第一条 この法律は、終身学習の奨励、終身教育の促進、社会教育の強化、学習機会の増進、国民素質の向上に資することを目的とする。
第二条 本法での主管機関とは、中央においては教育部、直轄市においては直轄市政府、県(市)においては県(市)政府とする。
第三条 本法の用語は、以下のように定義する
一、終身学習:個人が一生涯にわたって携わる各種学習活動を指す。
二、終身学習機構:終身学習を提供する学校、機関、機構および団体を指す。
三、終身学習専門職員:終身学習機構で終身学習の課程計画、教学および指導に従事する各種別の専門職員を指す。
四、楽齢学習:終身学習機構が提供する55歳以上の者が携わる学習活動を指す。
第四条 終身学習機構の種類は以下である。
一、社会教育機構:
(1)社会教育館。
(2)図書館。
(3)科学教育館あるいは科学類博物館。
(4)体育施設。
(5)児童および青少年娯楽施設。
(6)動物園。
(7)その他社会教育機能を有する機構。
二、文化機構:
(一)文化類博物館あるいは展覧施設。
(二)文化センター、芸術センターあるいは演劇施設。
(三)生活美学館。
(四)その他文化的機能を有する機構。
三、学校、政府機関、社区大学と前二項以外で人々に多元的な学習を提供する非営利機構および団体。
第五条 終身学習の範囲は以下である。
一、正規(フォーマル)教育の学習:国民教育から高等教育までが提供する段階的な学習体制。
二、非正規(ノンフォーマル)教育の学習:正規教育の学習体系以外で、特定の目的あるいは対象のための組織的な学習活動。
三、非正式(インフォーマル)教育の学習:日常生活あるいは環境内で行われる非組織的な学習活動。
第六条 各級主管機関は終身学習政策、計画および活動を総体的に計画しなければならない。
各級主管機関は前項の規定により、所轄あるいは所属する終身学習機構に協力、統合整理、監督し、ならびに個人、学校、機関、機構および団体を結合し終身学習活動を行わなければならない。
本法が定める規定は、各目的・事業主管機関の管掌者にもおよび、各級主管機関は各目的・事業主管機関と協力しなければならない。
第七条 各級主管機関は定期的に終身学習促進発展会議を開催し、下記の事項を行わなければならない。
一、終身学習政策方向の審議
二、終身学習重大計画の審査。
三、その他関連する事項。
前項の会議において、各級主管機関は学者、専門家、終身学習機構の代表、政府機関の代表および第二十条第一項で規定した対象の代表を招集しなければならない。
第八条 公立社会教育機構および文化機構は、中央政府、直轄市政府、県(市)政府、郷(鎮、市)役所及び直轄市山地原住民区役所による組織法規に依拠して設立される。
私立社会教育機構および文化機構は、個人、法人あるいは団体が直轄市、県(市)主管機関に設立を申請できる。その設立、変更、停止、監督指導、奨励およびその他の事項は、それぞれ中央主管機関、中央文化主管の定めによる。
前二項の社会教育機構、文化機構とは図書館または博物館であり、図書館法、博物館法および相関規定に基づいて行われなければならない。
第九条 本法の修正施行後、文化機構およびその職員は、法規が他に規定する以外、社会教育機構およびその職員の規定に関わる他の法規を適用する。
第十条 直轄市、県(市)主管機関は終身学習を促進発展するために、社区大学を設置することができる。その設置と発展については他の法律に依って定める。
第十一条 各級学校は学習活動中に学生の終身学習理念、態度、能力および方法を育成し、終身学習の習慣を養成しなければならない。
各級学校はリカレント教育を行い、学習機会を提供し、国民の終身学習要求を満たさなければならない。
前項のリカレント教育は、個人が学校を卒業あるいは終了した後、フルタイムあるいはパートタイムにより再び学校で学習を継続することであり、教育、仕事および余暇生活を交互に行う教育形態のことである。
第十二条 終身学習機構は個人の非正規教育の学習過程および成果に従事し、学習成果記録を作成し、学習成果認証の参考にし、ならびに各級学校正規教育と連携するルートを提供する。
