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フックセン村・地域学習センター(チュンタム・ホックタップ・コンドン) −津久井純氏提供



<目 次>
A,
ベトナム教育法(1998) *2005年一部改正 *別ページ→■
B,地域学習センター

1,ベトナムの地域学習センター(2004〜2005)
2,地域学習センターの生みの母・ダーオさん (2006〜2007)
3,ベトナムの地域学習センターについて・解題(2006)小林文人
4,地域学習センター・ベトナムにおける新しい教育モデル(2007)
    −TOAFAEC「東アジア社会教育研究」第12号:ダーオ 
C,ベトナム学習振興会・訪日
(2010年5月16〜21日)
1,ベトナム・日本の社会教育交流会―CLC・公民館の未来を語るー(手打明敏)
2,ベトナム訪日団との一夜(2010年5月17日) 南の風2437号(小林文人)
3,ベトナム訪日団との交流会に参加して  南の風2438号(佐藤 進)
4,



A,ベトナム教育法(1998)→■

B,ベトナムの地域学習センター(2004〜2005)

1,ベトナムの地域学習センター(公民館)づくり
   第100回TOAFAEC研究会(報告者:津久井純)−  
                        *写真■20041001
日時:2004年10月1日(金)18:30〜20:30
於:永福和泉地域区民センター第1集会室
テーマ:(1)津久井純(日本ユネスコ協会連盟、在ハノイ)
          「ベトナムの地域学習センター(公民館)づくり」
 (2)東アジア社会教育・研究交流のこれから・自由発言
      −新刊「東アジア社会教育研究」第9号合評をかねて−
 (3)『東アジア社会教育研究』第9号の発刊−経過、課題
参加者:津久井淳(日本ユネスコ協会連盟)、王曉華(学芸大院)、竹峰誠一郎(早大院)、野和田太(川崎市中原区役所)、トックタホ(都立大院)、包聯群(東大院)、王雪萍(慶大院)、白メイ、近藤恵子、小林茂子(以上中大院)、江頭晃子(アンティ多摩)、張林新(烟台本州日本語学校校長・日大院)
、山口真理子(調布市立図書館)、伊藤長和(高津市民館長)、岩本陽児(和光大学・交流会のみ)、小林文人、石倉祐志

 わが研究会での「東アジア」の範囲にベトナムは入るのか?これまで一度も取り上げたことがなかったベトナムからの津久井報告は大変興味深いものでした。私たちは研究会第100回にして新たな研究的フロンティアに一歩を踏み出したと言えるのかもしれません。
 津久井淳さんは、日本ユネスコ協会連盟のベトナムプロジェクトを担当され、ベトナム北部地域の村々が地域共同学習センターをつくる事業を支援する仕事をされています。今回はベトナムにおけるチュンタム・ホックタップ・コンドン(それぞれの語は、中心・学習・共同という漢語に対応し地域学習センターと訳す)について、写真なども紹介しながら、政策的背景、その起源、普及状況、活動内容を押さえ、「社会主義国家における教育の役割」「学習振興会」「少数民族」などのトピックを提示されました。
 これに対し小林先生からこの報告の位置づけとして3点のコメントがありました。(1) ベトナムと朝鮮の類似点(儒教・漢字文化圏、植民地支配、独自の文字を持つ、戦争−朝鮮戦争・ベトナム戦争、等々)、(2)少数民族の存在と識字問題、(3) 社会主義国家体制での政治統制と教育の問題(中国との比較)。またリアクションとしては、少数民族の母語による教育の問題について質問が出され、学習者の母語教育への意欲の点でのベトナムとモンゴルの比較など興味深い議論となりました。
 テーマ(2)は交流会に譲り、(3)『東アジア社会教育研究』第9号については、いくつもの課題はあるもののこれを克服しつつ第10号への出発を確認しました。参加者から第10号への投稿の意欲を示す人が複数現れたこともこれまでにない嬉しいニュースです。
 交流会では、第100回にふさわしく各参加者から迫力ある発言が相次ぎ、若さみなぎる交流の場となりました。また和光大学の岩本陽児さんが駆けつけて、中秋の名月にちなんで高らかに日本古謡「うさぎ」を歌い上げました。留学生からは包聯群さんのモンゴルの「乾杯」歌が披露され、小林先生が「大海(ターハイ)」で返され、山口真理子さんの「切手のない贈り物」は皆で合唱、など楽しいひと時となりました。(石倉祐志、Sat, 2 Oct 2004 11:47)
*【南の風】第1348号(2004年10月3日)


◆ ベトナムの地域学習センター(公民館)づくりに関わって
  −第110回TOAFAEC研究会−          報告者: 津久井純

日時:2005年7月29日(金)18:30〜20:30
於:高井戸地域区民センター第5集会室
テーマ:ベトナムの地域学習センター(公民館)づくりに関わって
報告:津久井純(日本ユネスコ協会連盟)
参加者:上田幸夫(日本体育大学)、包連群(東京大学大学院博士課程)、遠藤輝喜(渋谷区教育委員会)、小林文人(TOAFAEC 代表)、石倉祐志(事務局)

