上海「学習型社区の創建に関する国際フォーラム」
2004
                    
−2004年11月4日 〜11月7日記録
 
*南の風・記事(2004年9月〜11月)



南の風1334号(9月9日)
◆<上海からの誘い> 小林 文人
 8月下旬に上海より「社区創建」国際フォーラムの招待状が来ました。日程は11月4〜7日、2人の招待、これまでになく(初めて?)往復旅費も用意するとのこと。この国際フォーラム組織委員会は、上海市閘北区人民政府におかれていますが、私たちが1990年代より交流してきた同区社区大学(行健職業学院、旧業余大学)は、直接にタッチしていないようです。中国国内の社区教育実験都市(28)と外国からは欧米を含め5ヶ国前後へ招待状が出ているとのこと。
 これとは別に、11月下旬か12月初旬に(呉遵民氏を介して)福建省「生涯教育条例」策定に向けての学術シンポジウムへの参加(あわせて福建師範大学の講義)を求められています。同じ月に二度の訪中というのは日程的にかなりハード。他方で、昨年末の上海教育出版社「現代社区教育の展望」刊行とのからみもあり、どう対応すべきか、いま迷っています。
 関心ある方々の参加の可能性(希望)、関連してのご意見などお寄せいただければ幸い。もし参加希望の方が2人以上であれば、この機会にツアーを組む案もありうるでしょう。
 この間、黄丹青さんから上海側の動きについてメール数回、積極的な意見もいただき、有り難うございました。
 上海(成人教育・社区教育)と私たちの研究交流に関する最近数年の経過について、簡単なメモを以下に記しておきます。
 <経過>
2001年11月 上海へ社区教育調査団(TOAFAEC)
2002年 7月 上海から訪日団・日本社会教育調査
       (葉忠海団長より東アジア国際フォーラムの提案)
2002年11月 上海等「社区教育」調査報告書(佐賀大学)  
2003年 9月 上海(華東師範大学等)訪問(小林、石倉、黄丹青)
2003年11月 上海教育出版社「現代社区教育の展望」刊行・祝賀会
       (小林、末本、上野、伊藤、矢久保、美若など参加)
2004年 6月 葉忠海夫妻来日(歓迎会で上海国際フォーラムの具体案)
2004年 8月 上海・国際フォーラムへの招待状(今次)

南の風・同
◆≪上海・学習型社区の創建に関する国際フォーラム・招待状≫
 −上海市閘北区国際フォーラム組織委員会−
   上海市閘北区人民政府(李永明)  2004年8月19日
                    (抄訳・黄丹青)
 わが国が小康(まずまず豊かな)社会の目標の一つとして、「全民学習、生涯学習の学習型社会を形成し、人間の全面的な発達を促進する」という目標が打ち出されてから、広く反響を呼び、同時に、多くの都市と社区が「学習型都市」、或いは「学習型社区」の創建を目標とした。
 この度、各地の経験を交流し、国際的に進んだ理念と方法を参考にした上、視野を広げ、社会と都市の全面的で、調和と持続的な発展を可能にするため、上海市行政学院、上海市教育委員会、上海市閘北区人民政府及び上海市成人教育協会の共催により、11月上旬に上海市閘北区にて「学習型社区の創建に関する国際フォーラム」が開かれる運びとなった。
 社区教育領域における先生の深い造詣及び理論上の独自な見解を鑑み、私達は本フォーラムへの参加を要請し、並びに旅費と大会に必要な費用(食、宿、会務)を用意する。フォーラムは,「学習型社区創建の理論と実践」というテーマをめぐり「学習型社区の創建と都市の持続的な発展」、「学習型社区の創建と人間の全面的な発達」、「学習型社区の建設目標及び評価の指標」、「学習型社区建設の動機付けメカニズム」「社区教育の施設建設」などに関して議論を展開する予定である。
 その中の一つをテーマに、報告の準備或いは論文の提供をお願い申し上げます。字数は約3千〜4千字、9月10日まで参加の有無を、10月10日まで報告の概要を返事するよう、よろしくお願い申し上げます。

 11月4日 受け付け(場所:新梅華東大酒店)歓迎祝宴
 11月5日 午前 開会式
      午後 専門家報告
 11月6日 午前 都市代表の交流
      午後 見学
 11月7日 解散              

