<訪問記録>
2005年5月・台湾訪問記録
・2006年5月・2007年5月−台湾訪問記録 →
・関連−台湾・生涯学習・社区営造の動き(1998〜2015〜)→■
・関連−山口香苗「台北の風」(2015〜2016〜)→■

 

<教育関連法制>

・教育基本法(台湾・1999) 林 郁慧 訳 →
・社会教育法*未入力 (1953年成立、その後改正−2015年廃止)
・台湾「開放大学法」草案(2004) 楊 武勲 訳 →■

 <本ページ> 
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
 
終身学習法(台湾:2014年・2018年改正)  山口 果苗 訳
          
(下掲:同・2002年成立法    楊 武勲 訳)
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■

      終身学習法2014618日改正)*2018年613日公布(改正箇所
      華総一義字第 10300093731 号令
         改正公布全文22条;公布日施行      

第一条 この法律は、終身学習の奨励、終身教育の促進、社会教育の強化、学習機会の増進、国民素質の向上に資することを目的とする。

第二条 本法での主管機関とは、中央においては教育部、直轄市においては直轄市政府、県(市)においては県(市)政府とする。

第三条 本法の用語は、以下のように定義する
 一、終身学習:個人が一生涯にわたって携わる各種学習活動を指す。
 二、終身学習機構:終身学習を提供する学校、機関、機構および団体を指す。
 三、終身学習専門職員:終身学習機構で終身学習の課程計画、教学および指導に従事する各種別の専門職員を指す。
 四、楽齢学習:終身学習機構が提供する55歳以上の者が携わる学習活動を指す。

第四条 終身学習機構の種類は以下である。
 一、社会教育機構:
  (1)社会教育館。
  (2)図書館。
  (3)科学教育館あるいは科学類博物館
  (4)体育施設。
  (5)児童および青少年娯楽施設。
  (6)動物園。
  (7)その他社会教育機能を有する機構。
 二、文化機構:
  (一)文化類博物館あるいは展覧施設。
  (二)文化センター、芸術センターあるいは演劇施設。
  (三)生活美学館。

  (四)その他文化的機能を有する機構。
 三、学校、政府機関、社区大学と前二項以外で人々に多元的な学習を提供する非営利機構および団体。

第五条
 終身学習の範囲は以下である。

  一、正規(フォーマル)教育の学習:国民教育から高等教育までが提供する段階的な学習体制。
  二、非正規(ノンフォーマル)教育の学習:正規教育の学習体系以外で、特定の目的あるいは対象のための組織的な学習活動。
 三、非正式(インフォーマル)教育の学習:日常生活あるいは環境内で行われる非組織的な学習活動。

第六条 各級主管機関は終身学習政策、計画および活動を総体的に計画しなければならない。
 各級主管機関は前項の規定により、所轄あるいは所属する終身学習機構に協力、統合整理、監督し、ならびに個人、学校、機関、機構および団体を結合し終身学習活動を行わなければならない。
 本法が定める規定は、各目的・事業主管機関の管掌者にもおよび、各級主管機関は各目的・事業主管機関と協力しなければならない。

第七条 各級主管機関は定期的に終身学習促進発展会議を開催し、下記の事項を行わなければならない。
 一、終身学習政策方向の審議
 二、終身学習重大計画の審査。
 三、その他関連する事項。
 前項の会議において、各級主管機関は学者、専門家、終身学習機構の代表、政府機関の代表および第二十条第一項で規定した対象の代表を招集しなければならない。

第八条 公立社会教育機構および文化機構は、中央政府、直轄市政府、県(市)政府、郷(鎮、市)役所及び直轄市山地原住民区役所による組織法規に依拠して設立される。
 私立社会教育機構および文化機構は、個人、法人あるいは団体が直轄市、(市)主管機関に設立を申請できる。その設立、変更、停止、監督指導、奨励およびその他の事項は、それぞれ中央主管機関、中央文化主管の定めによる。
 前二項の社会教育機構、文化機構とは図書館または博物館であり、図書館法、博物館法および相関規定に基づいて行われなければならない

