公州の風(瀬川理恵、2012~2014)


20111226 渋谷ロゴスキー


◆公州の風・第1号入寮しました *韓国・公州大学校大学院(博士課程)
  (Thu, 1 Mar 2012 21:37) 南の風2835号(2012/03/02)
 私は26日(日)に公州市に入りました。3日間、市内のホテルに宿泊しながら、梁炳賛先生の研究室に行ったり、学校内を見学したりして過ごしました。研究室では、一緒に学ぶ友人もできました。少し離れた場所にある大学の平生教育院や、多文化家族支援センターにも、行ってみました。チョンヒョンギョン先生からも早速、励ましのお電話をいただきました。
 そして昨日の夕方、キムボランさんと一緒に、パソコンや布団を購入して、入寮しました。ビジョンハウスというところです。一軒のアパートの中に、部屋が3つあり、それぞれの部屋が、約6畳です。一つの部屋に二人が暮らします。玄関、トイレとシャワー、居間は6名で一緒に使います。ちょうど日本で言う、「ルームシェア」のような感じです。ただし台所はありません。食事は3食まかない付きです。私のルームメイトはまだ到着しておらず、今は一人で6畳に住んでいます。なかなか快適です。でもちょっと寂しいような、、、。(笑) 
 明日はいよいよ、大学院新入生のオリエンテーションがあります。
 5日間で、沢山の方々とお目にかかりました。それぞれの方々のお話は、また今度お伝えしたいと思います。
【今日の新知識】今までヤン先生(ソンセンニム)とお呼びしていましたが、ヤン教授様(キョスニム)とお呼びするべきだったと知りました。(恥ずかしい。。。)また、ご連絡いたします。

◆公州の風・2-東日本大震災1周年シンポジウム 
 
(Fri, 9 Mar 2012 14:32) 南の風2841号(2012/03/10)
 東日本大地震から1年がたとうとしています。
 韓国でも、テレビなどで連日、特集が組まれているとのことです。昨日、3月8日(木)、東日本大震災1周年シンポジウムがソウル大学で開催され(主催:ソウル大学校日本研究所)私も参加させていただきました。
 まず、「東日本大震災と社会変動」研究チームによる結果報告及び現地調査報告が行われました。その後、自治体における地域体系や産業構造の変化などに着目した発表、天皇の被災地訪問に着目した発表、脱原発運動などに着目した発表など、合計6本の発表がなされ(発表者はすべて研究所所属研究者)、その後、参加者を含めた総合討論が行われました。シンポジウムの参加者は50名程でしたが、皆さん熱心に参加していらっしゃいました。
 私はまだ力不足で、韓国語で行われた発表と討議内容の全てを理解することはできませんでした。しかし、韓国で、1年たった今も、東日本大震災に深い関心を持ち、シンポジウムを開催して理解をさらに深めようとしてくださっていることに、深い感銘を受けました。
 なお、川崎市とも関係が深い、同研究所所長の韓栄恵(ハン・ヨネ:ソウル大学教授)氏は、当日体調が悪く、文書だけでの報告でした。1週間もすればまた研究所にいらっしゃるだろうとのことです。
 その後私は、友人と食事をし、夜9時半のバスにのって、公州の寄宿舎へ、11時に到着しました。ちなみに、門限は0時間30分です。(笑)
 今日の新知識:反原発の市民運動として、松本哉氏の活動が紹介されました。「素人の乱」。。。。?

◆公州の風・3-九州大学との交流
 (Fri, 23 Mar 2012 10:14) 南の風2851号(2012/03/10)
 公州市は、いまだ最高気温が10度にならない日もあり寒いです。(とくに教室が寒い!)けれども、彼岸の入りごろから、春の日差しになってきました。
 昨日(22日)の朝の飛行機で、キムボラムさんが、日本に旅立ちました。今後3年間、日本で勉強を積むボラムさんを、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。彼女は、とても優秀で、かつ気遣いのできる方です。そのうえ、いつも元気で、よく笑い、太陽のように輝いて、まさに学校中のスターです。日本でも、すぐに彼女らしさを発揮してくれることでしょう。彼女の足元にも及びませんが、私もコツコツと毎日を積み重ねようと思っています。
 また、同日、公州大学校へ、九州大学大学院から、3名の先生方と2名の博士課程の学生さんが、いらっしゃいました。公州大学校の学長をはじめ、何人かの先生方にインタビューをなさったとのことでした。九州大学の田中光晴先生から、公州大学校の梁炳賛先生へ連絡があり、今回の視察となったようです。(田中先生は韓国語が完璧です。) 私は、夕食後の2次会へ、大学院の学生4名とともに参加させていただきました。私がお話をさせていただいた先生方は、福岡県内の自治体と共同で、学校・地域連携事業に取り組んでいらっしゃるとのことでした。
 英語、韓国語、日本語、身振り手振りを交えた、大学院生同志の交流もありました。私も久しぶりに、教育に関する話を日本語ですることができて、充実しました。長い日本語をスラスラと話す私の姿を見て、大学院の仲間たちは驚いていました。(私の話す韓国語は、とてもゆっくりで、しかも不十分)。
 2次会のお話では、九州大学と公州大学校の相互交流が始動しそうな気配もあり、今後がとても楽しみです。実現すれば、九州でのフィールドワークに、おいしい牡蠣がたべられる「牡蠣小屋」も入れてくださるとのこと。私も九州へ行けるかな~(笑)
今日の新知識:プッシュ式手洗い石鹸。これを公州で見つけるのは、ちょっと大変。固形石鹸が主流です。

