅメールの時代でなければ出来ないことです。
　おおまかなスケジュールは、４月２０日が投稿申し込み締切り。６月３０日に原稿締切り。７月１５日あたりが最終原稿デッドライン。その後に編集委員会として原稿読み合わせ、調整、リライト、写真・地図・カット等の用意、校正作業、８月下旬に印刷。９月６日の仕上がり、９月８日からの日本社会教育学会（東京農工大学）搬入、という流れです。
　作業はできるだけ分担して進めていきましょう。個別にお願いもしていきますので、その際はどうぞよろしく。まわりの関心ある人に「投稿呼びかけ」を拡げてください。なお特別維持会員で、まだ会費未納の方はご協力のほど、なにとぞよろしく！お願いいたします。

１８１５号【２００７年４月１日】
◆＜春の夜、宴はつきず＞
　３月30日、私たちの年報編集会議（午後）と３月定例研究会（夜）、いつもの高井戸区民センターの同じ会場で開かれました。東京はこの日に桜満開！かって毎年盛大な花見の会を催してきた研究会として、わずかでも桜を楽しむ時間をもちたいものだと、ひそかに画策。両会議の間に３０分でも休憩をとり、外に出て、花見が出来ないかと。
　２月の春節に上海・呉遵民さんがお土産にもってきてくれた名物・蒸し鶏（真空パック）がある、よく切れるナイフとアルミホイルを用意して・・・。ところが、杉並は東京でも桜が多いところなのに、あいにく高井戸区民センターには１本の桜もない。時間も押せ押せ・・・缶ビールを仕入れにいく余裕もなく、結局のところ、企画倒れでした。
　編集会議が終わったところで、蒸し鶏パックを開きましたが、ちょっと味見しただけ。うまい！と心を残しながら、研究会が終わったあとの懇親会で賞味することに。
　午後・夜にかけ食事なしで頑張った身には、この夜のビールはことさらに美味しい。懇親会の参加者（１４名参加）の大半は初対面、乾杯が続き、春の夜の歓談と交流。深夜バスで帰る米山義盛さんや鎌倉の伊藤長和さんを送り出したあとも話題ははずみ、「看板」まで会は終わりませんでした。
　時間に追われ、ビールに酔って、（ちょうど３０日の日付で出版された）熊本・山城千秋さんの新著『沖縄のシマ社会と青年会活動』（エイデル研究所）をご紹介することを失念。この日に合わせて本を送っていただいた山添路子さんに申し訳ない。著者・山城千秋さんからの一文をお待ちしています。
　▼懇親交流会（「イーストビレッジ」　20070330）

１８１４号【２００７年３月３０日】
◆＜豊後人の手植えカボス、いま実る＞
　本号所収の渡部メールは、すこし解題がないと、初めての方には分かりにくいかもしれませんね。発端は、読み人知らずの“戯れ歌”二つ。
　ところは福岡油山の隠れ家。時はおそらく１９８７年、２０年前です。
◇豊後人持ちくれしカボスけなげにも花をつけたり主なき庭に
◇はろばろと山越えて来し豊後カボス花は咲けども未だ実らず
　当時、渡部幹雄さんは豊後・緒方町の社会教育(博物館、図書館など)の仕事をしていました。また数年は大分県連合青年団長も。盆や正月に福岡へ滞在していると、はるばる久住連山を越えて会いにきてくれました。ときに面白い（人を驚かす）話を持って・・・。ある年にカボスの苗を持参し、庭に植えてくれたのでした。
　柑橘類の植樹は難しいと聞きます。庭に穴を掘って、投げ込んだだけの苗が育つはずもなかろうと思っていたのに、根がつき花が咲きました。さすが！と驚きましたが、なかなかカボスは実らない。その後、仕事を辞めて大学院生となった彼。将来を案じ、いい論文も期待して「未だ実らず」の歌となりました。
　それから、数年たって・・・。メモにこんな歌が残っています。日付は1991年10月22日。
◇豊後人の手植しカボス四歳すぎ実をも結ばず枯れ果てにけり
　主なき庭に、旱魃の夏もあったのです。この一首はいたく本人を傷つけたこと間違いなし。緒方の母上にも伝わったらしく、毎年その季節になると、ご自宅からカボスを送っていただきました。恐縮この上なし。
　もちろん、その後の「豊後人」の活躍は瞠目に値するもの。長崎県森山町に図書館をつくり、さらに請われて滋賀県愛知川町の意欲的な図書館づくり、自著すでに二冊、ちかく三冊目が出るらしい。花が咲き、実がたわわに結び始めました。まわりの人々の期待に応え,“読み人知らず”も喜んでいます。最近は多忙で首が回らない様子を心配しているところ。
　ついでに、「…枯れ果てにけり」と同じ日付の歌一つ、そして、近作の拙歌あと一つ、蛇足ながら添えます。
◇さんさんと縁側にふる秋光にすべてを棄てて我が身さらせり－1991年10月22日－
◇母上の給いしカボスしたたらせ甘鯛の白身桃杏の味わい－2007月3月29日－

