中国(上海)「社区教育」関係・初期資料(2001年)
                      −記録・翻訳:黄丹青−

  *中国・社区教育・終身学習・研究交流(一覧)→■ 

<目次>
1,上海「社区教育」理論双書シリーズ(上海大学出版社、1999年)目次
2,上海市閘北区・社区教育の実践と模索(上海市閘北区人民政府)
3,学習型社区の建設(抄訳)―上海市閘北区・し江西路街道の回顧と展望―
4,上海市閘北区・し江西路街道社区学校規約
5,上海市閘北区・し江西路街道社区教育の発展概況
6,上海市浦東新区・都市(城区)市民教育基地の現状に関する調査報告
7,上海市閘北区の社区実務従事者に対する職務資格訓練に関する意見



(1)上海「社区教育」理論双書シリーズ(上海大学出版社、1996年)目次
     (華東師範大学継続教育学院編)
 <編著者名>     <書名>
(1)葉忠海   社区教育学基礎
(2)黄雲龍   社区教育管理と評価
(3)沈金栄 等 社区教育の発展と展望
(4)楊応松 等 各国社区教育概論
  
葉忠海編「社区教育学基礎」)
 目次
第一章 序論
第二章 社区教育の定義、特徴及び基本目的
第三章 社区教育の理論的な根拠
第四章 現代社区教育の体系
第五章 現代社区教育の機能
第六章 社区教育の目標――学習化社区
第七章 現代社区教育の教育理論と実践
第八章 現代社区教育のカリキュラム設計と開発
第九章 学校と社区の連携と結合
第十章 現代社区従事者の資質と専門化
付録 社区教育:ネット時代における社会と教育の共同発展
 新旧世紀交替期の上海市民資質調査研究報告
 無錫市街道、居委幹部資質調査研究報告
 浦東新区都市住民の教育基地の現状に関する調査報告

黄雲龍編「社区教育の管理と評価」)
 目次
第一章 社区教育管理概論
 第一節 社会発展における社区
 第二節 社区の発展における社区教育
 第三節 社区教育の発展における社区教育管理
第二章 社区教育管理組織基礎
 第一節 社区教育管理組織概論
 第二節 社区教育管理組織の性質
 第三節 社区教育の組織形態
第三章 社区教育管理組織系統
 第一節 社区教育管理組織の体制
 第二節 社区教育管理組織の構造
 第三節 社区教育管理組織のメカニズム
第四章 社区教育管理組織行為
 第一節 社区教育管理組織行為概論
 第二節 社区教育目標管理行為
 第三節 社区教育管理における政府行為
 第四節 社区教育管理における社会行為
第五章 社区教育組織文化
 第一節 社区教育組織文化概論
 第二節 社区教育組織文化の機能メカニズム
 第三節 中国現代社区教育の組織文化に関する分析
 第四節 中国社区教育組織文化の発展
第六章 学習型社区の営造
 第一節 学習型社区概論
 第二節 学習型社区建設のアプローチ
 第三節 学習型社区と人間の社会化
 第四節 学習型社区と社区の発展
第七章 社区教育評価基礎
 第一節 社区教育評価概論
 第二節 社区教育評価の歴史
 第三節 社区教育評価と社区教育発展
第八章 社区教育評価の組織実施
 第一節 社区教育評価の手順
 第二節 社区教育評価の組織形式
 第三節 社区教育評価の主体と対象
 第四節 社区教育結果の評価と課程の評価
第九章 社区教育評価の実施方法
 第一節 教育評価の基本方法
 第二節 社区教育評価の具体的な方法
 第三節 社区教育評価の目標に関する指標体系
付録 社区教育の発展における政府行為の調査研究報告
   上海市社区教育政策研究

沈金栄 等 編「社区教育の発展と展望」
 目次
上篇
 上海市社区教育の歩みと趨勢
 世紀交替期の社区教育が新しい発想を持つべき
 南京市鼓楼区社区教育の回顧と展望
 い坊街道学習化社区生涯教育工作実施企画(草案)
 真如鎮「学習化社区の建設」に関する行動企画
 金しょう区社区教育の発展に関する戦略方案
 浦東新区社区学院の設立に関する構想
 香港社区教育の展望
 マカオ生涯教育の体系と学習型社区
下篇
 外国社区教育発展のいくつかの趨勢
 アメリカ社区教育の発展趨勢
 外国の社区教育の四つのモデル
 リベラルとラディカル社区教育モデルの比較
 発展のための社区教育
 北アメリカの社区発展と大衆教育
 外国における住民の学習をサポートする措置
 学習化社区のインフォーマルな学習に関する研究
 フィリピンにおける社区教育の発展を目指す新しい対策
 社区教育と成人教育
 社区教育と余暇教育

楊応松 等 編「各国社区教育概論」
 目次
第一章 社区教育国際比較研究総合報告
 第一節 社区教育の定義
 第二節 各国社区教育展開のアプローチと形式
 第三節 社区教育発展の動力
 第四節 社区教育と社区発展間の相互効用
 第五節 社区教育の展望
第二章 社区学院を主要な形とするアメリカの社区教育
 第一節 アメリカ社区教育の歩みと社会背景
 第二節 アメリカ社区教育の定義と主な実施形式
 第三節 アメリカ社区教育の主要基地――社区学院
 第四節 アメリカ社区教育の経験
第三章 イギリスの社区教育
 第一節 イギリス社区教育の発展過程
 第二節 イギリス社区教育の現状
 第三節 イギリス社区教育のわれわれに対する啓示
第四章 北ヨーロッパの民衆教育
 第一節 北ヨーロッパ教育の概況
 第二節 北ヨーロッパ民衆教育の歴史
 第三節 北ヨーロッパの現代民衆教育
 第四節 北ヨーロッパ民衆教育の経験とわれわれに対する啓示
第五章 日本の社会教育
 第一節 日本国情の概略
 第二節 日本教育の発展と改革
 第三節 日本社会教育の誕生、発展と改革
 第四節 日本の主な社会教育施設
 第五節 日本社会教育の特徴と啓示
第六章 韓国の新社区運動
 第一節 韓国教育の概況
 第二節 韓国新社区運動の歴史
 第三節 韓国新社区運動の発展モデル
 第四節 韓国新社区運動の歴史的な意義
第七章 シンガポールの社区管理と社区教育
 第一節 シンガポール教育の概況
 第二節 シンガポールの社区管理と社区教育概況
 第三節 シンガポールの社区管理と社区教育モデル
第八章 わが国台湾と香港の社区教育
 第一節 台湾の社区発展と社区教育
 第二節 香港の公民教育とコミュニティケア
 第三節 アジアドラゴンの社区発展と社区教育の基本経験及びその啓示



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(2)上海市閘北区・社区教育の実践と模索(上海市閘北区人民政府)
 