◆公州の風・4-ヤンビョンチャン先生「地域社会教育論」
 (Thu, 19 Apr 2012 20:18) 南の風2868号(2012/04/20)
 いま、韓国の公州では、横浜の3月から5月が一度に来た感じです。梅、タンポポ、桜、チューリップが、一度に咲いてます。
 ヤンビョンチャン先生「地域社会教育論」の授業は、土曜日の午前9時30分から3時間です。30人近い院生が、学んでいます。年齢は、23歳の若者から50歳以上の人まで様々。いずれも、現場をもっている人々が多いです。修士と博士合同。外国人は、私の他に、中国人の学生が一人います。
 今は「日本の社会教育・平生学習」を教科書にして、勉強をしています。土曜日は私の発表があります。日本のことを書いている教科書なのに、当然ならが、すべて、韓国語です。教科書の概要を日本語で書いて、それを整理。次に、発表内容を日本語にして、それを韓国語にする…。大変だけれど、おもしろい。面白いけど、つらい…。
 そんなわけで、準備にかなり、時間がかかりました。どうなることやら。まあ、気楽に楽しく、発表します。いまは、これしかできません(笑)。日本の社会教育について、間違ったこと、言わないように、気をつけなくては。(汗)

◆公州の風・5―はじめてのゼミ発表
 (April 30, 2012 1:04) 南の風2875号(2012/05/02)
 
28日(土)、ヤン先生の授業で発表をしました。発表内容は「日本の社会教育・平生教育」の第11章「女性の学習と社会参与」に対するレポート。
 発表準備は、久々に感じる(いや、始めてかも)強烈なストレスでしたが、ある意味、麻薬のような作業でした。辛い時期もありましたが、後半は作業に集中したためか、机に向かいながら「ここは、どこだろう、日本か?韓国か?」と何度もおもいました。
 日本語を韓国語にした原稿を確認してくれたヘウォンさん、原稿音読につきあってくれたスルギちゃん、発表の前日に、原稿内容を確認して、疑問点を指摘してくれたジウォンちゃん、私の話を聞いてくれたチョン先生、イム先生、ヘウォンさん、ウンジョンさん、イギュソン先生。深夜の騒音に耐えてくれた、早寝・遅起きのモンゴル人、ルームメイトのナラちゃん。本当にありがとう!
 そして私の変な韓国語を我慢して聞いてくれたうえ、質問をしたり議論したりしてくれた仲間たちにも、感謝です。
 もちろん、ヤン先生の暖かい愛情があってこそ、いただけた発表機会であります。韓国に来て2ヶ月、まだまだ不足はありますが、私は私なりに、今の段階で、自分の伝えたいことを、何とか伝えられたかなと思います。発表の夜、平生教育専攻の院生たちの宴会もあり、恩師や仲間に感謝をつたえる機会をいただけました。すべてに感謝です。ーーーーーー
 今回はちょっと、長くなってしまいました。すみません。発表は21日の予定でしたが、先生の義理のお父様がお亡くなったため休講で、28日になりました。