第九条 本法の修正施行後、文化機構およびその職員は、法規が他に規定する以外、社会教育機構およびその職員の規定に関わる他の法規を適用する。

第十条 直轄市、県(市)主管機関は終身学習を促進発展するために、社区大学を設置することができる。その設置と発展については他の法律に依って定める。

第十一条 各級学校は学習活動中に学生の終身学習理念、態度、能力および方法を育成し、終身学習の習慣を養成しなければならない。
 各級学校はリカレント教育を行い、学習機会を提供し、国民の終身学習要求を満たさなければならない。
 前項のリカレント教育は、個人が学校を卒業あるいは終了した後、フルタイムあるいはパートタイムにより再び学校で学習を継続することであり、教育、仕事および余暇生活を交互に行う教育形態のことである。

第十二条 終身学習機構は個人の非正規教育の学習過程および成果に従事し、学習成果記録を作成し、学習成果認証の参考にし、ならびに各級学校正規教育と連携するルートを提供する。

第十三条 中央主管機関は国民の終身学習参加への願いを鼓舞するために、非正規教育の学習に対し、学習成果認証制度を設け、ならびに入学認定、単位免除あるいは昇級の参考に資するものとする。
 前項 学習成果認証制度は、課程の認可、単位証明の発給、入学認定、単位免除の条件およびその他相関事項を含み、その方法は中央主管機関の定めによる。

第十四条 各級主管機関は楽齢学習促進計画を定め、予算項目を立て、ならびに終身学習機構が行う楽齢学習活動を奨励しなければならない。
 終身学習機構は前項楽齢学習活動を行い、各級主管機関は補助を与えることができる。その補助の対象、条件、方法、審査基準、訪問視察と指導およびその他の規定は、各級主管機関の定めによる。
 直轄市、県(市)主管機関は楽齢学習活動を行い、成績優良かつ特色ある発展をとげたものに、中央主管機関は奨励を与えることができる。その奨励の対象、条件、方法、審査基準、訪問視察と指導およびその他の規定は、各級主管機関の定めによる。

第十五条 終身学習機構は優先的に終身学習専門職員を選抜任用し、終身学習活動を促進発展させることができる。
 中央の各事業の主管機関は、事業の必要に応じて、各種終身学習専門職員の認定方法、専門内容、専門資格証明書の発行・失効、養成、研修、その他関連事項を定めることができる。
 前記の種類の終身学習専門職員について、中央の事業を担当する主管機関は、専門職員人材データベースを設置することができ、終身学習機構が職員を採用する際の参考とする。

第十六条 各級政府および終身学習機構はインターネット、スマートフォンやタブレット型パソコン、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、書籍などとの連携の必要を考慮し、終身学習活動を計画し、人々の非正式教育の学習機会参加を拡大することができる。

第十七条 終身学習に係るメディアの普及を促進するために、終身学習に係る番組あるいは内容の放送、制作、または一定の時間もしくは時間帯の提供、無料もしくは低価格で各終身学習に係る番組を放送することに積極的に携わるメディアに対し、政府は経費補助あるいは公開的な奨励を与えることができる。その補助あるいは奨励方法は、中央主管機関の定めによる。

第十八条 各級政府は積極的に政府機関(構)、学校、公営事業機構、法に依る設立もしくは立案、登記による法人及び私立機構に、団体の従業員学習制度を確立しなければならない。従業員学習制度を設置するものには奨励を与えることができる。
 前項学習制度は、有給、経費補助あるいは公休の方法を与えることができる。
 第一項奨励対象、条件、手順、方法およびその他関連事項の規定は、各級主管機関の定めによる。

第十九条 各級政府は余裕をもって予算編成し、終身学習活動を促進しなければならない。
 地域の終身学習の均衡的発展のために、中央主管機関は離島、僻地、原住民族あるいは特殊な需要を有する地区に優先的に経費補助を与えなければならない。

第二十条 各級主管機関は、終身学習の機会を普及、発展させ、異なる民族、文化、経済状況、精神・身体状況の対象の特殊性を考慮し、需要に合ったコースを設計し、利用しやすいサービスを提供しなければならない。コース、教材、教師、補助金、その他の関連事項に関する規定は各級主管機関が定める。
 13条第2項に規定する認可コースに依り、中央主管機関は、その裁量により、授業料を補助することができる。対象となる学習者への補助方法、補助率、手続きおよびその他の関連事項は、中央主管機関がこれを定める。