 ベトナムの地域学習センターを48箇所建設するという仕事を終えて帰国された津久井純さんのお話は始めて聞くものばかりで、上田先生や小林先生からも次々と質問が出され密度の濃い中身になりました。
 ベトナム語は後ろから前へ修飾するので, Trung tam Hoc tap Cong dong (チュンタム・ホックタップ・コンドン、それぞれの語は、中心・学習・共同という漢語に対応する)という言葉も後ろから前へ、「共同・学習・センター」となりますが、ここでの「共同」は「地域」に近いニュアンスを持っているとのこと。この施設は、日本の公民館も参考にしたベトナムの地域学習センターで、ユネスコが推進してきたCLC(Community Learning Centre)であり、また日本ユネスコ協会の「世界寺子屋運動」の「TERAKOYA」と並んで「KOUMINKAN」という日本語が使われている。中国でも見られることですが、社会主義体制下での資本主義の導入に対応した、インフォーマル教育のコントロールされた導入と言えるでしょう。
 報告はこの施設と関わる人々を映し出したビデオの上映から始まりました。ハノイの北に位置する8つの省は山また山の山岳地帯、ほんの最近までは目的地まで一日では着かないところも多かったとのこと。運営に携わる沢山の住民(少数民族もいる)の姿や学習の様子を見ることができました。今回の報告を資料の見出しで見ると、
 1.地域学習センター (1) ベトナムにおける社会教育政策、(2)地域学習センターの起源、(3)現在の普及状況、(4) 地域学習センターの活動、
 2.地域学習センターをめぐる各エージェント、アクター  (1)変化の胎動か?「社会主義国家における教育の役割」、(2)学習振興会の台頭、(3) 少数民族となっており、1998年ベトナム教育法と2005年改正教育法の抄訳までついた貴重なものでした。
 ベトナムはこの研究会の「東アジア」の範囲に入るかどうかは微妙ですが、儒教や漢字との関係も深い地域である点は注目すべきと思います。津久井さんの次の仕事はベトナムの初等教育の指導者養成に関するものだそうで、まもなく出発されるとのことです。
 交流会は久しぶりに高井戸のイーストビレッジで乾杯。近い将来ベトナムツアーをという声に一同大賛成でした。
 次回は福岡で開催される社会教育研究全国集会の中の「このゆびとまれ・沖縄を囲む・交流会」として、楽しい夕べを企画します。8月27日(土)18:00 頃開始、時刻・会場は当日の集会案内でご確認ください。後半は同市油山(小林宅)へ移動の計画です。
 次々回は(9月末ではなく)10月7日(金)となります。どうぞご予定下さい。
(石倉祐志、Tue, 2 Aug 2005 23:12)
*【南の風】第1509号(2005年8月4日)収録




◆ ベトナムの改正教育法について(小林文人)
  
 7月29日の定例研究会に合わせて、報告者の津久井純さん(日本ユネスコ協会連盟ベトナムプロジェクト担当)から、1998年・ベトナム教育法の全訳決定版を送稿いただいたことは既報の通り(風1505号、HPにアップ)。貴重な資料です。全109条は学校教育中心の法制となっていますが、そのなかで第2章・国民教育制度のうち、第5節が「ノンフォーマル(非正規)教育」の規定。社会教育の観点から重要な意味をもちます。しかし、わずかに4条のみ。法には「継続教育センター」の用語はみえますが、“コミュニテイ学習センター”の規定はありません。
 本年5月、この教育法が改正されました。そこにはじめて、日本の公民館にあたる施設(コミュニテイ学習センター、CLC、ベトナム語では、チュンタム・ホックタップ・コンドン−中心・学習・共同)の規定が登場しています。
 「第46条 継続教育の施設
1,継続教育の教育施設は以下のものからなる。
 a) 省及び郡に設置される継続教育センター
 b) 町村に設置されるコミュニテイ学習センター
   …(以下、略)… 」
 a)は大型施設、b)が地域学習施設。これは画期的です。ところが規定はこれだけ、わずか1行。施設の基準や職員などについての具体的な条項はまったく用意されていません。戦後日本の教育基本法及び社会教育法に公民館制度が法制化され、全23条の条文が用意されたことの意味をあらためて考えさせられました。
 それにしても、ベトナム戦の大きな傷を癒しつつ、いま国家規模で公民館にあたる制度が法制的に出発したことになります。それを支えていく「学習振興会」(ベトナム全土にネットワークをもつ大衆組織、1996年創設)も機能しているとのこと。全国約1万の町村のうち、5千前後にコミュニテイ学習センターが設置されつつある、施設などの条件はきわめて貧弱、ようやく日本の援助(JICA・国際協力事業団)によって施設(地域の公民館的施設)づくりが動き始めている、という流れのようです。
 津久井さん、興味深い報告、ご苦労さまでした。そのうち(2005年)改正教育法の全訳が送られてくることを期待しています。  (小林文人)
*「南の風」第1508号(2005年8月3日)所収




2,地域学習センターの生みの母-ダオさん (2006〜2007)

ベトナム地域学習センターの生みの母(津久井純)
  
 Date: Sun, 23 Apr 2006 20:33(津久井純メール)
  …(略)…
 現在、僕は、日本ユネスコ協会連盟に所属しておりません。コンサルタントとして、JICAプロジェクト「ベトナム国現職教員研修計画」に参加しております。所属としては、(財)国際開発センターです。
 ベトナム地域学習センターについて、いま資料集めを始める段階で思ったのですが、以前お話しましたベトナムのいわゆる「公民館」の生みの母であるMs. Daoさんに、公民館誕生の経緯を直接執筆していただく、という案はいかがでしょうか?どちらにせよ、僕は彼女から資料をいただいて書くことになります。彼女は、これまで「ノンフォーマル教育政策研究センター」という国の教育訓練省直属の研究機関で働いてきており、現在同センターの所長です。
 僕としてはむしろ、プロジェクトで実際の現場を回った経験からのレポートを書いた方が、自分の知っていることに合っていると思います。もし彼女が引き受けてくれなければ、政策、実地のことと僕が書かせていただきます。