第十三条 中央主管機関は国民の終身学習参加への願いを鼓舞するために、非正規教育の学習に対し、学習成果認証制度を設け、ならびに入学認定、単位免除あるいは昇級の参考に資するものとする。
前項 学習成果認証制度は、課程の認可、単位証明の発給、入学認定、単位免除の条件およびその他相関事項を含み、その方法は中央主管機関の定めによる。
第十四条 各級主管機関は楽齢学習促進計画を定め、予算項目を立て、ならびに終身学習機構が行う楽齢学習活動を奨励しなければならない。
終身学習機構は前項楽齢学習活動を行い、各級主管機関は補助を与えることができる。その補助の対象、条件、方法、審査基準、訪問視察と指導およびその他の規定は、各級主管機関の定めによる。
直轄市、県(市)主管機関は楽齢学習活動を行い、成績優良かつ特色ある発展をとげたものに、中央主管機関は奨励を与えることができる。その奨励の対象、条件、方法、審査基準、訪問視察と指導およびその他の規定は、各級主管機関の定めによる。
第十五条 終身学習機構は優先的に終身学習専門職員を選抜任用し、終身学習活動を促進発展させることができる。
中央の各事業の主管機関は、事業の必要に応じて、各種終身学習専門職員の認定方法、専門内容、専門資格証明書の発行・失効、養成、研修、その他関連事項を定めることができる。
前記の種類の終身学習専門職員について、中央の事業を担当する主管機関は、専門職員人材データベースを設置することができ、終身学習機構が職員を採用する際の参考とする。
第十六条 各級政府および終身学習機構はインターネット、スマートフォンやタブレット型パソコン、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、書籍などとの連携の必要を考慮し、終身学習活動を計画し、人々の非正式教育の学習機会参加を拡大することができる。
第十七条 終身学習に係るメディアの普及を促進するために、終身学習に係る番組あるいは内容の放送、制作、または一定の時間もしくは時間帯の提供、無料もしくは低価格で各終身学習に係る番組を放送することに積極的に携わるメディアに対し、政府は経費補助あるいは公開的な奨励を与えることができる。その補助あるいは奨励方法は、中央主管機関の定めによる。
第十八条 各級政府は積極的に政府機関(構)、学校、公営事業機構、法に依る設立もしくは立案、登記による法人及び私立機構に、団体の従業員学習制度を確立しなければならない。従業員学習制度を設置するものには奨励を与えることができる。
前項学習制度は、有給、経費補助あるいは公休の方法を与えることができる。
第一項奨励対象、条件、手順、方法およびその他関連事項の規定は、各級主管機関の定めによる。
第十九条 各級政府は余裕をもって予算編成し、終身学習活動を促進しなければならない。
地域の終身学習の均衡的発展のために、中央主管機関は離島、僻地、原住民族あるいは特殊な需要を有する地区に優先的に経費補助を与えなければならない。
第二十条 各級主管機関は、終身学習の機会を普及、発展させ、異なる民族、文化、経済状況、精神・身体状況の対象の特殊性を考慮し、需要に合ったコースを設計し、利用しやすいサービスを提供しなければならない。コース、教材、教師、補助金、その他の関連事項に関する規定は各級主管機関が定める。
第13条第2項に規定する認可コースに依り、中央主管機関は、その裁量により、授業料を補助することができる。対象となる学習者への補助方法、補助率、手続きおよびその他の関連事項は、中央主管機関がこれを定める。
第二十一条 各級主管機関は当該目的・事業の主管機関と連携し、終身学習機構の指導、訪問視察を行い、成果審査制度を設立することができる。終身学習活動促進の成果の優良な終身学習機構あるいは個人に対し、奨励を与えることができる。
第二十二条 本法は公布日から施行する。
*TOAFAEC『東アジア社会教育研究』第19集(2014年改正分)所収生涯学習法
・2002年5月31日制定、6月26日公布(下掲)
・2014年5月30日全文修正、6月18日公布
○2018年5月18日一部修正(4,7,8,10,15,18,20条)、6月13日公布