第二十一条 各級主管機関は当該目的・事業の主管機関と連携し、終身学習機構の指導、訪問視察を行い、成果審査制度を設立することができる。終身学習活動促進の成果の優良な終身学習機構あるいは個人に対し、奨励を与えることができる。

第二十二条  本法は公布日から施行する。

*TOAFAEC『東アジア社会教育研究』第19集(2014年改正分)所収


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
台湾の生涯学習法修正動向について(20238月現在)山口香苗

生涯学習法
2002531日制定、626日公布(下掲)
2014530日全文修正、618日公布
2018518日一部修正(4,7,8,10,15,18,20条)、613日公布
2018518日一部修正の内容

2014年 修正前

2018年 修正後

第四条 

終身学習機構の種類は以下である。

一、社会教育機構:

1)社会教育館。

2)図書館、図書情報館あるいは図書室。

3)科学教育館あるいは科学類博物館。 (4)体育施設。

5)児童および青少年娯楽施設。

6)動物園。

7)その他社会教育機能を有する機構。

二、文化機構:

1)文化類博物館あるいは展覧施設。

2)文化センター、芸術センターあるいは演劇施設。

3)生活美学館。

4)その他文化的機能を有する機構。

三、学校、機関と前二項以外で人々に多元的な学習を提供する非営利機構および団体。

第四条

終身学習機構の種類は以下である。

一.社会教育機構:

1)社会教育館

2)図書館。

3)科学教育館あるいは科学類博物館。

4)体育施設。

5)児童および青少年娯楽施設。

6)動物園。

7)その他社会教育機能を有する機構。

二.文化機構:

1)文化類博物館あるいは展覧施設。

2)文化センター、芸術センターあるいは演劇施設。

3)生活美学館。

4)その他、文化機能を有する機構。

三.学校、政府機関、社区大学と前二項以外で人々に多元的な学習を提供する非営利機構および団体。

修正の理由

@図書情報館あるいは図書室」は、実務上、学校、社会教育施設、文化施設内部に設けられており、図書館法第42項規定の図書館の5類型に属するものであるため、語義の重複を避けて削除。
A10条(社区大学の設置と発展について)の修正にあわせて社区大学の文言を入れ、わかりやすくするために社区大学が終身学習機構であることを明記。各レベルの政府が推進する現在の従業員学習制度の対象として、政府組織を含めることが適切であることを考慮し、「機関」を「政府機関」に修正。

2014年 修正前

2018年 修正後

第七条 

各級主管機関は定期的に終身学習促進発展会議を開催し、下記の事項を行わなければならない。

 一、終身学習政策方向の審議

 二、終身学習重大計画の審査。

 三、その他関連する事項。

 前項の会議において、各級主管機関は学者、専門家、終身学習機構の代表、政府機関の代表および第二十条第一項で規定したマイノリティ・グループの代表を招集しなければならない。

第七条

各級主管機関は定期的に終身学習促進発展会議を開催し、下記の事項を行わなければならない。

 一、終身学習政策方向の審議

 二、終身学習重大計画の審査。

 三、その他関連する事項。

 前項の会議において、各級主管機関は学者、専門家、終身学習機構の代表、政府機関の代表および第二十条第一項で規定した対象の代表を招集しなければならない。

 

修正の理由
@「マイノリティ・グループ」という用語は、第20条第1項の改正に伴い、修正。

2014年 修正前

2018年 修正後

第八条 

公立社会教育機構および文化機構は、中央政府、直轄市政府、県(市)政府、郷(鎮、市)役所による組織法規に依拠して設立される。
 私立社会教育機構および文化機構は、個人、法人あるいは団体が直轄市、(市)主管機関に設立を申請できる。その設立、変更、停止、監督指導、奨励およびその他の事項は、それぞれ中央主管機関、中央文化主管の定めによる。
 前二項の社会教育機構は図書館、図書情報館あるいは図書室事業を、図書館法および相関規定に基づいて行われなければならない