 Date: Wed, 03 May 2006 15:33(津久井純メール)
  …(略)…
 前回ご紹介した「生みの母」のMs. Thai Thi Xuan Dao(ターイ・ティ・スアン・ダーオさん)が「ベトナムの地域学習センターの誕生」というタイトルで執筆を引き受けてくれました。ただ字数は先生からのリクエストほどは書けない、とのこと。僕の実践報告と合わせて40枚程度になるかと存じます。
 一つ気づいたのですが、年報の他の論文は日本語のため彼女は読めないんですよね。彼女としては他の論文にも興味をお持ちになると思うのですが、僕が要約してお知らせするしかないかもしれません。
 僕の執筆分ですが、どこのセンターを訪れるか悩みまして、結局現在初等教育プロジェクトで関わっているBac Giang(バックザン)省のセンターを調べることにし、関係部局との手続きに入ります。つきましては、TOAFAEC発行の原稿依頼文書を私宛にお送りくださいますようお願いいたします。文書案を添付いたします。公文書は国際電話で恐縮なのですが、FAXにて私のプロジェクト事務所、84(ベトナム国番号)-240-852-108までお送りください。
  …(略)…
 以前ご報告したこともあるのですが、「ベトナム学習振興会」という大衆組織も、草の根レベルで全国でこのセンター設立・運営を支援しています。この間、この会の副会長さん(Tran Xuan Nhiさん)とも少し話をしたのですが、彼に書いてもらうこともできたなあという感触がありました。しかし今回ははじめてですし、とりあえずセンターの制度を実質的に引っ張ってきたダーオさんに書いていただき、今後機会があればNhiさんにも取材・執筆依頼していく、というアイディアを持っております。

 Date: Mon, 30 Apr 2007 11:47(津久井純メール)
       *ベトナム・JICA Project 南の風1830号所収
 <ダーオさんにお会いしました>
 ご無沙汰しております。この間私の携わるベトナム初等教育プロジェクトの終了時評価を受けており、ずっとその準備に追われておりました。また、平日はハノイにいないこともあり、公民館学会年報に投稿いただいたダーオさんとはお会いできずにおりました。
 先週、ようやく彼女にお会いできました。相変わらずのご活躍の様子でした。そのときの写真をお送りします。
 ベトナムの地域学習センター(CLC)は、法制化以降まだ、施行規則が正式に出されておらず、制度的には宙吊り状態だそうです。CLC運営委員会を設置することが求められてもそこに人件費はつかず、村の役人の「兼任」でまわしているそうです。
 先日、(翻訳上から推測すると)全国公民館連合会の方々がベトナムを訪れ、いくつかCLCを回っていったともお聞きしました。
 Daoさんは、「今度はぜひ小林先生をはじめ公民館に関わってこられた先生とお会いしたい。日本の公民館に学ぶところは大きいはずです」とおっしゃっていました。

 左・津久井純、左・ダーオさん





3,ベトナムの地域学習センターについて−解題(2006)
             −日本公民館学会年報・第3号、小林文人ー

【海外の動向】
ベトナムの地域共同学習センターについて(解題)

 アジア・太平洋地域において、地域開発や住民の識字教育を含む教育機会拡大、生涯学習の振興の動き等が注目されるが、その地域レベルの活動拠点として、いま「コミュニテイ学習センタ」(CLC)が各地で活発な胎動をみせている。 
 とくにベトナムでは、
1980年代後半以降のドイモイ(刷新)政策を背景に、1990年代後半より「地域共同学習センター」が急速に拡大してきた。その際、ユネスコによるノンフオーマル教育やCLCへの関心とともに、日本の「寺子屋」(識字教育)や「公民館」の歩みが、新しい教育モデルとして、大きな関心を集めたという。実際に「KOUMINKAN」という言葉も使われる場合がある。
 ベトナムでは、地域共同学習センターのことを「チュンタム・ホックタップ・コンドン」(Trung tam Hoc tap Cong dong、それぞれ中心・学習・共同という漢語に対応)という。
 1996年から国家レベルで研究が始まり、1998年に試行的に設置がはじまり、当時10館であったものが、2006年現在、7348館に達している。ベトナムの全コミューン(xa,漢語では「社」、行政の末端単位)の7割近くの規模で設置が進んでいることになる。驚くべき躍進ぶりである。この間にはユネスコ、ユニセフだけでなく日本ユネスコ協会連盟からの援助も得ている。
 地域共同学習センターは、教育体系上ではベトナムの「継続教育」の地域末端施設として位置付き、同時にコミューン・レベルにおける地域公民館としての性格を併せ持っているといえよう。
 教育法制としては、1998年のベトナム「教育法」には何ら規定はなかった。その後、2005年にこれが改正され、法文上にはじめて「地域共同学習センター」が登場した。
 すなわち、

「第46条 継続教育の施設
1,継続教育の教育施設は以下のものからなる。
 a) 省及び郡に設置される継続教育センター
 b) 町村に設置されるコミュニテイ学習センター(以下、略)」
 これ以上の細則は(ベトナム教育訓練省から2005年中に出される予定であったが)まだ確認が取れていない。
 ベトナム共産党の文化・教育政策、官協力団体としての「学習振興会」等の各種団体の活動、一般住民の民衆意識・教育要求等のダイナミズムのなかで、これから地域共同学習センターがどのような展開をとげることになるか、興味深いところである。一つのモデルとして注目された日本の公民館にとっても関心を寄せ続けていきたいものである。
 筆者のターイ・ティ・スワン・ダーオ女史(Ms. Thai Thi Xuan Dao)は、ベトナム教育政策の中心機関である「教育政策カリキュラム院」所属機関の「ノンフォーマル教育政策カリキュラム研究センター」の所長をつとめ、これまでベトナムの成人教育、識字教育、継続教育そして地域共同学習センターの施策にすべてかかわってきた。関係者は「地域共同学習センターの生みの母」あるいは「ベトナム公民館の母」と呼ぶ場合もあるという。今回、訳者の津久井純氏を通して、貴重な原稿の執筆をお願いできた。これを機縁に日本の公民館関係者とベトナム「地域共同学習センター」との間に研究・交流の新しい道が拓かれることになればと願っている。
 訳者の津久井純氏は東京学芸大学卒、東京都立大学大学院でベトナム研究の道を志し、日本ユネスコ協会連盟等をへて、現在は在ベトナム、JICAプロジェクト「ベトナム国現職教員研修計画」に従事している(財・国際開発センター所属)。ベトナム教育法の訳出があり、本テーマに関連しては、論文「ベトナムの地域共同学習センターの歩みと課題」(TOAFAEC編『東アジア社会教育研究』第11号、2006年)がある。