 閘北区の面積は29kuで、8の街道と1の鎮を管轄しており、常住人口が73万人に対して、外来人口が10万人である。我が区は新興開発区で、今までの経済と文化・教育の基盤は比較的に貧弱であるが、第15回の五カ年計画では、2010年までに、我が区が商業と工業の進んだ、交通の便利な、町並みのきれいな上海市の副都心として建設される予定である。長年の間に、専門家の指導のもと、我々は理論上の検討と実践を通じた模索により、社区教育及び社区教育と学習型都市の関係に対する認識を深めた。社区教育は一定の区域内で、各種の教育資源を利用し、社区住民全体の資質と生活の質を高め、社区の発展を推進するための一連の教育活動であると我々は認識している。社区教育は、全員、全過程、全方向の特徴を持ち、生涯教育システムを構築することを目標とする。また、生涯教育システムの構築は学習型都市、学習型社会を建設するための前提と基盤である。
 第九回五ヵ年計画の期間中、住民は生活のレベルが向上するに従い、学習を通じ、自分の資質を高め、精神生活を豊かにする要望が高まり、その要望を満たすと同時に、科学技術の進歩とともに経済建設の鍵である労働者の資質を高めるため、我が区が「教育興区」の戦略を立て、「資質教育の推進、一流の教育の創出に関する行動綱領」を制定し、1999年に「学習型都市」の建設という目標を打ち出した。2000年4月に教育部職業教育・成人教育司によって全国社区教育八大実験区の一つとして指定され、その11月に、区政府は「上海市閘北区社区教育実験方案」において、以下のような社区教育の総目標を打ち出した。
 社区教育の実験を通じ、住民の生涯教育システムの構築及び学習型市区の建設に対する認識とそれに参与する意識を高める;フォーマルな教育、インフォーマルな教育、ノンフォーマルな教育を含めた、縦に連結した、横に多様なレベルの、全方向の、開かれた社区生涯教育システムを構築する;学習型都市と生涯教育システムの管理体制、運営メカニズムを完成させる;最終的には誰でも、いつでも、どこでも学習できる閘北式学習型都市を形成する。その目標によって、20世紀80年代中期に始まった社区教育を社区全体に広げるようになった。実験方策を制定すると同時に、区内の人口資質調査を行い、5,000サンプルに対する分析の結果、95%以上の住民が学習型都市の建設に賛同し、97%以上の住民が学習や研修の機会を求めていることが明らかになった。従って、社区教育の発展及び生涯教育システムの構築が区政府の意思であると同時に、住民の願いでもある。
 以下、我が区の社区教育実践における方法及びその見解である。

一、 社区教育の管理体制と運営メカニズムの完成
 模索と実践を通して、初歩的ではあるが、我が区が統合・協調に有利な社区教育管理体制と持続的な発展の可能な社区教育の運営メカニズムを形成してきた。以下は具体的な方法である。
1. 政府の強力な推進
 社区教育は多くの組織とかかわるもので、政府としてはいかにその統合、協調を図るのが鍵である。我々は以下の6つの措置をとるようにした。
(1) 社区教育を「閘北区国民経済と社会発展第十回五カ年計画綱要」の一項目として位置付け、同時に「上海市閘北区社区教育実験方策」を制定配布することによって、社区教育実験の目標と区の経済社会開発の目標と重ね合わせるようになった。
(2) 区政府の主要リーダーを長とする「社区教育実験リーダーチーム」を結成し、その下に事務局を設立すると同時に、各関連部門もリーダー一名を社区教育の担当として指定する。これによって、社区教育を推進する上の組織的な保証が得ることができた。
(3) 区政府が29の部門、街道、鎮及び企業・事業部門と学習型社区建設を推進することを目標として管理責任書を結んだ。
(4) 区政府と教育局が社区教育実験に70万元を支出した。
(5) 上海大学社会学部主任ケ偉志教授、華東師範大学呉鐸教授など10人の専門家を招聘し、諮問チームを組織した。
(6) 宣伝に力を入れる。閘北区社区教育推進大会を開き、2001年は「社区教育宣伝年」とし、今年の教師節を「社区教育宣伝日」とした。
2. 教育部門の管理
 社区教育が順調に展開できるように、社区教育実験事務局が教育局内に設置され、実験の組織、管理と指導の任務にあたる。教育局が「上海閘北区社区教育実験の実施細則(2001年〜2003年)」、「2001年閘北区社区教育実験計画」、及び「閘北区社区教育指導員職責」を制定した以外に、教育部門の管轄する学校を社区の住民に開放し、社区学院、社区学校、居(民)委(員会)学級の三段階教育ネットワークを形成した。45名の社区教育専任指導員が新たに組織され、研修を受けたあと、各街道や鎮で社区教育の指導にあたる。専任指導員が生涯教育の理念を宣伝することによって、住民の意識に働きかけ、学習型社区の建設においては、重要な役割を果たした。同時に、彼らは政府の教育政策を制定する上で、もっとも確実な情報を提供するルートでもある。ほかに、教育局が社区教育研究センターを設立し、理論的な研究や実践に対する指導を行う。
3. 街道、鎮での展開
 社区教育の管理に関しては、区と街道、鎮が別々にその責務を果たしているが、具体的な運営は主に街道、鎮にある。学習型都市の建設のポイントは、すべての住民がそれぞれの人生の段階において、学習する機会を与えられることにある。各街道や鎮に1989年にそれぞれ社区教育委員会が設立され、1997年以降、前後して学習型社区推進委員会が組織され、街道主任や、文(化)教(育)課長、専任指導員、居委幹部から構成される社区教育管理ネットワークが形成された。各街道に社区学校(9個所)や社区学級(70個所あまり)が設立され、それぞれユニークな活動が展開されており、学習型家庭、学習型居住棟、学習型小区が続々と生まれてきている。例えば、宝山街道が学習型企業、学習型学校と学習型家庭の建設に着手している。天目西街道においては、生徒が親に働きかけることによって、学習型家庭が多く誕生した。大寧街道上工団地が学習型居住棟の建設に力を入れ、読書棟、科学技術棟などそれぞれユニークな居住棟が生まれた。?江西路街道が生涯教育祭りの形で学習型組織の建設を推進し、社区全体に好学の雰囲気をもたらした。
4. 社会各団体の参加
 我々が「21世紀が学習型社会である」、「生涯学習が21世紀を生きる概念である」などの理念を宣伝することによって、学習型社区の建設に対する区政府機関、区内の企業、事業部門のリーダーの認識が深まり、積極的に参加するようになった。区労働局の職業技術訓練センターでは、宝石の加工やOA事務、車輌修理など20近くのコースが設置され、毎年社区のための訓練に延べ3,000人が参加する。区経済委員会所轄の華日職業技術研修学校には、ホットカーペットの組み立てなど10 近くのコースがあるが、毎年社区のために、延べ1,040人を対象に、訓練を施す。区商業委員会所轄の商業人材訓練センターでは、経営管理など20近くのコースが開設されているが、毎年社区の住民延べ 2,000人を対象に、訓練を行う。多くの企業や事業部門が街道、鎮の活動に参加するとともに、自身の学習型組織の建設にも力を入れ、その目標を打ち出している。
5. 市民の自己学習
 社区住民の多様な学習ニーズを満たすために、区と街道、鎮が住民の資質および学習意識に関する調査を行い、できるだけ多様なレベル、多様な規模、多様な内容、多様な形式の学習活動を提供できるように努める。活動が完全に住民の自主選択、自主参加により展開される。我々は住民の要求に基づき、文化、職業技術、芸術、生活、法制の5種類のコースを開設した。またコンテスト、上演、展示、座談会、検討会、見学などの形で活動を展開してきた。