◆公州の風・6―『さわやかな5月』
 (Sun, 27 May 2012 16:02)  南の風2890号(2012/05/28)
 公州の5月は、とてもさわやかです。先日、二日続けて、ソウルに行ってきました。5月24日(木)は、韓国平生教育学会・東アジア研究会の定例会があり、テグ大学校のヤン・フングォン先生が、日本の社会教育施設の指定管理制度について、発表をなさいました。場所はソウル大学、参加者は11名。
 翌日25日(金)は、2012年韓国平生教育学会第2回学習フォーラムが、白石芸術大学校でおこなわれました。第1部は韓国教育開発院の職員の方による、国家平生教育統計データ活用方法の説明。第2部は、中央大学校のホン・アジョン先生による「質的研究の体系的接近」と題した講演と、質的研究法を用いた、アジュ大学校パク・ソンギョンさんの博士論文「平生学習共同体形成過程の生態学的研究」の発表でした。参加者は約180名。フォーラムは今後も複数回行われるとのことです。
 東アジア研究や、質的研究については、私も非常に関心があり、楽しく参加することができました。
 韓国にきて、改めて感じることは、韓国の方たちが、日本の社会教育・生涯学習について、深い知識をお持ちだということです。
 私も、時々、日本の社会教育・生涯学習について質問を受けることがありますが、質問の内容によっては、その場での回答が不十分で、顔から火が出る思いをすることも。その後、別の回答が浮かぶ時もあるのですが、 一層、情けなく、悔しい思いがします。
「でも、せっかく韓国に来たのだから、前向きに考えなくちゃ!知らないことに気づけた。もう一度、学びなおす機会を与えてもらったんだ。」ソウルを後にして1時間半後、公州でバスを降りる時、そんなふうに気持ちを切り替えられていれば、マズマズだと、思うようにしています。情けない私ですが、とりあえず、元気です。

◆公州の風・7―
和歌山大学「地域と大学を繋ぐ」セミナー
 (Mon, 16 Jul 2012 11:18) 南の風2919号(2012/06/17)
 7月5から6日、和歌山大学で「地域と大学を繋ぐコーディネーターのための研究実践セミナー」が開催され、参加しました。公州大学も、地域を拠点とする国立大学の地域貢献について、研究を開始したためです。
 日本全国40以上の大学から百人の参加。今年4月から地域連携の担当になったという人が多いという印象でした。韓国からは、私のほかに、東西大学の研究員も参加していました。
 一日目は文部科学省・大学振興課長から、今回示されたプランの策定背景、大学改革の必要性、そのための国の支援等について説明がありました。
 次に山本和歌山大学長が、地方大学のモデルとなるべく、また、地域とともに活きる大学を目指して、今まで取り組んできた事柄について、お話しなさいました。また各大学に対して、今回示された国のプランを積極的に捉えて、地域と大学の連携に取り組むことを推奨なさいました。実績に裏打ちされた事柄を 分かりやすい言葉で、語りかけるようにお話しになり、とても説得力がありました。
 その後は県立岩手大学、松本大学、和歌山大学による先行事例発表がありました。地域と大学が連携することは、地域、学校、学生すべてに、良い影響を与えることを確認できました。
 二日目は、グループに分かれてワークショップ。1グループ8、9人程度。メンバーそれぞれが「大学の経営者」であると仮定して、1,地域連携をする必要性、目的は? 2,「地域連携コーディネーター」に必要な人柄や力量は? 3,地域連携コーディネーターへのミッションは?について話し合い、全体会で発表しました。
 参加者たちは、地域連携の大切さや意味を「全学的」に周知する必要性があると強く感じていました。
 また、実際にワークを行いながら、自らがコーディネーターとして業務を行うにあたり、大学の経営者としての視点や考え方が必要であることを強く意識したと思います。
 最後に、和歌山大学から、大学相互の情報交換や連携を進めることを目的とした、緩やかなネットワーク構築(事務局:和歌山大学)が提案され、参加者全員に了承されて、セミナーが終了しました。
 二日目の午後、個人的に、和歌山大学サテライトを訪問しました。その一つである「まちかどサテライト」は、和歌山大学と和歌山市が協定をむすび、市内商業ビル内に設置されています。そこには、大学のコーディネーターと市の職員が一人ずつおり、ともに業務に取り組んでいました。
 今回のセミナーでは、横浜市の公務員として、地域と大学の連携のなかに、ぜひ地方自治体も加えていただきたいと強く感じました。また、韓国の大学院生、かつ日本の行政職員として、学ぶこと、力づけられることが多かったです。参加できたこと、多くの出会いに、感謝しています。