１８１３号【２００７年３月２８日】
◆＜柳川掘割物語＞
　さらに柳川の話が続きます。ご存知のように柳川は水郷、掘割のまちです。西鉄・柳川駅からそう遠くないところに乗船場があり、ゆったりと観光「ドンコ舟」が水路を下っていきます。何度か乗ったことがありますが、風景だけでなく、暮らしのなかに生きている掘割を実感することができて、忘れがたい想い出。今や全国から年間１００万をこえる観光客が訪れる時代となりました。
　柳川にとって「水」はキーワード。筑後川が有明海に注ぐ河口デルタに形成されてきた城下町には、縦横に掘割が造られ、飲み水・生活用水ともなり、農業用水でもあり、水運や防衛的な役割を果たしてきました。水路の総延長は、実に470キロメートルとも言われています。
　その風景が変化していくのが、おそらく1960年代の経済高度成長期。1935年頃から上水道が完備した経過もあり、飲み水として利用されてきた水路はむしろ生活排水で汚れ、ゴミが流され、ヘドロが溜まり、悪臭を放つようになっていく。市当局も掘割を埋めて都市下水道計画（たしか国・県の予算もついて）が実施段階に直面したとき（1977年）、担当の自治体職員・係長（広松伝氏）の掘割再生の訴え－“反乱”と言われた－があり、それに応えた市長の英断も加わって、市民の理解と協力への運動にも発展していく。そして、今日の柳川の水郷が蘇生し「川下り」観光も拡大していく道が拓かれるのです。
　柳川の「水」に生きるドラマは、アニメーション界のゴールデンコンビと言われる宮崎駿（製作）・高畠勲（監督）によるドキュメント映画に情感豊かに記録されました（「柳川掘割物語」1987年、約３時間）。広松伝さんは、この映画の監修・脚本協力として名が残っていますが、『柳川掘割から水を考える』（広松伝編、1990年、藤原書店）や『ミミズと河童のよみがえり』（1987年、河合）などの本もあります。しかしその後、惜しまれながら将来を残して亡くなられました（享年64才、敗血症、2002年）。
　柳川の掘割の物語には、残念ながら、公民館はまったく登場しません。この点では、竹富島憲章をつくり、集落町並み運動を担ってきた竹富公民館とは対照的なところがあります。

１８１２号【２００７年３月２６日】
◆＜飛ばまし、今一度（白秋・帰去来）＞
　…前号につづく。北原白秋「帰去来」の詩になぞって言えば「久留米は我が産土（うぶすな）」。筑後川の流れによって有明海に通じています。北にのぼるとすぐ博多、玄海の海の幸に恵まれ、また南の有明の魚貝文化圏にも属しているのです。戦争が激化する前、幼ない頃に久留米・水天宮の下から舟を仕立てて、親戚一統で有明の潟（がた）に潮干狩を楽しむ春の行事をかすかに憶えています。久留米の「浜下り」。戦後はみな余裕がなくなって、そんな行事も消えてしまいましたが。
　久留米の母の味で忘れられないのが、有明海「くっぞこ」（口底、したびらめ）。表面の暗赤色に似合わない実に上質の白身、その煮付けはまことに美味。少年の頃、病後には最初に食べさせてもらったものでした。それに加えて元気になると「たいらぎのわた」の味噌汁。寒い季節にピッタリ、思い出しただけで体が温まる想い出。
　今回の柳川「つむら」では、「くっぞこ」はありませんでした。秋から冬にかけてが旬の魚。それに「アサリ」もあと１週間後が旬とのこと。アサリの前線も桜前線とほぼ並んで南から北へ北上する、「本当にいいアサリが手に入ったときだけ、生（いき）むきで食べさせる」「プチッとはじける身、独特の旨みとコク！」の話だけでした。
　「つむら」から歩いてすぐに白秋生家、また近くには白秋詩碑苑もあります。ことのついでに「帰去来」（北原白秋）の一節を…。
“山門（やまと）は我が産土（うぶすな）
　雲騰（あが）る南風（はえ）のまほら
　飛ばまし、今一度”
“筑紫（つくし）よ、かく呼ばへば
　恋ほしよ潮の落差
　火照（ほでり）沁む夕日の潟（がた）”
　（中略）
“帰らなむ、いざ、鵲（かささぎ）
　かの空や櫨（はじ）のたむろ
　待つらむぞ今一度”
　（後略）　