 −TOAFAEC編「東アジア社会教育研究」第12号(2007)所収ー
4,地域共同学習センター
 
−ベトナムにおける新しい教育モデル

Thai Xuan Dao(教育政策カリキュラム院)
訳:津久井

 地域共同学習センターは、他のアジア諸国にかぎらず、ベトナムにおいても発展している。これは新しい教育モデルであるが、21世紀に入って以降、ベトナム社会や人々に認められ、普及が急速に進んでいる。

1,ベトナムのノンフォーマル教育開発政策、方針に見合った地域共同学習センターモデルの開発

 これまで、ベトナムのノンフォーマル教育政策の多くは成功を収めてきたが、この地域共同学習センターの開発政策も成功しうるものである。1945年の独立達成時、ホーチミン主席が「すべての人が学ぶ」というスローガンの下に識字政策が着手された。政府の識字教育への関心の高まりから、ベトナムtrong toμn caiに平民学務局を設置された。人々の学習の手始めとして、識字政策が打ち出されたのである。このときから現在に至るまで、ベトナムは国をあげて、すべての人に教育を保障し、教育における社会公平を図り、誰もが学べるように条件整備を行う、という姿勢を堅持してきた。教育形式の多様化を奨励し、すべての人が自分の学習ニーズと環境にあった学習方法を選択できるように努めてきた。
 2005年教育法は、「学習は、公民の権利であり義務である。すべての公民は、学習機会について、民族、宗教、信仰、性別、出自、社会的地位、もしくは経済的環境に関わりなく平等である。国は教育の社会的平等を実現し、誰もが教育を受けられるよう条件を造る。」と規定している。
 教育を受ける機会がまったくなかった、あるいは機会はあったが途中で退学してしまった児童や成人に対して第二の学習機会をつくること、そしてニーズをもつあらゆる人々に対して継続的で生涯にわたる学習機会をつくること、これを目指して、ベトナムは「ノンフォーマル教育、すなわち地域やコミューンにおいて実生活に基づくニーズに即した各種の学習形式を開発し、学習社会を志向した生涯にわたる学習の場をすべての人に保障する」ことに努めてきた。
 政府は「万人の教育に関する行動計画2003-2015年」を承認し、その中でも識字、識字後教育、小学校および中学校教育の普遍化そしてライフスキルの教育に焦点を当てている。
 政府首相は、「2010年に学習社会を建設するプロジェクト」という112号決定に署名をした(*訳注:2005)。同決定では、全国の8割以上のコミューンが地域共同学習センターを設置することが盛り込まれている。

2ベトナムにおける地域共同学習センターの誕生:ますます増え、多様になる人々の学習ニーズに応える

 現代、すなわち科学技術が急速に発達する時代、情報が爆発的に増加する時代、グローバリゼーションの、知識経済の、「情報社会」や「学習社会」の拡大する時代では、一方であらゆる人々が大きなチャンスを得ることができるのだが、この時代を生き抜くことそのものに大きな困難がともなう。学校教育で得た知識は(仮に大学や大学院を卒業したとしても)十分とは言えず、またすぐに古いものになってしまう。この時代を生き抜くためには、人々は継続的、生涯にわたって学ばなければならない。継続学習、生涯学習は現代社会の一つの新しい課題である。
 ベトナムもこの趨勢の外にいるわけではない。現在のベトナムの人々の学習動機とは、卒業証書を得るため、昇進するため、高級幹部に求められる条件を得るため、また農村社会から逃れて都市で生計を立てるためだけではない。人々は、今必要で、すぐに生活や生産活動に適用できる知識やライフスキルを学びたいと思っている。学習を通じて、収入を上げたり、自分や家族および社会の生活の質を改善したいのだ。現在の人々の学習動機とは、知るためだけではなく、仕事に役立てるため、生計を立てるため、生活や生産活動の変化に対応するため、グローバリゼーションのすすむ社会・世界と共生していくため、というのが主なものである。
 ベトナムにおいて、農民人口の占める割合は約8割である。農業生産システムがドイモイ(刷新)されて以降、つまり家族が生産の単位として認められ、自主的に経営が可能になって以降、農民の学習ニーズはますます切実なものになっている。農業に自主性が認められたが、それはすなわち自分から主体的に活動を行わなければならなくなったことを意味する。あらゆることを自分でやりくりしなければならない。家畜生産計画であったり、次期作付の種や苗の管理、収穫までの農業技術、収穫物の販売など多岐にわたる。この新しい生産システムでは、みなが篤農家になり、活動的で技術を持ってはじめて経営を成り立たせることが可能なのだ。そのような篤農家でさえ、裕福になれる者は限られているのが現状である。逆に、農業をやりくりできない人、農作業をうまく進められない人、新しい技術の知識がない人は、生計を立てられなくなり貧しくなっていく。このとき、農民は生産技術や農業経営の重要性を意識し、学習や新しい技術を習得する必要性を感じるのだ。
 Viet Thuan村、Cao Son村、An Lap村で210名を対象に行ったインタビュー調査において、80.7%の調査対象者はみな、村内の貧しい世帯について、技術・情報の不足と農業の方法を知らないことをその理由にあげていた。調査対象者の97%は、今何を学ばなければいけないかの認識を持っていた。しかしながら、以前のように学歴や昇進のための学習ニーズを持っている人は7.1%しかいなかった。何かを学んでいる人の多くが、生計を立てる(95.8)、理解を深める(77%)、子育て(74.2%)を学習動機にあげていた。
1: 人々の学習動機