○2018年5月18日一部修正の内容
2014年 修正前 |
2018年 修正後 |
第四条 終身学習機構の種類は以下である。 一、社会教育機構: (1)社会教育館。 (2)図書館、 (3)科学教育館あるいは科学類博物館。 (4)体育施設。 (5)児童および青少年娯楽施設。 (6)動物園。 (7)その他社会教育機能を有する機構。 二、文化機構: (1)文化類博物館あるいは展覧施設。 (2)文化センター、芸術センターあるいは演劇施設。 (3)生活美学館。 (4)その他文化的機能を有する機構。 三、学校、機関と前二項以外で人々に多元的な学習を提供する非営利機構および団体。 |
第四条 終身学習機構の種類は以下である。 一.社会教育機構: (1)社会教育館。 (2)図書館。 (3)科学教育館あるいは科学類博物館。 (4)体育施設。 (5)児童および青少年娯楽施設。 (6)動物園。 (7)その他社会教育機能を有する機構。 二.文化機構: (1)文化類博物館あるいは展覧施設。 (2)文化センター、芸術センターあるいは演劇施設。 (3)生活美学館。 (4)その他、文化機能を有する機構。 三.学校、政府機関、社区大学と前二項以外で人々に多元的な学習を提供する非営利機構および団体。 |
修正の理由
@「図書情報館あるいは図書室」は、実務上、学校、社会教育施設、文化施設内部に設けられており、図書館法第4条2項規定の図書館の5類型に属するものであるため、語義の重複を避けて削除。
A第10条(社区大学の設置と発展について)の修正にあわせて社区大学の文言を入れ、わかりやすくするために社区大学が終身学習機構であることを明記。各レベルの政府が推進する現在の従業員学習制度の対象として、政府組織を含めることが適切であることを考慮し、「機関」を「政府機関」に修正。
2014年 修正前 |
2018年 修正後 |
第七条 各級主管機関は定期的に終身学習促進発展会議を開催し、下記の事項を行わなければならない。 一、終身学習政策方向の審議 二、終身学習重大計画の審査。 三、その他関連する事項。 前項の会議において、各級主管機関は学者、専門家、終身学習機構の代表、政府機関の代表および第二十条第一項で規定した |
第七条 各級主管機関は定期的に終身学習促進発展会議を開催し、下記の事項を行わなければならない。 一、終身学習政策方向の審議 二、終身学習重大計画の審査。 三、その他関連する事項。 前項の会議において、各級主管機関は学者、専門家、終身学習機構の代表、政府機関の代表および第二十条第一項で規定した対象の代表を招集しなければならない。 |
修正の理由
@「マイノリティ・グループ」という用語は、第20条第1項の改正に伴い、修正。
2014年 修正前 |
2018年 修正後 |
第八条 公立社会教育機構および文化機構は、中央政府、直轄市政府、県(市)政府、郷(鎮、市)役所による組織法規に依拠して設立される。 |
第八条 公立社会教育機構および文化機構は、中央政府、直轄市政府、県(市)政府、郷(鎮、市)役所及び直轄市山地原住民区役所による組織法規に依拠して設立される。 |
修正の理由
@地方制度法83条の2にあわせ、「直轄市管轄の山地原住民区役所」を追加し、直轄市管轄の山地原住民区役所の公共社会教育機関および文化機関は、それぞれの組織法規に従って設置されることを明記。
A図書館法第4条第2項に規定されている5類型の図書館には、すでに図書情報館(大学・専門学校の図書館)と図書室(特別図書館または小中学校の図書館)が含まれており、改正後の第4条第1項第2款で、すでに「図書情報館」または「図書室」の文言が削除されていることを考慮し、「図書情報館」または「図書室」という文言を削除。また、博物館法が2015年7月1日に制定・公布され、社会教育機関、文化施設である博物館が、同法および施行規則の規定の適用を受けることを考慮し、「文化施設」および「博物館法」の文言を追加、修正。
2014年 修正前 |
2018年 修正後 |
第十条 直轄市、県(市)主管機関は終身学習を促進発展するために、社区大学を設置 |