二、社区教育資源の最善の利用と社区教育ネットワークの設立
 閘北区が近年の社区教育実践の中で、「学びたいものにその場があり、教えたいものにそのルートがある」という考え方に従い、教育資源の最善の利用を図り、社区教育のネットワークを形成した。
1. 現有の教育資源の利用
 我々は少しずつ街道を単位とする学習データベースをつくり、多様な資源と情報を整理し、社区と学校の相互利用に必要なルートを整え、住民の参加意欲と向学心を高めた。統計によると、区内のすべての成人学校と職業学校が区に開放され、住民に知識や科学技術及び技能の習得に必要なサービスを提供している。小中学校、高校の70%が朝、夕と週末に社区に開放されている。社区に開放する企業、事業部門や政府部門も80あまりもある。資源の共同利用で、各街道、鎮の文化ステーション、図書館、老人活動室、書道絵画社、茶芸社なども「壁のない学校」となる。
2. 教育資源の改善
  1997年に閘北区業余大学が社区学院として再出発し、朝5時から夜9時まで開放されるようになったが、当時の条件では社区教育の需要には満たせなかった。その後に2.6億元が投資され、新しい場所で再建された閘北社区学院が2001年9月に開校し、住民の学習センターとなった。その中には市民学習指導センターも設置され、各社区学校に情報や、コンサルティング、教師を提供している。また、社区教育の長期的な発展と良好な運営ができるように、社区学院自身も高等教育を含めた高いレベルでの教育訓練を行っている。それ以外に、情報技術を社区教育に導入し、ネット上の学習ができるように「閘北教育ネット」にて「社区教育欄」を開設した。
3. 教師の確保
 社区教育の教師は専任、兼任及びボランティアから構成される。教育局からそれぞれの街道、鎮に5名ずつの専任指導員が派遣される以外に、成人教育弁公室によって40人あまりの兼任教師からなる教育講師団が組織された。講師団には、研究所の専門家や、病院の院長、高級エンジニア、大学教授なども参加しており、講義内容が法律、教育、保健、生活、余暇にわたり、その中身が濃く、話もわかりやすく、住民に大いに歓迎されている。しかし教師の中で、最も多いのは区内在住の教師、定年退職した幹部、技術者、及び特技を持つ人々からなるボランティアである。例えば、鉄道大学病院130名の講師以上の職員が住民を対象に「家庭医学」に関するシリーズの講座を開く。海軍の某師(等級)政治部副主任李錫祥が社区党校の教師として招聘され、よく無報酬で党員や住民に授業をしたり、相談に乗ったりする。ボランティアの知識と技能が多様であるゆえ、社区教育の内容が一層多彩になる。

三、全員、全過程、全方向の訓練
 社区教育に対する理解を深め、生涯教育、生涯学習の理念が広く知れわたるにつれ、多彩な社区教育活動がますます活発になり、「全員、全過程、全方向」の特徴を呈した。
1. 全員
 社区教育の対象はすべての住民である。社区教育ができるだけ多くの住民のニーズを満たすために、区や街道、鎮が住民の学習需要に関する調査を行い、住民の学習条件を改善するように努めた。1999年に、和田居民委員会は旧市街地区の改造に取り組み、その結果、住民の居住条件が改善され、さらに、企業グループの北方集団、し江西路街道と住民の共同出資により、すべての家庭に本棚を配布した。この「本棚プロジェクト」が学習の雰囲気を醸し出し、住民の社区教育に参加する意欲を引き出した。ハンディを持つ人々に対しては、サポートするように心がけた。「新芸民工夜学校」が外来流入労働者(民工)を対象に、技能訓練や思想道徳教育を施す。?江西路街道が耳や言葉の不自由な人々のために、「無声サロン」を設立し、週末ともなると、社区内の障害者が多く訪れ、そこでの交流を楽しんでいる。
2. 全過程
 我々は生涯教育の理念に従い、住民が人生のそれぞれの段階に相応な教育を受けられるよ
うに、徐々に「学びたいものにその学校あり、教えたいものにそのルートあり」というよう
に社区教育の構造を構築していく。例えば、社区学校と各分校に妊婦クラス、母親学級及び
親子学級などを設け、0〜3歳の乳幼児に関連する教育を提供した。さらに就学前児童を対象とした芸術課程、青少年を対象とした社会実践活動、青年を対象とした技能訓練、成人を対象とした再就業訓練、老人を対象とした教養・スポーツ活動の提供が、上海の学校教育とともに、ほぼ人の一生にわたり、それぞれの段階において教育に対する需要を満たすことができた。
3. 全方向
 全方向というのは、フォーマルな教育、インフォーマルな教育、ノンフォーマルな教育にかかわらず、違う角度から、多様な教育需要を満たすことである。2000年の区成人教育に関しては、学歴取得のための教育と非学歴訓練を受けた人数においては、1996年と比べると、その増加率がそれぞれ320%以上と230%以上である。ノンフォーマルな教育の場合、情操教育に重点をおき、できるだけ多くの住民に参加してもらうように工夫した。90 年代の初めに経済的や学習の面にハンディを負う「困難児童」を助ける「公僕ママ」や90年代の末に始めた、老人に心理カウンセリングを提供する「夕焼け談話室」がそのよい例である。

 閘北区の社区教育が始まってからすでに10年以上が経過した。ある程度の実績をあげたが、まだ初級段階にあり、全国社区教育実験区としての責任を感じている。これからは、江沢民総書記の「三つの代表」の思想を導きに、新しい道を開拓するように努める。そのため、さらに江沢民同志の「生涯教育システムを構築し、学習型社会を建設する」という主張や、生涯教育理念の宣伝に力を入れ、学習型都市に関する研究を深める;さらに管理体制、指導体制、資源の共同利用体制及び奨励懲罰体制を改善する;さらに多様な学習需要をキャッチし、学習のルートを増やしていく。最近、我々が華東師範大学の専門家とともに、社区学校のカリキュラムに関する研究開発もしている。とにかく、我々は社区教育の実践と模索を通して、社区教育の管理体制を改善し、閘北区の学習型社区の建設及び第十回五カ年計画の目標の達成に貢献できるように努める。           (上海市閘北区人民政府)


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(3)学習型社区の建設―上海市閘北区・し江西路街道の回顧と展望―(抄訳)

一、社会的背景
*閘北区の中心部にあり、典型的な旧市街地。
*面積は1.64平方キロで、総戸数約3万に人口が8.6万人。
*住宅状況としては新、旧団地と長屋が雑然と並ぶ状態。
*住民に5種類の人間が多い。
 低収入戸――社会保障上最低収入ライン500人
 失業者――1万人あまり
 障害者――1,199人、その中重度無業者80人あまり
 精神病者――667人
 外来人口――29,000人
*教育資源が豊かである。
教育関連施設:区余暇大学、高校、中学校、小学校、幼稚園、教育学院、少年宮、青少年科学ステーションなど22箇所
文化スポーツ施設、政府機関:文化館、科学技術センター、体育館、上海市体育場、映画館、中心病院、区立デパート、区経済委員会、商業委員会、商工業連合会、華僑連合会、民族宗教事務局

二、学習型社区建設の目的
*社区の住民が時代に淘汰されないように。
*青少年の資質教育だけに限定せず、個人の発達と社区発展の融合を目指す。
*住民のますます強まる学習ニーズを満足させ、より多くの人に教育を受ける機会を与える。

三、学習型社区の構想
*社区生涯教育システムと学習型組織を基礎とし、社区住民の学習という基本権利と生涯学習の需要を満たすことによって、住民の資質と生活の質を高め、持続的な発展が可能であるような社区にする。
*生涯教育理念:教育が人間一生の伴侶である。
生涯教育システム:横を結び付け、縦をつなぎ合わせ、横と縦を統合する。

 四、具体的な措置
1. ハードウエアの建設
*住環境の改善。5,000戸の危険住居及び規則違反の建築物の撤去、緑化地の造成の結果、7の市文明小区、8の区文明小区の建設に成功した。
*学習場所の確保。街道図書館の改築に60万元あまりを投入し、本棚・机・椅子の更新、蔵書の増加、コンピューターの導入を図り、面積も120平方メートルから170平方メートルに拡大された。さらに、26の里弄(横丁)図書館の改築に巨費を投入した。
*情報化の建設。90年代の初めに、街道弁事処(役所)にコンピューターを導入し、職員のすべてが操作の基礎訓練を受けた。また、余暇大学との連携で、余暇大学ネット上の情報を街道のネットに取り入れ、社区ネットの運用を推進した。現在、上演、教学、音響、テレビ中継などができるマルチメディアホールの形が一応整えたことによって、社区教育の近代化が一歩ハイテクへ進むことができた。
*社区サービス施設の建設。近年ベット数 105の東風し江養老院、社会保障センター、社会救助センターを設立すると同時に、社区医療保健室(点)4つ、トレニングルーム11も設立した。
*生涯学習コーナーの設立。街道弁事処が主な道路、小区、住宅棟の中に、さまざまな宣伝広告コーナーを作り、すべての家庭に新聞雑誌箱を配布した。
2. ソフトウエアの建設
*リーダシップを発揮し、教育資源のネットワーク化を図る。街道党委員会、弁事処の管轄下に、社区内の教育資源を協調、指導、統合する学習型社区推進委員会が設立され、党学校、市民学校、老年学校、週末学校、職業技能訓練学校が一体になる?江西路街道社区学校が設立され、その下に若干の分校と特色学校を設けた。