南の風1334号(9月13日)
◆<11月上海国際フォーラムへの参加> 小林 文人
 1334号でご紹介した上海・社区創建(地域づくり)国際フォーラム(11月4〜7日)からの招待状について、関係の皆さんに早速ご検討いただき、感謝しています。9月10日までに参加の有無を返事することになっていましたので、同日朝に黄丹青さんを通して、4人参加の返事をいたしました。とりまとめにあたっていただいたのは上野景三さん(佐賀大学)、有り難うございました。
 参加者は上野、内田純一、黄丹青、それに小林(文)の4人。日本からの報告をどう分担するか、内容をどうするかなど、追って相談いたしましょう。申し込み後に小林平造さんからも関心がある旨のメールが寄せられたそうです。招待枠2人と、それ以外の参加者について、ホテル等どのような扱いになるか、まだ分かりませんが、さらに同行希望の方が増えれば、一緒に行きましょう。
 ぶんじんは、別の訪中計画(既報)と接近していますので、随分迷いました。しかし、これまでの経過があり、皆さんの意見もあり、10日朝に参加を決断しました。この機会に久しぶりに閘北区行健職業学院や同「ぶんじん図書室」も訪問したいと思っています。
 上海・国際フォーラムの準備、同組織委員会の連絡を含めて、上野さん、黄さん、どうぞよろしくお願いします。

南の風1343号(9月24日)
◆<上海(社区)国際フォーラム> 黄 丹青
 いつも風を楽しく拝読しています。脚に怪我をされたそうですが、具合はいかがでしょうか。早期のご回復をお祈りしています。
 上海フォーラムですが、担当者から返信がこないので、葉先生と連絡をとったところ、電話をくださいました。来ていただく上は、ぜひ発表を、ということでした(招聘は2人らしい)。外国からの参加者はいい話を持っている宝物、外国の経験を聞くよいチャンスと、葉先生が組織委員会に特にその点を強調したそうです。ただし、発表の時間に関しては、まだ調整中。詳細が決まった時点で、担当者から正式な書類がくると思います。
 なお、他の2人は宿泊費は自己負担ですが、食費と見学費用は負担なしにするそうです。
 「風」で羅李争さんへの連絡を読みましたので、勝手を承知で袁允偉さんに、上海行きのことをメールしました。やはり返事はないですが、袁允偉さんのことですから、やるべきことはちゃんとすると思います。何かありましたら、また連絡いたします。
 追伸:あまり飲み過ぎないように・・・。(略)

南の風1347号(10月1日)
◆<上海への返報> 小林 文人
 上海で開かれる「学習型社区の創建に関する国際フォーラム」(11月4日〜7日、風1334号に既報)への参加については、小林文人、上野景三、内田純一、黄丹青の4人をエントリーしています(同組織委員会宛、風1336号)。日本から、どういう報告・問題提起をするか、そろそろ相談しなければならないな、と思っていたところで、上海からは正式の参加登録書提出を求める書状が来ています(黄メール)。
 小生の怪我の正式診断は、右下肢(ふくらはぎ)の「不全断裂」、全治2ヶ月とのことです。上海フォーラムの11月初旬にどんな状態になっているか(きっと治っているとは思いますが)いささか自信がありません。あと1〜2週間経てば見通しがつくでしょうが、いまの段階では、先方からの公式招待枠2人は、上野・内田のお二人で提出していただけませんか。その方が安全でしょう。もちろん小生も(10月中の完治を祈って)参加する方向でいますが、国内はともかく、国外の旅行はあまり無理ができませんので。
お二人でどういうプレゼンティションをするか、先方が提示してきたテーマにそいつつ、検討を始めて下さい。

南の風1354号(10月13日)
★<上海国際フォーラム> 小林 文人
 その後、上海からの連絡によると、フォーラムは中国語と英語(同時通訳)ですすめるとのこと。これまでのように中国語と日本語のやりとりではない。参加国は日本のほか、予定としてイギリス、スウェーデン、デンマーク、カナダ、オーストラリアそれに台湾と香港。韓国からの参加(魯在化氏)可否についても打診中。この規模の多国籍フォーラムとなると、英語(と中国語)というかたちになるのでしょう。
 いま上野・内田のお二人で、期待されている日本からの報告をどういう構成にするか、どんなメッセージを出すか、準備してもらっていますが、急ぎ英語に堪能な岩本陽児さん(和光大学)にも上海行きに参加していただくようお願いしました。
 岩本さんに送った小林メール(抄)。「…たまたま(神の啓示か)小生の足の状態がまだ見通しがつかず、自重を求められています。小生と交代するかたちで岩本・参加というかたちに変更できないかというお願い。ご都合いかがでしょう?」
 さきほど岩本さんより電話あり、急な話なれど(無理をおして)参加しましょうという返事でした。有り難う! 発表要旨の英訳のこともあり、どうぞよろしくお願いします。あらためて同フォーラムの概要を掲げておきます。(TOAFAEC:HPより)
○上海「学習型社区の創建に関する国際フォーラム」
        −上海市閘北区国際フォーラム組織委員会−
 主催(共催):上海市行政学院、上海市教育委員会、
        上海市閘北区人民政府、上海市成人教育協会
 <スケジュール>
 11月4日 受け付け(会場:新梅華東大酒店)歓迎祝宴
 11月5日 午前・開会式 午後・各国専門家報告
 11月6日 午前・中国都市代表の交流 午後・見学(閘北区)
 11月7日 午前・見学 解散