 

学習動機

回答者数

割合 (%)

1

2

3

4

卒業資格

生計を立てる

理解を深める

子育て

15

201

161

156

7,1

95,8

77,0

74,2

   2は、調査対象者の多くが生産や収入向上に関連する知識を学習ニーズにあげていることを示している。その次にあげられているのは、家庭生活および社会生活に関連する知識の学習ニーズである。教養を学習ニーズにあげている人は少なく、とくに山岳地域でその傾向が強い。
2: 学習ニーズ

順位

ニーズ

Viet Thuan   (%)

An Lap   (%)

Cao Son(%)

1

2

3

教養

生産と収入向上に関連する知識

家庭・社会生活についての知識

48,6

100

71,4

28,5

85,7

61,4

37,1

94,2

79,8



3. ベトナムにおける地域共同学習センターの開発:これまでのノンフォーマル教育の限界を克服する

ますます多様になる人々の学習ニーズに応えるため、ベトナム・ノンフォーマル教育政策は、自身の機能や任務を拡大し、学習カリキュラム、学習内容の多様化を図ってきた。とくに、教育機関ネットワークの拡大を図ってきた。どの郡・市も平均一つの継続教育センターが設置されている。同センターを二つもつ郡・市もある。全国では、文化補足校および省立および郡立継続教育センターが669校設置されている。これら省立および郡立継続教育センターは、これまでも、そして現在も、地域の人々の教養を高め、人材の育成に積極的な役割を果たしている。しかし、実際にはこれらセンターは以下のような課題を抱えている。
 継続教育センターは主に省や郡の中心地に設置されている。アクセスが容易な住民が限られている。大部分の住民はアクセスができない。
  省立・郡立継続教育センターは、学校教育のイクイバレンシープログラムを提供するのが主な役割で、学校教育の卒業資格あるいはコンピューター、英語などの職業技術訓練修了証を必要とする人への教育を行っている。
   継続教育センターは郡の住民の学習要求に応えようと努めてきたが、郡の中心から遠いコミューンに住む住民のニーズには応えられない。
   継続教育センターは担当地域が広い。しかしリソース(職員、経費)が限られているため、すべての住民への学習支援ができず、実際には、中心地に近い数コミューンしかサービスを提供し得ない。
  継続教育センターは公立の教育機関なので、教員への報酬は公的資金で賄われる。したがって、地域による自主的な運営財源確保が進まない。 

ここで明らかなように、地域のあらゆる人々の多様な学習ニーズに応えるには、地域共同学習センターをコミューンレベルに設置することが求められいてる。一方で、地域共同学習センターはノンフォーマル教育でこれまでに存在した教育モデルの限界も克服しなければならない。地域共同学習センターは、利用者の近くに設置されなければならない。地域共同学習センターは、コミューンの指導者および各種行政部門や大衆団体からなる管理委員会を通じて地域によって設立・管理されなければならない。地域共同学習センターは、多機能でなければならず、学習者のニーズや問題から出発し、それに応える機関でなければならない。地域共同学習センターは、国によってすべてが担われるのではなく、地域の人々および行政各部門や大衆団体の積極的、主体的参加が必要である。
 つまり、ベトナムにおいて地域共同学習センターのネットワークを広げるには、次のような実践上の矛盾を解決する必要がある。
 1)     国が「すべての人に教育を」の政策実施に努めているにも関わらず、現在の学習者数が少ない。
 2)      ますます多様になる人々の学習要求と現在のノンフォーマル教育機関ネットワークがそれに応えられていない。
 3)      ノンフォーマル教育機関のネットワークはコミューンレベルにまで拡大する必要があるにも関わらず、経費および公務員数の割り当てが限られている。
 コミューンレベルに地域共同学習センターを設置する必要性および同センターが継続的に生涯にわたってすべての住民の学習機会を保障する役割と効果を持つことを認識し、ベトナム政府は、1996年より同センターに関する研究を開始し、各国の実践に学んできた。研究対象はアジア太平洋のユネスコの活動であり、また日本の寺子屋および公民館モデルである。ベトナム初の地域共同学習センターは、教育政策カリキュラム院ノンフォーマル教育研究センターおよびベトナム成人教育会によって実験的に設立された。これにはユネスコバンコク、ベトナムユニセフおよび日本ユネスコ協会連盟からの技術・資金援助を得た。1998年にモデル地域共同学習センターは10館あったが、現在では7348館以上に増加している(全国のコミューン数の68.3%に相当)。

3:  地域共同学習センター数の推移(1998年‐)