 学習型社区の建設には、有力なチームの存在如何が大事である。@街道弁事処各課が主力であり、それぞれの責務を果たす。婦人連合と計画出産事務室は婚前教育、優生優育の子育て教育、0〜3才の幼児教育を担当する;社区教育委員会が4〜14才の青少年を対象に、学校との連携で、資質教育や学校外道徳教育を担当する;共産主義青年団、組合、青少年保護事務室、武装部、司法科、総合管理事務室が15〜35才の青年を対象に、人生観、家庭内道徳、公共道徳、職業道徳、法制知識、新科学、新知識および外来人口の教育を担当する;労働力管理科と組合は36〜45才の中年を対象に、職業訓練、再就職指導、新科学、新知識、娯楽、家政、金融知識などを担当する;民政科が老人余暇教育を担当する。その内容としては健康保健、医療、体育、文化教養が多い。A専門職の講師団とボランティアから構成される教師チーム。B専門家の理論指導。政府職員、大学教授、研究者からなるコンサルティングチームを組織し、企画や実践に関する意見をうかがう。C党員の力を発揮する。小学校以上の17の学校党支部がそれぞれ居住区の党支部と対になり、市民のモデルになりうるように、学習型党支部の建設に努める。
*生涯教育(学習)の理念を広く宣伝する。97年に生涯教育(学習)活動を模索し始めたが、1998年に生涯教育(学習)祭りを創設し、毎回テーマを決め、今年ですでに4回を数えた。
*計画を立て、規則・制度を制定する。「し江西路街道(1999年〜2004年)生涯教育(学習)シ
ステムの構築に関する計画」及び「し江西路街道生涯学習システムの構築に関する計画の段階
的実施策」を制定した。1999年〜2000年は開始期、2001年〜2004年は形成期とし、毎年具体的な実施計画も作った。又、下記のような余暇学習制度も制定した。
  @学習評価奨励制度;A英語100句学習奨励制度;B学習型家庭申告制度;C学習型住居棟、学習型小区評価制度;D市民生涯学習証
*教育資源の統合利用で、多様な学習活動を展開する。街道の教育資源だけでは不十分なので、
学習型社区協調委員会を設立することによって、社区内にあるすべての教育資源の統合利用を
目指す。
 @街道社区学校が観光職業学校内に;A総合訓練クラスが少年宮、少年科学ステーション内に;Bコンピューター訓練、英語学習コーナーは区余暇大学内に;C和田小区の家族による12技法習得活動が和田小学校との連携で;D康楽小区が環境保護局との連携で「家庭でできる環境保護」活動の展開。
 ほかに設立された学校は、@和田路小学校内の科学学校;A実験中学校内の芸術学校とし西実験芸術団;Bし江西路小学校内の民族音楽学校;C育英中学校内の美術学校;D市北中学校内の体育学校;E育嬰堂路小学校内の親学校。開設されたクラスが 198種類。地方劇クラス、健康発達クラス、科学知識クラス、再就職訓練クラス、経済管理訓練クラス、コンピューター訓練クラス、英語学習クラス、法律知識訓練クラス、老人を対象とした書道絵画クラス、保健クラス、心理学クラス、足底マサージクラス、社交ダンスクラスなど。聾唖者を対象とした週日喫茶文化サロンが94年に設立された時の 30人あまりから現在の200人あまりまで広がり、ほかの区の聾唖者も多く参加するようになった。
 80年代に展開された活動:@技術訓練、職能訓練系列;A家庭文化系列(ピアノ演奏コンテスト、カラOKコンテスト、家庭調理コンテスト、花卉盆栽展、絵画展等);Bコンピューターが家庭に入る;C科学知識が家庭に入る;D法律知識が家庭に入る;E老人談話室。
90年代の活動:@婦人談話室;A公僕ママ;B家庭本棚プロジェクト;C英語会話コーナー;D社区インターネット。

五、成果
 3年間の生涯教育(学習)祭りが市民の「自ら学びたい」という動機付けを強くした。今まで各種の学習に延べ3万人あまりが参加した。定年した陸さんがコンピューターと英語学習に参加し、現在コンピューター応用レベル試験の中級レベル証書と英語会話合格証書を獲得した。二人ともレイオフされた王さん夫婦がこの6年間、コンピューターの学習を通して、再就職ができた。障害者の王さんが自力で就職できただけではなく、社区学校や個人でレイオフされた人に経理を教え、その中の10人あまりが経理証書を獲得し、再就職できた、などなど。現在学習型家庭を申告した人が498戸に上る。

六、展望
 閘北区の目標は第10回五カ年計画中に学習型文明市区の建設を完成させることであり、われわれは新しい生涯学習行動方案を打ち出した。一つの目標(学習型文明社区の建設)を目指す;二つの積極性(政府機関内部の積極性と社区各層の積極性)を引きだす;三つの「でも」(どこでも学校であり、誰でも学習者であり、誰でも教師である)という雰囲気を醸し出す;四つの千(千言万語で宣伝し、千家万戸が参与し千法百計で資源を統合し、千姿百態の様式を呈示する)という状態を作り出す;五つの化(普及化、成層化、典型化、系列化、規範化)になるような体系を形成させる。
 今年第4回生涯教育祭りのテーマは「学習――私の生涯伴侶」である。具体的な実行方法は、以下の通りである。
1.3月の上旬に「社区教育工作会議」を開き、それをもって祭りの開幕とする。
2.モデルを立てる。3月の中旬に学習型家庭の報告会を開き、人々の「学びたい」という気持ちをいっそう強くする。
3.宣伝を強化する。3月の中旬に広く「4つのため」を宣伝する。つまり、自身の資質を高めるため、生活の質を高めるため、生活の環境を改善するため、社会の発展に適応するための生涯学習である、という目的をはっきりさせる。
4.学習型組織の推進。3月24日に第三回学習型家庭表彰会を開き、同時に学習型職場、学習型小区、学習型住居棟に学習型社区建設の実験基地という称号を与える。
5.検討会を開く。4月に学習型家庭の建設に関する検討会を行い、さらに生涯学習の意味を明確にする。
 その他に、いくつかの措置を強化していく。理論の研究を深める;施設、設備の建設を継続する;評価制度を改善する;学習カードの利用を広める;ボランティアの力を十分に発揮する;広告紙を編集出版する。
 我々は生涯教育祭りを区全体が繋がる絆に、区政府2000年54号文に出された要求を貫徹し、学習化社区の建設を推進する。                  (2001年3月5日)