南の風1364号(10月29日)
★<上海訪問団に第9号を託す> 小林 文人
 11月4日〜7日「上海創建学習型社区国際論壇」(風1354号等に既報)、ぶんじんは自重して参加を見合わせましたが、上野景三さん(佐賀大学)を団長として準備がすすんでいます。内田純一さん(高知大学)を含めての報告文の作成、岩本陽児さん(和光大学)による英訳、黄丹青さん(秘書長)の中訳など、準備はすべて万全?の模様。
 上海に送付が遅れていた「東アジア社会教育研究」第9号を持参して頂きます。上海ではお二人の編集委員(呉遵民、袁允偉)を通して、執筆者(序文の郭伯農氏、桃浦鎮報告の候全宝・楊少鳴両氏)や関係機関(上海教育出版社、華東師範大学、閘北区社区大学「小林国際交流閲覧室」など)にお届けしたい。第9号には呉遵民さん待望の千野陽一氏訳が収録されています。郭伯農さんの序文(黄丹青さん訳)も読み直してみてなかなか含蓄ある内容。日本ではあまり部数が出ていませんが(京都の学会でも頒布が少なかった)、内容的にはこれまでの中でもっとも充実した年報なのではないでしょうか。
 また思いつき。北京の編集委員・韓民さん、広州の編集委員・李偉成さんのお二人にも、この機会に上海から郵送していただけないでしょうか。上海訪問団の荷物が増えて申しわけないけれど、送料がぐんと助かります。
 上海訪問団の成功を祈ります。何回かに分けて「風」に旅日誌を送って下さい。また来年の「東アジア社会教育研究」第10号に記録を書いてほしい。次回11月の定例研究会(東京、11月26日予定)に上海報告をお願いできませんか。お願いばかりで申しわけありませんが、どうぞよろしく。

南の風1366号(11月2日)
★<上海訪問団準備> 上野 景三
 上海訪問団のみなさん、それぞれ準備をすすめられていることと思います。黄さんが3日には発つので、最終的な確認をしておかなければなりません。まずは、到着時間ですが、上野・内田は、4日福岡 JL615便1530発。上海1640着です。帰りは、7日上海1200発。福岡1440着です。岩本君と、到着時間が近いとのことでしたので、できることなら上海の空港で一緒になりそうです。黄さん、それでいいのでしょうか。レセプションには間に合いそうもないので、代表して、挨拶をお願いしておきます。
 おみやげは、黄さんにお手数かけました。お茶、その他を準備してもらっています。
 報告については、内田さんに、写真等を小林先生から送っていただき、10点ほどCDに焼いてもらっています。PCももっていってもらいます。できることなら、上海から「風」を吹かせてもらいたいところですが、ホテルの環境によります。
 小林先生からは、招待状を送っていただきました。ありがとうございました。
 天候は、寒いとのこと。防寒等の準備をみなさんよろしくお願いします。9号は、岩本、内田、上野で、予備も含めて20冊は超える見込みです。よろしくお願いします。
*上記は、上海訪問団の内部メールですが、紹介させていただきました。重い「東アジア社会教育研究」第9号の搬入等、ご苦労さまです。どうぞよろしく。上海から吹く「風」を期待していますが、あわせて、誰かのデジカメで画像も数点送って下さい。TOAFAEC・HP を飾りたい。一路平安、いい旅を祈ります。(小林文人)