◆公州の風・8―研究フォーラム・草の根女性大会など
 (Tue, 24 Jul 2012 09:23) 南の風2924号(2012/07/25)
 公州大学に来て、学校の授業の他に参加した行事の一部を紹介します。学会関係では、東アジア平生教育研究会や、研究フォーラム(いずれもほぼ毎月開催)に参加しました。
 研究フォーラムでは、テーマを決めて、研究者や院生等の発表、質疑応答があります。また、今年、初めての試みとして、学会に参加している院生などが中心になり、2泊3日の研修会が開催され、約 100人の参加者があったとのことでした。(私は不参加)
 女性団体関係では、2年に1度開催される草の根女性大会に、チョン・ヒョンギョン先生、テジョン(大田)のイム先生と一緒に、1泊2日で参加しました。会場は、チュンジュ(忠州)。全国から20を超える団体、子どもを含めて100名近くが参加しました。
 私の収穫は、最近成立した協同組合法を活用して、起業を模索している女性団体が少なくないと、知ったこと。5人以上集まれば、協同組合を作ることができるので、町の小さなカフェ、お弁当配食、介護など、何かできないかと考えている人たちに会ったことです。新しいことを考えている人たちは、見ている側まで、わくわくします。
 一昨日は、チョン先生と一緒に、その大会で紹介された、テジョンのゲストハウス(芸術家の発表の場所を兼ねる)に泊まり、昨日、地域の女性団体の活動を見学しました。チョン先生が住むスウォン(水原)にも、開発に若干おくれた地域に、芸術家街をつくる動きがあって、先日、私も見学したばかり。横浜にも同様な地域があるので、テジョンの動きはとても興味がありました。テジョンは私の住む公州からも近いので、今後なにかの活動に参加できればなと思っています。
 そして、20~21日は、ヤン・ビョンチャン先生の門下生の集まり(平生教育実践研究共同体;メンバー50人以上)が公州で開催されました。年に2回の開催で、今回は30人以上の参加。国立公州博物館を見学した後、ヤン先生の特別講義、夕食(鴨料理)、席を移して2次会、合宿、翌日は、キョンボク大学のヒョン・ヨンソプ教授を講師に迎えた教育フォーラム(量的研究方法)に参加しました。
 全国の現場で活動する人たちが、ともに集い、笑い、語り、泣き、励まし、力をもらえる、そんな集まりだと、感じました。7月末には一次帰国します。社全協にも参加しますので、よろしくお願いします。

◆公州の風・9高知・全国集会に参加して
  
(Wed, 5 Sep 2012 10:36) 南の風2948号(2012/09/05)
 … 私は、30日に韓国に入り、二日間、大田市のホテルですごしたあと、9月1日に公州大学の寄宿舎に入りました。まだ、ばたばたしています。
 高知の社全協・全国集会は、ヤン先生の弟子として共に参加できた、初めての大会だったので、今までにない嬉しさがありました。また、個人的に大きな感動を得ることができた大会でもありました。特に第2全体会の3人の方々のセッションはとても良かったです。
 今まで私が横浜市や教育委員会の組織の中で、無力ながら取り組んできたこと、また個人の活動としてやってきたこと、そしてこれからやろうとしていること、それをすべて「よくやってきたね、それでいいんだよ」って、肯定し、受け入れてもらえたように、感じました。胸が詰まりました。
 この全国集会、セッションを高知側から組んでくださった内田先生に心から感謝しています。(うまく言葉で、思いをつたえられなくて、歯がゆいのですが。… 機会があれば、内田先生にもよろしくお伝えください。)
 毎晩、楽しくたくさんお酒を飲み、笑い、歌い、泣いた、高知でした。帰宅後、すぐ韓国行きの準備をしてばたばたと出国しました。小林先生や、お世話になった皆さんにきちんとお礼を申し上げることもできず、大変申し訳ないと思っております。皆様に、くれぐれもよろしくお伝えください。
 白樺の短歌。先生の思いが伝わってきました。私も、それに答えて、短歌をお送りしたいと頭をかなり、ひねってみましたが、才能ゼロです。もう少し修行してみます。(笑)
 先生、元気でいらしてくださいね。またご連絡申し上げます。ありがとうございました。

◆公州の風・10九州大学との交流
  
(Thu, 27 Sep 2012 14:22) 南の風2962号(2012/09/29)
  ・・今日(27日)、これから、ソウルに行ってきます。学会の東アジア部会で、社全協・全国集会(高知)報告や、11月の三国共同研究(済州島)について話し合いがあるそうです。…
 高知で行われた社全協・全国集会での感動も覚めやらぬまま、8月30日、台風と共に韓国に戻りました。9月1日の入寮と特別講義を境に、離日の寂しさが、学友との再会の喜びに、切り変わりました。
 9月14日には、九州大学教育学部から13名(先生等5名、院生等8名)を公州大学に、お迎えしました。15日は終日、国際教育研究フォーラムを開催し、両校の教授各1名、院生各4名が研究発表、議論を行いました。16日と、17日午前は、大学近隣の教育研究所や中学校の視察、崔益鉉慕徳祠、武寧王稜などの市内観光をおこないました。初めての試みで、試行錯誤でしたが、両校の教授・院生が互いの研究を知り、学び、語り、食べ、飲み、歌いながら、交流ができたのではないかと思います。私もお手伝いをしながら、多くの人々と話すことができました。また、今回の事業で私は、公州大学での役割を与えていただけた喜びを感じると同時に、役割がない自分に、無用な不安や寂しさを感じていたことに気づきました。
 翌週からは、本格的に授業がはじまり、資料を読み、レポートをまとめるという、日常が始まりました。私に残された2年の間に、どのような研究ができるのか…、成果が残せるのか…。今は分かりません。苦しく?でも、けっこう楽しい日常の積み重ねが、何らかの結果になるかもしれない、そんな甘い考えに陥っています。
 週末は、チュソク(旧暦の8月15日)で人々は故郷に帰ります。私は、24日に寮をでて、晴れて一人暮らしをはじめました。すごく快適です。