98- 99

99- 00

00- 01

01- 02

02- 03

03- 04

04-05

05-06

10

78

155

370

1.409

3.567

5.331

7.384



4. ベトナムにおける地域共同学習センター:これまでの地域教育モデルの継承、ユネスコバンコクのモデルおよび日本の寺子屋と公民館の経験を参考に

地域共同学習センターはベトナムにおける新しい教育モデルである。しかしながら当然、これはベトナムや近隣諸国のこれまでの教育モデルを継承するものである。
 以前、ベトナムには「Nha rong*訳注:山岳地域の少数民族社会における竹製の集会施設)」や「Dinh Lang(*北部平野の村落に見られる集会場)」などの地域の文化および教育のための集会場が存在した。これらはコミューンの文化的社会的経験を伝え、受け継ぐ場であった。ベトナムの地域共同学習センターもこの伝統的集会場の長所を引き継ぎ、発揮しないはずはない。と同時に、新しい性質を持ち、より完成された形でデザインされ、現在の政治、経済、社会状況に適合したものになっている。
 地域共同学習センターはベトナムだけのモデルではない。他国の類似モデルを参考に形成、開発された。特に、ユネスコバンコクのCLC、日本の寺子屋および公民館をそのモデルとしている。しかしながら、政治、経済、文化および社会状況についてベトナムの諸条件、環境から出発しているため独自の性質を持っている。
 ベトナムの地域共同学習センターは、コミューンレベルに組織される国民教育システムにおける継続教育の機関である。これは法人格を持ち、独自の公印と財政を持つ。地域共同学習センターは 自治公民館(Autonomous/Village Kominkan)と同じく、地域によって設立・管理・運営される。代表はセンター管理委員会によって担われ、同委員会は、地域の指導者、各種大衆団体の代表、女性連合、農民連合、青年団、高齢者会、退役軍人会などで構成される。
 地域共同学習センターの目的は、地域のすべての人々に、継続的で生涯にわたる学習機会を保障することである。対象者は、コミューン内のすべての年齢層にわたる住民であるが、非識字者や学校教育を受けられなかった人、女性は貧しい人が優先される。
 ベトナムの地域共同学習センターは、ユネスコのCLCモデルおよび日本の公民館と同様に次のような機能を持っている。教育機能、情報提供機能、地域開発機能、連帯・調整機能である。地域共同学習センターは、第一に地域のすべての人のための生涯学習センターである。そして、情報提供センターとして地域の図書館の役割を果たす。また地域の交流、出会い、会議の場であり、地域の文化、体育、スポーツセンターである。
 地域共同学習センターの活動は多様である。地域の状況や、その時期に沿った住民の具体的な学習ニーズに合わせて行われる。地域共同学習センターは、識字クラス、識字後教育クラス、文化補足クラス、技術移転クラス、専門分野クラス、会議、話し合い、討論会、経験交流会、生産活動・健康・栄養・法律・党と国家の政策主張に関する情報提供クラスなどが行われる。その他、地域の催し物も行われる。文化、スポーツ、娯楽、読書などの会である。
 地域共同学習センターは、年齢や学歴、性別、宗教、民族、家族の経済状況などに関わりなく、地域のすべての人々に平等に機会を保障する。地域共同学習センターを利用するのは住民の自由であり、学費はかからない。講習会や活動は、政府や各種行政部門、大衆団体から補助を受けている。
 本質的に、地域共同学習センターは地域のものであり、地域によって、地域のために運営される。しかし当面は、政府の資金補助と専任スタッフの割り当てがある。そして、運営委員会と教員の他にボランティアとして指導員が置かれる。この指導員は、コミューン内外の大衆組織や各種行政部門責任者が担う。

5. 地域共同学習センター:「すべての人に教育を」および「教育にすべての人を」を実現するための効果的な教育モデル

  地域共同学習センターのネットワークが生まれて以降、地域のニーズ、直面する問題に沿った活動が行われている。
  識字クラス、識字後クラス、文化補足クラス
  収入向上のための技術移転クラス
  話し合い、討論会、会議、サークル活動。党と国の主張や政策、人口、環境、女性と児童保護、公民権利、女性と児童の権利などについての情報提供  コミューン内集落で行われる文化、芸能、体育・スポーツの催し物、映画鑑賞会。
 多くの住民が参加し、出会い、交流している。

 これらの活動は住民に高く評価され、地域に大きな好影響をもたらしている。
  インタビュー対象者の97%が地域共同学習センターは文化・スポーツのセンターであると認識している。
   85%は、センターは生産技術の実習の場であるとみなしている。
   76%は、センターは地域の集会場であるとみなしている。
   67%は、センターは学習する場であるとみなしている。
   52%は、センターが図書室、読書室、つまり地域の情報センターであるとみなしている。
 センターの効果については、設立当初から住民がセンターを高く評価している。87%の住民が、センターは技術移転に関わる各種講習会を通じて収入向上に貢献しているとみなしている。86%の住民が、地域の文化的な生活や体育向上の運動に効果をもたらしたと評価している。74%の住民が、住民の理解を広げたとみなしている。59%の住民は、センターのおかげで識字・識字後クラス、文化補足クラスに参加する機会を得たとみなしている。
 地域共同学習センターが設置されてから、継続的に生涯にわたって学ぶ機会を得た地域住民が増加した。学習活動を行った住民の割合が、20%から50%に増えた地域もあった。

4:地域共同学習センターでの学習者数推移(1998年から現在)

98-99

99-00

00-01

01-02

02-03

03-04

04-05

05-06

11.206

150.000

200.000

250.000

416.667

2.333.656

4.114.994

6.297.194

地域共同学習センターは、設立後すぐに地域のあらゆる年齢層のすべての住民にふさわしい学習の場となった。どの層の人々も、自分に合った内容、形式、時間で学習に参加することができた。高齢者はセンターで新聞を読んだり、ニュースを聞いたり、人と会って話し合ったりした。女性は、クラブやサークルの会合に来て話し合い、文化・芸能イベントを楽しんだ。
 一方で、センターは住民や地域の指導者や行政各部門や大衆団体など地域の人々によって担われる教育モデルである。センターは自分のもので、自分の地域のためのものであり、国のもの、教育分野のものではない、という意識が各地域に広がっている。地域の成員が参加し、自ら管理・運営する。地域の人々は、センターの活動計画づくりに参加するだけでなく、自ら運営し、モニタリング・評価を行う。地域、行政各部門、大衆団体は、条件整備をする(人材、物資、財源)だけでなく、実施し、またお互いに講習を行う機会を提供しあい、センターの活動の質を保障する。このように地域の役割は、以下のように大きく変容したと言える。
  受動的    −−−→       主体的
    国家への依存   −−−→   リソースの自主確保

このように、センターモデルは、2000年以降にベトナムで発展したものであるが、「すべての人に教育を」および「教育をすべての人に」の政策を実現するための効果的なモデルとして評価できる。しかし、センターがより着実に、また質的に向上していくには、ベトナムでは以下の課題が横たわっている。
 センターの有効性が社会認識として、また全国の行政組織の幹部の認識に広まってい
 ない