南の風1368号(11月5日)
★<上海に集う編集委員各位へ> 小林 文人
 昨晩(3日)遅く、ソウルより電話あり、魯在化さんからでした。上海「国際フォーラム」に出かける用意をしている、「先生が訪中を断念したと聞いて残念だ・・・」と。お見舞い恐縮、もう足の怪我は心配ないが、大事をとって今回は(皆さんに心配させるおそれもあり)中止したこと、などお話しました。
 そんなやりとりから、今回の上海の国際フォーラムには、TOAFAEC 関係の皆さんが国をこえて(3ヶ国)7人も揃うことに気づきました。めったにないことです。来年の「東アジア社会教育研究」第10号に向けて、ぜひ編集会議を開いてほしい、と次のようなメールを各位へ送信しました。うまく届くか、はたしてうまく会議が開けるか。
 以下に再録しておきます。
 Date: Thu, 04 Nov 2004 09:25
 Subject: 上海に集う編集委員各位へ
 From: bunjin-k@js4.so-net.ne.jp (小林ぶんじん)
「東アジア社会教育研究」編集委員:呉遵民、袁允偉、黄丹青、魯在化、上野景三、内田純一、岩本陽児  各位(順不同)
 皆さま、お元気で上海にお揃いのことと存じます。
上海「創建学習型社区国際論壇」へ参加され、感想は如何ですか。この機会に「東アジア社会教育研究」第9号をようやく上海へお届けできることを喜んでいます。
 これだけの編集委員が同じ地にお揃いの機会はめったにないことです。多忙な日程のなかでしょうが、ぜひ時間をつくっていただいて、来年の「東アジア社会教育研究」第10号へ向けての編集会議を開いて頂けませんか。
 第9号までの歩みを踏まえつつ、また第9号の合評も含め、さらに、第10号の編集構想を語り合っていただければ幸いです。
 今回の「国際論壇」参加者や、視察された社区や実践のなかで、出色の(これはと思う)方々との出会いがあれば、「東アジア社会教育研究」への寄稿をお願いして頂けませんか。(締め切りは2005年7月末) 
 また、魯在化さんには、韓国からの第10号・執筆についての編集案をお寄せいただくようお願いします。
 このメッセージ、どなたのパソコンに先に届くか、楽しみです。先に開い方は、ぜひ他の皆さまへよろしくお伝え下さい。実りある良い旅となるよう祈っています。

南の風1369号(11月6日)
★<上海の風2004(1) −4日・歓迎祝宴 > 内田 純一
 上海より報告申し上げます。発表、とりわけ公民館活動の写真を紹介する原稿づくりで、先ほどまで上野、岩本、黄、内田で打ち合わせをしておりました。いま、上海時間の午前2時00分(日本時間午前3時)。
 上海「創建学習型社区国際論壇」の参加者は、アメリカ、カナダ、スウェーデン、英国、台湾、韓国、日本に加えて、28城区及び兄弟省市代表、上海市各部門、閘北区各部門の方々など、総勢で150名を越える大論壇会の様相です。ただスケジュールがめいっぱいでどれだけディスカッションができるかはわかりません。論文集はすべて中国語に訳されていました。相当の厚さです。閘北区の写真集や記念の刺繍額縁など、かえって恐縮してしまいます。
 さて、黄さんは昨日(3日)から、今日、岩本先生は東京から、上野先生と小生は福岡から、それぞれ上海に入りました。福岡からは1時間30分で、あらためて近いことを実感しました。岩本、上野、内田の三名は、浦東国際空港の荷物受け取り付近で落ち合い、外に黄さんが実行委員会の車と一緒に迎えにきてくれていました。
 例によって、激しい高速道路を空港から小一時間掛かって、会場である新梅花東ホテルに入りました。上海駅のすぐ北側の豪華なホテルです。すでに歓迎の晩餐が始まっており、私たちは、閘北区の方々のテーブルにつきました。そこで久しぶりに袁允偉さんに再会しました。
 写真(少し暗いですが)はその時のものです。それぞれの挨拶のあと上野先生から「小林先生がくれぐれもよろしくとおっしゃっていました。明日からの論壇が楽しみです」という趣旨の挨拶が交わされました。隣のテーブルは上海市教育委員会の方々。そこに葉忠海先生がいらっしゃいました。もう一つ先のテーブルには、魯在化先生(韓国)がいらっしゃいました。
 晩餐会では、上海蟹が出ました。ミソなどとっても美味しかったのですが、小生なかなか上手に食べられず、「日本の社会教育は進んでいるけれども、蟹の食べ方をもっと学習しなさい」とからかわれてしまいました。
 晩餐後、羅李争さんとの携帯がつながりました。明日の夕食がご一緒できるかもしれません。明日は、呉さん、魯先生を含め『第10号』の話もしていきたいと思います。
 ああ、もう眠い。論壇中に居眠りをしないといいけれど。ちょと心配。