◆公州の風・11鹿児島へ
  
Sun, 10 Feb 2013 23:58) 南の風3033号(2013/02/12)
 今日(10日)は旧正月でした。故郷に帰らなかった韓国人の友人が、餅のスープを作ってくれました。私は、1月9日に韓国へ戻って以来、けっこう楽しい冬休みを過ごしています。この間、韓国語の論文を日本語に翻訳させてもらったり、大学生3名、大学院生1名、大学の先生2名と一緒に、鹿児島に7泊8日で研修旅行に行ったりしました。
 鹿児島では、知覧の特攻平和会館や、指宿温泉、鹿児島市内観光などをしました。最後の二日間は、小林平造先生にお世話になり、現地の学生達との交流、薩摩焼14代宗家との出会い、出水市ツル博物館訪問などの機会をいただきました。他にも、心と身体が感じた、忘れられない体験がいっぱいの8日間でした。
 特に、韓国の若者達と一緒に、研修旅行ができたことが良かったと思います。3回の事前勉強会では、日本未体験の普通の韓国の若者が持つ、日本に対する感情を直接聞くことができました(決して、良いものばかりではありません)。現地では、彼らが直接、鹿児島の人々と触れ合うことで、彼らの中の日本のイメージが少しずつ変わっていく様子を見ることができました。また、特攻平和記念館で私は、何ともいえない息苦しさを感じました。けれど彼らと一緒に観覧することで、その息苦しさが消えていきました。本当に貴重な体験でした。他にもお伝えしたいことは沢山ありますが、次の機会にしたいと思います。

◆公州の風・12私の一週間
 
Sun, 31 Mar 2013 22:27) 南の風3059号(2013/04/1)
 留学生活は、おかげさまで2年目に入りました。 3月1日から新学期。この1ヶ月、本当に長いと感じました! 私の一週間をご紹介します。月曜日は、バスと地下鉄で45分ほどのテジョン旧都心レッツ(地域貨幣活動)という団体で、午前10時から午後3時ごろまで、活動しています。
 旧都心レッツでの事務所では、週3回、手作りランチを提供しています。地域の人々が一緒に食事をしながら、歓談し、代金は地域貨幣で支払います。私は、食事場所の掃除、食材の下準備、皿洗い等の活動をしています。仲間たちと交わす会話は、学校とは違う楽しさがあります。
 月曜の夜は、隔週で鹿児島の郷中教育の勉強会。火曜日の夜も、隔週で女性学の勉強会。水曜日の夜は、パクサンオク先生の平生教育研究論(主に質的研究について)の授業。金曜日の夜はカヤグム。土曜日はヤンビョンチャン先生の教育福祉論と、パクサンオク先生の平生教育学研究(おもに概論)の授業です。3つの授業はいずれも、必読書類が多く、レビューペーパーや発表の準備で、土曜日の授業がおわると、へとへとというのが現状です。
 別の話題ですが、専攻ごとに回している師範大学大学院の生徒会長職が、今年、平生教育専攻の順番になりました。なぜか、私が名前だけですが就任することになりました。どうなることやら。
 2年目になり、1年目とはまた違う自分の気持ちに当惑しつつ、留学の意味を再度問い直したりもしています。色々ありますが、それなりに楽しいです。(と、自己暗示?笑)はやく桜が咲かないかなーーー。

◆公州の風・13九州大学との交流
 Tue, 23 Apr 2013 15:20) 南の風3059号(2013/04/23)
 4月18日から21日、九州大教育学部と公州大学校師範大の国際交流プログラムが行われ、公州大から教授 5名、大学院生12名が参加しました。昨年9月に九州大学の皆さんが公州大学校にいらっしゃり、次回は九州大でと約束をしていたのです。九州大学では社会教育の岡幸江先生をはじめ、教育行政、教育方法、教育哲学などの先生方や、多くの院生さん達が丁寧に準備をしてくださっていました。
 一日目は九州大学工学部の貴重な施設や博物館などを見学しました。その中には九大の先生方も初めて入る施設が含まれていました。その後、九大の学生集会所である三畏閣で、院生さん手づくりの歓迎会があり、4月に入学したばかりの学部生も参加してくれました。二日目は、午前に福岡市立の小中連携教育校である照葉小中学校、午後に須恵町の校区コミュニティを見学しました。三日目は終日、教育研究国際フォーラムが行われ、午前は各大学の教員1名ずつ(他に討論者各1名)、午後は院生が各3名ずつ発表しました。四日目は国立九州博物館と大宰府天満宮を見学しました。
 私が一番印象に残ったのは、三日目のフォーラムで、英国人であるビッカーズ准教授が、東アジアにおける反日感情や、日本学生の歴史認識欠如、それに対する日本の政府やメディアの責任について発表なさったことです。その発表を聞き私は、複雑な思いを持ちました。九州大学と公州大学校で、言葉を越えた心の交流ができた素敵な4日間。これを機会に、互いの歴史認識について、少しずつでも、語り合えたら素晴らしい。そんな話を福岡空港へ向かう車の中で岡先生と、またインチョンから公州に向かう車の中でヤン先生と、お話ししました。
 いずれにせよ、この4日間は、留学生活で、知らず知らずに萎縮していた私のエネルギーを充電できた幸せな日々でした。感謝です。