１８１１号【２００７年３月２４日】
◆＜イソギンチャクの唐揚げ－有明の潮の香り＞
　21日の研究会、福岡の皆さまにお世話になりました。懇親会は久しぶりの方々とお会いできて、楽しいひととき。御礼を申しあげます。
　ところで、最近の（ぶ）欄は、案外と真面目？なテーマが多く、それに追悼記事など重なって、関わりのない方には申しわけないな、などと恐縮しながら書いています。もともと本欄は、ぶんじんの勝手気ままな息抜きページ。お許しください。本号は久しぶりに食べ物の話、有明海の美味しい珍味のご報告をいたしましょう。
　柳川に行ってきました（22日）。農中茂徳さん（筑後養護学校教員）がこの３月でめでたく定年退職、その息子の至くんが九州大学・院にみごと合格。二人のお祝いの会を柳川で企画したのです。ご一緒に誘いたい人もいたのですが、急な話、無理になってはいけないと控えました。
　畏友・故待鳥恵さん（福高組委員長をへて日教組副委員長）が柳川出身。その縁で学生時代から柳川は懐かしい街です。近年では待鳥さんの案内で、小川利夫さんとも一緒に飲んだ寿司屋があります。今回、農中さんが探し出してきたのは別の店。「有明海珍味専門店」を看板にしている「つむら」（ホームページに写真）。白秋生家や料亭「御花」のすぐ近く。故檀一雄の最後の筆と伝えられる「もがり笛　いく夜もがらせ　花に逢わん」の色紙が飾られています。
　まず出てきたのは、ワラスボ、イソギンチャクの味噌煮、ご存知のムツゴウロ－、平貝のワタ（たいらぎのわた、貝柱のびらびら）、メクヮジャ（通称・三味線貝、イカの先祖とか）など。刺身の皿はコノシロと貝柱、これに青ネギを添え有明海苔で巻いて口に放り込む。
　私たちが特注したのは、イソギンチャクと幻の魚エツの唐揚。これに感激！終わりはウナギの（蒸籠蒸しでなく）蒲焼きとご飯、ダゴ汁など。
　このなかでとくに印象的なのはイソギンチャク、初めて食しました。絶品というべきでしょう。聞けば有明海一帯では家庭でも食べたそうです。柳川から最終特急で福岡へ。この夜は、お腹の中で、たくさんのイソギンチャクがいつまでも生きていました。（次号へつづく）
　▼柳川料理「つむら」

１８１０号【２００７年３月２３日】
◆＜東アジアへかける夢二つ＞
　ヨーロッパの東西の壁が崩壊したあと、折りにふれて（いまなお分断が続いている）東アジアにかける一つの夢を語ってきました。わが故郷・博多から玄海を渡って釜山に遊ぶ。一路北上してソウルへ、そのままさらに北のピョンヤンへ。新しい友を探して、ともに語りあいたいと。
　この話を聞いていた魯在化さん（ソウル）が、「そのときは私の車で行きましょう…」と応じてくれました。そして「もうすぐですよ、きっと実現しますよ！」とも。あれからすでに１０年近くが経っています。
　私の夢はまだ続きます。ピョンヤンを発って北京へ。北京から烟台経由で上海へ。そこから台湾海峡を飛んで直接に台北にたどりつく。その後はもちろん海上の道で八重山・沖縄へ、ゴールは名護だ。「大国林道」（酒場）あたりで盛大に盃をあげナゴンチュ（名護人）のサンシンで旅の打ち上げとする。そんな夢が叶うのはいつのことだろう？
　ソウル－ピョンヤンだけでなく、上海－台北への道もまだ通じていません。朝鮮・台湾への植民地支配の歴史を多少でも知っている世代の一人として、生きている間に、東アジアの海をめぐる平和の旅を実現したい、そんな夢なのです。
　３月21日・福岡での「東アジアの視点から日本の社会教育を考える」　講演でも、最後にこの夢を語りました。これに加えて、あと一つの夢も。釜山と福岡の、海を越えての社会教育の交流です。川崎からの小田切メールも期待しているように、次の機会には、福岡と釜山の社会教育関係者がともに語りあう、そんな場面に出会いたいものだと。
▼福岡の公民館を担ってきた群像－若者の合唱（福岡社会教育研究会二次会 20070321）