南の風・同
★<風よ、吹け!> 小林 文人
 4日夜は、東京は上野「今半」で上海からの袁正守さん・羅笈さんの歓迎夕食会。その写真をHPにアップしたとことで、上海に着いたばかりの内田純一さんから「上海・創建学習型社区国際論壇」歓迎祝宴の模様と画像が送信されてきました。有り難うございました。上海と東京は、一衣帯水どころか、陸続きの、すぐ隣の街みたい。
 今回の訪問団は果たして上海からメールを発信できるか、おそらく無理だろう、羅李争さんがいれば一発でつないでくれるのだが・・・(ぶんじんはいつも彼の力で「上海の風」を吹いてきた)などと案じていたところに、深夜便で内田メールが着信していました。さすが!
 添付の写真は、明度・色相など若干の補正をして、早速、HP「11月主要スケジュール」に掲載。(「風」には画像を添付しない原則、HPでご覧下さい。)
 東京の自室に座って、上海からの写真を電送で受け、その場で誌面にアップ!なんて、大新聞社のデスクになった気分です。閘北区・社区大学の袁允偉さん(副学長)の顔も見え、「第9号」を画面で紹介してくださっている方(写真左端、この方はどなただろう?)もあり、嬉しい限り。第9号がようやく国際舞台に登場した歴史的写真?です。
 引き続きの「上海の風2004」を期待しています。無理をしないで・・・というより、少し無理をして・・・「風」を吹いて下さい。今回は受ける側、なんともいい気分なのです。
 「国際論壇」報告集・論文集が相当の厚みで用意されているとのこと。閘北区・国際論壇組織委員会にお願いして、ぜひ1部を(TOAFAEC 記録として)もらってきて下さい。

                    *写真→こちら(11月スケジュール)




南の風1370号(11月7日)
★<上海の風2004(2)−5日・国際フォーラム初日> 内田純一
 外国に来るとつい欲張ってしまい、夜更かしになります。黄浦公園で夜景をみて、「新天地」を周り先ほど(上海時間午前1時30分)ホテルに戻りました。日本からの報告がまずは上手くいき、また旧友との久しぶりの再会に、少し開放された気分になったからでしょう。
 創建学習型社区国際論壇・上海の初日は、ホテル前での参加者全員による記念写真にはじまり、開会式、基調報告に続いて専門家報告と16名の話をずっと聞きっぱなしでした。英語と中国語のヒヤリング練習になりましたが、さすがに疲れました。
 私たちの報告は、岩本先生の流暢な英語と公民館活動の写真も好評で、基本的には、成功したと思います。詳細は帰国後になりますが、私的には、基調報告や中国側の報告は、理念啓発感化型の印象を受けました。その一方で普段あまり聞くことのなかったスウェーデンのStudy Circlesに関する報告や、カナダ、ポーランド、英国リーズの話は、それぞれに小さなcommunityやボランタリー、社会的排除等にこだわっていて興味深く聞くことができました。マスコミの取材も数多く来ていましたが、上野先生が上海テレビからインタビューを受けました。ニュースで放送されたのかもしれません。
 夕食は、上海虹海橋音楽之馨大酒家というレストランで、呉遵民さん、羅李争さん、袁允偉さん、袁のお友だち、魯在化さんと私たち4人でとりました。羅さんが参加してくださったことは本当に嬉しく、お変わりなく元気そうでした。小林先生をはじめ皆さんによろしくとのことでした。呉遵民さんのテンションも最高潮で、同窓生にとってもとっても楽しいひとときでした。
 写真を添付しました。その折り、『第10号』の編集会議を持ちました。呉さんには、上海の教育改革と生涯学習に関して書いた論文が社会科学院関係の学術誌に全文掲載されることになったそうで、その論文を基本に一本論文をお願いしました。同時に、桃浦鎮のような社区の実践報告を探してもらうことになりました(この大会中に見つかればなお良い)。魯先生も教育改革に関わって論文を寄せてくださるとのことでした。また今回のフォーラムに台湾から参加しておられる林振春先生(台湾師範大学。楊碧雲さんと胞友)と、黄富順先生にも第9号をお渡しし、そのおり第10号への執筆要請のお話もしました。
 明日は各地からの報告と上海行健職業学院の見学会もあります。新しい執筆者がみつかるといいと思っています。20冊を持参した第9号の配布も順調です。今朝、桃浦鎮の候全宝さんとお会いでき、直接お渡しできました。
 今夕、上海市内を歩きながら、空気がひどく汚れている感じがしました。実際、スモッグが掛かったようでしたが、高知で過ごしているせいか、鼻とのどが敏感に反応しています。
 追伸:昨日の写真左端の方は、願根華さん(上海市成人教育協会秘書長)です。項乗健さん(上海成人教育主編、当時)と一緒に東京へいらした方です。