◆公州の風・14ー九州大学経由で横浜へ
 (Wed, 5 Sep 2012 10:36) 南の風3146号(2013/08/25)
 公州大学校と、九州大学の交流の一環として、今回は、公州大のヤン先生と、チェ先生が、九州大学で集中講義を行いました。韓国の教育行政論という科目です。(私は、ヤン先生のおまけで、付いてきました。)
 一つの科目を、二つに分け、まず二日間、チェ先生が韓国の教育行政一般について説明なさり、その後の二日間で、ヤン先生が、実践論的観点から説明なさいました。農村学校、教育福祉、大学改革、韓国の平生教育システム、ローカルガバナンスなどをテーマにしました。
 授業は、ヤン先生が、新たに作成した資料の他に、以前に日本で発表した論文などをそろえて、韓国で今回のために冊子にしたものを使用しました。(私も少し翻訳をお手伝いしました。)また、冊子のほかには、イメージがつかみやすいように、市民活動や教育福祉の現場などの映像も、使用しました。
 ヤン先生は「韓国の実践的観点を伝えたい」という熱意にあふれた、堂々とした話し方でした。その姿は、受講者の質問に一つ一つ笑顔で答える誠実さともあいまって、とっても素敵でした。
 九州大学では、教育行政の元兼先生や、韓国からの留学生、ヤンホソクさん、社会教育の岡先生、岡研究室の皆さんなどが中心になって、私達を迎えてくださいました。本当にありがたかったです。今回の集中講義をとおして、交流を重ねるたびに、その深さが深まるな~と実感しました。
 集中講義が終了した翌日の金曜日は、花畑公民館を訪問しました。福岡市は、小学校区に1つずつ公民館が設置されています。また、地域ごとに設けられた、自治協議会の事務局の皆さんにも、お話を伺えました。
 沢山学び、沢山食べ、沢山話した、充実の福岡行きでした。九州に来る前日には、公州へ北海道学園大学の内田和浩先生が韓国人の留学生と一緒に、遊びに来てくださいました。色々な先生方と、ヤン先生の交流を傍で拝見できることが、とても幸せです。私は、かなり、元気はつらつです!

◆公州の風・15第5回 韓日 平生教育・社会教育学術交流研究会
 Mon, 21 Oct 2013 07:48) 南の風3181号(2013/10/21)
 2013年10月18日から19日にかけて、第5回韓日平生教育・社会教育学術交流研究会が開催されました。場所は、忠清北道堤側市の清風明月レイクホテルです。日本からは、学会長の高橋満先生をはじめ、13名の方々が韓国にいらっしゃいました。(同時に国際会議が開催されていたので、そちらに参加された方も含みます。)
 1日目は三つの発表がありました。まずは、「韓国と日本の国家・地域水準の平生教育ガバナンス体制」がテーマでした。発表は尚志大学校のチェ・ドンミン先生と法政大学の荒井容子先生、討論は東北大学の石井山龍平先生と東義大学校のオ・ヒョクジン先生でした。
 二つ目と三つ目の発表は、日韓が共通テーマを共同で発表するという画期的なものでした。まず「NPOのガバナンスと社会教育・平生教育の役割:日韓比較研究のための試論」というテーマで、東北大学の高橋満先生とソウル大学のカン・デジュン先生が発表なさいました。次は「韓国と日本の高齢者教育のガバナンス比較研究:教育行政と福祉行政の対比から」で、発表は大阪教育大学の堀薫夫先生、慶煕大学校のチェ・イルソン先生でした。
 2日目は日韓大学院生セミナーが開催され、日韓の若手研究者の発表がありました。韓国からは東西大学のイ・ユジョンさんが和歌山大学の事例をもとに「大学と地域社会のパートナーシップ」について、公州大学校のキム・ウンギョンさんが「韓国平生教育学の知的構造分析モデル開発」について発表しました。次に「学術交流の新たな展開に向けて」という主題で、奈良教育大学の藤田美佳先生と慶煕大学校のチョン・ヒョンギョン先生が協同発表をなさり、最後に首都大学東京の野元弘幸先生が「アイヌ民族・先住民族をめぐる教育の課題」をテーマとして発表なさいました。
 今回の日韓交流研究会では、両国の共同研究発表が行われ新しい動きが始まったと感じます。また平生教育博覧会と時期をあわせて開催されたため、交流研究会終了後に博覧会を見学なさった方もいらっしゃいました。会場はソウルから電車で2時間程度、駅を降りてからもバスで20分以上という場所で、決して便利ではありませんでしたが、美しい湖と山の風景をごらんいただけたと思います。課題も見えましたが、私としては交流の積み重ねの過程だと理解しました。以上報告とさせていただきます。