第八条

公立社会教育機構および文化機構は、中央政府、直轄市政府、県(市)政府、郷(鎮、市)役所及び直轄市山地原住民区役所による組織法規に依拠して設立される。
 私立社会教育機構および文化機構は、個人、法人あるいは団体が直轄市、(市)主管機関に設立を申請できる。その設立、変更、停止、監督指導、奨励およびその他の事項は、それぞれ中央主管機関、中央文化主管の定めによる。
 前二項の社会教育機構、文化機構とは図書館または博物館であり、図書館法、博物館法および相関規定に基づいて行われなければならない

修正の理由
@地方制度法83条の2にあわせ、「直轄市管轄の山地原住民区役所」を追加し、直轄市管轄の山地原住民区役所の公共社会教育機関および文化機関は、それぞれの組織法規に従って設置されることを明記。

A図書館法第4条第2項に規定されている5類型の図書館には、すでに図書情報館(大学・専門学校の図書館)と図書室(特別図書館または小中学校の図書館)が含まれており、改正後の第4条第1項第2款で、すでに「図書情報館」または「図書室」の文言が削除されていることを考慮し、「図書情報館」または「図書室」という文言を削除。また、博物館法が201571日に制定・公布され、社会教育機関、文化施設である博物館が、同法および施行規則の規定の適用を受けることを考慮し、「文化施設」および「博物館法」の文言を追加、修正。

2014年 修正前

2018年 修正後

第十条 

直轄市、県(市)主管機関は終身学習を促進発展するために、社区大学を設置あるいはこれを委託開設することができる。この設置、委託条件と方法、校務運用、組織、教授陣、課程、学生募集、場所、費用の徴収返却、補助、奨励、評価、学習証明およびその他関連する事項の自治法規は、直轄市、県(市)主管機関の規定に依る。
 前項の社区大学の委託開設をする者は、法による設置あるいは財団法人、公益法人あるいは学校に限る。
 第一項で設置あるいは委託開設を規定した組織あるいは機構でなければ、社区大学の名称を用いてはならない。
 直轄市、県(市)主管機関が開設する社区大学で成果が優良なものは、中央主管機関が奨励を与えることができる。その奨励条件と方法は、審査基準、訪問視察と指導およびその他の事項は中央主管機関の定めによる。
 第一項によって設置規定された社区大学に、中央主管機関は補助を与え、優良な成果、また特色ある発展をしたものには奨励を与えることができる。その補助条件と範囲、奨励条件と方法、審査基準、訪問視察と指導およびその他の事項は、中央主管機関の定めによる。

第十条 

直轄市、県(市)主管機関は終身学習を促進発展するために、社区大学を設置することができる。その設置と発展については他の法律に依って定める。

修正の理由

@「社区大学発展条例」の制定(2018613日公布)を受け、社区大学の設置及び発展については別に法律で定めると明記し、社区大学事業の推進を図る。また、直轄市の県(市)の主管機関は、社区大学を「運営」することとし、その運営方法には従来の自ら運営、または委託運営も含まれる。
 
 2項以降は既に「社区大学発展条例」に含まれる内容のため削除。

2014年 修正前

2018年 修正後

第十五条 

終身学習機構は優先的に終身学習専門職員を選抜任用し、終身学習活動を促進発展させることができる。
 前項終身学習専門職員の種類別と等級、資格取得、業務内容、訓練機構、訓練科目と教授陣、証明書の発給と廃止、在職訓練およびその他の事項は、中央主管機構の定めによる。
 中央主管機関あるいはそれが認可した機構で訓練を経た終身学習専門職員について、中央主管機関は専門職員人材データベースを設置することができ、終身学習機構が職員を採用する際の参考とする。

第十五条 

終身学習機構は優先的に終身学習専門職員を選抜任用し、終身学習活動を促進発展させることができる。

中央の各事業の主管機関は、事業の必要に応じて、各種終身学習専門職員の認定方法、専門内容、専門資格証明書の発行・失効、養成、研修、その他関連事項を定めることができる。