岩本陽児氏(和光大学)


★<上海の風2004(3) −5日・上海に集う編集委員> 呉 遵民
−「東アジア社会教育研究」第10号への投稿−
 今晩(5日)日本からの友人達、またお久しぶりの黄円青さん、羅李争さん、袁允偉さんなど総勢9名の方々と楽しい夕食を一緒にしました。レストランの場所は少し遠いのですが、ごく庶民的な店、三日ぐらい前に予約しないと席をとれないところ、皆様は食事をして、満足したような模様でした。
 お食事しながら、いろいろとお話をしました。まず「東アジア社会教育研究」第10号への投稿について。私の最近書いた論文一篇が、上海市社会科学連合会が編集した文集(年報)に採用されました。テーマは“中国現代国民教育体系の完善と生涯教育体系の構築に関する研究”です。これは私がこの7月に北京で国家教育部から受けた“十一の五年教
育計画”についての研究課題の一部です。内容は、これから中国において新しい国家教育体系(システム)をどいうふうに構築するのか、また生涯教育理念にどう基づくのかという検討です。
 この論文を第10号に投稿したいのですが、ただ、私が中文で書いたものですので、誰かが日本文へ訳していただくと有り難いなあと思います。(この話をしたら大変恐縮ですが、まず、わたしの日本語は不十分です、また、現状としては来年10月まで研究任務が一杯入っているのも原因です。本当につらいです。)
 ところで、大変ご立派な第9号を内田さんから頂きました、家に帰ってすぐに千野陽一先生の訳文を拝読しました。素晴らしい訳文だと深く感じ入りました。本当に細かいところまで、千野先生は見落とすこともなく、丁寧に訳していただきました。このような偉い先生が、ここまでも精一杯に翻訳していただいたことについて、本当に感謝の言葉はなく、感動をいたしました。千野先生に直接に感謝の意を申し上げたいですが、メールアドレスなど連絡方法は分からず、先生がもしお分りでしたら教えていただけないでしょうか、よろしくお願いいたします。
 いま上海時間で深夜12時近く。さきほど日本の皆さんはバンドへ行くといってお別れしました。いまごろはきっとホテルへお帰りでしょう。中国に初めて?来た岩本さんにとってどんな印象だったのか、楽しみです。じゃ、おやすみなさい。

前列中央・呉遵民氏(華東師範大学)、右・魯在化氏(韓国・聖潔大学)


★<上海の風・続報二つ> 小林 文人
 昨夜(5日)遅く呉さんから、今日未明は内田さんから、メールが届きました。上海から毎日の風が吹いてきて、「南の風」も連日の送信となります。お許し下さい。内田メールに添付の写真(大事をとってか、同じものが5枚も)は、さきほどまHPへ。
 前号で内田さんに「すこし無理をして、風を送ってほしい」などと書きましたが、送信時間をみると睡眠時間をけずっての送信らしい。前言を翻します、無理をしないで下さい。
 それにしても、上海・5日夜の皆さんの楽しい語らい、目に浮かびます。日・中・韓の3ヶ国編集会議が開かれたかたちとなり、有り難うございました。ぶんじんとしては,TOAFAEC10年近くの歩みを経て、ようやくここまで来たのかな、とある感慨を抱いています。
 呉さんから第10号へ向けての寄稿の申し出あり、編集委員としての提案ですから、もちろん受け止めなければなりませんが、さて誰に日本語訳をお願いできるか?毎回、長老にお願いするわけにはいきませんし。
 お尋ねの千野陽一先生メール・アドレスは、石倉祐志(事務局長)さんに聞いて別送します(小生も手元にもちあわせなし)。住所はご存知でしょうか? 日本社会教育学会名簿をご覧ください。
 私事ながら、これまでもっとも世話になった叔母が、90歳をこえて元気だったのですが、2ヶ月ほど入院、いま自宅に帰ってきたところで、昨日から重篤の状態になりました。世田谷・烏山の叔母の家に親族が集まっています。幼い曾孫も。大事をとって上海行きを自重したのは、やはりなにか、虫の知らせるものがあったのか。