  地域によるこの新しい教育モデルの管理・運営の実際は、まだ多くの混乱がある
  センターの教員、ボランティア指導員の成人教育に関する能力の限界
   地域の住民に対する図書、新聞資料の深刻な不足
  施設・設備の不備
   活動経費の不足
 政府や地域のさらなる努力、国内外の機関および個人による資金および技術支援を得ながら、ベトナムのセンターが今後も一層発展していってほしいと願っている。

                                                                    20069月、Hanoi にて





C,ベトナム学習振興会・訪日(2010年5月16〜21日)




1,ベトナム・日本の社会教育交流会―CLC・公民館の未来を語るー
                手打明敏(Thu, 6 May 2010 00:54)
                 *筑波大学、日本公民館学会事務局長

 このたび,ベトナム学習振興会15名一行が5月16日(日)から21日(金)にかけて日本を訪問されます。ベトナム学習振興会はベトナム全土に組織をもつ,民間社会教育団体です。今回来日される方々は,学習振興会の中央本部の副主席,ベトナム北部,中部,南部の5省の学習振興会副主席などの方々です。
 日本公民館学会・国際交流部では,今回のベトナム学習振興会一行の来日を機会に,ベトナムの CLC(コミュニティ学習センター)についての理解を深めるとともに,日本の社会教育,公民館関係者がベトナム学習振興会の方々との交流を通して相互理解をはかるとともに,CLC と公民館の未来について語り合う時間を持ちたいと考えました。ベトナム側は多忙な日程の中,今回の企画を訪問日程に組み入れていただき交流会が実現することになりました。どなたでも参加できます。関心ある皆様のご参加をお待ちします。(日本公民館学会 国際交流部)
         記
日時:5月17日(月)17時45分〜19時
会場:豊島区雑司ヶ谷地域文化創造館・2階会議室
   (地下鉄副都心線 雑司ヶ谷駅 2番出口を出てすぐ)
交流会:(司会)谷和明(公民館学会国際交流部責任者)
 1)ベトナム側から学習振興会及びCLCの現状について報告
 2)公民館学会国際交流部から日本の公民館の現状について報告。
 3) その後,質疑応答
 なお,交流会終了後,池袋駅近くの居酒屋で懇親会をおこないます。こちらへも,是非,ご参加ください。交流会,懇親会には日本語がわかる通訳(2名から3名)がつきます。

ベトナム学習振興会・日本公民館訪問団名簿  
2010
515日から2010521日まで・13

NO

名前

性別

生年月日

役職

1

TRAN XUAN NHI
チェン・スアン・ニー

19351121

ベトナム学習振興会副主席(元教育訓練省副大臣)

2

BUI KHAC CU
ブイ・キャク・クー

193562

ベトナム学習振興会民衆知啓発センター所長

3

NGUYEN XUAN PHUONG
グエン・スアン・フオン

1948122

ベトナム学習振興会の奨学運動委員会の副委員長

4

LE DINH QUANG
レー・ディン・クアン

1944210

ヴィンフック省学習振興会副主席

5

KIEU XUAN THIEU
キュー・スアン・ティエウ

1943616

ヴィンフック省学習振興会副主席

6

DONG THI BACH TUYET  ドン・ティ・バィック・トィエット

1951828

ティエンザン省学習振興会副主席

7

NGUYEN VAN CHAU
グエン・ヴァン・チャウ

195461

ティエンザン省の科学技術局局長

8

DANG PHUC MINH
ダン・フック・ミン

1946113

カント市、ヴィンタイン郡の学習振興会副主席

9

VU THI THANH HUONG
ヴー・ティ・タイン・フオン

1974719

ベトナム学習振興会留学コンサルタントセンターの総務部長

10

LE NHO NUNG
レー・ニォオ・ヌン

194248

バクニン省学習振興会主席(バクニン省教育訓練局労働組合)

11

NGUYEN PHUC THIEN
グエン・フック・ティエン

197695

ベトナム学習振興会会員、ヴンタウ市英語学校校長

12

PHAM THANH PHONG
フアム・タイン・フォン

1942228

ロンアン省の学習振興会主席(元ベトナム共産党中央執行委員)

13

NGUYEN THI HOANG QUYEN
グエン・ティ・ホアン・クエン

19501010

ベトナム学習振興会の民衆知啓発センター幹部

 <招聘・企画>
□ 手打明敏 日本公民館学会事務局長(国際交流部)/筑波大学大学院教授
□ 津久井純 国際開発センター ベトナム室長/元日本ユネスコ協会連盟 <通訳>


ベトナム学習振興会・日本公民館訪問団《松本・行動予定表1期日 2010年5月16日(日)〜21日(金)松本訪問:5月18日(火)
2 訪問団  <ベトナム学習振興会>一行13名
(代表)チェン・スアン・ニー 氏(ベトナム学習振興会副主席/元教育訓練省副大臣)

期 日

行  動  予  定

宿泊予定

516 (日)

00:10ハノイ発(VN954便)
06:40成田着(入国手続き後、専用車にて東京都内へ移動)
10:00 浅草観光
12:00 台東区生涯学習センター訪問調査
(〜15:00

16:00 ホテルにチェックイン

赤坂エクセルホテル東急東京都千代田区永田町2-14-3
TEL 03-3580-2311FAX 03-3580-6066 

517(月)

08:00   ホテル出発
08:30  皇居見学(〜9:45
10:00  文部科学省表敬訪問
10:30  意見交流会(文科省担当、公民館学会員ほか。於:国立教育政策研究所)
12:00昼食会(〜1300
13:0017:00  都内観光 (東京タワー)
17:15 豊島区雑司ヶ谷地域文化創造館訪問
   15分間休憩+15分間館内見学
17:45 CLC・公民館に関する経験交流会(同館第2会議室)
19:00  有志による懇親会(会場未定)22:00 ホテル着