 前記の種類の終身学習専門職員について、中央の事業を担当する主管機関は、専門職員人材データベースを設置することができ、終身学習機構が職員を採用する際の参考とする。

修正の理由

@第二項の修正について:終身学習機関が多様であり、その範囲を定めることは困難であること、また、事業を所管する直轄市、県(市)政府の権限と責任として、単一の法律で終身学習専門職員の事項を決めることが困難であるため、事業を所管する主管機関は、事業目的の必要に応じて、各種の終身学習専門職員の認定方法及び関連事項を定めることができると規定する。中央の各事業の主管機関は、事業の必要に応じて、各種終身学習専門職員の認定方法及び関連事項を策定することができると規定する。
 3款については、2款の改正に伴い文言を修正。

2014年 修正前

2018年 修正後

十八条 各級政府は積極的に政府機関、学校、公営事業機構、法に依る設立もしくは立案、登記による法人及び私立機構に、団体の従業員学習制度を確立しなければならない。従業員学習制度を設置するものには奨励を与えることができる。
 前項学習制度は、有給、経費補助あるいは公休の方法を与えることができる。
 第一項奨励対象、条件、手順、方法およびその他関連事項の規定は、各級主管機関の定めによる。

十八条 

各級政府は積極的に政府機関(構)、学校、公営事業機構、法に依る設立もしくは立案、登記による法人及び私立機構に、団体の従業員学習制度を確立しなければならない。従業員学習制度を設置するものには奨励を与えることができる。
 前項学習制度は、有給、経費補助あるいは公休の方法を与えることができる。
 第一項奨励対象、条件、手順、方法およびその他関連事項の規定は、各級主管機関の定めによる。

修正の理由

@現行の各レベルの政府が推進する従業員学習制度の対象を考慮し、政府組織を含めることが適切であると考え、「政府組織」を「政府組織(機関)」に修正。

2014年 修正前

2018年 修正後

第二十条 

各級主管機関はマイノリティ・グループの終身学習資源を確保し、ならびに社会復帰へ導くために、原住民、心身障害者、低所得家庭と台湾地区に居住し国民戸籍を有する外国籍(大陸地区、香港マカオを含む)配偶者に終身学習機会と資源を優先的に提供しなければならない。 
 中央主管機関は前項原住民、心身障害者、低所得家庭と台湾地区に居住し国民戸籍を有する外国籍(大陸地区、香港マカオを含む)配偶者に対し、第十三条第二項で規定した課程の認可に基づき、学費の補助を与えることができる。
 前項原住民、心身障害者、低所得家庭と台湾地区に居住し国民戸籍を有する外国籍(大陸地区、香港マカオを含む)配偶者の補助方法、比率、手順及びその他関連事項は、中央主管機関の定めによる。
 各級主管機関は台湾地区に居住し国民戸籍を有する外国籍(大陸地区、香港マカオを含む)配偶者に対し、その特殊性を考慮し、その需要に応じた課程を設計し、ならびにアクセスしやすいサービスを提供しなければならない。その課程、教材、教授陣と補助およびその他関連事項は中央主管機関の定めによる。

第二十条 

各級主管機関は、終身学習の機会を普及、発展させ、異なる民族、文化、経済状況、精神・身体状況の対象の特殊性を考慮し、需要に合ったコースを設計し、利用しやすいサービスを提供しなければならない。コース、教材、教師、補助金、その他の関連事項に関する規定は、各級主管機関が定める。

13条第2項に規定する認可コースに依り、中央主管機関は、その裁量により、授業料を補助することができる。対象となる学習者への補助方法、補助率、手続きおよびその他の関連事項は、中央主管機関がこれを定める。

修正の理由

@1項の修正について:「マイノリティ」が「マジョリティ」の相対語であることを考慮すると、主流文化の観点からマイノリティを周辺化する恐れがあるため、この用語は削除。

A旧文は、「主観的」に対象グループ(エスニック・グループ)を定義した上で、これらのグループには「終身学習の機会と資源の提供を優先する」必要性があると認識しているようである。「マイノリティ」を決め、分類する思考から抜け出すため、「異なる民族、文化、経済状況、精神・身体状況の対象」と修正する。