南の風1371号(11月8日)
 <上海の風(4)−6日・終わりの日程へ> 内田純一
 創建学習型社区国際論壇・上海の日程をほぼ終了し、先ほど(6日夜)小生の部屋で、上野さん、岩本さん、黄さん、魯在化さんとともに反省会と会計、そして黄さんの慰労会をしたところです。
 6日の行動は、午前中が各都市の実践報告、午後は上海行健職業学院で開催された「閘北区社区教育成果発表会」、そして歓送宴会(於:上海新沈記酒家)でした。しかし初日に上海華東師範大学の黄健教授(職業教育・成人教育研究所副所長)から成人教育の研究動向を院生たちにレクチャーして欲しいとの求めに応じ、上野、岩本、黄、魯がそちらに
参加しました。そのために上野先生は昨晩、報告内容を新たに考えたということでした。学部学生も参加したというその会議は、総勢で100名近くになったということでした。詳細は参加された方から。
 小生は、一人残って、各都市の実践報告会と閘北区社区教育成果発表会に参加しました。両方とも中国語のみで、分からないことが大半でしたが、ほぼ一日、中国語だけという貴重な体験をしました。座る場所はあえて実践家の人たちの中(つまり、会場の後ろの方)にしました。それによって、各都市による報告(文章はある)の仕方や周囲の反応の違
いなどから、こういった類の会議がどのように進んでいくのか、その雰囲気を感じつつ、さまざまな観察ができました。
 6地域からの報告と専門家によるまとめを延々と聞いている中で感じたのは、もちろん皆さん熱心なのですが、各地域で実践をしている人々にとって理念解説中心型の報告は、あまり歓迎されていないのではないかということでした。あからさまに態度に出したり口にすることはありませんが、報告者の話を2〜3分聞いて、実践家の席では「ああ、また
か」という雰囲気が出るのをいくつか感じましたし、組織や管理など具体的な話になるとノートを取る人々も多く見られました。
 午後の見学、上海行健職業学院への移動は、4台の大型バスでしたが、パトカーの先導付きでした。さすが上海です。

南の風1373号(11月12日)
<上海の風2004(5)−上海閘北区・行健職業学院> 内田純一
 「上海創建学習型社区国際論壇」11月6日の午後は、上海行健職業学院で開催された閘北区社区教育成果発表会を見学しました。
 まず小生は、バスで到着した一団とちょっと別れ、同学院の入り口右側の図書館内にある「小林国際交流閲覧室」へ向かいました。当日はもともと休日でもあり、図書館自体が閉まっていましたが、閲覧室を開けてもらいました。入口の横に名称を書いた金色の看板がありました。こじんまりしたスペースに机が6脚ぐらい。本棚にTOAFAEC年報「東アジア社会教育研究」などを発見しました。一人別行動でなんとなくあわただしく、遠慮と緊張から5分ぐらいしか観ることができませんでした。もっとよく観てくれば良かったと少し後悔しています。
 見学コースでは、まず閘北区の各街道による約20教室と、行健職業学院による技能訓練の6教室が用意されていました。前者の例は、宝山路街道「中医家庭保健」や彭浦新村街道「足底按摩」、北站街道「詩詞写作」や天目西街道「陶芸制作」など、趣味・教養的なものも含め、各街道の成人たちが学習しているところでした。後者の例では、コンピューターや自動車エンジンの講座など、職業訓練的な教室でした。 
 そんな中で一つ印象的だったのは、「外来民工子女学電脳」の教室でした。農村から上海に出稼ぎに来ている労働者の子弟のためのコンピューターの講座です。直前にNHKで放映した「データマップ 63億人の地図 」第8回「中国 豊かさへの模索」を観て、彼らの生活厳実と臨界点に達していると言われる上海の「格差」について考えていただけに、とても複雑な気持ちになりました。
 見学を終え、一団はホールへと案内されました。そこで「創建学習型社区国際論壇」3日間のまとめの報告がありました。ペーパーはなく、3人からの口頭発表で、一生懸命理解しようとは思いましたが、ほとんど分かりませんでした。
 それでも3人の中で、朱涛(広東五邑大学教授)氏の話が、なんとなく他の2人と違うように思いました。上手く言えませんが、理論より実践、活動を研究することが大切であることを言っていたように感じました。朱先生とは、その夜の歓送宴会で同じテーブルになったので、黄さんに通訳をお願いし、TOAFAECの話をしました。朱先生がどのような方であるかは、黄さんから非公式に報告があると思います。華南の方として李偉成さんなどを通して今後もおつき合いができると良さそうな感じを抱きました。