１８０９号【２００７年３月２０日】
◆＜白樺は芽吹く＞
　信州・阿智村昼神温泉で第１９回現代生涯学習研究セミナーが開かれていた３月１７日、東京では午後から夜にかけて佐藤一子さん（東京大学）の退職記念シンポジウムとパーティが開かれました。全国各地から多数の参加あり、盛大な会でした。学会はもちろん社全協や「月刊社会教育」編集関係者の顔もいろいろ。よくみられる教授退官「最終講義」の定型的なかたちを脱したいい企画。
　翌１８日夜、久しぶりに和光大学（旧）小林プロゼミ（2001入学）の皆さんより声がかかって、懐かしの「のむぎ」(和光大学前)に集まりました。卒業して２年の若者たち、職場の条件など厳しい様子ですが、飲めばみな元気。こちらも（花粉症で控えていたのに）つい飲み過ぎました。「先生、若いよ！」などと励まされて、いい気分。
　２０日ようやく福岡へ。今年になって初めてなのです。油山の空き屋を樋口知子さん親子に掃除していただき、有り難うございました。信州から移植した庭の白樺３本、うち１本は勢いが弱く心配、しかしそれぞれにしっかりと芽吹いていました。主なき空間も、いま静かに春の気配、桜ももうすぐ。
　明日２１日午後、福岡・社会教育研究会（特別セミナー）へ参加予定。「東アジアの視点から日本の社会教育を考える」のテーマで話を求められています。さて、どんな展開になるか。心は春の気分です。

１８０８号【２００７年３月１８日】
◆＜花を待たず人は逝く＞
　前号に続く。津高正文さんの訃報と相前後して、北九州・小野隆雄さん（もと北九州市中央公民館長、図書館長）のご逝去を知りました。
　小野さんは筑後平野の浮羽・水縄のご出身。筑紫次郎の水系に育ったという意味では私たちは同郷。お互いにまだ若い頃、５０年近く前の出会いでした。小野さんは水縄の青年団・公民館活動から北九州へ出て旧八幡市公民館主事、ぶんじんは九州大学助手。
　小野さんの水縄への望郷の思いは切なるものがありました。「… 私は水縄を故郷と呼ぶとき、静かな、何時までも変わらない平穏な美しい山里を思います。夕陽を受けて鮮やかに映えるはぜの紅葉、赤い柿の実、…(略)…　ここでは誠実と謙虚な心だけで充分に人間として尊重され、心から人の善意に信頼を置くことができました。言葉足らずともその意はつくされ、物は貧しくとも心は豊かに満たされた世界でした。…」（小野『公民館私記』1982年、私家版、p61）
　1966年に水縄公民館のレポート（小林「生産復興と公民館」月刊社会教育｣第10巻4月）を書いたのは、故林克馬さん（水縄公民館主事、全国公民館連絡協議会<初代>副会長）と小野さんからの聞き取りと提供された資料にもとずくもの。
　全公連結成の契機となった第１回全国公民館職員講習会（小金井・浴恩館、1950年）の記念写真には、鈴木健次郎・岡本正平や林克馬の諸氏と並んで、最前列に青年・小野隆雄の笑顔、まことに印象的。小野さんのご逝去により、日本公民館史にとって記念すべき集会の参加者はすべて亡くなられたことになりましょう。
　昨年６月、小野さんから形見分けのような感じで、林克馬氏の公民館初期資料２点が送られてきました（風1665号「公民館の話」）。虫の知らせ、北九州の山下厚生さんに「こんど九州行きの機会には小野さんにお会いしたい」とご相談していたところでした。