B終身学習は、社会奉仕の機会に導くことを目的としない。「終身学習の機会を普及、発展させ」と修正したい。

C2項と3項を統合し、表現を修正。




■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
参考:終身学習法 (2002年成立  楊 武勲 訳

 2002年 中華民国九十一年五月三十一日制定
       中華民国九十一年六月二十六日公布
       立法院第五届第一会期第十九次会議通過

第一条 (立法目的)
 この法律は、終身学習の奨励、終身教育の推進、学習機会の促進、国民素質の向上に資することを目的とする。
第二条 (主管機関)
 この法律において主管機関とは、中央においては教育部、直轄市においては直轄市政府、県(市)においては県(市)政府とする。
第三条 (用語定義)
 この法律の関連用語は下記のとおりである。
一、 終身学習:個人の一生涯にわたって、従事する各種の学習活動をいう。
二、 終身学習体系:学習活動を提供する学校、機関、機構および団体をいう。
三、 正規教育:小学校から大学までの段階的な教育体制をいう。
四、 非正規教育:正規教育体制以外の、特定の目的または対象のための組織的な教育活動をいう。
五、 社区大学:正規教育体制以外の、直轄市または県(市)政府によって自らまたは委託で地域住民
 に対して終身学習活動を提供する教育機構をいう。
六、 リカレント教育:個人が学校卒業後または中退後、フルタームまたはパートタイムの形で学校に戻
 り学習を継続することによって、教育・仕事およびレジャーが交互に行われる教育形態をいう。
七、 学習型組織:組織がその構成員の学習活動を支持し、効果的な措置を講じ、その構成員が組織
 の目的の達成のために学習することをいう。これにより、個人の不断の成長とともに、組織の機能、
 構造および文化も絶え間なく創造、成長することによって、構成員と組織の同時の発展に寄与する。
八、 有給学習休暇制度:機関または雇用主が労働者に所定の休暇を与え、終身学習に参加させ、労
 働者の職業的・専門的技能を向上させることをいう。
第四条(終身学習政策、計画、活動の企画およびマイノリティ・グループの学習機会への保障)
 各級主管機関は、全体的に終身学習政策、計画および活動を企画しなければならない。
 各級主管機関は、前項の規定により、所轄または所管の終身学習機構に対し、協調、統合、監督を行い、終身学習活動を実施することによって、体系的・多元的な学習機会を提供しなければならない。
 各級主管機関は、マイノリティ・グループの終身学習の資源を確保し、その社会復帰に協力するために、原住民、心身障害者および低収入家庭に終身学習に係る機会および資源を優先的に提供するよう努めなければならない。
第五条 (民間機構との統合)
 住民の終身学習を促進するために、地方政府は、民間非営利機構、組織および団体と連携しなければならないと同時に、当該地域における既存の各種の終身学習活動を考慮し、作成した終身学習の全体計画を各主管機関の終身学習推進委員会に送付し、通過後にこれを実施する。
第六条 (終身学習推進委員会の設立、任務および編成)
 各級主管機関は、終身学習推進委員会を置かなければならない。その任務は次のとおりとする。
一、 終身学習の政策、計画および活動を審議すること。
二、 終身学習機構に対し協調・指導を行い、終身学習活動を推進すること。
三、 終身学習の全体的な方向を提供すること。
四、 その他の関連諮問事項。
 前項の委員会の委員は、各級主管機関が学者、専門家および終身学習機構、政府機関の代表者から構成され、その中、第四条第三項に掲げるマイノリティ・グループの代表者を若干名含むものとする。
第七条 (正規と非正規教育の統合)
 終身学習機構が提供する学習の内容は、その段階性により、就学前教育、国民教育、中等教育、高等教育間の関連性を重視しなければならない。また、その特色により、正規教育と非正規教育との統合を強化するよう配慮しなければならない。
第八条 (学校が学生に対して終身学習の習慣を養成させる)
 各級・各種の学校は、学習活動にあたっては、学生に終身学習に対する理念、態度、能力および方法を培養し、終身学習の習慣を身に付けさせるよう努めなければならない。
第九条 (社区大学の設置)