南の風第1374号(11月14日)
<上海の風2004(6)−上海大会見聞> 黄 丹青
 7日の夜に、無事もどってまいりました。先生をはじめ、皆様のおかげで、よい体験をさせていただきました。大変遅くなりましたが、見聞したことをいくつか簡単に紹介いたします。
1.大会の性格
 大会の正式名称は「創建学習型社区国際論壇」です。主催は上海市閘北区政府で、共催が上海市行政学院、上海市教育委員会、上海市成人教育協会です。組織委員会の陣頭をとったのは区共産党の宣伝部で、行政系の教育局は文明弁公室に続く3番目にあり、表舞台には出てきませんでした。
 大会は「主催側・管轄側責任者の導論」「外国の報告と国内専門家の基調講演」「各地の実践報告と見学」「まとめ」という4部に分けらています。1部・導論の司会者は区共産党の副書記兼区政治協商会の主席で、最初の報告者は副書記で区長でした。以下、共催側責任者及び国家教育部、中央党校等からの参加者でした。一つ驚いたことは打ち出されてきた目標である「学習型組織(社会的単位)の建設」に、以前の学習型家庭・職場・小区・社区以外に、学習型政党と学習型政府が加えられていました。今回講演した中央党校「学習時報」の副総編集長は上海に学習型政党に関する調査に来ているそうです。定義はさておき「生涯学習」は政治改革の一要素として取り入れようとしているように見えます。
 全体的にみて区政府は大変な力の入れようで、冊子作りでちょっとミスがあったものの、準備がこまやかで丁寧でした。ボランティアとして来ていた華東師範大学成人教育職業教育研究所の大学院生が雑事を一手に引きうけ、よく働いていました。
2.理論と実践
 日本の報告は大まかではありますが、司会者のまとめからも、概況を理解していただいたと思われます。先生方、準備や報告に大変お疲れさまでした。
 しかし、私の知っている限り、最も好評であったのは、アメリカの Merrian 教授の報告でした。氏は多くの心理学や社会学の理論を引用しながら、学習型社区の性質などを説明したからでしょう。例えば、学習型社区には「関係上の社区」「空間上の社区」「理念上の社区」「記憶上の社区」「実践上の社区」という5つの要素が必要、などの理論の展開でした。これは魅力的に見えるようです。話から私の感触ですが、桃浦鎮の実践と9号(「東アジア社会教育研究」)での報告のように、両者間のギャップがかなりあります。正式な報告や文書になると、画一に見えるが、現場ではかなり多様で豊かな実践が展開されています。国内の理論を十分聞かされてきたが、その実践を確認し、説明できる根拠となるような理論、あるいは新しいシステムを作り上げようとするとき、その全体像が見えるような理論が求められています。
 その一方、実践の分析に力を入れる学者もいました。内田さんのお話に出てきた広東五邑大学の朱教授です。話によると、現場の指導者は机上の空論よりも、実践の方向に興味がある。ですから、氏は現場に行くと、まず人口の構造や、産業や失業情況などの実態の把握から入るそうです。実際にどのようにしているのか、お話しを聞きたいところです。
 いずれにしよう、社区教育が本格的に展開されており、実践と理論の両方が求められているのが現状でありましょう。華東師範大学の成人教育・職業教育研究所は今まで数人の大学院生しか受け入れてこなかったが、今年から一気に定員が40数名に拡大されたそうです。
3.英語と国際化
 グローバルの流れが変わらない限り、日本から出たらコミュニケーションの道具として英語が必要だと上海で思い知らされました。一日目の報告に続き、二日目は華東師範大学成人教育・職業教育研究所での報告でした。学部生も含め、院生たちは通訳を通さず講演を聴き、競って手を挙げ質問をしていました。また、私の中国語訳を若い院生がその場で外国の参加者に英語に訳していました。大都市が中心になりますが、現在の中国の大学は、東南アジアも含め、外国の大学との姉妹関係提携や講演などで、活発な国際交流が展開されている模様です。
 今回の上海は、私個人にとっては刺激的な旅となりました。もちろん中国社区教育の現状と動向を理解するよい機会でしたが、日本の社会教育を考えるきっかけともなりました。発つ前の準備でどうまとめたらよいのか勉強になりましたし、中国では、他国と較べ、日本の教育がどう見えるのか、その魅力がどこにあるのか、という中国のまなざしからみる日本の社会教育。もう一つ視点ができました。





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