◆公州の風・16九州大学との交流
 Sat, 23 Nov 2013 21:23) 南の風3198号(2013/11/25)
 
10月31日(木)から11月2日(土)、九州大学の岡研究室が公州大学を訪問してくださった(岡先生、院生3名、学部生5名)。まず、公州の国立博物館を見学。88歳の男性日本語ボランティアが説明してくれた。深い知識を美しい日本語で熱心に語り、日本と百済のえにしについても伝えてくれた。「私達とあなた達は、もしかしたら、赤の他人ではないかもしれませんよ」「色々と課題はあるけれども、皆さんは、韓国と日本をつなぐ橋を支える、力強い橋げたになってください。」と。
 学部生が「日本との関係はどんなものですか?」と尋ね、彼は「私は終戦を満州で日本軍の兵士として迎えました。その前は、学校の先生をしていました。子ども達に綺麗な日本語を教えたいと、一生懸命日本語を練習しました。今でも2時間勉強しています。」と語った。学部生たちは、事前に韓国の歴史を自主的に勉強して来てくれたが、彼の言葉は、だからこそ理解できる、意味深いものだったと思う。彼に会えたことは、九大の皆にも私にも、宝物になったと思う。私は今後、彼に再会しインタビューしようと考えている。
 ―ーーーーーーー
 翌日は、清州の平生学習館や、仕事をする人々などを訪問した。公州大はヤン先生、パク先生、院生5名のほかに学部生5名も参加し、車4台での移動。車の中は日韓合同、若者達は英語で会話がはずんだ。また夕食後、施設見学の振り返りも日韓全員で行った。夕食会からは、肥後さんも参加した。その晩は合宿形式、二次会は院生を含んだ日韓の若者達がゲームをして大盛り上がりだった。皆の笑顔を見て私は、こういう交流の積み重ねこそが大切なんだと痛感した。お迎えする公州大のチームワークも良かった。特に交流担当者は金星!また中国朝鮮族の崔さん(九大院生)も大活躍だった。
 最終日の11月2日は、岡先生が日本のNPOと社会教育と題して講演をなさり、公州大学の院生に多くの新しい知識と刺激をくれた。合同昼食会のあと、午後2時のバスで岡研究室の皆さんがソウルへ行くのをお見送りし、感動の3日間が終わった。
 私事ですが、11月20日(水)なんとか博士論文計画書の発表を終えました。多くの皆さんの応援、そして何よりもヤン先生のご指導と励ましのおかげだと感謝しています。

◆公州の風・17ー大学の地域社会貢献-北海道大学との研究交流
 (Wed, 29 Jan 2014 13:16) 南の風3242号(2014/01/31)
 2014年1月13日、北海道大学の皆様方をお迎えして、平生学習中心大学国際シンポジウムが開催されました。テーマは「韓日 大学の地域社会貢献:平生教育の観点から」です。公州大学校は5年連続して平生学習中心大学として選定されており、そのプロジェクトの一環として、今回のシンポジウムが開催されました。また北海道大学と公州大学校との交流が今回、10年を迎えるという記念すべき時期での開催となりました。
 イ・ダル学長の祝辞からはじまり、シンポジウムは、第一部を大学と地域社会、第二部を大学の実践事例、第三部を成人学習者、という構成です。各部の発表者とテーマは次のとおり。
○第1部:姉崎洋一先生「大学・高等教育機関の地域社会貢献をめぐる争点と課題」、
 公州大学ヤン・ビョンチャン先生「韓国における大学の構造改革と平生教育の戦略的位置」、
 鈴木敏正先生「大学の地域社会貢献とESD・ESIC」、
 光本滋先生「日本の大学改革と地域貢献」
○第2部:ソウル大学校カン・デジュン先生「ソウル大と九老区が協同で実施した市民指導者アカ
 デミーの事例」、公州大学校・産業科学大学ペ・ソンイ学長(忠南農村活性化支援センター長・
 地域社会開発学科教授)「公州大学校の農漁村活性化支援事業の実践」
○第3部:水野眞佐夫先生「生涯教育における運動を習慣化できる力量形成の重要性」、
 公州大学校パク・サンオク先生「成人大学生の自己主導型学習関連研究」、
 北海道大学ソン・ミラン先生「日本の高等教育におけるキャリア教育の現状 北海道大学学部
 1年生キャリア意識調査を通して」
○総合討論:慶煕大学校チェ・イルソン先生、高麗大学校チャン・ジウン先生