 直轄市、県(市)政府主管機関は、終身学習を推進し、国民に生活技能および人文教養を提供し、現代社会の市民を養成するために、関連規定により社区大学を設置し、または委託によりこれを設立することができる。その設置、組織、教授陣、課程、募集その他の事項は、各級政府がこれを定める。
第十条 (学習ネットワークの構築)
 各級政府は、各級・各種の社会教育および文化機構と連携すると同時に、民間非営利機構、組織、団体を利用し、学習のネットワークを構築して、国民の終身学習に係る機会を開拓しなければならない。
第十一条 (学習型組織の発展)
 各級主管機関は、終身学習の活動の推進、学習社会の構築に資するために、終身学習機構に対し、援助並びに奨励に努め、学習型組織を発展させなければならない。
第十二条 (リカレント教育制度の確立)
 各級主管機関は、国民の終身学習に対する需要を満足させるために、各級・各種のリカレント教育制度を整備し、学習に係る機会を提供しなければならない。
第十三条 (財団法人終身学習基金会の設置)
 各級政府は、終身学習活動の推進に資するために、経費の調達または団体・個人寄付により財団法人終身学習基金会を設置することができる。
第十四条 (専門職員の採用)
 終身学習機構は優先的に専門職員を指定し、または専門家の企画による終身学習活動を推進しなければならない。
 主管機関は、前項に掲げるものに在職研修を受ける機会を与えなければならない。
第十五条 (教育方法)
 終身学習機構は、多元的な学習に係る機会を促進するために、需要にあわせ、遠隔授業、インターネット授業またはメディアの利用と同時に、面接授業、添削指導を併用し、教育活動を行うことができる。
 終身学習に係るメディアの普及を促進するために、終身学習に係る番組、内容の放送、制作または一定の時間もしくは時間帯の提供、無料もしくは低価格で各種の終身学習に係る内容を提供・放送することに積極的に携わるテレビ、ラジオ放送、インターネット、出版社等のメディアに対して、政府は経費の補助または公開的な奨励を行わなければならない。この補助または奨励方法については、中央主管機関がこれを定める。
第十六条 (学習成果認証制度の確立)
 中央主管機関は、国民の終身学習に参加する意欲を向上させるために、非正規教育の学習活動に対する学習成果認証制度を設けなければならない。それをもって、入学資格または昇格・評定の参考に資するものとする。
 前項に掲げる学習成果認証制度の設定は、課程の認可、学習成果の認証、単位の有効期間、入学資格の要件その他の関連事項を含むものとする。その規程は、中央主管機関がこれを定める。
第十七条 (終身学習カードの発行)
 学校、機関、機構および団体は、国民の終身学習活動への参加を奨励するために、主管機関の許可により学習時間の累積、学習成果の認定を証明するための終身学習カードを発行することができる。
第十八条(学費補助)
 中央主管機関は、第十六条第二項に掲げる認定課程に参与する原住民、心身障害者および低収入家庭に対し、その納付する学費に適切な補助措置を講ずることができる。
 前項に掲げる原住民、心身障害者および低収入家庭の認定、補助の方式、比率、手続その他の関連事項については、中央主管機関がこれを定める。
第十九条 (有給学習休暇制度の推進)
 各級政府は、国民の終身学習活動への参与を奨励するために積極的に有給学習休暇制度を推進しなければならない。
 中央主管機関は、積極的に有給学習休暇制度を推進する機関または雇用主に対し奨励することができる。前項に掲げる奨励の対象、要件、手続、方式その他の規定は、中央主管機関がこれを定める。
第二十条 (経費の編成および補助)
 各級政府は、余裕をもって予算を編成し、終身学習活動を推進しなければならない。
 地域における終身学習の発展の均衡を求めるために、中央機関は、特殊な需要を有する地域および対象に対し優先的に経費を補助しなければならない。
第二十一条(終身学習機構への監督、評価および奨励)
 各級主管機関は、当該目的・事業の主管機関と連携し、終身学習機構に対し監督および評価を行うことができる。成果の優良なものに対し奨励をすることができる。
第二十二条 (施行細則)
 この法律の施行細則は、中央主管機関がこれを定める。
第二十三条 (施行日)
 この法律は、公布の日から施行する。
           
*TOAFAEC『東アジア社会教育研究』第7集(2002年)所収




                  
                  トップページへ