第十条 直轄市、県(市)主管機関は終身学習を促進発展するために、社区大学を設置することができる。その設置と発展については他の法律に依って定める。 |
修正の理由
@「社区大学発展条例」の制定(2018年6年13日公布)を受け、社区大学の設置及び発展については別に法律で定めると明記し、社区大学事業の推進を図る。また、直轄市の県(市)の主管機関は、社区大学を「運営」することとし、その運営方法には従来の自ら運営、または委託運営も含まれる。
2項以降は既に「社区大学発展条例」に含まれる内容のため削除。
2014年 修正前 |
2018年 修正後 |
第十五条 終身学習機構は優先的に終身学習専門職員を選抜任用し、終身学習活動を促進発展させることができる。 |
第十五条 終身学習機構は優先的に終身学習専門職員を選抜任用し、終身学習活動を促進発展させることができる。 中央の各事業の主管機関は、事業の必要に応じて、各種終身学習専門職員の認定方法、専門内容、専門資格証明書の発行・失効、養成、研修、その他関連事項を定めることができる。 前記の種類の終身学習専門職員について、中央の事業を担当する主管機関は、専門職員人材データベースを設置することができ、終身学習機構が職員を採用する際の参考とする。 |
修正の理由
@第二項の修正について:終身学習機関が多様であり、その範囲を定めることは困難であること、また、事業を所管する直轄市、県(市)政府の権限と責任として、単一の法律で終身学習専門職員の事項を決めることが困難であるため、事業を所管する主管機関は、事業目的の必要に応じて、各種の終身学習専門職員の認定方法及び関連事項を定めることができると規定する。中央の各事業の主管機関は、事業の必要に応じて、各種終身学習専門職員の認定方法及び関連事項を策定することができると規定する。
3款については、2款の改正に伴い文言を修正。
2014年 修正前 |
2018年 修正後 |
十八条 各級政府は積極的に政府機関、学校、公営事業機構、法に依る設立もしくは立案、登記による法人及び私立機構に、団体の従業員学習制度を確立しなければならない。従業員学習制度を設置するものには奨励を与えることができる。 |
十八条 各級政府は積極的に政府機関(構)、学校、公営事業機構、法に依る設立もしくは立案、登記による法人及び私立機構に、団体の従業員学習制度を確立しなければならない。従業員学習制度を設置するものには奨励を与えることができる。 |
修正の理由
@現行の各レベルの政府が推進する従業員学習制度の対象を考慮し、政府組織を含めることが適切であると考え、「政府組織」を「政府組織(機関)」に修正。
2014年 修正前 |
2018年 修正後 |
第二十条
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第二十条 各級主管機関は、終身学習の機会を普及、発展させ、異なる民族、文化、経済状況、精神・身体状況の対象の特殊性を考慮し、需要に合ったコースを設計し、利用しやすいサービスを提供しなければならない。コース、教材、教師、補助金、その他の関連事項に関する規定は、各級主管機関が定める。 第13条第2項に規定する認可コースに依り、中央主管機関は、その裁量により、授業料を補助することができる。対象となる学習者への補助方法、補助率、手続きおよびその他の関連事項は、中央主管機関がこれを定める。 |
修正の理由
@第1項の修正について:「マイノリティ」が「マジョリティ」の相対語であることを考慮すると、主流文化の観点からマイノリティを周辺化する恐れがあるため、この用語は削除。
A旧文は、「主観的」に対象グループ(エスニック・グループ)を定義した上で、これらのグループには「終身学習の機会と資源の提供を優先する」必要性があると認識しているようである。「マイノリティ」を決め、分類する思考から抜け出すため、「異なる民族、文化、経済状況、精神・身体状況の対象」と修正する。
B終身学習は、社会奉仕の機会に導くことを目的としない。「終身学習の機会を普及、発展させ」と修正したい。
C2項と3項を統合し、表現を修正。