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(4)上海市閘北区・し江西路街道社区学校規約


第一条 学校の主旨
 し江西路街道社区学校は社区で市民教育を展開する公益教育機関である。学校が国家の教育方針に基づき、ますます強まる社区住民の学習ニーズを満足させることを主旨とする。
第二条 学校経営の原則
 人間を基本とし、地域の状況を合わせた多様な教育を展開し、相互交流をはかり、自我の発展を目指す。
  第三条 基本任務
1.生涯教育、生涯学習の理念を宣伝する;
2.住民の学習ニーズ及び社区発展の需要に従い、教育計画を定め、教師と教材を選び、教学活動を組織する;
3.社区教育に関連する人的資源の開発、組織、使用及び管理をする;
4.社区学校及び分校の教学を管理し、居民委員会による弁学地点の教学活動を指導する;
5.学校経営の経験を総括し、社区教育の研究を行う;
6.「住民生涯学習証」の配布、登録及び書類の管理を担う;
第四条 学校の構成
1.学校は街道社区学校、社区分校(特色分校)と居民委員会弁学地点の三段階からなり、教育ネットワークを構成する。
2.街道社区学校本校は閘北区観光職業技術学校に設置する。
3.社区分校は市北中学校、永興路第二小学校、中興路小学校、思成科技研修学校に設置し、同時に若干の特色分校と親学校を設置する。
第五条 管理機構
1.し江西路街道社区学校校務委員会は社区学校の管理決定機関であり、街道弁事所(役所)の管轄下にあり、校務委員は街道弁事所の関連部門および社区内の主要な学校、企業、事業機構の責任者から構成される。
2.社区学校には校長一人、副校長若干を設け、校務委員会の管轄下に学校の業務を統括する;
 その下に教導所を設置し、教学活動の管理を担う。
第六条 教師
1.学校は専任を中核とし、兼任を主体とする教師チームを設立する。
2.学校は社区教育人材バンクを設立する。街道内外の政府リーダー、専門家及び社区内の学校、機関、企業、事業団体とシルバー人材のボランティアからなる社区教育講師団を招聘する。
第七条 開講時期
 社区学校は春と秋に開講する。春学期は3〜6月、秋学期は10〜12月とする。
第八条 学科の設置
1.学校の学科は住民の学習ニーズと社区発展の需要にあわせて設置すべきである。
2.学校の基本学科は公民資質教育、職業技術教育、文化科学教養教育、婚姻家庭教育、現代経済生活教育、文化娯楽体育の指導などの類から構成される。
第九条 学員(学習者)の管理
1.社区内外の住民、定年退職者、企業・事業の職員、外来流入労働者のすべてが、社区学校各弁学点のコースに応募すれば、社区学校の学員となる。
2.社区学校学員の規則:教養を重んじ、礼儀正しく、七不規範を遵守する;教師、年配者を尊重し、規律を守り、公共の財産を大事に使う。
第十条 試験の方法
1.試験は単位制をとる;
2.学校が学員に「居民生涯学生証」を配布し、そこに学習した学科と成績を登録する;
3.教育、労働部門によって資格や免許が出される学科に関しては、指定の試験を受け、それに合格しなければならない。
第十一条 経費の出所
 学校経営の経費は街道の行政支出、社会からの寄付、個人の授業料からなる。
              し江西路街道社区学校  2001年4月修正案


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(5)上海市閘北区し江西路街道社区教育の発展概況


 わが街道の社区教育は4つの段階に分けることができる。
 第一の段階は初級段階(1989年〜1993年)である。
1989年にし江西路街道社区教育委員会が設立された。その段階の社区教育の主な対象は小中高の子どもであり、重点は彼らに対する道徳教育であった。社会の各分野が協力して学校、家庭、社会を一体化した教育ネットワークを構築し、子どもに対して革命伝統教育、五愛教育、法制教育、労働教育および思春期教育を行い、そのための道徳教育基地を開設し、各種の講座、学習コースを開講した。これらによって、子どもの放課後生活が豊かになると同時に、社区の中で教師を尊重し、教育を重んじる良好な雰囲気が形成されるようになった。
 街道としては、小中高の教育改革を積極的に支持した。学校外の環境を整備することに努め、学校とともに道徳教育の新しい様式を作り上げ、道徳教育の社会化を目指した新しいルートを開拓した。同時に各分野において成果をあげ、閘北区の教育になすべき貢献をした。
 第二の段階は模索段階(1994年〜1997年)である。
 改革の深化及び近代化建設の発展とともに、街道の職能が大きく変化した。特に「二級政府、三級管理」の改革後、如何に住民の資質を高め、文明小区を建設することによって、社会が安定し、人民が安心して生活を楽しめるようにするのが街道の主要な仕事となった。
 街道党工委、弁事処及び社区教育委員会が討論によって、理論と実践の面で古いモデルを捨て、3つの転換を図った。
1.社区教育の対象は小中高の在校生だけではなく、すべての社区住民であるべき。
2.社区教育の内容は小中高在校生の思想道徳教育に限らず、全方位であるべき。
3.社区教育の主体は学校に留まらず、社区全体であるべき。
1994年にし江西路街道がまず社区教育訓練センターを設立し、その下に科学知識普及学校、芸術学校、民族音楽学校、美術学校、体育学校、親学校、週末学校、?西実験芸術団等を開設し、そこで科学知識クラス、老人書道絵画クラス、再就職訓練クラス、近代管理訓練クラス、コンピューター訓練クラス、英語学習クラス、法制クラス、地方劇クラス、健康発達クラスなどを開講し、聴覚障害者たちも読書クラスや無声サロンを組織した。同時に、学校の受験中心の教育から資質教育への転換に協力し、毎月一つのテーマで一回活動を行う「発達を援助する」シリーズの活動を、今まで52回を展開した。他に、老人保健、老人心理学、足のマッサージ及び拳術、社交ダンスなどのクラスを開講した。不完全な統計によると、学習に参加した学習者が延べ39,600人であり、社区総人口の31.4%にのぼった。
 第三の段階は構築段階(1998年〜2000年)である。
 新しい世紀に向けて、社区教育に対する認識を新たにしなければならない。社区教育は社区住民を対象とする教育であり、全民、全方位、全生涯を特徴とする。だから、社区住民全員に開かれる道徳教育、法制教育、環境教育、人口教育、子育て教育、婦人教育、健康教育、文化教養・娯楽及び再就職訓練を充実しなければならない。
  1998年3月に し江西路街道社区教育委員会が区社区教育委員会、閘北業余大学、閘北成人教育協会などの協力の下、「生涯教育節」を催し、成功裏に幕を閉じた。それから毎年の3月に街道生涯教育節を催すことを決め、それをきっかけに、生涯教育(学習)の理念を広く宣伝した。いままですでに3回を開催し、毎年テーマを決め、徐々に深く掘り下げていくようにしてきた。
 よりよく生涯教育(学習)を推進するために、我々は調査研究の結果に基づき、1999年の初頭に「し江西路街道生涯教育(学習)システム発展計画(1999年〜2004年)」を制定し、更に、「?江西路街道生涯教育(学習)システム発展計画の段階別実施企画」を制定した。1999年〜2000年は生涯教育システムを構築する初期段階であり、2001年〜2004年はその形成段階とする。その推進にあたって、我々が家庭から着手し、毎年の生涯教育節に10戸のモデル家庭を表彰する。広く住民の学習意欲を高めるために、学習型家庭の選出基準を決めた。2000年に学習型家庭を申請した家庭が661戸にのぼり、学習型家庭に選出された家庭には、小さい本棚を贈呈した。さらに学習型家庭を宣伝するために、10種類の家庭から構成される報告団が、住民を対象に講演をし、効果を収めた。
 街道が社区内の教育資源、人的資源を存分に活用することで、各種の教育訓練活動を開催した。区文化館、体育館、少年宮、観光職業学校及び小中高校が、昼間には在校生を対象に、夜あるいは週末には住民に開放し、施設のフル活用をすることができた。また、街道が60万元を支出し、街道図書館と居民委員会図書室を建て増しすることによって、横丁の中に学習の場を確保することができた。それが住環境の改善や宣伝コーナーの設置と相まって、学習型文明社区の建設にとって良好な社会的環境を創出した。
 第四段階(2001年〜2005年)。
 積極的に区政府(2000)54号文の精神を貫徹し、本街道の状況に基づき、学習型文明社区としてのし江西路街道の建設に努める。目下のところ、我々は学習型組織に関する活動を展開している。今年は管轄区内の企業・事業部門の中から、2〜3箇所を選出し、そこでまず試験的に活動を行い、その成果を生かしながら徐々に広めていく。
 住民に良好な学習環境を提供するために、社区学校を主要な施設とし、徐々に分校、居委会学習地点の三段階ネットワークを形成し、その規範化と科学化を図りながら、今後は主な仕事として社区学校のカリキュラム設置とそのアレンジを摸索していく。
 社会が常に発展しており、教育が経済発展の基本である。我々が近代化に向け、世界に向け、未来に向け、更に思想を解放し、事物を客観的に捉え、実践と発展に着眼し、外国の先進的な経験を大胆に吸収し、我が民族の優秀な伝統文化の発揚と人類の創造したすべての文明成果の学習とを結合することによって、?江西路街道特有の社区教育の道を歩もうと努める所存である。
                  し江西路街道社区教育委員会    2001年7月12日