 北海道大学の先生方は、当日大学校の寮にお泊りになり、翌日14日は、水原に移動しました。水原では、慶煕大学校のチョン・ヒョンギョン先生と合流し、希望製作所が水原市から委託をうけて運営している、水原市平生学習館を訪問して(民間に委託して運営している事例は、韓国ではごく少数)、市民人文大学などの事例を伺いました。特に市民が講師になり講座を実施する「水原誰でも学校」は、受講生が一人であっても講師が無料で講義をすることができるもので印象的でした。次に京畿道平生教育振興院を訪問しましたが、ソウルを挟んで南北に分かれる京畿道内で、同質の平生教育事業を展開することに努力をしているとの事でした。
 15日はチョン・ヒョンギョン先生のご案内で、水原華城博物館見学、伝統的市場である「モッコル市場」のまちづくりをフィールドワークし、一連の事業が終了しました。
 実施後2週間が過ぎてしまい、タイムリーに公州の風をお送りできず反省しております。韓国は明日(30日)から旧正月の3連休。連休明けから、インタビューを開始するつもりです。元気です。

◆公州の風・18ーヤン先生の特別講義
 (Wed, 12 Feb 2014 00:19) 南の風3248号(2014/02/13)
 2014年2月8日、ヤンビョンチャン先生の特別講義があり、一般大学院、教育大学院を含めて40名以上が参加しました。ヤン先生は次年度、日本で1年間お過ごしになるため、私にはおそらく院生として聴く、先生の最終の授業でした。
 講義のテーマは「公州大学・平生教育、私達のビジョンと役割」。まず韓国の教育学会における社会教育、平生教育の歴史や役割について、お話がありました。学校を中心におこなわる実践と研究に集中していた教育学会において、平生教育はアウトサイダーではあるかもしれないが、色々な分野の研究との接点に位置している。平生教育は周辺に位置しつつも、知識情報化社会、少子高齢化社会、多文化社会である21世紀において、教育学のパイオニアとして先導する役割がある、とおっしゃいました。
 次に、ご自身の今までの活動において、①指導教授や同僚、教え子など、②現場の人々、③活動し学習する住民など、人との出会いが大きなウェイトをしめている。天安外大で教鞭をとるようになって、初めて現場に直接出向くことになったが、現場の現状を目で確かめることができた上、住民の実践的な思考から多くを学び、そのことが楽しかった。またその経験を大切にすることが、自分の自信となり、学会でも「現場と研究者をつなぐネットワーカーであり現場指向型である」と評価を得るようになったとおっしゃいました。
 公州大学校の平生教育専攻研究室には、韓国の実践知が積みあがってきており、それが特徴とも言える。院生達は、自負心そして想像力を持った人になってほしい。また各人、①研究者、②実践者、③学習者など、色々なアイデンティティを持っている。それを上手く調整しながら、自分自身のアイデンティティを確立させ、自分のポジション、役割、強みは何なのかを探し続けること、連帯し協力してともに支えあう(advocacy)こと、実践と理論をつなげていくこと。それが公州大学校平生教育の姿だろうとおっしゃいました。
 肩書きのための論文を書いてはいけない。学会活動もきちんとして、色々な分野の色々な方々の言葉に(たとえ厳しい言葉であっても)耳を傾け学ぼう。研究活動を丁寧に行い、良い論文を書くことに心を砕きなさい。意識ある実践、意識ある研究をしながら、つながっていこう。それが私達の、そしてみんなの力になるはずだ、ともおっしゃいました。
 参加した院生達は、ヤン先生の研究信念をあらためて伺うことができました。私は襟を正さねば、そして深く胸に刻みこまねばと思いました。
 日本でゆっくり休養したいとおっしゃりつつも、やっぱり50%休養し、50%研究しようと思うとおっしゃったヤン先生。韓国にいらっしゃらなくなるのは寂しいですが、私は残された韓国での時間を大切に過ごしたいと思っております。
 最後に教え子を代表いたしまして、「日本の皆さま、どうぞヤン先生をよろしくお願いいたします。」






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