518(火)

08:00 ホテル出発(専用車にて松本市へ移動) 12:00松本市着(松本城大手門駐車場)
12:10  昼食(松本ホテル花月)(13:10)13:15  松本市教育長表敬訪問(大手事務所) (13:30)13:45 松本城見学(説明:松本城研究専門員) (15:15)
15:30駐車場発(専用車にて蟻ヶ崎西町会公民館へ移動)
15:45 松本市公民館調査(蟻ヶ崎西町会公民館)<交流研修>(17:30)
18:00  ホテル着 自由時間

松本東急インホテル
390-0815
長野県松本市深志1-3-21
TEL: 0263-36-0109 FAX :0263-36-0883 

519(水)

09:00  ホテル出発 (富士山麓を経て)
14:00  横浜市到着(横浜市内観光)
20:00  東京都内のホテル着 

赤坂エクセルホテル東急東京都千代田区永田町2-14-3TEL 03-3580-2311
FAX 03-3580-6066

520(木)

午前:東京都内観光
午後:東京都内観光

521(金)

07:30 ホテル出発
12:00 成田発(VN955便)
15:30 ハノイ帰国



2, ベトナム訪日団との一夜   
   小林 文人   南の風2437号(2010年5月18日)

 ベトナムの「地域共同学習センター」は、日本の公民館を一つの制度モデルとして、1996年に国家レベルで研究が始まり、1998年に試行的に10館前後が設置されたと聞きます。そしてこの10年余に全国的に普及し、いま9,800 館を超えたそうです。その推進役を担ってきたのは「ベトナム学習振興会」(1996年創設)。その全国組織のリーダー、各省の副主席、大学々長、教育訓練局長などの皆さんが来日されました。一行15名、5月16日〜21日の日程。
 日本の公民館を訪ねる本格的なベトナム訪問団は初めてのこと。日本公民館学会(国際交流部)が受け入れに奮闘されました。手打明敏(筑波大学)、谷和明(東京外国語大学)のご両人を中心として、皆様、ご苦労さまでした。風2431号既報のように、5月17日に学会主催の歓迎交流会が開かれました。当日の記録は別に寄せていただく予定。
 せまい部屋、肩がふれあう親しい交流。私のとなりは団長格のチェン・スアン・ニーさん(学習振興会副主席・元副大臣)、1935年の生まれでほぼ同世代です。1940年「仏印進駐」の日本兵の記憶もあり、戦後はフランスを追い出し、アメリカと闘ったベトナム戦争にも回想が及び、印象的な一夜となりました。
 この企画のブリッジとなったのは津久井純さん(国際開発センター)。記憶をたどると5年来の構想が実現したことになります。ベトナムと日本、社会教育関係者交流の新しい歴史が始まることになりました。18日には松本市の公民館を訪問予定。復路は富士山麓を経由するとのこと。
 富士山が機嫌良く顔を見せてくれることを祈って・・・。




3, ベトナム訪日団との交流会に参加して   
   佐藤 進     南の風2438号(2010年5月20日)

 すでに「南の風」2431号、2437号でご承知のように、5月16日に来日されたベトナム学習振興会訪日団一行と日本公民館学会関係者との交流会が17日夜に行なわれました。ハノイからの夜行便で来日され、二日目の夜ということでさぞかしお疲れだったろうと思いますが、皆さん大変意欲的な様子でした。
 私は4年前と今年の2度、家族旅行でホーチミンを訪れたこともあり、ベトナムのCLCに少しは関心を持ち、今年の旅行前には『東アジア社会教育研究』No.11(2006年9月)に掲載の津久井純論文や津久井さんの訳出による日本公民館学会年報第3号(2006年11月)掲載のターイ・ティ・スワン・ダオー論文を読み、可能ならばCLCを見てみたいものと思っていました。しかし残念ながらその機会を得ることはできず、文化センターの外観に触れただけでした。
 プライベートな短期間の観光旅行で、しかもベトナム語はシンチャオ(こんにちは)とカマーン(ありがとう)くらいしか話せないのですから無理もありません。ただ今回はクチトンネルや戦争証跡博物館の見学などいろいろと収穫を得た旅行でもありました。
 さて話を戻して交流会ですが、まずベトナムの学習振興会とCLC活動の概略についての説明、そして日本側から公民館の現状についての説明がありました。詳細はいずれ記録が出ると思いますので印象的だった点を記します。
・学習振興会−教育にボランティアの力をということで、いわばノンフォーマル・エデュケーションの推進母体として中央・県・市町村・集落に700万人の会員を擁する。
・CLC −1.法律学習、2.科学技術、3.文化、4.識字の4分野の活動を主に展開し、基本的に学費なし。識字終了後は学校教育、あるいは職業訓練につなげる。
・日本の公民館について−コミュニティカレッジとの関係、中央館と分館の関係、館長と主事の役割などが話題となりました。コミュニティカレッジについては、60年代の公民館関係論文で大学とのつながりを論じたものを目にしたとの意見でした。これはもしかして市民大学のことではないかということになりましたし、中央館・分館の関係については私も発言しましたが、十分納得を得られたか定かではありません。
 
 ベトナムの方も百聞は一見に如かず″と言われておりましたが、短時間の交流・説明で深めるのは難しいなと感じました。ともかく実態を見る中からより確かな認識が形成されるものと期待しております。ただ、津久井さん、チャン・トウアン・ミンさんの適切な通訳によって、短時間にしては収穫の多い時間を持つことができたと思っています。
 交流会の後は近くの居酒屋での懇親会でした。狭い部屋にギューギュー詰めという状態でしたが、熱気にあふれた会になったと思います。(以下・略)