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(6)浦東新区都市(城区)市民教育基地の現状に関する調査報告


 浦東新区の範囲が非常に広いため、新区管委会(管理委員会)は1996年から、区内を都市の形態や機能により都市部と非都市部という二つの区域に分け、それぞれの区域に都市党の工作委員会(党工委)と農村党工委を設置してその管理を担当させている。現在都市部では10の街道、1つの街道準備チーム、4つの鎮が都市党工委の管轄下にある。市民教育基地の建設を推進し、街道社区教育の領域を開拓し、成人教育システムを構築することにより、市民教育基地が二つの文明建設の中でより大きな効用を発揮するために、1998年5月〜8月に、都市党工委政工処と区成人教育協会が合同調査チームを設置し、新区都市部にある市民教育基地の現状に関する調査を行った。調査された市民教育基地というのは、都市部街道(鎮)の住民(一部農村住民、主に成人、以下同)を対象に、各種の教育活動の実施を主要な任務とし、街道(鎮)の主宰する教育機構をさす。
 調査方法としては、アンケート調査、インタビュー調査、座談会や討論会の形をとり、全体に対する調査と典型例の調査との結合や具体的なケーススタディと理論分析との結合等の手段により、浦東新区都市部のすべての街道(鎮)にある市民教育基地を調査した。調査結果は以下のとおりである。

 一、基地の現状
  1997年末の統計によると、都市部街道と鎮の面積は85平方キロであり、新区総面積の16.26%であるのに対して、人口が89.2万人で、新区総人口の58.14%もの割合である。その中には、黄浦江沿いの旧居住区もあり、市政の変動でできた新居住区もあり、ハイスピードで都市化された旧農村地区(大量の外来人口が流入)もある。これらの地域では人口の増加が速く、翌年の1998年8月には、すでに97.18万人に達した。現在、街道(鎮)の人口規模は大小さまざまであり、人口の最も多い所が15万人であるのに対して、最も少ない所は1.44万人に留まっている。
 都市部街道の基礎がそれぞれ違うため、い(サンズイ+維)坊等極めて早い時期に市民教育(都市部の成人教育をさす、以下同)基地を設立した特別な街道を除くと、1996年以前には市民教育基地は空白に近い。以前からの青少年を対象とする校外教育がメインである社区教育においてさえも、街道間の状況は一様ではない。
 逆に旧農村部の郷鎮が都市部として指定された時には、旧郷鎮成人学校が基礎としてあったため、それを地区住民が主な対象となる市民教育基地へ順調に転換することができ、鎮所在地の成人教育をさらに発展させることができた。
 浦東新区のめざましい開発に従って、新区の地域や人口規模は絶えず変化しており、市民に対する教育も強化されるべきであるが、一定の施設がないために、市民教育の発展は順調には進まなかった。市民教育が新区、とくに都市部の発展に追いつかないという問題を早めに解決しないと、新区における二つの文明の建設には悪影響を与えることになるだろう。そこで、1997年から2年間、新区都市党工委が市民教育基地の建設を精神文明建設の重要なプロジェクトとし、すべての街道に一ヶ所の市民学校を設立することをその最も重要なプロジェクトとして位置づけた。一年余りの努力の末、現在12の街道(鎮)に市民教育基地があり、街道総数の80%を占めるようになったが、さらに3つが準備中である。

(一)市民教育基地の概況
1.基地の名称。「学校」(社区学校、市民学校、市民教育学校、成人学校)が9つで、69%を占め、「学院」(社区学院、社区教育学院)が3つで、23%であるのに対して、「センター」が1つで、8%を占める。
2.管理方法。1つ目は街道(鎮)関連職能部門の責任者が基地責任者を兼任することにより直接に管理する方法である。二つ目は街道(鎮)が運営を、基地職員が教育を、それぞれ分担する方法である。三つ目は街道(鎮)が合弁相手と共同で管理する方法である。
3.組織形態。一つ目は外部に校務委員会があり、内部に教務や総務などの職務部門を備えた機構である。二つ目は内部に幾つかの組織があり、居委会などの末端に分部(或は分院)などの支部が設置される機構である。三つ目は内部に組織がなく、街道或は居委会の市民教育を担当する専任職が1〜2名いるだけの機構である。都市部の区画変動や土地の徴収、移動により、人口が増加する鎮がある一方、減少する鎮もある。その影響で、教育基地の組織形態も違ってくる。例えば欽洋鎮では、鎮成人学校基地を「一基三校」(党校、成人学校、企業訓練センター)の体制にしており、鎮の党員幹部教育、企業の職工教育、市民の社会文化教育及び農業の後継者教育を融合させた。それに対して、厳橋鎮では、人口が年々増加し、鎮政府が1998年5月に住民が集中して居住する由由団地(新村)に社区学院を設立し、鎮成人学校、由由中学校、由由管理センターを市民教育基地にした。
4.教育施設。一つ目は街道(鎮)からある規模の施設と相応の教学設備が支給される基地である。二つ目は社区内の関連する職場から校舎や設備を借用し、教室が変動しない基地である。三つ目は社区内にすでにある教育資源を活用する、つまり資源の共同利用というパターンである。場所が一定であるが、教室は臨時に借用する。四つ目は場所も一定ではなく、街道の職員が職務を担当し、その都度各居委会の活動室で教学活動をする基地である。
5.設立過程。一つ目は鎮成人学校から転身する基地である。二つ目は団地(新村)や居委会で市民教育活動がすでに展開されているところを別にネーミングする基地である。三つ目は街道党校や政校の基礎の上に設置される基地である。四つ目は直接に設立される基地である。すでに多年の運営により、経験を積んだ い(サンズイ+維)坊等少数の街道を除くと、大多数の街道では基地が最近になって設置されたものであり、まだ完全な規定、制度が作り上げられていない。一部の基地がまだ準備中である。
6.事業規模。設立過程や、校舎、設備およびネットワークの違いにより、規模も大小さまざまである。参加人数が延べ何万人にものぼる街道もあれば、数百人の街道もある(統計基準が一様ではない問題もある)。中では、まだ準備中であるが、すでに開講される基地もある。