１８０７号【２００７年３月１６日】
◆＜訃報あいつぐ＞
　いま国会審議の様子をはじめとして、政治も行政も（一括して言うのはよくないが）かなりひどい状況に陥っているようです。加えて確定申告の季節、そして花粉症など重なって、ここ数日、ウツウツとして楽しくありません。そんなとき、悲しい報せもやってくるのです。
　末本誠さんから津高正文さん（もと神戸大学教授）が亡くなられたとのメールが届きました。故横山宏さんと親しい仲、その関係もあってか、個人的にいろいろとお世話になりました。一時期、神戸大学・社会教育主事講習に呼ばれて、毎年のように神戸に通いました。三ノ宮あたりで美味しいお酒や食事をご馳走にもなりました。
　まだ社会教育の文献が少なかった頃、若い私たちにとって津高さんの本（『社会教育論』1956年,230円）は貴重な道しるべ。「社会教育の民主的な発展に寄与しよう」「近畿の社会教育を打ち出そう」（近畿社会教育協議会編『現場の社会教育』同年、220円）といったテーマを追求されてきたように思います。その後の津高編『地域づくりと社会教育』（1980年）、『戦後社会教育史の研究』（1981年）等が、その具体的な展開でしょう。読み返してみて、いまや貴重な記録。
　想い出いろいろ。たしか須磨の駅前の寿司屋で、当時まだ大学院生だった小林平造や園田教子たちと一緒に、たらふくお寿司を食べさせてもらったこと。神戸に行くべき主事講習の日時を間違えて、国立の自宅でゆっくり朝食をしていたとき、かかってきた電話の声。厳しい調子だったはずですが、今は津高さんの温容のみが目に浮かびます。はるかにご冥福を祈ります。
　相前後して、北九州の小野隆雄さん（もと北九州市中央公民館長、図書館長）の訃報が届きました。３月３日ご逝去とのこと。虫の知らせとも重なって、驚きました。（以下次号）

１８０６号【２００７年３月１４日】
◆＜年報にかける思い＞
　今年度のTOAFAEC 年報『研究』12号について、編集会議の開催をご相談し（風1796号）、本号では「投稿呼びかけ」を掲載しました。→■
　『東アジア社会教育研究』は1996年の創刊。冒険そのものの出発でした。小さな研究サークル、財政的基盤もなく、理論的蓄積も弱い、取り組むテーマはとてつもなく大きい。「東アジア」のテーマにかける思いと心意気のみ。試行錯誤の歩みが続いて１２年。毎号200頁～250頁の厚みをもって独自の年報が世に出てきたのです。編集委員会だけでなく執筆者、訳者など、海を越えての多くの方々の協力があったればこそ！
　多少の表現上の微調整はありますが、創刊以来の「編集方針」は次の通り。新しい「風」メンバーもいらっしゃいますから、掲げてきた５項目、あらためて再録しておきましょう。
　【編集方針】
(1) 東アジア（沖縄・東京等を含む）の社会教育・成人教育・生涯学習等に関する研究、調査、
　情報交流の“ひろば”を創る
(2) 実証的精神・手法を重視し、新しい政策・研究動向を積極的に収録する
(3) 一定の研究水準を堅持しつつ、東アジアからの留学生、若い研究者に研究発表の場を
　提供する
(4) ＴＯＡＦＡＥＣ研究会の活動記録
(5) 民間非営利、不偏不党、自由闊達、の編集
　方針は、『研究』各号の末尾ページに載せています。これに続く【投稿要領】の第１項目は「本誌の編集方針に賛同するものは誰でも投稿することができる」。皆さん（ご自身の執筆を含めて）、まわりの方々によろしくご喧伝ください。　
　▼『東アジア社会教育研究』第１０号発行（2005年9月18日）