(二)市民教育基地の役割
 街道の社区教育が街道によって、始まったばかりのところもあり、その進捗状況が一様ではないが、社区教育の場としての市民教育基地が新区の建設においては、重要な役割を果たすことが、実践の中で明らかになってきた。その役割は主に以下の3つである。
1.陣地としての役割。市民教育基地で展開された教育活動は、その広い教育対象、確保できる一定の学習時間、系統的な学習内容を特徴とする。市民の資質や文明レベルを高め、文明的な都市の建設を促進するうえでは、市民教育基地の陣地としての効用が見落とされてはいけないし、替えられるものではない。社区教育の主要な場としての市民教育基地がすでにすべての街道(鎮)に普及し、多次元の比較的に完全なシステムが形成された。基地の様式は多様で、その学習内容もきわめて広く、社区住民に十分な学習機会を提供することができた。
2.教育の役割。社区の文化建設だけが市民教育の目標ではなく、社区の二つの文明建設に貢献できる「四有」人材を養成するのがより重要である。人材の育成が市民教育の最も基本的な役割であり、社区が発展するための「造血」でもある。社区発展の多様な需要に応じ、積極的に条件を創出し、市民教育が各種の人材を養成することにより、街道(鎮)の発展に必要な人材を提供することができる。多くの街道(鎮)の市民教育実践がその点をすでにある程度証明している。そこでは、在職者或は失業者を対象に職業技術教育を施し、とくに失業者に再就業できるように技能訓練を提供する。ほかに、青少年の健全な成長を願い、かれらを対象に校外教育を展開している。同時に、数多くの老人教育を行い、老いても学ぶことができ、老いても楽しく生きることができ、老いても貢献することができるような教育を提供できるように、生涯教育システムの構築のための有益な摸索をしてきた。
 特に思想道徳教育、科学知識の普及活動、法律に関する教育などが、市民の文化素養及び市民全体の資質を高めることに貢献した。
3.集合の役割。い(サンズイ+維)坊街道の市民教育基地では、数年連続して毎年延べ1万人あまりが学習に参加することが続いてきた。学習内容が客観的な需要及び住民の要望に応じるものであったから、住民の生活を豊かにすることができた。社区住民の多くが市民教育基地の周辺に集まり、喜ばしい団欒の状態が形成された。確かに現在のところ、主観的や客観的な条件の制限により、市民教育がまだ完全に住民の学習要望を満たすことはできないが、基地の集合力の形成が社区教育の今後の発展にとって有利な条件であり、社区精神文明の建設のために良好な基礎を定めた。
 その他に、社区の二つの文明の建設に、市民教育が誘導、条件、支持、養成、範例、放射、創造など多くの役割を果たすことができる。

二、調査の分析
 市民教育基地の現状に関する調査で得た知見は以下のとおりである。
(一)社区教育に対して、人々が共通の認識を持つようになりつつある。社区教育は教育の問題に留まらず、社区の安定、経済の発展、都市精神文明の建設にもかかわるものである。このような社区教育の効用が人々に認識されるようになるにつれ、社区教育の場としての市民教育基地も、関連部門とくにその責任者に重視されるようになってきた。基地の建設が進み(とくに街道では)、成果も明らかになってきた。
 調査チームの主催した座談会から見ると、新区成人教育弁公室、都市党工委政工処、街道の担当リーダー、社区教育専任幹部など、どの部署の責任者かにかかわらず、一致した認識をもっている。つまり、社区教育は「誰でも教育に参加し、誰でも教育を受ける」という社会化大教育であり、地区の社会教育であり、該当地区の青少年、成人及び老人教育を網羅しなければいけないということである。
 社区教育の推進が社会の発展に応じたものであり、その理由は以下のとおりである。
 第一に、生涯教育システムの構築から言えば、社区教育が生涯教育の考え方に一致する。社区教育の家庭、社会、学校と密接に結合するという全面性、住民なら誰でも参加するという開放性、組織形態と活動方式の多様性、学習者にとって選択の余地が大きいという柔軟性、社会の各部門が共同参加するという民主性等の特徴があげられる。だから、社区教育は生涯教育を実現する有効な方法である。
 第二に、都市建設の目標から言えば、二つの文明の建設を進めるのに、人々の資質を高めなければならない。都市の文明レベルと市民の資質を引き上げるのが、社区教育の重要な役割である。
 第三に、市民個人の需要から見れば、市場経済への移行、知識経済時代の到来、近代企業制度の実施に伴い、新しい時代に適応するためには、絶えず学習しなければならない。本市のある最新の調査データによると、63.4%の住民が社区と個人の関係がますます密接になると予測し、彼らは社区が安住できる楽園になることを望んでいる。それは安定した生活、文明的な環境及び、教育を受け、教育に参加することをさす。社区の市民に学習の機会を提供し、市民のますます高まる学習意欲を満足させることが該当地区の党や政府機関の果たすべき義務である。
 浦東新区は建設、発展中の新都市として、住民の移動という社会変動の真っ最中にある。例えば準備中の三林城街道には、現在2万人の住民しかいないが、移入した住民と現地の元農民の割合が共に高く、その差違が文化レベル(学歴)や生活習慣において顕著に現れている。社区内部の整合を早め、社区住民の一体感を育てるためには、市民教育基地という社区教育の場での住民に対する教育が緊急に求められている。
(二)市民教育基地の成功経験
 市民教育基地の発展が早く、運営も順調である街道(鎮)の共通な特徴が調査から見えてきた。
(1)責任者の重視と専任職員の配置。責任者が自ら関与し、市民教育基地の設立を年度行政計画に組み入れ、経費を確保し、専任管理職員を配置することによって、管理者、施設、経費、職員を基本的に保証することができた。
(2)住民の要望や実際の需要に応じた内容。教育内容から見ると、その大部分が市民の需要に応じた再就業教育、法制教育、社会文化生活関連教育である。党員教育、幹部教育も職務の必要によってアレンジされている。
(3)柔軟で、多様な様式。学習時間が柔軟で、教学方式も多種多様である。コンピューター、L.L教室、大画面のスクリーン、多機能ホール、トレーニング器械、模型などの設備を備えた基地もあり、基本的に各種の教学の需要を満たすことができる。
(4)連携と資源の共同利用。多くの部門が社区内外の教育機構と連携し、共同運営の形で、教師、設備、学習者の募集等の面においては、お互いに協力する。
(三)発展の中で存在する問題
 調査の中で、市民教育基地の発展を阻害する問題も発見した。主に以下のとおりである。
(1)市民教育に対する認識の問題。区の社区教育が青少年の学校外教育から始まり、基礎教育部門の管轄下にあり、社区教育管理委員会も今までの慣習で青少年の学校外教育だけを管理している。このような認識に基づき、社区教育の担当者に青保弁(青少年保護弁公室)の職員を指定する所もあれば、社区教育が街道、居委会の定年退職者を対象とした老人教育であると考える人もいる。明らかにこれらの認識が歪んでおり、それを正し、統一させる必要がある。
(2)市民教育の管理体制が未完成である。上述の認識上の問題が管理体制の混乱を引き起こす。教育部門の管轄下にある街道、宣伝部門の管轄下にある街道、民政部門の管轄下にある街道と、さまざまである。その他に、市民教育に関する政策的な規定が欠落されており、街道(鎮)のほうが市民教育を展開する積極性があっても、遵守すべき規則がないし、特に問題が生じたときに、どの部門に問い合わせたらよいのかわからない。浦東新区にはいまだに大教育概念上の社区教育を管轄する専門的な機構がなく、第一線の実務者が方向を見失ってしまう。すでに設立された市民教育基地でも、準備から運営まで街道に任せられているのが現状である。このように、認識と管理体制上の問題で、街道の市民教育基地が設立される場合、必要な、規範的な審査手続きが不明瞭である。市民教育基地が必要な条件を備えているかどうかを審査する部署がないし、名称が適切かどうかに関する明確な規定もない。管理体制の不備が、市民教育の経費、教師、教材に関する問題をも引き起こす。街道の中で、教育行政部門の審査を経て、学校設立許可書および費用徴収許可書を得た南碼頭街道社区学校以外に、他の市民教育基地は教育行政部門の正式な審査を受けていないので、すべて無料の授業となる。しかし、街道の予算が限られているので、結果的に市民教育の拡大が阻まれることになる。教師も正式なルートではなく、大概知り合いを通じて募集するので、その質が保証されない。この問題が専門教科の教師になると、一層顕著に表れる。また、実用的で、系統的な教科書の欠落も比較的に大きな問題である。
(3)市民教育の普及率が高くなく、教育対象が単一である。統計資料によると、大多数の市民教育基地では、教育対象が老人と在校青少年に限られ、在職者が少ない。しかも教育の普及率も高くない。い(サンズイ+維)坊街道の市民教育基地においてすら、毎年教育を受ける人数が述べ1万あまりであるが、実際の入学者が街道人口12万に占める割合が低く、今年の教育人口が地区総人口の30%を占めるべきという新区都市工作委員会の出した目標から、まだ距離がある。
三、幾つかの提案
 現在新区の都市面積が新区全体の16.26%を占めるのに対して、人口の同割合が58.14%も達している。だから、市民教育は学習社会の形成、生涯教育システムの構築、新区の成人教育にとって、極めて重要な現実的な意義と潜在的な深遠な意味を持つものである。市民教育基地の建設がすでに各行政レベルの責任者に重視され、進展も比較的に早いが、現存の問題を解決するための措置を早急に取らなければ、市民教育基地の更なる発展に影響を与えるであろう。市民教育基地の現状及びそれに対する分析から出した以下の提案が、関連部門の参考になれば幸いである。
(一)体制の確立
 社区教育の発展過程の中で、社区教育の意味が絶えず拡大されてきた。特に近年の人々の認識が更に新しい内容をもたらした。それと較べると、社区教育の管理が遅れている。縦の管理ラインが不明確で、業務上の指導が徹底されていない、という現状が社区教育の発展を制約し、市民教育基地の建設にも影響を与えている。ここで、教育行政部門(普通教育、成人教育、職業教育を含む)と、民政部門、宣伝部門等の職能部門からなる管理機構を設置した上、成人教育リーダーチームが総合的な管理を行うことを提案したい。成人教育リーダーチームが必要な政策、制度を制定し、審査、運営、業務指導などの責任を明確にし、社区教育を総合的に管理運営する。新区都市工作委員会が今回の街道(鎮)機構を調整する際に、街道に社区教育職能部門の設置を明確にし、新区全体の統一を図ることも提案したい。
(二)管理の強化
 社区教育は生涯教育の理念に基づいた社会事業である。市民教育基地の建設が新しい仕事であるので、一連の有効で、規範的な管理制度(学校の設置、教育管理、試験審査、奨励など)が欠けている。ここで、社会力量(公的なもの以外の)による学校経営の設置標準及び郷鎮成人学校の建設基準を参考に、実施可能な市民教育基地の建設基準、企画目標、審査手順などの制度を制定することを提案したい。更に、区、街道の社区教育ネットワークを利用することによって、実施状況を把握し、管理を強化する必要がある。
(三)経費の確保
 調査から、市民教育基地の経費は大きな問題であることがわかった。新しく設置された街道或は経済的基盤の弱い街道では経費が確保できない。たとえ比較的経済的条件がよく、毎年市民教育基地のために一定の予算を組む街道であったとしても、無料の教育活動であるため、その限られた経費が市民学習の需要を満たすことができない。管理体制が確立されるという前提の下、市の関連部門が次のような規定を作ることを提案したい。つまり、農村の教育事業附加費の中から、その一部が成人教育のために指定されているように、市民教育基地の財源を確保するためには、都市の教育事業附加費の中からも、一定の割合を社区教育のために指定することである。市からこのような規定が出される前に、各区(県)、街道(鎮)がその職権範囲内で、一定の措置をとり、基地への財政支出を拡大すると同時に、経費の創出を基地に奨励したり、学習者から合理的な費用を徴収したりするなど、費用を多くのルートから確保することを提案したい。南碼頭社区学校が新区教育財政部門の審査を経て、学校運営、経費徴収の許可を取得したことにより、街道から義務付けられる無料訓練の任務を果たした上で、有償の訓練を実施することができた。それは学習者の学習意欲を高めるためにも、学校の財源を確保するためにも有益である。
(四)具体的な指導
 市民教育基地の建設がまだ長くないため、その発展過程の中でこの問題が現れるのがむしろ自然であるが、重要なのは確かな援助と具体的な指導である。例えば教材、教師など運営上不可欠な事に関しては、関連する職能部門による指導と情報の提供が必要である。新区都市工委会が関連部門と編集した『市民文明行為規範ABC読本』が援助、指導のよい例である。
(五)典型の樹立 各街道(鎮)がよい市民教育基地を一ヶ所建設し、それを中心にして、各居委会に放射状で影響を与える。真に区レベルの社区学院(設置した区もあるし、準備中の区もある)を頭に、街道社区学校を中核に、末端の居委会(村)につながる市民教育システムを形成すべきである。
 このシステムの形成ならびにその役割を果たすためには、必要な奨励制度の設置が必要である。先進的なモデルを樹立、扶助し、彼らの成功経験を整理、広め、モデルとしての効用を存分に発揮することにより、市民教育基地の発展を促進する。
 社区教育は、発展中の事業としてその特有の意義がますます顕著になってきている。社区教育の発展に従い、社区教育の場としての市民教育基地の建設もその完成に向け、絶えず発展することを信じて疑わないものである。
        (葉忠海著『社区教育基礎』、上海大学出版社、2000年6月 所収)