１８０５号【２００７年３月１２日】
◆＜旅の回想＞
　風・前号の石井山さんに引き続き、手打明敏さん(筑波大学)、益川浩一さん(岐阜大学)のお二人からも、タイ・カンボジア調査のレポートが届きました。印象的な調査旅行だったことが伝わってきます。有り難うございました。
　話はすこし飛躍しますが、あらためて自分の沖縄や東アジア各地への旅を思いおこしています。初めての沖縄調査(1776年)、あのときの衝撃的とも言える沖縄との出会いは終生忘れることはないでしょう。1980年代に相前後して渡った韓国や中国の各都市、あるいは台湾への旅。時間をかけ準備を重ねて渡航するというより、面白いことに、最初のきっかけはいずれも偶発的あるいは衝動的でした。旅とか出会いとかは、本来そういうものでしょうか。
　いい旅の出会いがあると、迷惑もかまわず自分の感動を語りたくなりました。機会をつくって、まわりの人たちを誘いたくなりました。沖縄や東アジアへの旅は、ほとんど一人で行ったことはありません。そういう中で、研究会が拡がり、調査旅行が重ねられてきたのでした。
　東京学芸大学の一時期、管理職となって、それも過激な学生たちとの「団交」に対峙したり、修羅場も経験したり。精神的にウツ状態に落ち込んだら、衝動的に沖縄へ飛ぶのが慣わし。そこで沖縄の友人たち、つまり沖縄の「歴史と文化」に出会って、救われるところがありました。
　回想を始めると、また長くなります。今回のタイ・カンボジアへの旅の皆さんで、「NFE・CLC
（ノンフォーマル教育・コミュニテイ学習センター）研究会」あるいは「東南アジアCLC 研究会」等を始めていただけないでしょうか。「東アジア」の私も衝動的に参加したい。

１８０４号【２００７年３月１０日】
◆＜バンコクからの風－アジアのＣＬＣ＞
　本号には、南・沖縄だけでなく、さらに南に飛んで、カンボジア・タイからの風が舞い込みました。ＮＦＥ・ＣＬＣ（コミュニティ・ラーニング・センター）調査団の忙しい日程の中、刺激的なレポート（東北大学・石井山竜平さん）を送っていただき、有り難うございました。
　TOAFAEC は、沖縄や東アジアの、いわば海をこえる視点をもって社会教育・文化の研究交流を提起してきましたが、なかなか東南アジアまで及びませんでした。それに一石を投じたのが「ベトナムの地域学習センター」についての津久井純さんの報告（『東アジア社会教育研究』第11号、2006年）。今年の第12号にも、ベトナム“公民館の母”と呼ばれるダオー女史（ベトナム教育政策カリキュラム院）の報告が掲載される予定です。
　東南アジア・途上国のそれぞれの歴史と風土のなかで胎動し始めているＣＬＣ。そのモデルと考えられがちな日本の公民館について、石井山メールは「むしろ日本の公民館が陥っている今日的疲弊をきちんと紹介する」必要を指摘しています。聞くところによれば韓国では、ドイツの社会文化運動に学びながら、地域施設のあり方について「日本の公民館の轍を踏まない」とする論点がだされているとのこと。
　ＣＬＣや公民館は、それぞれの国の現代史、その政治や行政と地域や民衆の暮らしが凝縮した地点に形成されてきているのでしょう。それだけに国・地域の固有の特性をみる視点が大事、同時にそれを超えてアジアのＣＬＣに共通する発展の方向を考える論議が期待されるところです。そのなかに日本の公民館の再生の課題も位置づけてみたいもの。
▼ベトナム・フックセン村・地域学習センター（チュンタム・ホックタップ・コンドン）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　－2006年、津久井純・提供－

１８０３号【２００７年３月８日】
◆＜雪の北陸、湖北への道草＞
　６日～７日は福井・鯖江へ出かけていました。雪が舞い、７日朝は一面の銀世界。雪のない冬を過ごした身には今年の初雪でした。この二日間、いくつも初めての出会いがあり、いささかの充実感。お世話になった皆様、有り難うございました。
　まず鯖江の公民館との出会い。数年前の福井市等との合併協議では公民館のあり方等をめぐって、結果的には合併が白紙にかえる経過があったと聞いています。その鯖江市公民館連絡協議会の皆さんが一堂に集い、溌剌と議論し懇親を深める夜。その場に初めて参加し、すすめられるままにビールを楽しみ、深夜のホテルで花粉症が発症したのはご愛嬌。
　鯖江市の公民館主事は「社会教育専門員」（現在22人、公民館数10）として発令されていますが、位置づけは正規常勤職員ではなく不安定。いろいろと課題があるようです。しかし館長グループも職員集団も皆さんお元気！
　７日午後は東京への帰途、米原（まいばら）で道草をしました。電話して滋賀・愛知川の渡部幹雄さん（図書館長）と駅前で落ち合い、車に乗せてもらって、指定管理者制度のもと新しい挑戦を始めている米原市の公民館を（４館のうち２館）訪問。道すがら図書館（これは直営）にも。指定管理者（ＮＰＯ）に委託された公民館の現場に立つのは初めてなのです。
　米原公民館では専務理事・高見啓一さん、また近江公民館では館長の山田裕美さんから話を聞きました。二人とも公務員から転身してＮＰＯの立ち上げに参加し公民館の経営を受託した経歴。給料は大きく下がり、展望もおそらく不透明？それだけに公民館にかける志しのようなものを感じました。同じ市の公民館なのに、違った雰囲気で施設が動いている様子が印象的。短い時間でしたが、公民館と指定管理者の問題について、多くのことを考えることができました。
　呼び出したつもりではなかったけれど、結果的にそうなってしまって、渡部さんに迷惑をかけました。またいずれ・・・。こんどは浅野平八先生ご推奨「近江八幡の公民館」（風1784号）への道草をお願いします。
▼左より渡部幹雄さん、小林、高見啓一さん（米原公民館にて）

１８０２号【２００７年３月６日】
◆＜『沖縄社会教育史料』＞
　かって東京学芸大学・社会教育研究室を拠点に活動してきた沖縄社会教育研究会では、戦後アメリカ占領下の社会教育・文化についての稀少資料や証言を収集・編集して、７冊の『沖縄社会教育史料」を刊行してきました（1977年～1987年）。第１集から数えると、すでに３０年が経過。証言集に登場されている方々も大半は物故者となられ、いまや貴重な『史料』となりました。
　その後（1995年以降）、この沖縄研究会は東アジア社会教育研究会となり、沖縄『史料』が基礎となって『東アジア社会教育研究』の編集刊行（今年・第12号予定）へと発展してきたのです。
　『沖縄社会教育史料』の第１集（特集・戦後沖縄社会法制、1977年）と第３集（戦後社会教育史・証言集、1979年）はいま保存分のみ、他の５冊はまだ在庫あり（各1200円）。このＨＰにも「頒布資料」ページに写真入りで掲げています。ところが、ぶんじん“風の部屋”には今まったく在庫がありません。
　実は先月の沖縄訪問中、具志川の宮城英次さん（現うるま市史編さん委員会委員長、同市社会教育委員会議長）にお会いした折り、１セット揃えて送ってほしい、と依頼されました。宮城英次さんは、『沖縄社会教育史料』発刊当時の沖縄県教育庁・社会教育主事、史料収集にあたっての恩人。旧「おきなわ社会教育研究会」（那覇）からお手元に届いているものとばかり思っていましたので、恐縮してしまいました。事務局で対応をお願いできるでしょうか。

１８０１号【２００７年３月５日】
◆＜東京・竹富郷友会＞
　先日の竹富島訪問の折、阿佐伊孫良さん（もと竹富公民館長）より紹介していただき、東京・竹富郷友会の３月例会に参加しました（３日）。
　２０人近くの賑やかな集い。この日はたまたま会長さんなど欠席、いつもはもっと賑やかだそうです。「親島」は小さな集落(１５０戸余り)なのに、その出身者で毎月例会を開き、八重山連合会「八重山まつり」への芸能出演など協議、さまざまの情報を交流し心を通わせあう独自のネットワーク。皆さんの島への思いに心うたれるものがありました。
　これまで沖縄関係の県人会（川崎、鶴見など）には出席したことがありますが、集落レベルの「郷友会」は初めて。この日、同郷友会の創立６０周年記念誌、８０周年記念誌「たけとみ」（1925～2005）の２冊を頂戴しました。いずれも立派な内容。高い水準の論稿もあり、詳細な年表が竹富－東京をつなぐ見事な地域史となっています。
　終わって駅前（JR大崎）の飲み屋で二次会（画像一枚アップ）。テードゥンムニ（竹富方言）は分かりませんが、竹富にまつわる話がいろいろ面白く、楽しいひとときでした。座が終わる間際に、はじめての参加を歓迎しての歌一つ。短い一節ながら胸にじんときました。
　♪あがとから　来る船や　ばがいぬ　とぅんちゃーま♪（世迎いゆんた）。「あんな遠くから来る船は、我が上の神船…」（上勢頭亨『竹富島誌』歌謡・芸能編、p88)。宝船を迎える歌なのです。もっと聞きたい思い。この夜、東京の空にも、月はさやけく輝いていました。
　▼二次会（JR大崎駅前、3月3日夜）

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