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(7)上海市閘北区の社区実務従事者に対する職務資格訓練に関する意見


各街道、鎮:
  1996年の市都市会議(城区工作会議)において社区の建設と管理を強化し、都市の近代的管理レベルを絶えず高める目標が打ち出された。以来3年の間に、我が区の社区建設が十分な発展を遂げ、街道、居民委員会の社区を管理する能力とレベルも大いに高まった。しかし、都市の社区建設の更なる発展とともに、特に新世紀を迎え、第一線の社区実務従事者が新しい状況や新しい問題に直面しているのが実情である。彼らは学習と訓練を通じ、社区実務の基本理論と科学的方法をマスターすることを切に願っている。その需要を満たすために、我々が第一線の社区実務従事者である居委会の幹部を対象に職務資格訓練を提供することを決定した。その訓練を通じ、第一線の社区実務従事者の思想と専門的資質をさらに高め、基準をクリアした社区建設の人材と中堅の管理者を養成する。それによって、社区の管理を更に強化し、社区の建設を促進する。
訓練実施方法は以下のとおりである。
一、訓練対象
1.各街道(鎮)居委会専任職幹部・居委会主任
2.社区実務従事者
二、訓練時間(1999年〜2000年)
2000年末までに、上記人員の訓練を終え、以降需要に応じ開講する。
週日と週末の両方にて開講する。週2回、1回半日の4コマを利用する。1期84コマとなり、1999年5月に開始する。(具体的な時間は別紙で通知)
三、訓練方式
対面指導と独学の結合、授業と独学の結合、講義と考察の結合、試験と審査の結合。
四、訓練内容
一線の社区実務及び居委会の職務に従い、訓練の指導要領と学習内容を制定する。詳しくは訓練計画を参照されたい。
五、組織と指導
1.区人事局、民政局、成教弁(成人教育弁公室)から構成される訓練事務協調チームが、訓練の組織及び協調を担当する。区人事局が訓練幹部の人事管理を、区民政局が受講者の組織、募集、管理及びカリキュラムの設置に関する指導を、区成教弁が指導要領の実施、教学、試験及び証書の配布を、それぞれ担当する。
2.協調チームの下に弁公室を新設し、その日常事務を担当する。弁公室は民政局基政課に設置される。
3.訓練の実施は閘北社区学院に委託する。
六、試験と証書
1.試験と審査:訓練の成績を総合的に評定する。試験と審査との両方の方法で、成績を優秀、合格、不合格の三段階で評定する。
2.合格者には社区実務従事者職務資格証書を与える。

七、賞罰措置1.訓練が終了する度に、一定数の優秀な受講者を選出し、適切な精神的かつ物的な奨励を与える。
2.成績が不合格になった受講者が訓練費用を個人負担にし、職場の公費で賄ってはならない。更に合格するまで訓練を受け続ける。
3.職務資格証書が社区実務従事者にとって、就業資格と職務に従事する根拠となる。
        (葉忠海著『社区教育基礎』、上海大学出版社、2000年6月 所収)



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